JP4799299B2 - ソリッドワイヤ - Google Patents

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Description

本発明はソリッドワイヤに関し、特に高電流での溶接作業時に溶滴の移行性に優れ、スパッタ発生量が少ないガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤに関する。
従来より、ガスシールドアーク溶接用のワイヤとして、主に表面に銅メッキが施されているものが使用されている。ワイヤ表面に銅メッキを施すことによりワイヤ通電性を良好にすることできるが、ワイヤ送給系において銅くずが発生し、ワイヤ送給を困難にするという問題点がある。また、COをシールドガスとして使用し、比較的高い電流で溶接する場合には、表面に銅メッキが施されているワイヤのうち特にJIS Z3312のYGW11を使用する場合、ワイヤの溶滴の移行が不安定になり、溶接中のスパッタ発生量が増大するという問題点がある。
この問題を解決すべく、表面に銅メッキが施されていないワイヤにおいて、例えば以下に示す技術が開示されている。
例えば、特許文献1及び2には、ワイヤの送給性及び耐錆性を良好にするために、ワイヤ表面に粉末の硫黄及びグラファイト等の混合物、フッ素系の潤滑剤並びにその他の防錆油等を被着させたワイヤが開示されている。
また、特許文献3に開示された技術は、ワイヤ表面に浸炭層を設け、ワイヤの表面硬さを上昇させることによってワイヤの摺動性を向上させ、また、この浸炭層に亀裂を設け、この亀裂に固定潤滑剤又は液体潤滑油を保持させることより、ワイヤ送給性を更に向上させるというものである。
特許文献4に開示された技術は、ワイヤ表面に遊離Cを被着させ、溶接の際の溶滴の表面張力の低下を抑止することによってスパッタ発生量を低減させるというものである。
特公昭59−13956号公報 特公昭59−13957号公報 特開平7−40081号公報 特開2000−141080号公報
しかしながら、上述の従来技術には以下のような問題点がある。特許文献1及び2に開示された技術によるワイヤを使用しても、COガスをシールドガスとして使用した高電流溶接時におけるスパッタ発生量を低減することはできない。
また、特許文献3に開示された技術は、浸炭処理に伴いワイヤの表面に付加する可能性の高い酸素の検討がなされていない。ワイヤの表面が浸炭されるに伴いワイヤ表層における酸素濃度が高くなると、結果的に溶滴の表面張力が低下することから、溶滴がふらつき、充分にスパッタ発生量を低減させることはできないという問題点がある。
また、特許文献4に開示された技術は、ワイヤ表面にCを被着させているだけであるため、溶接の際に溶滴の表面張力低下を抑止させ、スパッタ発生量を低減させるために充分なCの量を得ることができないという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、COガスをシールドガスとして使用し、高い電流でガスシールドアーク溶接を行う際に、溶滴移行を安定させ、スパッタ発生量を低減させることが可能なソリッドワイヤを提供することを目的とする。
本発明に係るソリッドワイヤは、表面にCが0.005乃至0.10質量%の浸炭層を有し、この浸炭層のOを0.010質量%未満に規制し、前記浸炭層を除くワイヤ内部は、C;0.005乃至0.150質量%、Si;0.4乃至1.2質量%、Mn;1.0乃至2.2質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする。
本発明に係る他のソリッドワイヤは、表面にCが0.005乃至0.05質量%の浸炭層を有し、この浸炭層のOを0.005質量%未満に規制し、前記浸炭層を除くワイヤ内部は、C;0.01乃至0.06質量%、Si;0.5乃至1.0質量%、Mn;1.4乃至2.0質量%、Ti;0.10乃至0.30質量%、S;0.001乃至0.030質量%、O;0.001乃至0.030質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする。
本発明によれば、COガスをシールドガスとして使用し、高い電流でガスシールドアーク溶接を行う際においても溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタ発生量を低減させることができる。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。本発明に係るソリッドワイヤは、中間伸線後の線材を配置した炉内の雰囲気を1Torr以下にし、炉内の温度を上昇させ、炉内に浸炭性ガスを直接添加した後、浸炭焼入れ処理を行い、この線材を最終伸線することによって形成される。線材に浸炭させる温度及び時間については、種々実験を通し、650乃至900℃の範囲の温度において10秒乃至10分間が、この浸炭焼入れ処理に伴うCの表面濃化及びこの後の伸線を考慮した場合に適正であることが分かった。図1は中間伸線後に浸炭焼入れ処理を行った線材において、線材の長手方向に直交する断面(横断面)を電子線マイクロアナライザー(EPMA)によってマッピング観察した成分マップ、図2は線材をEPMAによって線分析を行った測定条件を示す模式図、図3は図2に示す測定条件で線材をEPMAによって線分析を行った測定結果の一例を示す図である。
上述の浸炭焼入れ処理によって、図1に示すような、表面に数μm乃至数十μmの厚さの低酸素濃度の浸炭層を有する線材を得ることができる。この線材に対し、図2に示すように、EPMAによって線材の中心部より線分析を行い、Fe及びOの特性X線を連続的に検出することにより、各特性X線強度を得ることができる。ここで、線材の中心部におけるCの特性X線強度の1.5倍の特性X線強度を検出した部分を浸炭層とみなす。上述の、表面に数μm乃至数十μmの厚さの低酸素濃度の浸炭層を有する線材を最終伸線することによって本発明に係るソリッドワイヤが形成される。
先ず、本発明の第1実施形態に係るソリッドワイヤ(Fe−C−Si−Mn系ワイヤ)について説明する。そして、先ず、この本実施形態に係るソリッドワイヤにおけるワイヤの表面に形成される浸炭層のC及びOの組成限定理由について説明する。
「C:0.005乃至0.100質量%」
Cは溶滴の表面張力を適切に保持させることに効果的である。特にCOガスをシールドガスとして使用してガスシールドアーク溶接を行う場合、溶接アークによりCOガスが解離され、溶滴近傍の雰囲気はCO、CO、Oが混在した状態になる。このとき、ワイヤの表面に銅メッキが施されていれば、溶滴が酸素を吸収することを阻害することから、溶滴の表面張力の低下が避けられる。ワイヤの表面に銅メッキを施していない場合には、この溶滴へ酸素侵入を阻止すべく、ワイヤの表面に、酸素の含有量を規制し、可能であれば酸素を含有しない浸炭層を有することが有効である。この浸炭層においてC含有量が0.005質量%以下であると、ワイヤの表面に対し、このCの分布の均一性が劣り、C含有量が0.100%を超えると溶接金属としての溶接性の劣化が激しい。従って、浸炭層のC含有量は0.005乃至0.100質量%とする。
「O:0.010質量%未満」
上述の浸炭層におけるCの作用効果と同様に、Oの含有量を0.010質量%未満に規制することは溶滴の表面張力を適正化させるのに効果的である。特に、浸炭層におけるOは、溶滴の表面張力に対する影響が、溶接アークによりCOガスが解離されることによるOの発生及び溶滴へのOの侵入に対する影響よりも大きい。O含有量が0.010質量%を超えると、溶滴の表面張力低下が激しく、スパッタ発生の原因になる。従って、浸炭層のO含有量は0.010質量%未満に規制する。
次に、本実施形態に係るソリッドワイヤ(Fe−C−Si−Mn系ワイヤ)において、表面の浸炭層を除くワイヤ内部の成分添加理由及びその組成限定理由について説明する。
「C:0.005乃至0.150質量%」
Cは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のC含有量が0.005質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のC含有量が0.150%を超えると、溶滴が粗大化することによりスパッタ発生量が増加する。また、線材の強度が高くなってワイヤ製造時の伸線性が劣化する。従って、ワイヤ内部のC含有量は0.005乃至0.150質量%とする。
「Si:0.4乃至1.2質量%」
Siは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のSi含有量が0.4質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のSi含有量が1.2質量%を超えると、溶滴が粗大化することによりスパッタの発生量が増加する。また、線材の強度が高くなってワイヤ製造時の伸線性が劣化する。従って、ワイヤ内部のSi含有量は0.4乃至1.2質量%とする。
「Mn:1.0乃至2.2質量%」
Mnは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のMn含有量が1.0質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のMn含有量が2.2質量%を超えると、溶滴が粗大化することによりスパッタの発生量が増加する。また、線材の強度が高くなってワイヤ製造時の伸線性が劣化する。従って、ワイヤ内部のMn含有量は1.0乃至2.2質量%とする。
本実施形態においては、電子線マイクロアナライザーによってワイヤの横断面をマッピング観察し、ワイヤの表面に形成された浸炭層の均一性を確認した。
次に、本発明の第2実施形態に係るソリッドワイヤ(Fe−C−Si−Mn−Ti−S−O系ワイヤ)について説明する。先ず、この本実施形態に係るソリッドワイヤの表面に形成される浸炭層のC及びOの組成限定理由について説明する。
「C:0.005乃至0.05質量%」
Cは溶滴の表面張力を適切に保持させることに効果的である。特にCOガスをシールドガスとして使用してガスシールドアーク溶接を行う場合、溶接アークによりCOガスが解離され、溶滴近傍の雰囲気はCO、CO、Oが混在した状態になる。このとき、ワイヤの表面に銅メッキが施されていれば、溶滴が酸素を吸収することを阻害することから、溶滴の表面張力の低下が避けられる。ワイヤの表面に銅メッキを施していない場合には、この溶滴へ酸素侵入を阻止すべく、ワイヤの表面に、酸素の含有量を規制し、可能であれば酸素を含有しない浸炭層を有することが有効である。この浸炭層においてC含有量が0.005質量%以下であると、ワイヤの表面に対し、このCの分布の均一性が劣り、C含有量が0.05%を超えると溶接金属としての溶接性の劣化が激しい。従って、浸炭層のC含有量は0.005乃至0.05質量%とする。
「O:0.005質量%未満」
上述の浸炭層におけるCの作用効果と同様に、Oの含有量を0.005質量%未満に規制することは溶滴の表面張力を適正化させるのに効果的である。特に、浸炭層におけるOは、溶滴の表面張力に対する影響が、溶接アークによりCOガスが解離されることによるOの発生及び溶滴へのOの侵入に対する影響よりも大きい。O含有量が0.005質量%を超えると、溶滴の表面張力低下が激しく、スパッタ発生の原因になる。従って、浸炭層のO含有量は0.005質量%未満に規制する。
次に、本実施形態に係るソリッドワイヤ(Fe−C−Si−Mn−Ti−S−O系ワイヤ)において、表面の浸炭層を除くワイヤ内部の成分添加理由及びその組成限定理由について説明する。
「C:0.01乃至0.06質量%」
Cは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のC含有量が0.01質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のC含有量が0.06%を超えると、溶滴が粗大化することによりスパッタ発生量が増加する。また、線材の強度が高くなってワイヤ製造時の伸線性が劣化する。従って、ワイヤ内部のC含有量は0.01乃至0.06質量%とする。
「Si:0.5乃至1.0質量%」
Siは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のSi含有量が0.5質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のSi含有量が1.0質量%を超えると、溶滴が粗大化することによりスパッタの発生量が増加する。また、線材の強度が高くなってワイヤ製造時の伸線性が劣化する。従って、ワイヤ内部のSi含有量は0.5乃至1.0質量%とする。
「Mn:1.4乃至2.0質量%」
Mnは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のMn含有量が1.4質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のMn含有量が2.0質量%を超えると、溶滴が粗大化することによりスパッタの発生量が増加する。また、線材の強度が高くなってワイヤ製造時の伸線性が劣化する。従って、ワイヤ内部のMn含有量は1.4乃至2.0質量%とする。
「Ti:0.10乃至0.30質量%」
Tiは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のTi含有量が0.10質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のTi含有量が0.30質量%を超えると、スラグ発生量が過多となって多層盛り溶接の際の溶接性等が劣化する。従って、ワイヤ内部のTi含有量は0.10乃至0.30質量%とする。
「S:0.001乃至0.03質量%」
Sは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のS含有量が0.001質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のS含有量が0.03質量%を超えると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が著しく増加する。従って、ワイヤ内部のS含有量は0.001乃至0.03質量%とする。
「O:0.001乃至0.03質量%」
Oは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のO含有量が0.001質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のO含有量が0.03質量%を超えると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。従って、ワイヤ内部のO含有量は0.001乃至0.03質量%とする。
本実施形態においても、電子線マイクロアナライザーによってワイヤの横断面をマッピング観察し、ワイヤの表面に形成された浸炭層の均一性を確認した。
以下、本発明の実施例の効果について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先ず、本発明の請求項1の実施例(第1実施例)として、下記表1に示す溶接条件にて、本発明の第1実施形態に係るソリッドワイヤ(Fe−C−Si−Mn系ワイヤ)及び比較例のソリッドワイヤを使用してガスシールドアーク溶接を実施し、夫々のスパッタ発生量について評価を行った。
Figure 0004799299
ワイヤの表面に形成される浸炭層のO含有量については、浸炭処理時の真空度により調整し、また、C含有量については浸炭炉に注入する添加ガス量により調整を行った。
ワイヤの表面に形成される浸炭層におけるC含有量及びO含有量については、浸炭処理後の線材のC及含有量及びO含有量から浸炭処理前の線材のC含有量及びO含有量を差し引いた量とした。
スパッタ発生量の評価方法としては、上記表1に示す溶接条件にて各実施例及び各比較例のソリッドワイヤを使用してガスシールドアーク溶接を1分間実施した後、溶接母材に被着した0.5mmφ以上のスパッタ総数をカウントし、20個以下を◎、40個以上を×とした。下記表2にこれらの評価結果を示す。
Figure 0004799299
実施例1乃至9は、ワイヤ内部の成分及び組成が適切な範囲であると共に、ワイヤの表面に形成される浸炭層のC及びOの組成も適切な範囲であるため、スパッタ発生量が低減され、良好な特性を有するワイヤを得ることができた。
一方、比較例1においては、浸炭層のC含有量が0.1質量%を超えているため、溶接性に劣り、実用できるものではなかった。また、比較例2においては、浸炭層のC含有量が0.005質量%未満であるため、溶接の際に溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加した。また、比較例3においては、浸炭層のO含有量が0.010質量%を超えているため、溶接の際に溶滴の表面張力が激しく低下し、スパッタ発生量が増加した。また、比較例4においては、ワイヤ内部のC含有量が0.15質量%を超えているため、溶接の際に溶滴が粗大化し、スパッタ発生量が増加した。
次に、本発明の請求項2の実施例(第2実施例)として、上記表1に示す溶接条件にて、本発明の第2実施形態に係るソリッドワイヤ(Fe−C−Si−Mn−Ti−S−O系ワイヤ)及び比較例のソリッドワイヤを使用してガスシールドアーク溶接を実施し、夫々のスパッタ発生量について評価を行った。
ワイヤの表面に形成される浸炭層のO含有量については、浸炭処理時の真空度により調整し、また、C含有量については浸炭炉に注入する添加ガス量により調整を行った。
ワイヤの表面に形成される浸炭層におけるC含有量及びO含有量については、浸炭処理後の線材のC及含有量及びO含有量から浸炭処理前の線材のC含有量及びO含有量を差し引いた量とした。
スパッタ発生量の評価方法としては、上記表1に示す溶接条件にて各実施例及び各比較例のソリッドワイヤを使用してガスシールドアーク溶接を1分間実施した後、溶接母材に被着した0.5mmφ以上のスパッタ総数をカウントし、20個以下を◎、40個以上を×とした。下記表3にこれらの評価結果を示す。
Figure 0004799299
実施例10乃至13は、ワイヤ内部の成分及び組成が適切な範囲であると共に、ワイヤの表面に形成される浸炭層のC及びOの組成も適切な範囲であるため、スパッタ発生量が著しく低減され、良好な特性を有するワイヤを得ることができた。
一方、比較例5においては、ワイヤ内部のC含有量が0.005質量%未満で且つO含有量が0.03%を超えており、また浸炭層のO含有量が0.010質量%を超えているため、溶接の際に溶滴が安定せず、スパッタ発生量が増加した。また、比較例6においては、ワイヤ内部のC含有量が0.06質量%を超えており、また、Ti含有量が0.10質量%未満であるため、スパッタ発生量が増加した。また、比較例7乃至9においても、ワイヤ内部の成分の一部が組成の上限値を超えていることにより、溶接の際に溶滴が粗大化することにより、スパッタ発生量が増加した。また、比較例10においては、ワイヤ内部のTi含有量が0.30質量%を超え、過剰に添加されているため、溶接の際に発生するスラグ量が過多となり、溶接性に劣り、実用できるものではなかった。また、比較例11乃至15においては、浸炭層の成分の一部が適切な組成の範囲内にないことより、溶接の際の溶滴の不安定性を助長させることになった。
本発明によれば、ワイヤの表面にC含有量が適切な範囲に調整され、O含有量が適切に規制された浸炭層を形成し、またワイヤ内部の成分及び組成を適切な範囲に調整することによって、COガスをシールドガスとして使用し、高い電流でガスシールドアーク溶接を行う際においても溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタ発生量を低減させることができた。
中間伸線後に浸炭焼入れ処理を行った線材の横断面を電子線マイクロアナライザーによってマッピング観察した成分マップである。 線材をEPMAによって線分析を行った測定条件を示す模式図である。 図2に示す測定条件で線材をEPMAによって線分析を行った測定結果の一例を示す図である。

Claims (2)

  1. 表面にCが0.005乃至0.10質量%の浸炭層を有し、この浸炭層のOを0.010質量%未満に規制し、前記浸炭層を除くワイヤ内部は、C;0.005乃至0.150質量%、Si;0.4乃至1.2質量%、Mn;1.0乃至2.2質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするソリッドワイヤ。
  2. 表面にCが0.005乃至0.05質量%の浸炭層を有し、この浸炭層のOを0.005質量%未満に規制し、前記浸炭層を除くワイヤ内部は、C;0.01乃至0.06質量%、Si;0.5乃至1.0質量%、Mn;1.4乃至2.0質量%、Ti;0.10乃至0.30質量%、S;0.001乃至0.030質量%、O;0.001乃至0.030質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするソリッドワイヤ。

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