JP4796480B2 - 車両運動制御装置及び制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両運動制御装置及び制御方法にかかり、特に、制駆動力及び操舵角を総合して各輪タイヤ発生力を目標値に制御する車両統合制御を実現する場合に、各輪μ利用率の上限を最小にすると共にロール剛性配分の最適化を同時に達成する各輪タイヤ発生力を求め、車両運動及びサスペンションを制御する車両運動制御装置及び制御方法に関する。
従来より、前左右輪の荷重差と後左右輪の荷重差との関係、例えば、全ロール剛性に対するフロントサスペンションまたはリアサスペンションのロール剛性の割合で表わされるロール剛性配分を制御する技術として、ドライバの操作に応じた車両挙動を実現するために必要なヨーモーメントと車体合力方向とに基づいてロール剛性配分を演算すると共に、このロール剛性配分が得られるようにサスペンションを制御し、演算されたロール剛性配分と各輪の路面摩擦係数μの推定値、並びに車体合力の大きさ及び方向に基づいて各輪の限界摩擦円を推定し、推定された各論の限界摩擦円と必要なヨーモーメント、並びに車体合力の大きさ及び方向に基づいて各輪の操舵角と制動力及び駆動力の少なくとも一方を制御する車両制御装置が知られている(特許文献1)。この従来技術では、路面をロール剛性配分制御が最も効果を発揮する高μ路と仮定し、予め演算された最適解をマップとして用意してロール剛性配分の制御を行っている。
特開2005−67229号公報
しかしながら、上記従来技術では、最適解をマップとして用意してロール剛性配分を制御しているので、最適解をマップとして用意していない路面、すなわち想定と異なる路面摩擦係数μの路面を走行する場合には、ロール剛性配分を必ずしも最適な配分に制御することができない、という問題がある。
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、各輪の路面μに応じた最適なロール剛性配分を逐次演算することによって、常に最適な値、すなわち操舵及び制駆動総合制御時の各輪μ利用率上限値を最小にするためのロール剛性配分を出力することができる車両運動制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の車両運動制御装置は、前左右輪の荷重差と後左右輪の荷重差との関係を表わす前回演算されたロール剛性配分に基づいて求めた各輪タイヤの最大発生力を表す各輪摩擦円の大きさと、各輪のμ利用率の上限値に対する割合を表す前回演算された各輪利用率と、目標車体前後力、目標車体横力、及び目標ヨーモーメントを表す目標車体フォース及びモーメントとに基づいて、各輪タイヤ発生力、前記各輪利用率、及び前記ロール剛性配分を演算する各輪発生力・ロール剛性配分演算手段と、演算された前記各輪タイヤ発生力に基づいて、演算された前記各輪タイヤ発生力が得られるように車両運動を制御する車両運動制御手段と、演算された前記ロール剛性配分に基づいて、演算された前記ロール剛性配分が得られるようにサスペンションを制御するサスペンション制御手段と、を含んで構成されている。
本発明では、殆どの目標車体フォース及びモーメントの車体フォースとモーメントとの組み合わせでは、μ利用率の上限を最小にする解は、μ利用率を均等にする解と一致していることに着目すると共に、各輪の路面μに応じた最適なロール剛性配分を逐次演算している。
ロール剛性配分は、前左右輪の荷重差と後左右輪の荷重差との関係を表わす値であり、各輪利用率は、各輪のμ利用率の上限値に対する割合を表わす値であり、摩擦円の大きさは、各輪タイヤの最大発生力を表わしている。
各輪発生力・ロール剛性配分演算手段では、目標車体前後力、目標車体横力、及び目標ヨーモーメントを表す目標車体フォース及びモーメントと、前回演算されたロール剛性配分に基づいて求めた各輪の摩擦円の大きさと、前回演算された各輪利用率とに基づいて、各輪タイヤ発生力、各輪利用率、及びロール剛性配分を演算する。
そして、演算された各輪タイヤ発生力が得られるように車両運動を制御すると共に、演算されたロール剛性配分が得られるようにサスペンションを制御する。
本発明では、各輪の路面μに応じた最適なロール剛性配分を逐次演算しているので、各輪μ利用率の上限を最小にするためのロール剛性配分を求めることができる。
本発明の各輪発生力・ロール剛性演算手段は、前記目標車体フォース及びモーメント、前記各輪の摩擦円の大きさ、前記各輪の利用率、及び前回演算された前記各輪タイヤ発生力の方向とに基づいて、前記目標車体フォース及びモーメントを達成する拘束条件下でμ利用率の上限値を最小にする前記各輪タイヤ発生力の方向を演算する方向演算手段と、前記目標車体フォース及びモーメントを達成する拘束条件下でμ利用率の上限値を低下させるように前記各輪利用率及び前記ロール剛性配分を演算する各輪利用率・ロール剛性配分演算手段と、前記拘束条件下で前記目標車体フォース及びモーメントを達成するための前記各輪利用率・ロール剛性配分演算手段の演算結果に応じて、前記各輪タイヤ発生力の方向を修正する各輪発生力方向修正手段と、演算された前記各輪利用率、修正された前記各輪タイヤ発生力の方向、及び最小のμ利用率の上限値に基づいて、各輪タイヤ発生力を演算する各輪発生力演算手段と、を含んで構成することができる。
この場合、前記各輪発生力方向修正手段は、演算された前記各輪利用率の変化に応じて前記拘束条件を満足させるように前記各輪タイヤ発生力の方向を修正すると共に、演算された前記ロール剛性配分の変化に応じて変化する各輪摩擦円の大きさに応じて前記拘束条件を満足させるように前記各輪タイヤ発生力の方向を修正するように構成することができる。
このように構成することにより、各輪タイヤ発生力の方向と各輪利用率とを2段階で最適化することができる。すなわち、まず、μ利用率の上限を最小にするための各輪タイヤ発生力方向を演算し、次いで、μ利用率の上限を低下させるように各輪利用率とロール剛性配分とを演算する。このように、各輪タイヤ発生力方向と各輪利用率・ロール剛性配分で2段階に分割して行うことによって、全てを一括して最適化する場合に比較して演算の効率を上げることができる。
なお、上記方向演算手段は、各輪タイヤの最大発生力を表わす各輪摩擦円の大きさと、前回演算された各輪利用率とを乗算して各輪の利用摩擦円の大きさを演算する利用摩擦円演算手段と、目標車体フォース及びモーメント、前記利用摩擦円演算手段で演算された各輪の利用摩擦円の大きさ、及び前回演算された前記各輪タイヤ発生力の方向に基づいて、前記目標車体フォース及びモーメントを達成する拘束条件下でμ利用率の上限値を最小にする前記各輪タイヤ発生力の方向を演算する各輪発生力方向演算手段とを含んで構成することができる。
また、本発明において、演算済みの擬似逆行列をそのまま利用して各輪タイヤ発生力の方向を修正するようにすれば、各輪利用率・ロール剛性配分の変化に応じて修正した各輪タイヤ発生力の方向の修正結果を、有効に利用することができるので、さらに演算の効率を上げることができる。
また、本発明の車両運動制御手段は、前記各輪発生力演算手段で演算された各輪タイヤ発生力に基づいて、各輪の制動力及び駆動力の少なくとも一方を制御する第1の制御量、または前記第1の制御量及び各輪の操舵角を制御する第2の制御量を演算する制御量演算手段と、前記第1の制御量に基づいて、各輪の制動力及び駆動力の少なくとも一方を制御するか、または前記第1の制御量及び前記第2の制御量に基づいて、各輪の制動力及び駆動力の少なくとも一方及び各輪の操舵角を制御する制駆動舵角制御手段を含んで構成することができる。
また、本発明の車両運動制御装置は、目標車体前後力と目標車体横力とからなる目標車体フォースの方向に各輪のタイヤ発生力を発生させるときに、目標ヨーモーメントと逆方向のヨーモーメントが発生する車輪には、該ヨーモーメントが発生する車輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率と比較して小さくなるようにμ利用率の制御を行うように構成することもできる。
すなわち、旋回制御中に目標ヨーモーメントが車体合力の大きさに比較して大きい場合、スピン方向のモーメントが必要な場合には、前輪ロール剛性配分が大きく、すなわち、ロール剛性配分を前輪側に移動するように制御すると共に、旋回加速中に目標ヨーモーメントが車体合力の大きさに比較して大きい場合には、前輪ロール剛性配分が小さく、すなわちロール剛性配分を後輪側に移動するように制御することによって、μ利用率の上限値を最小化し、グリップ余裕を最大化することができる。
この場合、目標車体前後力及び目標車体横力の大きさとタイヤ位置から車両重心までのモーメントアームの代表的な長さとの積が、前記目標ヨーモーメントの大きさと略一致する場合に、前記ロール剛性配分の制御を行うのが効果的である。
本発明の車両運動制御装置の車両運動制御手段では、更に以下のように制御するようにしてもよい。
旋回制動中に外向きヨーモーメントが要求されたときには、旋回内前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する。
旋回制動中に内向きヨーモーメントが要求されたときには、旋回外後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する。
旋回加速中に外向きモーメントが要求されたときには、旋回外前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する。
旋回加速中に内向きモーメントが要求されたときには、旋回内後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する。
本発明において、目標車体前後力と目標車体横力とからなる目標車体フォースの方向に各輪のタイヤ発生力を発生させるときに、目標ヨーモーメントと逆方向のヨーモーメントを発生させる場合には、該ヨーモーメントを発生させる車輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率と比較して小さくなるようにμ利用率の制御を行う場合には、この制御対象の車輪の荷重を低下させるように各輪荷重を制御することができる。
この各輪荷重を制御する場合には、ロール剛性配分を以下のように配分することができる。
旋回制動中に外向きモーメントが要求され、旋回内前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、旋回内前輪の荷重を低下させるように、ロール剛性配分を前輪に大きく配分する。
旋回制動中に内向きモーメントが要求され、旋回外後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、旋回外後輪の荷重を低下させるように、ロール剛性配分を前輪に大きく配分する。
旋回加速中に外向きモーメントが要求され、旋回外前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、旋回外前輪の荷重を低下させるように、ロール剛性配分を後輪に大きく配分する。
旋回加速中に内向きモーメントが要求され、旋回内後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、旋回内後輪の荷重を低下させるように、ロール剛性配分を後輪に大きく配分する。
全ての輪の中で最小の各輪利用率が基準値以下となったときに、この基準値以下になった車輪が旋回内前輪または旋回外後輪の場合に、各輪利用率に応じてロール剛性配分を前輪に、またこの基準値以下になった車輪が旋回外前輪または旋回内後輪の場合に、各輪利用率に応じてロール剛性配分を後輪に大きく配分する。
そして、本発明の車両運動制御方法は、目標車体前後力と目標車体横力とからなる目標車体フォースの方向に各輪のタイヤ発生力を発生させるときに、目標ヨーモーメントと逆方向のヨーモーメント発生する車輪には、該ヨーモーメント発生する車輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率と比較して小さくなるようにμ利用率の制御を行うようにしたものである。
本発明の車両運動制御方法では、上記の車両運動制御装置で説明した制御内容を利用して車両運動を制御することができる。
さらに、本発明では、コンピュータを、各輪タイヤの最大発生力を表す各輪摩擦円の大きさと修正された各輪利用率の前回値と、目標車体前後力、目標車体横力、及び目標ヨーモーメントを表す目標車体フォース及びモーメントと前記利用摩擦円演算手段で演算された利用摩擦円の大きさとに基づいて、各輪タイヤ発生力と各輪のμ利用率の上限値に対する割合を表す各輪利用率とロール剛性配分とを演算する各輪発生力・ロール剛性配分演算手段と、演算された前記各輪タイヤ発生力とロール剛性配分とに基づいて、前記演算された各輪タイヤ発生力とロール剛性配分とが得られるように車両運動を制御する制御手段と、を含んで機能させるためのプログラムとしても構成することができ、この場合においても上記の車両運動制御装置で説明した制御内容を利用してプログラムを構成することができる。
以上説明したように本発明によれば、各輪μ利用率の上限を最小に制御しながらロール剛性配分を最適に制御することができる、という効果が得られる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は、目標ヨーモーメントMz0と目標車体フォース(目標前後力Fx0,目標横力Fy0)とを確保しつつ、各輪のμ利用率の上限値γを最小化すると共に各輪の上下荷重、すなわちロール剛性配分の最適化を同時に達成する各輪タイヤ発生力を求め、車両運動及びサスペンションを制御するようにしたものである。
まず、4輪独立に操舵と制動、及び操舵と駆動を行うことが可能な車両における操舵と制動、及び操舵と駆動の各協調制御、すなわち統合制御の原理について説明する。
各輪の上下荷重Nは、ロ−ル剛性配分ρ、前後加速度g、及び横加速度gに基づいて、以下(1)式〜(4)式のように記述することができる。
ただし、N(i=1:左前輪、2:右前輪、3:左後輪、4:右後輪):上下荷重、h:重心高、m:車両質量、L:前輪〜重心間距離、L:後軸〜重心間距離、T:前輪トレッド、T:後輪トレッドである。
また、各輪の摩擦円、すなわち、図1に示す各輪の限界摩擦円の大きさF(i=1:左前輪、2:右前輪、3:左後輪、4:右後輪)は、以下に示すように上下荷重Nの2次関数として、以下の(5)式のように記述できる。なお、限界摩擦円の大きさFは、他の関数で記述するようにしてもよい。
ただし、μは各輪の路面摩擦係数、kloadは摩擦円の荷重依存係数で、負の値を採る。
また、ドライバが望む車体運動を得るために4輪の各々で発生するタイヤ発生力の合力として車体に加えられる力等を、図1に示す車体前後軸の方向をx軸とする一般的な座標系で表される4輪車両運動モデルによって記述する。
ここでは、各輪タイヤの最大発生力の大きさを表わす各輪の摩擦円の大きさF(ただし、i=1、2,3,4であり、1:左前輪、2:右前輪、3:左後輪、4:右後輪を表す)を上記のように記述し、目標とする車体フォース(前後力Fx0、横力Fy0)、及び目標とするヨーモーメントMz0(目標車体フォース及びモーメント)を確保しつつ、各輪のμ利用率の上限値(4輪の中の最大値)を最小化、すなわち最小にするための各輪タイヤ発生力の方向と各輪のμ利用率を求める。
次に、目標とする車体合力と目標とするヨーモーメントとを確保する(目標車体フォース及びモーメントを確保する)という拘束条件のモデル化を行う。タイヤ発生合力の方向をx軸、x軸に垂直な方向をy軸とする座標変換を実施すると各タイヤの位置(x、y)=(l、d)は、図1に示すように以下の(6)〜(13)式で表すことができる。
ただし、Tは前輪間の間隔、Tは後輪間の間隔、Lは車両重心から前輪間の中点までの距離、Lは車両重心から後輪間の中点までの距離であり、lはx軸からタイヤ接地点までの距離、dはy軸からタイヤ接地点までの距離を各々表している。
また、各輪のμ利用率の上限をγとすると共に、各輪のμ利用率のμ利用率上限γに対する割合を表す各輪利用率をr、各輪のタイヤ発生力方向をq(x軸に対し、反時計方向を正とする)とすると、各輪のタイヤ発生力(Fxi、Fyi)は、以下の(14)、(15)式のように記述することができる。
また、各輪のタイヤ発生力の合力である車体フォース(前後力Fx0、横力Fy0)、及びヨーモーメントMz0は、以下の拘束条件で記述することができる。
ここで、上記(16)式の両辺に横力Fy0を乗じた式から、(17)式の両辺に前後力Fx0を乗じた式を減算すると、μ利用率の上限γを消去した下記(19)式が得られる。
また、上記(16)式の両辺にモーメントMz0を乗じた式から、(18)式の両辺に前後力Fx0を乗じた式を減算すると、μ利用率の上限γを消去した下記(20)式が得られる。
さらに、上記(17)式の両辺にヨーモーメントMz0を乗じた式から、(18)式の両辺に横力Fy0を乗じた式を減算すると、μ利用率の上限γを消去した下記(21)式が得られる。
そして、μ利用率の上限γを消去した上記(19)〜(21)式の両辺を各々加算することによって、以下の(22)式が得られる。
さらに、(16)式の両辺にd x0、(17)式の両辺にl y0、及び(18)式の両辺にMz0を各々乗じた3つの式を加算すると、以下の(23)式が得られる。
ただし、d、 lは、各々力とモーメントとの次元を合わせるための定数であり、本実施の形態では、d、 lの各々を以下に示す(24)式及び(25)式のように設定した。
ここで、目標車体フォース及びモーメント(目標車体フォース&モーメント)の大きさMF0を次の(26)式のように定義する。
また、上記(18)式と(23)式とからμ利用率の上限γを消去すると共に、目標車体フォース及びモーメントの大きさMF0で規格化した以下の(27)式及び(28)式の拘束条件を利用する。
上記(27)式及び(28)式の拘束条件の場合には、Fx0、 Fy0、及びMz0のいずれか2つが0となる場合でも拘束条件として機能することとなる。なお、この規格化は、ECU等のコンピュータ及びプログラムを用いて固定小数点演算する際の演算精度向上のために実施するものである。
ここで、μ利用率の上限γの最小化を目的とした評価関数Jとして次の(29)式を定義する。
この評価関数は、(定数)/(μ利用率の上限γ)で表わされており、(29)式の最大化は、μ利用率の最小化を意味している。また、この評価関数は、この評価関数に上記(22)式を代入することにより、次の(30)式のように表される。
結局、上記(30)式を最大化する各輪のタイヤ発生力方向q、及びμ利用率の上限γに対する各輪利用率rを求めれば、μ利用率の上限γを最小化することになる。
したがって、非線形最適化問題として、次の問題1に示すように定式化することができる。
問題1:(27)式及び(28)式の拘束条件を満足し、(30)式を最大化する各輪のタイヤ発生力方向q、及び各輪利用率rを求める。
次に、各輪タイヤ発生力配分アルゴリズムについて説明する。本実施の形態では、各輪の発生力方向をパラメータとすることに加え、各輪利用率rをパラメータに含める必要がある。本実施の形態では、各輪の発生力方向q、及び各輪利用率rを毎回個別に最適化するアルゴリズムを用いて繰り返し演算することにより各輪の発生力方向q、及び各輪利用率rを求める。
μ利用率一定摩擦円上の探索行うために、まず、各輪利用率rを固定した状態で従来技術と同様、逐次2次計画法のアルゴリズムを利用して各輪の発生力方向qを解く。
sinq、 cosqを次の(31)式及び(32)式に示すように1次近似することによって、
上記(27)式及び(28)式の拘束条件は、次の(33)式及び(34)式に示すように各輪の発生力方向qに関して線形化することができる。
また、sinq、cosqを2次のテーラー展開によって、次の(35)式及び(36)式に示すように近似すると、
上記(30)式に示す評価関数Jは、次の(37)式で記述することができる。
さらに、次の(42)式に示す変数変換を行うことによって、
上記(30)式の評価関数Jは、次の(43)式に示すように表され、pのユークリッドノルム最小化問題に変換される。
また、線形近似された拘束条件は、次の(44)式で記述することができる。
上記(44)式を満足するユークリッドノルム最小解は、以下の(49)式に示すように求めることができる。
ただし、Aは行列Aの擬似逆行列である。
結局、各輪タイヤ発生力方向を表すqは、次の(50)式で表される。
ただし、qは、各輪タイヤ発生力方向q(=q、q、q、q)によって以下の式で表される。
ここで、ρが正の定数(1.0)で記述される次の(51)式のペナルティ関数Pを定義し、(50)式で導出された各輪タイヤ発生力方向qを用いて(51)式のペナルティ関数を演算し、ペナルティ関数Pが減少する場合には、再び(38)〜(40)式、(45)〜(48)式、及び(50)式の演算を繰り返し実施する再帰的な手法によって収束演算を行う。
また、このアルゴリズムによって導出された各輪タイヤ発生力方向qを利用した場合のμ利用率は、(29)式及び(33)式から次の(54)式で演算することができる。(51)式から理解されるようにμ利用率は評価関数に対する目標車体フォース及びモーメント各々の大きさの二乗和の比で表される。
次に、各輪利用率を修正する演算について説明する。各輪のμ利用率の上限γに対する各輪利用率r(=r1、r2、r3、r4)をr+dr(drは変化量)に変化させて各輪利用率を修正したとき、目標車体フォース及びモーメントの拘束条件を表す上記(27)式及び(28)式は、次の(55)式及び(56)式で表される。
したがって、各輪利用率rを変化させると各輪タイヤ発生力方向q及び評価関数も変化するので、各輪利用率rをr+drに変化させたときに目標車体フォース及びモーメントの拘束条件を満足させるためには、(49)式のqを、例えばq+dqに修正する必要がある。ただし、各輪タイヤ発生力方向を表すqの変化量dqは、以下の(59)式で表される。
ただし、dqは、各輪タイヤ発生力方向の変化量dq(=dq1、dq2、dq3、dq4)によって以下の式で表わされる。
dq=[dq1 dq2 dq3 dq4]
ここでは、目標車体フォース及びモーメントの拘束条件を満足させることのみ考慮しているので修正は不定となる。すなわち、無数の修正法があり得るが、本実施の形態では演算の簡単化のために、導出済みの擬似逆行列をそのまま利用した修正法を用いている。このとき、上記(30)式の評価関数JはJ+ dJに変化する。ただし、変化量dJは以下の(60)式で表される。
したがって、評価関数Jの変化量dJは近似的に評価関数Jを各輪利用率rで偏微分した次の(61)式で表すことができる。
ただし、D1i、D2iは以下の(62)式、(63)式で定義される。
本実施の形態では、内点の探索を最急降下法に基づいて、r(=[r1 2 3 4])を0〜1の範囲内で、次の(64)式に示すように変更し、繰り返し演算の次のステップに進む。ただし、r(=[r10 20 30 40])は繰り返し演算における各輪利用率rの前回値、kは正の定数を表している。これにより、評価関数Jが大きくなるように変化した場合には各輪利用率rが小さくなるように補正される。
このとき、各輪利用率rの変更に伴い、車体フォース及びモーメントの拘束条件を満足させるように各輪タイヤ発生力方向qをq+dqに修正する。ただし、dqは、上記で記載した下記の(65)式で表される。
なお、μ利用率の上限γは、上記のようにして導出された角度qを用い、上記(54)式に基づき演算される。
次に、ロール剛性配分(前左右輪の荷重差と後左右輪の荷重差との関係を表わす比)の修正演算について説明する。ロール剛性配分dρ変化させ、ρからρ+dρに変化させたとき、各輪の上下荷重Nは、N+dNに変化する。ただし、dNは以下の(66)式〜(69)式で表わされる。
さらに、摩擦円の大きさFは、F+dFに変化する。ただし、dFは以下の(70)式で表わされる。
また、摩擦円の大きさFをF+dFに変化させたとき、目標車体フォース及びモーメントの拘束条件を表す(27)式及び(28)式は、以下のように(71)式及び(72)式で記述することができる。
ただし、(71)式及び(72)式の右辺は、以下の(73)式及び(74)式で表わされる。
したがって、摩擦円の大きさFをF+dFに変化させたときに、車体フォース及びモーメントの拘束条件を満足させるためには、(49)式の各輪タイヤ発生力方向qを例えば、q+dqに修正する必要がある。ただし、dqは以下の(75)式で表わされる。
ここでは、車体フォース及びモーメントの拘束条件を満足させることのみ考慮しているので修正は不定となる。すなわち、無数の修正法があり得るが、本実施の形態では、演算を簡単化するために、導出済みの擬似逆行列をそのまま利用した修正法を用いている。このとき、上記(30)式の評価関数JはJ+dJに変化する。ただし、dJは以下の(76)式で表わされる。
したがって、評価関数Jの変化量dJは、近似的に評価関数Jを摩擦円の大きさで偏微分した以下の(77)式で表すことができる。
ただし、
である。
ところで、上記(62)式、(63)式、(78)式、及び(79)式より、以下の(80)式及び(81)式が成立し、
(61)式及び(77)式より以下の(82)式が成立する。
したがって、摩擦円の大きさが変化したとき、評価関数は上記(82)式のように変化する。
また、ロール剛性配分が変化したとき、摩擦円の大きさは以下の(83)式のように変化する。
したがって、上記(82)式及び(83)式から以下の(84)式が得られる。
本実施の形態では、ロール剛性配分の探索を最急降下法に基づいて、0〜1の範囲内で、次の(85)式に示すように変更し、繰り返し演算の次のステップに進む。ただし、ρは繰り返し演算におけるロール剛性配分ρの前回値、kは正の定数を表している。これにより、評価関数Jが大きくなるように変化した場合にはロール剛性配分ρが小さくなるように補正される。
なお、ロール剛性配分ρは、1のとき後左右輪が同じ上下荷重であることを表わし、0のとき前左右輪が同じ上下荷重であることを表わしている。
このとき、ロール剛性配分ρの変更に伴い、車体フォース及びモーメントの拘束条件を満足させるように各輪タイヤ発生力方向qをq+dqに修正する。ただし、dqは下記の(86)式で表わされる。
なお、上記(80)式及び(81)式より、
となり、さらに、(83)式より、
となることから、上記(86)式は、以下の(87)で記述することができ、各輪利用率rを変化させたときの各輪タイヤ発生力方向を表わす角度の修正値dqにベクトルを乗算した式になっているので、各輪利用率rを変化させたときの角度の修正値dqの演算結果を有効に利用することができる。
次に、上記の原理を利用した本実施の形態の具体的構成を図2に基づいて説明する。図に示すように、本実施の形態には、各輪タイヤの最大発生力である各輪摩擦円の大きさFと繰り返し演算の前ステップで演算された各輪利用率rの前回値rとを乗じて、(14)式及び(15)式中の積rで表される各輪の利用摩擦円の大きさを演算する利用摩擦円演算手段10を備えた各輪発生力・ロール剛性配分演算手段12が設けられている。
利用摩擦円演算手段10の入力端には、各輪タイヤの最大発生力を表わす各輪摩擦円の大きさFを演算する摩擦円演算手段18が接続されている。摩擦円演算手段18には、前後加速度g及び横加速度gを検出する加速度センサ20が接続されると共に、ロール剛性配分ρの前回値ρ、各輪の路面摩擦係数μが入力されている。
各輪の路面摩擦係数μは、測定器を用いて各輪毎に測定してもよく、路面状態を測定して各輪の路面摩擦係数μを推定するようにしてもよい。また、路面の状態(例えば、ウエット路、ドライ路、及びスノー路等)に応じて予め定めておいた路面摩擦係数を用いるようにしてもよい。
摩擦円演算手段18は、上記(1)〜(4)式に繰り返し演算の前ステップで演算されたロール剛性配分ρの前回値ρを代入して得られる上下荷重を用いて、上記(5)式に従って各輪摩擦円の大きさFを演算する。
摩擦円演算手段18の出力端は、車体前後力、車体横力、及びヨーモーメントの各々の目標値である目標車体フォース及びモーメントと、各輪摩擦円の大きさFと、前回演算された各輪利用率rとを用いて、各輪のタイヤ発生力、各輪のμ利用率の上限γに対する割合を表す各輪利用率r、及びロール剛性配分ρを演算する各輪発生力・ロール剛性配分演算手段12の利用摩擦円演算手段10及び各輪利用率・ロール剛性配分演算手段12Bに接続されている。各輪発生力・ロール剛性配分演算手段12の出力端には、演算された各輪タイヤ発生力が得られるように車両統合制御によって車両運動を制御する操舵・制駆動制御手段14、及び演算されたロール剛性配分に基づいて演算されたロール配分が得られるようにサスペンションを制御するサスペンション制御手段16が接続されている。
操舵・制駆動制御手段14としては、制動力制御手段、駆動力制御手段、前輪操舵制御手段、または後輪制御操舵手段を用いることができる。また、サスペンション制御手段16としては、スタビライザーバーのアームとロアアーム(サスペンションリンク)との締結部の左右いずれか一方を油圧シリンダを介して締結し、油圧シリンダを制御することによってスタビライザのねじり剛性を変更するスタビライザねじり剛性可変機構等のロール剛性配分制御装置を用いることができる。
各輪発生力・ロール剛性配分演算手段12には、目標車体フォース及びモーメントと、利用摩擦円演算手段10で演算された各輪の利用摩擦円rとから目標車体フォース及びモーメントを達成する拘束条件下でμ利用率の上限値γを最小化する各輪タイヤ発生力の方向qを各輪タイヤ発生力の方向の前回値qi0を用いて上記(50)式に基づいて演算する各輪発生力方向演算手段12Aが設けられている。
各輪発生力方向演算手段12Aには、目標車体フォース及びモーメントを達成する拘束条件下でμ利用率の上限値γを低下させるように各輪のμ利用率の上限値γに対する割合を表す各輪利用率rを上記(60)式に従って演算すると共に、ロール剛性配分を上記(44)〜(46)、及び(85)式に従って演算する各輪利用率・ロール剛性配分演算手段12Bが接続されている。
すなわち、各輪利用率・ロール剛性配分演算手段12Bは、図3に示すように、各輪の摩擦円の大きさFに対する各輪利用率の前回値ri0との比に基づいて、上記(44)〜(46)、及び(85)式に従ってロール剛性配分ρを演算するロール剛性配分演算手段12B、各輪発生力方向演算手段12Aで演算された各輪タイヤ発生力の方向qを用いて各輪利用率rを上記(60)式に従って演算する各輪利用率演算手段-12Bを含んで構成されている。
各輪利用率・ロール剛性配分演算手段12Bは、各輪利用率rを0〜1の間で変化させ、評価関数Jが大きくなるように変化する場合には、各輪利用率rが小さくなるように変更すると共に、ロール剛性配分ρを0〜1の間で変化させ、評価関数Jが大きくなるように変化する場合には、ロール剛性配分ρが小さくなるように変更する。
また、各輪利用率・ロール剛性配分演算手段12Bは、摩擦円演算手段18にも接続されており、各輪利用率・ロール剛性配分演算手段12Bで演算されたロール剛性配分の繰り返し演算における前回値ρを摩擦円演算手段18に入力する。
さらに、各輪利用率・ロール剛性配分演算手段12Bには、目標車体フォース及びモーメントを達成するために、各輪利用率の演算に伴って各輪タイヤ発生力の方向を(59)式((65)式)に従って各輪利用率に応じて修正すると共に、ロール剛性配分の演算に伴って各輪タイヤ発生力の方向を(87)式に従って摩擦円の大きさに応じて修正する各輪発生力方向修正手段12Cが接続されている。
各輪発生力方向修正手段12Cは、各輪発生力方向演算手段12Aに接続されており、各輪タイヤ発生力方向の前回値q(各輪利用率に応じて修正した前回値、及びロール剛性配分の演算に伴って変化した摩擦円の大きさに応じて修正した前回値)を各輪発生力方向演算手段12Aに入力する。
各輪発生力方向修正手段12Cには、修正後の各輪利用率と各輪タイヤ発生力方向、及び最小化されたμ利用率上限値から各輪の発生力を演算する各輪発生力演算手段12Dが接続されている。各輪発生力演算手段12Dは、(14)式及び(15)式に従って各輪タイヤ発生力Fxi,Fyiを演算する。
次に操舵・制駆動制御手段14による制駆動力及び操舵力の制御について説明する。
各輪の制駆動力は、μ利用率、各輪の限界摩擦円の大きさF、及び合成力の方向qを用いて、上記の前後力Fxiを示す(14)式から導出することができる。なお、γFは、タイヤ発生力の大きさを表す。
また、同様に各輪の横力Fyiは、上記(15)式から導出することができる。
各輪の舵角は、例えばブラッシュモデルと車両運動モデルとに基づいて演算することができる。ブラッシュモデルは、タイヤ発生力特性を理論式に基づいて記述したモデルであり、タイヤ発生力がブラッシュモデルに従って発生すると仮定すると、各輪の摩擦円の大きさF,各輪のμ利用率,各輪のタイヤ発生力の方向qからスリップ角βを以下のように求めることができる。
ここで、K:ドライビングスティッフネス、Kβ:コーナリングスティッフネスである。
さらに各輪の舵角δは、スリップ角から車両運動モデルに基づいて演算される。すなわち、車速v、操舵角、アクセル開度、及びブレーキ踏力等から目標となる車両運動状態量として演算されるヨー角速度r、車体スリップ角βから以下のように演算することができる。なお、β〜βは、(60)式の各輪のスリップ角である。
操舵制御と制駆動制御との協調を行う場合には、上記のようにして求めた(14)式の制駆動力を第1の操作量とし、(90)〜(93)式の操舵角を第2の操作量として、第1の操作量に基づいて制動力及び駆動力を制御すると共に、第2の操作量に基づいて操舵角、すなわちタイヤ発生力の方向を制御する。なお、タイヤ発生力の方向を制御すると共に、制動力及び駆動力のいずれか一方の大きさを制御するようにしてもよい。
この制御に基づく操舵制御と制駆動制御との協調を実施した場合、常にμ利用率の上限を最小化することが可能となり、路面や横風などの外乱に対し最も余裕のある運動性能を示すことが可能である。
また、車体に加えるべき合成力を最大化するときには、上記(14)式において各輪のμ利用率を1とすれば各輪の制駆動力が求められ、上記(90)式においてμ利用率を1とすれば(62)〜(64)式及び(88)式より各輪の操舵角が求められる。
そして、上記のようにして求めた各輪の制駆動力及び各輪の操舵角を操作量として車両の駆動力と操舵角、または制動力と操舵角を協調制御する。
協調制御する場合、制御手段は、操舵アクチュエータ及び制駆動アクチュエータを制御し、各輪の目標タイヤ発生力を実現するために必要な各輪の操舵角、または各輪の操舵角と制駆動力とを制御する。
操舵・制駆動制御手段14としては、制動力制御手段、駆動力制御手段、前輪操舵制御手段、または後輪制御操舵手段を用いることができる。
この制駆動制御手段としては、ドライバ操作とは独立して各車輪の制動力を個別に制御する、いわゆるESC(Electronic Stability Control)に用いられる制御手段、ドライバ操作とは機械的に分離され、各車輪の制動力を信号線を介して任意に制御する制御手段(いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ)等がある。
駆動制御手段としては、エンジントルクをスロットル開度、点火進角の遅角、または燃料噴射量を制御することによって駆動力を制御する制御手段、変速機の変速位置を制御することによって駆動力を制御する制御手段、トルクトランスファを制御することによって前後方向及び左右方向の少なくとも一方の駆動力を制御する制御手段等を用いることができる。
前輪操舵制御手段としては、ドライバのステアリングホイール操作に重畳して前輪の操舵角を制御する制御手段、ドライバ操作とは機械的に分離され、ステアリングホイールの操作とは独立して前輪操舵角を制御する制御手段(いわゆるステア・バイ・ワイヤ)等を用いることができる。
また、後輪操舵制御手段としては、ドライバのステアリングホイール操作に応じて後輪の操舵角を制御する制御手段、ドライバ操作とは機械的に分離され、ステアリングホイールの操作とは独立して後輪操舵角を制御する制御手段等を用いることができる。
なお、制駆動力のみを演算し、駆動力、制動力、または制駆動力を制御する、すなわち操舵角を制御することなくタイヤ発生力の大きさのみを制御するようにしてもよい。
上記利用摩擦円演算手段10、各輪発生力・ロール剛性配分演算手段12(各輪発生力方向演算手段12A、各輪利用率・ロール剛性配分演算手段12B、各輪発生力方向修正手段12C、及び各輪発生力演算手段12D)、操舵・制駆動制御手段14、サスペンション制御手段16、及び摩擦円演算手段18は、1つまたは複数のコンピュータで構成することができる。この場合、コンピュータには、コンピュータを上記各手段として機能させるためのプロブラムが格納される。
なお、上記では利用摩擦円演算手段10を用いる例について説明したが、利用摩擦円は各輪利用率rと各輪摩擦円の大きさFとの積で表わされるので、利用摩擦円演算手段10を省略し、各輪発生力方向演算手段12Aに、摩擦円演算手段18で演算された各輪摩擦円の大きさF、後述する各輪利用率演算手段で演算された各輪利用率の前回値ri0、及び各輪タイヤ発生力の方向の前回値qi0を入力し、目標車体フォース及びモーメント、各輪摩擦円の大きさF、各輪利用率の前回値ri0、及び各輪タイヤ発生力の方向の前回値qi0を用いて上記と同様に、目標車体フォース及びモーメントを達成する拘束条件下でμ利用率の上限値γを最小化する各輪タイヤ発生力の方向qを上記(50)式に基づいて演算するようにしてもよい。
次に、状況に応じてロール剛性配分を変化させた上記実施の形態の効果について説明する。図4は、目標車体フォース及びモーメントを各々Fxo=5000N,Fyo=5000N,Mzo=1000Nmとすると共にロール剛性配分を0.574、μ利用率を0.439とした場合(図4(a))と、目標車体フォース及びモーメントを各々Fxo=5000N,Fyo=5000N,Mzo=10000Nmとすると共にロール剛性配分を1.0、μ利用率を0.649とした場合(図4(b))との高μ路旋回制動時のシミュレーション結果を示したものである。このシミュレーションでは、漸化式の繰り返し演算を10回実施した後の各輪発生力演算値を利用している。
アンチスピンモーメント指令が小さい場合、前後輪のロール剛性配分は、略1:1となり、タイヤの非線形性を考慮した荷重がなるべく均等となる解が得られている。これに対し、アンチスピンモーメント指令を大きくした場合には、μ利用率の低下する旋回前内輪の摩擦円の大きさを小さくするようにロール剛性配分が前輪に移動している。
また、図5(a),(b)は、上記のシミュレーションを行った場合の繰返し演算のステップ毎の演算結果を示したものである。本実施の形態では、ロール剛性配分と各輪発生力の最適化が同時に達成され、ステップ毎にμ利用率が低下していることが理解できる。
本実施の形態の制御手段では、以下のように制御することができる。
演算された各輪タイヤ発生力が得られるように車両運動を制御した場合に、目標ヨーモーメントと逆方向のヨーモーメントを発生する各輪タイヤ発生力が存在する場合には、このタイヤ発生力を発生する車輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率と比較して小さくなるようにμ利用率の制御を行う。この場合、目標車体前後力及び目標車体横力の大きさとタイヤ位置から車両重心までのモーメントアームの代表的な長さとの積が、目標ヨーモーメントの大きさと略一致する場合に、μ利用率の制御を行うのが効果的である。
旋回制動中に外向きヨーモーメントが要求されたときには、旋回内前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する。
旋回制動中に内向きヨーモーメントが要求されたときには、旋回外後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する。
旋回加速中に外向きモーメントが要求されたときには、旋回外前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する。
旋回加速中に内向きモーメントが要求されたときには、旋回内後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する。
次に、μ利用率低減の効果について説明する。目標車体フォース、すなわち車体の横力と前後力とからなる車体合力の目標値が、目標ヨーモーメントに比較して大きい場合、すなわち目標車体フォースの大きさとタイヤ位置から車両重心までのモーメントアームの代表的な長さとの積が、目標ヨーモーメントの大きさに比較して大きい場合には、各輪のタイヤ発生力は目標車体フォースの方向に概ね一致させることがタイヤ発生力を効率よく利用してμ利用率の上限を低減させるタイヤ発生力配分になる。すなわち、目標車体フォースを得るために必要かつ効率的な各輪のタイヤ発生力は、目標車体フォースの方向に概ね一致する。
一方、目標車体フォースが目標ヨーモーメントに比較して小さい場合、すなわち目標車体フォースの大きさとタイヤ位置から車両重心までのモーメントアームの代表的な長さとの積が目標ヨーモーメントの大きさに比較して小さい場合には、各輪のタイヤ発生力は目標ヨーモーメントを発生させる方向に概ね一致させることがタイヤ発生力を効率よく利用してμ利用率の上限を低減させるタイヤ発生力配分になる。すなわち、目標モーメントを得るために必要かつ効率的な各輪のタイヤ発生力は、目標ヨーモーメントを発生させる方向に概ね一致する。
これに対し、目標車体フォースが目標ヨーモーメントと略一致する場合、すなわち目標車体フォースの大きさとタイヤ位置から車両重心までのモーメントアームの代表的な長さとの積が目標モーメントの大きさに略一致する場合には、目標車体フォースを効率よく得るために必要なタイヤ発生力と目標ヨーモーメントを効率よく得るために必要なタイヤ発生力を両立させる必要がある。このとき、目標車体フォースの方向と目標ヨーモーメントを発生させるタイヤ発生力の方向が逆方向である車輪では、目標車体フォースを得るためのタイヤ発生力と目標ヨーモーメントを発生させるタイヤ発生力が相殺し、この車輪のμ利用率が小さくなる。
このように、目標車体フォースが目標ヨーモーメントと略一致する場合には、目標車体フォースの方向と目標ヨーモーメントを発生させるタイヤ発生力の方向とが逆方向である車輪のμ利用率を他の車輪に比較して小さくすることによって、全体としてのタイヤ発生力の利用率を向上させ、μ利用率上限を低減させることができる。
次に、μ利用率を低減させる車輪の荷重を減少させる場合の効果について説明する。μ利用率を低減させる車輪の荷重を減少し、減少させた分の荷重を他の車輪に移動させることによって、μ利用率の大きな車輪の荷重が増加する。このとき、路面μと荷重の積で概ね記述できる摩擦円も大きくなることから、結果的にμ利用率の大きな車輪のμ利用率(=タイヤ発生力の大きさ/摩擦円の大きさ)を低減することができる。これは、μ利用率の上限値が1となる限界の車体フォースモーメントの値を増加させる、すなわち限界性能を向上させることを意味している。
具体的に、旋回制動中に外向きヨーモーメントが要求され、旋回内前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、ロール剛性配分を前輪に大きく配分すると、後輪の左右輪に比較して前輪の左右輪の荷重差が大きくなり、前輪の内輪は荷重がより小さく、前輪の外輪は荷重がより大きくなる。μ利用率を他の車輪に比較して小さく設定する旋回内前輪は荷重を低減させることによってμ利用率は多少増加する。一方で、旋回外前輪は荷重が増加することに伴って摩擦円が大きくなる。この状況下で、タイヤ発生力の最適配分を再び実施することにより、目標車体フォースとモーメントの双方の実現に効率よく働く旋回外前輪のタイヤ力を有効に利用することが可能となり、限界性能を向上させたり、μ利用率上限値を低減、すなわちグリップ余裕を向上することができる。
同様に、旋回制動中に内向きヨーモーメントが要求され、旋回外後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、ロール剛性配分を前輪に大きく配分すると、前輪の左右輪に比べて後輪の左右輪の荷重差が小さくなり、標準のロール剛性配分の状態と比較して旋回外後輪の荷重を低下、旋回内後輪の荷重を増加させることができる。μ利用率を他の車輪に比較して小さく設定する旋回外後輪は荷重を低減させることによってμ利用率は多少増加する。一方で、旋回内後輪は荷重が増加することに伴って摩擦円が大きくなる。この状況下で、タイヤ発生力の最適配分を再び実施することにより、目標車体フォースとモーメントの双方の実現に効率よく働く旋回内後輪のタイヤ力を有効に利用することが可能となり、限界性能を向上させたり、μ利用率上限値を低減、すなわちグリップ余裕を向上することができる。
さらに、旋回加速中に外向きヨーモーメントが要求され、旋回外前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、ロール剛性配分を後輪に大きく分配すると、後輪の左右輪に比較して前輪の左右輪の荷重差が小さくなり、標準のロール剛性配分の状態と比較して旋回外前輪の荷重を低下、旋回内前輪の荷重を増加させることができる。μ利用率を他の車輪に比較して小さく設定する旋回外前輪は荷重を低減させることによってμ利用率は多少増加する。一方で、旋回内前輪は荷重が増加することに伴って摩擦円が大きくなる。この状況下で、タイヤ発生力の最適配分を再び実施することにより、目標車体フォースとモーメントとの双方の実現に効率よく働く旋回内前輪のタイヤ力を有効に利用することが可能となり、限界性能を向上させたり、μ利用率上限値を低減、すなわちグリップ余裕を向上することができる。
また、旋回加速中に内向きヨーモーメントが要求され、旋回内後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、ロール剛性配分を後輪に大きく配分すると、前輪の左右輪に比較して後輪の左右輪の荷重差が大きくなり、後輪の内輪は荷重がより小さく、後輪の外輪は荷重がより大きくなる。μ利用率を他の車輪に比較して小さく設定する旋回内後輪は荷重を低減させることによってμ利用率は多少増加する。一方で、旋回外後輪は荷重が増加することに伴って摩擦円が大きくなる。この状況下で、タイヤ発生力の最適配分を再び実施することにより、目標車体フォースとモーメントの双方の実現に効率よく働く旋回外後輪のタイヤ力を有効に利用することが可能となり、限界性能を向上させたり、μ利用率上限値を低減、すなわちグリップ余裕を向上することができる。
車両運動モデルを示す概略図である。 図1の車両運動モデルにおける発生合力に対応した座標系を示す概略図である。 図2の各輪利用率・ロール剛性配分演算手段の詳細を示すブロック図である。 (a)は各輪利用率rを1に固定した場合の演算結果における各輪のタイヤ発生力等を示す概略図であり、(b)は本実施の形態の演算結果における各輪のタイヤ発生力方向等を示す概略図である。 (a)は各輪利用率rを1に固定した場合の演算結果における繰り返し回数毎の各輪のタイヤ発生力方向等を示す概略図であり、(b)は本実施の形態の演算結果におけるにおける繰り返し回数毎の各輪のタイヤ発生力方向等を示す概略図である。
符号の説明
10 利用摩擦円演算手段
12 各輪発生力・ロール剛性配分演算手段
12A 各輪発生力方向演算手段
12B 各輪利用率・ロール剛性配分演算手段
12C 各輪発生力方向修正手段
12D 各輪発生力演算手段
14 操舵・制駆動制御手段
16 サスペンション制御手段
18 摩擦円演算手段
20 加速度センサ

Claims (22)

  1. 前左右輪の荷重差と後左右輪の荷重差との関係を表わす前回演算されたロール剛性配分に基づいて求めた各輪タイヤの最大発生力を表す各輪摩擦円の大きさと、各輪のμ利用率の上限値に対する割合を表す前回演算された各輪利用率と、目標車体前後力、目標車体横力、及び目標ヨーモーメントを表す目標車体フォース及びモーメントとに基づいて、各輪タイヤ発生力、前記各輪利用率、及び前記ロール剛性配分を演算する各輪発生力・ロール剛性配分演算手段と、
    演算された前記各輪タイヤ発生力に基づいて、演算された前記各輪タイヤ発生力が得られるように車両運動を制御する車両運動制御手段と、
    演算された前記ロール剛性配分に基づいて、演算された前記ロール剛性配分が得られるようにサスペンションを制御するサスペンション制御手段と、
    を含む車両運動制御装置。
  2. 前記各輪発生力・ロール剛性配分演算手段を、
    前記目標車体フォース及びモーメント、前記各輪の摩擦円の大きさ、前記各輪利用率、及び前回演算された前記各輪タイヤ発生力の方向とに基づいて、前記目標車体フォース及びモーメントを達成する拘束条件下でμ利用率の上限値を最小にする前記各輪タイヤ発生力の方向を演算する方向演算手段と、
    前記目標車体フォース及びモーメントを達成する拘束条件下でμ利用率の上限値を低下させるように前記各輪利用率及び前記ロール剛性配分を演算する各輪利用率・ロール剛性配分演算手段と、
    前記拘束条件下で前記目標車体フォース及びモーメントを達成するための前記各輪利用率・ロール剛性配分演算手段の演算結果に応じて、前記各輪タイヤ発生力の方向を修正する各輪発生力方向修正手段と、
    演算された前記各輪利用率、修正された前記各輪タイヤ発生力の方向、及びμ利用率の上限値に基づいて、各輪タイヤ発生力を演算する各輪発生力演算手段と、
    を含んで構成した請求項1記載の車両運動制御装置。
  3. 前記各輪発生力方向修正手段は、演算された前記各輪利用率の変化に応じて前記拘束条件を満足させるように前記各輪タイヤ発生力の方向を修正すると共に、演算された前記ロール剛性配分の変化に応じて変化する各輪摩擦円の大きさに応じて前記拘束条件を満足させるように前記各輪タイヤ発生力の方向を修正する請求項1または請求項2記載の車両運動制御装置。
  4. 前記車両運動制御手段を、
    前記各輪発生力演算手段で演算された各輪タイヤ発生力に基づいて、各輪の制動力及び駆動力の少なくとも一方を制御する第1の制御量、または前記第1の制御量及び各輪の操舵角を制御する第2の制御量を演算する制御量演算手段と、
    前記第1の制御量に基づいて、各輪の制動力及び駆動力の少なくとも一方を制御するか、または前記第1の制御量及び前記第2の制御量に基づいて、各輪の制動力及び駆動力の少なくとも一方及び各輪の操舵角を制御する制駆動舵角制御手段と、
    を含んで構成した請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の車両運動制御装置。
  5. 前記車両運動制御手段は、目標車体前後力と目標車体横力とからなる目標車体フォースの方向に各輪のタイヤ発生力を発生させるときに、目標ヨーモーメントと逆方向のヨーモーメントが発生する車輪には、該ヨーモーメントが発生する車輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率と比較して小さくなるようにμ利用率の制御を行う請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の車両運動制御装置。
  6. 前記車両運動制御手段は、目標車体前後力及び目標車体横力の大きさとタイヤ位置から車両重心までのモーメントアームの代表的な長さとの積が、前記目標ヨーモーメントの大きさと略一致する場合に、前記μ利用率の制御を行う請求項5記載の車両運動制御装置。
  7. 前記車両運動制御手段は、旋回制動中に外向きヨーモーメントが要求されたときには、旋回内前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の車両運動制御装置。
  8. 前記車両運動制御手段は、旋回制動中に内向きヨーモーメントが要求されたときには、旋回外後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の車両運動制御装置。
  9. 前記車両運動制御手段は、旋回加速中に外向きモーメントが要求されたときには、旋回外前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する請求項1〜請求項8のいずれか1項記載の車両運動制御装置。
  10. 前記車両運動制御手段は、旋回加速中に内向きモーメントが要求されたときには、旋回内後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する請求項1〜請求項9のいずれか1項記載の車両運動制御装置。
  11. 前記サスペンション制御手段は、μ利用率を他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、この制御対象の車輪の荷重を低下させるように各輪荷重を制御することを特徴とする請求項5記載の車両運動制御装置。
  12. 前記サスペンション制御手段は、旋回制動中に外向きモーメントが要求され、旋回内前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、旋回内前輪の荷重を低下させるように、ロール剛性配分を前輪に大きく配分することを特徴とする請求項11記載の車両運動制御装置。
  13. 前記サスペンション制御手段は、旋回制動中に内向きモーメントが要求され、旋回外後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、旋回外後輪の荷重を低下させるように、ロール剛性配分を前輪に大きく配分することを特徴とする請求項11記載の車両運動制御装置。
  14. 前記サスペンション制御手段は、旋回加速中に外向きモーメントが要求され、旋回外前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、旋回外前輪の荷重を低下させるように、ロール剛性配分を後輪に大きく配分することを特徴とする請求項11記載の車両運動制御装置。
  15. 前記サスペンション制御手段は、旋回加速中に内向きモーメントが要求され、旋回内後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する場合に、旋回内後輪の荷重を低下させるように、ロール剛性配分を後輪に大きく配分することを特徴とする請求項11記載の車両運動制御装置。
  16. 前記サスペンション制御手段は、全ての輪の中で最小の各輪利用率が基準値以下となったときに、この基準値以下になった車輪が旋回内前輪または旋回外後輪の場合に、各輪利用率に応じてロール剛性配分を前輪に、またこの基準値以下になった車輪が旋回外前輪または旋回内後輪の場合に、各輪利用率に応じてロール剛性配分を後輪に大きく配分することを特徴とする請求項5記載の車両運動制御装置。
  17. 前左右輪の荷重差と後左右輪の荷重差との関係を表わす前回演算されたロール剛性配分に基づいて求めた各輪タイヤの最大発生力を表す各輪摩擦円の大きさと、各輪のμ利用率の上限値に対する割合を表す前回演算された各輪利用率と、目標車体前後力、目標車体横力、及び目標ヨーモーメントを表す目標車体フォース及びモーメントとに基づいて、各輪タイヤ発生力、前記各輪利用率、及び前記ロール剛性配分を演算し、
    演算された前記各輪タイヤ発生力に基づいて、演算された前記各輪タイヤ発生力が得られるように車両運動を制御すると共に、演算された前記ロール剛性配分に基づいて、演算された前記ロール剛性配分が得られるようにサスペンションを制御する車両運動制御方法であって、
    目標車体前後力と目標車体横力とからなる目標車体フォースの方向に各輪のタイヤ発生力を発生させるときに、目標ヨーモーメントと逆方向のヨーモーメント発生する車輪には、該ヨーモーメント発生する車輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率と比較して小さくなるようにμ利用率の制御を行う車両運動制御方法。
  18. 目標車体前後力及び目標車体横力の大きさとタイヤ位置から車両重心までのモーメントアームの代表的な長さとの積が、前記目標ヨーモーメントの大きさと略一致する場合に、前記μ利用率の制御を行う請求項17記載の車両運動制御方法。
  19. 旋回制動中に外向きヨーモーメントが要求されたときには、旋回内前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する請求項17または請求項18記載の車両運動制御方法。
  20. 旋回制動中に内向きヨーモーメントが要求されたときには、旋回外後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する請求項17〜請求項19のいずれか1項記載の車両運動制御方法。
  21. 旋回加速中に外向きモーメントが要求されたときには、旋回外前輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する請求項17〜請求項20のいずれか1項記載の車両運動制御方法。
  22. 旋回加速中に内向きモーメントが要求されたときには、旋回内後輪のμ利用率が他の車輪のμ利用率に比較して小さくなるように制御する請求項17〜請求項21のいずれか1項記載の車両運動制御方法。
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