図1は、本発明の一実施例に係る車両用制動制御装置を表す概略構成図、図2は、本実施例の車両用制動制御装置が適用されたハイブリッド車両を表す概略構成図、図3は、本実施例のハイブリッド車両に適用されたエンジンを表す概略構成図、図4は、本実施例の車両用制動制御装置におけるブースタ負圧処理制御を表すフローチャート、図5は、車速に対するブースタ負圧の増加率を表すグラフ、図6は、ペダルストローク及びストローク頻度に対するブースタ負圧の増加率を表すグラフである。
本実施例の車両用制動制御装置が適用されたハイブリッド車両において、図2に示すように、車両には、動力源として、エンジン101と電気モータ102が搭載されており、また、この車両には、エンジン101の出力を受けて発電を行う発電機103も搭載されている。これらのエンジン101と電気モータ102と発電機103は、動力分割機構104によって接続されている。この動力分割機構104は、エンジン101の出力を発電機103と駆動輪105とに振り分けると共に、電気モータ102からの出力を駆動輪105に伝達したり、減速機106及び駆動軸107を介して駆動輪105に伝達される駆動力に関する変速機として機能する。
電気モータ102は三相交流同期電動機であり、交流電力によって駆動する。インバータ108は、バッテリ109に蓄えられた電力を直流から交流に変換して電気モータ102に供給すると共に、発電機103によって発電される電力を交流から直流に変換してバッテリ109に蓄えるためのものである。発電機103も、基本的には上述した電気モータ102とほぼ同様の構成を有しており、三相交流同期電動機としての構成を有している。この場合、電気モータ102が主として駆動力を出力するのに対し、発電機103は主としてエンジン101の出力を受けて発電するものである。
また、電気モータ102は主として駆動力を発生させるが、駆動輪105の回転を利用して発電(回生発電)することもでき、発電機として機能することも可能である。このとき、駆動輪105には回生ブレーキが作用するので、これをフットブレーキやエンジンブレーキと併用することにより、車両を制動させることができる。一方、発電機103は主としてエンジン101の出力を受けて発電をするが、インバータ108を介してバッテリ109の電力を受けて駆動する電動機としても機能することができる。
なお、エンジン101には、ピストン位置及びエンジン回転数を検出する後述するクランクポジションセンサが設けられており、検出結果をエンジンECU110に出力している。また、電気モータ102及び発電機103には、回転位置及び回転数を検出する回転数センサ(図示略)が設けられており、検出結果をモータECU111に出力している。
ハイブリッド車両の上記各種制御は、複数の電子制御ユニット(ECU)によって制御される。ハイブリッド車両として特徴的なエンジン101による駆動と電気モータ102による駆動とは、メインECU112によって総合的に制御される。即ち、メインECU112によりエンジン101の出力と電気モータ102による出力の配分が決定され、エンジン101、電気モータ102及び発電機103を制御すべく、各制御指令がエンジンECU110及びモータECU111に出力される。
そして、エンジンECU110及びモータECU111は、エンジン101、電気モータ102及び発電機103の情報をメインECU112にも出力している。このメインECU112には、バッテリ109を制御するバッテリECU113にも接続されている。このバッテリECU113はバッテリ109の充電状態を監視し、充電量が不足した場合には、メインECU112に対して充電要求指令を出力する。充電要求を受けたメインECU112はバッテリ109に充電をするように発電機103を発電させる制御を行う。
また、メインECU112には、イグニッションキースイッチ(IG−SW)120が接続されている。更に、アクセルペダル121には、その踏み込み量、即ち、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ122が装着されており、検出結果をメインECU112に出力している。
従って、アクセルペダル121に、その踏み込み量、即ち、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ122が装着されており、検出結果をメインECU112に出力している。そのため、メインECU112は、アクセル開度センサ122が検出したアクセル開度に応じてドライバの要求駆動力を検出し、モータECU111にこの要求駆動力を出力し、モータECU111はバッテリ109の充電状態に基づいてモータ駆動力を設定し、メインECU112に出力すると共に、電気モータ102を駆動制御する。メインECU112は要求駆動力からモータ駆動力を減算してエンジン駆動力を設定し、エンジンECU110は、このエンジン駆動力に基づいてエンジン101を駆動制御する。
また、車両には、駆動輪105に対応して油圧ブレーキ装置114が設けられている。この油圧ブレーキ装置114には、油圧制御装置115から調圧された制動油圧が供給されるようになっている。上述したメインECU112には、この油圧制御装置115を制御するブレーキECU116も接続されている。従って、このブレーキECU116は、ブレーキペダルの操作量またはそれによって得られるマスタシリンダ13の液圧に応じてドライバの要求制動力を検出し、メインECU112に対してこの要求制動力を出力する。メインECU112はモータECU111にこの要求制動力を出力し、モータECU111は回生ブレーキを制御すると共に、その実行値、つまり、実行した回生制動力をメインECU112に出力する。メインECU112は要求制動力から回生制動力を減算して要求油圧制動力を設定し、ブレーキECU116は、この要求油圧制動力に基づいて油圧制御装置115を制御し、油圧ブレーキ装置114を作動する。
本実施例のハイブリッド車両では、直列4気筒筒内噴射式エンジンを適用している。この直列4気筒エンジン101において、図3に示すように、シリンダブロック201上にシリンダヘッド202が締結されており、このシリンダブロック201に形成された複数のシリンダボア203にピストン204がそれぞれ上下移動自在に嵌合している。そして、シリンダブロック201の下部にクランクケース205が締結され、このクランクケース205内にクランクシャフト206が回転自在に支持されており、各ピストン204はコネクティングロッド207を介してこのクランクシャフト206にそれぞれ連結されている。
燃焼室208は、シリンダブロック201におけるシリンダボア203の壁面とシリンダヘッド202の下面とピストン204の頂面により構成されており、この燃焼室208は、上部(シリンダヘッド202の下面)の中央部が高くなるように傾斜したペントルーフ形状をなしている。そして、この燃焼室208の上部、つまり、シリンダヘッド202の下面に吸気ポート209及び排気ポート210が対向して形成されており、この吸気ポート209及び排気ポート210に対して吸気弁211及び排気弁212の下端部がそれぞれ位置している。この吸気弁211及び排気弁212は、シリンダヘッド202に軸方向に沿って移動自在に支持されると共に、吸気ポート209及び排気ポート210を閉止する方向(図3にて上方)に付勢支持されている。また、シリンダヘッド202には、吸気カムシャフト213及び排気カムシャフト214が回転自在に支持されており、吸気カム215及び排気カム216が吸気弁211及び排気弁212の上端部に接触している。
なお、図示しないが、クランクシャフト206に固結されたクランクシャフトスプロケットと、吸気カムシャフト213及び排気カムシャフト214にそれぞれ固結された各カムシャフトスプロケットとは、無端のタイミングチェーンが掛け回されており、クランクシャフト206と吸気カムシャフト213と排気カムシャフト214が連動可能となっている。
従って、クランクシャフト206に同期して吸気カムシャフト213及び排気カムシャフト214が回転すると、吸気カム215及び排気カム216が吸気弁211及び排気弁212を所定のタイミングで上下移動することで、吸気ポート209及び排気ポート210を開閉し、吸気ポート209と燃焼室208、燃焼室208と排気ポート210とをそれぞれ連通することができる。この場合、この吸気カムシャフト213及び排気カムシャフト214は、クランクシャフト206が2回転(720度)する間に1回転(360度)するように設定されている。そのため、エンジン101は、クランクシャフト206が2回転する間に、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4行程を実行することとなり、このとき、吸気カムシャフト213及び排気カムシャフト214が1回転することとなる。
また、このエンジン101の動弁機構は、運転状態に応じて吸気弁211及び排気弁212を最適な開閉タイミングに制御する吸気・排気可変動弁機構(VVT:Variable Valve Timing-intelligent)217,218となっている。この吸気・排気可変動弁機構217,218は、吸気カムシャフト213及び排気カムシャフト214の軸端部にVVTコントローラ219,220が設けられて構成され、オイルコントロールバルブ221,222からの油圧をこのVVTコントローラ219,220の図示しない進角室及び遅角室に作用させることによりカムスプロケットに対するカムシャフト213,214の位相を変更し、吸気弁211及び排気弁212の開閉時期を進角または遅角することができるものである。この場合、吸気・排気可変動弁機構217,218は、吸気弁211及び排気弁212の作用角(開放期間)を一定としてその開閉時期を進角または遅角する。また、吸気カムシャフト213及び排気カムシャフト214には、その回転位相を検出するカムポジションセンサ223,224が設けられている。
吸気ポート209には、吸気マニホールド225を介してサージタンク226が連結され、このサージタンク226に吸気管227が連結されており、この吸気管227の空気取入口にはエアクリーナ228が取付けられている。そして、このエアクリーナ228の下流側にスロットル弁229を有する電子スロットル装置230が設けられている。
排気ポート210には、排気マニホールド231を介して排気管232が連結されており、この排気管232には排気ガス中に含まれる有害物質を浄化処理する三元触媒233及びNOx吸蔵還元型触媒234が装着されている。この三元触媒233は、空燃比(排気空燃比)がストイキのときに排気ガス中に含まれるHC、CO、NOxを酸化還元反応により同時に浄化処理するものである。NOx吸蔵還元型触媒234は、空燃比(排気空燃比)がリーンのときに排気ガス中に含まれるNOxを一旦吸蔵し、排気ガス中の酸素濃度が低下したリッチ燃焼領域またはストイキ燃焼領域にあるときに、吸蔵したNOxを放出し、添加した還元剤としての燃料によりNOxを還元するものである。
そして、このエンジンには、排気ガスのエネルギによりタービンを回し、これに直結されたコンプレッサにより空気を燃焼室に押し込むターボ過給機235が設けられている。このターボ過給機235は、吸気管227に設けられたコンプレッサ236と排気管232に設けられたタービン237とが連結軸238により一体に連結されて構成されている。そして、このターボ過給機235におけるコンプレッサ236の下流側における吸気管227には、このコンプレッサ236により圧縮して温度上昇した吸入空気を冷却するインタークーラ239が設けられている。
シリンダヘッド202には、燃焼室208に直接燃料を噴射するインジェクタ240が装着されており、このインジェクタ240は、吸気ポート209側に位置して水平上端から下方に所定角度傾斜して配置されている。各気筒に装着されるインジェクタ240はデリバリパイプ241に連結され、このデリバリパイプ241には、高圧燃料供給管242を介して高圧燃料ポンプ243が連結され、所定圧の燃料を供給可能となっている。また、シリンダヘッド202には、燃焼室208の上方に位置して混合気に着火する点火プラグ244が装着されている。
車両には、エンジンECU110が搭載されており、このエンジンECU110は、インジェクタ240の燃料噴射タイミングや点火プラグ244の点火時期などを制御可能となっており、検出した吸入空気量、吸気温度、過給圧、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、冷却水温などのエンジン運転状態に基づいて燃料噴射量、噴射時期、点火時期などを決定している。
即ち、吸気管227の上流側にはエアフローセンサ245及び吸気温センサ246が装着され、計測した吸入空気量及び吸気温度をエンジンECU110に出力している。また、サージタンク226には過給圧センサ247が装着され、計測した過給圧をエンジンECU110に出力している。電子スロットル装置230にはスロットルポジションセンサ248が設けられ、現在のスロットル開度をエンジンECU110に出力している。また、クランクシャフト206にはクランク角センサ249が設けられ、検出したクランク角度をエンジンECU110に出力し、エンジンECU110はクランク角度に基づいて各気筒における吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程を判別すると共に、エンジン回転数を算出する。また、シリンダブロック201には水温センサ250が設けられており、検出したエンジン冷却水温をエンジンECU110に出力している。
また、エンジンECU110は、エンジン運転状態に基づいて吸気・排気可変動弁機構217,218を制御可能となっている。即ち、低温時、エンジン始動時、アイドル運転時や軽負荷時には、排気弁212の閉止時期と吸気弁211の開放時期のオーバーラップをなくすことで、排気ガスが吸気ポート209または燃焼室208に吹き返す量を少なくし、燃焼安定及び燃費向上を可能とする。また、中負荷時には、このオーバーラップを大きくすることで、内部EGR率を高めて排ガス浄化効率を向上させると共に、ポンピングロスを低減して燃費向上を可能とする。更に、高負荷低中回転時には、吸気弁211の閉止時期を進角することで、吸気が吸気ポート209に吹き返す量を少なくし、体積効率を向上させる。そして、高負荷高回転時には、吸気弁211の閉止時期を回転数にあわせて遅角することで、吸入空気の慣性力に合わせたタイミングとし、体積効率を向上させる。
このように構成されたハイブリッド車両にて、以下に、本実施例の車両用制動制御装置について詳細に説明する。
本実施例の車両用制動制御装置において、図1に示すように、ブレーキペダル(操作部材)11には、ブレーキブースタ(ブレーキ倍力手段)12が接続され、このブレーキブースタ12には、マスタシリンダ13が固定されている。そして、ブレーキペダル11に、その踏み込み量、即ち、ペダルストロークを検出するペダルストロークセンサ(操作量検出手段)14が装着されており、検出結果をブレーキECU116に出力する。
このブレーキブースタ12は、ドライバによるブレーキペダル11の踏み込み操作に対して所定の倍力比を有するアシスト力を発生することができる。この場合、ブレーキブースタ12は、内部がダイアフラムにより正圧室と負圧室に仕切られており、正圧室が連通孔を介して大気に連通し、負圧室が負圧管61を介してエンジン101の吸気マニホールド225に連結されている。そして、この負圧管61に、エンジン101からブレーキブースタ12の負圧室に供給されるブースタ負圧を検出する負圧センサ(負圧検出センサ)62が設けられており、検出結果をブレーキECU116に出力する。従って、ドライバがブレーキペダル11を踏むと、正圧室の連通孔が開いてダイアフラムが負圧室側に移動することで操作力が倍力され、このダイアフラムがプッシュロッドを介してマスタシリンダ13のピストンに連結されていることから、倍力された作動力をマスタシリンダ13に伝達することができる。
マスタシリンダ13は、内部に図示しない2つの油圧室を有しており、各油圧室には、ブレーキ踏力とアシスト力を合わせたマスタシリンダ圧が発生する。マスタシリンダ13の上部には、リザーバタンク15が設けられており、このマスタシリンダ13とリザーバタンク15とは、ブレーキペダル11の踏み込みが解除されときに連通状態となる。
マスタシリンダ13の各油圧室には、それぞれ油圧供給通路16,17が接続されており、油圧供給通路16は、油圧制御装置115における一方の駆動輪側の油圧制御回路に接続され、油圧供給通路17は、油圧制御装置115における他方の駆動輪側の油圧制御回路に接続されている。そして、一方の油圧供給通路16に、供給油圧、つまり、マスタシリンダ圧(マスタシリンダ圧力)を検出するマスタシリンダ圧センサ18が装着されており、検出結果をブレーキECU116に出力する。
そして、各油圧供給通路16,17には、マスタカット弁19,20が装着されており、上述したマスタシリンダ圧センサ18は、油圧供給通路16におけるマスタシリンダ13とマスタカット弁19との間に配置されている。このマスタカット弁19,20は、流量調整式の電磁弁であり、所謂、ノーマルオープン式であって、ブレーキECU116による通電時に開度制御可能となっている。
一方の油圧供給通路16は、マスタカット弁19を介して連結通路21が接続され、他方の油圧供給通路17は、マスタカット弁20を介して連結通路22が接続されている。一方の連結通路21は、2つの分岐通路23,24に分岐され、他方の連結通路22は、2つの分岐通路25,26に分岐されている。そして、分岐通路23,24は、各駆動輪105(図2参照)にそれぞれ配置される油圧ブレーキ装置114(114FR,114RL)を駆動するホイールシリンダ27FR,27RLに接続されている。また、分岐通路25,26は、駆動輪105(図2参照)にそれぞれ配置される油圧ブレーキ装置114(114FL,114RR)を駆動するホイールシリンダ27FL,27RRに接続されている。なお、ここでは、油圧配管系統をクロス配管としたが、前後配管としても良い。
各分岐通路23,24,25,26には、それぞれ電磁式保持弁28,29,30,31が配置されている。また、分岐通路23,24,25,26には、電磁式保持弁28,29,30,31よりホイールシリンダ27FR,27RL,27FL,27RR側から油圧排出通路32,33,34,35が分岐しており、この油圧排出通路32,33,34,35は補助リザーバ36,37に接続されている。そして、この油圧排出通路32,33,34,35に、それぞれ電磁式減圧弁38,39,40,41が配置されている。
この電磁式保持弁28,29,30,31は、流量調整式の電磁弁であり、所謂、ノーマルオープン式であって、ブレーキECU116による通電時に開度制御可能となっている。また、この電磁式減圧弁38,39,40,41は、流量調整式の電磁弁であり、所謂、ノーマルクローズ式であって、ブレーキECU116による通電時に開度制御可能となっている。
なお、油圧供給通路16,17と連結通路21,22との間には、マスタカット弁19,20と並列して逆止弁42,43が設けられており、油圧供給通路16,17側から連結通路21,22側への作動油の流れのみ許容している。また、分岐通路23,24,25,26には、電磁式保持弁28,29,30,31と並列して逆止弁44,45,46,47が設けられており、ホイールシリンダ27FR,27RL,27FL,27RR側からマスタカット弁19,20側への作動油の流れのみ許容している。
各連結通路21,22から分岐して補助リザーバ36,37に接続するポンプ通路48,49が設けられ、このポンプ通路48,49の途中に、ポンプモータ50により駆動する油圧ポンプ(加圧手段)51,52が配置されると共に、この油圧ポンプ51,52よりマスタカット弁19,20側に逆止弁53,54が配置されている。また、油圧供給通路16,17から分岐して補助リザーバ36,37に接続する吸入通路55,56が設けられ、この吸入通路55,56における補助リザーバ36,37側にリザーバカット逆止弁57,58が配置されている。
ブレーキECU116は、CPUやメモリ等からなり、格納されているブレーキ制御プログラムを実行することにより制動制御を実行する。即ち、このブレーキECU116には、ペダルストロークセンサ14が検出したペダルストローク、マスタシリンダ圧センサ18が検出したマスタシリンダ圧が入力される。そのため、ブレーキECU116は、ペダルストローク及びマスタシリンダ圧に基づいてマスタカット弁19,20、電磁式保持弁28,29,30,31、電磁式減圧弁38,39,40,41、ポンプモータ50を制御し、ホイールシリンダ27FR,27RL,27FL,27RRへの制動油圧を調整可能となっている。
従って、通常、マスタカット弁19,20は開弁され、電磁式保持弁28,29,30,31は開弁され、電磁式減圧弁38,39,40,41は閉弁されており、ドライバがブレーキペダル11を踏み込み操作すると、ブレーキブースタ12は、その踏み込み操作に対して所定の倍力比を有するアシスト力を発生し、マスタシリンダ13は、ブレーキ踏力とアシスト力を合わせたマスタシリンダ圧を発生する。
ブレーキECU116は、ブレーキペダル11のペダルストローク及びマスタシリンダ圧に基づいてドライバの要求制動力を検出し、メインECU112に対してこの要求制動力を出力する。メインECU112はモータECU111にこの要求制動力を出力し、モータECU111は回生ブレーキを制御すると共に、その実行値、つまり、実行した回生制動力をメインECU112に出力する。メインECU112は要求制動力から回生制動力を減算して要求油圧制動力を設定し、ブレーキECU116は、この要求油圧制動力に基づいて油圧制御装置115を制御する。
また、油圧ブレーキ装置114の増圧モードにおけるブレーキアシスト作動モードでは、マスタカット弁19及び電磁式保持弁28が開弁状態で、電磁式減圧弁38が閉弁状態のまま、ブレーキECU116は、ポンプモータ50により油圧ポンプ51を駆動制御し、補助リザーバ36の作動油を加圧することで、マスタシリンダ13で発生したマスタシリンダ圧に加えて油圧ポンプ51による加圧圧力が、ポンプ通路48、連結通路21、マストカット弁19、油圧供給通路16、補助リザーバ36を循環し、電磁式保持弁28及び分岐通路23を経由してホイールシリンダ27FLへ作用することとなり、このホイールシリンダ27FLの油圧が増圧し、制動力が更に強められる。
このように構成された本実施例の車両用制動制御装置にて、ブレーキペダル11はブレーキブースタ12に連結され、このブレーキブースタ12はマスタシリンダ13が連結されている。このブレーキブースタ12は、上述したように、ドライバによるブレーキペダル11の踏み込み操作に対して所定の倍力比を有するアシスト力を発生するものであり、ダイアフラムにより仕切られた負圧室が負圧管61を介してエンジンの吸気マニホールド225に連結されている。従って、ドライバがブレーキペダル11を踏むと、正圧室の連通孔が開いてダイアフラムが負圧室側に移動することで操作力が倍力され、この倍力された操作力によりマスタシリンダ13内の作動油を加圧し、所定の制動油圧(マスタシリンダ圧)を確保することができる。
ところで、ブレーキブースタ12の負圧室に供給される負圧は、エンジン101の吸気マニホールド225から供給されるため、その負圧量はエンジン101の運転状態に応じて変化する。また、このブレーキブースタ12の負圧室の負圧は、ブレーキペダル11の操作時に使用されることから、ブレーキの操作状態に応じて変化する。そのため、ブレーキブースタ12を適正に作動させるには、エンジン101の運転状態やブレーキペダル11の操作状態に応じて変化する負圧室内の負圧量を所定量以上に維持する必要がある。また、車両が降雨時や降雪時に路面を走行するとき、路面摩擦係数が低く、車輪のスリップ率が高いことから、ドライバは、頻繁にブレーキ操作を行うと共に細かなブレーキ操作を行う。そのため、このような車両の走行時には、ブレーキブースタ12の負圧室に高い負圧を確保する必要がある。
そこで、本実施例の車両用制動制御装置では、エンジン101の吸気負圧を調整可能な負圧調整手段としてエンジン101及び発電機103を適用し、走行路面に対する車輪のスリップ率を算出すると共に路面摩擦係数を推定する路面状態推定手段としてブレーキECU116を適用し、負圧制御手段としてのブレーキECU116は、求めた車輪のスリップ率が予め設定された判定値より高いとき、または、路面摩擦係数が予め設定された判定値より低いときに、エンジン101や発電機103によりエンジン101の吸気負圧を高く調整するようにしている。
この場合、ハイブリッド車両の速度を検出する車速センサ71と、各駆動輪105の車輪速度を検出する車輪速度センサ72を設け、車速センサ71が検出した車速と車輪速度センサ72が検出した車輪速との偏差に基づいてスリップ率を算出する。また、ハイブリッド車両の車両重量と制動力または駆動力に基づいて路面摩擦係数(路面μ)を算出する。
また、本実施例の車両用制動制御装置では、ブレーキブースタ12に供給される負圧を検出する負圧センサ62を設け、ブレーキECU116は、負圧センサ62が検出する負圧が予め設定された判定値より低いときに、エンジン101や発電機103によりエンジン101の吸気負圧を高く調整するようにしている。
また、本実施例の車両用制動制御装置では、大気圧を検出する大気圧センサ(大気圧検出手段)73を設け、ブレーキECU116は、大気圧センサ73が検出する大気圧と、負圧センサ62が検出する負圧との差圧が予め設定された判定値より小さいときに、エンジン101や発電機103によりエンジン101の吸気負圧を高く調整するようにしている。
また、本実施例の車両用制動制御装置では、外気温度を検出する外気温度センサ(外気温度検出手段)74を設け、外気温度センサ74が検出した外気温度が予め設定された判定値より低いときに、ブレーキECU116は、エンジン101や発電機103によりエンジン101の吸気負圧を高く調整するようにしている。
また、本実施例の車両用制動制御装置では、ブレーキECU116は、ブレーキブースタ12の負圧室に作用する基本負圧量と、車両速度と、ブレーキペダル11の操作頻度(ストロークセンサ14が検出したペダルストローク)に応じて目標負圧量を設定し、エンジン101や発電機103によりエンジン101の吸気負圧を高く調整するようにしている。
以下、本実施例の車両用制動制御装置におけるブレーキブースタ12の負圧処理制御について、図4のフローチャートに基づいて説明する。
本実施例の車両用制動制御装置におけるブレーキブースタ12の負圧処理制御において、図4に示すように、ステップS11にて、ブレーキECU116は、負圧センサ62が検出したブースタ負圧を読み込む。そして、ステップS12にて、ブレーキECU116は、負圧センサ62が検出したブースタ負圧が予め設定された判定値より低いかどうかを判定する。ここで、負圧センサ62が検出したブースタ負圧が判定値より低くないと判定されたら、何もしないでこのルーチンを抜ける。
一方、ステップS12にて、ブレーキECU116は、負圧センサ62が検出したブースタ負圧が判定値より低いと判定したら、ステップS13にて、外気温度センサ74が検出した外気温度を読込み、ステップS14にて、スリップ率及び路面摩擦係数(路面μ)を算出する。この場合、車速センサ71が検出したハイブリッド車両の実車速と、車輪速度センサ72が検出した車輪速により推定した推定車速との偏差に基づいてスリップ率を算出する。また、ハイブリッド車両の一つの駆動輪105に作用する制動力または駆動力を、ハイブリッド車両の車両重量から一つの駆動輪105が路面に作用する荷重で除算することで、路面摩擦係数(路面μ)を算出する。なお、ハイブリッド車両の車両重量は、固定値であり、ハイブリッド車両の制動力と駆動力は、メインECU112がブレーキペダル11のストロークやアクセルペダル121のアクセル開度から算出することができる。
ステップS15では、ブレーキECU116は、外気温度センサ74が検出した外気温度が予め設定された判定値(例えば、0℃)より低いかどうかを判定する。ここで、外気温度が判定値より低いと判定されたら、ステップS16では、ブレーキECU116は、車輪のスリップ率が予め設定された判定値より高いかどうかを判定する。ここで、スリップ率が判定値より高いと判定されたら、ステップS17では、路面摩擦係数が予め設定された判定値より低いかどうかを判定する。ここで、路面摩擦係数が判定値より低いと判定されたら、ステップS18にて、スリップ路面用負圧処理を実行する。一方、ステップS15で、外気温度が判定値より低くないと判定されたり、ステップS16で、スリップ率が判定値より高くないと判定されたり、ステップS17で、路面摩擦係数が判定値より低くないと判定されたら、ステップS23にて、通常路面用負圧処理を実行する。
即ち、ステップS18のスリップ路面用負圧処理では、ブレーキブースタ12の負圧室に作用する予め設定された基本負圧量と、車両速度に応じて設定される負圧増加率αと、ブレーキペダル11の操作頻度及びペダルストロークに応じて設定される負圧増加率βとから目標負圧量を設定する。この場合、図5に示すように、ハイブリッド車両の車速に応じて負圧の増加率αが上昇する増加率マップが設定されている。また、図6に示すように、ブレーキペダル11のストローク頻度及びペダルストロークに応じて負圧増加率βが上昇する増加率マップが設定されている。従って、各増加率マップから求めた増加率α,βを用いて下記数式により目標負圧量を算出する。
目標負圧量=基本負圧量×(1+αβ)
なお、この基本負圧量とは、車両の通常走行でブレーキブースタ12が必要とする予め設定された負圧量であり、ステップS23の通常路面用負圧処理では、ブレーキブースタ12の負圧室に作用する負圧量がこの基本負圧量となるように、エンジン101や発電機103を駆動制御する。
ステップS19では、ブレーキECU116は、大気圧センサ73が検出した大気圧から過給圧センサ247が検出した過給圧を減算した大気圧差圧値と、負圧センサ62が検出する負圧から過給圧センサ247が検出した過給圧を減算した負圧差圧値との差圧が予め設定された判定値より小さいかどうかを判定する。ここで、両者の差圧が判定値より小さいと判定されると、ステップS20にて、負圧増加処理、即ち、エンジン101や発電機103によりエンジン101の吸気負圧を高く調整する。具体的には、エンジン101のスロットル開度を大きくしたり、発電機103により動力分割機構104を介してエンジンのクランクシャフト206を回転することで、ブレーキブースタ12の負圧室の負圧を目標負圧量まで上昇させる。一方、ステップS19で、差圧が判定値より小さくないと判定されたら、何もしないでこのルーチンを抜ける。
そして、ステップS21にて、ブレーキECU116は、負圧センサ62が検出したブースタ負圧が目標負圧(目標負圧量)より高くなったかを判定する。ここで、ブースタ負圧が目標負圧より高くなっていないと判定されたら、ステップS20に戻って処理を繰り返す。一方、ブースタ負圧が目標負圧より高くなったと判定されたら、ステップS22にて、負圧増加処理を終了する。
このように本実施例の車両用制動制御装置にあっては、エンジン101の吸気負圧を利用してブレーキペダル11の操作により発生した操作力を高めて伝達するブレーキブースタ12と、ブレーキブースタ12により高められた操作力で発生したマスタシリンダ圧力を制動力として出力するマスタシリンダ13とを設け、ブレーキECU116は、車輪のスリップ率が予め設定された判定値より高いとき、または、路面摩擦係数が予め設定された判定値より低いときに、エンジン101または発電機103によりエンジン101を駆動して吸気負圧を高く調整するようにしている。
従って、車輪のスリップ率が判定値より高かったり、路面摩擦係数が判定値より低いときに、ドライバは、頻繁にブレーキペダル操作を行うと共に、細かなブレーキペダル操作を行うことから、ブレーキブースタ12の負圧室に高い負圧を確保する必要があり、このとき、エンジン101の吸気負圧を高く調整するため、ハイブリッド車両の走行状態や制動操作状態に拘らず、ブレーキブースタ12の十分なブースタ負圧を確保することができ、その結果、高精度な制動力制御を可能とすることができる。
また、本実施例の車両用制動制御装置では、ブレーキブースタ12に供給される負圧を検出する負圧センサ62を設け、ブレーキECU116は、負圧センサ62が検出する負圧が予め設定された判定値より低いときに、エンジン101または発電機103によりエンジン101を駆動して吸気負圧を高く調整するようにしている。従って、常時、ブレーキブースタ12の十分なブースタ負圧を確保することができる。
また、本実施例の車両用制動制御装置では、大気圧を検出する大気圧センサ73と、ブレーキブースタに供給される負圧を検出する負圧センサ62を設け、ブレーキECU116は、この大気圧とブースタ負圧との差圧が予め設定された判定値より大きいときに、エンジン101または発電機103によりエンジン101を駆動して吸気負圧を高く調整するようにしている。従って、ハイブリッド車両が走行する環境に応じてブレーキブースタ12の適正なブースタ負圧を確保することができる。
また、本実施例の車両用制動制御装置では、外気温度を検出する外気温度センサ74を設け、この外気温度が予め設定された判定値より低いときに、エンジン101または発電機103によりエンジン101を駆動して吸気負圧を高く調整するようにしている。従って、外気温度に応じてハイブリッド車両が走行する路面の凍結状態を推定し、この路面凍結状態に応じてブレーキブースタ12の適正なブースタ負圧を確保することができる。
また、本実施例の車両用制動制御装置では、ブレーキECU116は、基本負圧量と車両速度とブレーキペダル11の操作頻度に応じて目標負圧量を設定し、エンジン101または発電機103によりエンジン101を駆動して吸気負圧を高く調整するようにしている。従って、車両速度が高かったり、車輪のスリップ率が高くまたは路面摩擦係数が低くてブレーキペダル11の操作頻度が多いときには、ブレーキブースタ12の負圧室に高い負圧を確保する必要があり、このときの負圧の増加量を適正に調整することができる。
また、本実施例の車両用制動制御装置では、ブレーキペダル11に対する制動操作とは無関係にマスタシリンダ13から吸込んだ作動油を加圧することで発生した加圧圧力を制動力として出力可能な油圧ポンプ51,52を設け、電気モータ102を車両の走行状態に応じて車輪の運動エネルギを電気エネルギに転換して回収することで制動力を出力可能なモータジェネレータとし、メインECU112は、ドライバの要求制動力に応じて油圧ポンプ51,52による加圧制動力と電気モータ102による回生制動力を制御するようにしている。従って、高精度な制動力制御を可能とすることができる。