JP4794657B2 - ゴルフクラブシャフト - Google Patents

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本発明はゴルフクラブシャフト、さらに詳細にはスチールシャフトに近いフィーリングがえられ、かつ安定性の優れたゴルフクラブシャフトに関する。
図2は従来のプラスチック製ゴルフクラブシャフトの構成を示す斜視図であるが、この図より明らかなように、補強繊維が斜交して設けられた捩り剛性保持層1と補強繊維がシャフトの長手方向に引き揃えられた曲げ剛性保持層2および任意に補強繊維がシャフトの長手方向と垂直な方向に引き揃えられた圧縮剛性保持層3を備えた構造になっている。典型的には、この捩り剛性保持層1及び曲げ剛性保持層2をそれぞれ4〜6プライ設けてゴルフクラブシャフトとしている(例えば、特許文献1参照)。
従来、コンポジット製のシャフトは、テーパを有するシャフト状の金属製のマンドレルに、任意にシャフトの長手方向に垂直な方向に補強繊維が引き揃えられたプリプレグを捲回したのち、図3に示すように炭素繊維などの補強繊維が所定方向に斜めに敷設した傾斜プリプレグ41と前記所定方向と反対方向に補強繊維を敷設した傾斜プリプレグ42を重ね合わせて補強繊維がバイアス状に交差したプリプレグシート4および長手方向に平行な方向に補強繊維を敷設したプリプレグシートを複数層捲回したのち、押さえのためにテープをら旋状に捲回し、プリプレグシート4などの熱硬化性樹脂を熱硬化させて製造している。
前述のような方法で製造されたゴルフクラブシャフトは、表面に押さえのテープ跡が形成されてしまうため、最表面の前記曲げ剛性保持層の表面を研磨して、テープ跡を除去し平滑にした後、塗装し、印刷などを施した後、透明な表面層を形成して製品としている。
特開平9−131422号公報(明細書)
このようなコンポジット製のシャフトは、上述のように基本的に一方向に補強繊維が引き揃えられたプリプレグ層の熱硬化性樹脂を硬化させて製造するものであるが、補強繊維(炭素繊維の場合)伸びが1.5%であるのに対し、複数の熱硬化性樹脂層を接着する接着剤層は、前記補強繊維に比較して強度が小さく、かつ柔軟性が大きい。このため、補強繊維が引き揃えられた方向に対しては十分に効力を発揮するが、厚さ方向あるいは横方向に力がかかった場合には、熱硬化性樹脂層間に変形やずれを生じる等欠点がある。上述のように製造されたゴルフクラブシャフトを使用したクラブでショットすると、熱硬化繊維層間にずれ、ないし変形により、安定したショットが行いにくくなるという欠点がある。このため方向性及び飛距離にばらつきが生じる恐れがあった。また、前述のような熱硬化繊維層のずれは、ショットのフィーリングを損なう恐れがある。すなわち、ゴルフ上級者はスチール製シャフトのフィーリングを好む傾向にあるが、前述の熱硬化繊維層間のずれはスチール製シャフトのフィーリングから離れたフィーリングを生じるという欠点がある。
さらに、プリプレグ41及び42を貼り合わせて、捩り剛性保持層を形成するため、どうしても貼り合わせによるずれを生じ、シャフトの精度が向上しないという欠点があるとともに、貼り合わせを行うため、工程数が多くなり、加工性が悪くなるという欠点があった。
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、工程数が少なく及び加工性が良好で容易に製造可能であり、さらに精度が良好で、スチールシャフトに近いフィーリングがえられ、かつ安定性の優れたゴルフクラブシャフトを提供することを目的とする。
上記問題点を解決するため、本発明によるゴルフクラブシャフトは、シャフトの長手方向に斜交した補強繊維を備えた熱硬化性樹脂の捩り剛性保持層上に、長手方向に平行に引き揃えた補強繊維を備えた熱硬化性樹脂の曲げ剛性保持層を備えたゴルフクラブシャフトにおいて、前記捩り剛性保持層は相互に織られた経糸と緯糸とを有する平織り織物に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを複数プライ前記経糸と緯糸がシャフトの長手方向に斜交するようにシャフト状に捲回し硬化せしめた平織り織物層を有し、前記平織り織物の糸は3K以下であることを特徴とする。
本発明によれば、捩り剛性保持層として平織り織物に熱硬化性樹脂を含浸させ、熱硬化させた平織り織物層を設けている。平織り織物は経糸と緯糸とで織られており、糸の移動が制限されているため、縦方向の力に対しては経糸が、横方向の力に対しては緯糸が抗力を発揮することになるため、熱硬化性樹脂層の層間の変形ないしずれを有効に抑制可能になる。このためショット時の層間におけるずれを抑制することが可能になり、安定性がありかつスチール製シャフトと同様なフィーリングを備えたゴルフクラブシャフトとすることができる。さらに、プリプレグ41及び42を貼り合わせる必要がないため、工程数が少なく、加工性のよい、精度が良好なゴルフクラブシャフトとすることができる。
以上説明したように本発明によるゴルフクラブシャフトによれば、捩り剛性保持層として平織り織物に熱硬化性樹脂を含浸させ、熱硬化させた平織り織物層を設けている。平織り織物は経糸と緯糸とで織られており、糸の移動が制限されているため、縦方向の力に対しては経糸が、横方向の力に対しては緯糸が抗力を発揮することになるため、熱硬化性樹脂層の層間の変形ないしずれを有効に抑制可能になる。このためショット時の層間におけるずれを抑制することが可能になり、安定性がありかつスチール製シャフトと同様なフィーリングを備えたゴルフクラブシャフトとすることができる。
本発明によるゴルフクラブシャフトに使用される平織り織物の平面図及び断面図。 ゴルフクラブシャフトの構造の一例の説明図。 従来の捩り剛性保持層を形成するプリプレグの構成図。
本発明によるゴルフクラブシャフトは、図2と同様に、シャフトの長手方向に斜交した補強繊維を備えた熱硬化性樹脂の捩り剛性保持層1上に長手方向に平行に引き揃えた補強繊維を備えた熱硬化性樹脂の曲げ剛性保持層2および任意にシャフトの長手方向と垂直な方向に引き揃えられた補強繊維を備えた樹脂層の圧縮剛性保持層3を備えた構造になっている。この捩り剛性保持層1及び曲げ剛性保持層2をそれぞれ4〜6プライ設けてゴルフクラブシャフトとしている。
本発明においては、この捩り剛性保持層1に平織り織物に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを硬化させたものを使用している。図1のaは本発明に使用する平織り織物の平面図、bは断面図であるが、これらの図より明らかなように、平織り織物5は、相互に直行する経糸51及び緯糸52が相互に織られた構造になっており、シャフトの長手方向(図1の矢印参照)とそれぞれの経糸51及び緯糸52の角度θがほぼ45°で交差するようにシャフト状に捲回され、硬化される。この際、捲回によっては、経糸51および緯糸52と長手方向の軸線となす角度が45°を若干外れることがあるが、経糸51と緯糸52がなす角度は2θ、すなわち90°であるため、安定である。このため補強繊維の捩れに対する効果が一定となり、したがって経糸51及び緯糸52を正確に捲回しなくともバランスをとりやすくなる。このため設計の自由度が増加し、シャフトの加工性が良好になる。さらに、斜交する補強繊維の角度がシャフトの長手方向に対し45°の場合に、最良の捩り防止効果が発揮できることから、上述のようにシャフトの長手方向に補強繊維が相互に45°になるようなプリプレグの捲回方法が好ましい。
このような平織り織物の場合、経糸51及び緯糸52は一般的には炭素繊維であるが、アルミナ繊維、アラミド繊維、チラノ繊維、アモルフォス繊維、ガラス繊維などとすることもできる。すなわち糸の種類は基本的に限定されるものではない。
このような平織り織物の糸の打ち込み本数は、好ましくは、4本/cm以上であるのが好ましい。4本/cmより少ないと、平織り織物の厚さが大きくなり、加工性が損なわれる恐れがある。
上記糸の太さは、好ましくは3K(1Kはフィラメント1000本)以下であるのがよい。3Kを超えると1プライが厚くなりすぎ、十分な繊維密度(打込本数)を確保できない恐れがあり、またシャフトに巻き難く作業性が悪くなる恐れがある。
このような織物に含浸させるプリプレグの樹脂は、本発明において基本的にいかなるものでも使用しえる。例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、ピーク樹脂などであることができる。
このようなプリプレグの厚さは、好ましくは0.3mm以下である。0.3mmを越えると、1プライが厚くなりすぎ、十分な繊維密度(打込本数)を確保できない恐れがあり、またシャフトに巻き難く作業性が悪くなる恐れがある。
またプリプレグの重さは400g/m以下であるのがよい。400g/mを越えると、厚くなりすぎる恐れがある。プリプレグの樹脂量は、好ましくは25〜40重量%であるのがよい。25重量%以下であると、樹脂量が少なすぎて、良好なシャフトを製造できない恐れがあり、一方40重量%を超えると、シャフトが同重量の場合にはトルクが大きくなりすぎる恐れがある。なお、この明細書中、トルクは1フィート・ポンドをシャフトの回転方向に負荷したときの捩じれ度を示す。
本発明においては、前記補強繊維が平織り織物である捩り剛性保持層1上に、図2に示すような補強繊維がシャフトの長手方向に引き揃えられた樹脂層である曲げ剛性保持層2を積層する。この曲げ剛性保持層2は従来のプリプレグシートを使用して製造してもよい。この曲げ剛性保持層2はシャフトの最表面層を構成する。前記曲げ剛性保持層2を設けた後、最表面層の前記曲げ剛性保持層2の表面を研磨して、平滑にした後、塗装し、印刷などを施した後、透明な表面層を形成して製品とする。
また、他の態様においては、前記本発明による捩り剛性保持層1の内側または外側にシャフトの長手方向に垂直な方向(シャフトとの周方向)に補強繊維が引き揃えられた樹脂層である圧縮剛性保持層3を設けることができる。この圧縮剛性保持層3に使用されるプリプレグも、従来と同様なプリプレグを使用することができる。
さらに、他の態様においては、このような平織り織物の捩り剛性保持層に対し、シャフトの硬さ、キックポイント、重さ、捩り剛性等のシャフトの特性を調整するために、従来の捩り剛性保持層1を積層することができる。
本発明の他の実施態様においては、前記曲げ剛性保持層2として、前述の平織り織物に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを硬化させたものを使用する。この場合、経糸51または緯糸52のいずれかをシャフトの長手方向に平行になるように、プリプレグを捲回し、硬化させて曲げ剛性保持層2を製造する。このときシャフトの長手方向に平行に引き揃えられた経糸51(緯糸52)が曲げ剛性保持に寄与し、これと垂直な緯糸52(経糸51)はシャフトの長手方向に垂直な方向(周方向)に捲回されることになるので、圧縮剛性保持に寄与する。この場合、圧縮剛性保持層3を設けなくとも同様な効果を得ることが可能になる場合がある。
上述のような平織り織物層を使用した場合、最表面層としては補強繊維がシャフトの長手方向に引き揃えられた樹脂層である曲げ剛性保持層2あるいは補強繊維を含まない樹脂層が設けられる。前記曲げ剛性保持層2あるいは補強繊維を含まない樹脂層が設けられず、前記織物層が最表面の場合、製造されたシャフト表面を平滑に研磨するため、前記織物層の繊維が切断されて、前述の織物層の機能が損なわれるからである。
本発明においては、前述のように平織り織物層の捩り剛性保持層と最表面に設けられる曲げ剛性保持層あるいは補強繊維を含まない樹脂層があればよく、他の構成は、前述のように通常の捩り剛性保持層、平織り織物の曲げ剛性保持、圧縮剛性保持の平織り織物層を種々組み合わせることができる。
[実施例1、2]
図1に示すような平織り織物を使用し、ゴルフクラブシャフトを製造した。本発明の平織り織物のプリプレグ(樹脂量40%;補強繊維の弾性率24t)を3プライ、補強繊維をシャフトに平行に引き揃えたプリプレグ1プライおよびシャフトの長手方向に垂直な方向に引き揃えたプリプレグ1プライ(上記いずれも樹脂量40%;補強繊維の弾性率24t)、シャフトの長手方向に平行に引き揃えられた補強繊維を有する従来の曲げ剛性保持のプリプレグ(樹脂量24%;補強繊維の弾性率30t)2プライをそれぞれマンドレルに捲回し、硬化せしめてゴルフクラブシャフトとした。前記平織り織物のプリプレグはシャフトの長手方向(図1の矢印参照)とそれぞれの経糸51及び緯糸の角度θがほぼ45°で交差するようにシャフト状に捲回された(実施例1)。
同様に、本発明の平織り織物のプリプレグ(樹脂量40%;補強繊維の弾性率24t)3プライをシャフトの長手方向(図1の矢印参照)に対しそれぞれの経糸51及び緯糸の角度θがほぼ45°で交差するようにシャフト状に捲回した。次いで平織り織物のプリプレグ1プライ(樹脂量40%;補強繊維の弾性率24t)を経糸あるいは緯糸がシャフトの長手方向に平行になるように捲回した(緯糸あるいは経糸はシャフトの長手方向に対し垂直となる)。さらにシャフトの長手方向に平行に引き揃えられた補強繊維を有する従来の曲げ剛性保持のプリプレグ(樹脂量24%;補強繊維の弾性率30t)2プライをそれぞれマンドレルに捲回し、硬化せしめてゴルフクラブシャフトとした(実施例2)。
また比較のため、平織り織物層の代わりに従来の捩り剛性保持層を3層(プリプレグ41=3プライ及びプリプレグ42=3プライ)(樹脂量40%;補強繊維の弾性率24t)、補強繊維をシャフトに平行に引き揃えたプリプレグ1プライおよびシャフトの長手方向に垂直な方向に引き揃えたプリプレグ1プライ(上記いずれも樹脂量40%;補強繊維の弾性率24t)、曲げ剛性保持層(樹脂量24%;補強繊維の弾性率30t)2プライとしたゴルフクラブシャフトを製造した(比較例1)。
各層の補強繊維は炭素繊維の糸(3K)とした。また、平織り織物の経糸、緯糸もすべて炭素繊維とした。それぞれの経糸、緯経の太さは、3Kであり、経糸、緯経の打ち込み本数はそれぞれ各4.9本/cmであった。さらにプリプレグとしたときの厚さは0.22mmであり、重さは328g/mであった。
上記のようなゴルフクラブシャフト特性を下記に示す。
Figure 0004794657
前記シャフトに同一の51gのグリップと194gのヘッドを取り付けてゴルフクラブ(シャフト長45インチ)とし、ロボットによって同一条件でゴルフボールを打たせた。ロボットを、各クラブについてヘッドに対する打点の位置を同一となるように、かつヘッドスピードが40m/sとなるように、設定した。
本発明の実施例1のシャフトを使用したゴルフクラブのヘッドのセンターで100球打たせたとき、ボールの落下地点(キャリー)は、198.7ヤード付近を中心に前後方向(飛距離)の誤差が±3.75ヤード、左右方向の誤差が±5.5ヤードであった。さらに、トウー側に10mmずらせて100球打たせたところ、196.4ヤード付近を中心に前後方向(飛距離)の誤差が±3.9ヤード、左右方向の誤差が±4.5ヤードであり、飛距離の誤差はいずれもセンターで打った場合と差がなかったが、左右方向の誤差はトウー側に10mmずらせた場合の方が小さくなっていた。
一方、本発明の実施例2のシャフトを使用したゴルフクラブのヘッドのセンターで100球打たせたとき、ボールの落下地点(キャリー)は、197.9ヤード付近を中心に前後方向(飛距離)の誤差が±2.95ヤード、左右方向の誤差が±4.1ヤードであった。さらに、トウー側に10mmずらせて100球打たせたところ、193.1ヤード付近を中心に前後方向(飛距離)の誤差が±3.55ヤード、左右方向の誤差が±3.6ヤードであり、飛距離の誤差はいずれもセンターで打った場合と差がなかったが、左右方向の誤差はトウー側に10mmずらせた場合の方が小さくなっていた。
これに対し、従来のシャフトで製造したゴルフクラブにおいては、ボールの落下地点は、ヘッドのセンターで打ったとき、193.7ヤード付近を中心に前後方向(飛距離)の誤差が±5.7ヤードであり、左右方向の誤差が±5.85ヤードであった。さらに、トウー側に10mmずらせて100球打たせたところ、193.7ヤード付近を中心に前後方向(飛距離)の誤差が±9.25ヤードであり、左右方向の誤差が±4.5ヤードであった。
すなわち、実施例1では、比較例1と比較して前後方向の誤差が小さく、良好な距離安定性を備えていることがわかった。この実施例1のゴルフクラブシャフトでは、トルクが従来のシャフトよりも大きいに係わらず、従来のものより左右方向の誤差が少なく、安定したゴルフクラブシャフトとすることができた。一方実施例2と比較例1を比較すると、前後方向及び左右方向とも実施例2のシャフトの方が著しく安定性があることがわかった。また、本発明、比較例のゴルフクラブシャフトともに、シャフトの応答性は比較的遅く、ボールをミートしやすくなり、したがってコントロール性が良好になることがわかった。
この結果より、平織り織物層は平織りに織られているため、経糸及び緯糸の移動が小さく、平織り織物層相互間、平織り織物層と曲げ剛性層間のずれが小さくなるため、距離及び方向に安定性が生じ、また経糸及び緯糸の移動が小さいため捩り剛性が良好になると考えられる。このような結果より、距離、方向の安定性が要求されるアイアンクラブに特に有用なクラブを製造できることがわかった。また、平織り織物層は等方性が大きいため、スチールと同様なフィーリングとなった。
[実施例3]
図1に示すような平織り織物を使用し、ゴルフクラブシャフトを製造した。本発明の平織り織物のプリプレグ(樹脂量40%;補強繊維の弾性率24t)を3プライ、補強繊維が所定方向に斜めに敷設した傾斜プリプレグと前記所定方向と反対方向に補強繊維を敷設した傾斜プリプレグ(樹脂量40%;補強繊維の弾性率24t)を重ね合わせたプリプレグ3プライ(プリプレグは3×2枚)、シャフトの長手方向に平行に引き揃えられた補強繊維を有する従来の曲げ剛性保持のプリプレグ(樹脂量24%;補強繊維(カーボン繊維)の弾性率30t)4プライをそれぞれマンドレルに捲回し、硬化せしめてゴルフクラブシャフトとした。
また前記平織り織物のプリプレグはシャフトの長手方向(図1の矢印参照)とそれぞれの経糸51及び緯糸の角度θがほぼ45°で交差するようにシャフト状に捲回された。
各層の補強繊維は炭素繊維とした。平織り織物の経糸、緯経もすべて炭素繊維とした。それぞれの経糸、緯経の太さは、3Kであり、経糸、緯経の打ち込み本数はそれぞれ各4.9本/cmであった。さらにプリプレグとしたときの厚さは0.22mmであり、重さは328g/mであった。
また比較のため、平織り織物層の代わりに従来の捩り剛性保持層を6層(プリプレグ41=6プライ及びプリプレグ42=6プライ)(樹脂量40%;補強繊維の弾性率24t)、曲げ剛性保持層(樹脂量24%;補強繊維の弾性率30t)4プライとしたゴルフクラブシャフトを製造した。なお補強繊維の糸は炭素繊維(3K)である。
上記のようなゴルフクラブシャフト特性を下記に示す。
Figure 0004794657
前記シャフトに同一の51gのグリップと194gのヘッドを取り付けてゴルフクラブ(シャフト長45インチ)とし、ロボットによって同一条件でゴルフボールを打たせた。ロボットを、各クラブについてヘッドに対する打点の位置を同一となるように、かつヘッドスピードが40m/sとなるように、設定した。
本発明のシャフトを使用したゴルフクラブのヘッドのセンターで100球打たせたとき、ボールの落下地点(キャリー)は、189ヤード付近を中心に前後方向(飛距離)の誤差が±4ヤード、左右方向の誤差が±4.7ヤードであった。さらに、トウー側に10mmずらせて100球打たせたところ、188.7ヤード付近を中心に前後方向(飛距離)の誤差が±4ヤードであり、左右方向の誤差が±8ヤードであった。キャリー及び誤差のいずれもセンターで打った場合と差がなかった。
これに対し、従来のシャフトで製造したゴルフクラブにおいては、ボールの落下地点は、ヘッドのセンターで打ったとき、188ヤード付近を中心に前後方向(飛距離)の誤差が±6ヤード、左右方向の誤差が±5ヤードであった。さらに、トウー側に10mmずらせて100球打たせたところ、185ヤード付近を中心に前後方向(飛距離)の誤差が±6.6ヤード、左右方向の誤差が±10ヤードであった。
すなわち、本発明のゴルフクラブシャフトは、従来と比較して極めて良好な距離の安定性を示した。また、本発明、比較例のゴルフクラブシャフトともに、シャフトの応答性は比較的遅く、ボールをミートしやすくなり、したがってコントロール性が良好になることがわかった。さらに、この実施例3のゴルフクラブシャフトでは、トルクが従来のシャフトよりも大きいに係わらず、左右方向の誤差が少なく、安定したゴルフクラブシャフトとすることができた。
次に、本発明のゴルフクラブシャフトを使用したときおよび従来のゴルフクラブの特性を測定したときの結果を記載する。
Figure 0004794657
この結果より、平織り織物層は平織りに織られているため、経糸及び緯糸の移動が小さく、平織り織物層相互間、平織り織物層と曲げ剛性層間のずれが小さくなるため、距離及び方向に安定性が生じ、また経糸及び緯糸の移動が小さいため捩り剛性が良好になると考えられる。このような結果より、距離、方向の安定性が要求されるアイアンクラブに特に有用なクラブを製造できることがわかった。また、平織り織物層は等方性が大きいため、スチールと同様なフィーリングとなった。
以上の結果より、本発明によるゴルフクラブシャフトによれば、実施例1及び3は前後方向(飛距離)の誤差が小さく、従来に比較して、距離安定性が増していることがわかった。また、実施例2においては、距離安定性ばかりでなく、左右方向の誤差も著しく小さくなっており、さらに良好なゴルフクラブシャフトであることがわかった。このような結果より、前後あるいは左右方向の誤差が小さいことが求められるアイアンクラブ用のシャフトとして最適であることがわかった。
1 捩り剛性保持層
2 曲げ剛性保持層
3 圧縮剛性保持層
4 プリプレグシート
5 平織り織物
51 経糸
52 緯糸

Claims (9)

  1. シャフトの長手方向に斜交した補強繊維を備えた熱硬化性樹脂の捩り剛性保持層上に、長手方向に平行に引き揃えた補強繊維を備えた熱硬化性樹脂の曲げ剛性保持層を備えたゴルフクラブシャフトにおいて、前記捩り剛性保持層は相互に織られた経糸と緯糸とを有する平織り織物に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを複数プライ前記経糸と緯糸がシャフトの長手方向に斜交するようにシャフト状に捲回し硬化せしめた平織り織物層を有し、前記平織り織物の糸は3K以下であることを特徴とするゴルフクラブシャフト。
  2. 前記平織り織物の糸の打ち込み本数は4本/cm以上であることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブシャフト。
  3. 前記プリプレグの重さは400g/m以下、厚さは0.3mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のゴルフクラブシャフト。
  4. 前記プリプレグの樹脂量は25〜40重量%であることを特徴とする請求項1から記載のいずれかのゴルフクラブシャフト。
  5. シャフトの長手方向に対し垂直な方向に補強繊維を設けた圧縮剛性保持層を備えたことを特徴とする請求項1から記載のいずれかのゴルフクラブシャフト。
  6. 前記平織り織物層の捩り剛性保持層と共に、補強繊維が所定方向に斜めに敷設した傾斜プリプレグと前記所定方向と反対方向に補強繊維を敷設した傾斜プリプレグを重ね合わせて補強繊維がバイアス状に交差したプリプレグシートを捲回して熱硬化させた捩り剛性保持層を備えたことを特徴とする請求項1から記載のいずれかのゴルフクラブシャフト。
  7. 前記平織り織物層の捩り剛性保持層と共に、相互に織られた経糸と緯糸とを有する平織り織物に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを前記経糸と緯糸のいずれかがシャフトの長手方向に平行になるようにシャフト状に捲回し硬化せしめた曲げ剛性保持層を備えていることを特徴とする請求項1から記載のいずれかのゴルフクラブシャフト。
  8. 前記平織り織物の経糸と緯糸の角度は90°であることを特徴とする請求項1から記載のいずれかのゴルフクラブシャフト。
  9. 前記平織り織物の捩り剛性保持層はシャフトの長手方向に対し、経糸及び緯糸がほぼ45°になるように捲回されていることを特徴とする請求項記載のゴルフクラブシャフト。
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