JP4795674B2 - 結晶化ガラスの表面印刷用インキ - Google Patents
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Description
このようなプレートとして、特許文献1には、結晶化ガラスからなるプレート基体と、このプレート基体の表面を被覆してなる釉薬と、前記プレート基体の底部に焼き付けてなる銀被膜とからなるものが記載されている。特に、特許文献1に記載のプレートでは、上記釉薬に黒色顔料が配合されており、これによって、プレート全体に黒色の着色が施されている。
バインダ樹脂、ガラスフリット、銀粉末、無機顔料、および有機溶媒を含有し、前記銀粉末が、平均粒径が0.01〜2μmの球状粒子であり、前記ガラスフリットの平均粒径が1〜10μmであり、前記ガラスフリット100重量部あたりの銀粉末の配合量は25重量部以上、200重量部以下、無機顔料の配合量は25重量部以上、90重量部以下であることを特徴とする、結晶化ガラスの表面印刷用インキ、
を提供するものである。
従って、本発明のインキは、例えば、電磁調理器などの電磁誘導加熱装置に用いられる結晶化ガラス製のプレート基体の表面に印刷層を形成する用途において好適である。
バインダ樹脂は、本発明のインキを印刷することにより形成されたインキ塗膜から上記有機溶媒が揮散した場合に、当該インキ塗膜中の各種配合成分を結合させる役割を担うものである。
ガラスフリットは、本発明のインキを印刷することにより形成されたインキ塗膜を焼成する際に溶融するものであって、焼成によってバインダ樹脂が分解、揮散した後、すなわち焼成後の表面塗膜において、顔料などのバインダとして作用するものである。このガラスフリットとしては、ガラスを微細に粉砕して粉末状にしたものが用いられる。
銀粉末は、本発明のインキを印刷することにより形成された表面印刷層と、結晶化ガラスとの焼成処理後における接着強度を大幅に向上させる目的で配合される成分である。この銀粉末としては、球形粒子状であって、平均粒径(50%粒径)が0.1〜2μmの、極めて微細な粉末が挙げられる。
上記球形粒子状の銀粉末としては、短径と長径との比率が、1:1〜1:3の範囲であることが好ましい。なお、すなわち、短径と長径との比率が1:1である場合は、銀粉末が真球状であることを示している。
無機顔料の具体例としては、例えば、白色顔料である酸化チタン、酸化亜鉛;青色顔料である含硫黄ケイ酸アルミニウムナトリウム塩(群青顔料);赤色・褐色系顔料である酸化鉄を主成分とする顔料;黒色顔料である酸化銅系、酸化クロム系の顔料;シルバーメタリック顔料であるアルミニウム粉末、マイカ−酸化チタン系顔料;ゴールドメタリック顔料であるマイカ−酸化チタン−酸化鉄−酸化ケイ素系の顔料や、アルミニウム粉末を酸化鉄で被覆したものなどが挙げられる。
有機溶媒としては、これに限定されるものではないが、例えば、アルコール類(具体的には、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、セリルアルコール、シクロヘキサノールなどの炭素数6〜18(好ましくは、炭素数8〜18)の脂肪族アルコール類;α−,β−,γ−テルピネオール、ジヒドロテルピネオールなどのテルペンアルコール類;シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキシルアルコールなどの脂環式アルコール類。);アルキルエーテル類(具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ジヒドロテルピネオールアセテートなど。)が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種類を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
インキの粘度の調整は、例えば、バインダ樹脂の種類、分子量、無機顔料や銀粉末の配合量、有機溶媒の種類、配合量、後述する上記以外の成分の配合量などを適宜調節することにより、実行することができる。
本発明のインキは、公知のインキと同様に、例えば、練り機を用いて上記各成分を混合、混練して、均一に分散させることによって調製することができる。練り機としては、3本ロール、スパイクミル、ビーズミルなどが挙げられる。
本発明のインキを用いて結晶化ガラスの表面印刷層を形成するには、本発明のインキを結晶化ガラスの表面に印刷して、インキ被膜を形成した後、このインキ被膜を、電気炉中などにおいて、500〜1000℃で30〜60分間、焼成して、バインダ樹脂などの有機成分を全て分解除去すればよい。これにより、耐熱性があり、強靭で、結晶化ガラスに対する接着力に優れた被膜を形成することができる。
<インキの製造>
インキの製造に使用した成分は、次のとおりである。
・アクリル樹脂(バインダ樹脂):懸濁重合品;重量平均分子量Mw約10万
・ブラック顔料(無機顔料):東罐マテリアルテクノロジー(株)製、品番「42−302A」、主成分Cu,Cr
・メタリックシルバー顔料(無機顔料):メルク(Merk)社製、「イリオジン(登録商標、Iriodin)123」
・メタリックゴールド顔料(無機顔料):メルク社製、「イリオジン307」
・メタリックレッドゴールド顔料(無機顔料):メルク社製、「イリオジン520」
・銀粉末A:粒子形状が球状であるもの;三井金属(株)製、平均粒径(50%粒径)約0.4μm
・銀粉末B:粒子形状がフレーク状であるもの、同和ハイテック(株)製、「FA2」
・ガラスフリットA:平均粒径(50%粒径)が5μmであるもの;東罐マテリアルテクノロジー(株)製、屈伏点500℃、硼珪酸鉛系
・ガラスフリットB:平均粒径(50%粒径)が15μmであるもの;東罐マテリアルテクノロジー(株)製、屈伏点505℃、硼珪酸鉛系
・有機溶媒:テルピネオール(テルペンアルコール類)
実施例1
アクリル樹脂100重量部に対して、ブラック顔料350重量部、銀粉末A200重量部、ガラスフリットA400重量部および有機溶媒(テルピネオール)300重量部を配合して、3本ロールで混練りして、インキを製造した。
ブラック顔料350重量部に代えて、メタリックシルバー顔料200重量部(実施例2)、メタリックゴールド顔料200重量部(実施例3)、またはメタリックレッドゴールド顔料200重量部(実施例4)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、インキを製造した。
銀粉末を配合しなかったこと以外は、比較例1については実施例1と同様にして、比較例2については実施例2と同様にして、比較例3については実施例3と同様にして、比較例4については実施例4と同様にして、インキを製造した。
比較例5
銀粉末A200重量部に代えて、銀粉末B200重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、インキを製造した。
ガラスフリットA400重量部に代えて、ガラスフリットB400重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、インキを製造した。
比較例7
ガラスフリットA400重量部に代えて、ガラスフリットB400重量部を使用したこと以外は、比較例1と同様にして、インキを製造した。
ブラック顔料の配合量を100重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、インキを製造した。
比較例8
ブラック顔料の配合量を600重量部とし、銀粉末を配合しなかったこと以外は、実施例5と同様にして、インキを製造した。
銀粉末の配合量を400重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、インキを製造した。
<インキの粘度測定>
上記実施例1〜6、比較例1〜8で得られたインキについて、せん断速度が1s−1であるときの粘度η1(23℃)と、せん断速度が12.1s−1であるときの粘度η12.1(23℃)とを、ソリキッドメータで測定した。
<表面塗膜の接着性評価>
(1)インキ塗膜の形成
上記実施例1〜8、比較例1〜8で得られたインキと、スクリーン印刷版とを使用して、手刷りによるベタ印刷を実施することによって、ガラス基板上にインキ塗膜を形成した。
次いで、ガラス基板上に形成されたインキ塗膜を70℃で30分間乾燥させた後、電気炉で焼成した。焼成処理は、電気炉内の温度を、60分間かけて室温から600℃まで昇温し、600℃で30分間保った後、5時間かけて室温まで徐冷するという条件に従った。
(2)接着性の評価
ガラス基板上に印刷形成され、かつ焼成された表面塗膜に対して、カッターナイフの刃を略直角に押し付けた状態で、カッターナイフを上記表面塗膜上にて数回往復移動させた。その後、表面塗膜を目視で観察して、下記の評価基準に沿って、接着性(焼成後の接着性)を評価した。
AA:表面塗膜の剥離は全く観察されず、表面塗膜の磨耗は、カッターナイフで擦られた箇所に若干観察されただけであった。すなわち、表面塗膜の接着強度は、極めて良好であった。
A:カッターナイフを10往復させても、表面塗膜の剥離はほとんど観察されなかった。また、カッターナイフが当接していた箇所においても、剥離した表面塗膜の厚みは、本来の表面塗膜の厚みに対して10%以下であった。すなわち、表面塗膜の接着強度は良好で、実用上十分であった。
B:カッターナイフを10往復させることで、表面塗膜の剥離および摩耗が観察された。表面塗膜の剥離および摩耗は、実用上不適当な程度発生した。すなわち、表面塗膜の接着強度は、実用上不十分であった。
C:カッターナイフを10往復させることで、カッターナイフが当接していた箇所の表面塗膜は略完全に剥離した。
D:表面塗膜は、手で擦り取れるほど接着強度が低く、カッターナイフを1往復することで、表面塗膜が略完全に剥離した。
以上の結果を表1〜5に示す。
これに対し、銀粉末を含有していない比較例1〜4、7および8のインキを使用した場合には、表面塗膜の接着性の著しい低下が観察された。また、銀粉末がフレーク状である比較例5、および、ガラスフリットの平均粒径が大きすぎる比較例6についても、表面塗膜の接着性が低下した。
Claims (1)
- バインダ樹脂、ガラスフリット、銀粉末、無機顔料、および有機溶媒を含有し、前記銀粉末が、平均粒径が0.01〜2μmの球状粒子であり、前記ガラスフリットの平均粒径が1〜10μmであり、
前記ガラスフリット100重量部あたりの銀粉末の配合量は25重量部以上、200重量部以下、無機顔料の配合量は25重量部以上、90重量部以下であることを特徴とする、結晶化ガラスの表面印刷用インキ。
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