以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するためのレーザ加工装置、レーザ加工条件設定装置、レーザ加工条件設定方法、レーザ加工条件設定プログラム、コンピュータで読み取り可能な記録媒体及び記録した機器を例示するものであって、本発明はレーザ加工装置、レーザ加工条件設定装置、レーザ加工条件設定方法、レーザ加工条件設定プログラム、コンピュータで読み取り可能な記録媒体及び記録した機器を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
本明細書においてレーザ加工装置とこれに接続される操作、制御、入出力、表示、その他の処理等のためのコンピュータ、プリンタ、外部記憶装置その他の周辺機器との接続は、例えばIEEE1394、RS−232x、RS−422、RS−423、RS−485、USB、PS2等のシリアル接続、パラレル接続、あるいは10BASE−T、100BASE−TX、1000BASE−T等のネットワークを介して電気的に接続して通信を行う。接続は有線を使った物理的な接続に限られず、IEEE802.1x、OFDM方式等の無線LANやBluetooth(登録商標)等の電波、赤外線、光通信等を利用した無線接続等でもよい。さらに観察像のデータ保存や設定の保存等を行うための記録媒体には、メモリカードや磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が利用できる。
第1及び第13〜15発明によれば、レーザ加工データをレーザ照射可能な位置に自動的に配置した上で3次元表示されるので、ユーザは特に視野変更などを行わなくともデフォルト状態で視覚的に加工状態を容易に把握できる。第2発明によれば、デフォルト状態で加工精度の高い位置にレーザ加工データを配置することができる。第3発明によれば、円柱状、円錐状、又は球状の加工対象面の頂点で、視認性と加工精度の高い位置にレーザ加工データを配置して3次元表示できる。第4発明によれば、初期位置をユーザが所望の位置に変更でき、使い勝手良く使用できる。第5〜第7発明によれば、レーザ加工データの初期位置をセンタリング、左寄せ、右寄せなど、所望の状態に揃えることができる。
第8及び第9発明によれば、レーザ加工データが不可能若しくは不良となる領域に配置されないよう、言い換えると加工に適した位置に自動的に配置できる。第10発明によれば、物理的にレーザ加工データの配置ができない場合に非表示として、ユーザに警告や再設定を促すことができる。第11発明によれば、ヘッド部と加工対象面との位置関係に応じて、自動的にレーザ加工データのレイアウトが設定されるので、特に複数の加工ブロックが設定されている場合に、設定の手間を省いて簡単に適切な自動配置が実現される。第12発明によれば、3次元的な加工対象面に加工可能なレーザ加工装置において、3次元の加工対象面のイメージを好適に表示して確認できる。
また、本明細書においては加工の代表例として印字について説明するが、上述の通り印字加工に限られず、溶融や剥離、表面酸化、切削、変色等のレーザ光を使ったあらゆる加工処理においても利用できる。また印字とは文字や記号、図形等のマーキングの他、上述した各種の加工も含む概念で使用する。さらに本明細書において加工パターンは、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットや数字、記号、絵文字、アイコン、ロゴ、バーコードや2次元コード等のグラフィック等、さらに直線、曲線等の図形も含める意味で使用する。特に本明細書において文字又はシンボルで指す文字とは、OCR等、光学式の読み取り装置で読み取り可能なキャラクターを意味し、アルファベットや漢字、ひらがな、カタカナの他、数字や記号も含む概念である。またシンボルとは、バーコードや2次元コードを意味する。2次元コードには、QRコード、マイクロQRコード、データマトリクス(Data matrix;Data code)、ベリコード(Veri code)、アズテックコード(Aztec code)、PDF417、マキシコード(Maxi code)等がある。その他、リニアコードと2次元コードが混在するRSSやコンポジットコード等がある。RSSは省スペースシンボル(Reduced Space Symbology)であり、RSS14、RSS Stacked、RSS Limited、RSS Expanded等が利用されている。コンポジットコード(Composite Code:CC)はバーコードとスタック型2次元コードを複合化したもので、種々の組み合わせが利用可能であり、ベースになるバーコードとしてEAN/UPC(EAN-13,EAN-8,UPC-A,UPC-E)、EAN/UPC128およびRSSファミリ(RSS14,RSS Limited,RSS Expanded)の3種が利用できる。また付加情報には、MicroPDF417またはPDF417の2次元シンボルが利用できる。また、本実施の形態は、バーコードと、マイクロQRコード等のマトリクス型2次元コードとを組み合わせたものにも適用できる。
図1はレーザ加工装置100を構成するブロック図を示す。この図に示すレーザ加工装置100は、レーザ制御部1とレーザ出力部2と入力部3とを備える。
(入力部3)
入力部3はレーザ制御部1に接続され、レーザ加工装置を操作するための必要な設定を入力してレーザ制御部1に送信する。設定内容はレーザ加工装置の動作条件や具体的な印字内容等である。入力部3はキーボードやマウス、コンソール等の入力デバイスである。また、入力部3で入力された入力情報を確認したり、レーザ制御部1の状態等を表示する表示部82を別途設けることもできる。表示部82はLCDやブラウン管等のモニタが利用できる。またタッチパネル方式を利用すれば、入力部と表示部を兼用することもできる。これによって、コンピュータ等を外部接続することなく入力部でレーザ加工装置の必要な設定を行うことができる。
(レーザ制御部1)
レーザ制御部1は、制御部4とメモリ部5とレーザ励起部6と電源7とを備える。入力部3から入力された設定内容をメモリ部5に記録する。制御部4は必要時にメモリから設定内容を読み込み、印字内容に応じた印字信号に基づいてレーザ励起部6を動作させてレーザ出力部2のレーザ媒質8を励起する。メモリ部5はRAMやROM等の半導体メモリが利用できる。またメモリ部5はレーザ制御部1に内蔵する他、挿抜可能なPCカードやSDカード等の半導体メモリカード、カード型ハードディスク等のメモリカードを利用することもできる。メモリカードで構成されるメモリ部5は、コンピュータ等の外部機器で容易に書き換え可能であり、コンピュータで設定した内容をメモリカードに書き込み、レーザ制御部1にセットすることで、入力部をレーザ制御部に接続することなく設定を行うことができる。特に半導体メモリはデータの読み込み・書き込みが高速で、しかも機械的動作部分がないため振動等に強く、ハードディスクのようなクラッシュによるデータ消失事故を防止できる。
さらに制御部4は、設定された印字を行うようレーザ媒質8で発振されたレーザ光Lを印字対象物(ワーク)W上で走査させるため、レーザ出力部2の走査部9を動作させる走査信号を走査部9に出力する。電源7は、定電圧電源として、レーザ励起部6へ所定電圧を印加する。印字動作を制御する印字信号は、そのHIGH/LOWに応じてレーザ光LのON/OFFが切り替えられ、その1パルスが発振されるレーザ光Lの1パルスに対応するPWM信号である。PWM信号は、その周波数に応じたデューティ比に基づいてレーザ強度が定められるが、周波数に基づいた走査速度によってもレーザ強度が変化するよう構成することもできる。
(レーザ励起部6)
レーザ励起部6は、光学的に接合されたレーザ励起光源10とレーザ励起光源集光部11を備える。レーザ励起部6の内部の一例を図4の斜視図に示す。この図に示すレーザ励起部6は、レーザ励起光源10とレーザ励起光源集光部11をレーザ励起部ケーシング12内に固定している。レーザ励起部ケーシングは、熱伝導性の良い銅等の金属で構成され、レーザ励起光源10を効率よく外部に放熱する。レーザ励起光源10は半導体レーザやランプ等で構成される。図4の例では、複数の半導体レーザダイオード素子を直線状に並べたレーザダイオードアレイを使用しており、各素子からのレーザ発振がライン状に出力される。レーザ発振はレーザ励起光源集光部11の入射面に入射されて、出射面から集光されたレーザ励起光として出力される。レーザ励起光源集光部11はフォーカシングレンズ等で構成される。レーザ励起光源集光部11からのレーザ励起光は光ファイバケーブル13等によりレーザ出力部2のレーザ媒質8に入射される。レーザ励起光源10とレーザ励起光源集光部11、光ファイバケーブル13は、空間あるいは光ファイバを介して光学的に結合されている。
(レーザ出力部2)
レーザ出力部2は、レーザ発振部50を備える。レーザ光Lを発生させるレーザ発振部50は、レーザ媒質8と、レーザ媒質8が放出する誘導放出光の光路に沿って所定の距離を隔てて対向配置された出力ミラー及び全反射ミラーと、これらの間に配されたアパーチャ、Qスイッチ等を備える。レーザ媒質8が放出する誘導放出光を、出力ミラーと全反射ミラーとの間での多重反射により増幅し、Qスイッチの動作により短周期にて通断しつつアパーチャによりモード選別して、出力ミラーを経てレーザ光Lを出力する。図1に示すレーザ出力部2は、レーザ媒質8と走査部9を備える。レーザ媒質8は光ファイバケーブル13を介してレーザ励起部6から入射されるレーザ励起光で励起されて、レーザ発振される。レーザ媒質8はロッド状の一方の端面からレーザ励起光を入力して励起され、他方の端面からレーザ光Lを出射する、いわゆるエンドポンピングによる励起方式を採用している。
(レーザ媒質8)
上記の例では、レーザ媒質8としてロッド状のNd:YVO4の固体レーザ媒質を用いた。また固体レーザ媒質の励起用半導体レーザの波長は、このNd:YVO4の吸収スペクトルの中心波長である809nmに設定した。ただ、この例に限られず他の固体レーザ媒質として、例えば希土類をドープしたYAG、LiSrF、LiCaF、YLF、NAB、KNP、LNP、NYAB、NPP、GGG等も用いることもできる。また、固体レーザ媒質に波長変換素子を組み合わせて、出力されるレーザ光Lの波長を任意の波長に変換できる。また、レーザ媒質としてバルクに代わってファイバーを発振器として利用した、いわゆるファイバーレーザにも適用可能である。
さらに、固体レーザ媒質を使用せず、言い換えるとレーザ光を発振させる共振器を構成せず、波長変換のみを行う波長変換素子を使用することもできる。この場合は、半導体レーザの出力光に対して波長変換を行う。波長変換素子としては、例えばKTP(KTiPO4)、有機非線形光学材料や他の無機非線形光学材料、例えばKN(KNbO3)、KAP(KAsPO4)、BBO、LBOや、バルク型の分極反転素子(LiNbO3(Periodically Polled Lithium Niobate :PPLN)、LiTaO3等)が利用できる。また、Ho、Er、Tm、Sm、Nd等の希土類をドープしたフッ化物ファイバを用いたアップコンバージョンによるレーザの励起光源用半導体レーザを用いることもできる。このように、本実施の形態においてはレーザ発生源として様々なタイプを適宜利用できる。
さらにまた、レーザ発振部は、固体レーザに限られず、CO2やヘリウム−ネオン、アルゴン、窒素等の気体を媒質として用いる気体レーザを利用することもできる。例えば炭酸ガスレーザを用いた場合のレーザ発振部は、レーザ発振部の内部に炭酸ガス(CO2)が充填され、電極を内蔵しており、レーザ制御部から与えられる印字信号に基づいて、レーザ発振部内の炭酸ガスを励起し、レーザ発振させる。
(走査系)
次に、レーザ加工装置のレーザ光走査系を図5、図6、図7に示す。これらの図において、図5はレーザ加工装置のレーザ光走査系の構成を示す斜視図を、図6は図5を逆方向から見た斜視図を、図7は側面図を、それぞれ示している。これらの図に示すレーザ加工装置は、レーザ光Lを発生させるレーザ発振部と光路を一致させたZ軸スキャナを内蔵するビームエキスパンダ53と、X軸スキャナ14aと、X軸スキャナ14aと直交するよう配置されたY軸スキャナ14bとを備える。このレーザ光走査系は、レーザ発振部より出射されるレーザ光LをX軸スキャナ14a、Y軸スキャナ14bで作業領域WS内で2次元的に走査させ、さらにZ軸スキャナ14cで高さ方向にワーキングディスタンスすなわち焦点距離を調整することができ、3次元状に印字加工が可能となる。なお、X軸スキャナ、Y軸スキャナ、Z軸スキャナは、互いに入れ替えても同様に機能できることはいうまでもない。例えばZ軸スキャナを出射したレーザ光をY軸スキャナで受けるよう構成したり、あるいはX軸スキャナでY軸を制御し、Y軸スキャナでZ軸を制御するよう配置してもよい。また図において集光レンズであるfθレンズは図示を省略している。
レーザ加工装置においては一般に、第2のミラー(Y軸スキャナ)で反射されたレーザ光を作業領域に照射させるよう集光するために、第2のミラーと作業領域の間には、fθレンズと呼ばれる集光レンズを配置している。fθレンズは、Z軸方向の補正を行う。具体的には、図8(a)に示すように、作業領域WSの端部に近付くほど焦点位置を伸ばし、ワークの加工対象面上に位置させる補正である。レーザ光の焦点位置は円弧状の軌跡となるため、加工対象面が平面の場合、鉛直下の位置、図8(a)において加工対象面を示す平面WMの中心で焦点位置が合うように設定すると、中心から離れるほど、すなわち作業領域WSの周辺に近付くほど焦点位置が加工対象面から遠ざかり(レーザ光L’)、焦点が合わず加工精度が低下する。そこで、図8(b)に示すように作業領域WSの端部に近付くほどレーザ光Lの焦点位置が長くなるよう、fθレンズで補正する。仮想的に加工対象面の平面WMが、WM’で示す凸状曲面の補正面となるよう変換することで、レーザ光Lの焦点位置を平面WM上に位置させることができる。
レーザマーカにおいて、例えばスポット径を約50μmより小さいビームを形成したい場合は、fθレンズを配置することが好ましい。一方、上述の小スポット径よりも大きい、スポット径が約100μm程度(通常良く使用されるスポット径)のビーム径を採用する場合は、Z軸スキャナ側のビームエキスパンダに備えられたZ軸集光レンズをZ軸方向に移動させることにより、fθレンズが行うべきZ軸方向の補正を、補正制御として行うことができる。これにより、スポット径が大きい場合はfθレンズを省略することも可能となる。上述した図8(a)の例では、fθレンズが行うべきZ軸方向の補正を、Z軸スキャナの補正制御に行わせている。一方、スポット径が小さい場合は、Z軸スキャナによる補正では焦点位置の調整が不十分となるため、上述の通りfθレンズを用いる。本実施の形態では、レーザ光のスポット径として小スポット、標準、ワイドスポットの3種類を用意しており、この内の小スポットタイプのみ、fθレンズで作業領域WS端部の歪みを矯正し、標準及びワイドスポットではfθレンズを使用せず、Z軸スキャナで補正している。
Z軸スキャナのビームエキスパンダに備えられたZ軸集光レンズでZ軸方向の補正制御を行う場合も、上述したfθレンズによる補正と同様の補正を行う。図8(b)で説明した補正面WM’の高さ、すなわちZ座標は、XY座標によって一義的に決定される。このため、XY座標毎に、補正後のZ座標を関連付けておくことで、XY軸スキャナの移動に従いZ軸スキャナを関連付けられたZ座標に移動させれば、常に焦点位置での加工が可能となる。関連付けのデータは、図13Aに示すレーザ加工データ設定装置の記憶部5Aで保存する。あるいはレーザ加工装置のレーザ制御部に備えられたメモリ部5に保存、転送することもできる。これによって、作業領域内におけるXY座標の移動に追従して、補正後のZ座標が決定されるので、作業領域内でほぼ均一に焦点位置が調整されたレーザ光を照射できる。
各スキャナは、光を反射する反射面として全反射ミラーであるガルバノミラーと、ガルバノミラーを回動軸に固定して回動するためのガルバノモータと、回動軸の回転位置を検出して位置信号として出力する位置検出部を備える。またスキャナは、スキャナを駆動するスキャナ駆動部に接続される。スキャナ駆動部はスキャナ制御部74に接続され、スキャナを制御する制御信号をスキャナ制御部74から受けて、これに基づいてスキャナを駆動する。例えばスキャナ駆動部は、制御信号に基づいてスキャナを駆動する駆動電流を調整する。またスキャナ駆動部は、制御信号に対する各スキャナの回転角の時間変化を調整する調整機構を備える。調整機構は、スキャナ駆動部の各パラメータを調整する可変抵抗等の半導体部品で構成される。
(Z軸スキャナ14c)
Z軸スキャナ14cはレーザ光Lのスポット径を調整し、これによって焦点距離を調整するビームエキスパンダ53を構成している。すなわち、ビームエキスパンダで入射レンズと出射レンズとの相対距離を変化させることでレーザ光のビーム径を拡大/縮小し、焦点位置も変化させることができる。ビームエキスパンダ53は、小スポットへの集光を効果的に行わせるため、図5に示すようにガルバノミラーの前段に配置され、レーザ発振部から出力されるレーザ光Lのビーム径を調整すると共に、レーザ光Lの焦点位置を調整可能としている。Z軸スキャナ14cがワーキングディスタンスを調整する方法を、図9〜図11に基づいて説明する。図9、図10はレーザ光走査系の側面図であり、図9はレーザ光Lの焦点距離を長くする場合、図10は焦点距離を短くする場合をそれぞれ示している。また図11はZ軸スキャナ14cの正面図及び断面図を示している。これらの図に示すように、Z軸スキャナ14cはレーザ発振部側に面する入射レンズ16と、レーザ出射側に面する出射レンズ18を含んでおり、これらのレンズ間の距離を相対的に変化可能としている。図9〜図11の例では、出射レンズ18を固定し、入射レンズ16を光軸方向に沿って駆動モータ等で摺動可能としている。図11は出射レンズ18の図示を省略して、入射レンズ16の駆動機構を示している。この例では、コイルと磁石によって軸方向に可動子を摺動可能とし、可動子に入射レンズ16を固定している。ただ、入射レンズ側を固定して出射レンズ側を移動可能としたり、入射レンズ、出射レンズを共に移動可能とすることもできる。
図9に示すように、入射レンズ16と出射レンズ18との間の距離を近付けると、焦点位置が遠ざかり、焦点距離(ワーキングディスタンス)が大きくなる。逆に図10に示すように入射レンズ16と出射レンズ18との距離を離すと、焦点位置が近付き焦点距離が小さくなる。
なお、3次元加工、すなわちワークの高さ方向への加工が可能なレーザ加工装置は、上記図9、図10のようにZ軸スキャナを調整する方式の他、例えば物理的に集光レンズを移動させる、あるいはレーザ出力部やマーキングヘッド自体を移動可能とする等、他の方式を利用することも可能である。
(ディスタンスポインタ)
また、3次元加工可能なレーザマーカの作業領域の中心に焦点位置を調整するために、レーザ光を作業領域WS内に走査させる際の照射位置を示すガイドパターンを表示することができる。図5〜図6に示すレーザマーカのレーザ光走査系は、ディスタンスポインタとして、ガイド用光源60と、ガイド用光源60からのガイド光Gをレーザ光走査系の光軸と一致させるためのガイド光光学系の一形態としてハーフミラー62を備えると共に、ポインタ光調整系として、ポインタ光Pを照射するためのポインタ用光源64と、Y軸スキャナ14bの裏面に形成された第3のミラーとしてポインタ用スキャナミラー14dと、ポインタ用スキャナミラー14dで反射されたポインタ用光源64からのポインタ光Pをさらに反射させて焦点位置に向かって照射する固定ミラー66とを備えている。このディスタンスポインタは、レーザ光の焦点位置を示すポインタ光Pをポインタ用光源64から照射し、ガイド光Gで表示されるガイドパターンのほぼ中心に、ポインタ光Pを照射するよう調整することで、レーザ光の焦点位置が指示される。
なお、上記の例ではレーザ光走査系に、レーザ光の焦点距離を調整可能な機構を設けることで3次元加工を可能としている。ただ、ワークを載置するステージの位置を上下方向に調整可能とすることで、レーザ光の焦点がワークの作業面で結ぶようにステージの高さを調整する制御を行うことでも、同様に3次元加工を行うこともできる。また、ステージをX軸あるいはY軸方向に移動可能とすることで、レーザ光走査系の該当するスキャナを省略できる。これらの構成は、ワークをライン上に搬送する形態でなく、ステージ上に載置して加工する形態において好適に利用できる。
(レーザマーカのシステム構成)
次に図12に、3次元印字可能なレーザマーカのシステム構成を示す。この図に示すレーザ加工システムは、マーキングヘッド150と、マーキングヘッド150と接続されてこれを制御するレーザ制御部1であるコントローラ1Aと、コントローラ1Aとデータ通信可能に接続され、コントローラ1Aに対して印字パターンを3次元のレーザ加工データとして設定するレーザ加工データ設定装置180とを備える。レーザ加工データ設定装置180は、図12の例においてはコンピュータにレーザ加工データ設定プログラムをインストールして、レーザ加工データ設定機能を実現させている。レーザ加工データ設定装置は、コンピュータの他、タッチパネルを接続したプログラマブルロジックコントローラ(PLC)や、その他専用のハードウェア等を利用することもできる。またレーザ加工データ設定装置は、レーザ加工装置の動作を制御する制御装置として機能させることもできる。例えば、一のコンピュータにレーザ加工データ設定装置としての機能と、レーザ出力部を備えるマーキングヘッドのコントローラとしての機能を統合してもよい。さらにレーザ加工データ設定装置は、レーザ加工装置と別部材で構成する他、レーザ加工装置に統合することもでき、例えばレーザ加工装置に組み込まれたレーザ加工データ設定回路等とすることもできる。
さらにコントローラ1Aには、必要に応じて各種外部機器190を接続できる。例えばライン上に搬送されるワークの種別、位置等を確認するイメージセンサ等の画像認識装置、ワークとマーキングヘッド150との距離に関する情報を取得する変位計等の距離測定装置、所定のシーケンスに従って機器の制御を行うPLC、ワークの通過を検出するPDセンサその他各種のセンサ等を設置し、これらとデータ通信可能に接続できる。
(レーザ加工データ設定装置)
平面状の印字データを3次元状に印字するための設定情報であるレーザ加工データは、レーザ加工データ設定装置180により設定される。図13Aは、レーザ加工データ設定装置180の一例としてブロック図を示している。この図に示すレーザ加工データ設定装置180は、各種設定を入力するための入力部3と、入力部3から入力された情報に基づいてレーザ加工データを生成する加工データ生成部80K等を構成する演算部80と、設定内容や演算後のレーザ加工データを表示するための表示部82と、各種設定データを記憶するための記憶部5Aとを備える。また記憶部5Aは、複数の加工パラメータの組み合わせを関連付けて保持した参照テーブル5aを含む。表示部82は、加工対象面のイメージを3次元的に表示可能な加工イメージ表示部83と、加工イメージ表示部83に加工対象面のイメージを3次元的に表示させる際に、マーキングヘッドのイメージを表示可能なヘッドイメージ表示手段84を備える。入力部3は、所望の加工パターンで加工する加工条件を入力するための加工条件設定部3Cとして、ワークの印字面の3次元形状を示すプロファイル情報を入力するための加工面プロファイル入力手段3Aと、印字パターン情報を入力するための加工パターン入力手段3Bと、作業領域内に複数の加工ブロックを設定し、加工ブロック毎に加工パターンを設定可能な加工ブロック設定手段3Fと、ブロック設定手段3Fで設定された複数の加工ブロックを纏めた加工グループを設定するためのグループ設定手段3J、加工対象面上に配置される加工パターンの位置を調整可能な位置調整手段3Kの機能を実現する。加工面プロファイル入力手段3Aはさらに、加工対象面を表す基本図形を指定するための基本図形指定手段3aと、加工対象面を表す3次元形状データを外部から入力するための3次元形状データ入力手段3bの機能を実現する。記憶部5Aは、図1のメモリ部5に相当し、入力部3で設定されたプロファイル情報や印字パターン情報等の情報を記憶する部材であり、固定記憶装置等の記憶媒体や半導体メモリ等が利用できる。表示部82は、専用のディスプレイを設ける他、システムに接続されたコンピュータのモニタを利用してもよい。
(演算部80)
演算部80は、加工条件設定部3Cで設定された加工条件に基づいて、実際の加工を行うための加工データを生成するための加工データ生成部80K、表示部82に3次元のレーザ加工データを表示する際に加工対象面上にレーザ加工データを配置する初期位置を決定する初期位置設定手段80L、作業領域においてレーザ光を照射できず加工できない、あるいは加工が不良となる加工不良領域を検出する加工不良領域検出手段80B、加工不良領域検出手段80Bで検出された加工不良領域に対して、加工可能な領域と異なる態様にて表示するためのハイライト処理を行うハイライト処理手段80I、加工条件設定部3Cで加工パターンを設定する際、加工不良領域を含む領域に何らかの加工が行われるよう設定されていることを検出して、警告を発するための設定警告手段80Jの機能を実現する。また必要に応じて、加工不良領域における加工条件を加工可能となるように調整する加工条件調整手段80C、印字面に印字パターンを仮想的に一致させるように、印字パターン情報を平面状から3次元空間座標データに変換する座標変換手段等の機能を実現させることもできる。この演算部80はFPGAやLSI等のIC等で構成される。
また図13Aの例では、レーザ加工データ設定装置180を専用のハードウェアで構成したが、これらの部材はソフトウェアでも実行できる。特に、図12に示すように汎用のコンピュータにレーザ加工データ設定プログラムをインストールして、レーザ加工データ設定装置180として機能させることもできる。また図13Aの例では、レーザ加工データ設定装置180とレーザ加工装置100とを個別の機器としたが、これらを一体的に統合することもできる。例えばレーザ加工装置に自体にレーザ加工データ設定機能を付加することもできる。
図13Aの例では加工データ生成部80Kは、レーザ加工データ設定装置180側に配置している。例えば汎用のコンピュータにレーザ加工データ設定プログラムをインストールして、レーザ加工データ設定装置180として機能させるコンピュータで加工データ生成部80Kの機能を実現している。一方、加工データ生成部は、レーザ加工装置のコントローラ側に設けることもできる。図13Bのブロック図に、コントローラに加工データ生成部180Kを備えた例を示す。加工データ生成部80K、180Kをレーザ加工装置100側とレーザ加工データ設定装置180側に各々設けることにより、レーザ加工装置100、レーザ加工データ設定装置180のいずれにおいてもレーザ加工データを生成可能としたり、レーザ加工データの受け渡しや編集、表示を各々で可能とできる。図13Bの例では、レーザ加工装置100側の加工データ生成部180Kでレーザ加工データを生成し、このレーザ加工データをレーザ加工データ設定装置180側の加工データ生成部80Kで受信し、表示部82において表示可能としている。
あるいは、加工データ生成部をレーザ加工装置側にのみ設けて、レーザ加工データ設定装置側に設けない構成としてもよい。この例を図13Cのブロック図に示す。レーザ加工装置100は、加工データ生成部180Kで生成したレーザ加工データに基づいて加工と表示を行う。
(レーザ加工データ設定プログラム)
次に、レーザ加工データ設定プログラムを用いて、加工条件設定部3Cから入力された文字情報に基づいて加工パターンを生成する手順を、図14以降のユーザインターフェース画面に基づいて説明する。なおこれらのプログラムのユーザインターフェース画面の例において、各入力欄や各ボタン等の配置、形状、表示の仕方、サイズ、配色、模様等は適宜変更できることはいうまでもない。デザインの変更によってより見やすく、評価や判断が容易な表示としたり操作しやすいレイアウトとすることもできる。例えば詳細設定画面を別ウィンドウで表示させる、複数画面を同一表示画面内で表示する等、適宜変更できる。またこれらのプログラムのユーザインターフェース画面において、仮想的に設けられたボタン類や入力欄に対するON/OFF操作、数値や命令入力等の指定は、プログラムを組み込んだコンピュータに接続された入力部3で行う。本明細書において「押下する」とは、ボタン類に物理的に触れて操作する他、入力部によりクリックあるいは選択して擬似的に押下することを含む。入力部等を構成する入出力デバイスはコンピュータと有線もしくは無線で接続され、あるいはコンピュータ等に固定されている。一般的な入力部としては、例えばマウスやキーボード、スライドパッド、トラックポイント、タブレット、ジョイスティック、コンソール、ジョグダイヤル、デジタイザ、ライトペン、テンキー、タッチパッド、アキュポイント等の各種ポインティングデバイスが挙げられる。またこれらの入出力デバイスは、プログラムの操作のみに限られず、レーザ加工装置等のハードウェアの操作にも利用できる。さらに、インターフェース画面を表示する表示部82のディスプレイ自体にタッチスクリーンやタッチパネルを利用して、画面上をユーザが手で直接触れることにより入力や操作を可能としたり、または音声入力その他の既存の入力手段を利用、あるいはこれらを併用することもできる。
レーザ加工データ設定プログラムは、3次元レーザ加工データの編集が可能である。ただ、3次元データの編集が不得手なユーザを考慮し、平面上での設定のみ可能で、3次元上での編集ができない「2D編集モード」を用意し、3次元レーザ加工データの加工が可能な「3D編集モード」と切り替え可能としてもよい。このような複数の編集モードを備える場合は、現在の編集モードを示す編集モード表示欄270と、編集モードを切り替える編集モード切替ボタン272を備える。図14の例では、レーザ加工データ設定プログラムの起動時は「2D編集モード」とし、画面右上に設けられた編集モード表示欄270に、現在の編集モードが「2D編集中」であることを表示させている。操作が比較的容易な2次元編集モードを起動時のデフォルト編集モードとして設定することにより、3次元レーザ加工データの編集が不得手なユーザであっても戸惑うことなく操作できる。また、起動時の編集モードはユーザが変更可能に構成することもでき、操作を習熟したユーザが編集モードを切り替えることなく3次元レーザ加工データの編集が可能となるよう設定することもできる。
また編集モード表示欄270の右側に設けられた編集モード切替ボタン272には、3D編集モードに切り替え可能であることを示す「3D」の文字が表示されている。この状態から、編集モード切替ボタン272を押下すると、「3D編集モード」に切り替えられると共に、編集モード表示欄270の表示が「3D編集中」に変更される(図15等)。さらに編集モード切替ボタン272は3D編集モードから2D編集モードに切り替え可能であることを示す「2D」の文字が表示される。このように、3D表示や編集を制限又は排除した「2D編集モード」を設けることで、ユーザが2次元的加工面に対する加工データの設定・編集を行いたい場合、2次元的加工面に対する加工データの設定・編集のみが行えるユーザインターフェースを提供することで、ユーザインターフェースの簡素化とそれに伴う操作性の向上を図ることができる。また、ユーザが3次元的加工平面に対する加工データの設定・編集を行いたい場合においても、いきなり不慣れな3D表示を行うのではなく、上述したこれまで慣れ親しんだ「2D編集モード」にて2次元的加工面に対する加工データの設定・編集を行い、この「2D編集モード」にて設定・加工された2次元加工データを「3D編集モード」にて更に、所望の3次元加工データに加工・編集し直す工程をとることにより、「3D編集モード」も、ユーザにとって判り易いユーザインターフェースとそれに伴う操作性の向上を図ることができる。
図14に示す2D編集モード及び図15に示す3D編集モードは、外見上ほぼ等しく構成している。図14の2D編集モードでは、3次元形状を設定する「形状設定」タブ204iがグレーアウトして選択不能となっている。図14の画面から編集モード切替ボタン272を押下して図15に示す3D編集モードに切り替えることにより、「形状設定」タブ204iの選択が可能となる。このように、2D編集モードと3D編集モードとでプログラムのユーザインターフェースを殆ど変化させることなく、設定可能な項目を制限することにより、容易に2D編集モードから3D編集モード又はその逆への移行がスムーズに行える。
上述の通り、このレーザ加工データ設定プログラムでは3D編集モードであっても2D編集モードとほぼ同じインターフェースを採用しているため、3次元レーザ加工データの設定、編集作業も、2次元のレーザ加工データの設定とほぼ同じ要領で行うことができる。3D編集モードにおいても、まず2D編集モードと同様のユーザインタフェースから、印字パターンの文字サイズや形状を指定する。次に、2次元状の印字パターンの設定に対して、3次元レーザ加工データに必要な3次元形状情報を付加する。この際、ユーザは実際の印字データを印字方向すなわちレーザ光の照射方向から正面的に見た2次元表示と、任意の方向から見た3次元表示とを切り替えながら設定することができる。これにより、2次元の印字データ作成しか経験したことのないユーザでも、簡単に3次元レーザ加工データを作成できるシンプルなユーザインタフェースが提供される。
加工条件設定部3Cの一例を、図14及び図15に基づいて説明する。図14及び図15は、レーザ加工データ設定プログラムのユーザインターフェース画面の一例を示しており、画面の左側にワーク上に印字される加工パターンのイメージを表示する編集表示欄202、右側に具体的な加工条件として各種データを指定する印字パターン入力欄204を設けている。印字パターン入力欄204では、設定項目を選択するタブとして「基本設定」タブ204h、「形状設定」タブ204i、「詳細設定」タブ204jを切り替えることができる。図14の例では「基本設定」タブ204hが選択されており、ここには加工種類指定欄204aと、文字データ指定欄204d、文字入力欄204b、詳細設定欄204cを設けている。加工種類指定欄204aは、加工パターンの種別として、文字列やシンボル、ロゴ、模様、図等のイメージを含めた印字パターン、若しくは加工機としての動作を行うかを指定する。図14の例では、加工種類指定欄204aからラジオボタンで文字列、ロゴ・図、加工機動作の別を選択する。また文字データ指定欄204dは、文字データの種別を指定する。ここでは文字、バーコード、2次元コード、RSS・コンポジットコード(Composite Code:CC)のいずれかをプルダウンメニューから選択する。さらに選択された文字データの種別に応じて、さらに詳細な種別を種別指定欄204qで選択する。例えば文字を選択した場合はフォントの種別、バーコードを選択した場合は、CODE39、ITF、2 of 5、NW7、JAN、Code 28等のバーコード種別、2次元コードを選択した場合は、QRコード、マイクロQRコード、DataMatrix等の2次元コード種別、RSS・コンポジットコードを選択した場合は、RSS-14、RSS-14 CC-A、RSS Stacked、RSS Stacked CC-A、RSS Limited、RSS Limited CC-A等のRSSコード種別、又はRSSコンポジットコード種別を指定する。文字入力欄204bでは、印字したい文字情報を入力する。入力された文字は、文字データ指定欄204dで文字を選択した場合、そのまま文字列として印字される。一方、シンボルが指定された場合は、選択されたシンボルの種別に従って入力された文字列がエンコードされた加工パターンが生成される。加工パターンの生成は、加工条件設定部3Cで行う他、加工データ生成部で行ってもよい。この例では演算部80が行っている。また詳細設定欄204cは、タブを切り替えて「印字データ」タブ204e、「サイズ・位置」タブ204f、「印字条件」タブ204g等、印字条件の詳細を指定する。
図14の例では文字データ指定欄204dでQRコードが指定されており、「印字データ」タブ204eでセルサイズ、印字線幅、誤り訂正率、バージョン等を数値で指定する。また必要に応じてモード自動、白黒反転、パスワード等を指定できる。
なお加工種類指定欄204aから加工機動作を選択すると、加工種別がプルダウンメニューから選択できるようになり、定点、直線、破線、左回り円・楕円、右回り円・楕円、トリガON中定点等が選択できる。加工機動作では、加工パターンとして文字入力欄に代わって線分座標指定欄278が設けられ、直線や円弧等の軌跡を座標で指定する。図16は、加工機動作の一例として、加工種別として破線を選択した場合の設定画面を示している。また図17は、右回り円・楕円を選択した場合の設定画面であり、図18はさらに3D編集に切り替えて3次元形状に表示した設定画面を示している。
またレーザ加工装置は文字列に限らず、ロゴや図等のイメージデータの印字も可能である。図19及び図20に、このようなイメージデータの印字を行う設定画面の例を示す。図19に示すように、加工種類指定欄204aから「ロゴ・図」を選択すると、「印字内容」タブ217にファイル名入力欄が表示され、外部ファイルを参照することが可能となる。予めロゴや図をラスターデータやベクターデータで作成し、保存しておくことにより、これらの外部ファイルを指定して読み込み、編集表示欄202に表示できる。さらに図20に示すように、「印字条件」タブ218において印字パワーやスキャンスピード等を設定する。
(加工ブロック設定手段)
以上のようにして、一つの印字ブロックに関する印字パターン情報を設定する。また、印字ブロックを複数設定することもできる。すなわち、加工領域において複数の印字ブロックを設定し、異なる印字条件で印字加工を行うことができる。印字ブロックは、一のワーク又は加工(印字)対象面に対して複数設定する他、加工領域内に存在する複数のワークに対して各々設定することもできる。
加工ブロックの設定は、加工ブロック設定手段で行う。図14の例では、加工ブロック設定手段の一形態として、印字パターン入力欄204の上欄にブロック番号選択欄が設けられる。ブロック番号選択欄にはブロック番号を表示する番号表示欄と、番号指定手段として、「>」ボタン、「>>」ボタン、「<」ボタン、「<<」ボタンが設けられる。「>」ボタンを押下すると、ブロック番号が1インクリメントされて、新たな印字ブロックの設定が可能となる。また、設定済みの印字ブロックの設定を変更する際も、同様に「>」ボタンを操作してブロック番号を選択し、該当する印字ブロックの設定を呼び出すことができる。また「>>」ボタンを押下すると最終のブロック番号にジャンプする。さらに「<」ボタンを押下するとブロック番号が1つ戻り、「<<」ボタンを押下すると先頭のブロック番号にジャンプする。さらに、ブロック番号選択欄の数値表示欄に直接数値を入力してブロック番号を指定することもできる。このようにして、ブロック番号選択欄で印字ブロックを選択し、各印字ブロックについて印字パターン情報を指定する。この例では、ブロック番号を0〜255まで設定可能としている。
図15に、3つの印字ブロックを設定した例を示している。ブロック番号000として、図14で設定したQRコードが表示されており、ブロック番号001としてバーコード、ブロック番号002として文字列が各々表示される。図15の例では文字データ指定欄204dでバーコードが指定されており、「印字データ」タブ204eでバーコードの高さ、ナロー幅、印字線幅、細太比等を数値で指定する。また必要に応じてチェックデジットの有無、白黒反転等を指定できる。
また印字ブロックの配置について、配置位置の調整(中心軸に対するセンタリング、右寄せ、左寄せ等)、複数の印字ブロックが重複した場合の重ね順や、位置合わせ等のレイアウトを設定することもできる。例えば、図21では、各印字ブロックを画面左右方向の中央の位置に移動させた例を示している。同様に、上下方向の中央に位置合わせを行うこともできる。このようにして、複数の印字ブロックの配置を自動的に調整できる。
さらに各印字ブロックの配置を座標等で指定することもできる。図21の例では、ブロック番号002の文字列について、位置調整手段3Kを構成する「サイズ・位置」タブ204fからブロック座標のX座標、Y座標を数値で指定する。またこの画面から、文字サイズとして文字高さ、文字幅、文字間隔等を指定できる。さらにブロック形状として、横書き、縦書きの別や、3次元印字の際の円柱内周、外周の別等を指定する。
(印字ブロックの設定一覧表)
このようにして設定された印字ブロックは図22に示すように設定項目を一覧表示させることもできる。図15の例では、メニューの「編集」から「ブロック一覧」を選択することで、図22のブロック一覧画面が別ウィンドウで表示される。この一覧画面から、設定済みの印字ブロックを削除したり、複写して新たな印字ブロックを追加することができる。また所望の印字ブロックを選択して、設定項目を調整するように構成してもよい。
(3D形状の一括変更)
さらに、複数の印字ブロックの形状を一括して変更する一括変更機能を備えることもできる。一例として図23に示すような2つの円錐と球からなる3つの印字ブロックに対して、これらをすべて円柱状に変更したい場合を考える。図23の設定画面左端のツールバー最下段に設けられた「3D形状の一括変更」ボタン274を押下すると、図24の3D形状一括変更画面275が表示される。3D形状一括変更画面275には、現在設定されている印字ブロックの一覧が、各々の座標位置や図形種別、文字列等を示して表示される。この画面から、変更したい印字ブロックをチェックボックスで選択し、一括変更形状指定欄276で所望の形状を指定する。図24の例では、一括変更形状指定欄276にプルダウンメニューとして、平面、円柱、球、円錐、3D加工機、ZMAP等が用意されている。併せて、変更後のブロック形状について指定したい場合は、「ブロック形状を一括変更する」欄277のチェックボックスをONして、変更後の詳細を入力する。図24の例では、変更後の形状として一括変更形状指定欄276で「円柱」を指定し、さらに変更後のブロック形状につき、直径と配置面を入力する。設定終了後に「OK」を押すと、図25に示すように印字ブロックが一括して同一径の円柱状に変換される。このように、複数の印字ブロックの形状を一括して変換可能とすることで変更作業を容易にし、各々の印字ブロック毎に設定を変更する手間を省ける。特に多数の印字ブロックの形状を同一の形状に変換したい場合には有効であり、これによって大幅な省力化が図られる。
(印字グループ)
また、複数の印字ブロックを纏めた印字グループを設定し、印字グループ単位でレーザ光の出力値や走査速度等の印字条件の設定を行うこともできる。この様子を図26〜図34に基づいて説明する。この内図26は、複数の印字ブロックをブロック設定手段3Fで設定し、編集表示欄202で2次元状に表示させた状態、図27はこれを3次元状の表示に切り替えた状態を、それぞれ示している。上記の例では、図14等に示すように一の印字ブロックには1行分のデータのみ印字可能としている。このため、複数行の印字を行いたい場合は、複数の印字ブロックを設定して、これらの印字ブロックを並べて配置することにより対応する。図26及び図27の例では、円筒状のワークに対して、上段に文字列「abcde」の円柱状印字ブロックB1(ブロック番号000)を設定し、その下段に文字列「ABCDE」の円柱状印字ブロックB2(ブロック番号001)を設定し、これらを上下に重ねて配置している。これらの印字ブロックB1、B2に対しては、各々印字条件が設定される。このため従来は、印字ブロック毎にユーザが個別に印字条件を設定していた。しかしながら、この場合は印字ブロック1と2は同一のワーク上への印字であるため、レーザ光の出力や走査速度等、印字条件としては共通する項目が多い。これらについて従来は同一の印字条件を個別に設定しなければならないため、作業が繁雑であった。特に印字ブロック数が多くなると、それだけ設定に時間がかかる。このような問題に対応するため、複数の印字ブロックを纏めて印字グループとし、印字グループ単位での印字条件設定を可能としている。具体的には、グループ設定手段3Jで印字グループ設定を行う。
(グループ設定手段3J)
グループ設定手段3Jとして図28に示す例では、印字パターン入力欄204にグループ設定欄250を設けている。より具体的には、グループ設定欄250の「グループ設定を行う」欄251のチェックボックスをONにして、グループ化したい印字ブロックを選択すると共に、グループ番号指定欄252でグループ番号を指定する。印字ブロックの選択には、例えば図29に示すように、編集表示欄202からマウス等のポインティングデバイスで選択したい印字ブロックを含ませるように範囲指定する、あるいは、CTRLキーを押しながらマウスで左クリックする等の手段が適宜利用できる。このようにしてグループ化したい印字ブロックを選択した後、グループ設定欄250の「グループ化」ボタン253を押下することでグループ化が設定される。また、図30に示すように範囲指定やマウスクリック等でグループ化したい印字ブロックを複数指定した後、マウスの右クリックメニュー256から「グループ化」メニュー257を選択し、「グループ化」を選択する。またグループ番号は、新たなグループを設定する度に000から1ずつインクリメントされて自動的に付与される。この例では254個までグループを設定できる。このようにしてグループ化を行うと、印字条件等はグループ単位で一括して行えるようになる。図28の例では、編集表示欄202を2次元表示させた状態で、印字ブロックB1とB2を指定し、印字パターン入力欄204のグループ設定欄250で印字グループG1(グループ番号000)として設定する。これにより、編集表示欄202において印字グループG1の範囲を示すように、2段の文字列を囲む枠BWが表示される。図31に、枠の表示が印字ブロックの枠BWから印字グループの枠GWに変化する様子を示す。このように、印字ブロック単位で表示されていた枠が、印字グループを示す枠GWに変化する。これにより文字列「abcde」と「ABCDE」の全体で、1つの印字ブロックのように扱うことが可能で、レーザ光の出力値や走査速度、印字ブロックのサイズやオフセット位置の調整等を一括して設定できる。
また枠の表示方法は、印字ブロックと印字グループとを同様に表示する他、これらを異ならせて表示してもよい。例えば印字ブロックを示す枠BWを細線で、印字グループGWを示す枠を太線で、各々表示することにより、印字ブロックと印字グループとを区別できる。また、線のパターンを実線、破線等としたり、線の表示色を緑、青、赤に変更すること等によっても、これらを区別できる。
このようなグループ設定の作業は、図28に示すように編集表示欄202を2次元表示とした状態で行うことが好ましい。平面図による表示では印字ブロックをシンプルに表示でき、選択が容易だからである。ただ、図32に示すように編集表示欄202を3次元表示(詳細は後述)とした状態で行えるように設定することも可能である。2次元、3次元いずれの状態からもグループを設定できるようにすることで、使い勝手を向上できる。
またグループ化を解除するには、図28のグループ設定欄250から「グループ解除」ボタン254を押下する、あるいは図29のグループ化メニュー257から「グループ解除」を選択する。これによって一旦グループ化した印字ブロックを再度分解できるので、グループ化した一部について個別の印字条件を設定したい場合等に有益である。
なお、印字グループは、隣接する印字ブロック同士をグループ化するのみならず、離れた位置にある印字ブロックをグループ化することもできる。例えば、図33に示すように文字列「abcde」と「ABCDE」を2列に並べたものを3組、缶状のワークの側面に印字する場合において、文字列「abcde」の印字ブロックB3、B4、B5の3個を纏めて印字ブロックG2、文字列「ABCDE」の印字ブロックB6、B7、B8の3個を纏めて印字ブロックG3に設定する。これにより、文字列「abcde」に対する印字の濃さと、文字列「ABCDE」の印字の濃さを、各々独立して設定でき、同じ文字列については同じ濃さで、異なる文字列については異なる濃さで印字できる。このように、グループ化は単に隣接する文字列やロゴ等のイメージを纏める他、印字条件の設定のし易さ等に応じて任意に設定することができる。
以上は、作業領域に配置された一のワークに対して、複数の印字ブロックを設定する例について説明したが、一の作業領域内に複数のワークが配置されている場合に、各ワーク毎に個別の印字を設定する場合等においても、グループ化を適宜設定できる。図34は、作業領域内に3つのワークW1〜3が配置されている場合に、各ワークに対して異なる印字を行うと共に、ワークW1について文字列「abcde」と「ABCDE」を2列に並べたものをグループ化した例を示している。またこの例において、ワークW2とワークW3に、同じ印字条件を設定することもできる。このように、複数のワークと複数の印字ブロックの、任意の組み合わせに対してグループを設定できるので、印字目的や用途に応じた適切な設定を簡単に行うことができ、ユーザの設定作業の負担を軽減できる。
(ワークのプロファイル情報)
次に図14に戻り、ワークのプロファイル情報を設定する手順について説明する。図14の例では、平面状のワークに印字する例を示している。このレーザ加工データ設定プログラムでは、加工対象面が平面状に限られず、3次元形状の加工対象面の設定も可能である。ワークの加工対象面の3次元形状に関するプロファイル情報は、図13Aの加工面プロファイル入力手段3Aから設定される。プロファイル情報を指定する方法としては、以下のような方法が考えられる。
(1)3次元形状を入力可能なプログラム上から、ワークを作画して指定する方式
プログラム上からワークの形状を作図して指定するものである。例えば既存の3次元CADや3次元モデリングツール、ドローソフトのように、平面や直線等の描画ツールを用意し、3次元形状をユーザに直接作画させる。この方法は、3次元形状の作図に慣れたユーザであれば容易に利用できる反面、このような作図に不得手なユーザには敷居が高いという問題がある。
(2)ワークの形状を特定するためのパラメータを、対話形式でユーザに入力させる方式
ウィザード方式のように、必要な情報を対話形式でユーザに指定させることで形状を特定する方法である。この方法は、3次元作図に関する知識が不要であるため、利用しやすいという利点がある。例えば、ワークの形状を基本図形として指定し、該形状を特定するパラメータを指定する。具体的には、ワークの形状を予め選択肢として提示し、選択された形状に応じて、これを特定する入力パラメータの設定項目をさらに提示して入力させる。例えば、加工対象面が斜面状であれば、基準点の座標位置や法線ベクトルの方向等を指定する。また円柱状であれば、基準点の座標位置、円柱半径、円柱中心軸の方向等を指定する。あるいは球状であれば、中心点の座標位置、球半径等を指定する。
(3)基本図形を選択する方式
また、対話形式に限られず、基本図形を選択して基本図形に関するパラメータを指定する方式としてもよい。すなわち、予め用意された円柱状、円錐状、球状等の基本図形をユーザに選択させ、選択された基本図形を特定するパラメータを提示して、ユーザに数値を入力させることで、容易に2次元形状から3次元形状に変換できる。基本図形でワークを擬似的に表現することにより、指定が容易かつ正確に行える利点がある。
(4)ワークの形状に予め作成された3Dデータのデータファイルを入力して変換する方式
予め3次元CAD等の別プログラムで作成されたワークのデータファイルを変換して利用するものである。この方法では、既に作成されたデータを利用できるので、ワークの形状指定作業を大幅に省力化できる。読み込み可能なデータファイル形式は、DXF、IGES、STEP、STL、GKS等、各種の汎用的なフォーマットが利用できる。またDWG等、特定のアプリケーションの専用フォーマットを直接入力して変換することもできる。
(5)2次元情報に高さ情報を直接指定する
平面状の印字内容を示す印字パターンに、高さや高さ方向の傾きを数値で指定する。一例として、図35の文字列「ABCDEFGHIJKLM」からなる印字ブロックB9を図36に示すように傾斜面に印字する例を示す。傾斜面への印字は、図35に示すように編集表示欄202で印字対象面を2次元表示させた状態で、印字パターン入力欄204から形状選択欄206で平面を指定すると共に、「レイアウト」タブ216で印字ブロックB9のX軸、Y軸オフセット量を設定する。さらに図36に示すように「ブロック形状・配置」タブ211に設けられた回転角設定欄211Bで、回転角を指定することにより設定できる。回転角は、X軸方向、Y軸方向、X軸方向にそれぞれ数値やスライダで指定でき、図36の例では、X回転30°を指定している。この方法では、単純な段差状や傾斜面等を簡単に表現できる利点が得られる。半面、複雑な形状の指定には不向きである。
(6)ワークの形状を実際にイメージセンサ等の画像認識装置で読み込んで取得する方式
ワークをイメージセンサ等で読み込んで画像認識等の方法で自動的にデータを取得する。
以上の内、ここでは(3)と(4)の方法を採用している。具体的には、予め用意された基本図形から選択する手段と、3次元形状を記録したファイルを入力する手段が利用できる。この様子を、図37〜図39に基づいて説明する。図14の画面から、印字パターン入力欄204の設定項目を選択するタブを「基本設定」タブ204hから「形状設定」タブ204iに切り替えると図37に示す画面となり、プロファイル情報の入力方法を選択するプロファイル入力選択手段として、プロファイル指定欄205が表示される。図37のプロファイル指定欄205では、基本図形、ZMAP、加工機動作のいずれかをラジオボタンで選択する。
(基本図形指定手段3a)
基本図形から選択する方法では、予め用意された基本図形の形状を選択する。基本図形としては、平面、円柱、球、円錐等がある。図37の例では基本図形指定手段3aの一形態としてプロファイル指定欄205で基本図形が、その下欄に設けられた形状選択欄206で「平面」が、それぞれ選択されている。ここで、図38に示すように円柱を選択すると、編集表示欄202の2次元表示が平面状から円柱状に切り替えられる。すなわち、円柱状のワークに印字されるQRコードのXY座標平面図が表示されるため、QRコードの右側に向かうほど横幅が狭くなるよう変形して表示される。
(3D表示)
また、加工対象面を立体的に表示することもできる。この例では、加工イメージ表示部として編集表示欄202の表示形式を、2次元状の表示と3次元状の表示とを切り替え可能としている。図38の画面に設けられた表示切替ボタン(3D)207を押下すると、図39に示すように編集表示欄202が3次元表示に切り替えられ、加工対象面の3次元形状が立体的に確認できる。なお図39の画面から表示切替ボタン(2D)207を押下すると、図38の画面に切り替えられる。このように、表示切替ボタン207を押下する毎に、2D表示と3D表示が切り替えられ、またこれに応じて表示切替ボタン207の表示も、他方の表示形態を示す2Dと3Dとに切り替えられる。また図39の3D表示画面においても、図38の2D表示画面と同様に、加工パターンの領域は、枠Kで囲まれて表示される。
また図39の例では、2D表示と3D表示の表示切替ボタン207は、フローティングツールバーに設けられている。フローティングツールバーは任意の位置に移動可能である。またフローティングツールバーの表示/非表示を切り替えたり、通常のツールバーに組み込むよう構成してもよい。
(3D表示画面の視点の変更)
3D表示画面においては、任意の視点に変更することが可能である。図38に示すQRコードを円柱状のワークに印字する印字面を様々な視点から3D表示画面に表示させた例を、図40〜図47に示す。図38の2D表示画面から、フローティングツールバーの表示切替ボタン(3D)207を押下すると、図39の3D表示画面に切り替えられる。この3D表示画面からスクロールバー209を操作することで、図40〜図47に示すように3次元表示画面の視点を自由に変更できる。図40は、作業領域を斜め上方から見た斜視図であり、図41は、図40の状態から作業領域を回転させて、ワークを裏側から表示した例を示している。視点の変更には、スクロールバーを用いる他、マウスで3D表示画面上の任意の点をドラッグすること等によってワークを回転させるように構成してもよい。
また、フローティングツールバーに設けられた「スクロールバーの移動/回転切替」を押下すると、スクロールバーの用途がワークの回転から、画面の移動に切り替えられる。図40の画面から水平方向のスクロールバーを操作すると、図42や図43に示すように、3次元表示の表示角度を維持したまま、視野を左右に平行移動できる。また垂直方向のスクロールバーを操作すると、図44に示すように上下方向に視野を移動できる。このように、スクロールバーを画面の移動と回転に切り替えて使用することで、3D表示の操作に不慣れなユーザでも比較的簡単に視野を変更できる。
さらに、3D表示画面を規定の視点からの表示に切り替えることもできる。図40の例では、フローティングツールバーに、「表示位置」変更欄207Bが設けられ、ここで視点をXY平面等、規定の表示に変更できる。例えば図45はXY平面で印字面を表示した例を示しており、図38に示す2D表示画面と対応する平面図が表示される。また図46はYZ平面、図47はZX平面における表示例を、それぞれ示している。また、各画面からもスクロールバーを操作する等して表示の視点を変更することもできる。このように、3次元表示においても、規定の方向から見た表示画面に速やかに切り替えることができ、表示の変更、復帰や確認の際等に有益である。
(3次元ビューワ260)
上記の例では、編集表示欄202を2次元表示と3次元表示のいずれかに切り替えている。ただ、同じワークの2次元表示と3次元表示を並べて表示させたい場合もある。このような要求に応えるため、別ウィンドウで開く3次元ビューワ260を用意している。図48に、3次元ビューワ260を表示させた例を示している。上記図38の例では、3次元ビューワ260を開くための3次元別画面呼出手段として、2画面表示ボタン207Cをフローティングツールバーに設けている。図38のように編集表示欄202で2次元表示させている状態で、2画面表示ボタン207Cを押下すると、図48に示すように3次元ビューワ260が別ウィンドウで表示される。3次元ビューワ260はドラッグして任意の位置に配置可能である。またウィンドウサイズも変更できる。さらに、3次元ビューワ260で表示されるワークWの姿勢や角度の変更、回転等の操作を可能としてもよい。これらの3次元表示においては、グリッドやスケールを表示させており、視点の把握を容易にしている。これらグリッドやスケール表示をON/OFFすることもできる。
なお、図39に示すように編集表示欄202で3次元表示させている状態では、さらに3次元表示画面を開く必要がないので、3次元ビューワ260を呼び出すフローティングツールバーの2画面表示ボタン207Cはグレーアウトされ、選択できないようになっており、誤操作を防止している。ただ、2次元表示を別画面で表示させたい場合に、別途2次元ビューワ欄を表示可能とすることもできる。なおこれらの表示は一例であり、各欄のレイアウトや大きさ、位置関係等は任意に変更可能であることは言うまでもない。例えば設定欄を含めた各欄を別ウィンドウで表示させてもよい。このように表示部82に、加工対象面の3次元形状イメージを表示させる加工イメージ表示部83として、編集表示欄202や3次元ビューワ260等が利用できる。
(3次元形状データ入力手段3b)
一方、予め3次元CAD等でワークの形状を規定する3次元形状データを作成しておき、このデータファイルをして入力する例を、図49〜図54に示す。この方法では、外部から入力された3次元形状データに、2次元の印字パターン情報を貼り付ける。まず、図49の画面から文字入力欄204bに文字列「ABCDEFGHIJKLM」を入力し、さらに図50の画面で3次元形状データ入力手段3bであるプロファイル指定欄205からZMAPを選択すると、形状選択欄に代わってZMAPファイル名入力欄292が表示される。ここでZMAPファイルとは、3次元形状データファイルの一であり、XY座標毎に高さ方向のZ座標情報を一有するファイル形式である。ZMAPファイル名入力欄292の右側に設けられた「参照」ボタン293を押下すると、図51に示すファイル選択画面294が表示され、ここから印字対象のワーク形状を規定したZMAPファイルを選択する。なお、ZMAPファイルは、予め作成されているものとする。これにより、図52に示すようにZMAPファイル名入力欄292にZMAP(この例ではdolphin.M3D)が指定される。この状態で、編集表示欄202には文字列「ABCDEFGHIJKLM」をZMAPファイルで規定される3次元形状データに貼り付けた状態が表示されている。
また、この状態からフローティングツールバーの左端に設けられた表示切替ボタン(3D)207を押下すると、図53に示すように編集表示欄202が2次元表示から3次元表示に切り替えられ、加工対象面の3次元形状が立体的に確認できる。この図に示すように、ZMAPファイルに含まれる3次元形状データ上の指定された位置に文字列「ABCDEFGHIJKLM」が貼り付けられた状態が3次元的に表示される。これにより、加工イメージ表示部においてワークの印字面での印字状態を2次元的及び3次元的に確認できる。
さらに、ZMAPを指定した段階でフローティングツールバーの右端に設けられた「ZMAP表示」欄207Dのチェックボックスが選択可能に切り替わる(図52参照)。図53の状態から、「ZMAP表示」欄207DのチェックボックスをONにすると、図54に示すように編集表示欄202の3次元表示された印字対象面に、ZMAPファイルで規定される3次元形状データが重ねて表示される。これにより、印字対象面のみならず、ワークの全体形状を含めて3次元的に表示できるので、ユーザは印字の全体像を視覚的に確認できる。
なお、印字パターンである文字列を、ワークの形状を規定するZMAPに貼り付ける際は、図53及び図54に示すように、印字パターンを3次元の印字対象面に正射影し、一方向(この例では上面)から印字対象面を見た場合に印字パターンが正しく再現するように構成している。すなわち、図49の編集表示欄202で文字列「ABCDEFGHIJKLM」を2次元表示している状態から、3次元形状に変換(図53、図54)しても、その平面図は図52に示すように変化しない。ここでは、印字パターンが有する平面情報(XY座標)をそのまま使用し、印字パターンのXY座標と対応するZMAPのXY座標位置における高さ情報(Z座標)を、印字パターンの3次元情報として付加している。この手法では高さ情報のみZMAPを参照し、平面情報はそのまま使用するため、2次元の印字パターンを3次元に変換する際のデータ処理が容易であり、軽負荷で高速化が図れる利点が得られる。特にワークの形状が複雑である際には、この手法が処理能力や速度の面で有利となる。また、印字結果を一方向から視認する用途においては、正確な形状が再現できる利点も得られる。例えば、バーコード等のシンボルを曲面に印字した場合でも、読み取り方向を正確に設定することで、バーコードの端部でナロー幅が変化して読み取りエラーが生じる恐れを解消できる。またOCRにおいても同様に文字の歪みを低減して、読み取り率の高い高精度な印字が実現できる。
一方、上述した基本図形を用いた3次元レーザ加工データへの変換方法では、基本図形を平面状に展開した展開図に印字パターンを貼り付ける方式としている。すなわち、編集表示欄202における印字パターンの2次元表示は、図37、図38のように変化する。この場合は、視認方向が一方向に決まっていない場合等に好適であり、例えば製品の製造年月日やシリアル番号等の文字列を印字する際に、ユーザが判読しやすい印字を行える。
以上のように、基本図形指定手段3aによる基本図形の指定と、3次元形状データ入力手段3bによるZMAPファイルの指定とを、プロファイル指定欄205で切り替えることができ、プロファイル指定欄205は基本図形指定手段3aと3次元形状データ入力手段3bの切替手段として機能する。
(ZMAPデータの作成)
次に、予め作成した汎用的な3次元形状データファイルからZMAPデータを作成する手順を説明する。3次元形状データファイルを作成する手段としては、3D−CADプログラムや3D−CGプログラム等が利用できる。これらの3次元形状データ作成プログラムで作成され、保存されるデータ形式としては、DXF、IGES、STEP、STL、GKS等の汎用的なフォーマットや、DWG、DWF、CDR、AI等、特定のアプリケーションの専用フォーマット等がある。本実施の形態では、STL(Stereo Lithography)ファイル形式を利用している。STLはすべての面を3角形の平面で構築したデータであり、扱いやすいという利点がある。よって、3D−CADプログラム等により、ワークの形状を規定するSTLデータを予め作成しておく。なおレーザ加工データ設定プログラムに、STL等の3次元形状データ作成機能を持たせてもよい。
このようにして作成されたSTLデータを、レーザ加工データ設定プログラムに読み込む。プログラムの編集メニューから「ZMAP作成」を選択すると、図55に示すZMAP作成画面300が表示される。ZMAP作成画面300は、左欄に3次元形状データを3次元的に示すためのビューワ画面301、右欄にビューワ画面301に表示される3次元形状データの姿勢を調整する調整欄302を設けている。この画面から、ファイルメニューの「STLファイルを開く」を選択すると、STLファイルの選択ダイヤログボックスが開くので、作成済みのSTLファイルの保存先を指定して、所望のワークの形状を規定するSTLファイルを選択する。図56に、STLファイルを開いた状態のZMAP作成画面300を示す。この状態では、右欄上に設けられた「STL表示」ボタン303が押下された状態となり、ビューワ画面301にSTLファイルが表示されていることを示している。STLファイルを開いた状態でのビューワ画面301における3次元形状データの初期位置は、この例では3次元形状データの頂点が原点に位置するように設定されている。なお、初期位置を任意に設定可能としてもよい。
次に、STLファイルを操作し、ZMAPに変形したい姿勢を決定する。ここでは図56の右欄に設けられた調整欄302で、STLファイルで規定される3次元形状データの座標や回転角を調整する。例えば座標調整欄304でX座標方向に−60mm移動させると、図57に示すようにビューワ画面301で表示される3次元形状データが平行移動される。同様にZ座標方向に調整して、図58の状態から図59(Z座標10mm)、図60(Z座標−10mm)に示すように3次元形状データを高さ方向に垂直移動させることも、図61に示すようにY座標方向(Y座標50mm)を調整することもできる。これら座標位置の指定は、座標調整欄304の数値入力欄から数値を直接入力する他、右側に設けられた矢印ボタン305を押下することでも操作できる。矢印ボタン305は、十字状に配置されたボタン305aでXY座標を調整し、その下でZ座標調整欄304の右側に設けられた上下矢印ボタン305bでZ座標を調整する。これによってユーザは視覚的に3次元形状データを移動できる。
さらに、回転角調整欄306から回転角度を指定することで、ビューワ画面301で表示される3次元形状データを回転できる。回転角調整欄306には、X回転、Y回転、Z回転欄が各々設けられ、数値若しくはスライダにより回転角度を指定する。図62はX回転、図63はY回転、図64はZ回転の例を、それぞれ示している。
さらに加えて、ビューワ画面301に印字可能領域を示すこともできる。調整欄302に設けられた印字領域表示欄307でX方向、Y方向、Z方向のチェックボックスをONにすることにより、印字可能領域のそれぞれの方向における境界面KMを表示できる。図65にX方向、図66にY方向、図67にZ方向における境界面KMを表示する例を、それぞれ示す。またこれらの境界面KMは、複数を同時に表示することも可能である。これによって、印字可能な領域内に3次元形状データが適切に配置されているかどうかを、ユーザは視認しながら調整できる。
またZMAP作成画面300においても、画面の回転やスクロールによる視点変更が可能で、スクロールバーにより操作する。「回転/スクロール」ボタン308を押下することで、スクロールバーの機能を3次元形状データの回転と画面スクロールに切り替えて利用できる。
なお、ZMAP作成画面300に、STLファイルの簡易的な変形機能を持たせてもよい。例えばSTLファイルの拡大/縮小率の変更、トリミング、等を持たせることもできる。
このようにして、3次元形状データの姿勢を決定すると、ZMAPに変換する。図58の画面から、ZMAP作成画面300の右欄に設けられた「ZMAP表示」ボタン310を押すと、「ZMAPに変換します。よろしいですか?」等の確認ダイヤログボックスが表示され、「OK」を押下するとSTLファイルからZMAPファイルへの変換が実行され、図68のようにZMAPデータが生成される。ZMAPファイルでは、高さ情報を一点のみ持つため、ビューワ画面301で表示される3次元形状データのXY座標面以下のデータがカットされ、上半面のみの形状となる。レーザ加工装置ではワークの裏側にレーザ光を照射できないので、ワークの片面のみ、すなわち上半面のみのデータとすれば足りる。
なお、ワークの裏面に印字したい場合は、図62に示すように、3次元形状データを回転させて裏面が上側となる姿勢に調整し、この状態でZMAPに変換する。図62の例では図57の状態からX回転角を180°させた状態で、ZMAPに変換し、図69に示すZMAPデータを得ている。このように、ワークを回転させることでワークの裏面の印字も可能となる。
ZMAP表示中は、「ZMAP表示」ボタン310が押下された状態となり、ビューワ画面301での表示がZMAP表示に切り替えられていることを示す。このように、ファイル変換を実行するボタンに、ビューワ画面301で表示される表示内容を示す機能を兼用させている。また、ZMAP表示中に「STL表示」ボタン301を押下すると、ZMAPの表示が変換前のSTLに戻る。これにより、変換前のSTLファイルに戻ることができ、操作のやり直しや再設定、再保存も可能となる。
変換されたZMAPで規定される3次元形状データが正しくワークの加工面を表現していることをビューワ画面301で確認した後、このZMAPファイルを保存する。具体的にはファイルメニューの「ZMAPとして保存」を選択し、所望の保存場所に名前を付けて保存する。
このようにして作成されたZMAPデータをワークの印字面を示す3次元形状データとして指定することで、印字パターンを3次元形状に変換することができる。次に、指定されたZMAPデータに基づいて印字パターンを3次元形状に変換する手順を説明する。
(印字パターンを3次元形状に変換する手順)
図49に示すように、文字入力欄204bに文字列「ABCDEFGHIJKLM」を入力し、さらに図52の画面でプロファイル指定欄205からZMAP(dolphin.M3D)を選択し、ZMAPファイル名入力欄292から上記で作成されたZMAPファイルを指定する。この結果、印字パターンである文字列「ABCDEFGHIJKLM」が3次元形状に変換され、図52にはXY平面における印字パターンが表示される。この状態で表示切替ボタン(3D)207を押下すると、図53に示すように編集表示欄202が2次元表示から3次元表示に切り替えられ、印字対象面の3次元形状が立体的に確認できる。これらの図に示すように、観察方向(上面)から見た印字パターンが図52と等しくなるように、文字列が印字対象面に写像されるよう変形される。
さらに、「ZMAP表示」欄207DのチェックボックスをONにすると、図54に示すように編集表示欄202に印字対象面の3次元形状に加えて、ZMAPファイルで規定されるワークの3次元形状が重ねて表示される。同様に、3次元形状データとして図69のZMAPファイルを選択した場合、図70に示すように印字パターンが3次元形状に変形される。このように、ユーザは印字対象面のみ、あるいはワークの全体形状の3次元表示を切り替えて設定作業を行える。ユーザはこの状態から、印字パターンを3次元形状データのどの位置に貼り付けるかを調整する。
(作業領域の設定時の3次元表示)
作業領域(印字エリア)を3次元形状のワークに設定し、ワーク形状を含めた印字エリアを3次元的に表示する場合、ここでは以下のようにして印字エリアがワークに対して適切な印字可能な位置にあることを目視できるよう構成している。
まずワークについては、レーザマーカのマーキングヘッドの出射位置からレーザ光を出射した場合、レーザ光と印字対象面とのなす角度が所定の角度範囲(適切に印字が可能と判断できる所定の角度範囲)にある場合と、印字は可能であるものの、印字品質の低下のおそれがある場合(上記所定角度以下または未満の場合)とで、印字対象面に対する色分けを行う。具体的には、適切に印字が可能と判断できる角度範囲には着色を行わず、印字は可能であるものの、印字品質の低下のおそれがある角度範囲には赤色に着色している。これにより、設定された印字エリアが適切な範囲のみに設定されているか、または印字エリアのどの部分が赤色(印字品質低下のおそれがある角度範囲)になっているかを、3次元表示画面から目視により判断できる。
また、マーキングヘッドのレーザ出射位置からワークに設定されている印字エリアを見て、ワークの加工面(印字エリア設定領域)が裏側に位置する場合、印字不可能と判断し、ワークに設定された印字エリア(印字内容)を3次元表示画面上で非表示としている。これにより、ユーザはワークに対して自らが設定した印字エリアがどのような状態(位置関係等)にあるかを速やかに把握でき、その印字エリアの位置修正等も容易に行うことができる。
また、3次元表示画面で表示させる手段に限られず、何らかの方法で「最適な印字状態を提供できる角度範囲」、印字品質低下角度範囲を示す「印字不良領域」、「印字不可能領域」等を目視できる手法が適宜採用できる。例えば、「最適な印字状態を提供できる角度範囲」、「印字不良領域」、「印字不可能領域」等に該当することをテキストでユーザインターフェース画面上に表示したり、音声や警告音、ダイヤログボックス等を利用することもできる。またいずれかの項目のみを表示させることも可能で、例えば印字品質を問わず印字ができれば良いユーザに対しては、「印字不可能領域」に対する情報のみを提供すれば足りる。
このように、ワークの形状や印字エリアによってレーザ光が届かない影になる部分が生じる等、3次元印字においてはワークの形状やワークとマーキングヘッドとの位置関係等により、印字が不可能あるいは不十分となる領域が生じ得る。したがって、予めこれらの要因に基づいて印字可能な領域を演算しておき、印字不可能領域にレーザ加工データが設定されると、ユーザに警告を発する等して、再設定を促すように構成できる。このような演算は、演算部80で行うことができる。演算部80を作業領域においてレーザ光を照射できず加工できない、あるいは加工が不良となる加工不良領域を検出する加工不良領域検出手段80B、加工不良領域における加工条件を加工可能となるように調整する加工条件調整手段80C、加工不良領域検出手段80Bで検出された加工不良領域に対して、加工可能な領域と異なる態様にて表示するためのハイライト処理を行うハイライト処理手段80I、加工条件設定部3Cで加工パターンを設定する際、加工不良領域を含む領域に何らかの加工が行われるよう設定されていることを検出して、警告を発するための設定警告手段80J等の機能を実現させることができる。
さらに、上述した例では「最適な印字状態を提供できる角度範囲」と「印字品質低下角度範囲」とを区別する角度は、装置側でデフォルトの初期値を使用する構成の他、その角度をユーザが入力再設定できるようにユーザインターフェース上に入力項目を設定してもよい。具体的には、レーザ光がワークの加工面に対して照射される角度によって加工に制限が生じ、レーザ光と印字面の法線の方向のなす角θが90°に近付く程、加工が困難となり加工精度が低下する。θの上限(加工限界角度)は臨界角度と呼ばれ、通常60゜が指定される。この数値を、固定式とする他、ユーザが調整可能とすることもできる。
(印字不可能領域)
また、編集表示欄202において、加工対象面の内で、角度や影等の原因により印字ができない領域を加工不良領域検出手段80Bで演算し、ハイライト処理手段80Iでハイライト処理して表示させることもできる。図39の例では、円柱の側面付近で印字することは可能であるが印字角度が浅く印字が不良となる印字不良領域を、ハイライト処理手段80Iで赤色で示している。またレーザ照射点から見て裏側に位置するためレーザ光を物理的に照射できず印字が不可能となる領域、すなわちXY平面を真上からワークを見た場合、ワークの加工対象面が裏側に位置するエリアを印字不可能領域としている。これら印字不良領域や印字不可能領域は、加工不良領域検出手段80Bで演算される。設定された加工パターンが印字不可能領域にかかり、印字が不可能である場合に、設定警告手段80Jが編集表示欄202において加工パターンを非表示として、ユーザに再設定を促すこともできる。例えば、設定した印字対象面の裏側に印字パターンが回り込んだ場合には加工パターンを非表示とし、印字は可能であるが最適な印字が可能な角度範囲外(印字不良領域)となった場合は赤色表示する。このように、単に印字可能、不可能の2種類で区分けするのでなく、最適な印字ができない範囲として、印字不良領域、印字不可能領域といった複数の区分で段階的に印字品質の低下を表示させることで、ユーザに対して詳細な情報を提示でき、より適切なレイアウトや配置を検討できる。
図71、図72の例では、加工パターンの一部が印字不可能領域にかかっているため、設定警告手段80Jが加工パターンであるバーコードを編集表示欄202で非表示としている。そこで、加工パターンが印字可能領域に位置するよう、位置調整手段3K等により印字位置を調整する。例えば、図71の「形状設定」タブ204i内の画面内配置設定欄208で印字の開始角度を調整し、デフォルト値の−90°から−120°に変更することで、図72に示すように加工パターンのバーコードが表示される。このように、印字の開始位置や範囲、あるいはバーコードのナロー幅、印字線(バー)幅等の設定を調整し、正しく印字できるように設定する。なお、このような調整を手動によらず、加工条件調整手段80Cで自動で行わせることもできる。また、編集表示欄202における加工パターンの表示/非表示のON/OFFやその閾値は、任意に設定できる。
ハイライト処理手段80Iによる印字不可能領域の表示機能のON/OFFは、図73の「レーザパラメータの設定」画面から行う。この画面において、印字不可能領域表示機能設定欄の「表示する」のチェックボックスをOFFすることにより、印字不可能領域の表示機能をOFFできる。また図73の「レーザパラメータの設定」画面では他にもレーザパラメータの設定も行う。具体的には焦点位置やZ方向の有効範囲、有効角度(臨界角度)等を確認、調整できる。
さらに、加工不良領域検出手段80Bによって加工不良領域や加工不可能領域が演算されると、加工可能領域の大きさや位置も特定できる。このため、設定警告手段80Jが印字領域の座標範囲や印字可能な最大サイズ等の情報を、表示部82に表示することもできる。具体的な設定例を数値等で表示することによって、ユーザが再設定を行う際の指標として利用でき、操作し易い環境が提供される。
(設定警告手段80J)
設定警告手段80Jは、加工不良領域検出手段80Bで演算された加工不可能領域に加工パターンが一部でも配置されている場合、表示部82において加工パターンを非表示とする。従来、3次元加工可能なレーザ加工装置で印字加工を行う際に、設定が不適切で正しく印字が行われないことを確認するには、実際に印字を行って確認するか、あるいは印字条件の設定完了後に設定データをレーザマーカのコントローラ部のメモリに転送し、データを展開した後にコントローラ部で印字の可否を確認するしかなかった。印字条件の設定は、ワークの印字対象面の形状(例えば円柱、円錐、球等)を指定し、そこに印字する内容(例えば文字列)を指定する。ワークの形状の半径等その印字領域を決めるパラメータによって、そこに印字できる印字の大きさ(印字可能領域)が決まるため、これよりも小さな印字内容を設定する必要がある。しかしながら、従来は印字条件の設定作業中にはユーザは印字が可能かどうかを知ることができず、精々印字対象を選択し印字内容を設定した後、印字条件を一旦コントローラ部に転送して展開した後でなければ、エラーチェックを行うことができなかった。このような設定作業、データ転送、展開動作にはある程度の時間がかかるため、使い勝手が悪い。
これに対して本実施の形態では、印字条件の編集作業中に印字の可否や良否をユーザに告知する機能を設定警告手段80Jにより実現している。具体的な告知方法としては、印字対象を選択した時点で印字可能サイズを表示する方法、印字内容のサイズをユーザが設定した段階で表示する方法、印字対象と印字内容を合成して表示する方法、等が利用できる。
図74は、印字対象を選択したときに印字可能サイズを表示する例を示している。図74の例では、ワークを円柱状に設定しており、円柱状の側面近傍でレーザ光に対して入射角が浅くなり印字が不良となる領域(加工不良領域)を加工不良領域検出手段80Bで演算し、ハイライト処理手段80Iで赤色に表示している。同時に、印字が可能な領域を設定警告手段80Jで枠状に表示している。枠状の部分が、円柱状ワークの印字可能サイズを示しており、ユーザは枠状の範囲内にて印字を行うことができる。枠状は、色や太さ、線種等を変化させて表示することにより、印字可能領域の視認性を高め、容易に区別できる。
図75は、印字内容のサイズをユーザが設定した段階で表示する例を示している。図75の例では、ユーザが印字内容のサイズを指定した際に、指定された印字内容の大きさが枠状に表示される。これにより、現在指定した印字内容のサイズを表示部82上に反映させて直ちに確認できるので、ユーザは印字が適切に行えるかどうかを速やかに確認でき、必要に応じて再設定も行える。図75の例では、赤色で示される印字不良領域と枠状が干渉していないことが判り、正しく印字できることが確認できる。
図76及び図77は、図75に加えて印字内容を印字対象と合成して表示する例を示している。この場合は、図75の印字内容サイズを示す枠状に、実際の印字内容(この例では文字列「ABC」)が表示されるので、さらに視認性が高まり、ユーザは感覚的に実際の印字状態を確認できる。図75の例では、枠状内に配置された文字列ABCが赤色で示される印字不良領域と干渉していないことが確認できる。一方図77は、枠状が印字不良領域と干渉していることが確認できるので、ユーザは印字可能領域に文字列を配置するよう再設定を行うことができる。
また、このような干渉が生じた場合に、明示的にメッセージを表示することもできる。図78の例では、設定警告手段80Jが「適切な印字条件が設定されていません」との警告メッセージを表示部82上に表示させ、ユーザに再設定を促す。また警告に止まらず、再設定の具体的な設定例を数値等で表示し、再設定のガイダンスを提示することもできる。図79の例では、「○×○の印字範囲で設定してください。」のガイダンスメッセージを表示する例を示している。あるいは「印字位置を○○〜○○の範囲に移動させてください」、「文字サイズを○○以下に設定してください」等のメッセージに変更、あるいはこれらを組み合わせて表示させてもよい。これによりユーザが再設定を行う際の指標を提示し、操作し易い環境が提供される。またガイダンスや警告は文字情報のみならず、警告音や音声ガイダンス等を併用することもできる。このように設定警告手段80Jによって、現在の設定では所望の印字が行えないことを警告し、また適切な設定例を案内することができる。
(加工不良領域検出手段80B)
ここで、図13Aのブロック図に示す加工不良領域検出手段80Bの詳細について説明する。ワークの形状や搬送速度、レーザ光LBを走査するスキャナの走査速度といった様々な理由から、印字が不良となる領域が存在することがある。このような場合に、従来は加工不良領域を知る手段がなかったため、誤って加工不良領域に加工パターンを設定してしまうと、印字不良や印字ミスが発生する。このため、目視検査等で印字不良を検査し、回収する手間がかかる上、印字不良のワークは再利用が困難なため廃棄しなければならず、無駄が生じていた。そこで、本実施の形態では、設定の段階で加工不良領域に印字する設定が成されたことを検出してユーザに検知する。あるいは、実際に印字を行う際に、印字不良が発生したことを検出し、ユーザに告知する。これを実現するために、3次元レーザ加工データ設定装置に加工不良領域検出手段80Bを設けた。なおここでいう加工不良とは、加工不良領域に加えて、加工不可能領域の検出も可能な構成を含める意味で使用している。
(加工不良領域検出方法)
加工不良領域検出手段80Bが加工不良領域を検出する方法を図80に基づいて説明する。図80のような略直方体状のワークWに対して、上方からレーザ光LBを走査して印字する場合を考える。なおこの例では、レーザ光LBはZ軸(高さ)方向を固定し、印字面からスキャナミラー面までの高さをKとしている。またX軸、Y軸にそれぞれ第1のミラー、第2のミラーで走査可能とし、第1のミラー、第2のミラーはY軸方向において距離Lだけ離間され、そのX軸方向にθ1傾斜されている。この場合、これら2枚のスキャナミラーを介して、任意の座標A(X,Y,Z)にビームを集光させたとき、次式数1が成立する。
ここで、レーザ光LBのベクトルは次式数2で表現できる。
したがってレーザ光LBは、次式数3で表現できる。
数3に数1を代入すると、次式数4が得られる。
任意の座標点A(X,Y,Z)にレーザ光LBが照射できるかどうか、すなわち影になって加工不良領域となるかどうかは、上記数4の直線が印字対象のワークと交点を持つかどうかで決まる。したがって加工不良領域検出手段80Bは、上式を演算することで、加工不良領域を検出できる。また上記の例では、説明を簡略化するためワークを静止させているが、ワークをライン上で搬送する場合等、ワークが移動している場合にも、ワークの移動量を加味して各時間における加工不良領域を演算することができる。
またスキャナの走査速度の違いによる加工不良については、主にX軸・Y軸スキャナに比べてZ軸スキャナが走査速度が遅いために、傾斜面への加工において問題となる。この場合は、ワークの形状あるいは加工面における加工パターンの形状から傾斜角度を検出し、X・Y軸とZ軸との傾斜が所定以上である場合に、印字不良と判断する。なお、このようなスキャナの走査速度に起因する印字不良については、印字パラメータを調整することで解消できることがある。すなわち、X・Y軸スキャナの走査速度にZ軸スキャナが追従できないことが原因であるため、X・Y軸スキャナの走査速度を低下させることで、Z軸スキャナがX・Y軸スキャナの走査に追従することができ、正しい加工を行うことが可能となる。よって、該加工不良領域における加工の間、X・Y軸スキャナの走査速度を低下させる加工条件を調整することで、加工不良領域を解消できる。この加工条件の調整、再設定を行う手段として、加工不良領域における加工条件を加工可能となるように調整する加工条件調整手段80Cを、必要に応じて演算部80に備えることもできる。
(加工条件調整手段80C)
加工条件調整手段80Cは、傾斜した加工面の傾斜角度、X・Y軸成分、Z軸成分の比率、Z軸スキャナの走査速度、ワークの搬送速度等から、加工可能な条件を演算する。演算された加工条件の調整案は、表示部82に表示させることができる。これによってユーザは指示された調整案を参考にして加工条件を再設定する。あるいは、加工条件調整手段80Cで自動的に加工条件を再設定することもできる。この場合は、一括して加工条件を自動で再設定できるので、ユーザの負担を軽減でき、加工不良領域によらず正確な加工を実現できる。同様に、X軸・Y軸スキャナの走査速度のばらつきが問題となって加工に支障が生じ得る場合も、走査速度の速いスキャナを遅いスキャナの走査速度の合わせるよう調整することで、加工不良を解消できる。
(ハイライト処理)
以上のようにして加工不良領域検出手段80Bが加工不良領域を検出すると、表示部82にワークを表示する際に、ハイライト処理手段80Iによって加工不良領域と加工が可能な加工可能領域とを区別して表示することで、ユーザに加工不良領域を視覚的に把握させることができる。このような加工不良領域や加工可能領域を他と区別して表示するためのハイライト処理としては、カラーで着色する他、グレースケールやグラデーション、影、ハッチング等のパターンを施す、強調、点滅、グレーアウト等、他と区別可能な表示形態が適宜利用できる。また図71の例では、加工不良領域を赤色に着色しているが、これと逆に加工可能領域の方に着色するハイライト処理を採用することもできる。これによってユーザは着色された領域内で加工パターンを設定するよう促される。
(レーザ出射方向の表示)
さらに、3D表示画面において、レーザ出射方向の表示を表示することもできる。図40の例において、編集表示欄202においてレーザマーカのマーキングヘッドをアイコン状のイメージMKで表示し、かつマーキングヘッドから出射されるレーザ光LKの軌跡を直線状に表示している。これによって印字の方向を示すことができるので、上述した印字不可能領域との関係が把握し易くなる。またマーキングヘッドのイメージMKは表示と非表示を切り替えることもできる。図81に、各種設定を行う設定画面として、マーキングヘッドイメージMKの表示/非表示の設定画面210の一例を示す。このように、「レーザマーカを表示する」欄のチェックボックスをON/OFFすることによって、表示/非表示を容易に切り替えることができる。このようにマーキングヘッドイメージMKは、加工対象面の3次元イメージを加工イメージ表示部83に表示させる際に、マーキングヘッドとの位置を3次元的に表示するヘッドイメージ表示手段84として機能する。
(座標軸の表示)
また、作業領域の座標軸を表示することで、座標位置の確認を容易にできる。図40等の例では、作業領域のXYZ座標軸を表示している。これらの座標軸は異なる色で表示することによって、表示を回転させてもXYZ座標軸を容易に区別できる。なお図40等の例において、Z軸はマーキングヘッドのレーザ光の軌跡と一致するよう、マーキングヘッドをXY座標の原点上に位置させている。これにより、座標空間におけるマーキングヘッドの位置関係をユーザに判り易くイメージさせることができる。
また、座標軸の表示のON/OFFを切り替えることもできる。図81の設定画面から、「軸を表示する」欄のチェックボックスをON/OFFすることによって、座標軸の表示/非表示を容易に切り替えることができる。この例では、XYZ座標軸の表示/非表示は一括で設定されるが、X軸、Y軸、Z軸につき、個別に表示のON/OFFを切り替えるよう構成してもよい。さらに、このようなXYZ座標軸以外に、任意の基準線を表示させることもできる。例えば、円柱状ワークの側面に対して印字を行う際、基準位置を明確にするために長手方向に沿って側面に基準線を表示させることもできる。基準線は、任意の位置に1又は複数設定でき、ベクトルの方向や座標等を指定する。
(マーキングヘッドのアイコン)
図のマーキングヘッドは、マーキングヘッドの形状を模したアイコン状に表示している。形状や色は、実物のマーキングヘッドに従っている。ただ、マーキングヘッドの裏面側の色については、表面側と異なる色で表示させることが好ましい。上述した図41では、マーキングヘッドイメージMKの裏面を白色としており、図40等に示すマーキングヘッドイメージMKの上面の灰色と異なる色に着色している。これにより、3D表示画面の視点を変更し、印字面を回転させて裏側からの表示になっても、裏側を観察していることをユーザは容易に把握できるようになる。図41の例では白色としたが、異なる色としてもよいことはいうまでもない。さらに、各表示色を任意にユーザが指定、変更するよう構成してもよい。図82に、3D表示画面の配色を変更する画面例を示す。また配色のみならず、実線、破線等、線のパターンや塗り潰しのハッチングパターンといった表示のパターンを変更することもできる。図83に2D表示画面における表示の変更画面、図84に2D表示画面における配色の変更画面の例を、それぞれ示す。これらの画面から、ユーザは所望の色やパターン、表示/非表示等を設定できる。
このように、加工対象面と共にレーザマーカのマーキングヘッドのイメージも併せて3次元的に表示することで、両者の位置関係をユーザは視覚的に把握できる。このため設定内容のイメージを容易に確認でき、設定ミスを低減できる。この例では、加工面の移動や視点変更に応じてマーキングヘッドのイメージも対応して表示を更新される。なお、図41等の例では、2D表示においては拡大/縮小等表示倍率を変更できるが、3D表示においては倍率を固定としている。3D表示に操作に不慣れなユーザを考慮して、変更可能な項目を制限したものである。ただ、3D表示においてもワークのイメージの拡大/縮小を可能とし、またこれに応じてマーキングヘッドのイメージも拡大/縮小するよう構成できることはいうまでもない。なお、ワークの拡大/縮小と無関係に、マーキングヘッドのイメージの大きさを固定してもよい。マーキングヘッドの表示は位置関係の確認が一の目的であるため、マーキングヘッドの大きさを固定することで縮小表示の際にマーキングヘッドの位置を見失わないようにできる。
また、上記の例ではワークが静止した状態での印字を説明しているため、3D表示においては作業領域を中心に表示している。ただ、後述するように移動するワークに対しても印字可能なレーザマーカを利用することもでき、このような移動印字の際には、静止印字の作業領域よりも広い範囲に3D表示することもできる。すなわち、移動印字の場合には印字可能なエリアが実質的に広くとれるため、広い印字可能なエリアの全体を3D表示することで、印字設定の確認を容易にできる。特に、長尺のワークが長手方向に搬送される際等は、ワークの全体を一画面で表示させることで全体の把握が容易となる。また、必要に応じて画面をスクロールさせて全体を表示させることも可能であることはいうまでもない。
(印字ブロックの配置)
さらにまた、レーザ加工データ設定プログラムは、加工対象面の配置を調整する機能も有する。図85の例では、位置調整手段3Kを構成する「形状設定」タブ204iを選択した状態で詳細設定欄204cの「ブロック形状・配置」タブ211を選択すると、印字ブロックの基準位置の座標や回転角、ブロック形状の詳細が指定できる。これによって、加工対象面の配置を任意に変更できる。またブロック形状の詳細は、図85のように円柱の加工対象面が指定されている場合は、「ブロック形状」欄212で円柱の半径と、印字面が円柱の内面か外面の別を指定できる。
(レーザ加工データの設定手順)
以上のレーザ加工データ設定プログラムを用いて、加工条件設定部3Cから印字条件を設定して加工データ生成部80Kが加工パターンを生成する手順を、図86のフローチャートに基づいて説明する。まず図86のステップS21において、加工パターンを設定する。ここでは、加工条件設定部3Cから文字列を入力し、さらにエンコードするシンボルの種別を指定する。図14の例では、加工種類指定欄204aで文字列を選択し、文字入力欄204bから文字列として「012345」を入力すると共に、文字データ指定欄204の「文字データの種類」欄から、シンボルの種別として「バーコード」、さらにバーコードの詳細種別として「CODE39」を指定している。このようにして指定された情報に基づき、演算部80は加工パターンを生成する。ここでは文字列でなくバーコードが選択されているので、バーコードが生成され、バーコードのイメージが編集表示欄202に表示される。
なお、この例では加工条件設定部3Cから入力された文字情報に基づいて、演算部80が自動的に加工パターンとしてシンボルを生成しているが、直接シンボルを入力することも可能である。例えば、既に作成されたシンボルの画像データを加工条件設定部で選択して入力したり、他のプログラムで作成したシンボルを加工条件設定部から貼り付ける等の手段が採用できる。
またステップS22で、加工条件設定部3Cからプロファイル情報を入力する。図14の例では、印字パターン入力欄204のタブを「基本設定」タブ204hから「形状設定」タブ204iに切り替えて、図37のプロファイル指定欄205から基本図形を円柱を選択する。これにより、図38に示すように編集表示欄202の表示が平面状から円柱状に切り替えられる。また、編集表示欄202の表示形式を3D表示に切り替えると、図39に示すように加工対象面の3次元形状が立体的に確認できる。なお形状の指定は文字列すなわち印字ブロック毎に設定可能であるが、複数文字列に一括して形状を指定してもよい。
このように、ステップS21で印字パターン情報を指定し、この加工パターンの平面図を編集表示欄202で表示させた後、ステップS22でプロファイル情報を指定して3次元の加工パターンに変換して編集表示欄202で確認することで、加工パターンの変化を視覚的に確認できる。なお、上記ステップS21とステップS22は、順序を入れ替えてもよい。すなわち、先に加工対象面の形状を指定した後、印字パターン情報を指定することもできる。
以上のようにして、加工データとして3次元空間座標データが得られた後、必要に応じて調整作業が行われる。例えばレイアウトの調整や高さ方向(z方向)への微調整が挙げられる。微調整には、プログラムのユーザインターフェース上に設けられたスライダの調整やマウスのホイール回転等の手段が利用できる。
以上の手順で最終的なレーザ加工データが生成され設定作業が終了した後、得られたレーザ加工データをレーザ加工データ設定プログラムから、図12に示すレーザ加工装置のコントローラ1Aに転送する。転送の実行には、レーザ加工データ設定プログラムの画面左下に設けられた「転送・読出し」ボタン215を押下する。これによりコントローラ1A内のメモリに設定データが転送され、展開されて設定内容が切り替えられ、新たな印字条件が反映される。
レーザ加工装置では、レーザ加工データに基づいて印字加工を行う。また実際の加工開始に先立って、テスト印字を行わせてもよい。これにより、所望の印字パターンの印字が得られるかどうかを事前に確認することができる。またテスト印字結果に基づいて、さらにレーザ加工データを再設定することもできる。
以上の例では、一のワークに一の印字パターンを指定する例を説明したが、同様の手順を繰り返すことにより一のワークに複数の印字パターンを指定することもできる。また、レーザ加工データ設定プログラムの一画面にワークを一のみを表示する構成に限られず、一画面に複数のワークを表示させて、それぞれのワークに印字パターンを指定することもできる。
(移動印字の設定方法)
またレーザ加工装置で、静止したワークへの可能のみならず、移動するワークに対しても加工データ生成部80Kで適切な条件を演算して印字を行うよう構成できる。一例として平面状のワークが移動する印字の設定方法について、図87に基づいて説明する。2次元的な移動印字では、移動するワークに対して、2次元的な印字対象面に印字する。このような印字の場合は、(1)印字する印字内容を決定し、(2)平面移動の加工条件を設定した上で、(3)印字を開始し、(4)さらに印字内容のXY座標に、ワークの移動量に応じた座標を加算する。図87(a)の例では、印字内容として文字列「ABC」を指定している。また平面移動の加工条件としては、移動方向、移動条件、印字範囲等がある。以下、平面移動加工条件について順次説明する。
(移動方向)
平面移動加工条件の一である移動方向として、ワークの移動方向を指定する。この例では、印字対象のワークが左から右へ移動するため、この移動方向を移動加工条件設定部から指定する。図88に移動加工条件設定部の一例として、加工ライン条件設定画面240を示す。この図において、「移動/印字方向」タブ241を選択し、ワークのXY移動方向及び/又はZ移動方向を設定する。この例では、レーザ加工装置のマーキングヘッドを平面図及び側面図で示し、これに対してワークのラインの向き及び移動方向を指定する。このような視覚的な表示例から選択させることによって、ユーザは相互の位置関係を容易に把握でき、設定を容易にすると共に設定ミスを低減できる。図87の例では、マーキングヘッドの長手方向に対して印字の向きが図87(a)に対して直交する場合、ワークの移動方向に応じて上又は下方向を選択する。選択後、印字内容である「ABC」が上下方向に並んで表示される。
(移動条件)
移動条件は、所定の速度での移動(フィードバック無しのオープン制御)か、エンコーダによるフィードバック制御かを指定するものである。ここではワークが等速移動かエンコーダ制御かを選択する。
(印字範囲)
印字できる範囲は、X方向とY方向に対応させて設けられたスキャナの可動範囲によって定められるものであり、その最大の印字可能範囲は、図14や図39に示す編集表示欄202で表示される部分が、これに対応するよう設定されている。ユーザは、その編集表示欄202内に、印字対象文字等を設定することで、自動的に印字範囲を設定できる。
これらの平面移動加工条件を指定すると、印字開始後のXY座標位置及び各座標位置におけるレーザ光のON/OFFを演算できる。XY座標は、印字内容の文字に応じたXY座標に、ワークの移動方向の座標に対してワーク移動量分を加算して計算できる。図87の例では、ワークがX方向に移動するため、X座標についてのみワークの移動速度を加算し、Y座標については維持する。
また、平面が移動する例に限られず、回転体等、3次元的な移動印字を行うことも可能である。この場合も上記平面移動印字と同様、(1)印字する印字内容を決定し、(2)回転移動の加工条件を設定した上で、(3)印字を開始し、(4)さらに印字内容のXY座標に、ワークの移動量に応じた座標を加算する。
(デフォーカス量の設定)
以上の加工データ生成部80Kは、加工条件設定部3Cで設定された加工条件に基づいて、3次元状の加工対象面と一致する基本設定条件となるように加工データを生成している。ただ、意図的に加工対象面と一致しないようにデフォーカス量を設定することも可能である。
意図的に特定のデフォーカス量を印字面に対して設定するには、印字面に対してフォーカスが合う基本設定条件に対して、デフォーカス量を指定する。図89に、このような設定を行う加工パラメータ設定画面の一例を示す。図89において、加工パラメータ設定欄204nにデフォーカス値を指定するデフォーカス設定欄204oが設けられており、ユーザが所望の値を入力する。デフォーカス値として、例えばプラスの値を入力すれば、焦点位置が印字面よりも設定された値分、レーザ加工装置に対して離れた位置に設定される。逆にマイナスの値として入力すれば、印字面よりさらに設定された値だけ焦点位置がレーザ加工装置に対して近い位置に設定される。
また、加工条件を設定する際の設定項目として、レーザ光のデフォーカス量としてのスポット径、ワークの材質等の加工パラメータを設定することもできる。この際、指定された一の加工パラメータの変更に追従させて他の加工条件を自動的に変更することにより、ユーザは特定の設定項目のみを変化させた条件出しが容易に行える。図89に示すレーザ加工データ設定プログラムの画面においては、画面右側の「詳細設定」タブ204jの下段において、ワーキングディスタンス、デフォーカス量、スポット径、加工対象ワークの設定欄が設けられている。ワーキングディスタンスは、レーザ加工装置によって決まるため、通常は自動で設定される。デフォーカス量は、レーザ光の焦点位置(ワーキングディスタンス)からのオフセット量を指定する。またスポット径は焦点位置のスポット径を基準として比率で指定される。さらに、加工対象ワークは、加工対象のワークの材質や加工目的を、選択肢から選択することで、選択されたワークの加工に適したレーザ光のパワー密度に調整される。この例では、鉄への黒色印字、ステンレスへの黒色印字、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂といったワークの材質、及び樹脂溶着、表面粗しといった加工目的が列挙されており、ユーザは所望の加工目的に応じてラジオボタンを選択する。
これらの設定項目は、相互に関連している。すなわち、デフォーカス量を調整することにより、レーザ光のパワー密度を調整できるが、同時にスポット径も変化する。またワークの材質や加工目的を選択すると、目的に合致したレーザ光のパワー密度が選択されるため、デフォーカス量やスポット径が変化することになる。このため、スポット径を一定に維持しつつレーザ光のパワー密度を調整したい場合には、従来はデフォーカス量を設定するのみならず、スポット径が変化しないような加工パラメータの組み合わせを探すべく、レーザ光の出力値や走査速度といった他の設定項目を調整する必要があった。この作業は、実際にワークにレーザ光を走査して加工した結果を見ながら各項目値を調整するという試行錯誤を繰り返して、最適な加工パラメータの組み合わせを見つけ出すものであるため、極めて煩雑で手間がかかる。
そこで、予め一の加工パラメータに対応して変更すべき他の加工パラメータ値の組み合わせを参照テーブル5aに登録しておき、一の加工パラメータを調整する際には、参照テーブル5aを参照して該当する他の加工パラメータの組み合わせを抽出し、この値を自動設定することによって、必要な設定項目のみを変化させることを可能としている。具体的には、図89の画面からデフォーカス量やスポット径、加工対象ワークのいずれか一を設定すると、他の設定項目には対応する値が自動的に入力される。また、この状態からデフォーカス量を変更しても、スポット径や加工対象ワークが一定に維持されるよう、他の加工パラメータ(例えばレーザ出力や走査速度)等が自動的に調整される。これにより、ユーザは所望の項目のみを速やかに変更できるので、所望の加工結果に極めて容易に調整することができる。
(デフォーカス量の連続変化)
さらに、加工パラメータをレーザ加工中に連続的に変化させることもできる。これによって、図90に示すような加工パターンに加工することができる。図90(a)は、ワーク表面の彫り込み加工において傾斜面を形成した例を示す断面図であり、図90(b)はワーク表面に筆書き調のロゴを印字加工した平面図である。このような加工を行うには、レーザ光のデフォーカス量やスポット径を連続的に変化させるように設定することで実現できる。この際も、上記と同様にデフォーカス量やスポット径の連続変化に追従させるように、加工データ生成部80Kが他の加工パラメータも連続的に調整し、指定された設定項目のみが連続変化するように自動調整される。この結果、加工位置や大きさといった、変更を要しない設定項目は従前の値を維持するような加工が行われ、ユーザが望む設定項目のみを変化させるような加工条件を容易に設定できる。
図91に、このようなレーザ加工の連続変化を設定する設定画面の一例を示す。図91の例では、「連続変化を行う」欄のチェックボックスをONにすると、連続変化の設定画面に切り替えられる。ここでは、連続変化を行う範囲を座標位置で指定する。また、変化させたい設定項目のチェックボックスをONにすると、範囲の入力欄が表示され、数値を指定可能となる。図91の例では、デフォーカス量のチェックボックスを選択しており、開始位置のデフォーカス量と終了位置のデフォーカス量を指定する。指定されたデフォーカス量は、指定された範囲内において、均等に連続変化するように自動設定される。また、開始値または終了値のみを指定し、変化の増分・減分や変化率を指定することもできる。また、デフォーカス量を設定すると、スポット径の欄も対応する数値が参照テーブル5aから参照されて、入力欄に自動的に入力される。このように、いずれかの設定項目が指定されると、他の設定項目にも自動的に対応値が入力されるので、ユーザは各設定項目の加工パラメータ同士の相関関係を意識することなく、必要な項目のみを設定するだけで所望の加工条件に変更することが可能となる。
なお、図91の例では、文字データ指定欄204dで「RSS&CC(RSS・コンポジットコード)」が選択され、編集表示欄202及び3次元ビューワ260にコンポジットコードが表示されている。「RSS&CC」では、RSSコード、またはRSSコードの上方にマイクロPDFコードを付加したコンポジットコードが設定できる。この例では種別指定欄204qでコンポジットコードとして「RSS-14 CC-A」が選択されている。また、文字入力欄204bにおいて付加情報の入力に必要な区切り文字やその他制御コード、特殊文字コード、外字等の入力を容易にするため、これらの入力用ボタンを備えた第2のフローティングツールバー296を設けることもできる。これにより、ユーザは特殊なコードの入力作業を容易に行うことができる。
以上のようにして、加工対象のワークの材質、加工パターン、仕上げ状態、加工時間等の設定項目について、レーザ光のビーム径を自由に変化させることにより、簡単に短時間で変更できる。
(設定の保存・読み込み)
さらに、一旦設定された加工条件の加工パラメータを設定データとして保存し、必要時に呼び出すこともできる。例えば、ファイルメニューから「名前をつけて保存」を選択し、任意の名称をつけて設定情報を保存しておくことで、将来同じワークに同じ加工を行う際に、保存された設定データを呼び出すことで、段取り替えに要する時間や手間を大幅に簡略化できる。また、よく使われる設定については、予め登録しておくことにより、これを利用すれば初心者でも容易に加工条件の設定を行える。また登録・保存されたデータの設定条件をベースにして調整を行うことによって、設定の手間を大幅に省力化できる。このように、設定情報の再利用を可能とすることでも、設定作業の省力化に大きく貢献できる。
以上のように、レーザ加工データ設定プログラムを用いたレーザ加工データ設定方法の基本的な流れは、先ず2次元設定用ユーザインターフェースを用いて、2次元状の印字パターン情報として、印字文字列やレイアウトなどを設定し、次いで3次元設定用ユーザインターフェースで、印字パターンを3次元形状に変換するための3次元情報やレイアウトを設定するという手順になる。この手順を具体的に説明すると、先ず2次元設定用ユーザインターフェースでの設定は、印字対象の文字列、バーコード、2次元コード、あるいはユーザ規定の図形等を規定する情報と、それらの大きさ、文字毎の傾き、線幅など平面的なレイアウトに関するデータを入力する。データ入力に関しては、直接数値入力することや、加工イメージ表示部で2次元状に表示させたイメージ上から直接編集することも可能である。例えばサイズ調整やレイアウト等をマウス操作により調整できる。これらの設定は、2次元表示にて行うことができる。
次に、上記で設定した印字パターンについて、3次元設定用ユーザインターフェースを用いて、3次元的形状及びレイアウトに関する情報を付加する。3次元的形状の指定を、上述した図37及び図38の例に基づいて説明すると、図38の「形状設定」タブ204iで文字列の形状に「円柱」を指定した段階で、文字列が円筒面に張り付くように変形され、図38に示すように編集表示欄202で示す正面すなわち印字対象面の真上から見た印字イメージの形状が変形される。
ここで正面図と立体図の変換は、以下のように行える。例えば円柱のように平面図に展開可能な立体図形の場合、2次元で設定した印字パターンの文字列は展開図に配置されていると考えることができる。展開図から立体を作成する場合、設定した文字列が立体表面のどの位置に配置されるかは、演算により容易に計算できる。また、この3次元形状の正面図を作成するには、文字列が配置された円筒を、印字対象面の無限遠正面から見た場合の表示図を作成し、この状態から印字する文字列以外の情報を取り去る。すなわち3次元形状のワークに関する情報を排除することで、印字する文字列の正面図が作成できる。また、このような展開図を貼り付ける方法に限られず、立体図形の表面に2次元で設定した文字列を任意の方向から射影する方法や、立体表面に近似的にマッピングを行う方法も適宜利用できる。
さらに3次元形状を設定した印字パターンのレイアウトを、3次元設定用ユーザインターフェースから調整する。レイアウトの調整は、3次元表示画面で直感的に印字パターンの立体的な位置関係を確認しながら、2次元表示画面で正面図を表示させて、微妙な位置調整を行える。例えば、基本図形の基準となる座標位置の指定や、図形の傾き、図形の基準点から文字がどの位置に配置されているか等の情報を設定する。この設定に関しても、数値で直接入力する他、加工イメージ表示部で2次元的又は/及び3次元的に作業領域内に配置されたワークのイメージ上で直接編集することも可能である。これらの設定において設定可能な項目としては、例えば図92の一覧表に示す事項が挙げられる。
(加工条件)
加工条件には、加工の内容を示す加工パターン情報と、加工パターンを加工対象面の形状に応じて3次元状に変形する3次元形状情報が含まれる。加工パターンは、文字列やバーコード、2次元コード等のシンボル、あるいはロゴ等のイメージデータである。またパレット印字等の一括加工モードにおいては、製造年月日やシリアル番号等の変数を加工パターンに含めてもよい。変数は、加工日時等、加工時に指定する所定値の他、シリアル番号等のように加工位置や加工順序等に応じてインクリメントする値等が利用される。このような情報をワークに付加することで、トレーサビリティに対応した3次元印字が実現できる。
(Z軸スキャナの追従機能)
レーザ光走査系でレーザ光を3次元的に走査してワークに印字する場合、XY座標にZ座標を関連付けることで、X軸、Y軸スキャナの移動に合わせてZ軸スキャナが追従するよう移動させることができる。この様子を図93に基づいて説明する。図93(a)に示す三角錐状のワークに対して印字を行う場合、図93(b)に示すようにXY座標に応じたZ座標を関連付けておくと簡易的に3次元のレーザ加工データが作成できる。これにより、X軸、Y軸スキャナの指示するXY座標と対応して、Z座標がZ軸スキャナにより自動的に決定されて、所望の3次元印字が行える。この場合、X軸、Y軸スキャナの移動に追従して、常にZ軸スキャナも移動する。
一方、Z軸スキャナは一般にX、Y軸スキャナに比べて、機構上、構造上の相違によって応答特性が一般に劣る傾向にある。すなわち、Z軸スキャナは動作指示が与えられてから実際に動作を完了するまでに要する応答時間が、X、Y軸スキャナのそれよりも長く、応答性が悪い。このため、常時Z軸スキャナをXY軸スキャナの移動に追従させると、Z軸スキャナの移動速度が完了するまでの待ち時間が発生するか、X・Y軸スキャナの応答速度を落とすことになり、いずれにしても印字に要する時間が長くなってしまう。そこで本実施の形態では、このようなZ軸スキャナの追従機能を常時ONさせるのでなく、追従が不要な場合は追従機能をOFFし、必要時のみONさせる制御を行うことができる。
具体的には、図93の例では、図94に示すようにマーキングON時の軌跡を関連付けに従った追従移動とし、一方マーキングOFF時の軌跡は、Z座標を変化させず一定値に保つようにする。これによりマーキングOFFの間、例えば印字を中断してXY軸スキャナを移動させる間にZ軸スキャナの動作を中断できるので、XY軸スキャナの本来の応答速度で移動でき、全体としてのマーキング処理時間を短縮できる。例えば、Z座標の決定を、マーキングのON/OFFで区別し、マーキングONの場合はXY座標に関連付けたZ座標を出力し、OFFの場合はXY座標に関連しない所定のZ座標を出力する。所定のZ座標は、前段でのマーキング終了時のZ座標を維持する他、規定の座標位置(例えば装置起動時のZ座標、最下位置、最上位置など)としてもよい。あるいは、次段のマーキング開始位置まで移動させてもよい。この方法だと、次段のマーキング開始をスムーズに行うことができる。
より具体的なZ軸スキャナの制御方法として、現在の座標(Xa、Ya、Za)から目標座標(Xb、Yb、Zb)に移動する場合を、図95のフローチャート及び図96及び図97に基づいて説明する。先ず図95のステップS’1で、レーザ光の出射ONかOFFかを判定する。レーザ光の出射ONの場合、ステップS’2に進み、XY座標に関連付けされたZ座標を有する3次元の軌跡を通る。具体的には図96に示すように、XY軸スキャナは(Xa、Ya)から(Xb、Yb)に向けて移動する。また、Z軸スキャナは、XY座標に関連付けされたZ座標でZaからZbに移動する。
一方、ステップS’1で、レーザ光の出射OFFの場合、ステップS’3に進み、移動時間が短くなる軌跡を通る。具体的には図97に示すように、XY軸スキャナは(Xa、Ya)から(Xb、Yb)に向けて移動する。この際、Z軸スキャナは追従機能を中断し、Zaから目標座標Zbにむけて最短の経路で移動する。これにより図96に比べZ軸スキャナの無駄な動きが排除され、その分XY軸スキャナのみを高速で移動できる。このように、X,Y座標に関連したZ座標を出力する際、レーザ光の出射ON/OFFの情報に基づいてZ座標を変化させることで、全体としてスキャナの応答特性を改善し、印字時間を短縮できる。
また、Z軸スキャナの追従機能は、上述した図93のようなワークの3次元形状に応じたZ座標の関連付けに限らず、図8に示すような光学特性の補正においても利用できる。すなわち、fθレンズによる焦点位置の補正をZ軸スキャナで行う場合にも、Z座標の関連付けを行ってZ軸スキャナの追従機能を利用できる。この場合においても、レーザ光の出射OFF時には追従機能をOFFさせることで、余計な待ち時間を省略して応答性を改善し、印字に要する時間を短縮できる。このように、レーザ光の出射ON/OFFに応じてZ軸の軌跡を変化させ、特に出射OFFの際に余計なZ方向の動きを排除して処理時間を短縮でき、効率的なスキャナの駆動が実現できる。