JP4800469B2 - ガス発生剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等のエアバック拘束システムに適したガス発生剤組成物、その成型体及びそれらを用いたエアバック用インフレータに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
自動車における乗員保護装置としてのエアバッグ用ガス発生剤としては、従来からアジ化ナトリウムを用いた組成物が多用されてきた。しかし、アジ化ナトリウムの人体に対する毒性[LD50(oral−rat)=27mg/kg]や取扱い時の危険性が問題視され、それに替わるより安全ないわゆる非アジド系ガス発生剤組成物として、各種の含窒素有機化合物を含むガス発生剤組成物が開発されている。
【0003】
例えば、米国特許4,909,549号には、水素を含むテトラゾール、トリアゾール化合物と酸素含有酸化剤との組成物が開示されている。米国特許4,370,181号には、水素を含まないビテトラゾールの金属塩と酸素を含まない酸化剤とからなるガス発生剤組成物が開示されている。米国特許4,369,079号には、水素を含まないビテトラゾールの金属塩とアルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属亜硝酸塩、アルカリ土類金属硝酸塩、アルカリ土類金属亜硝酸塩及びこれらの混合物からなるガス発生剤組成物が開示されている。特開平10−72273号には、ビテトラゾール金属塩、ビテトラゾールアンモニウム塩、アミノテトラゾールと硝酸アンモニウムからなるガス発生剤が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記の非アジド系ガス発生剤組成物は、燃焼温度、燃焼速度、相移転、一酸化炭素及び窒素酸化物の生成量、ガス発生効率などに問題がある。例えば、前記の米国特許4,369,079号のガス発生剤組成物は、燃焼温度が高く、実際に使われると、大量のクーラントが必要となる。米国特許5,542,999号の組成物は、燃焼速度が小さく、短時間で完全燃焼できない恐れがある。特開平10−72273号のガス発生剤は、使用温度範囲において硝酸アンモニウムの相転移による形状変化によって、ガス発生剤成型体が破損し、安定的に燃焼できなくなる。
【0005】
また特開平9−328389号公報には、燃料及び酸化剤からなり、燃料が60〜100重量%が一般式(I)〜(III)で示されるポリアミンの硝酸塩とバランス量の炭素数2〜3のアルキルジアミンであり、酸化剤が銅化合物であるガス発生性組成物が開示されている。この従来技術は、燃料としてポリアミンの硝酸塩を必須とすることによってのみ、ガス収率が高い等の効果が得られるものである。
【0006】
更に特開平11−343192号公報には、2種以上の成分からなる燃料混合物と3種以上の成分からなる酸化剤混合物からなり、燃料混合物としてグアニジン化合物と複素環式有機酸を必須成分として含み、酸化剤混合物として遷移金属酸化物、塩基性硝酸銅及び塩素酸金属、過塩素酸金属、過塩素酸アンモニウム、硝酸アルカリ金属、硝酸アルカリ土類金属又はそれらの混合物を必須成分として含むガス生成用組成物が開示されている。この従来技術は、2種以上の燃料と3種以上の酸化剤の組合せによってのみ、引火能と燃焼速度が良いという効果が得られるものである。
【0007】
また米国特許5,542,998号には、燃料、酸化剤及び触媒からなり、酸化剤が塩基性硝酸銅で、触媒が金属酸化物であるガス発生混合物が開示されており、任意成分として冷却剤が使用できることが記載され、スラグ形成剤は不要であると記載されている。更に米国特許5,542,999号には、燃料、酸化剤及び触媒からなり、酸化剤が塩基性硝酸銅で、触媒が担体状の金属又は金属合金であるガス発生混合物が開示されており、任意成分として冷却剤が使用できることが記載され、スラグ形成剤は不要であると記載されている。
【0008】
これら2件の従来技術はいずれも金属触媒を必須とするものであるため、製造コストも高くなり、触媒を含まないガス発生剤と比べると、同じガス発生効率を確保しようとすれば重量が増加し、重量を低減しようとすればガス発生効率が低下するため、特にガス発生器に対する軽量化の要請が非常に大きな現状では、実用的なものではない。
【0009】
またフランス特許2,772,370号には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルゴムから選ばれる架橋された還元結合剤、銅化合物と有機窒素化合物の組合せからなる添加剤、過塩素酸アンモニウムと塩素捕獲剤との混合物を含む主酸化剤を必須成分とするガス発生火工組成物が開示されている。この従来技術は、かかる組成にすることよってのみ、着火性等が改良できるものである。
【0010】
従って、本発明の課題は、上記従来技術とは異なる組成からなり、燃焼温度が低く、燃焼速度が大きく、一酸化炭素及び窒素酸化物の生成量が少なく、燃焼安定性の優れたガス発生剤組成物、その成型体及びそれらを用いたエアバック用ガス発生器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1つの解決手段として、(a)テトラゾール誘導体、グアニジン、炭酸グアニジン、ニトログアニジン、ジシアンジアミド、ニトロアミノグアニジン及びニトロアミノグアニジン硝酸塩から選ばれる1種以上のグアニジン誘導体並びに(b)塩基性金属硝酸塩を含有するガス発生剤組成物を提供する。
【0012】
更に本発明は、他の解決手段として、(a)テトラゾール誘導体、グアニジン、炭酸グアニジン、ニトログアニジン、ジシアンジアミド、ニトロアミノグアニジン及びニトロアミノグアニジン硝酸塩から選ばれる1種以上のグアニジン誘導体、(b)塩基性金属硝酸塩並びに(c)バインダ及び/又はスラグ形成剤を含有するガス発生剤組成物を提供する。
【0013】
また本発明は、他の解決手段として、(a)テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体又はそれらの混合物、(b)塩基性金属硝酸塩及び(d)燃焼改良剤を含有するガス発生剤組成物を提供する。
【0014】
更に本発明は、他の解決手段として、(a)テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体又はそれらの混合物、(b)塩基性金属硝酸塩、(c)バインダ及び/又はスラグ形成剤並びに(d)燃焼改良剤を含有するガス発生剤組成物を提供する。
【0015】
また本発明は、他の解決手段として、(a)テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体又はそれらの混合物及び(b)塩基性金属硝酸塩を含有しており、下記要件▲1▼〜▲3▼から選ばれる1以上の要件を有しているガス発生剤組成物を提供する。
【0016】
▲1▼ガス発生剤組成物を密閉した状態で90℃で1000時間又は110℃で400時間保持した場合のガス発生剤の重量減少率が2.0%以下であること
▲2▼ガス発生剤の燃焼により発生するガスに含まれる微量ガスの濃度が、2800Lタンクでの測定値としてで、COが400ppm以下、NOが40ppm以下、NO2が8ppm以下及びNH3が100ppm以下であること
▲3▼ガス発生剤燃焼時におけるガス発生器内の最大内圧が7840〜22500kPaであること
更に本発明は、(a)テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体又はそれらの混合物、(b)塩基性金属硝酸塩並びに(c)バインダ及び/又はスラグ形成剤を含有しており、下記要件▲1▼〜▲3▼から選ばれる1以上の要件を有しているガス発生剤組成物を提供する。
【0017】
▲1▼ガス発生剤組成物を密閉した状態で90℃で1000時間又は110℃で400時間保持した場合のガス発生剤の重量減少率が2.0%以下であること
▲2▼ガス発生剤の燃焼により発生するガスに含まれる微量ガスの濃度が、2800Lタンクでの測定値としてで、COが400ppm以下、NOが40ppm以下、NO2が8ppm以下及びNH3が100ppm以下であること
▲3▼ガス発生剤燃焼時におけるガス発生器内の最大内圧が7840〜22500kPaであること
また本発明は、上記のガス発生剤組成物から得られる単孔円柱状、多孔円柱状又はペレット状の成型体を提供する。
【0018】
更に本発明は、上記のガス発生剤組成物及び成型体を用いたエアバック用インフレータを提供する。なお、本発明における「インフレータ」とは、ガスの供給がガス発生剤からだけのパイロタイプのインフレータと、ガスの供給がアルゴン等の圧縮ガスとガス発生剤の両方であるハイブリッドタイプのインフレータ(但し、ガス発生剤を燃焼させてガスを発生する機能を有する部分が「ガス発生器」となる)を意味する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のガス発生剤組成物は、(a)及び(b)成分を必須成分とする組成物又は(a)、(b)及び(c)成分を必須成分とする組成物にすることができる。
【0020】
本発明で用いる(a)成分のテトラゾール誘導体は、一分子中の窒素原子の含有量が高く、毒性も低く、更に(b)成分と組み合わせた場合には燃焼速度が大きくなるので好ましい。
【0021】
テトラゾール誘導体としては、テトラゾール化合物(但し、ビテトラゾール化合物を除く)やビテトラゾール化合物が挙げられる。テトラゾール化合物(但し、ビテトラゾール化合物を除く)としては、テトラゾール、5―アミノテトラゾール、5,5’−ビ−1H−テトラゾール、5−ニトロアミノテトラゾール、5―アミノテトラゾールの亜鉛塩、5−アミノテトラゾールの銅塩が挙げられ、ビテトラゾール化合物としては、ビテトラゾール、ビテトラゾールカリウム塩(BHTK)、ビテトラゾールナトリウム塩、ビテトラゾールマグネシウム塩、ビテトラゾールカルシウム塩、ビテトラゾールジアンモニウム塩(BHTNH3)、ビテトラゾール銅塩及びビテトラゾールメラミン塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0022】
これらの中でも、窒素原子含有量が81.4重量%、LD50(oral−rat)が2000mg/kgであり、燃焼効率が良いため、ビテトラゾールジアンモニウム塩が好ましい。ここでいうビテトラゾール化合物には、2つのテトラゾール環の5−5’結合体と1−5’結合体が含まれ、価格と入手の容易さから5−5’体が好ましい。
【0023】
本発明で用いる(a)成分の内、グアニジン誘導体は、他の成分との組合せ及び所定の要件▲1▼〜▲3▼を満たす上で、2つの群に分けることができる。
【0024】
第1の群は、グアニジン、炭酸グアニジン、ニトログアニジン、ジシアンジアミド、ニトロアミノグアニジン及びニトロアミノグアニジン硝酸塩から選ばれる1種以上のグアニジン誘導体である。
【0025】
第2の群は、グアニジン、モノ、ジ又はトリアミノグアニジン硝酸塩、硝酸グアニジン、炭酸グアニジン、ニトログアニジン(NQ)、ジシアンジアミド(DCDA)、ニトロアミノグアニジン及びニトロアミノグアニジン硝酸塩から選ばれる1種以上のグアニジン誘導体である。
【0026】
本発明のガス発生剤組成物が、(a)及び(b)成分を必須成分として含む組成物又は(a)、(b)及び(c)成分を必須成分として含む組成物における(a)成分のグアニジン誘導体は、上記した第1の群のグアニジン誘導体である。
【0027】
本発明で用いる(b)成分の塩基性金属硝酸塩は、一般に次のような式で示される一連の化合物である。また、更に水和水を含む化合物も存在する場合がある。式中、Mは金属を、x’は金属数を、y、y’はNO3イオン数を、z’はOHイオン数を、nはM(NO3)y部分に対するM(OH)z部分の比を示すものである。
【0028】
M(NO3)y・nM(OH)z又はMx'(NO3)y'(OH)z'
前記式に相当するものの例としては、金属Mとして銅、コバルト、亜鉛、マンガン、鉄、モリブデン、ビスマス、セリウムを含む、Cu2(NO3)(OH)3、Cu3(NO3)(OH)5・2H2O、Co2(NO3)(OH)3、Zn2 (NO3)(OH)3、Mn(NO3)(OH)2、Fe4(NO3)(OH)11・2H2O、Bi(NO3)(OH)2、Ce(NO3)3(OH)・3H2Oが挙げられる。
【0029】
(b)成分の塩基性金属硝酸塩としては、塩基性硝酸銅(BCN)、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガン、塩基性硝酸鉄、塩基性硝酸モリブデン、塩基性硝酸ビスマス及び塩基性硝酸セリウムから選ばれる1種以上が挙げられ、これらの中でも塩基性硝酸銅が好ましい。
【0030】
塩基性硝酸銅は、酸化剤としての硝酸アンモニウムに比べると、使用温度範囲において相転移がなく、融点が高いので、熱安定性が優れている。更に、塩基性硝酸銅は、ガス発生剤の燃焼温度を低くするように作用するので、窒素酸化物の生成量も少なくできる。
【0031】
(b)成分は、上記した塩基性金属硝酸塩とその他の1種以上の酸化剤との混合物にすることができ、混合物にした場合にはその他の酸化剤としてアルカリ金属硝酸塩を含有させることができる。
【0032】
アルカリ金属硝酸塩はガス発生剤組成物の燃焼速度を高める成分であり、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、硝酸リチウム等が挙げられるが、これらの中でも硝酸カリウムが好ましい。
【0033】
(b)成分が混合物であるとき、混合物中の塩基性金属硝酸塩の含有量は、好ましくは55〜99.9重量%、より好ましくは75〜99.5重量%、更に好ましくは90〜99.2重量%である。
【0034】
本発明のガス発生剤組成物が(a)及び(b)成分を含有するものである場合、(a)成分の含有量は5〜60重量%が好ましく、15〜55重量%がより好ましい。(b)成分の含有量は40〜95重量%が好ましく、45〜85重量%がより好ましい。
【0035】
組成物が(a)、(b)成分を含有するものである場合の好ましい一実施形態としては、(a)ビテトラゾールジアンモニウム塩及び(b)塩基性硝酸銅を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は(a)ビテトラゾールジアンモニウム塩5〜60重量%、好ましくは15〜55重量%、より好ましくは15〜45重量%又は15〜35重量%及び(b)塩基性硝酸銅40〜95重量%、好ましくは45〜85重量%、より好ましくは55〜85重量%又は65〜85重量%である。
【0036】
組成物が(a)、(b)成分を含有するものである場合の好ましい他の実施形態としては、(a)ニトログアニジン及び(b)塩基性硝酸銅を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は(a)ニトログアニジン30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%及び(b)塩基性硝酸銅30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%である。
【0037】
組成物が(a)、(b)成分を含有するものである場合の好ましい他の実施形態としては、(a)ジシアンジアミド及び(b)塩基性硝酸銅を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)ジシアンジアミド15〜30重量%及び(b)塩基性硝酸銅70〜85重量%が好ましい。
【0038】
本発明で用いる(c)成分のバインダ及び/又はスラグ形成剤は非架橋性のものであり、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMCNa)、カルボキシメチルセルロースカリウム塩、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート(CAB)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、微結晶性セルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドのアミノ化物、ポリアクリルヒドラジド、アクリルアミド・アクリル酸金属塩共重合体、ポリアクリルアミド・ポリアクリル酸エステル化合物の共重合体、ポリビニルアルコール、アクリルゴム、グアガムやデンプンを含む多糖類、シリコーン(シリコーン樹脂は除く)、二硫化モリブデン、酸性白土、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カオリン、ステアリン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ケイ酸ナトリウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ヒドロタルサイト、マイカ、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、塩基性金属炭酸塩及びモリブデン酸塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0039】
(c)成分のグアガムやデンプンを含む多糖類は、粘着性があり、湿式成型法及び乾式成型法に適用できるものであれば特に限定されるものではなく、グアガム以外のアラビヤガム、トラガントガム等の各種ガム類、キチン、キトサン、ヒアルロン酸等が挙げられる。
【0040】
(c)成分の金属酸化物としては、酸化銅、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ニッケル及び酸化ビスマスから選ばれる1種以上が挙げられ、金属水酸化物としては、水酸化コバルト、水酸化アルミニウムから選ばれる1種以上が挙げられ、金属炭酸塩及び塩基性金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸コバルト、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸銅、塩基性炭酸コバルト、塩基性炭酸鉄、塩基性炭酸ビスマス、塩基性炭酸マグネシウムから選ばれる1種以上が挙げられ、モリブデン酸塩としては、モリブデン酸コバルト及びモリブデン酸アンモニウムから選ばれる1種以上が挙げられる。これらの(c)成分の化合物は、スラグ形成剤及び/又はバインダーとしての働きをすることができる。
【0041】
ガス発生剤組成物の着火性を高める場合には、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩及びカリウム塩が好ましく、これらの中でもナトリウム塩がより好ましい。
【0042】
本発明のガス発生剤組成物が(a)、(b)、(c)成分を含有するものである場合、(a)成分の含有量は5〜60重量%が好ましく、15〜55重量%がより好ましい。(b)成分の含有量は40〜95重量%が好ましく、45〜85重量%がより好ましい。(c)成分の含有量は0.1〜25重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましく、0.1〜10重量%が更に好ましい。
【0043】
(a)、(b)、(c)成分を含有するものである場合の好ましい一実施形態としては、(a)ビテトラゾールジアンモニウム塩、(b)塩基性硝酸銅及び(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)ビテトラゾールジアンモニウム塩15〜40重量%、(b)塩基性硝酸銅45〜80重量%及び(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1〜15重量%が好ましい。
【0044】
(a)、(b)、(c)成分を含有するものである場合の好ましい他の実施形態としては、(a)ビテトラゾールジアンモニウム塩、(b)塩基性硝酸銅及び(c−1)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩と(c−2)前記(c−1)以外の上記の(c)成分を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)ビテトラゾールジアンモニウム塩15〜35重量%、(b)塩基性硝酸銅30〜70重量%、(c−1)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1〜15重量%及び(c−2)1〜45重量%が好ましい。
【0045】
(a)、(b)、(c)成分を含有するものである場合の好ましい他の実施形態としては、(a)ニトログアニジン、(b)塩基性硝酸銅及び(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)ニトログアニジン15〜55重量%、(b)塩基性硝酸銅45〜70重量%及び(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1〜15重量%が好ましい。
【0046】
(a)、(b)、(c)成分を含有するものである場合の好ましい他の実施形態としては、(a)ニトログアニジン、(b)塩基性硝酸銅及び(c−1)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩と(c−2)前記(c−1)以外の上記の(c)成分を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)ニトログアニジン15〜50重量%、(b)塩基性硝酸銅30〜65重量%及び(c−1)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1〜15重量%と(c−2)1〜40重量%が好ましい。
【0047】
(a)、(b)、(c)成分を含有するものである場合の好ましい他の実施形態としては、(a)ニトログアニジン、(b)塩基性硝酸銅及び(c)グアガムを含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)ニトログアニジンが好ましくは20〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%、(b)塩基性硝酸銅が好ましくは35〜75重量%、より好ましくは40〜65重量%及び(c)グアガムが好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%である。
【0048】
(a)、(b)、(c)成分を含有するものである場合の好ましい他の実施形態としては、(a)ニトログアニジン、(b)塩基性硝酸銅及び(c−1)グアガムと(c−2)前記(c−1)以外の上記の(c)成分を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)ニトログアニジンが好ましくは20〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%、(b)塩基性硝酸銅が好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%、及び(c−1)グアガムが好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%と(c−2)が好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.3〜7重量%である。
【0049】
このように(a)ニトログアニジン及び(b)塩基性硝酸銅を含む組成又は(a)ニトログアニジン、(b)塩基性硝酸銅及び(c)グアガムを含む組成にした場合、下記の(I)〜(III)の点で優れた効果を有する。
【0050】
(I)ニトログアニジンの熱分解温度(約220℃)と塩基性硝酸銅の熱分解温度(約200℃)が近似しているため、ニトログアニジンと塩基性硝酸銅の反応(燃焼)がより完全燃焼に近くなり、有毒ガス(CO、NO、NO2、NH3等)の発生が少なくなる。また、塩基性硝酸銅を用いたことでガス発生剤の燃焼温度が低下するので、燃焼時において、いわゆるサーマルNOx(thermal NOx)の発生量が減少する。
【0051】
(II)燃焼時には塩基性硝酸銅に起因して溶融状態の銅のミスト発生するが、銅の融点(1083℃)は高いので、1000℃程度にまで冷却すれば容易に固形ミストとして除去できるので、他のミスト(例えば、K2Oの融点は400℃であるので、400℃未満までの冷却が必要となる)に比べて除去が容易であり、インフレータの外部にミストが出にくい。
【0052】
(III)グアガムを使用した場合、CMC−Naを使用した場合に比べて耐熱性が高い。CMC−Naを使用した場合、塩基性硝酸銅から生じたOHイオンとCMC−NaのNaが反応してNaOHが生成し、このNaOHがニトログアニジンを分解して耐熱性を低下させることがあるが、グアガムの場合にはこのような問題は生じない。
【0053】
(a)、(b)、(c)成分を含有するものである場合の好ましい他の実施形態としては、(a)ジシアンジアミド、(b)塩基性硝酸銅及び(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)ジシアンジアミド15〜25重量%、(b)塩基性硝酸銅60〜80重量%及び(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1〜20重量%が好ましい。
【0054】
(a)、(b)、(c)成分を含有するものである場合の好ましい他の実施形態としては、(a)ジシアンジアミド、(b)塩基性硝酸銅及び(c−1)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩と(c−2)前記(c−1)以外の上記の(c)成分を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)ジシアンジアミド15〜25重量%、(b)塩基性硝酸銅55〜75重量%及び(c−1)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0〜10重量%又は0.1〜10重量%と(c−2)1〜20重量%が好ましい。
【0055】
(a)、(b)、(c)成分を含有するものである場合の好ましい他の実施形態としては、(a)硝酸グアニジン、(b)塩基性硝酸銅及び(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)硝酸グアニジン15〜60重量%、(b)塩基性硝酸銅40〜70重量%及び(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1〜15重量%が好ましい。
【0056】
(a)、(b)、(c)成分を含有するものである場合の好ましい他の実施形態としては、(a)硝酸グアニジン、(b)塩基性硝酸銅及び(c−1)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩と(c−2)前記(c−1)以外の上記の(c)成分を含有するものが挙げられる。この場合の含有量は、(a)硝酸グアニジン15〜55重量%、(b)塩基性硝酸銅25〜60重量%及び(c−1)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.1〜15重量%と(c−2)1〜40重量%が好ましい。
【0057】
本発明のガス発生剤組成物において、(b)成分を塩基性硝酸銅と硝酸カリウムとの混合物にした場合、上記した(I)〜(III)の効果に加えて、更に燃焼速度が向上するという効果が得られる。
【0058】
本発明のガス発生剤組成物は、(a)、(b)及び(d)燃焼調節剤(燃焼改良剤)を必須成分とする組成物又は(a)、(b)、(c)及び(d)燃焼調節剤(燃焼改良剤)を必須成分とする組成物にすることができる。(d)成分を必須成分として含有する場合の(a)成分のグアニジン誘導体は、上記した第2の群のグアニジン誘導体である。
【0059】
(d)成分の燃焼改良剤は、例えば、ガス発生剤組成物全体としての燃焼速度、燃焼の持続性、着火性等の燃焼性を向上させるように作用する成分である。燃焼改良剤としては、窒化ケイ素、シリカ、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の亜硝酸塩、硝酸塩、塩素酸塩又は過塩素酸塩(KNO3、NaNO3、KClO4等)、酸化水酸化鉄(III)〔FeO(OH)〕、酸化銅、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化コバルト及び酸化マンガンから選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中で酸化水酸化鉄(III)〔FeO(OH)〕を使用した場合、炭素数が多いバインダを配合したときにバインダの燃焼促進効果が優れており、ガス発生剤組成物全体の燃焼促進に寄与できる。
【0060】
(d)成分の含有量は、(a)及び(b)成分又は(a)、(b)及び(c)成分の合計量100重量部に対して1〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。
【0061】
(a)、(b)、(c)、(d)成分を含有するものである場合の好ましい実施形態としては、(a)ニトログアニジン、(b)塩基性硝酸銅、(c)グアガムと(d)燃焼改良剤を含有するものが挙げられ、(d)燃焼改良剤としてはシリカが好ましい。この場合の含有量は、(a)ニトログアニジン20〜60重量%、(b)塩基性硝酸銅35〜75重量%、(c)グアガム0.1〜10重量%、(d)燃焼改良剤0.1〜15重量%が好ましい。
【0062】
また本発明のガス発生剤組成物は、(a)及び(b)成分を含有しており、下記要件▲1▼〜▲3▼から選ばれる1つの要件、好ましくは2つの要件、より好ましくは3つの要件を有しているものにすることができる。この場合における(a)成分のグアニジン誘導体は、上記した第2の群のグアニジン誘導体である。
【0063】
▲1▼ガス発生剤組成物を密閉した状態で90℃で1000時間又は110℃で400時間保持した場合のガス発生剤の重量減少率が2.0%以下、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下である。
【0064】
この要件▲1▼は、ガス発生剤組成物を内容積118.8mlのステンレス製容器に入れ、密閉した状態で90℃で1000時間又は110℃で400時間保持した場合のガス発生剤の重量減少率である。
【0065】
▲2▼ガス発生剤の燃焼により発生するガスに含まれる微量ガスの濃度が、2800Lタンクでの測定値としてで、COが400ppm以下、NOが40ppm以下、NO2が8ppm以下及びNH3が100ppm以下であること。
【0066】
この要件▲2▼は、ガス発生剤の燃焼により発生するガスに含まれる微量ガスの濃度が、2800Lタンクでの測定値としてで、COが400ppm以下、NOが40ppm以下、NO2が8ppm以下及びNH3が100ppm以下であることである。或いはNIOSHによって示されたIDLHの値である、COが1200ppm以下、NOが100ppm以下、NO2が20ppm以下、NH3が300ppm以下という値の30%前後、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは10%(CO=120ppm、NO=10ppm、NO2=2ppm、NH3=30ppm)以下であることである。
【0067】
なお、これらの各ガス濃度は、例えば、標準的なシングルタイプの運転席用パイロインフレータを用いて、20℃で出力130〜230kPaの条件で、2800Lタンク試験を行った場合の値である。このガス発生剤組成物は、測定条件とは関係なく、他のタイプのガス発生器にも使用できる。
【0068】
▲3▼ガス発生剤燃焼時におけるガス発生器内の最大内圧が7840〜22500kPa、好ましくは8820〜17640kPaであることである。
【0069】
更に本発明のガス発生剤組成物は、(a)、(b)及び(c)成分を含有しており、下記要件▲1▼〜▲3▼から選ばれる1つの要件、好ましくは2つの要件、より好ましくは3つの要件を有しているものにすることができる。要件▲1▼〜▲3▼の詳細は、上記と同様である。この場合における(a)成分のグアニジン誘導体は、上記した第2の群のグアニジン誘導体である。
【0070】
▲1▼ガス発生剤組成物を密閉した状態で90℃で1000時間又は110℃で400時間保持した場合のガス発生剤の重量減少率が2.0%以下であること。
【0071】
▲2▼ガス発生剤の燃焼により発生するガスに含まれる微量ガスの濃度が、2800Lタンクでの測定値としてで、COが400ppm以下、NOが40ppm以下、NO2が8ppm以下及びNH3が100ppm以下であること。
【0072】
▲3▼ガス発生剤燃焼時におけるガス発生器内の最大内圧が7840〜22500kPaであること。
【0073】
本発明のガス発生剤組成物を(a)、(b)及び(d)成分を必須成分とする組成物又は(a)、(b)、(c)及び(d)成分を必須成分とする組成物にした場合でも、(d)成分は上記した要件▲1▼〜▲3▼の発現を阻害する成分ではないので、(d)成分を含まない組成物と同様に要件▲1▼〜▲3▼を具備するものである。
【0074】
本発明のガス発生剤組成物は所望の形状に成型することができ、単孔円柱状、多孔円柱状又はペレット状の成型体にすることができる。これらの成型体は、ガス発生剤組成物に水又は有機溶媒を添加混合し、押出成型する方法(単孔円柱状、多孔円柱状の成型体)又は打錠機等を用いて圧縮成型する方法(ペレット状の成型体)により製造することができる。
【0075】
本発明のガス発生剤組成物又はそれから得られる成型体は、例えば、各種乗り物の運転席のエアバック用インフレータ、助手席のエアバック用インフレータ、サイドエアバック用インフレータ、インフレータブルカーテン用インフレータ、ニーボルスター用インフレータ、インフレータブルシートベルト用インフレータ、チューブラーシステム用インフレータ、プリテンショナー用ガス発生器に適用できる。
【0076】
また本発明のガス発生剤組成物又はそれから得られる成型体を使用するガス発生器は、ガスの供給が、ガス発生剤からだけのパイロタイプと、アルゴン等の圧縮ガスとガス発生剤の両方であるハイブリッドタイプのいずれでもよい。
【0077】
更に本発明のガス発生剤組成物又はそれから得られる成型体は、雷管やスクイブのエネルギーをガス発生剤に伝えるためのエンハンサ剤(又はブースター)等と呼ばれる着火剤として用いることもできる。
【0078】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお表中、NQはニトログアニジン、BHTNH3はビテトラゾールアンモニウム塩、BHTKはビテトラゾールカリウム塩、DCDAはジシアンジアミド、5−ATは5−アミノテトラゾール、Zn(5−AT)は5−アミノテトラゾールの亜鉛塩、BCNは塩基性硝酸銅[Cu2(NO3)(OH)3]、CMCNaはカルボキシメチルセルロースナトリウムを示す。なお、以下における測定方法の詳細は下記のとおりである。
(1)耐熱性試験(重量減少率)
ガス発生剤組成物(ガス発生剤40gを含む)をアルミニウム製容器に入れ、総重量を測定した。(総重量−アルミニウム製容器重量)を試験前のサンプル重量とした。サンプルの入ったアルミニウム製容器を、SUS製厚肉容器(内容積118.8ml)に入れ、ふたをした。この時、ゴムパッキンとクランプを使用して容器が密閉状態になるようにした。これを90℃及び110℃の恒温槽に入れた。1000時間及び400時間経過後に容器を恒温槽から取り出し、容器が室温にもどってから容器を開け、中からアルミニウム製容器を取り出した。アルミニウム製容器ごとの総重量を測定し、(総重量−アルミニウム製容器重量)を試験後のサンプル重量とした。そして、試験前後の重量変化を比較して重量減少率を求めることにより耐熱性を評価した。重量減少率は、〔(試験前のガス発生剤重量−試験後のガス発生剤重量)/試験前のガス発生剤重量〕×100から求めた。
(2)ガス濃度の測定
上記の耐熱性試験終了後の密閉容器を約2リットルの空気が入ったポリ塩化ビニル製の袋にいれた後に袋を密閉した。袋内でクランプを外し、密閉容器を開けて、容器中にあったガスを袋中に放出させた。袋中のガスを拡散させ、均一にした後に、検知管を袋に突き刺し、すみやかにガス濃度の測定を行った。
(3)内圧の測定
上記の耐熱性試験後のガス発生剤組成物の入った容器内の内圧を測定した。
【0079】
実施例1〜9、比較例1〜2
表1に示す組成を有するガス発生剤組成物を製造した。これらの組成物の理論計算に基づく燃焼温度、発生ガス効率(単位「mol/100g」は組成物100g当たりの発生ガスのモル数を表す)、CO及びNO発生量を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
実施例1〜9のいずれの燃焼温度も比較例1〜2と比べて十分低く、1900K以下であり、更にNO発生量の低減に効果のあることを示している。また、CO及びNO発生量については、CO発生量2×10-3mol/100g以下及びNO発生量2×10-4mol/100g以下が同時に達成されなければ実用上許容されないが、これらの実施例はこの条件を満足していることが分かる。
【0082】
実施例10〜15
表2に示す組成を有するガス発生剤組成物を製造した。これらの組成物のJIS K4810−1979の火薬類性能試験法に基づく摩擦感度と落槌感度を試験した。結果を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
実施例16〜20
表3に示す組成を有するガス発生剤組成物を製造した。これらの組成物について、理学(株)製のTAS型示差熱分析装置による融解温度、発熱開始温度、TG重量減少開始温度を測定した。測定時の昇温速度は20℃/min、測定雰囲気は窒素ガス、測定時のサンプル量は1〜2mgであった。結果を表3に示す。
【0085】
また、実施例18の組成物について、次の方法により耐熱性試験を行った。耐熱性試験は、組成物をアルミニウム製容器に入れたものを110℃の恒温槽内で400時間放置して行い、試験前後における組成物の重量変化から重量減少率を求め、耐熱性を評価した。その結果、重量減少率は−0.31%とわずかであり、外観上も変化は見られなかった。
【0086】
【表3】
【0087】
実施例21〜32
表4に示す組成を有するガス発生剤組成物を製造した。これらの組成物をストランドに成型して、4900、6860、8820kPaの圧力で、窒素雰囲気下で燃焼速度を測定した。6860kPaの燃焼速度と、4900〜8820kPaの間の圧力指数を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】
以上のように実施例10〜32に示されたそれぞれの数値は、これらの実施例の組成物がインフレータ用ガス発生剤組成物としての実用上の条件を満足していることを示す。
【0090】
実施例33〜55
表5に示す組成を有するガス発生剤組成物を製造し、これらの組成物を2gのストランドに成型した。このストランドを内容積1リットルの密閉ボンブに取り付け、ボンブ内を窒素で置換した後、更に窒素で6860kPaまで加圧して、ストランドをニクロム線の通電により着火させ、完全に燃焼させた。通電から約20秒後に燃焼ガスをガスサンプリングバッグに採取し、直ちに、検知管でNO2、NO、CO、CO2の濃度を分析した。
【0091】
【表5】
【0092】
実施例56〜75
表6に示す組成を有するガス発生剤組成物を製造し、実施例25〜43と同様にしてNO2、NO、CO、CO2の濃度を分析した。
【0093】
【表6】
【0094】
実施例76〜94
表7に示す組成を有するガス発生剤組成物を製造した。これらの組成物の理論計算に基づく燃焼温度及び発生ガス効率(単位「mol/100g」は組成物100g当たりの発生ガスのモル数を表す)を表7に示す。
【0095】
【表7】
【0096】
実施例95
NQ/BCN/グアガム=44.2/52.8/3(重量%)のガス発生組成物を製造し、下記の方法で耐熱性を試験した。その結果、110℃、214時間の条件における重量減少率は0.27%、110℃、408時間の条件における重量減少率は0.45%であった。
【0097】
実施例96〜103
表8に示す組成を有するガス発生剤組成物を製造し、上記の実施例1〜95と同様の方法で表8に示した各項目の測定を行った。
【0098】
【表8】
【0099】
【発明の効果】
本発明のガス発生剤組成物及びその成型体は、低毒性で危険性が小さいので取り扱いが容易であり、燃焼速度が大きく、燃焼温度が低く、更に燃焼時に一酸化炭素や窒素酸化物の生成量が少ない。
Claims (5)
- (a)テトラゾール誘導体、グアニジン、炭酸グアニジン、ニトログアニジン、ジシアンジアミド、ニトロアミノグアニジン及びニトロアミノグアニジン硝酸塩から選ばれる1種以上、(b)酸化剤並びに(c)成分として(c−1)バインダ(但し、エポキシ樹脂は除く)と(c−2)塩基性炭酸亜鉛又は塩基性炭酸銅を含有するガス発生剤組成物であり、
(b)酸化剤が塩基性硝酸銅を含むものである(但し、過塩素酸アンモニウム及び硝酸ナトリウムを含まない)ガス発生剤組成物。 - (a)硝酸グアニジン、(b)酸化剤並びに(c)成分として(c−1)バインダ(但し、エポキシ樹脂は除く)と(c−2)塩基性炭酸亜鉛又は塩基性炭酸銅を含有するガス発生剤組成物であり、
(b)酸化剤が塩基性硝酸銅を含むものである(但し、過塩素酸アンモニウム及び硝酸ナトリウムを含まない)ガス発生剤組成物。 - 請求項1又は2記載のガス発生剤組成物から得られる単孔円柱状、多孔円柱状又はペレット状の成型体。
- 請求項1又は2記載のガス発生剤組成物を用いるエアバック用インフレータ。
- 請求項3記載の成型体を用いるエアバック用インフレータ。
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