JP4799299B2 - ソリッドワイヤ - Google Patents
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Description
Cは溶滴の表面張力を適切に保持させることに効果的である。特にCO2ガスをシールドガスとして使用してガスシールドアーク溶接を行う場合、溶接アークによりCO2ガスが解離され、溶滴近傍の雰囲気はCO2、CO、Oが混在した状態になる。このとき、ワイヤの表面に銅メッキが施されていれば、溶滴が酸素を吸収することを阻害することから、溶滴の表面張力の低下が避けられる。ワイヤの表面に銅メッキを施していない場合には、この溶滴へ酸素侵入を阻止すべく、ワイヤの表面に、酸素の含有量を規制し、可能であれば酸素を含有しない浸炭層を有することが有効である。この浸炭層においてC含有量が0.005質量%以下であると、ワイヤの表面に対し、このCの分布の均一性が劣り、C含有量が0.100%を超えると溶接金属としての溶接性の劣化が激しい。従って、浸炭層のC含有量は0.005乃至0.100質量%とする。
上述の浸炭層におけるCの作用効果と同様に、Oの含有量を0.010質量%未満に規制することは溶滴の表面張力を適正化させるのに効果的である。特に、浸炭層におけるOは、溶滴の表面張力に対する影響が、溶接アークによりCO2ガスが解離されることによるOの発生及び溶滴へのOの侵入に対する影響よりも大きい。O含有量が0.010質量%を超えると、溶滴の表面張力低下が激しく、スパッタ発生の原因になる。従って、浸炭層のO含有量は0.010質量%未満に規制する。
Cは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のC含有量が0.005質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のC含有量が0.150%を超えると、溶滴が粗大化することによりスパッタ発生量が増加する。また、線材の強度が高くなってワイヤ製造時の伸線性が劣化する。従って、ワイヤ内部のC含有量は0.005乃至0.150質量%とする。
Siは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のSi含有量が0.4質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のSi含有量が1.2質量%を超えると、溶滴が粗大化することによりスパッタの発生量が増加する。また、線材の強度が高くなってワイヤ製造時の伸線性が劣化する。従って、ワイヤ内部のSi含有量は0.4乃至1.2質量%とする。
Mnは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のMn含有量が1.0質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のMn含有量が2.2質量%を超えると、溶滴が粗大化することによりスパッタの発生量が増加する。また、線材の強度が高くなってワイヤ製造時の伸線性が劣化する。従って、ワイヤ内部のMn含有量は1.0乃至2.2質量%とする。
Cは溶滴の表面張力を適切に保持させることに効果的である。特にCO2ガスをシールドガスとして使用してガスシールドアーク溶接を行う場合、溶接アークによりCO2ガスが解離され、溶滴近傍の雰囲気はCO2、CO、Oが混在した状態になる。このとき、ワイヤの表面に銅メッキが施されていれば、溶滴が酸素を吸収することを阻害することから、溶滴の表面張力の低下が避けられる。ワイヤの表面に銅メッキを施していない場合には、この溶滴へ酸素侵入を阻止すべく、ワイヤの表面に、酸素の含有量を規制し、可能であれば酸素を含有しない浸炭層を有することが有効である。この浸炭層においてC含有量が0.005質量%以下であると、ワイヤの表面に対し、このCの分布の均一性が劣り、C含有量が0.05%を超えると溶接金属としての溶接性の劣化が激しい。従って、浸炭層のC含有量は0.005乃至0.05質量%とする。
上述の浸炭層におけるCの作用効果と同様に、Oの含有量を0.005質量%未満に規制することは溶滴の表面張力を適正化させるのに効果的である。特に、浸炭層におけるOは、溶滴の表面張力に対する影響が、溶接アークによりCO2ガスが解離されることによるOの発生及び溶滴へのOの侵入に対する影響よりも大きい。O含有量が0.005質量%を超えると、溶滴の表面張力低下が激しく、スパッタ発生の原因になる。従って、浸炭層のO含有量は0.005質量%未満に規制する。
Cは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のC含有量が0.01質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のC含有量が0.06%を超えると、溶滴が粗大化することによりスパッタ発生量が増加する。また、線材の強度が高くなってワイヤ製造時の伸線性が劣化する。従って、ワイヤ内部のC含有量は0.01乃至0.06質量%とする。
Siは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のSi含有量が0.5質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のSi含有量が1.0質量%を超えると、溶滴が粗大化することによりスパッタの発生量が増加する。また、線材の強度が高くなってワイヤ製造時の伸線性が劣化する。従って、ワイヤ内部のSi含有量は0.5乃至1.0質量%とする。
Mnは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のMn含有量が1.4質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のMn含有量が2.0質量%を超えると、溶滴が粗大化することによりスパッタの発生量が増加する。また、線材の強度が高くなってワイヤ製造時の伸線性が劣化する。従って、ワイヤ内部のMn含有量は1.4乃至2.0質量%とする。
Tiは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のTi含有量が0.10質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のTi含有量が0.30質量%を超えると、スラグ発生量が過多となって多層盛り溶接の際の溶接性等が劣化する。従って、ワイヤ内部のTi含有量は0.10乃至0.30質量%とする。
Sは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のS含有量が0.001質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のS含有量が0.03質量%を超えると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が著しく増加する。従って、ワイヤ内部のS含有量は0.001乃至0.03質量%とする。
Oは溶滴の表面張力を適切に保持し、スパッタを低減させる効果を有する元素である。ワイヤ内部のO含有量が0.001質量%未満であると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。一方、ワイヤ内部のO含有量が0.03質量%を超えると、溶滴の表面張力が低下して溶滴のふらつきが生じ、スパッタ発生量が増加する。従って、ワイヤ内部のO含有量は0.001乃至0.03質量%とする。
Claims (2)
- 表面にCが0.005乃至0.10質量%の浸炭層を有し、この浸炭層のOを0.010質量%未満に規制し、前記浸炭層を除くワイヤ内部は、C;0.005乃至0.150質量%、Si;0.4乃至1.2質量%、Mn;1.0乃至2.2質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするソリッドワイヤ。
- 表面にCが0.005乃至0.05質量%の浸炭層を有し、この浸炭層のOを0.005質量%未満に規制し、前記浸炭層を除くワイヤ内部は、C;0.01乃至0.06質量%、Si;0.5乃至1.0質量%、Mn;1.4乃至2.0質量%、Ti;0.10乃至0.30質量%、S;0.001乃至0.030質量%、O;0.001乃至0.030質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするソリッドワイヤ。
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