JP4792108B2 - 情報記録再生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高記録密度の情報記録再生装置に関する。
近年、小型携帯機器が世界的に普及し、同時に、高速情報伝送網の大幅な進展に伴い、小型大容量不揮発性メモリの需要が急速に拡大してきている。その中でも、NAND型フラッシュメモリ及び小型HDD(hard disk drive)は、特に、急速な記録密度の進化を遂げ、大きな市場を形成するに至っている。
このような状況の下、記録密度の限界を大幅に超えることを目指した新規メモリのアイデアがいくつか提案されている。
例えば、PRAM(相変化メモリ)は、記録材料として、アモルファス状態(オン)と結晶状態(オフ)の2つの状態をとることができる材料を使用し、この2つの状態を2値データ“0”,“1”に対応させてデータを記録する、という原理を採用する。
書き込み/消去に関しては、例えば、大電力パルスを記録材料に印加することによりアモルファス状態を作り、小電力パルスを記録材料に印加することにより結晶状態を作る。
読み出しに関しては、記録材料に、書き込み/消去が起こらない程度の小さな読み出し電流を流し、記録材料の電気抵抗を測定することにより行う。アモルファス状態の記録材料の抵抗値は、結晶状態の記録材料の抵抗値よりも大きく、その比は、103程度である。
PRAMの最大の特長は、素子サイズを10nm程度にまで縮小しても動作できるという点にあり、この場合には、約10Tbpsi (terra bit per square inch)の記録密度を実現できるため、高記録密度化への候補の一つとされる(例えば、T. Gotoh, K. Sugawara and K. Tanaka, Jpn. J. Appl. Phys., 43, 6B, 2004, L818を参照)。
また、PRAMとは異なるが、これと非常に似た動作原理を有する新規メモリが報告されている(例えば、A.Sawa, T.Fuji, M. Kawasaki and Y. Tokura, Appl. Phys. Lett., 85, 18, 4073 (2004)を参照)。
この報告によれば、データを記録する記録材料の代表例は、酸化ニッケルであり、PRAMと同様に、書き込み/消去には、大電力パルスと小電力パルスとを使用する。この場合、PRAMに比べて、書き込み/消去時の消費電力が小さくなる、という利点が報告されている。
現在までのところ、この新規メモリの動作メカニズムについては解明されていないが、再現性については確認されており、高記録密度化への候補の他の一つとされる。また、動作メカニズムについても、いくつかのグループが解明を試みている。
これらの他、MEMS(micro electro mechanical systems)技術を使ったMEMSメモリが提案されている(例えば、P. Vettiger, G. Cross, M. Despont, U. Drechsler, U. Durig, B. Gotsmann, W. Haberle, M. A. Lants, H. E. Rothuizen, R. Stutz and G. K. Binnig, IEEE Trans. Nanotechnology 1, 39(2002)を参照)。
特に、ミリピード(Millipede)と呼ばれるMEMSメモリは、アレイ状の複数のカンチレバーと有機物質が塗布された記録媒体とが対向する構造を有し、カンチレバーの先端のプローブは、記録媒体に適度な圧力で接触している。
書き込みに関しては、選択的に、プローブに付加されるヒータの温度を制御することにより行う。即ち、ヒータの温度を上げると、記録媒体が軟化し、プローブが記録媒体にめり込んで、記録媒体に窪みを形成する。
読み出しに関しては、記録媒体が軟化しない程度の電流をプローブに流しながら、記録媒体の表面に対し、このプローブをスキャンさせることにより行う。プローブが記録媒体の窪みに落ち込むとプローブの温度が低下し、ヒータの抵抗値が上昇するため、この抵抗値の変化を読み取ることによりデータをセンスできる。
ミリピードのようなMEMSメモリの最大の特長は、ビットデータを記録する各記録部に配線を設ける必要がないため、記録密度を飛躍的に向上できる点にある。現状で、既に、1Tbpsi程度の記録密度を達成している(例えば、P. Vettiger, T. Albrecht, M. Despont, U. Drechsler, U. Durig, B. Gotsmann, D. Jubin, W. Haberle, M. A. Lants, H. E. Rothuizen, R. Stutz, D. Wiesmann and G. K. Binnig, P. Bachtold, G. Cherubini, C. Hagleitner, T. Loeliger, A. Pantazi, H. Pozidis and E. Eleftheriou, in Technical Digest, IEDM03 pp.763-766を参照)。
また、ミリピードの発表を受けて、最近、MEMS技術と新たな記録原理とを組み合わせ、消費電力、記録密度や、動作速度などに関して大きな改善を達成しようという試みがなされている。
例えば、記録媒体に強誘電体層を設け、記録媒体に電圧を印加することにより強誘電体層に誘電分極を引き起こしてデータの記録を行う方式が提案されている。この方式によれば、ビットデータを記録する記録部同士の間隔(記録最小単位)を結晶の単位胞レベルにまで近づけることができる、との理論的予測がある。
仮に、記録最小単位が強誘電体層の結晶の1単位胞になると、記録密度は、約4Pbpsi(peta bit per square inch)という巨大な値になる。
最近では、SNDM(走査型非線形誘電率顕微鏡)を用いた読み出し方式の提案により、この新規メモリは、実用化に向けてかなり進展してきている(例えば、A. Onoue, S. Hashimoto, Y. Chu, Mat. Sci. Eng. B120, 130(2005)を参照)。
本発明は、高記録密度及び低消費電力の不揮発性の情報記録再生装置を提案する。
本発明の例に係わる情報記録再生装置は、電極層及び記録層からなる積層構造と、電極層に付加されるバッファ層と、記録層に電圧を印加して記録層に相変化を発生させて情報を記録する手段とを備える。記録層は、少なくとも2種類の陽イオンを有する複合化合物から構成され、陽イオンの少なくとも1種類は、電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素である。
また、記録層は、CuxAyXz (0.1≦x≦1.1、0.9≦y≦1.1、1.8≦z≦2.2)で表される材料から構成され、かつ、デラフォサイト構造を有する第1化合物を含む。但し、Aは、Al, Ga, Sc, In, Y, La, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu, Ti, Ge, Sn, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Ru, Rh, Pd のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。また、Xは、O, F, N, Sのグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
さらに、バッファ層は、少なくともM3N4, M3N5, MN2,或いはM4O7,MO2,M2O5で表される材料から構成される。但し、Mは、Si,Ge,Sn,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Ce,Tbから選ばれる少なくとも1種類の元素である。
本発明によれば、高記録密度及び低消費電力の不揮発性の情報記録再生装置を実現できる。
図1は、記録原理を示す図である。 図2は、記録原理を示す図である。 図3は、記録原理を示す図である。 図4は、本発明の例に係わるプローブメモリを示す図である。 図5は、記録媒体の区分けについて示す図である。 図6は、記録時の様子を示す図である。 図7は、記録動作を示す図である。 図8は、再生動作を示す図である。 図9は、記録動作を示す図である。 図10は、再生動作を示す図である。 図11は、本発明の例に係る半導体メモリを示す図である。 図12は、メモリセルアレイの構造を示す図である。 図13は、メモリセルの構造を示す図である。 図14は、メモリセルアレイの構造を示す図である。 図15は、メモリセルアレイの構造を示す図である。 図16は、フラッシュメモリへの適用例を示す図である。 図17は、NANDセルユニットを示す回路図である。 図18は、NANDセルユニットの構造を示す図である。 図19は、NANDセルユニットの構造を示す図である。 図20は、NANDセルユニットの構造を示す図である。 図21は、NORセルを示す回路図である。 図22は、NORセルの構造を示す図である。 図23は、2トラセルユニットを示す回路図である。 図24は、2トラセルユニットの構造を示す図である。 図25は、2トラセルユニットの構造を示す図である。 図26は、記録原理を示す図である。 図27は、デラフォサイト構造を示す図である。 図28は、メモリセルアレイ構造の例を示す図である。 図29は、メモリセルアレイ構造の例を示す図である。 図30は、記録層の変形例を示す図である。 図31は、記録層の変形例を示す図である。
1. 概要
本発明の例に係わる情報記録再生装置は、記録部が、電極層及び記録層の積層構造と、記録層に付加されるバッファ層とを有する。記録層は、少なくとも2種類の陽イオンを有する複合化合物から構成され、陽イオンの少なくとも1種類は、電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素である。
記録層は、CuxAyXz (0.1≦x≦1.1、0.9≦y≦1.1、1.8≦z≦2.2)で表される材料から構成される。但し、Aは、Al, Ga, Sc, In, Y, La, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu, Ti, Ge, Sn, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Ru, Rh, Pd のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。Aは、V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni のグループから選択される少なくとも1種類の元素とするのがより好ましい。これらの元素を使用すると、結晶内の電子状態をコントロールし易くなるためである。
Xは、O,F,N,Sのグループから選択される少なくとも1種類の元素である。モル比x, y, zは、それぞれ、0.5≦x≦1.1、0.9≦y≦1、1.8≦z≦2.2を満たすものとする。
尚、上記の材料(CuxAyXz)のモル比x, y, zに関し、数値範囲の下限は、結晶構造を維持するためであり、その上限は、結晶内の電子状態をコントロールするために設定される。
また、記録層に使用する材料は、デラフォサイト構造を有する結晶とする。
以上のような材料を記録層に使用することで、記録密度に関しては、原理的にはPbpsi(Peta bit per square inch)級を実現でき、さらに、低消費電力化も達成できる。
2. 記録/再生の基本原理
本発明の例に係わる情報記録再生装置における情報の記録/再生の基本原理について説明する。
図1は、記録部の構造を示している。
10は、バッファ層、11は、電極層、12は、記録層、13は、電極層(又は保護層)である。記録層12内の小さな白丸は、拡散イオンCuを表し、小さな黒丸は、遷移元素イオンAを表す。また、大きな白丸は、陰イオンXを表す。
記録層12に電圧を印加し、記録層12内に電位勾配を発生させると、拡散イオンの一部が結晶中を移動する。そこで、本発明の例では、記録層12の初期状態を絶縁体(高抵抗状態)とし、情報記録に関しては、電位勾配により記録層12を相変化させ、記録層12に伝導性を持たせる(低抵抗状態)ことにより行う。
ここで、本明細書では、高抵抗状態をリセット状態とし、低抵抗状態をセット状態と定義する。但し、この定義は、以下の説明を簡単にするためのものであり、材料の選択や製造方法によっては、この定義と逆の場合、即ち、低抵抗状態がリセット(初期)状態となり、高抵抗状態がセット状態となる場合もある。つまり、このような場合も、本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。
まず、例えば、電極層13の電位が電極層11の電位よりも相対的に低い状態を作る。電極層11を固定電位(例えば、接地電位)とすれば、電極層13に負の電位を与えればよい。
この時、記録層12内の拡散イオンの一部が電極層(陰極)13側に移動し、記録層(結晶)12内の拡散イオンが陰イオンに対して相対的に減少する。電極層13側に移動した拡散イオンは、電極層13から電子を受け取り、メタルとして析出するため、メタル層14を形成する。
記録層12の内部では、陰イオンが過剰となり、結果的に、記録層12内の遷移元素イオンの価数を上昇させる。つまり、記録層12は、キャリアの注入により電子伝導性を有するようになるため、情報記録(セット動作)が完了する。
情報再生に関しては、電流パルスを記録層12に流し、記録層12の抵抗値を検出することにより容易に行える。但し、電流パルスは、記録層12を構成する材料が相変化を起こさない程度の微小な値であることが必要である。
以上の過程は、一種の電気分解であり、電極層(陽極)11側では、電気化学的酸化により酸化剤が生じ、電極層(陰極)13側では、電気化学的還元により還元剤が生じた、と考えることができる。
このため、情報記録の状態(低抵抗状態)を初期状態(高抵抗状態)に戻すには、例えば、記録層12を大電流パルスによりジュール加熱して、記録層12の酸化還元反応を促進させればよい。即ち、大電流パルスの遮断後の残留熱により記録層12は、絶縁体に戻る(リセット動作)。
但し、この動作原理を実用化するには、室温でリセット動作が生じないこと(十分に長いリテンション時間の確保)と、リセット動作の消費電力が十分に小さいこととを確認しなければならない。
前者に対しては、拡散イオンの配位数を小さく(理想的には2以下に)する、若しくは、価数を2以上にする、又は、陰イオンの価数を上げる(理想的には3以上にする)ことで対応できる。
また、後者に対しては、結晶破壊を引き起こさないために拡散イオンの価数を2以下にする必要があると共に、記録層(結晶)12内を移動する拡散イオンの移動パスを数多く有する材料を見つけ出すことにより対応できる。
そのような記録層12としては、既に述べたような元素及び結晶構造を採用すればよい。特に、デラフォサイト構造は、図27に示すように、Aイオンが2次元平面状に並んだ構造を有している。このため、二次元面内360°の方向にAイオンの移動パスを有すると共に、2配位となっており、上記の条件を満たすのに最適な構造である。また記録層としてCuCoO2は拡散イオンの移動パスがもっともきれいな二次元平面を形成するため最も好ましい。
ところで、図27(a),(b)に示すように、デラフォサイト構造は、2通り存在すると共に、Mイオンは八面体型6配位であるが、本発明では、これに加えて、さらに、Mイオンが三角柱形6配位の場合もデラフォサイト構造に含める。
また上記のいずれのデラフォサイト構造においてもCuのサイトとAのサイトの元素の分離が結晶化のためには必要であるがこのためには以下のような組成式で表される範囲にある必要がある。
CuxAyXz (0.1≦x≦1.1、0.9≦y≦1.1、1.8≦z≦2.2)
またこの式において特にAyXzで表される方は結晶の骨格を形作っている部分でCuがその骨格の中を動くイオンである。従ってyとzは定比両論組成に近い必要があり、xは比較的広い範囲を変えることができる。
ところで、セット動作後の電極層(陽極)11側には酸化剤が生じるため、電極層11には、酸化され難い材料(例えば、電気伝導性窒化物、電気伝導性酸化物など)から構成するのが好ましい。
また、電極層11は、イオン伝導性を有しない材料から構成するのがよい。
そのような材料としては、以下に示されるものがあり、その中でも、電気伝導率の良さなどを加味した総合的性能の点から、LaNiO3は、最も好ましい材料ということができる。
・ MN
Mは、Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。Nは、窒素である。
・ MOx
Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zr, Nb, Mo, Ru, Rh, Pd, Ag, Hf, Ta, W, Re, Ir, Os, Pt のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。モル比xは、1≦x≦4を満たすものとする。
・ AMO3
Aは、La, K, Ca, Sr, Ba, Ln(Lanthanide) のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。
Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zr, Nb, Mo, Ru, Rh, Pd, Ag, Hf, Ta, W, Re, Ir, Os, Pt のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。
Oは、酸素である。
・ B2MO4
Bは、K, Ca, Sr, Ba, Ln(Lanthanide) のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。
Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zr, Nb, Mo, Ru, Rh, Pd, Ag, Hf, Ta, W, Re, Ir, Os, Pt のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。
Oは、酸素である。
また、セット動作後の電極層(陰極)13側には還元剤が生じるため、電極層13としては、記録層12が大気と反応することを防止する機能を持っていることが好ましい。
そのような材料としては、例えば、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、SnO2などの半導体がある。
電極層13は、記録層12を保護する保護層として機能させてもよいし、電極層13の代わりに保護層を設けてもよい。この場合、保護層は、絶縁体でもよいし、導電体でもよい。また、リセット動作において記録層12の加熱を効率よく行うために、陰極側、ここでは、電極層13側に、ヒータ層(抵抗率が約10-5Ωcm以上の材料)を設けることが好ましい。
さらに、本発明の記録材料のイオン移動パスの方向を膜面に対してなるべく垂直にそろえたい。そのためには、記録層12は、デラフォサイト構造のC軸に対して垂直な軸に配向することが必要である。
そこで、本発明では、電極層11に、配向を制御するためのバッファ層10を付加する。
バッファ層(下地層)10としては、少なくともM3N4, M3N5, MN2、或いは、M4O7, MO2, M2O5で表される材料(但し、Mは、Si,Ge,Sn,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Ce,Tbから選ばれる少なくとも1種類の元素)から構成する。
また、結晶構造内部と結晶粒の周縁部では、イオンの移動しやすさが異なるので、結晶構造内での拡散イオンの移動を利用し、異なる位置での記録消去特性を均一にするためには、記録層は多結晶状態、あるいは単結晶状態からなることが好ましい。記録層が多結晶状態にあるときには、製膜のしやすさを考慮すると、結晶粒の記録膜断面方向のサイズは単一のピークをもつ分布に従い、その平均は3nm以上であることが好ましい。結晶粒サイズの平均が5nm以上であると、製膜がより容易であるためさらに好ましく、10nm以上であると異なる位置での記録消去特性をさらに均一化させることができるので、より好ましい。
また、図2に示すように、記録層(第1化合物)12A上に第2化合物12Bを積層してもよい。第1及び第2化合物12A,12Bからなる記録層12は、図3に示すように、さらに、複数に積み重ねてもよい。
第2化合物12Bは、空隙サイトαを持つ点に特長を有する。空隙サイトαを□で表すとすると、第2化合物12Bは、以下のような式で表される。
・ 化学式:□MZ
但し、□は、前記Xが収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Zは、O, S, Se, N, Cl, Br, Iから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、0.3≦x≦1である。
・ 化学式:□MZ
但し、□は、前記Xが収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Zは、O, S, Se, N, Cl, Br, Iから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、1≦x≦2である。
・ 化学式:□MZ
但し、□は、Xが収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Zは、O, S, Se, N, Cl, Br, Iから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、1≦x≦2である。
・ 化学式:□MPO
但し、□は、Xが収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Pは、リン元素であり、Oは、酸素元素であり、0.3≦x≦3、4≦z≦6である。
これらは、第1化合物12Aから排出されるイオンを格納する機能を有し、イオンの移動をより円滑化し、可逆性の向上を実現する。
第2化合物12Bは、ホランダイト構造、ラムスデライト構造、アナターゼ構造、ブルッカイト構造、パイロルース構造、ReO3構造、MoO1.5PO4構造、TiO0.5PO4構造及びFePO4構造、βMnO2構造、γMnO2構造、λMnO2構造、イルメナイト構造のうちの1つを有しているのが好ましい。 またこの中でもデラフォサイト構造と同様の二次元的なイオンの移動面を持ち、かつその面内にイオンの収容サイトを有しているイルメナイト構造がもっとも好ましい。
尚、記録層12は、その結晶のC軸が、膜面に対して水平方向或いは水平方向から45°以内の範囲に配向しているのが好ましい。
ところで、図1では、十分に大きな結晶が得られている場合について説明したが、図26に示すように、結晶が膜厚方向に分断されていても、本発明で説明したメカニズムでAイオンの移動とそれに伴う抵抗変化を発生させることが可能である。
つまり、電極層11を接地した状態で電極層13に負の電圧を加えると、記録層12内に電位勾配が生じ、拡散イオンCuは輸送される。拡散イオンCuが結晶界面まで移動すると、電極層13に近い領域から徐々に電子を受け取り、メタル的に振舞う。その結果、結晶界面近傍にメタル層14が形成される。
また、記録層12内部では、遷移元素イオンAの価数が上昇するため、その導電性が上昇する。このような場合、結晶界面に沿ったメタル層14の導電パスが形成されるので、電極層11と電極層13の間の抵抗は減少し、記録素子としては低抵抗状態になる。
この場合にも、大電流パルスによるジュール加熱や、逆向きの電圧パルスを印加することなどによって、結晶界面の拡散イオンCuを元の結晶構造内に引き戻すことにより、高抵抗状態に戻すことが可能である。
しかしながら、拡散イオンCuの移動を効率的に行うためには、図1に示すように、拡散イオンCuが拡散する方向と電場が加えられている方向とが一致していることが好ましい。
3. 実施の形態
次に、最良と思われるいくつかの実施の形態について説明する。
以下では、本発明の例を、プローブメモリに適用した場合と半導体メモリに適用した場合の2つについて説明する。
(1) プローブメモリ
A. 構造
図4及び図5は、本発明の例に係わるプローブメモリを示している。
半導体基板20上には、電極層11が配置され、電極層11上には、データエリアとサーボエリアとを有する記録層12が配置される。記録層12は、例えば、図1のような構造を有する記録媒体(記録部)から構成される。記録媒体は、半導体基板20の中央部にベタに形成される。
サーボエリアは、半導体基板20の縁に沿って配置される。データエリア及びサーボエリアは、複数のブロックから構成される。データエリア上及びサーボエリア上には、複数のブロックに対応して複数のプローブ23が配置される。複数のプローブ23の各々は、先鋭化された形状を有する。
複数のプローブ23は、プローブアレイを構成し、半導体基板24の一面側に形成される。複数のプローブ23は、MEMS技術を利用することにより、半導体基板24の一面側に容易に形成できる。
データエリア上のプローブ23の位置は、サーボエリアから読み出されるサーボバースト信号により制御される。具体的には、ドライバ15により、半導体基板20をX方向に往復運動させ、複数のプローブ23のY方向の位置制御を行うことにより、アクセス動作を実行する。
なお、ブロックごとに記録媒体を独立に形成し、記録媒体がハードディスクのように円形で回転するような構造とし、複数のプローブ23の各々を、記録媒体の半径方向、例えば、X方向に移動させるようにしてもよい。
複数のプローブ23は、それぞれ、記録/消去ヘッドとしての機能及び再生ヘッドとしての機能を有する。マルチプレクスドライバ25,26は、記録、再生及び消去時に、複数のプローブ23に対して所定の電圧を供給する。
B. 記録/再生動作
図4及び図5のプローブメモリの記録/再生動作について説明する。
図6は、記録動作(セット動作)について示している。
記録媒体は、半導体チップ20上の電極層11、記録層12及び保護層21からなるものとする。保護層21は、抵抗体から構成される。保護層21の抵抗値は、記録単位27の最小抵抗値よりも大きく、最大抵抗値よりも小さいのが好ましい。
情報記録は、プローブ23の先端を保護層21の表面に接触させて、記録層(記録媒体)12の記録単位27に電圧を印加し、記録層12の記録単位27内に電位勾配を発生させることにより行う。本例では、プローブ23の電位が電極層11の電位よりも相対的に低い状態を作る。電極層11を固定電位(例えば、接地電位)とすれば、プローブ23に負の電位を与えればよい。
電圧パルスは、例えば、電子発生源又はホットエレクトロン源を使用し、プローブ23から電極層11に向かって電子を放出することにより発生させても印加することができる。
この時、例えば、図7に示すように、記録層12の記録単位27では、拡散イオンの一部がプローブ(陰極)23側に移動し、結晶内の拡散イオンが陰イオンに対して相対的に減少する。また、プローブ23側に移動した拡散イオンは、プローブ23から電子を受け取ってメタルとして析出する。
記録層12の記録単位27では、陰イオンが過剰となり、結果的に、記録層12内に残された遷移元素イオンの価数を上昇させる。つまり、記録層12の記録単位27は、相変化によるキャリアの注入により電子伝導性を有するようになるため、情報記録(セット動作)が完了する。
尚、情報記録のための電圧パルスは、プローブ23の電位が電極層11の電位よりも相対的に高い状態を作ることにより発生させることもできる。
本例のプローブメモリによれば、ハードディスクと同様に、記録媒体の記録単位27に情報記録を行うことができると共に、新規な記録材料を採用することにより、従来のハードディスクや半導体メモリよりも高記録密度が実現できる。
図8は、再生動作について示している。
再生動作に関しては、電圧パルスを記録層12の記録単位27に流し、記録層12の記録単位27の抵抗値を検出することにより行う。但し、電圧パルスは、記録層12の記録単位27を構成する材料が相変化を起こさない程度の微小な値とする。
例えば、センスアンプS/Aにより発生した読み出し電流をプローブ23から記録層(記録媒体)12の記録単位27に流し、センスアンプS/Aにより記録単位27の抵抗値を測定する。既に説明した新材料を採用すると、高抵抗状態と低抵抗状態との抵抗の比は、103以上を確保できる。
尚、再生動作では、記録媒体上をプローブ23により走査(スキャン)することで、連続再生が可能となる。
消去(リセット)動作に関しては、記録層12の記録単位27を大電流パルスによりジュール加熱して、記録層12の記録単位27における酸化還元反応を促進させることにより行う。或いは、セット時とは逆向きの電圧パルスを記録層12に印加することによっても行うことができる。
消去動作は、記録単位27ごとに行うこともできるし、複数の記録単位27又はブロック単位で行うこともできる。
尚、図9は、図2の構造に対する記録動作を示し、図10は、図2の構造に対する再生動作を示している。
C. まとめ
このようなプローブメモリによれば、現在のハードディスクやフラッシュメモリよりも高記録密度及び低消費電力を実現できる。
(2) 半導体メモリ
A. 構造
図11は、本発明の例に係わるクロスポイント型半導体メモリを示している。
ワード線WLi−1,WLi,WLi+1は、X方向に延び、ビット線BLj−1,BLj,BLj+1は、Y方向に延びる。
ワード線WLi−1,WLi,WLi+1の一端は、選択スイッチとしてのMOSトランジスタRSWを経由してワード線ドライバ&デコーダ31に接続され、ビット線BLj−1,BLj,BLj+1の一端は、選択スイッチとしてのMOSトランジスタCSWを経由してビット線ドライバ&デコーダ&読み出し回路32に接続される。
MOSトランジスタRSWのゲートには、1本のワード線(ロウ)を選択するための選択信号Ri−1,Ri,Ri+1が入力され、MOSトランジスタCSWのゲートには、1本のビット線(カラム)を選択するための選択信号Ci−1,Ci,Ci+1が入力される。
メモリセル33は、ワード線WLi−1,WLi,WLi+1とビット線BLj−1,BLj,BLj+1との交差部に配置される。いわゆるクロスポイント型セルアレイ構造である。
メモリセル33には、記録/再生時における回り込み電流(sneak current)を防止するためのダイオード34が付加される。
図12は、図11の半導体メモリのメモリセルアレイ部の構造を示している。
半導体チップ30上には、ワード線WLi−1,WLi,WLi+1とビット線BLj−1,BLj,BLj+1が配置され、これら配線の交差部にメモリセル33及びダイオード34が配置される。
このようなクロスポイント型セルアレイ構造の特長は、メモリセル33に個別にMOSトランジスタを接続する必要がないため、高集積化に有利な点にある。例えば、図14及び図15に示すように、メモリセル33を積み重ねて、メモリセルアレイを3次元構造にすることも可能である。
メモリセル33は、例えば、図13に示すように、記録層12、保護層22及びヒータ層35のスタック構造から構成される。1つのメモリセル33により1ビットデータを記憶する。また、ダイオード34は、ワード線WLiとメモリセル33との間に配置される。
B. 記録/再生動作
図11乃至図13を用いて記録/再生動作を説明する。
ここでは、点線Aで囲んだメモリセル33を選択し、これについて記録/再生動作を実行するものとする。
情報記録(セット動作)は、選択されたメモリセル33に電圧を印加し、そのメモリセル33内に電位勾配を発生させて電流パルスを流せばよいため、例えば、ワード線WLiの電位がビット線BLjの電位よりも相対的に低い状態を作る。ビット線BLjを固定電位(例えば、接地電位)とすれば、ワード線WLiに負の電位を与えればよい。
この時、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33では、拡散イオンの一部がワード線(陰極)WLi側に移動し、結晶内の拡散イオンが陰イオンに対して相対的に減少する。また、ワード線WLi側に移動した拡散イオンは、ワード線WLiから電子を受け取ってメタルとして析出する。
点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33では、陰イオンが過剰となり、結果的に、結晶内における遷移元素イオンの価数を上昇させる。つまり、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33は、相変化によるキャリアの注入により電子伝導性を有するようになるため、情報記録(セット動作)が完了する。
尚、情報記録時には、非選択のワード線WLi−1,WLi+1及び非選択のビット線BLj−1,BLj+1については、全て同電位にバイアスしておくことが好ましい。
また、情報記録前のスタンバイ時には、全てのワード線WLi−1,WLi,WLi+1及び全てのビット線BLj−1,BLj,BLj+1をプリチャージしておくことが好ましい。
また、情報記録のための電流パルスは、ワード線WLiの電位がビット線BLjの電位よりも相対的に高い状態を作ることにより発生させてもよい。
情報再生に関しては、電流パルスを点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33に流し、そのメモリセル33の抵抗値を検出することにより行う。但し、電流パルスは、メモリセル33を構成する材料が相変化を起こさない程度の微小な値とすることが必要である。
例えば、読み出し回路により発生した読み出し電流(電流パルス)をビット線BLjから点線Aで囲まれたメモリセル33に流し、読み出し回路によりそのメモリセル33の抵抗値を測定する。既に説明した新材料を採用すれば、セット/リセット状態の抵抗値の差は、103以上を確保できる。
消去(リセット)動作に関しては、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33を大電流パルスによりジュール加熱して、そのメモリセル33における酸化還元反応を促進させることにより行う。
ここで、ワード線WLiおよびビット線BLjの交差部に形成された記録層22内が、多結晶状態あるいは単結晶状態で存在すると、結晶内で拡散イオンの移動が容易に生じるので好ましい。しかし、このような場合でも、各交差部で結晶粒の大きさが大幅に異なると、各交差部における記録層の特性がばらつく可能性がある。従って、各交差部において、結晶粒の大きさは、ほぼ単一であることが好ましく、その分布は単一のピークを有する分布に従うことが好ましい。ただし、各交差部の境界で切断された結晶粒の大きさは分布を得る際に考慮しないものとする。結晶構造内での拡散イオンの移動を利用するためには、結晶粒のサイズは膜厚と同程度以上であることが好ましく、従って、各交差部あたりに含まれる結晶粒数は10以下であることが好ましい。さらに、結晶粒数は4以下であることがより好ましい。
第2化合物を積層していないときには、記録層には、第1化合物の結晶部と上下してわずかなアモルファス部があってもよいことを、図30及び図31を用いて説明する。図1を用いて説明したとおり、Aイオンは移動パスを経由して拡散した後、記録層内部にA金属として析出する。このとき、Aイオンが第1化合物の結晶粒の端部まで拡散し、アモルファス状態にある第1化合物との境界部に析出すると、Aイオンが占める空隙があるという点で、好ましい。しかるに、アモルファス状態にある層の膜厚t1が厚くなりすぎると、記録層全体が効率的に抵抗変化しない。記録層の全膜厚t2に対して、t1の好適な範囲について説明する。
一般にアモルファス部の抵抗は第1化合物が絶縁状態にある場合と導体状態にある場合の抵抗の間の値をとる。Aイオンの移動によるアモルファス層の抵抗変化は大きくないので、記録膜の抵抗変化を1桁程度とするためには、アモルファス層の膜厚t1はt2の1/10以下であることが好ましい。
このようなアモルファス層は、第1化合物の上部にあっても下部にあってもよいが、第1化合物を所望の方向に配向するためには、一般に第1化合物と格子定数の一致する下部層を用いて配向制御するため、アモルファス部は第1化合物の上部にあることが好ましい。
また、アモルファス層は、記録層に接した次の層を製膜するときに生じてもよい。このような場合には、アモルファス層の組成は、第1化合物内の組成とは異なり、記録層に接した次の層の材料を一部含むことになり、記録膜材料と次の層との接着性を高める効果を有する。この場合、アモルファス層の膜厚t1は10nm以下となる。より好ましくは、t1は3nm以下であることがより好ましい。
続いて、各交差部の境界に関して考察する。記録層を一様に製膜した後、記録層をワード線と同じ形状に加工する、というプロセスを経ると、記録層の加工面の特性が結晶内部の特性と異なる可能性がある。この影響を回避する方法としては、製膜時に絶縁体となる記録層を用い、一様な記録層を加工することなく用いる方法がある。この場合、図28に示すように、ワード線間を予め絶縁性材料で埋め込んでいる場合には、記録層をワード線上と絶縁性材料上に製膜すればよい。あるいは、記録膜材料がワード線間の絶縁性材料として機能する場合には、図29に示すように記録層をワード線上と基板上に製膜すればよい。記録層を製膜する前に任意の膜を製膜することができ、図28では、記録層を製膜する前に、記録層材料の拡散を抑制するバッファ層を一様に製膜した例を示した。図28および図29では、記録膜が一様な場合を示したが、記録層がビット線、あるいはワード線の方向にのみ加工されている場合、各交差部よりも大きく加工されている場合などは、同様に加工面の影響を無視することができる。
C. まとめ
このような半導体メモリによれば、現在のハードディスクやフラッシュメモリよりも高記録密度及び低消費電力を実現できる。
(3) その他
本実施の形態では、プローブメモリと半導体メモリの2つについて説明したが、本発明の例で提案する材料及び原理を、現在のハードディスクやDVDなどの記録媒体に適用することも可能である。
4. フラッシュメモリへの適用
(1) 構造
本発明の例は、フラッシュメモリに適用することも可能である。
図16は、フラッシュメモリのメモリセルを示している。
フラッシュメモリのメモリセルは、MIS(metal-insulator-semiconductor)トランジスタから構成される。
半導体基板41の表面領域には、拡散層42が形成される。拡散層42の間のチャネル領域上には、ゲート絶縁層43が形成される。ゲート絶縁層43上には、本発明の例に係る記録層(RRAM: Resistive RAM)44が形成される。記録層44上には、コントロールゲート電極45が形成される。
半導体基板41は、ウェル領域でもよく、また、半導体基板41と拡散層42とは、互いに逆の導電型を有する。コントロールゲート電極45は、ワード線となり、例えば、導電性ポリシリコンから構成される。
記録層44は、図1、図2又は図3に示す材料から構成される。
(2) 基本動作
図16を用いて基本動作について説明する。
セット(書き込み)動作は、コントロールゲート電極45に電位V1を与え、半導体基板41に電位V2を与えることにより実行する。
電位V1,V2の差は、記録層44が相変化又は抵抗変化するのに十分な大きさであることが必要であるが、その向きについては、特に、限定されない。
即ち、V1>V2及びV1<V2のいずれでもよい。
例えば、初期状態(リセット状態)において、記録層44が絶縁体(抵抗大)であると仮定すると、実質的にゲート絶縁層43が厚くなったことになるため、メモリセル(MISトランジスタ)の閾値は、高くなる。
この状態から電位V1,V2を与えて記録層44を導電体(抵抗小)に変化させると、実質的にゲート絶縁層43が薄くなったことになるため、メモリセル(MISトランジスタ)の閾値は、低くなる。
尚、電位V2は、半導体基板41に与えたが、これに代えて、メモリセルのチャネル領域に拡散層42から電位V2を転送するようにしてもよい。
リセット(消去)動作は、コントロールゲート電極45に電位V1’を与え、拡散層42の一方に電位V3を与え、拡散層42の他方に電位V4(<V3)を与えることにより実行する。
電位V1’は、セット状態のメモリセルの閾値を越える値にする。
この時、メモリセルは、オンになり、電子が拡散層42の他方から一方に向かって流れると共に、ホットエレクトロンが発生する。このホットエレクトロンは、ゲート絶縁層43を介して記録層44に注入されるため、記録層44の温度が上昇する。
これにより、記録層44は、導電体(抵抗小)から絶縁体(抵抗大)に変化するため、実質的にゲート絶縁層43が厚くなったことになり、メモリセル(MISトランジスタ)の閾値は、高くなる。
このように、フラッシュメモリと類似した原理により、メモリセルの閾値を変えることができるため、フラッシュメモリの技術を利用して、本発明の例に係る情報記録再生装置を実用化できる。
(3) NAND型フラッシュメモリ
図17は、NANDセルユニットの回路図を示している。図18は、本発明の例に係るNANDセルユニットの構造を示している。
P型半導体基板41a内には、N型ウェル領域41b及びP型ウェル領域41cが形成される。P型ウェル領域41c内に、本発明の例に係るNANDセルユニットが形成される。
NANDセルユニットは、直列接続される複数のメモリセルMCからなるNANDストリングと、その両端に1つずつ接続される合計2つのセレクトゲートトランジスタSTとから構成される。
メモリセルMC及びセレクトゲートトランジスタSTは、同じ構造を有する。具体的には、これらは、N型拡散層42と、N型拡散層42の間のチャネル領域上のゲート絶縁層43と、ゲート絶縁層43上の記録層(RRAM)44と、記録層44上のコントロールゲート電極45とから構成される。
メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電体)は、上述の基本動作により変化させることが可能である。これに対し、セレクトゲートトランジスタSTの記録層44は、セット状態、即ち、導電体(抵抗小)に固定される。
セレクトゲートトランジスタSTの1つは、ソース線SLに接続され、他の1つは、ビット線BLに接続される。
セット(書き込み)動作前には、NANDセルユニット内の全てのメモリセルは、リセット状態(抵抗大)になっているものとする。
セット(書き込み)動作は、ソース線SL側のメモリセルMCからビット線BL側のメモリセルに向かって1つずつ順番に行われる。
選択されたワード線(コントロールゲート電極)WLに書き込み電位としてV1(プラス電位)を与え、非選択のワード線WLに転送電位(メモリセルMCがオンになる電位)としてVpassを与える。
ソース線SL側のセレクトゲートトランジスタSTをオフ、ビット線BL側のセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、ビット線BLから選択されたメモリセルMCのチャネル領域にプログラムデータを転送する。
例えば、プログラムデータが“1”のときは、選択されたメモリセルMCのチャネル領域に書き込み禁止電位(例えば、V1と同じ程度の電位)を転送し、選択されたメモリセルMCの記録層44の抵抗値が高い状態から低い状態に変化しないようにする。
また、プログラムデータが“0”のときは、選択されたメモリセルMCのチャネル領域にV2(<V1)を転送し、選択されたメモリセルMCの記録層44の抵抗値を高い状態から低い状態に変化させる。
リセット(消去)動作では、例えば、全てのワード線(コントロールゲート電極)WLにV1’を与え、NANDセルユニット内の全てのメモリセルMCをオンにする。また、2つのセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、ビット線BLにV3を与え、ソース線SLにV4(<V3)を与える。
この時、ホットエレクトロンがNANDセルユニット内の全てのメモリセルMCの記録層44に注入されるため、NANDセルユニット内の全てのメモリセルMCに対して一括してリセット動作が実行される。
読み出し動作は、選択されたワード線(コントロールゲート電極)WLに読み出し電位(プラス電位)を与え、非選択のワード線(コントロールゲート電極)WLには、メモリセルMCがデータ“0”、“1”によらず必ずオンになる電位を与える。
また、2つのセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、NANDストリングに読み出し電流を供給する。
選択されたメモリセルMCは、読み出し電位が印加されると、それに記憶されたデータの値に応じてオン又はオフになるため、例えば、読み出し電流の変化を検出することにより、データを読み出すことができる。
尚、図18の構造では、セレクトゲートトランジスタSTは、メモリセルMCと同じ構造を有しているが、例えば、図19に示すように、セレクトゲートトランジスタSTについては、記録層を形成せずに、通常のMISトランジスタとすることも可能である。
図20は、NAND型フラッシュメモリの変形例である。
この変形例は、NANDストリングを構成する複数のメモリセルMCのゲート絶縁層がP型半導体層47に置き換えられている点に特徴を有する。
高集積化が進み、メモリセルMCが微細化されると、電圧を与えていない状態で、P型半導体層47は、空乏層で満たされることになる。
セット(書き込み)時には、選択されたメモリセルMCのコントロールゲート電極45にプラスの書き込み電位(例えば、3.5V)を与え、かつ、非選択のメモリセルMCのコントロールゲート電極45にプラスの転送電位(例えば、1V)を与える。
この時、NANDストリング内の複数のメモリセルMCのP型ウェル領域41cの表面がP型からN型に反転し、チャネルが形成される。
そこで、上述したように、ビット線BL側のセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、ビット線BLから選択されたメモリセルMCのチャネル領域にプログラムデータ“0”を転送すれば、セット動作を行うことができる。
リセット(消去)は、例えば、全てのコントロールゲート電極45にマイナスの消去電位(例えば、-3.5V)を与え、P型ウェル領域41c及びP型半導体層47に接地電位(0V)を与えれば、NANDストリングを構成する全てのメモリセルMCに対して一括して行うことができる。
読み出し時には、選択されたメモリセルMCのコントロールゲート電極45にプラスの読み出し電位(例えば、0.5V)を与え、かつ、非選択のメモリセルMCのコントロールゲート電極45に、メモリセルMCがデータ“0”、“1”によらず必ずオンになる転送電位(例えば、1V)を与える。
但し、“1”状態のメモリセルMCの閾値電圧Vth”1”は、0V < Vth”1” < 0.5Vの範囲内にあるものとし、“0”状態のメモリセルMCの閾値電圧Vth”0”は、0.5V < Vth”0” < 1Vの範囲内にあるものとする。
また、2つのセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、NANDストリングに読み出し電流を供給する。
このような状態にすれば、選択されたメモリセルMCに記憶されたデータの値に応じてNANDストリングに流れる電流量が変わるため、この変化を検出することにより、データを読み出すことができる。
尚、この変形例においては、P型半導体層47のホールドープ量がP型ウェル領域41cのそれよりも多く、かつ、P型半導体層47のフェルミレベルがP型ウェル領域41cのそれよりも0.5V程度深くなっていることが好ましい。
これは、コントロールゲート電極45にプラスの電位を与えたときに、N型拡散層42間のP型ウェル領域41cの表面部分からP型からN型への反転が開始し、チャネルが形成されるようにするためである。
このようにすることで、例えば、書き込み時には、非選択のメモリセルMCのチャネルは、P型ウェル領域41cとP型半導体層47の界面のみに形成され、読み出し時には、NANDストリング内の複数のメモリセルMCのチャネルは、P型ウェル領域41cとP型半導体層47の界面のみに形成される。
つまり、メモリセルMCの記録層44が導電体(セット状態)であっても、拡散層42とコントロールゲート電極45とが短絡することはない。
(4) NOR型フラッシュメモリ
図21は、NORセルユニットの回路図を示している。図22は、本発明の例に係るNORセルユニットの構造を示している。
P型半導体基板41a内には、N型ウェル領域41b及びP型ウェル領域41cが形成される。P型ウェル領域41c内に、本発明の例に係るNORセルが形成される。
NORセルは、ビット線BLとソース線SLとの間に接続される1つのメモリセル(MISトランジスタ)MCから構成される。
メモリセルMCは、N型拡散層42と、N型拡散層42の間のチャネル領域上のゲート絶縁層43と、ゲート絶縁層43上の記録層(RRAM)44と、記録層44上のコントロールゲート電極45とから構成される。
メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電体)は、上述の基本動作により変化させることが可能である。
(5) 2トラ型フラッシュメモリ
図23は、2トラセルユニットの回路図を示している。図24は、本発明の例に係る2トラセルユニットの構造を示している。
2トラセルユニットは、NANDセルユニットの特徴とNORセルの特徴とを併せ持った新たなセル構造として最近開発されたものである。
P型半導体基板41a内には、N型ウェル領域41b及びP型ウェル領域41cが形成される。P型ウェル領域41c内に、本発明の例に係る2トラセルユニットが形成される。
2トラセルユニットは、直列接続される1つのメモリセルMCと1つのセレクトゲートトランジスタSTとから構成される。
メモリセルMC及びセレクトゲートトランジスタSTは、同じ構造を有する。具体的には、これらは、N型拡散層42と、N型拡散層42の間のチャネル領域上のゲート絶縁層43と、ゲート絶縁層43上の記録層(RRAM)44と、記録層44上のコントロールゲート電極45とから構成される。
メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電体)は、上述の基本動作により変化させることが可能である。これに対し、セレクトゲートトランジスタSTの記録層44は、セット状態、即ち、導電体(抵抗小)に固定される。
セレクトゲートトランジスタSTは、ソース線SLに接続され、メモリセルMCは、ビット線BLに接続される。
メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電体)は、上述の基本動作により変化させることが可能である。
図24の構造では、セレクトゲートトランジスタSTは、メモリセルMCと同じ構造を有しているが、例えば、図25に示すように、セレクトゲートトランジスタSTについては、記録層を形成せずに、通常のMISトランジスタとすることも可能である。
5. 実験例
いくつかのサンプルを作成し、初期(消去)状態と記録(書き込み)状態との抵抗差について評価した実験例を説明する。
サンプルとしては、単純化し、直径約60mm、厚さ約1mmのガラス基板からなるディスク上に本発明の例に係わる記録部を形成したものを採用する。
(1) 第1実験例
第1実験例のサンプルは、以下の通りである。
記録部は、下地層、電極層、記録層及び保護層の積層から構成する。ディスク上に厚さ約50nmで形成されるCeO2下地層を積層後TiN膜を100nm積層し電極層とする。記録層は、CuCoO2とし、保護層は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)とする。
CuCoO2は、例えば、ディスクの温度を500℃から800℃までの範囲内の値に維持し、Ar 95.5%, O2 0.5% の雰囲気中でRFマグネトロンスパッタを行うことにより、ディスク上に厚さ約10nmで形成される。また、ダイヤモンドライクカーボンは、例えば、CVD法により、CuCoO2上に厚さ約3nmで形成される。
サンプルの評価は、タングステン(W)からなり、先端径が10nm以下の先鋭化されたプローブを用いて行う。
プローブの先端を記録部の表面に接触させ、書き込みは、電極層とプローブとの間に10nsec幅で1Vの電圧パルスを印加し、消去は、電極層とプローブとの間に100nsec幅で0.2Vの電圧パルスを印加する。
書き込み/消去後に、それぞれ、電極層とプローブとの間に10nsec幅で0.1Vの電圧パルスを印加して記録層の抵抗値を測定したところ、初期(消去)状態では107Ω台の値であったのに対し、記録(書き込み)状態では103Ω台の値に変化した。
書き込み/消去の抵抗値の比は、約104Ωとなり、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(2) 第2実験例
第2実験例では、記録層をCuAl0.5Co0.5O2とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
書き込み/消去後の抵抗値は、第1実験例と同様に、103Ω台/107Ω台となり、両者の抵抗比は、約104Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(3) 第3実験例
第3実験例では、記録層をCu1.1Co0.9O2とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
書き込み/消去後の抵抗値は、第1実験例と同様に、103Ω台/107Ω台となり、両者の抵抗比は、約104Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(4) 第4実験例
第4実験例では、記録層をCuAlO2とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
書き込み/消去後の抵抗値は、第1実験例と同様に、103Ω台/107Ω台となり、両者の抵抗比は、約104Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(5) 第5実験例
第5実験例では、記録層をCuMoN2とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
書き込み/消去後の抵抗値は、第1実験例と同様に、103Ω台/107Ω台となり、両者の抵抗比は、約104Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(6) 第6実験例
第6実験例では、電極層をLaNiO3とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
書き込み/消去後の抵抗値は、第1実験例と同様に、103Ω台/107Ω台となり、両者の抵抗比は、約104Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(7) 第7実験例
第7実験例では、下地層をSi3N4とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
書き込み/消去後の抵抗値は、第1実験例と同様に、103Ω台/107Ω台となり、両者の抵抗比は、約104Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(8) 第8実験例
第8実験例では、記録層をCu1.1Y0.9O2とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
書き込み/消去後の抵抗値は、第1実験例と同様に、103Ω台/107Ω台となり、両者の抵抗比は、約104Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(9) 第9実験例
第9実験例では、記録層をCuCrO2とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
書き込み/消去後の抵抗値は、第1実験例と同様に、103Ω台/107Ω台となり、両者の抵抗比は、約104Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(10) 第10実験例
第10実験例では、記録層をCuCr0.5Al0.5O2とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
書き込み/消去後の抵抗値は、第1実験例と同様に、103Ω台/107Ω台となり、両者の抵抗比は、約104Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(11) 第11実験例
第11実験例では、CeO2バッファ層(下地層)を約50nmで形成後、TiNからなる電極層を約100nm形成する。また、電極層上にワード線を形成し、ワード線上に縦型ダイオードを形成する。
さらに、縦型ダイオード上に白金層を約10nmで形成し、白金層上に記録層としてのCuCoO2を形成し、記録層上に第2化合物として空隙サイトを有するTiO2を約10nm形成する。また、第2化合物上に、再度、TiNからなる電極層を約100nm形成した後、電極層上にビット線を形成する。
そして、ワード線とビット線との間に電位を印加する点以外は、第1実験例と同様にして測定を実施した。
書き込み/消去後の抵抗値は、第1実験例と同様に、103Ω台/107Ω台となり、両者の抵抗比は、約104Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(12) 第12実験例
第12実験例では、記録層をCuFeO2とした点を除き、第11実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
初期状態の抵抗値は、108Ω台であったのに対し、書き込み後の抵抗値は、103Ω台となり、さらに、消去後の抵抗値は、107Ω台となった。書き込み/消去の抵抗比は、104Ω〜105Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(13) 第13実験例
第13実験例では、保護層をSnO2とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
初期状態の抵抗値は、107Ω台であったのに対し、書き込み後の抵抗値は、103Ω台となり、さらに、消去後の抵抗値は、105Ω台となった。書き込み/消去の抵抗比は、102Ω〜105Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(14) 第14実験例
第14実験例では、下地層をTb4O7とし電極層をLaNiO3とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
初期状態の抵抗値は、106Ω台であったのに対し、書き込み後の抵抗値は、102Ω台となり、さらに、消去後の抵抗値は、106Ω台となった。書き込み/消去の抵抗比は、約104Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(15) 第15実験例
第15実験例では、下地層をTa2O5とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
初期状態の抵抗値は、108Ω台であったのに対し、書き込み後の抵抗値は、103Ω台となり、さらに、消去後の抵抗値は、108Ω台となった。書き込み/消去の抵抗比は、約105Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(16) 第16実験例
第16実験例では、電極層をRuO2とした点を除き、第1実験例のサンプルと同じものを使用する。また、製造方法及び評価方法についても、第1実験例と同様に行う。
初期状態の抵抗値は、108Ω台であったのに対し、書き込み後の抵抗値は、103Ω台となり、さらに、消去後の抵抗値は、108Ω台となった。書き込み/消去の抵抗比は、約105Ωで、読み出しに際して十分なマージンを確保できることが確認された。
(21) まとめ
以上、説明したように、第1〜第16実験例のいずれのサンプルにおいても、書き込み、消去及び読み出しの基本動作が可能である。
尚、表1に、第1〜第16実験例の検証結果をまとめたものを示す。
Figure 0004792108
6. その他
本発明の例によれば、情報記録(書き込み)は、電場が印加された部位(記録単位)のみで行われるため、極めて微細な領域に、極めて小さな消費電力で情報を記録できる。
また、消去は、熱を印加することにより行うが、本発明の例に係る材料を用いれば、記録材料の結晶構造の変化がほとんど生じないため、極めて小さな消費電力での消去が可能となる。
さらに、本発明の例によれば、初期状態(絶縁体)がエネルギー的には最も安定な状態になり、書き込み後は、絶縁体内に導体部が形成された形となるため、読み出しの際には、電流が導体部に集中して流れることになり、感知効率が極めて高い記録原理を実現できる。
このように、本発明の例によれば、極めて単純な仕組みであるにもかかわらず、従来技術では到達することのできない記録密度による情報記録を可能とする。
従って、本発明の例は、現在の不揮発性メモリの記録密度の壁を打ち破る次世代技術として産業上のメリットは多大である。
本発明の例は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施の形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明は、高記録密度の次世代情報記録再生装置に有用である。

Claims (11)

  1. 電極層及び記録層からなる積層構造と、前記電極層に付加されるバッファ層と、前記記録層に電圧を印加して前記記録層に相変化を発生させて情報を記録する手段とを具備し、
    前記記録層は、少なくとも2種類の陽イオンを有する複合化合物から構成され、前記陽イオンの少なくとも1種類は、電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素であり、
    前記記録層は、CuxAyXz (0.1≦x≦1.1、0.9≦y≦1.1、1.8≦z≦2.2)で表される材料
    但し、Aは、Al, Ga, Sc, In, Y, La, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu, Ti, Ge, Sn, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Ru, Rh, Pd のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
    また、Xは、O, F, N, Sのグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
    から構成され、かつ、デラフォサイト構造を有する第1化合物を含み、
    前記バッファ層は、少なくともM3N4, M3N5, MN2、或いは、M4O7,MO2,M2O5で表される材料
    但し、Mは、Si,Ge,Sn,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Ce,Tbから選ばれる少なくとも1種類の元素である。
    から構成されることを特徴とする情報記録再生装置。
  2. 前記記録層は、その結晶のC軸が、膜面に対して水平方向或いは水平方向から45°以内の範囲に配向していることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
  3. 前記記録層は、CuCoO2であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
  4. 前記Xを収容できる空隙サイトを有する第2化合物を有し、前記第1化合物を有する層と前記第2化合物を有する層とが積層されることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録再生装置。
  5. 前記第2化合物は、
    化学式:□MZ
    但し、□は、前記Xが収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Zは、O, S, Se, N, Cl, Br, Iから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、0.3≦x≦1である。
    化学式:□MZ
    但し、□は、前記Xが収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Zは、O, S, Se, N, Cl, Br, Iから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、1≦x≦2である。
    化学式:□MZ
    但し、□は、前記Xが収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Zは、O, S, Se, N, Cl, Br, Iから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、1≦x≦2である。
    化学式:□MPO
    但し、□は、前記Xが収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Pは、リン元素であり、Oは、酸素元素であり、0.3≦x≦3、4≦z≦6である。
    のうちの1つであることを特徴とする請求項3に記載の情報記録再生装置。
  6. 前記第2化合物は、ホランダイト構造、ラムスデライト構造、アナターゼ構造、ブルッカイト構造、パイロルース構造、ReO3構造、MoO1.5PO4構造、TiO0.5PO4構造及びFePO4構造、βMnO2構造、γMnO2構造、λMnO2構造、イルメナイト構造のうちの1つを有していることを特徴とする請求項3又は4に記載の情報記録再生装置。
  7. 前記第2化合物は、イルメナイト構造であることを特徴とする請求項6記載の情報記録再生装置。
  8. 前記手段は、前記記録層の記録単位に対して前記電圧を局所的に印加するためのプローブを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
  9. 前記手段は、前記記録層を挟み込むワード線及びビット線を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
  10. 前記手段は、MISトランジスタを含み、前記記録層は、前記MISトランジスタのゲート電極とゲート絶縁層との間に配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの1項に記載の情報記録再生装置。
  11. 前記手段は、第1導電型半導体基板内の2つの第2導電型拡散層と、前記2つの第2導電型拡散層の間の前記第1導電型半導体基板上の第1導電型半導体層と、前記2つの第2導電型拡散層間における導通/非導通を制御するゲート電極とを含み、前記記録層は、前記ゲート電極と前記第1導電型半導体層との間に配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
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