JP4793613B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータが発生するトルクをステアリング機構に与えて操舵補助を行う電動パワーステアリング装置のためのモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電動モータが発生する駆動力をステアリング機構に伝達し、これにより、運転者のステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置が用いられている。電動モータは、ステアリングホイールに加えられた操舵トルクおよび車速などに基づいて、電動パワーステアリング装置用の電子制御ユニット(ECU)により制御されるようになっている。具体的には、操舵トルクを検出するトルクセンサや車速を検出する車速センサからの検出信号が電子制御ユニットに入力されるようになっており、電子制御ユニットは、各センサからの入力信号に基づいて電流指令値を設定し、その設定した電流指令値に基づいて電動モータをフィードバック制御する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のようなフィードバック制御系では、外乱が入力されると、その入力された外乱を打ち消すように電流指令値が設定される。そのため、たとえば、ノイズのように高周波的に変化する外乱が入力されると、電流指令値が小刻みに増減し、その結果、ステアリングホイールの微振動が生じて、操舵フィーリングが悪化するという問題があった。
【0004】
この問題を解決する手法としては、たとえば、電流指令値をローパスフィルタに通して高周波成分を除去することが考えられる。しかし、そのようなフィルタを設けると、操舵トルクの変化に対する応答性が悪化するという別の問題を生じてしまう。
そこで、この発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、フィルタを用いることなく電流指令値の高周波的な変化を抑制することができ、これにより、操舵フィーリングの向上を図ることができる電動パワーステアリング装置のためのモータ制御装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、車両のステアリング機構(1)に操舵補助力を与える電動モータ(M)を、操作手段(11)の操作に基づいて駆動制御する装置(2)であって、操作手段に加えられた操舵トルクに応じた基本指令値を設定する基本指令値設定手段(211,212,213,214d,214q,216d,216q)と、この基本指令値設定手段によって設定される基本指令値が小刻みに増減するような変動を示している場合には、その変動を緩和するような基本指令値の補正を行って、この補正後の値を指令値とし、上記基本指令値設定手段によって設定された基本指令値が上記のような変動を示していない場合には、上記基本指令値設定手段によって設定された基本指令値を指令値に設定する指令値設定手段(217d,217q)と、この指令値設定手段によって設定された指令値に基づいて電動モータを駆動するモータ駆動手段(24,25)とを含み、上記指令値設定手段は、現在の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値(Vd n ,Vq n )から1制御周期前の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値(Vd n−1 ,Vq n−1 )を減算する第1の減算手段(S1)と、1制御周期前の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値から2制御周期前の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値(Vd n−2 ,Vq n−2 )を減算する第2の減算手段(S2)と、上記第1の減算手段による減算結果(Ad n ,Aq n )の絶対値が予め定めるしきい値(S)以下であるか否かを判断するしきい値判断手段(S3)と、上記第1の減算手段による減算結果がとる符号と上記第2の減算手段による減算結果(Ad n−1 ,Aq n−1 )がとる符号とが互いに同符号であるか逆符号であるかを判断する符号判断手段(S4)と、上記しきい値判断手段によって上記第1の減算手段による減算結果が予め定めるしきい値以下であると判断され、かつ、上記符号判断手段によって上記第1の減算手段による減算結果がとる符号と上記第2の減算手段による減算結果がとる符号とが互いに逆符号であると判断されたことを条件として、現在の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値の補正を実行する補正手段(S5)とを含むものであることを特徴とするモータ制御装置である。
【0006】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この発明によれば、基本指令値が小刻みに増減するような変動を示している場合に、その変動を緩和するような基本指令値の補正が行われ、この補正後の値が指令値とされてモータ制御が行われる。
したがって、基本指令値(d軸電流基本値Vdnおよびq軸電流基本値Vqn)が外乱の影響によって小刻みに増減したとしても、電流指令値(d軸電流指令値Vvdおよびq軸電流指令値Vvq)は緩やかな変動を示すように設定される。これにより、ステアリングホイールのような操作手段の微振動を防止することができ、操舵フィーリングを向上することができる。また、基本指令値が大きく変動した場合は、運転者が故意に操作手段を操作したと判断されて、補正は行われずに、基本指令値がそのまま電流指令値とされる。したがって、このような場合には、制御応答性が損なわれるおそれはなく、操作手段の操作に対して良好な応答性で操舵補助を実行できる。
【0008】
また、上記基本指令値の補正は、現在の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値(Vdn,Vqn)から1制御周期前の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値(Vdn-1,Vqn-1)を減算して得られる値(Adn,Aqn)に1/2を乗じ、さらに、その乗算値に、1制御周期前の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値を加算するといった演算であってもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を簡略化して示す図である。この電動パワーステアリング装置は、車両のステアリング機構1に関連して設けられ、このステアリング機構1に電動モータM(三相DCブラシレスモータ)が発生するトルクを操舵補助力として与えるものである。
【0010】
ステアリング機構1は、運転者によって操作されるステアリングホイール11と、このステアリングホイール11に連結されたステアリングシャフト12と、ステアリングシャフト12にユニバーサルジョイント13を介して結合されたピニオン軸14と、ピニオン軸14の先端部に設けられたピニオンギア15と、車両の幅方向に延びたラックバー16とを備えている。ラックバー16には、ラックギア部16aが形成されていて、このラックギア部16aにピニオンギア15が噛合している。また、ラックバー16の両端には、タイロッドやナックルアームなどを含む転舵機構(図示せず)を介して、それぞれ舵取り用の車輪LW,RWが結合されている。転舵機構は、ラックバー16の車幅方向の直線運動を車輪LW,RWの転舵力に変換するためのものである。この構成により、ステアリングシャフト12の回転は、ピニオンギア13およびラックギア部16aによってラックバー16の直線運動に変換され、さらに、その直線運動の方向に応じた転舵力に変換されて車輪LW,RWに伝達される。
【0011】
ステアリングシャフト12は、ステアリングホイール11側に結合された入力側シャフト12Aとユニバーサルジョイント13側に結合された出力側シャフト12Bとに分割されている。入力側シャフト12Aと出力側シャフト12Bとは、これらの相対的な回転により捩れを生じるトーションバー17で互いに連結されている。また、出力側シャフト12Bには、リダクションギア機構Gが介装されており、このリダクションギア機構Gを介して、電動モータMのトルクが入力されるようになっている。
【0012】
電動モータMの駆動電流は、電子制御ユニット(ECU)2から供給されるようになっている。電子制御ユニット2には、トーションバー17に生じる捩れの方向および大きさを操舵トルクとして検出するトルクセンサ31の検出信号Tが入力されるようになっている。また、電子制御ユニット2には、車速を検出するための車速センサ32の検出信号Vが入力されるようになっている。電子制御ユニット2は、トルクセンサ31および車速センサ32から入力される検出信号などに基づいて、電動モータMに供給する駆動電流を制御し、これにより電動モータMから発生されるトルク(操舵補助力)を制御する。
【0013】
図2は、電子制御ユニット2の構成を示すブロック図である。電子制御ユニット2は、マイクロコンピュータを含む構成であって、電動モータMの各相(U相、V相およびW相)に対する電圧指令値Vu,Vv,Vwを演算するための各機能処理部(図2に二点鎖線で示す枠内の各部)は、たとえば、マイクロコンピュータがプログラム処理を実行することによってソフトウエア的に実現される。
電子制御ユニット2は、トルクセンサ31の検出信号(トルク信号)Tの位相補償を行う位相補償部211を有している。この位相補償部211で位相補償されたトルク信号は、電動モータMのU相、V相およびW相に与えるべき電流(正弦波電流)の振幅を表す目標電流値Iaを演算する目標電流演算部212に与えられている。また、目標電流演算部212には、車速センサ32の検出信号(車速信号)Vが与えられている。目標電流演算部212は、位相補償部211から入力される位相補償後のトルク信号および車速センサ32から入力される車速信号Vに応じた目標電流値Iaを演算する。
【0014】
目標電流演算部212が演算した目標電流値Iaは、d,q軸目標電流値演算部213に入力されるようになっている。d,q軸目標電流値演算部213は、目標電流値Iaに基づいて、d−q座標系におけるd軸目標電流値Idaおよびq軸目標電流値Iqaを演算により求める。そして、その求めたd軸目標電流値Idaおよびq軸目標電流値Iqaを、それぞれ減算部214d,214qの+側の入力端子に与える。
【0015】
一方、電子制御ユニット2は、電動モータMのU相に実際に流れる電流であるU相電流Iuを検出するためのU相電流検出回路22uと、電動モータMのV相に実際に流れる電流であるV相電流Ivを検出するためのV相電流検出回路22vとを備えている。これらのU相電流検出回路22uおよびV相電流検出回路22vの出力信号は、三相交流/d−q座標変換部215に入力されている。この三相交流/d−q座標変換部215にはまた、レゾルバRの出力信号に基づいてロータ角度θを検出するロータ角度検出回路23の出力信号が入力されている。ロータ角度θは、モータMのU相電機子巻線の位置を基準とするロータ(界磁)の角度である。三相交流/d−q座標変換部215は、ロータ角度検出回路23で検出されるロータ角度θに基づいて、U相電流IuおよびV相電流Ivをd−q座標系の値(d軸電流Idおよびq軸電流Iq)に変換して出力する。
【0016】
三相交流/d−q座標変換部215が出力するd軸電流Idおよびq軸電流Iqは、それぞれ減算部214d,214qの−側の入力端子に与えられるようになっている。したがって、減算部214d,214qでは、それぞれ、d軸電流Idのd軸目標電流値Idaに対する偏差(Ida−Id)およびq軸電流Iqに対するq軸目標電流値Iqaの偏差(Iqa−Iq)が求められることになる。
減算部214d,214qから出力される偏差は、それぞれd軸電流PI(比例積分)制御部216dおよびq軸電流PI制御部216qに与えられる。PI制御部216d,216qは、それぞれ、減算部214d,214qから入力される偏差に基づいてPI演算を行って、d軸電流基本値Vdnおよびq軸電流基本値Vqn(添字nは制御周期を表す。)を求める。
【0017】
こうして設定されるd軸電流基本値Vdnおよびq軸電流基本値Vqnはトルク信号Tの変化に伴って変動するから、たとえば、トルク信号Tにノイズが混入した場合などには、そのノイズの影響を受けて、d軸電流基本値Vdnおよびq軸電流基本値Vqnが小刻みに増減する。したがって、d軸電流基本値Vdnおよびq軸電流基本値Vqnをそれぞれd軸電流指令値およびq軸電流指令値として電動モータMの制御を行ったのでは、トルク信号Tにノイズが混入した場合などに、ステアリングホイール11の微振動を生じるおそれがある。
【0018】
そこで、この実施形態では、d軸電流基本値Vdnおよびq軸電流基本値Vqnをそれぞれ補正するためのd軸電流指令値補正部217dおよびq軸電流指令値補正部217が備えられている。そして、d軸電流基本値Vdnおよびq軸電流基本値Vqnが小刻みな増減を繰り返している場合には、d軸電流指令値補正部217dおよびq軸電流指令値補正部217qにおいて、その増減を小さくするための補正が行われ、この補正後の各値がd軸電流指令値Vvdおよびq軸電流指令値Vvqとして出力されるようになっている。
【0019】
d軸電流指令値Vvdおよびq軸電流指令値Vvqは、図示しない電流/電圧変換演算部において、それぞれd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値に変換された後、d−q/三相交流座標変換部218に入力されるようになっている。このd−q/三相交流座標変換部218にはまた、ロータ角度検出回路23で検出されるロータ角度θが入力されており、d−q/三相交流座標変換部218は、そのロータ角度θに基づいて、d軸電圧指令値およびq軸電圧指令値を三相交流座標系の指令値Vua,Vva,Vwaに変換する。そして、その得られたU相電圧指令値Vua、V相電圧指令値VvaおよびW相電圧指令値Vwaを、PWM(Pulse Width Modulation)変調部24に入力する。
【0020】
PWM変調部24は、U相電圧指令値Vua、V相電圧指令値VvaおよびW相電圧指令値Vwaに基づいて、PWM制御信号Su,Sv,Swを作成し、その作成したPWM制御信号Su,Sv,Swをパワー回路25(三相インバータ回路)に向けて出力する。これにより、パワー回路25から電動モータMのU相、V相およびW相に、それぞれPWM制御信号Su,Sv,Swに応じた電圧が印加され、電動モータMから操舵補助に必要なトルクが発生される。
【0021】
図3は、d軸電流指令値補正部217dにおいて行われる処理の流れを示すフローチャートである。過去の2制御周期においてd軸電流PI制御部216dが演算したd軸電流基本値Vdn-1,Vdn-2は、マイクロコンピュータ内のメモリ(図示せず)に記憶されている。
d軸電流PI制御部216dにおいてd軸電流基本値Vdnの演算が行われ、その演算されたd軸電流基本値Vdnがd軸電流指令値補正部217dに入力されると、まず、そのd軸電流基本値Vdnから1制御周期前の制御周期(n−1制御周期)で演算されたd軸電流基本値Vdn-1が減算される(ステップS1)。この減算により得られる値(d軸電流基本値変化量)Adnは、d軸電流基本値Vdnがd軸電流基本値Vdn-1よりも大きい時には正の符号をとり、d軸電流基本値Vdnがd軸電流基本値Vdn-1よりも小さい時には負の符号をとる。
【0022】
また、1制御周期前の制御周期で演算されたd軸電流基本値Vdn-1から2制御周期前の制御周期で演算されたd軸電流基本値Vdn-2が減算される(ステップS2)。この減算により得られる値(d軸電流基本値変化量)Adn-1は、d軸電流基本値Vdn-1がd軸電流基本値Vdn-2よりも大きい時には正の符号をとり、d軸電流基本値Vdn-1がd軸電流基本値Vdn-2よりも小さい時には負の符号をとる。
【0023】
次いで、d軸電流基本値変化量Adnの絶対値が予め定めるしきい値S以下であるか否かが判断される(ステップS3)。d軸電流基本値変化量Adnの絶対値が予め定めるしきい値S以下であれば、さらに、d軸電流基本値変化量Adnの符号とd軸電流基本値変化量Adn-1の符号とが互いに逆符号であるかどうかが判断される(ステップS4)。
d軸電流基本値変化量Adnの絶対値が予め定めるしきい値S以下であり、かつ、d軸電流基本値変化量Adnの符号とd軸電流基本値変化量Adn-1の符号とが逆符号である場合、最近の3制御周期でd軸電流基本値は小刻みに増減を繰り返していると判断されて、d軸電流基本値Vdnに対する補正を施すための演算が行われる(ステップS5)。すなわち、d軸電流基本値変化量Adnに1/2を乗じて得られる値と1制御周期前の制御周期で演算されたd軸電流基本値Vdn-1とが加算され、この加算により得られる値がd軸電流指令値Vvdとされる。
【0024】
一方、d軸電流基本値変化量Adnの絶対値が予め定めるしきい値Sよりも大きい場合、つまり、現在の制御周期で演算されたd軸電流基本値Vdnが1制御周期前の制御周期で演算されたd軸電流基本値Vdn-1から大きく増加または減少している場合には、運転者が故意にステアリングホイール11を操作したと判断されて、上述の補正演算は行われずに、d軸電流基本値Vdnがそのままd軸電流指令値Vvdとされる。
【0025】
また、d軸電流基本値変化量Adnの絶対値が予め定めるしきい値S以下であり、かつ、d軸電流基本値変化量Adnの符号とd軸電流基本値変化量Adn-1の符号とが同符号である場合、つまり、最近の3制御周期でd軸電流基本値がゆるやかに増加または減少している場合も、上述の補正演算は行われずに、d軸電流基本値Vdnがそのままd軸電流指令値Vvdとされる。d軸電流基本値がゆるやかに増加または減少している場合、運転者によってステアリングホイール11がゆっくりと同方向に操作されていると判断できるからである。
【0026】
図4は、d軸電流指令値Vvdの設定例を示すグラフである。この図4に示すグラフにおいて、横軸の1目盛は1制御周期を表し、しきい値Sが縦軸の3目盛分の値(電流値)に相当するものとする。
最初の制御周期「0」で設定されたd軸電流基本値Vd0が零であり、次の制御周期「1」で設定されたd軸電流基本値Vd1は縦軸の4目盛分の値であるから、この場合、d軸電流基本値Vd1からd軸電流基本値Vd0を減算して得られる値Ad1は、縦軸の4目盛分の正の値であって、その絶対値はしきい値Sよりも大きい。したがって、この場合、d軸電流指令値補正部217dにおいて補正演算は行われず、d軸電流基本値Vd1はそのままd軸電流指令値Vvdとされる。
【0027】
制御周期「1」〜「8」の期間は、d軸電流基本値は小刻みに増減を繰り返している。すなわち、d軸電流基本値変化量Adnの絶対値が予め定めるしきい値S以下であり、かつ、d軸電流基本値変化量Adnの符号とd軸電流基本値変化量Adn-1の符号とが逆符号になっている。したがって、制御周期「1」〜「8」の期間では、d軸電流指令値補正部217dにおいて補正演算が行われる。
たとえば、制御周期「4」において行われる補正演算を例にとって説明する。1制御周期前の制御周期「3」で設定されたd軸電流基本値Vd3が縦軸の5目盛分の値であり、この制御周期「4」で設定されたd軸電流基本値Vd4が縦軸の2目盛分の値であるから、d軸電流基本値Vd4からd軸電流基本値Vd3を減算して得られる値Ad4は、縦軸の3目盛分の負の値であって、その絶対値はしきい値Sに等しい。また、制御周期「4」の2制御周期前の制御周期「2」で設定されたd軸電流基本値Vd2が縦軸の2目盛分の値であり、制御周期「3」で設定されたd軸電流基本値Vd3からd軸電流基本値Vd2を減算して得られる値Ad3は縦軸の3目盛分の正の値であるから、d軸電流基本値変化量Ad4の符号とd軸電流基本値変化量Ad3の符号とは逆符号である。したがって、この制御周期「4」では、d軸電流基本値Vd4に対する補正を施すための演算が行われ、d軸電流基本値変化量Ad4に1/2を乗じて得られる値(縦軸の1.5目盛分の負の値)と1制御周期前の制御周期で演算されたd軸電流基本値Vd3(縦軸の5目盛分の値)が加算され、この加算により得られる値(縦軸の3.5目盛分の値)がd軸電流指令値Vvdとされる。
【0028】
このような補正演算が行われることにより、制御周期「1」〜「8」の期間では、d軸電流基本値が小刻みに増減を繰り返しているにもかかわらず、d軸電流指令値Vvdは緩やかな変動を示すように設定される。
制御周期「8」で設定されたd軸電流基本値Vd8は縦軸の2目盛分の値であり、次の制御周期「9」で設定されたd軸電流基本値Vd9は零であるから、この場合、d軸電流基本値Vd9からd軸電流基本値Vd8を減算して得られる値Ad9は、縦軸の2目盛分の負の値であって、その絶対値はしきい値Sよりも小さい。しかし、制御周期「7」で設定されたd軸電流基本値Vd7が縦軸の4目盛分の値であり、d軸電流基本値Vd8からd軸電流基本値Vd7を減算して得られる値Ad8は縦軸の2目盛分の負の値であるから、d軸電流基本値変化量Ad9の符号とd軸電流基本値変化量Ad8の符号とは同符号になっている。したがって、この場合、d軸電流指令値補正部217dにおいて補正演算は行われず、d軸電流基本値Vd9(=0)はそのままd軸電流指令値Vvdとされる。
【0029】
以上のように、この実施形態では、d軸電流基本値が小刻みに増減している場合には、d軸電流指令値補正部217dにおいて補正演算が行われ、その補正演算で得られる値がd軸電流指令値Vvdとされる。
また、図3および図4を参照して、d軸電流指令値補正部217dにおける処理について具体的に説明したが、q軸電流指令値補正部217qにおいても、d軸電流指令値補正部217dと同様な処理が行われる。すなわち、q軸電流指令値補正部217qでは、n制御周期で設定されたq軸電流基本値Vqnから1制御周期前の制御周期(n−1制御周期)で演算されたq軸電流基本値Vqn-1を減算して得られる値(q軸電流基本値変化量)Aqnの絶対値が予め定めるしきい値S以下であるか否かが判断される。そして、d軸電流基本値変化量Aqnの絶対値が予め定めるしきい値S以下であれば、さらに、q軸電流基本値変化量Adnの符号と、q軸電流基本値Vqn-1から2制御周期前の制御周期で演算されたq軸電流基本値Vqn-2を減算して得られる値Adn-1の符号とが比較される。これらが逆符号である場合には、最近の3制御周期でq軸電流基本値は小刻みに増減を繰り返していると判断されて、q軸電流基本値Vqnに対する補正を施すための演算(Aqn×1/2+Vqn-1)が行われ、この補正演算により得られる値がq軸電流指令値Vvqとされる。
【0030】
これにより、たとえば、トルク信号Tにノイズが混入し、このノイズの影響を受けてd軸電流基本値およびq軸電流基本値が小刻みに増減している場合であっても、d軸電流指令値Vvdおよびq軸電流指令値Vvqは緩やかな変動を示すように設定される。よって、ステアリングホイール11の微振動を防止することができ、操舵フィーリングを向上することができる。
また、d軸電流基本値およびq軸電流基本値が大きく変動した場合は、運転者が故意にステアリングホイール11を操作したと判断されて、上述のような補正演算は行われずに、d軸電流基本値Vdnおよびq軸電流基本値Vqnがそれぞれd軸電流指令値Vvdおよびq軸電流指令値Vvqとされる。したがって、d軸電流指令値補正部217dおよびq軸電流指令値補正部217qが設けられたことによって制御応答性が損なわれるおそれはなく、ステアリングホイール11の操作に対して良好な応答性で操舵補助が行われる。
【0031】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することも可能であるし、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を簡略化して示す図である。
【図2】図1に示す電動パワーステアリング装置に備えられた電子制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】d軸電流指令値補正部において行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】d軸電流指令値の設定例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ステアリング機構
2 電子制御ユニット
11 ステアリングホイール
24 PWM変調部
25 パワー回路
31 トルクセンサ
211 位相補償部
212 目標電流演算部
213 d,q軸目標電流値演算部
214d,214q 減算部
216d d軸電流PI制御部
216q q軸電流PI制御部
217d d軸電流指令値補正部
217q q軸電流指令値補正部
Adn d軸電流基本値変化量
Aqn q軸電流基本値変化量
M 電動モータ
S しきい値
T トルク信号
Vdn d軸電流基本値
Vqn q軸電流基本値
Vvd d軸電流指令値
Vvq q軸電流指令値
Claims (2)
- 車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動モータを、操作手段の操作に基づいて駆動制御する装置であって、
操作手段に加えられた操舵トルクに応じた基本指令値を設定する基本指令値設定手段と、
この基本指令値設定手段によって設定される基本指令値が小刻みに増減するような変動を示している場合には、その変動を緩和するような基本指令値の補正を行って、この補正後の値を指令値とし、上記基本指令値設定手段によって設定された基本指令値が上記のような変動を示していない場合には、上記基本指令値設定手段によって設定された基本指令値を指令値に設定する指令値設定手段と、
この指令値設定手段によって設定された指令値に基づいて電動モータを駆動するモータ駆動手段とを含み、
上記指令値設定手段は、
現在の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値から1制御周期前の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値を減算する第1の減算手段と、
1制御周期前の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値から2制御周期前の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値を減算する第2の減算手段と、
上記第1の減算手段による減算結果の絶対値が予め定めるしきい値以下であるか否かを判断するしきい値判断手段と、
上記第1の減算手段による減算結果がとる符号と上記第2の減算手段による減算結果がとる符号とが互いに同符号であるか逆符号であるかを判断する符号判断手段と、
上記しきい値判断手段によって上記第1の減算手段による減算結果が予め定めるしきい値以下であると判断され、かつ、上記符号判断手段によって上記第1の減算手段による減算結果がとる符号と上記第2の減算手段による減算結果がとる符号とが互いに逆符号であると判断されたことを条件として、現在の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値の補正を実行する補正手段とを含むものであることを特徴とするモータ制御装置。 - 前記補正手段は、現在の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値から1制御周期前の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値を減算して得られる値に1/2を乗じ、その乗算値に、1制御周期前の制御周期において上記基本指令値設定手段が設定した基本指令値を加算することによって、補正後の指令値を演算するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
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