JP2015140442A - 耐水素誘起割れ性に優れた鋼材およびその製造方法 - Google Patents

耐水素誘起割れ性に優れた鋼材およびその製造方法 Download PDF

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裕瑛 二井
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潤一郎 衣笠
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Abstract

【課題】硫化水素を多く含む原油や天然ガス等の輸送用ラインパイプ等の様に、厳しい湿潤硫化水素環境で使用される場合であっても、優れた耐水素誘起割れ性(耐HIC性)を示す鋼材を提供する。
【解決手段】素地鋼材が、C:0.01〜0.20%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.70〜2.50%、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.003%以下(0%を含まない)、Al:0.005〜0.10%、O:0.01%以下(0%を含まない)、およびCuとCrの少なくともいずれかが0.05%以上、かつCuは1.0%以下、Crは1.0%以下を満たし、残部が鉄および不可避不純物であり、かつ、該素地鋼材の表面の90%以上が、該素地鋼材の(Cu+Cr)量の1.1倍以上であってかつ0.5%以上の(Cu+Cr)を含む層で覆われていることを特徴とする鋼材。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐水素誘起割れ性に優れた鋼材およびその製造方法に関する。特には、硫化水素(HS)が多く含まれる湿潤硫化水素環境下において、良好な耐HIC(Hydrogen Induced Cracking、水素誘起割れ)性を発揮する鋼材とその製造方法に関する。
硫化水素(HS)が多く含まれる湿潤硫化水素環境下で使用される機器、例えば、原油や天然ガス等の輸送用ラインパイプ、石油精製装置(水素化精製装置、水素化脱硫装置、接触分解装置など)では、水素誘起割れ(HIC)の発生が懸念される。このHICは、原油や天然ガスに含まれる硫化水素を含んだ水分と鋼材との電気化学的な反応によって発生した水素が鋼中に侵入し、鋼中に存在する介在物(例えばMnS等の硫化物、Al23等の酸化物、Ti(CN)やNb(CN)等の炭窒化物)周りや介在物と鋼の界面に存在する欠陥等に集積してガス化し、発生した内圧が鋼材の降伏強度を超えた場合に塑性変形が生じ、割れや膨れが発生する現象である。非特許文献1に紹介されているように、1950年代にHICの事例が顕在化し始め、1970年代に発生した海底ラインパイプの破損事故による大量の原油流出事故をきっかけに、材料面、使用環境面から検討がなされてきた。
上記材料面から上記耐HIC性向上が検討された技術として、表面処理、鋼材の材料のそれぞれの観点から提案された技術がある。
まず、表面処理による水素侵入抑制の観点からは、鋼材に侵入する水素が、硫化水素を含む水分と鋼の電気化学反応によって発生することに鑑みて、上記硫化水素を含む水分と鋼との接触防止を図る技術が提案されている。
その具体的な例として、例えば特許文献1には、鋼材表面に体積率で50%以上のマグネタイトを含む酸化物層を形成する方法が提案されている。しかしながら、本方法では水張試験で生じる水酸化鉄を150℃程度の水蒸気で還元してマグネタイトを含む酸化物層を形成させるため、得られる酸化物層は、鋼材が一部露出するほど不均一であって粗な構造、すなわち環境遮蔽性の不十分なものであり、昨今要求されるような厳しいサワー環境(硫化水素濃度の高い湿潤硫化水素環境、pH3以下)では十分な耐HIC性が発揮され難いと思われる。
また、鋼材表面にエポキシ系樹脂を塗布する方法が提案されている。例えば特許文献2には、エポキシ樹脂と変性ポリアミンの反応物からなる防食塗料を鋼材表面に塗布することにより、鋼材への水素侵入を抑制する方法が示されている。
重防食塗装では、通常、数百〜数千μmの塗膜を鋼材表面に形成させるが、上記特許文献2の様な、スプレー塗布等に代表される通常の塗装方法では、塗膜欠陥を完全に抑制することは困難である。塗膜に欠陥が存在すると、この欠陥を通して硫化水素を含む水分が鋼材表面に到達し、該到達部分で腐食反応が生じ、そこで発生した水素に起因するHICが懸念される。また、長期間の使用により塗膜(樹脂)が劣化し、この劣化した塗膜中を、硫化水素を含む水分が浸透することによって、上述した様な腐食反応とこの反応で発生した水素に起因するHICが懸念される。
更には、特許文献3のように鋼材表面にCu、Niのめっき層を形成させる方法もある。この特許文献3では、水素侵入を抑制するために鋼材表面にCuめっき層を形成し、その上にNiめっき層を形成させた後、更に合成樹脂層を形成させる技術が提案されている。しかしながら、CuやNiのめっき層にクラックが生じたり、剥離するといった問題がある。また、多量に使用されるラインパイプ用鋼の全面に本技術を適用した場合、非常に高コストとなり現実性が低い。
特許文献4には、流れさび抑制のためにNiを表面に濃化させた耐候性鋼が開示されている。しかしながら、Niの効果は大気中で保護性のさびの形成を促進するのが狙いであり、湿潤硫化水素環境下のような鉄酸化物が生成しない環境での水素の侵入を抑制する目的のものではない。
次に、鋼材の材料面から検討した技術として、亀裂や割れの伝播経路となるMnやPの偏析を抑制した技術が挙げられる。例えば特許文献5には、組織制御(特にはMnとPの偏析を抑制)して鋼材中の水素拡散を抑えるべく、ラインパイプ用鋼板の製造工程で加熱・圧延・冷却条件を制御することが示されている。しかしながら、組織制御では特定の強度を持った鋼板に限定され、また工程も増えるために不利である。
また特許文献6には、Pの偏析を抑制して優れた耐水素誘起割れ性を確保するため、鋼材にLaを添加することが示されている。しかしながら、Laは希土類元素で高価であるためにコスト上昇を招くといった問題がある。
特開昭62−238378号公報 特開平1−172466号公報 特開昭63−161190号公報 特開2005−281840号公報 特開2006−111928号公報 特開昭60−228655号公報
松山晋作,「遅れ破壊」,日刊工業新聞社,1989年8月31日発刊
上記の通り、種々の方法が提案されているが、近年の原油や天然ガスの掘削環境は硫化水素を多く含む厳しい環境である場合が増加している。上述した通り、表面処理や材料の観点から種々の鋼材が提案されているが、該鋼材が、上記の厳しい湿潤硫化水素環境下でも耐HIC性に優れているとは限らない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、硫化水素を多く含む原油や天然ガス等の輸送用ラインパイプ、圧力容器等の様に、厳しいサワー環境で使用される場合であっても、優れた耐HIC性(耐水素誘起割れ性)を示す鋼材を比較的安価に製造することのできる方法を確立することにある。
上記課題を解決し得た本発明の鋼材は、素地鋼材が、
C:0.01〜0.20%(質量%の意味、化学成分において以下同じ)、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:0.70〜2.50%、
P:0.03%以下(0%を含まない)、
S:0.003%以下(0%を含まない)、
Al:0.005〜0.10%、
O:0.01%以下(0%を含まない)、および
CuとCrの少なくともいずれかが0.05%以上、かつCuは1.0%以下、Crは1.0%以下を満たし、残部が鉄および不可避不純物であり、かつ、
該素地鋼材の表面の90%以上が、該素地鋼材の(Cu+Cr)量(単位:質量%、以下同じ)の1.1倍以上であってかつ0.5%以上の(Cu+Cr)を含む層(以下「表面濃化層」という)で覆われているところに特徴を有する。
前記素地鋼材は、更に他の元素として、
(a)Ca:0.01%以下(0%を含まない)や、
(b)Ni:1.0%以下(0%を含まない)、Mo:0.5%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、およびTi:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上の元素、
(c)Zr、V、Co、REM、Y、MgおよびBよりなる群から選択される1種以上の元素を、それぞれ0.01%以下(0%を含まない)
を含んでいてもよい。
本発明の鋼材は、ラインパイプ用鋼板やラインパイプ用鋼管として用いることができる。
本発明には前記鋼材の製造方法も含まれる。該製造方法は、前記表面濃化層を、前記素地鋼材の表面を酸化させることによって形成するところに特徴を有する。
前記酸化として、酸化性雰囲気にて下記保持温度と下記保持時間を満たす熱処理を行うことが好ましい。
保持温度:750〜1200℃
保持時間:1分以上(但し、素地鋼材のCu量とCr量のどちらもが0.10%未満である場合は15分以上)、かつ前記保持温度が750〜1000℃の場合は300分以下、前記保持温度が1000℃超1200℃以下の場合は100分未満
本発明によれば、素地鋼材の表面のほとんどが規定の表面濃化層で覆われており、かつ鋼材の成分組成も制御されているため、厳しいサワー環境においても、不可避的に発生する水素の侵入が十分抑制されて、耐HIC性が従来鋼よりも飛躍的に優れた鋼材を、従来技術のように希土類元素等を必須とすることなく比較的安価に提供することができる。
本発明者らは、近年の原油や天然ガスの掘削環境が、硫化水素を多く含む厳しい環境であり、該環境ではHIC(水素誘起割れ)が生じ易く、構造物の破壊を招き易いといった事情に鑑みて、上記厳しい環境においても優れた耐HIC性を発揮する鋼材を得るべく、まず、硫化水素環境中での水素誘起割れの発生メカニズムに基づいて、
・鋼材表面での水素発生挙動
・鋼材中への水素侵入挙動
の面から種々の検討を進めた。その結果、鋼材表面での水素発生を抑制することが、鋼材に発生する膨れを抑制して、優れた耐HIC性の確保に有効であることをまず見出した。以下、本発明について、前記「鋼材中への水素発生挙動」に着目して想到した経緯を含め、説明する。
硫化水素環境以外の通常の腐食環境の場合、溶液中に存在する水素イオンが鋼材表面で電子を受け取り吸着水素原子(H+e→Had)となる。そして鋼材表面に吸着した水素原子の大半は、
水素原子どうしの再結合(Had+Had→H2↑);または
水素イオンと水素原子と電子の結合(H+Had+e-→H2↑);
により水素ガスとなる、水素ガス化反応によって鋼材表面から逃散する。
これに対し硫化水素環境では、硫化水素の分解により水素イオンが発生(H2S→H++HS-)し、上記発生した水素イオンが、鋼材表面で電子を受け取り、原子化して吸着(H++e-→Had)し、鋼中に侵入すると考えられている。
また、硫化水素環境の場合は、上記水素ガス化反応が著しく抑制されると言われている。特に、高強度鋼等の水素脆化の評価試験において、酸溶液中で陰極チャージにより鋼中へ水素を導入する際に、水素導入量を増加させる目的で添加される触媒毒(P、As、Sb等の15族元素、SやSe等の16族元素)は、水素原子どうしの再結合(Had+Had→H2↑)を抑制すると言われている。よって、サワー環境におけるHSのSも、上記触媒毒と同じ作用を生じさせると考えられることから、硫化水素環境の場合には、水素原子どうしの再結合反応を生じさせて水素を逃散させることは困難である。
そこで、鋼材表面での水素発生挙動の抑制、具体的には耐食性を向上させることによる腐食反応(カソード反応:水素発生反応)の低減に着目し、鋭意研究を行った。
その結果、鋼材に含まれる耐食性を向上させる元素の少なくとも一つ以上の元素を、鋼材表面で濃化させ一定以上の濃度とし表面の大部分を覆う構成とすれば、水素発生反応を低減でき、結果として鋼中への水素侵入量の低減が可能であるとの知見を得た。本発明者らは、前記耐食性を向上させる元素として、CuとCrに着目した。そして、これらの少なくとも一方の元素が鋼材表面に濃化して形成される表面濃化層、具体的には、素地鋼材(母材)の(Cu+Cr)量の1.1倍以上であって、かつ(Cu+Cr)の合計で0.5%以上の(Cu+Cr)を含む層が、素地鋼材の表面の大部分を覆っていればよいことを見出した。尚、上記素地鋼材の(Cu+Cr)と表面濃化層の(Cu+Cr)は、CuとCrの合計量が、上記規定範囲を満たしていればよく、CuとCrのいずれか一方がゼロであってもよい。
上記効果は、素地鋼材の表面に表面濃化層が形成されることによって、サワー環境での表面の浸漬電位が貴化され、素地鋼材(母材)に比べ、水素発生反応を低減できたためと想定される。具体的に、上記表面濃化層の(Cu+Cr)量を素地鋼材の(Cu+Cr)量の1.1倍以上、つまり[表面濃化層の(Cu+Cr)量(質量%)]/[素地鋼材の(Cu+Cr)量(質量%)]で示される倍率を1.1倍以上とすることによって、鋼材内部よりも鋼材表面の電位を貴にできたと考えられる。水素発生の抑制のためには、即ち、電気化学的には、表面濃化層に含まれる(Cu+Cr)の濃度は高い方がよい。よって上記倍率は、好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.6倍以上である。尚、上記倍率の上限は、後述する推奨される製造方法等を考慮すると15倍程度である。
更に、表面濃化層に含まれる(Cu+Cr)量自体が少なすぎても、水素発生反応を十分抑制できない。よって表面濃化層に含まれる(Cu+Cr)量は、0.5%(質量%)以上(好ましくは0.6%以上、より好ましくは1.0%以上)である。なお、上記メカニズムを考慮すると、表面濃化層の(Cu+Cr)量の上限を特に規定する必要はないが、実操業での熱処理における保持温度や保持時間を考慮すると、表面濃化層の(Cu+Cr)量の上限は7.0%程度であることが好ましい。
本発明の鋼材は、素地鋼材の表面の90(面積)%以上(好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、最も好ましくは100%)が、上記表面濃化層で覆われているため、水素発生反応を低減でき、優れた耐HIC性を確保できると考えられる。
本発明において素地鋼板のミクロ組織は特に問わない。該ミクロ組織が、例えばフェライト主体であって、該フェライトにパーライトなどが混ざった組織であっても良いし、ベイナイト主体であってフェライト等が混ざった組織であっても良い。ただし割れ感受性の高い硬質なマルテンサイトはできるだけ含まない方が良い。
次に、本発明で成分組成を規定した理由について以下に述べる。
[成分組成]
〔C:0.01〜0.20%〕
Cは、鋼の強度向上に必要な元素であり、本発明では、C量を0.01%以上とする。好ましくは0.03%以上、より好ましくは0.050%以上である。一方、C量が過剰であると、炭化物の生成が促進されて耐HIC性が低下や溶接性の劣化が生じるため、C量の上限を0.20%とする。C量は、好ましくは0.18%以下、より好ましくは0.10%以下、更に好ましくは0.080%以下である。
〔Si:0.10〜0.50%〕
Siは、鋼の脱酸に必要な元素であり、さらに強度向上元素としても作用する。これらの効果を得るため、本発明ではSi量を0.10%以上とする。Si量は、好ましくは0.15%以上、より好ましくは0.20%以上である。一方、Si量が過剰であると、溶接熱影響部(HAZ)の靭性が低下するため、Si量の上限を0.50%とする。Si量は、好ましくは0.40%以下、より好ましくは0.35%以下である。
〔Mn:0.70〜2.50%〕
Mnは、強度及び靭性を向上させる元素である。該効果を発揮させるため、Mn量は0.70%以上、好ましくは0.80%以上、より好ましくは0.85%以上とする。一方、Mn量が過剰であると、HAZ靭性が低下したり、鋼中のSと結合して耐HIC性を低下させるMnSが増加するため、Mn量の上限を2.50%とする。Mn量は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.25%以下である。
〔P:0.03%以下(0%を含まない)〕
P(リン)は、不可避不純物であり、耐HIC性やHAZ靭性の低下を招く元素である。よってP量は0.03%以下に抑える。P量は、好ましくは0.020%以下、より好ましくは0.015%以下である。尚、Pは少ないほど良いためP量の下限は特に定めないが、製造コストの観点からその下限は0.001%程度となる。
〔S:0.003%以下(0%を含まない)〕
S(硫黄)は、Mnと結合することによって熱間圧延時に圧延方向に延伸するMnSを生成する元素であり、このMnSがHICの原因となって、耐HIC性を低下させる。よって、S量は極力低減するのがよく、S量は0.003%以下に抑える。S量は、好ましくは0.0020%以下、より好ましくは0.0010%以下である。尚、Sは少ないほど良いため下限は特に定めないが、0.0001%未満にすることは製造コストの観点を含めて困難であることから、S量の下限は0.0001%程度となる。
〔Al:0.005〜0.10%〕
Alは、脱酸元素であり、溶鋼中の酸素量を低減させるため、Al量は0.005%以上とする。Al量は、好ましくは0.010%以上、より好ましくは0.020%以上である。しかし、Alが多量に含まれると、鋼中の酸素と結合してHICの起点となるクラスタ状のAlを形成する。よって、その上限を0.10%とする。Al量は、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.040%以下である。
〔O:0.01%以下(0%を含まない)〕
O(酸素)が鋼中に多量に存在すると、HICの起点となるAl等の酸化物が多量に形成するため、その上限を0.01%とする。O量は、好ましくは0.005%以下であり、より好ましくは0.0020%以下である。下限は特に定めないが、実操業上0.0005%程度である。
〔CuとCrの少なくともいずれかを0.05%以上、かつCuは1.0%以下、Crは1.0%以下〕
Cu、Crは、上述の通り(Cu+Cr)を規定量含む表面濃化層の形成に必要な元素である。またこれらの元素は、強度の更なる向上に寄与する元素でもある。このうちCuは、更に靭性向上にも有効であり、またpH5程度の中性に近い環境下では、硫化水素と反応して安定なCuS皮膜を形成することにより、鋼中への水素侵入量低減に寄与する元素でもある。またCrは、低Cでも十分な強度を得るのに有効な元素である。これらの効果を得るには、CuとCrの少なくともいずれかを0.05%以上(より好ましくは0.10%以上、更に好ましくは0.15%以上)とする。一方、Cu量が過剰であると溶接性が低下するため、Cu量の上限は1.0%とする。Cu量は、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.70%以下である。またCr量が過剰である場合も溶接性が低下するため、Cr量の上限は1.0%とする。Cr量は、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.70%以下である。
本発明鋼材の成分組成は上記の通りであり、残部は鉄および不可避不純物である。不可避不純物として、上述したP、S、Oの他にN(窒素)やH(水素)が鋼材の諸特性を害さない程度に含まれていてもよい。上記Hは、造塊時の鋼塊の割れを抑制する観点から少ない方が好ましく、その上限を0.0005%とすることが好ましい。また下限は特に定めないが、実操業上0.0001%程度である。またNが過剰である場合、割れの起点となり耐HIC性を低下させるクラスタ状の窒化物が生成する原因となる。よって、その上限を0.0050%とすることが好ましい。
本発明の鋼材は、前記本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、下記に示す元素を更に含有させて、更なる特性の向上を図ることもできる。
〔Ca:0.01%以下(0%を含まない)〕
Caは、Mnに代わってSと結合し、圧延方向に延伸するMnSの形成を抑制することにより耐HIC性の改善に寄与する元素である。また、鋼材表面に存在するCa酸化物が水に溶解し、OH-を生成することで鋼材表面の酸性度が緩和され、水素発生量の低減に寄与する元素でもある。これらの効果を得るには、Caを0.0001%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.0010%以上、更に好ましくは0.0015%以上である。一方、Ca量が過剰であると、鋼中の酸素と結合して酸化物を形成し、該酸化物の集積により耐HIC性が低下する。よってCa量の上限は0.01%とすることが好ましい。Ca量は、より好ましくは0.005%以下、更に好ましくは0.0040%以下、より更に好ましくは0.0035%以下である。
〔Ni:1.0%以下(0%を含まない)、Mo:0.5%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、およびTi:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上の元素〕
これらの元素は、鋼材の強度をより高めるのに有用な元素である。以下、各元素について説明する。
Niは、強度と共に靭性の向上にも有効な元素である。これらの効果を得るには、Ni量を0.05%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.10%以上である。一方、Ni量が過剰であるとコストが上昇して経済性が低下するため、Ni量の上限は1.0%であることが好ましい。より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.60%以下である。
Mo、NbおよびTiは、炭窒化物を形成し、更なる強度の向上に寄与する。Moは焼入れ性を向上させる効果もある。これらの効果を得るにはMoを0.05%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.10%以上、更に好ましくは0.15%以上である。一方、Mo量が過剰であると、鋼の強度が向上し過ぎて耐HIC性が低下し、またコストの上昇も招くため、その上限を0.5%とすることが好ましい。Mo量は、より好ましくは0.3%以下、更に好ましくは0.20%以下である。
Nbは、炭窒化物の形成による強度向上に有効な元素である。この効果を得るにはNb量を0.001%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.005%以上、更に好ましくは0.010%以上である。一方、Nb含有量が過剰であると、Nbの炭窒化物が集積し易くなり耐HIC性を低下させるため、その上限は0.1%とすることが好ましく、より好ましくは0.08%以下、更に好ましくは0.05%以下である。
Tiは、鋼中のNと結合して窒化物を形成し、また鋼中のCと結合して炭化物を形成することによって、結晶粒の微細化による強度向上に寄与する元素である。Tiは更に脱酸剤としても作用する元素である。これらの効果を得るにはTi量を0.0010%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.005%以上、更に好ましくは0.010%以上である。一方、Ti量が過剰であると、粗大なTiNが生成して耐HIC性や靭性が低下するため、その上限を0.1%とすることが好ましく、より好ましくは0.05%以下、更に好ましくは0.030%以下である。
〔Zr、V、Co、REM、Y、MgおよびBよりなる群から選択される1種以上の元素を、それぞれ0.01%以下(0%を含まない)〕
本発明では、更なる特性の向上のために、Zr、V、Co、REM、Y、MgおよびBよりなる群から選択される1種以上の元素を含有させてもよい。
Zrは窒化物を形成して強度の向上に寄与する元素であり、この効果を得るには、Zr量を0.0001%以上とすることが好ましい。一方、Zr量が過剰であると、靭性の低下が生じたり、粗大な窒化物が生成して耐HIC性が低下するため、その上限を0.01%とすることが好ましい。
Vは、炭化物や窒化物を形成して強度の向上に寄与する元素である。この効果を得るには、V量を0.0001%以上とすることが好ましい。一方、V量が過剰であると靭性が低下するため、その上限を0.01%とすることが好ましい。
Coは、鋼材の耐食性を向上させる元素であり、その効果を得るには、Co量を0.0001%以上とすることが好ましい。一方、Co量が過剰であるとコスト的に不利となるため、その上限を0.01%とすることが好ましい。
REMは、脱酸剤及び脱硫剤として添加される元素であり、その効果を得るには、REM量を0.0001%以上とすることが好ましい。一方、REM量が過剰であると、REMと鋼中の酸素が結合して粗大な酸化物が生成し、耐HIC性が低下したり、母材靭性およびHAZ靭性の低下を招く。よって、その上限を0.01%とすることが好ましい。尚、本発明において上記REMとは、ランタノイド元素(LaからLuまでの15元素)とSc(スカンジウム)を意味する。
Yは、脱酸剤及び脱硫剤として添加される元素であり、また、Ca等と同様にMnに代わりSと結合してYSを形成し、圧延方向に延伸するMnSの形成を抑制することにより耐HIC性の改善に寄与する元素でもある。この効果を得るにはY量を0.0001%以上とすることが好ましい。一方、Y量が過剰であると、Yと鋼中の酸素が結合して粗大な酸化物が生成し、耐HIC性が低下したり、母材靭性およびHAZ靭性の低下を招く。よって、その上限を0.01%とすることが好ましい。
Mgも、脱酸剤及び脱硫剤として添加される元素であり、特に微細な酸化物を形成してHAZ靭性の向上に寄与する元素でもある。さらに鋼材表面に存在するMg酸化物が水に溶解し、OH-を生成することによって鋼材表面の酸性度が緩和され、水素発生量を低減することができる元素でもある。これらの効果を得るには、Mg量を0.0001%以上とすることが好ましい。一方、Mg量が過剰であると、凝集、粗大化した酸化物が生成しやすくなり、耐HIC性の劣化や母材靭性およびHAZ靭性の低下をもたらす。よってMg量の上限を0.01%とすることが好ましい。
Bは、強度向上、および粒界強化に有効な元素であり、これらの効果を得るにはB量を0.0001%以上とすることが好ましい。一方、B量が過剰であると靭性が劣化するため、その上限を0.01%とすることが好ましい。
[製造方法]
本発明の鋼材は、以下の様にして製造することができる。規定の成分組成に調整した鋼を用い、連続鋳造により製造したスラブを、例えば1000〜1200℃程度に加熱保持した後、約750〜950℃の温度(仕上圧延温度)で熱間圧延を行い、次いで任意の冷却速度で室温まで冷却する。必要に応じて更に塑性加工を行った後に、規定のCu、Crを含む表面濃化層を形成するため、素地鋼板の表面(表面濃化層形成前の表面)を酸化させることが挙げられる。下記表面濃化層の割れを防止するため、上記酸化の工程は最終工程であることが好ましい。
素地鋼板の表面に、均一かつ欠陥の少ない緻密な表面濃化層を形成するには、雰囲気中の酸素を鋼材表面に積極的に供給し、鋼材表面のFeを優先的に酸化させるのがよい。上記Feが優先的に酸化されることによって、CuやCrが表面に濃縮しやすく、上記表面濃化層を形成することができる。
そのためには具体的に、次の条件で熱処理することが推奨される。即ち、酸化性雰囲気にて、保持温度:750℃以上、より好ましくは800℃以上、更に好ましくは850℃以上、1200℃以下、より好ましくは1150℃以下、更に好ましくは1100℃以下で、保持時間:1分以上の条件で熱処理する方法があげられる。素地鋼板に含まれるCu量とCr量のどちらもが0.10%未満である場合には、上記保持時間を、保持温度によらず15分以上、より好ましくは20分以上、更に好ましくは30分以上とするのがよい。Cu量とCr量の少なくともいずれかが0.10%以上である場合には、前記保持時間は、10分以上とすることがより好ましく、更に好ましくは30分以上、より更に好ましくは60分以上である。
前記酸化性雰囲気として、大気雰囲気、水蒸気雰囲気、酸素雰囲気、水蒸気と酸素の混合雰囲気等が挙げられる。上記保持温度・保持時間が大きくなるほど表面濃化層が形成され易くなる。しかし保持温度が高すぎると表面濃化層が酸化され、上述した水素発生反応の低減効果が得られにくくなる。また、保持時間が長すぎると生産性を低下させるといったデメリットが生じる。よって、前記保持温度が750〜1000℃の場合は保持時間:300分以下とすることが好ましく、前記保持温度が1000℃超1200℃以下の場合は保持時間:100分未満とするのが好ましい。
尚、本発明において「表面」とはスケールを除いた地鉄表面から100μm程度までの範囲を意味する。また鋼材が鋼板である場合、素地鋼材の表面とは、圧延された表面・裏面だけでなく側面(板厚面)も含まれる。
[用途]
本発明の鋼材は、耐HIC性が特に問題となる厚鋼材、鋼板や鋼管等の種々の形状に適用することができる。本発明の鋼材は、優れた耐HIC性を発揮するため、硫化水素濃度の高い原油や天然ガス等と接する、輸送用ラインパイプや石油精製装置(水素化精製装置、水素化脱硫装置、接触分解装置など)に使用される、例えばパイプライン輸送システム用鋼管(JIS G3476)等に適用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
〔試験材の作製〕
表1に示す化学成分を有する鋼を溶製し、スラブとした後1100〜1200℃に加熱し、次いで熱間圧延(仕上圧延温度は750〜900℃)を行って、板厚40mmとした。前記仕上圧延後、引き続き3℃/sの平均冷却速度で室温まで冷却した。次いで表2に示す各条件で熱処理を行った。表2において、No.Aは熱処理を行わず、No.B〜Lでは酸化性雰囲気(大気雰囲気)にて、表2に示す保持温度、保持時間で加熱して供試材(鋼板)を作製した。そして、得られた鋼板の表面に形成された表面濃化層の評価を、下記の通り行った。また、得られた鋼板からHIC試験片を作成し、下記の耐HIC性の評価を行った。
〔表面濃化層の評価〕
形成された表面濃化層の断面をEPMA(Electron Probe MicroAnalyser)で分析し、(Cu+Cr)量(質量%)の最大値を表面濃化層の(Cu+Cr)量とした。そして、[該表面濃化層の(Cu+Cr)量]/[素地鋼板(素地鋼材)の(Cu+Cr)量](表2および後述する表5では「倍率」と示す)を求めた。また、前記表面濃化層が鋼材表面に占める割合(表2および後述する表5では「表面被覆率」と示す)については、SEMにて倍率500倍で鋼材表面の200μm×250μmの領域を5視野観察し、それぞれの視野にて、前記表面濃化層で被覆されている領域の面積率を測定し、5視野の平均値を求めた。
〔耐HIC性の評価〕
鋼材の耐HIC性の評価は、NACE(National Associationof Corrosion and Engineer)TM0177で規格されている方法を適用した。即ち、5%−NaCl溶液+0.5%−酢酸溶液中に硫化水素ガスを飽和させた溶液(pH3程度)に、HIC試験片(30mm×20mm×100mm)を96時間浸漬させた。
そして、試験終了後に、割れ面積率(Crack Sensitivity Ratio、CSR)の測定、および鋼中水素量(水素侵入量)の測定を行った。上記割れ面積率(CSR)は、超音波探傷(Cスキャン)により割れ部分の面積を求め、試験片全体に対する割れ部分の面積率を求めた。そして、割れ面積率が2.0%以下の場合を、割れ面積率について合格と評価した。また、上記鋼中水素量は不活性ガス融解法で測定し、この鋼中水素量が2.0ppm以下の場合を、鋼中水素量について合格と評価した。そして総合評価として、表3では、CSRおよび鋼中水素量の2項目とも合格の場合、総合評価「○」(合格、耐HIC性に優れている)とし、CSRおよび鋼中水素量の少なくともいずれかが不合格の場合は、総合評価「×」(不合格、耐HIC性に劣る)とした。これらの結果を表3に示す。
表1〜3から次のことがわかる。表2および表3に示すように、本発明で規定の成分組成の素地鋼板に対し、推奨される条件で熱処理を行ったNo.E〜Jはいずれも耐HIC性に優れていることが分かる。これに対し、No.A〜DならびにNo.KおよびLでは以下の不具合を有している。
まずNo.Aは熱処理を行っていないため、素地鋼材の表面に表面濃化層が形成されておらず、その結果、水素侵入を抑制することができず、耐HIC性に劣る結果となった。No.B〜Dは、保持温度(処理温度)が推奨される範囲を下回り低いため、No.Dの通り保持時間が長くても、水素侵入を抑制するのに十分な表面濃化層が形成されず、耐HIC性に劣った。No.KおよびLは、保持温度(処理温度)が高めであり、かつ保持時間(処理時間)も長めであるため、形成された表面濃化層が酸化されてしまい、耐HIC性に劣る結果となった。
[実験例2]
〔試験材の作製〕
表4に示す化学成分を有する鋼を溶製し、スラブとした後1100〜1200℃に加熱し、次いで熱間圧延(仕上圧延温度は750〜900℃)を行って、板厚40mmとした。前記仕上圧延後、引き続き3℃/sの平均冷却速度で室温まで冷却した。次いで、表4のNo.1〜13、および15〜19は、酸化雰囲気(大気雰囲気)、保持温度900℃で10分保持する熱処理を施して供試材(鋼板)を作製した。またNo.14は、比較材のため前記熱処理を行わなかった。
得られた鋼板を用いて、実験例1と同様にして、表面濃化層の化学組成の分析と耐HIC性の評価を行った。これらの結果を表5に示す。
表4および表5から次のことがわかる。No.4〜8、No.10〜13、No.15〜17、およびNo.19は、本発明で規定の成分組成を満たしており、かつ鋼板表面が表面濃化層で90%以上覆われているため、耐HIC性に優れていることが分かる。これに対し、No.1〜3、No.9、No.14およびNo.18では以下の不具合を有している。
すなわち、No.1はCuとCrの両方を含んでいないため、表面濃化層が形成されず、耐HIC性に劣る結果となった。No.2はC量が過剰であり、鋼中に炭化物が過剰に生成したため耐HIC性が劣った。No.3はAl量が過剰であり、鋼中にクラスタ化したAl23が生成したため耐HIC性に劣る結果となった。
No.9は素地鋼材のCu量とCr量がいずれも0.10%に満たないにもかかわらず、熱処理時の保持時間を15分以上としなかったため、表面濃化層の(Cu+Cr)量が少なくなり耐HIC性に劣る結果となった。
No.14は、No.13と同じ素地鋼材であり、表面濃化層の(Cu+Cr)量は0.5%以上であるが、熱処理を実施しておらず、素地鋼材(母材)の(Cu+Cr)量の1.1倍を下回ったため、耐HIC性に劣る結果となった。
またNo.18は、REMの含有量が0.01%を超えて過剰に含まれているため、粗大な酸化物が形成し耐HIC性に劣る結果となった。

Claims (8)

  1. 素地鋼材が、
    C:0.01〜0.20%(質量%の意味、化学成分について以下同じ)、
    Si:0.10〜0.50%、
    Mn:0.70〜2.50%、
    P:0.03%以下(0%を含まない)、
    S:0.003%以下(0%を含まない)、
    Al:0.005〜0.10%、
    O:0.01%以下(0%を含まない)、および
    CuとCrの少なくともいずれかが0.05%以上、かつCuは1.0%以下、Crは1.0%以下を満たし、残部が鉄および不可避不純物であり、かつ、
    該素地鋼材の表面の90%以上が、該素地鋼材の(Cu+Cr)量(%)の1.1倍以上であってかつ0.5%以上の(Cu+Cr)を含む層(以下「表面濃化層」という)で覆われていることを特徴とする耐水素誘起割れ性に優れた鋼材。
  2. 前記素地鋼材は、更に他の元素として、Ca:0.01%以下(0%を含まない)を含有する請求項1に記載の鋼材。
  3. 前記素地鋼材は、更に他の元素として、Ni:1.0%以下(0%を含まない)、Mo:0.5%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、およびTi:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上の元素を含有する請求項1または2に記載の鋼材。
  4. 前記素地鋼材は、更に他の元素として、Zr、V、Co、REM、Y、MgおよびBよりなる群から選択される1種以上の元素を、それぞれ0.01%以下(0%を含まない)含有する請求項1〜3のいずれかに記載の鋼材。
  5. ラインパイプ用鋼板である請求項1〜4のいずれかに記載の鋼材。
  6. ラインパイプ用鋼管である請求項1〜4のいずれかに記載の鋼材。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の鋼材の製造方法であって、
    前記表面濃化層を、前記素地鋼材の表面を酸化させることによって形成することを特徴とする耐水素誘起割れ性に優れた鋼材の製造方法。
  8. 前記酸化として、酸化性雰囲気にて下記保持温度と下記保持時間を満たす熱処理を行う請求項7に記載の鋼材の製造方法。
    保持温度:750〜1200℃
    保持時間:1分以上(但し、素地鋼材のCu量とCr量のどちらもが0.10%未満である場合は15分以上)、かつ前記保持温度が750〜1000℃の場合は300分以下、前記保持温度が1000℃超1200℃以下の場合は100分未満
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