以下、本発明の実施形態の電子写真感光体、並びにそれを用いた電子写真方法、電子写真装置、及び電子写真用プロセスカートリッジについて詳細に説明する。
まず、本発明において感光層中に含有させる下記一般式(I)で表わされるトリフェニ
レン化合物の詳細を説明する。
式(I)中、R1、R2 は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のアルキル基又
は芳香族炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよい。ただし、R1、R2のいずれか1つは置換若しくは無置換のアルキル基である。また、R1、R2は互いに結合し、窒素原子を有する置換若しくは無置換の複素環基を形成してもよく、また、各R1、R2 は同一でも異なっていてもよい。nは1〜4の整数を表し、R3 は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、又はハロゲン原子のいずれかを表し、nが2〜4の場合、複数のR3 は同一でも異なっていてもよい。
このトリフェニレン化合物は、対応する下記式(VI)で表わされるヘキサブロモトリフェニレンと、下記式(VII)で表わされるボロン化合物とを反応させることにより製造することができる。
(式中、R
1、R
2、R
3、nは前記一般式(I)と同じ)
前述したように、前記一般式(I)で表わされるトリフェニレン化合物は新規化合物で
あって、対応する前記式(VI)で表わされるヘキサブロモトリフェニレンと、前記式(VII)で表わされるボロン化合物とを反応させることにより製造することができる。
これらを製造するには、塩基の存在下又は不存在下に、パラジウムを用いて前記式(VI)と前記式(VII)の原料又はその塩の混合物を、100〜250℃程度の温度でカップリング反応によって製造することができる。
この反応に使用される溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。例えば、水等の水を含有する水系媒体;メタノール、エタノール及びプロパノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム及びジクロロエタン等のハロゲン化炭化水類;ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びアニソール等のエーテル類;酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類;アセトニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。
塩基としては、酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン等が挙げられる。その使用量は、具体的には前記式(VII)のボロン化合物に対して1〜3倍モルの範囲である。
パラジウムとしては、例えば、塩化パラジウム等の無機パラジウム塩;酢酸パラジウム等の有機パラジウム塩;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド等の有機パラジウム錯体が挙げられる。その使用量は、具体的には前記式(VII)のボロン化合物に対して0.001〜0.5倍モルの範囲である。
前記一般式(I)における、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基、及びウンデカニル基等のC1〜C20程度の一価のアルキル基を挙げることができる。また、芳香族炭化水素基としてはベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン及びピレン等の芳香族環、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾール等、一価の芳香族複素環の基が挙げられる。また、これらの置換基としては、上記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、前記芳香族炭化水素基、及びピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等、複素環の基等が挙げられる。さらに、R1とR2が互いに結合し窒素原子を含む複素環基を形成する場合の例としては、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基あるいはこれらと芳香族炭化水素基が縮合した縮合複素環基等を挙げることができる。
以下、表1に一般式(I)の好ましい例を挙げる。ただし、本発明は、これらの化合物
に限定されるものではない。
さらに、前記一般式(I)の例示化合物No.9の具体的な合成方法を挙げる。なお、
上記化合物No.1からNo.20まで同様の合成法で合成した。また、上記化合物No.1からNo.20の元素分析値を表2に示す。
<前記式(VII)のボロン化合物の製造例>
(上記ブロモ化合物(1)20g(44mmol)に、テロラヒドロフラン(脱水)200mlを加え、−70℃に冷却し、n−ブチルリチウム(n−Butyl lithium)n−ヘキサン溶液(1.6M)42mlを加え、2時間撹拌した。その後、トリメトキシボラン(trimethoxyborate)13.72g:(132mmol)を徐々に滴下し、6時間撹拌して反応した。室温下に放置後、水を加え、トルエンで抽出後、水洗を行った。有機層を減圧濃縮し、得られた暗黄色の油状物をシリカゲルカラム〔溶離液:トルエン/ジクロロメタン(1/1)vol〕処理し、黄色無定形晶のボロン化合物(2):16.50g(収率89.4%)を得た。)
<前記一般式(I)のトリフェニレン化合物の製造例>
(上式(3)に示すヘキサブロモトリフェニレン0.3g(0.427mmol)と、上式(2)に示すボロン化合物1.611g(3.843mmol)と、K
2CO
30.796gと、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh
3)
4)1.332g(1.234mmol)を、DMF10ml、H
2O5ml、o−ジクロロベンゼン40mlの液に混合し、125℃下、7時間撹拌した。これを室温まで冷却した後、水を加え、トルエンで抽出後、水洗を行った。有機層を減圧濃縮し、得られた暗黄色の油状物をシリカゲルカラム〔溶離液:MDC/n−ヘキサン(1/2)vol〕処理し、上式(4)に示す黄色無定形晶のトリフェニレン化合物0.917g(収率87.0%)を得た。)
同様にして得られた一般式(I)の例示化合物である表1に示す化合物の元素分析結果
を以下の表2に示す。
次に、本実施形態の電子写真感光体の層構成に関して説明する。
図1は、本実施形態の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層33が設けられている。図2は、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが、積層された構成をとっている。図3は、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層33が設けられ、さらに感光層表面に保護層39が設けられてなる。この場合、保護層39に本発明のトリフェニレン化合物が含有されていてもよい。
図4は、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが積層された構成をとっており、さらに電荷輸送層上に保護層39が設けられてなる。この場合、保護層39に本実施形態のトリフェニレン化合物が含有されても構わない。図5は、導電性支持体31上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35とが積層された構成をとっており、さらに電荷発生層上に保護層39が設けられてなる。この場合、保護層39に本実施形態のトリフェニレン化合物が含有されていてもよい。
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を有するもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物(例えばITO等)を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状若しくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等も導電性支持体31として用いることができる。
このほか、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本実施形態の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体等と結着樹脂とを、適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等に分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、フッ素樹脂、例えばテフロン(登録商標)等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けたりしたものも、本実施形態の導電性支持体31として良好に用いることができる。
次に、感光層について説明する。感光層33は、単層でも2層以上の積層でもよいが、説明の都合上、まず電荷発生層35と電荷輸送層37とで構成される場合から述べる。
電荷発生層35は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層35には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、シーアイピグメントブルー25(カラーインデックスCI 21180)、シーアイピグメントレッド41(CI 21200)、シーアイアシッドレッド52(CI 45100)、シーアイベーシックレッド3(CI 45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報に記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)、ベンズアントロン骨格を有するアゾ顔料等のアゾ顔料。例えば、シーアイピグメントブルー16(CI 74100)、Y型オキソチタニウムフタロシアニン(特開昭64−17066号公報)、A(β)型オキソチタニウムフタロシアニン、B(α)型オキソチタニウムフタロシアニン、I型オキソチタニウムフタロシアニン(特開平11−21466号公報に記載)、II型クロロガリウムフタロシアニン(飯島他,日本化学会第67春季年回,1B4,04(1994))、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(大門他,日本化学会第67春季年回,1B4,05(1994))、X型無金属フタロシアニン(米国特許第3,816,118号)等のフタロシアニン系顔料、シーアイバットブラウン5(CI 73410)、シーアイバットダイ(CI 73030)等のインジコ系顔料、アルゴスカーレットB(バイエル社製)、インダンスレンスカーレットR(バイエル社製)等のペリレン顔料等が挙げられる。なお、これらの材料は単独あるいは2種類以上が併用されてもよい。
電荷発生層35は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波等を用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層35に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。結着樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、アニソール等のエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特に、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層35は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていてもよい。また、塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。そして、電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層37は、電荷輸送物質を主成分とする層である。電荷輸送物質は、正孔輸送物質と電子輸送物質、及び高分子電荷輸送物質に分け、以下に説明する。
正孔輸送物質としては、例えば、ポリ−N−カルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、及び以下に示される化合物が挙げられる。
(上記式中、R
1はメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基又は2−クロルエチル基を表し、R
2はメチル基、エチル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、R
3は水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基又はニトロ基を表す。)
具体的には、例えば、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド1、1−ジフェニルヒドラゾン等が挙げられる。
(上記式中、Arは一価の基であり、Arはナフタレン環、アントラセン環、ピレン環及びそれらの置換体あるいはピリジン環、フラン環、チオフェン環を表し、Rはアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表す。)
具体的には、例えば、4−ジエチルアミノスチリル−β−カルボアルデヒド1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、4−メトキシナフタレン−1−カルボアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン等が挙げられる。
(上記式中、R
1はアルキル基(前記同様)、ベンジル基、フェニル基又はナフチル基等の一価の基を表し、R
2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアラルキルアミノ基又はジアリールアミノ基等の一価の基を表し、nは1〜4の整数を表し、nが2以上のときは複数のR
2は同じでも異なっていてもよい。 R
3は水素原子又はメトキシ基を表す。)
具体的には、例えば、4−メトキシベンズアルデヒド1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、2、4−ジメトキシベンズアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド1、1−ジフェニルヒドラゾン、4−メトキシベンズアルデヒド1−(4−メトキシ)フェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジベンジルアミノベンズアルデヒド1、1−ジフェニルヒドラゾン等が挙げられる。
(上記式中、R
1は炭素数1〜11のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基又は複素環基を表し、 R
2、R
3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、クロルアルキル基又は置換若しくは無置換のアラルキル基を表し、また、 R
2とR
3は互いに結合し窒素を含む複素環を形成していてもおい。 R
4は同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。)
具体的には、例えば、1、1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、1、1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−トリフェニルメタン等が挙げられる。
(上記式中、Rは水素原子又はハロゲン原子を表し、Arは置換若しくは無置換のフェニル基、ナフチル基、アントリル基又はカルバゾリル基を表す。)
具体的には、例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、9−ブロム−10−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等が挙げられる。
(上記式中、R
1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Arは一価の下記式
を表し、R
2は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R
3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はジアルキルアミノ基を表し、nは1又は2であって、nが2のときはR
3は同一でも異なっていてもよく、R
4、R
5は水素原子、炭素数1〜4の置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のベンジル基を表す。)
具体的には、例えば、9−(4−ジメチルアミノベンジリデン)フルオレン、3−(9−フルオレニリデン)−9−エチルカルバゾール等が挙げられる。
(上記式中、Rはカルバゾリル基、ピリジル基、チエニル基、インドリル基、フリル基あるいはそれぞれ置換若しくは非置換のフェニル基、スチリル基、ナフチル基、又はアントリル基であって、これらの置換基がジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基又はそのエステル、ハロゲン原子、シアノ基、アラルキルアミノ基、N-アルキル-N-アラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基及びアセチルアミノ基からなる群から選ばれた一価の基を表す。)
具体的には、例えば、1、2−ビス(4−ジエチルアミノスチリル)ベンゼン、1、2−ビス(2、4−ジメトキシスチリル)ベンゼン等が挙げられる。
(式中、R
1は低級アルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、又はベンジル基を表し、R
2、R
3はそれぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基あるいは低級アルキル基又はベンジル基で置換されたアミノ基を表し、nは1又は2の整数を表す。)
具体的には、例えば、3−スチリル−9−エチルカルバゾール、3−(4−メトキシスチリル)−9−エチルカルバゾール等が挙げられる。
(上記式中、R
1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表し、R
2及びR
3はそれぞれ独立して、置換若しくは無置換のアリール基を表し、 R
4は水素原子、低級アルキル基又は置換若しくは無置換のフェニル基を表し、Arは置換若しくは無置換のフェニル基又はナフチル基を表す。)
具体的には、例えば、4−ジフェニルアミノスチルベン、4−ジベンジルアミノスチルベン、4−ジトリルアミノスチルベン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレン等が挙げられる。
〔式(II)中、pは0又は1の整数であり、R
1は水素原子、アルキル基又は置換若しくは無置換のフェニル基を表し、Ar
1は置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R
5は炭素数1〜4のアルキル基、又は置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar
1とR
5は共同で環を形成していてもよい。Aは、下記化学式(化26)の9−アントリル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基を表し、ここでR
2は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又は下記化学式(化27)を表し(ただし、R
3およびR
4は置換若しくは無置換のアリール基を示し、 R
3及びR
4は同じでも異なっていてもよく、 R
4は環を形成してもよい)、mが2以上のときR
2は同一でも異なってもよい。また、pが0のとき、AとR
1は共同で環を形成してもよい。〕
具体的には、例えば、4’−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−α−フェニルスチルベン等が挙げられる。
(上記式中、R
1、R
2及びR
3は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子又はジアルキルアミノ基を表し、nは0又は1を表す。)
具体的には、例えば、1−フェニル−3−(4−ジエチルアミノスチリル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン等が挙げられる。
(上記式中、 R
1及びR
2は置換アルキル基を含むアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表し、 Aは置換アミノ基、置換若しくは未置換のアリール基又はアリル基を表す。)
具体的には、例えば、2、5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−N、N−ジフェニルアミノ−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
(上記式中、Xは水素原子、低級アルキル基又はハロゲン原子を表し、Rは置換アルキル基を含むアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、Aは置換アミノ基又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。)
具体的には、例えば、2−N、N−ジフェニルアミノ−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジエチルアミノフェニル)−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
(上記式中、R
1は低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を表し、R
2、R
3は同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を表し、l、m、nは0〜4の整数を表す。)
上記ベンジジン化合物として具体的には、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等が挙げられる。
(式中、R
1、R
3及びR
4は水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換若しくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換のアリール基を、R
2は水素原子、アルコキシ基、置換若しくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子を表す。ただし、 R
1、R
2、R
3及びR
4はすべて水素原子である場合は除く。また、k、l、m及びnは1から4の整数であり、各kからnが2以上の整数のときは、複数の前記R
1乃至R
4は、同じでも異なっていてもよい。)
上記ビフェニリルアミン化合物の具体例として、例えば、4’−メトキシ−N,N−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メチル−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メトキシ−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン等が挙げられる。
(式中、Arはn価の基であり、Arは置換基を有してもよい炭素数18個以下の縮合多環式炭化水素基を表し、また、R
1及びR
2は水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換若しくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。nは1若しくは2の整数を表す。)
上記トリアリールアミン化合物の具体例として、例えば、N,N−ジフェニル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−1−ナフチルアミン、N,N−ジ(p−トリル)−1−フェナントリルアミン、9,9−ジメチル−2−(ジ−p−トリルアミノ)フルオレン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メチルフェニル)−m−フェニレンジアミン等が挙げられる。
〔式中、Arは置換若しくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表し、Aは、下記化学式(化35)を表す。(ただし、Ar'は置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R
1及びR
2は一価の置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基である。)〕
上記ジオレフィン芳香族化合物の具体例として、例えば、1、4−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ベンゼン、1、4−ビス[4−ジ(p−トリル)アミノスチリル]ベンゼン等が挙げられる。
(式中、 Arは置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Rは水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。nは0又は1であり、mは1又は2であって、n=0、m=1の場合、 ArとRは共同して環を形成してもよい。)
上記スチリルピレン化合物の具体例として、例えば、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ピレン、1−(N,N−ジ−p−トリル−4−アミノスチリル)ピレン等が挙げられる。
なお、電子輸送材料としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−インデノ4H−インデノ[1、2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド等を挙げることができ、さらに、下記式(化37)〜(化40)に挙げる電子輸送物質を好適に使用することができる。これらの電荷輸送物質は、単独で、または2種類以上混合して用いることができる。
(式中R
1〜R
3はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換若しくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。)
(式中R
1及びR
2はそれぞれ、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基を表し、また複数のR
1及びR
2は同じでも異なっていてもよい。)
(式中R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換若しくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。)
(式中、R
1 は置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を示し、R
2 は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を示す。)
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質と本実施形態のトリフェニレン化合物は、電荷輸送層内に混合含有される場合、この合計量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部の範囲で、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、25μm以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、例えば5μm以上が好ましい。
また、本実施形態のトリフェニレン化合物の量は、電荷輸送物質に対して0.01wt%〜150wt%が好ましい。少ないと酸化性ガスに対する耐性が不足し、多すぎると、繰り返し使用による残留電位の上昇が大きくなる。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等が用いられる。電荷輸送物質は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
本実施形態において使用できる酸化防止剤としては、後述するように、一般の酸化防止剤が使用できるが、(c)ハイドロキノン系、及び(f)ヒンダードアミン系の化合物が特に効果的である。ただし、ここで用いられる酸化防止剤は、後述の目的と異なり、あくまでも本実施形態に用いられるジアミン化合物の変質保護のために利用される。このため、これらの酸化防止剤は、本実施形態のジアミン化合物を含有させる前の工程で塗工液に含有させておくことが好ましく、添加量としては、ジアミン化合物に対して0.1〜200wt%で十分な効果を発揮できる。
電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、(1)〜(11)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。これらを以下に例示し、具体例を示す。
(式(1)中、R
1〜R
3 はそれぞれ独立して、置換若しくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子であり、R
4は水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基であり、R
5及びR
6は置換若しくは無置換のアリール基であり、o、p及びqはそれぞれ独立して、0〜4の整数であり、k及びjは組成を表す次の範囲の数であり、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、また、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数であり、Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、又は下記化学式(化42)で表される2価基を表す。)
〔式中、R
101,R
102 は各々独立して、置換若しくは無置換のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)、又は、下記化学式(化43)である。〕
(式中、aは1〜20の整数であり、bは1〜2000の整数であり、R
103、R
104は置換又は無置換のアルキル基若しくはアリール基を表す。ここで、複数のR
103とR
104は、それぞれ同一でも異なってもよい。)
((2)式中、R
7、R
8は置換若しくは無置換のアリール基を表し、Ar
1、Ar
2、Ar
3は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(1)式の場合と同じである。)
((3)式中、R
9、R
10は置換若しくは無置換のアリール基を表し、Ar
4、Ar
5、Ar
6は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(1)式の場合と同じである。)
((4)式中、R
11、R
12は置換若しくは無置換のアリール基を表し、Ar
7、Ar
8、Ar
9は同一あるいは異なるアリレン基を表し、pは1〜5の整数を表す。X、k、j及びnは、(1)式の場合と同じである。)
((5)式中、R
13、R
14は置換若しくは無置換のアリール基を表し、Ar
10、Ar
11、Ar
12は同一あるいは異なるアリレン基を表し、X
1、X
2は置換若しくは無置換のエチレン基、又は置換若しくは無置換のビニレン基を表す。X、k、j及びnは、(1)式と同じ意味である。)
((6)式中、R
15、R
16、R
17、R
18は置換若しくは無置換のアリール基、Ar
13、Ar
14、Ar
15、Ar
16はそれぞれ独立して、同一あるいは異なるアリレン基であり、 Y
1、Y
2、Y
3はそれぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、置換若しくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し、同一であっても異なってもよい。X、k、j及びnは、(1)式と同じ意味である。)
((7)式中、R
19、R
20 は水素原子、置換若しくは無置換のアリール基を表し、R
19とR
20は環を形成していてもよい。Ar
17、Ar
18、Ar
19 は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。)
((8)式中、R
21は置換若しくは無置換のアリール基、Ar
20、Ar
21、Ar
22、Ar
23 はそれぞれ独立して、同一あるいは異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(1)式と同じ意味である。)
((9)式中、R
22、R
23、R
24、R
25は置換若しくは無置換のアリール基、Ar
24、Ar
25、Ar
26、Ar
27、Ar
28は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(1)式と同じ意味である。
((10)式中、R
26、R
27 は置換若しくは無置換のアリール基、Ar
29、Ar
30、Ar
31は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同
じ意味である。)
((11)式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4及びAr5は、置換若しくは無置換の芳香環基、Zは芳香環基又は―Ar6―Za―Ar6―を表し、Ar6は置換若しくは無置換の芳香環基、ZaはO、S又はアルキレン基を表し、R及びR'は直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。mは0又は1を表す。X,k,j及びnは、(1)式の場合と同じ意味である。)
これら上記(1)式〜(11)式の高分子電荷輸送物質は、公知であり、例えば特開2001−19871号公報、特開2001−330973号公報、特開2003−149849号公報、特開2004−126560号公報、特開2005−157297号公報、特許第3568518号公報等に記載されている。
また、電荷輸送層37は、電荷輸送物質単独若しくは結着樹脂と適当な溶剤(又は分散媒)に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
以上のようにして得られた塗工液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等、従来の塗工方法を用いることができる。
次に、感光層が単層構成33の場合について述べる。上述した電荷発生物質を結着樹脂中に分散した感光体が使用できる。感光層は、電荷発生物質及び電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
結着樹脂としては、先に電荷輸送層37で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層35で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート等で塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
本実施形態の感光体においては、導電性支持体31と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ポリアミド、メトキシメチル化ポリアミド等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層のごとく適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。さらに、本実施形態の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。このほか、本実施形態の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
本実施形態の感光体においては、感光層保護の目的で、保護層39が感光層の上に設けられることがある。保護層39に使用される材料としてはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ACS(アクリロニトリル−クロロプレン−スチレン)樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアリレート、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。フィラーの分散性、残留電位、塗膜欠陥の点から、特にポリカーボネートあるいはポリアリレートが有効かつ有用である。また、感光体の保護層には、耐摩耗性を向上する目的でフィラ−材料を添加される。
用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等、電荷輸送層37で使用されるすべての溶剤を使用することができる。ただし、分散時には粘度が高い溶剤が好ましいが、塗工時には揮発性が高い溶剤が好ましい。これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、フィラーの分散性や残留電位に対して大きな効果を有する場合がある。
また、保護層39に本実施形態のトリフェニレン化合物が含まれていてもよい。さらに、電荷輸送層37で挙げた低分子電荷輸送物質あるいは高分子電荷輸送物質を添加することは、残留電位の低減及び画質向上に対して有効かつ有用である。
保護層の形成法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来方法を用いることができるが、特に塗膜の均一性の面からスプレーコートがより好ましい。
本実施形態の感光体においては、感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
本実施形態においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤及びレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)フェノ−ル系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル、ブチル化ヒドロキシアニソ−ル、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノ−ル、n-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2'−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、4,4'−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、4,4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン、ビス[3,3'−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロ−ル類等が挙げられる。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等が挙げられる。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネ−ト、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネ−ト、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネ−ト等が挙げられる。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等が挙げられる。
また、各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル等が挙げられる。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等が挙げられる。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチル等が挙げられる。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル等が挙げられる。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリン等が挙げられる。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等が挙げられる。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル等が挙げられる。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート等が挙げられる。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等が挙げられる。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステル等が挙げられる。
(k)スルホン酸誘導体
p-トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミド等が挙げられる。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシル等が挙げられる。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル等が挙げられる。
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン等が挙げられる。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等が挙げられる。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル等が挙げられる。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等が挙げられる。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
(g)天然ワックス
カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウ等が挙げられる。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物等が挙げられる。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ3'−ターシャリブチル5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレート等が挙げられる。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2'チオビス(4−t-オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート等が挙げられる。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
次に、本発明の実施形態における電子写真方法並びに電子写真装置について、図面を用いて詳しく説明する。
図6は、本実施形態の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図であり、下記の例も本実施形態に属するものである。
図6において、感光体1は少なくとも感光層が設けられ、最表面層にフィラーを含有してなる。感光体1は、ドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電チャージャ3、転写前チャージャ7、転写チャージャ10、分離チャージャ11、クリーニング前チャージャ13には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラ等が用いられ、公知の手段が使用可能である。転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャと分離チャージャを併用したものが効果的である。
また、画像露光部5、除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。光源等は、図6に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
さて、現像ユニット6により感光体1上に現像されたトナーは、転写紙9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ14及びクリーニングブラシ15により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシには、ファーブラシ、マグファーブラシ等の公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また、正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には公知の方法が適用され、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
図7に、本発明の別の実施形態における電子写真プロセスを示す。感光体21は少なくとも感光層を有し、さらに最表面層にフィラーを含有しており、駆動ローラ22a、22bにより駆動され、帯電チャージャ23による帯電、像露光源24による像露光、現像(図示せず)、転写チャージャ25を用いる転写、クリーニング前露光源26によるクリーニング前露光、クリーニングブラシ27によるクリーニング、除電光源28による除電が繰返し行われる。図7において、感光体21(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行われる。
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図7においては支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、このほかに、転写前露光、像露光のプレ露光、及びその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図8に示すものが挙げられる。感光体16は、導電性支持体上に、少なくとも感光層を有し、かつ最表面層にフィラーを含有してなる。
以下、本発明の実施形態について、実施例を挙げてさらに詳説するが、本発明はこれら実施例により制限されて解釈されるものではない。なお、部はすべて重量部である。
[実施例1]
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層を形成した(感光体1)。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
◎電荷発生層塗工液
下記構造式(化54)に示すフルオレノン系ビスアゾ顔料 12部
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製) 10部
表1中の例示化合物No.9のトリフェニレン化合物 10部
テトラヒドロフラン 100部
以上のように作製した電子写真感光体を、電子写真プロセス用カートリッジに装着し、帯電方式をコロナ帯電方式(スコロトロン型)、画像露光光源を655nmの半導体レーザ(LD)を用いたリコー製imagio MF2200改造機にて暗部電位800(−V(すなわち−800V))に設定した後、連続してトータル10万枚印刷相当の繰り返し試験を行った。その際、初期画像及び繰り返し試験後の画像について評価を行った。また、初期及び繰り返し試験後の明部電位も測定した。結果を表3に示す。
[実施例2〜5]
実施例1において、例示化合物No.9のトリフェニレン化合物を表3に示す化合物に代えた以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体2〜5を作製し、評価した。結果を同様に表3に示す。
実施例1における電荷輸送層塗工液を、下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体6を作製し、評価した。結果を表4に示す。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製) 10部
表1中の例示化合物No.9のトリフェニレン化合物 1部
下記構造式(化55)に示す電荷輸送物質 9部
テトラヒドロフラン 100部
実施例6において、例示化合物No.9のトリフェニレン化合物を表4に示すトリフェニレン化合物に代えた以外は、すべて実施例6と同様にして、電子写真感光体7〜12を作製し、評価した。結果を同様に表4に示す。
実施例6において、トリフェニレン化合物を表5に示す化合物にし、電荷輸送物質の量を7部に変更した以外は、実施例6と同様にして、電子写真感光体13〜18を作製し、評価した。結果を同様に表5に示す。
実施例6において、トリフェニレン化合物を表6に示す化合物にし、トリフェニレン化合物の量と電荷輸送物質の量をそれぞれ5部に変更した以外は、実施例6と同様にして、電子写真感光体19〜24を作製し、評価した。結果を同様に表6に示す。
実施例6において、トリフェニレン化合物を表7に示す化合物にし、電荷輸送物質を下記構造式(化56)に示す化合物に変更した以外は、すべて実施例6と同様にして、電子写真感光体25〜28を作製し、評価した。結果を同様に表7に示す。
実施例6において、トリフェニレン化合物を表8に示す化合物にし、電荷輸送物質を下記構造式(化57)に示す化合物に変更した以外は、すべて実施例6と同様にして、電子写真感光体29〜32を作製し、評価した。結果を表8に示す。
実施例6において、トリフェニレン化合物を表9に示す化合物にし、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質及びバインダー樹脂を下記構造式(化58)に示す物質19部に変更した以外は、すべて実施例6と同様にして、電子写真感光体33、34を作製した。なお、高分子電荷輸送物質のゲル浸透クロマトグラフィーで求められたポリスチレン換算の重量平均分子量は、52200であった。結果を同様に表9に示す。
実施例6において、トリフェニレン化合物を表10に示す化合物19部にし、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質及びバインダー樹脂を下記構造式(化59)に示す高分子に変更した以外は、すべて実施例6と同様にして、電子写真感光体35、36を作製し、評価した。なお、高分子電荷輸送物質のゲル浸透クロマトグラフィーで求められたポリスチレン換算の重量平均分子量は、50800であった。結果を同様に表10に示す。
実施例6において、トリフェニレン化合物を表11に示す化合物にし、バインダー樹脂をポリアリレート樹脂(Uポリマー、ユニチカ製)10部に変更した以外は、すべて実施例6と同様にして、電子写真感光体37〜40を作製し、評価した。結果を同様に表11に示す。
実施例1における電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を下記のものに変更した以外は、実施例1と同様に操作して、電子写真感光体41を作製し、評価した。結果を表12に示す。
◎電荷発生層塗工液
図9に記載の粉末XDスペクトル(X−ray diffraction spectrum)を有するオキソチタニウムフタロシアニン 8部
ポリビニルブチラール(BX−1) 5部
2−ブタノン 400部
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ) 10部
例示化合物No.9のトリフェニレン化合物 1部
下記構造式(化60)に示す電荷輸送物質 7部
トルエン 70部
実施例41において、トリフェニレン化合物を表13に示す化合物にし、電荷輸送物質を下記構造式(化61)に示す化合物に変更した以外は、同様にして、電子写真感光体42、43を作製し、評価した。結果を同様に表13に示す。
実施例6において、トリフェニレン化合物に代えて下記構造式(化62)のスチルベン化合物(特開昭60−196768号公報参照)にした以外は、すべて実施例6と同様にして、比較電子写真感光体1を作製し、評価した。結果を表14に示す。
実施例6において、電荷輸送層形成用塗工液にトリフェニレン化合物を加えず、電荷輸送物質の重量を10部とした以外は、すべて実施例6と同様にして、比較電子写真感光体2を作製し、評価した。結果を表14に示す。
[比較例3]
実施例6において、トリフェニレン化合物に代えて下記構造式(化63)のテトラフェニルメタン化合物(特開2000−231204号公報参照)にした以外は、すべて実施例6と同様にして、比較電子写真感光体3を作製し、評価した。結果を表14に示す。
実施例6において、トリフェニレン化合物に代えて下記構造式(化64)のヒンダードアミン系酸化防止剤にした以外は、すべて実施例6と同様にして、比較電子写真感光体4を作製し、評価した。結果を表14に示す。
以上の評価結果から、10万枚印刷後においても明部電位上昇は少なく、本実施形態のトリフェニレン化合物を含有した感光体では高画質画像が安定に得られることが確認された。一方、比較感光体1、3、4は、明部電位が初期から非常に高く、画像濃度の低下や解像度の低下を引き起こしており、10万枚印刷後では階調性が著しく低下したことによって画像の判別が不可能であった。また、比較感光体2は明部電位の上昇は比較的小さいものの、本実施形態の感光体と比べ、繰り返し使用による解像度低下が大きい。
[実施例44〜49]
本実施形態の電子写真感光体について、50ppmの窒素酸化物(NOx)ガス濃度に調整されたデシケータ中に4日間放置し、前後における画像評価を行った。結果を表15に示す。
[比較例5]
本実施形態における比較感光体2について、50ppmの窒素酸化物(NOx)ガス濃度に調整されたデシケータ中に4日間放置し、前後における画像評価を行った。結果を表15に示す。
表15の評価結果より、感光体に本実施形態のトリフェニレン化合物を含有させることによって、酸化性ガスに対する耐性、すなわち解像度低下抑止が大幅に向上することがわかる。一方、比較感光体2は初期画像品質は良好であるが、酸化性ガスにより著しい解像度の低下が起こることがわかる。
[実施例50]
電荷発生物質として下記構造式(化65)で表わされるフルオレノン系ビスアゾ顔料2.5重量部及びポリエステル樹脂[(株)東洋紡績製バイロン200]2.5重量部、テトラヒドロフラン溶液495部をボールミル中で粉砕混合し、得られた分散液をアルミニウム蒸着ポリエステルフィルム上にドクターブレードで塗布し、自然乾燥して約0.5μmの電荷発生層を形成した。
次に、ポリカーボネート樹脂[(株)帝人製パンライトK−1300]1部とテトラヒドロフラン8部の樹脂溶液に、電荷輸送物質として化合物No.9のトリフェニレン化合物1部を溶解し電荷輸送層塗工液を作製した。この溶液を前記電荷発生層上にドクターブレードで塗布し、80℃で2min、次いで120℃で5min乾燥して厚さ約20μmの電荷輸送層を形成し感光体を作製した。
得られた感光体に静電複写紙試験装置[(株)川口電気製作所製EPA8100型]を用いて暗所で約−6KVのコロナ放電を20秒間行って帯電させた後、さらに20秒間暗所に放置して感光体の表面電位V0(V)を測定した。次いで、655nm単色光を感光体表面での照度が1.5(μW/cm2)になるように照射して、V0が1/2になるまでの露光量E1/2(μJ/cm2)を測定した。結果を表16に示す。
[実施例51〜55]
実施例50において、表1中の例示化合物No.9のトリフェニレン化合物を表3に示した化合物に代えた以外は、すべて実施例50と同様にして、電子写真感光体を作製し、評価した。結果を同様に表16に示す。
[比較例6]
実施例50において、表1中の例示化合物No.9のトリフェニレン化合物を下記構造式(化66)で表わされる化合物に代えた以外は、すべて実施例50と同様にして、電子写真感光体を作製し、評価した。結果を同様に表16に示す。
実施例50における電荷輸送層塗工液を、下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例50と同様にして、電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表17に示す。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製) 2部
表1中の例示化合物No.9のトリフェニレン化合物 1部
下記構造式(化67)に示す電荷輸送物質 1部
テトラヒドロフラン 16部
実施例56において、電荷輸送物質を下記構造式(化68)の化合物に変更した以外は、すべて実施例56と同様にして、電子写真感光体を作製し、評価した。結果を同様に表17に示す。
実施例56において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質及びバインダー樹脂を下記構造式(化69)の高分子化合物3部に変更した以外は、すべて実施例56と同様にして、電子写真感光体を作製し、評価した。なお、高分子電荷輸送物質のゲル浸透クロマトグラフィーで求められたポリスチレン換算の重量平均分子量は、52200であった。結果を同様に表17に示す。
実施例56において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質及びバインダー樹脂を下記構造式(化70)の高分子化合物3部に変更した以外は、すべて実施例56と同様にして、電子写真感光体作製し、評価した。なお、高分子電荷輸送物質のゲル浸透クロマトグラフィーで求められたポリスチレン換算の重量平均分子量は、50800であった。結果を同様に表17に示す。
実施例56において、バインダー樹脂をポリアリレート樹脂(Uポリマー、ユニチカ製)1部に変更した以外は、すべて実施例56と同様にして、電子写真感光体を作製し、評価した。結果を同様に表17に示す。
実施例50における電荷発生層塗工液を下記の電荷発生層塗工液に変更し、また、実施例50における例示化合物No.9のトリフェニレン化合物を表18に示した化合物に代えた以外は、同様に操作して電子写真感光体を作製し、評価した。結果を同様に表18に示す。
◎電荷発生層塗工液
図10に示す粉末XDスペクトルを有するオキソチタニウムフタロシアニン
8部
ポリビニルブチラール(BX−1) 5部
2−ブタノン 400部
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
上記の実施形態によれば、感光層に上記一般式(I)で表わされるトリフェニレン化合
物を含有することから、高感度、高速応答性で、長期にわたって高解像度の画質が得られる電子写真感光体を提供することができる。
また、上記の実施形態によれば、上記一般式(I)のトリフェニレン化合物と電荷輸送
物質とが併用されることから、高感度、高速応答性、高解像度で、かつ繰り返し使用に対する安定の高い電子写真感光体を提供することができる。
また、上記の実施形態によれば、上記電荷輸送物質として高分子型電荷輸送物質が使用されることから、電荷輸送機能とバインダー機能を有し、耐摩耗性の優れた感光層を有する電子写真感光体を提供することができる。
また、上記の実施形態によれば、感光体として上記本発明の感光体が使用されることから、長期にわたって、高感度、高速応答性、高解像度で、安定した画像形成を行える方法を提供することができる。
また、上記の実施形態によれば、上記本発明を構成する感光体を備えることから、長期にわたって、高感度、高速応答性、高解像度で、高安定の画像が得られる電子写真装置を提供することができる。
また、上記の実施形態によれば、上記本発明を構成する感光体を内蔵していることから、長期にわたって、高感度、高速応答性、高解像度で、高安定の画像が得られるプロセスカートリッジを提供することができる。