JP4799747B2 - 脱臭設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱臭槽に設けられた脱臭材に悪臭ガスを通すことによって悪臭ガスの脱臭を行う脱臭設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の脱臭設備は、図5に示すように、家畜糞等の堆肥化設備50から送られた悪臭ガスを除塵器52で除塵した後、脱臭材層54に通して脱臭し、大気中に放散する。除塵器52は湿式の除塵器であり、悪臭ガスに水道水や井戸水等(清水)を吹付けることにより、その悪臭ガス中の粉塵を除去して脱臭材層54の詰まりを防止する。脱臭材層54は微生物の働きで悪臭ガスを無臭ガスに変える部分であり、常に湿り気を帯びた状態に保持されるように定期的に散水される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した脱臭設備では、除塵器52は悪臭ガスに水道水等の清水を吹付けることで除塵を行っているため、除塵器52専用の水源が必要となる。また、除塵器52は悪臭ガスを脱臭材層54に送っている間は稼動させるため、水の使用量も多くなる。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、排水を悪臭ガスの除塵用として用いることにより、水の有効利用を図ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、脱臭材が設けられた脱臭槽と、前記脱臭槽に脱臭前の悪臭ガスを導く通路と、前記脱臭槽から排出された排水を貯留する排水槽と、前記排水槽に貯留されている排水を脱臭前の悪臭ガスに吹付けて除塵する除塵手段とを備える脱臭設備であって、前記排水槽は、密閉容器状に形成されて、前記脱臭槽から排出された排水を貯留する第一水槽と、同じく密閉容器状に形成されて、前記第一水槽から溢れた排水を貯留する第二水槽とからなり、前記第一水槽の上部空間と第二水槽の上部空間とは広幅開口を介して連通しており、その第一水槽の上部空間と前記第二水槽の上部空間と前記広幅開口とが前記脱臭槽に脱臭前の悪臭ガスを導く前記通路を構成しており、前記除塵手段は、前記第二水槽に貯留された排水を圧送ポンプで汲み上げ、その排水をスプレーにより、前記広幅開口を通過する前記悪臭ガスに吹付けられるように構成されていることを特徴とする。
【0005】
本発明によると、排水により脱臭前の悪臭ガスの除塵を行うことができるため、除塵用に水道水等の清水を使用しなくても良くなり、水の有効利用を図ることができる。
また、第一水槽の上部空間と第二水槽の上部空間と広幅開口とが脱臭槽に脱臭前の悪臭ガスを導く通路となり、その広幅開口の位置で悪臭ガスの除塵を行う。このため、除塵器のハウジングを特別に設ける必要がなくなり、設備費が低減する。
さらに、第二水槽の水を除塵用に使用するため、比較的きれいな排水を使用できる分だけ除塵手段の目詰まりを抑制できる。
【0006】
請求項2の発明によると、第一水槽に貯留された排水は広幅開口から第二水槽に供給されることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、図1〜図4に基づいて本発明の実施形態1に係る脱臭設備の説明を行う。本実施形態1に係る脱臭設備は、家畜糞等を堆肥化する設備(堆肥化設備)から送られてきた悪臭ガスの脱臭を行う設備であり、図1に除塵部の斜視図、図2に脱臭設備の全体縦断面図、図3に図2のIIIA-IIIA矢視図(A図)及び図2のIIIB-IIIB矢視図(B図)が示されている。
脱臭設備1は、図2に示すように、脱臭槽10と、その脱臭槽10に悪臭ガスを供給する送風機20と、脱臭槽10から排出された排水を貯留する排水槽30とを有している。
【0009】
脱臭槽10は、上部が開放された箱型の建物であり、側壁あるいは床部は例えばコンクリートや合成樹脂等により構成されている。脱臭槽10の床には、図4に示すように、悪臭ガスを通す散気配管12が略格子状に配設されている。散気配管12には、例えばコンクリート若しくは合成樹脂製のU字溝12uを伏せて直列に並べたものが使用される。そして、散気配管12が十文字に交わる部位の上面が複数の通気孔12hを有する上蓋12bによって被われている。これによって、散気配管12に供給された悪臭ガスは複数の通気孔12hから脱臭槽10内に放出される。なお、散気配管12の連結部に隙間を設け、この隙間から悪臭ガスを脱臭槽10内に放出させることもできる。
【0010】
散気配管12及び上蓋12bは玉石13に埋められており、さらにその玉石13の層の上に、図2に示すように、下側脱臭材層14が積層されている。下側脱臭材層14は、例えばロックウールを主体とする繊維体に微生物を固定化したものに発泡弾性体のチップを配合したものである。下側脱臭材層14の上には上側脱臭材層15が積層されている。上側脱臭材層15は、例えばロックウールを主体とする繊維体に微生物を固定化したものである。
【0011】
脱臭槽10の上部には、上側脱臭材層15及び下側脱臭材層14に湿り気を与えるための散水装置16が設置されている。なお、上側脱臭材層15及び下側脱臭材層14に対する散水は両脱臭材層15,14の通気性を損なわない範囲で行われる。
また、脱臭槽10には屋根17が設けられており、その屋根17の軒下に脱臭後のガスを外部に放散するための開口部18が設けられている。
散気配管12により脱臭槽10内に放出された悪臭ガスは、下側脱臭材層14及び上側脱臭材層15を通過する過程で悪臭ガスに含まれている悪臭成分(主にアンモニア)が水に吸収される。そして、水に吸収された悪臭成分はそこに生息している微生物によって分解される。これにより、脱臭されたガスが大気に放出される。
【0012】
前記悪臭ガスには水分が含まれているため、上側脱臭材層15の表面で水分蒸発が起こっても脱臭槽10の水分は徐々に増加する。この増加した水は排水槽30に排水される(図2における点線参照)。
排水槽30は、脱臭槽10の下側に隣接して設けられた密閉構造のピットであり、例えばコンクリートにより箱形に形成される。排水槽30は、脱臭槽10から排出された排水を貯留する第一水槽32と、その第一水槽32から溢れた排水を貯留する第二水槽34とから構成されている。第一水槽32の上部空間と脱臭槽10の下部空間(床面近傍)とは複数の角形開口35を介して連通している。脱臭槽10の排水は角形開口35を通って第一水槽32に流入する。
【0013】
角形開口35は、例えば図3(A)に示すように、等間隔で四個形成されており、それらの角形開口35と散気配管12とが連通している。
第一水槽32の排水は、図2に示すように、散水ポンプ16pによって汲み上げられ、散水装置16に供給される。なお、散水装置16では排水の他に水道水や井戸水等の清水も使用する。
【0014】
第一水槽32の上部空間と第二水槽34の上部空間とは複数の広幅開口33によって連通しており、その第一水槽32に溜められた排水は広幅開口33を経由して第二水槽34に供給される。即ち、第一水槽32に溜められた排水の上澄み部分が第二水槽34に供給されるため、第二水槽34には比較的きれいな排水が溜められる。図3(B)には、一例として広幅開口33を四個形成した排水槽30を示す。
【0015】
排水槽30の上には、図2に示すように、送風機室22が設けられており、その送風機室22内に送風機20が設置されている。送風機20は堆肥化設備50で発生した悪臭ガスを脱臭槽10に送るためのものであり、その送風機20の出側送風ダクト24が第二水槽34の天井開口37に接続されている。これによって、送風機20から送られた悪臭ガスは、図2の太線矢印で示すように、出側送風ダクト24と天井開口37を経て第二水槽34の上部空間に至り、さらに広幅開口33から第一水槽32の上部空間及び角形開口35を通って散気配管12に至り、脱臭槽10内に放散される。
即ち、第二水槽34及び第一水槽32の上部空間が悪臭ガスの通路として使用される。
【0016】
第二水槽34内には、図1、図3(B)等に示すように、各々の広幅開口33の上に除塵用のスプレー42が取付けられている。スプレー42は広幅開口33を通過する悪臭ガスに水を吹付けることでその悪臭ガスの除塵を行うためのものであり、各々のスプレー42に圧送ポンプ44からの給水配管46が接続されている。圧送ポンプ44は第二水槽34からフィルタ46fを介して汲み上げた排水をスプレー42に供給するポンプであり、送風機室22内に設置されている。なお、圧送ポンプ44として例えば水中ポンプを使用すれば、その圧送ポンプ44を第二水槽34内に設置することも可能である。
即ち、スプレー42が本発明の除塵手段に相当する。
【0017】
このように、第二水槽34内にスプレー42が設置されているため、そのスプレー42から放出された排水及びその排水と衝突した悪臭ガス中の粉塵は第二水槽34内に落される。このため、第一水槽32側に粉塵が入り込むことはなく、散水ポンプ16pによって粉塵を含まない排水を脱臭槽10の散水装置16に供給できる。
第二水槽34は、図3(B)に示すように、底面34bが傾斜しており、その底面34bの最低レベル位置に排水ポンプ34pが設置されている。このため、排水中に落下した粉塵等の固形物は自重によって排水ポンプ34pの位置に集められ、その排水ポンプ34pによって排水と共に効率的に排出される。なお、排水ポンプ34pによって排出された固形物を含む排水は乾燥後、上記した堆肥化設備50に戻される。
【0018】
次に、上記した脱臭設備1の動作説明を行う。
先ず、散水装置16によって脱臭槽10の上側脱臭材層15及び下側脱臭材層14に散水が行われる。散水は、上側脱臭材層15及び下側脱臭材層14に湿り気を与えるために行うものであり、一日に約10分程度行われる。次に、送風機20が駆動され、堆肥化設備50で発生した悪臭ガスが、図2の太線矢印で示すように、第二水槽34及び第一水槽32の上部空間を通って角形開口35から散気配管12を介して脱臭槽10内に放散される。
【0019】
このとき、送風機20の駆動と同期して圧送ポンプ44が駆動され、第二水槽34内の排水がスプレー42に圧送される。これによって、スプレー42から広幅開口33の開口面に沿って排水が放散され、その放散された排水によってその広幅開口33を通過する悪臭ガスの除塵が行われる。スプレー42による悪臭ガスの除塵は、その悪臭ガスが脱臭槽10に送られる間、連続して行われる。なお、スプレー42から放散された排水及びその排水に衝突した粉塵は第二水槽34内に落される。
【0020】
スプレー42によって除塵された悪臭ガスは、前述のように、第一水槽32の上部空間から角形開口35を通り、散気配管12によって脱臭槽10内に放出される。脱臭槽10内に放出された悪臭ガスは下側脱臭材層14及び上側脱臭材層15を通過する過程で悪臭成分(主にアンモニア)が水に吸収され、その悪臭成分がそこに生息している微生物によって分解され、悪臭ガスは無臭ガスとなって開口部18から大気放散される。そして、脱臭槽10から排出される排水が角形開口35から第一水槽32に導かれる。
【0021】
さらに、第一水槽32の排水は広幅開口33を介して第二水槽34に導かれる。そして、第二水槽34の底面34bの傾きにより、その第二水槽34の最低部まで導かれた粉塵等の固形物が排水と共に排水ポンプ34pによって定期的に排出される。ここで、排水ポンプ34pは、通常、一日に約20分程度駆動される。
【0022】
このように、本実施形態に係る脱臭設備1によると、第二水槽34に溜められた排水を圧送ポンプ44でスプレー42に圧送し、そのスプレー42により悪臭ガスに吹付ける。このため、脱臭槽10の排水により悪臭ガスの除塵を行うことができる。このため、除塵用に水道水等の清水を使用しなくても良くなり、水の有効利用を図ることができる。
【0023】
また、排水槽30は密閉容器状に形成され、その排水槽30の第二水槽34内で悪臭ガスに排水を吹付ける構造のため、スプレーされた排水とその排水により落された粉塵が外部に漏れず、そのまま第二水槽34内に落される。このため、除塵器のハウジングを特別に設ける必要がなくなり、設備費が低減する。さらに、第一水槽32には悪臭ガスの粉塵が入り込まないため、第一水槽32の排水を脱臭槽10の散水装置16において使用できる。
【0024】
また、脱臭槽10からの排水を受ける第一水槽32と、その第一水槽32から溢れた排水を貯留する第二水槽34とによって排水槽30を形成し、第二水槽34の水をスプレー用に使用する構造のため、比較的きれいな排水を使用できる分だけスプレーの目詰まりを抑制できる。
【0025】
なお、本実施形態においては、広幅開口33の上部に一個のスプレー42を配置する例を示したが、広幅開口33の面積に応じて複数のスプレー42を配置するようにしても良い。さらに、広幅開口33を上方と側方とから囲むように、スプレー42を配置しても良い。また、スプレー42の給水配管46に水道水等の配管を接続して、定期的にスプレー42及び給水配管46の洗浄を行えるようにしても良い。
【0026】
また、本実施形態では、広幅開口33を四個形成する例を示したが、広幅開口33の形成個数は排水槽30の大きさに応じて適宜変更可能である。
また、広幅開口33を悪臭ガスの通路及び排水の通路と兼用する例を示したが、両通路を分けることも可能である。
【0027】
また、排水槽30を第一水槽32と第二水槽34とに分ける例を示したが、排水槽30を例えば三分割して、第三水槽にスプレーを設置し、第二水槽の排水を脱臭槽10の散水装置16に使用しても良い。これによって、比較的きれいな排水を脱臭槽10の散水装置16に供給することができる。
また、本実施形態では、U字溝を伏せて散気配管12を形成する例を示したが、散気配管12をパイプにより形成し、そのパイプの側壁に複数の細孔を設ける方式でも良い。また、脱臭材は種々の構造のものを使用することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によると、脱臭材の排水により悪臭ガスの除塵を行うことができるため、除塵用に水道水等の清水を使用しなくても良くなり、水の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る脱臭設備のスプレー部分の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る脱臭設備の全体縦断面図である。
【図3】図2のIIIA- IIIA矢視図(A図)及び図2のIIIB- IIIB矢視図(B図)である。
【図4】脱臭槽の床面部分を表す斜視図である。
【図5】従来の脱臭設備を表す模式図である。
【符号の説明】
14 下側脱臭材層(脱臭材)
15 上側脱臭材層(脱臭材)
20 送風機
30 排水槽
32 第一水槽
33 広幅開口
34 第二水槽
34b 底面
34p 排水ポンプ
42 スプレー(除塵手段)
44 圧送ポンプ

Claims (2)

  1. 脱臭材が設けられた脱臭槽と、前記脱臭槽に脱臭前の悪臭ガスを導く通路と、前記脱臭槽から排出された排水を貯留する排水槽と、前記排水槽に貯留されている排水を脱臭前の悪臭ガスに吹付けて除塵する除塵手段とを備える脱臭設備であって、
    前記排水槽は、密閉容器状に形成されて、前記脱臭槽から排出された排水を貯留する第一水槽と、同じく密閉容器状に形成されて、前記第一水槽から溢れた排水を貯留する第二水槽とからなり、
    前記第一水槽の上部空間と第二水槽の上部空間とは広幅開口を介して連通しており、その第一水槽の上部空間と前記第二水槽の上部空間と前記広幅開口とが前記脱臭槽に脱臭前の悪臭ガスを導く前記通路を構成しており、
    前記除塵手段は、前記第二水槽に貯留された排水を圧送ポンプで汲み上げ、その排水をスプレーにより、前記広幅開口を通過する前記悪臭ガスに吹付けられるように構成されていることを特徴とする脱臭設備。
  2. 請求項1に記載された脱臭設備であって、
    前記第一水槽に貯留された排水は前記広幅開口から第二水槽に供給されることを特徴とする脱臭設備。
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