JP4791654B2 - 浮動スチフナーを有するバルーンカテーテル及び方法 - Google Patents
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Description
【０００１】
【従来技術及びその課題】
本発明は、一般に脈管系内における拡張処置を行うためのバルーンカテーテルに関する。バルーンカテーテルは、案内カテーテルに関連して使用され、バルーンカテーテルは、位置決め及び処置のために案内カテーテル内で摺動できる。バルーンカテーテルは、手元側のチューブ要素として長くて強度の大きいカニューレ又はハイポチューブを備える。カテーテルは末端部組立体を有し、この組立体はバルーンを備え、かつこれは手元側カニューレよりかなり柔軟である。手元側カニューレ及び末端部組立体は、補強用部材を有する移行用組立体により一緒に連結される。本発明は、追跡性能、圧迫性能、柔軟性などを含むカテーテルの種々の性能の特徴を改善する。
【０００２】
【検討】
カテーテルを拡張するための多くの応用において、拡張処置を行うためにバルーンを適正に位置決めするために、長い手元側チューブが、身体の外部に残っているカテーテルの手元側端部から長手方向の力と捩り力とを受け入れカテーテルの末端部分に伝えるように、比較的剛性が大きくかつ高強度の手元側カテーテルチューブを提供することが望まれる。
【０００３】
過去において、バルーンカテーテルのシャフト用に、金属のハイポチューブのような長い手元側チューブが提案され又は使用されている。しかし、この形式の剛性の大きいチューブは、バルーンカテーテルの全長を伸びないことが好ましい。きつい曲がり及び／又は締め付ける通路を通して操作するためには、カテーテルの末端部分は非常に柔軟でなければならない。
【０００４】
剛い手元側ハイポチューブと柔軟な末端部分とを持つことは望ましい目標であるが、この目標の達成は、比較的剛くて長い部材と比較的柔らかで長い部材との間の適切な移行を提供するための必要性から複雑化される。この特許において使用される用語「長い」は、引張り又は「伸長」と考え得る処理を暗示するのでなくて、単純に計測可能な長さを持つことを示す。かかる２個の異なる剛性の部分を互いに直接接続した場合は、案内カテーテルに関するバルーンカテーテルの運動中に、カテーテルが曲がり又は脱出する傾向のあることが見いだされている。従って、バルーンカテーテルは、案内カテーテルを通り、或いは希望の部位に達しても堅実かつ円滑には動かない。ときには、案内カテーテルが身体の脈管系内のその希望位置から外れることがある。
【０００５】
過去においては、この一般形式のカテーテルは、カテーテルの剛いハイポチューブ形式の構成要素と柔軟な末端部分との間に移行部分を備えていた。この形式の移行部分のアプローチの最初の構成要素は、一般に、移行位置に選定された柔軟性又は柔軟性範囲を有する構造を組み入れ、これによりカテーテルの手元側ハイポチューブの剛性を柔軟な末端部分に向かって徐々に減らした。ある種の公知システムにおいては、ブリッジングワイヤーが、ハイポチューブの末端方向に向けられた延長部としてハイポチューブに取り付けられ、ハイポチューブの末端部とバルーンのあるカテーテルの末端部との間に位置決めされる。
【０００６】
上に一般的に認識されたようなアプローチでは、ブリッジワイヤー又は同様な構造は、バルーンカテーテルが案内カテーテルのきつい曲がり部分を通過しなければならない場合に難問が生ずる可能性がある。ブリッジワイヤーの剛性のため、ブリッジワイヤーが曲がり又は横向きの力を案内カテーテルの壁に転移させる傾向がある。この横向きの力は曲がりがきついときに大きくなる。
【０００７】
従って、カテーテルシステムに対し、バルーンカテーテルの運動のため案内カテーテルの意図しない脱出が生ずる可能性のある案内カテーテルの壁への過度の横向きの力を加えることなく、案内カテーテル末端部分のきつい曲がりを容易に誘導するであろうバルーンカテーテルを有することが望ましい。このため、本発明は、比較的剛い手元側チューブと比較的柔軟な末端部分との間の移行部分の構造に関係する。
【０００８】
本発明は、カテーテルの末端部分にのみ案内ワイヤー用の内腔を組み入れた急変する形状を有するカテーテルにも関係する。かかる全体構造により、医師は、バルーンカテーテルを他のバルーンカテーテルに容易かつ迅速に交換でき、更に一般に長さの伸ばされた又は伸び得る案内ワイヤーの必要性、及びこれらを準備し取り扱うことに伴う問題を避けることができる。この一般形式のバルーンカテーテルシステムはヨックの米国特許５０６１２７３号及びレオポルドの米国特許５３４６５０５号に示され、これらの主題は参考文献としてここに取り入れられる。一般に、カテーテルの一般に末端部分の案内ワイヤー出口ポートを設けることにより、カテーテルの望ましくない弱点又は柔軟性の急な移行の可能性を大きくすることがあり得る。かかる弱点は、案内ワイヤーチューブと案内ワイヤーとを有するカテーテルの末端部分と案内ワイヤー出口ポートの直前のカテーテルの手元側部分との間の柔軟性の大きな相違のために生ずる。従って、一般にバルーンカテーテルと、急激な形状変化を有するバルーンカテーテルの案内ワイヤー出口ポートの付近とにおける改良された移行用構造についての優先した要求がある。
【０００９】
本発明により、バルーン拡張カテーテルは、比較的剛い手元側カニューレと手元側カニューレよりかなり柔軟な全体としてチューブ状の末端部組立体との間に改良された移行用組立体を持つ。移行用組立体は、最適の柔軟性、柱強度、引張り強度、及びその他の特性を有し柔軟な曲がり変形の救援を提供する。移行用組立体は、移行チューブ内に強化用部材を備えることが好ましい。更に、強化用部材は、好ましくは、その末端付近でカテーテルシャフトに取り付けられ、かつその末端はカテーテルシャフト内で比較的自由に浮動する。
【００１０】
バルーン拡張カテーテルは案内カテーテルとの組合せで使用されることが多く、このとき、バルーン拡張カテーテルは、血管形成術のような拡張処置中に遭遇することのある案内カテーテルの鋭い曲がりに円滑に追随することができる。この組合せにより、移行用組立体は最適化されて、案内カテーテルに最小の横向きの力を加え、拡張カテーテルが案内カテーテル内で動かされるとき、案内カテーテルが脈管系内の意図された位置から外れることを防止する。
【００１１】
従って、本発明の一般的な目的は、改良されたバルーン拡張カテーテル、拡張カテーテルと案内カテーテルとの組合せ、及びバルーン拡張カテーテルの製造方法を提供することである。
【００１２】
本発明の別の目的は、医療処置中の柔軟な曲がり変形の救援を提供する移行用組立体を有する改良されたバルーンカテーテルを提供することである。
【００１３】
本発明の別の目的は、案内カテーテル内のバルーン拡張カテーテルの摺動位置決め中に、移行部分が円弧状に容易に曲がり、これにより案内カテーテルに加わる横向きの力を最小にしかつ案内カテーテルの希望位置からの脱出を防止するような、バルーン拡張カテーテルと案内カテーテルとの改良された組合せを提供することである。
【００１４】
本発明の別の可能な目的は、患者の身体の外側のカテーテルの手元側端部から身体内部のカテーテルの末端部への力の伝達を妨げる可能性のある移行用組立体の望ましくない曲がりなしに、案内カテーテルの内部を末端方向に線状に動くバルーン拡張カテーテルを提供することである。
【００１５】
本発明の別の可能な目的は、血管形成処置中に案内カテーテルが希望位置から脱出する機会を減らす改良されたバルーン拡張カテーテルと案内カテーテルとの組合せを提供することである。
【００１６】
本発明の別の可能な目的は、カテーテルが曲がる事故を減らす移行部分を有するバルーン拡張カテーテルを提供することである。
【００１７】
本発明の別の可能な目的は、改良されたバルーン拡張カテーテルと案内カテーテルとの組合せであって、移行部分が案内カテーテルを通って動くとき、案内カテーテルの形になる改良された移行部分を持つために、追跡が容易でかつ追跡に要する力が小さい利点を示す組合せを提供することである。
【００１８】
本発明の別の可能な目的は、バルーンの膨張及び収縮中のバルーン膨張用流体の通過のために比較的大きい断面積を定めるバルーン拡張カテーテルのための移行部分を提供することである。
【００１９】
本発明のこれら及びその他の目的及び利点は、好ましい実施例の以下の詳細な説明から明らかでありかつそのの考察のより明瞭に理解されるであろう。
【００２０】
【好ましい実施例の説明】
好ましい実施例の説明にあたり、付属図面を参照する。
【００２１】
本発明の好ましい実施例の以下の説明は単にその特徴を説明するものであり、本発明、その応用又は使用を、厳密な意味でいささかも限定するものではない。本技術の熟練者は、本発明の精神及び範囲から離れることなく多くの変更を行うことができる。
【００２２】
好ましいバルーン拡張カテーテルが図１に一般に番号１０で示される。これは、本技術において一般に知られた方法で患者の身体の外側の位置からカテーテル１０を操作するための一般に知られた構造の手元側ハブ組立体１２を備える。長くて高強度の手元側カニューレ又はハイポチューブ１４が、適切な構造及び方法によりハブ組立体１２に取り付けられる。バルーンを有し一般に１６で示された末端部組立体が、カニューレ１０の末端部分を定める。一般に１８で示された移行用組立体が、柔軟な末端部組立体１６を手元側カニューレ１４に連結する。案内カテーテル２０が、バルーン拡張カテーテル１０と摺動組合いの状態で図２に全体的に示される。
【００２３】
手元側カニューレ１４を特に参照すれば、これは、典型的に金属製のハイポチューブで作られることが好ましい。ある種の特別に剛いポリマーも使うことができる。ハイポチューブは、ステンレス鋼、身体内の使用に利用できるその他の剛い合金、ニチノールのようなニッケル・チタン合金、及び類似の材料で作られたものを含む。手元側カニューレ１４は、大きい長手方向強度及び優れた捩り性能を含んだ優れた荷重支持特性を提供する材料及び構造を組み入れる。このような特性により、医師は、カテーテルを患者の脈管系を通して中に挿入するとき、カテーテルのかなり長い手元側部分を正確に操作することができる。かかる高強度カニューレ１４は、脈管系内における捩り及び長手方向の出入運動のような動きに応じたカテーテル１０の、より末端部分の応答運動も与える。
【００２４】
バルーン拡張カテーテル１０の手元側部分における操作制御が、バルーン拡張カテーテルの性能特性を強化し、かつバルーン拡張カテーテルへの有利な確実な手応えを与えることが認められるであろう。典型的に、長いカニューレとハブ組立体とを加えた長さは約１００ｃｍから約１２０ｃｍの間である。本発明による典型的なバルーン拡張カテーテルは、ハブ組立体から末端部までの全長が約１４０ｃｍから約１６０ｃｍの間である。
【００２５】
ステンレス鋼又はその他の金属合金或いは特に強いポリマーのような材料で手元側カニューレ１４を作る利点は、これらの材料が最小の壁厚で高い強度を提供することである。かかる薄壁のカニューレは、より厚い壁のチューブより大きい断面の膨張用内腔面積を定め、これによりカニューレを通過する膨張用流体の流れを容易にする。
【００２６】
図示された末端部組立体１６は、拡張バルーンに適した材料から、この材料に対する適切な成型方法に従って作られたバルーン２２を備える。バルーン２２は、外側のボデーチューブ２４に確実に取り付けられ、このチューブはその他方の端部において移行用組立体１８に取り付けられる。或いは、末端部組立体は、例えば同軸ではなくて平行な内腔を有する複内腔チューブを組み入れることができる。図示された末端部組立体１６は同軸構造を持つ。この同軸構造は、外側ボデーチューブ２４と内側ボデーチューブ又は案内ワイヤーチューブ２６とを備える。バルーン２２の手元側の口の部分２８は内側ボデーチューブ２６の末端部分に固定される。末端部組立体１６は末端部３２において終わる。典型的な末端部組立体１６は、例えば約２０ｃｍから約３０ｃｍの間のある長さを持つ。
【００２７】
末端部組立体１６は、その手元側端部に案内ヤイヤー用のポート３４も備える。内側ボデーチューブ２６は、その手元側開口３６が案内ワイヤー３８を受け入れるようにこの案内ポート３４に位置決めされる。図示されたカテーテル１０及び案内ワイヤー３８の使用中に、案内ワイヤーチューブ、従ってバルーン拡張カテーテル１０の全体は、案内ワイヤー３８が脈管系の希望位置に挿入された後、案内ワイヤー３８に関して摺動するであろうことが認められるであろう。これに関連するこの設備の作動は公知である。
【００２８】
図示された新規な移行用組立体１８を参照すれば、これは浮動式の強化用部材４０を組み入れる。この強化用部材４０は、典型的に平リボンワイヤー又は断面が全体として円形のワイヤーで構成される。円形断面が好ましい。編まれ又は捩られたワイヤー束も可能である。一般に、強化用部材４０は、手元側カニューレ１４に適切である材料のような材料からも作ることができる。ステンレス鋼は特に好ましく、また恐らくはニチノールも好ましいであろう。手元側カニューレ１４により移行用組立体１８に加えられる捩り、押し及び引張りの力が移行用組立体１８の曲がり又は永久捩れを生じないように、強化用部材４０は、移行用組立体１８全体が適切な捩り強度及び長手方向強度を保持するように設計されることが好ましい。加えて、強化用部材４０のその長さに沿った柔軟性は、手元側カニューレ１４から末端部分１６へのより円滑な柔軟性の移行を含んだ希望の特性と性能とを提供するように選定すべきである。
【００２９】
強化用部材４０は、その末端においてカテーテル軸にシールされ又は固定されることが好ましく、一方、強化用部材４０の手元側端部は高強度カニューレ１４の末端内で浮動状態であることが好ましい。
【００３０】
移行チューブ４２が強化用部材４０の大部分を囲む。移行チューブ４２の手元側端部はハイポチューブ１４に固定され、移行チューブ４２の末端部は外側ボデーチューブ２４に連結される。移行チューブ４２は、典型的にポリマー材料より作られる。チューブ４２が良好な強度特性を持つ場合は、剛性の小さい強化用部材４０を設けることができる。正確な構造が使用された場合は、常に、移行用組立体１８は一般に剛い手元側カニューレ１４と一般に柔軟な末端部組立体１６との間の柔軟な移行を提供する。
【００３１】
移行チューブ４２をなお特別に参照すれば、移行チューブ４２の内径は、強化用部材４０の外径に適合して選定された間隙距離を定め、ワイヤー４０の表面とチューブ４２との間の滑りを許すことが好ましく、このためこれらは、挿入された案内カテーテルの曲線に沿って曲がって行く間、互いに滑り組合いをする。或いは、強化用部材が１カ所又はそれ以上のテーパー位置を持ち、移行チューブは、それ自体の、一般に対応した形と寸法のテーパー位置を持つことができる。一般に、強化用部材４０は、移行用組立体１８に製作の際、チューブ４２の内径又は内腔の中に挿入される。
【００３２】
強化用部材４０と移行チューブ４２との組立体において、チューブ４２は強化用部材４０上に組み付けられる。図示実施例においては、移行チューブ４２の手元側端部は、手元側カニューレ１４の末端部の上にシールされる。このシール作業は、接着剤及び／又は加熱或いはその他適切な方法の使用を含む適切な手段により実行することができる。同様に、移行チューブ４２の末端部は強化用部材４０の末端部に伸び、そしてこの末端部は、末端のシール区域において末端部組立体１６の手元側端部部分に固定される。手前側案内ワイヤーポート３４は、案内ワイヤーチューブ２６の手前側端部部分及び強化用ワイヤー４０の末端部が移行チューブ４２の末端部分と外側ボデーチューブ２４の手元側端部部分との間にシールされるときに形成されることが好都合である。
【００３３】
好ましい実施例においては、この末端部シール区域の形成は、一緒に容易にヒートシールできる材料で作られた外側ボデーチューブ２４と移行チューブ４２とを有することにより容易にされる。外側ボデーチューブ２４は、例えば押し出されたナイロンホモポリマー又はコポリマー或いはホモポリマーとコポリマーとの混合物のようなナイロン材料、ポリイミド材料で作ることができる。好ましい実施例においては、移行チューブ４２の外側面の少なくも一部分がナイロン材料で作られ、そして外側ボデーチューブ２４が作られた材料と同じナイロン材料又はポリイミド材料で作ることができる。好ましくは、移行チューブ４２の内側面の少なくも一部分はポリウレタンのような材料で作ることができる。この材料は、ポリイミド又はナイロン材料よりもより容易に手元側カニューレ１４に接着できる。好ましい配列においては、カニューレ１４はステンレス鋼で作られ、外側ボデーチューブ２４はナイロン１２で作られる。これらの材料を受け入れるために、移行チューブ４２は、好ましくは２種の異なった材料で作られる。この望ましい結果を受け入れる好ましい方法は、共押出しで形成された移行チューブ４２を有することである。例のように共押出しはポリエチレンの内面を与えることができ、これはステンレス鋼、及びナイロン材料又は末端部組立体に容易に接着するその他の材料の外面によく接着する。
【００３４】
典型的な案内ワイヤーチューブ２６は、拡張カテーテル１０が経皮的内腔カニューレ血管形成術又はＰＴＣＡ形式のものであるときは、好ましくは０．０３６ｍｍ（０．００１４インチ）の外径を持った案内ワイヤー３８を受け入れるであろう。カテーテルが、例えば経皮的内腔カニューレ血管形成術又はＰＴＣＡ形式のものであるときは、案内チューブ２６は、通常は０．０４６ｍｍ（０．００１８インチ）台のより大きい外径の案内ワイヤー３８を受け入れるであろう。強化用部材４０が円形のステンレス鋼ワイヤーで作られる場合は、ワイヤー４０の直径は、種々のサイズから選定することができる。
【００３５】
図２は強化用部材４０を示し、この部材は、末端シール区域を含んだ移行用組立体１８と末端部組立体１６との間の連結区域を過度に強化することなく、かつ末端部組立体１６の手元側部分の保護と強化とを助ける長さに末端方向に伸びる。強化用部材４０の末端部分も、比較的厚いシール区域が薄いチューブ部分に直接隣接するこの連結区域の曲がりを避けることを支援する。
【００３６】
図５は、末端区域のやや図式的な図面であり、これにおいては移行チューブ４２と短いフィラーチューブとは事実上互いに融け合っている。
【００３７】
典型的に、移行用組立体１８は、約１０ｃｍから約３５ｃｍの間、好ましくは約１２ｃｍから約２０ｃｍの間の全長を持つ。強化用部材４０の長さは、約５ｃｍから約３０ｃｍの間、好ましくは約８ｃｍから約１８ｃｍの間の範囲である。
【００３８】
案内カテーテル２０とバルーン拡張カテーテル１０とが、典型的に案内ワイヤー３８と組み合わせられて、血管形成術のようなバルーン拡張処置中に使用されるカテーテルの組合せを備え得ることが本技術の熟練者により認められるであろう、本発明により、カテーテルのこの組合せの相互作用は、医師の拡張及び／又は血管形成処置の実行をより容易にする。本発明による説明の移行用組立体１８がない場合は、脈管系又は心臓の中で案内カテーテルがその長さに沿ったきつい曲がりを有する位置において、バルーン拡張カテーテルに案内カテーテルを通過させたいときに困難の生ずる傾向がある。
【００３９】
本発明の移行用組立体１８はきつい曲がり又は湾曲をより容易に誘導でき、そして案内カテーテル２０の壁により小さい横向きの力を与える。
【００４０】
説明された本発明の実施例は本発明の便利の応用のあるものの説明であることが理解されるであろう。本発明の精神及び範囲から離れることなく本技術の熟練者により種々の変更を行うことができる。
【００４１】
本発明の実施態様は以下のとおりである。
【００４２】
１．手元側端部と末端側端部とを有しかつ手元側内腔を定めている高強度の手元側カニューレ、
案内ワイヤー用内腔、バルーン部材、及び手元側カニューレの手元側内腔と連通している膨張用内腔を有する全体として筒状の末端部組立体であって、膨張用内腔がバルーン内に開口し、手元側カニューレより大きい柔軟性を有する末端部組立体、及び
末端部組立体と手元側カニューレとの間に置かれかつこれらを長手方向で連結している移行用組立体であって、柔軟な曲がり変形の救援を提供し、更に強化用部材及び手元側カニューレと末端部組立体とに連結された移行チューブを有する前記移行用組立体
を備え、強化用部材は移行チューブの末端部に取り付けられた末端部を有し、更に強化用部材は手元側カニューレの末端部内に伸びかつこの中で浮動している手元側端部を有する
バルーン拡張カテーテル。
【００４３】
２．移行用組立体の強化用部材が平らなワイヤーである実施態様１による拡張カテーテル。
【００４４】
３．移行用組立体の強化用部材が円形断面の単線である実施態様１による拡張カテーテル。
【００４５】
４．強化用部材が捩られ又は一緒に組まれた複数のワイヤーを有する実施態様１による拡張カテーテル。
【００４６】
５．移行チューブの末端部分が強化用部材の末端部の近くに伸びかつ末端部組立体に固定される実施態様１による拡張カテーテル。
【００４７】
６．移行用組立体の移行チューブが手元側方向に伸びかつ手元側カニューレの末端部に固定される実施態様１による拡張カテーテル。
【００４８】
７．移行チューブの末端部分が末端部組立体に固定され、移行チューブが内面と外面とを有し、更に手元側カニューレの末端部が移行チューブの内面に固定され、一方、末端部組立体の手元側端部が移行チューブの外面に固定される実施態様６による拡張カテーテル。
【００４９】
８．移行チューブは、手元側カニューレに容易に接着できる材料の内面を有しかつ末端部組立体に容易に接着できる材料の外面を持っている共押出しチューブである実施態様７による拡張カテーテル。
【００５０】
９．一般に、移行用組立体が末端部組立体に固定された位置に手元側案内ワイヤーポートを更に有する実施態様１による拡張カテーテル。
【００５１】
１０．強化用部材が、末端部組立体の手元側端部より先に末端方向に伸びる実施態様１による拡張カテーテル。
【００５２】
１１．拡張処置に適した長さを有する案内カテーテルであって、末端部先端部分と内径を有する案内内腔とを持ち、前記末端部先端部分が末端の開口を有する前記案内カテーテル、
案内カテーテル内でのバルーン拡張カテーテルの長手方向摺動と案内カテーテルの末端開口部の開口から出ることとを許すために、各が案内カテーテルの内径より小さい外径を有する一連の構成要素を持っているバルーン拡張カテーテルであって、
手元側端部と末端側端部とを有しかつ手元側内腔を定めている高強度の手元側カニューレ、
案内ワイヤー用内腔、バルーン部材、及び手元側カニューレの手元側内腔と連通している膨張用内腔を有する全体として筒状の末端部組立体であって、膨張用内腔がバルーン内に開口し、末端部組立体が手元側カニューレより大きい柔軟性を有する前記末端部組立体、及び
末端部組立体と手元側カニューレとの間に置かれかつこれらを長手方向で連結している移行用組立体であって、柔軟な曲がり変形の救援を提供し、更に強化用部材及び強化用部材の一部分を囲んでいる移行チューブを有する移行用組立体を有し、更に
強化用部材が移行チューブの末端部に取り付けられた末端部を有し、かつ手元側カニューレ内に伸びかつこの中で浮動している手元側端部を持っている
前記バルーン拡張カテーテル
を備えたバルーン拡張カテーテルと案内カテーテルとのシステム。
【００５３】
１２．移行用組立体の強化用部材が単線である実施態様１１によるカテーテルシステム。
【００５４】
１３．移行用組立体の移行チューブが手元側カニューレの末端部に固定される実施態様１１によるカテーテルシステム。
【００５５】
１４．移行チューブの末端部分が末端部組立体に固定され、移行チューブは内面と外面とを有し、更に手元側カニューレの末端部が移行チューブの内面に固定され、一方、末端部組立体の手元側端部が移行チューブの外面に固定される実施態様１３によるカテーテルシステム。
【００５６】
１５．移行チューブが、手元側カニューレに容易に接着できる材料の内面を有しかつ末端部組立体に容易に接着できる外面を持っている共押出しチューブである実施態様１４によるカテーテルシステム。
【００５７】
１６．一般に、移行用組立体が末端部組立体に固定された位置に手元側案内ワイヤーポートを更に有する実施態様１１によるカテーテルシステム。
【００５８】
１７．拡張処置に適した長さを有する案内カテーテルであって、末端部先端部分及び内径と末端部開口とを有する案内内腔を有する前記案内カテーテルを調製し、
各が案内カテーテルの内径より小さい外径を有する一連の構成要素を有するバルーン拡張カテーテルであって、長い高強度の手元側カニューレ、バルーン部材を有する全体として筒状の末端部組立体、及び手元側カニューレと末端部組立体との間の移行用組立体を有し、移行用組立体が移行チューブにより囲まれた強化用部材を持っている前記バルーン拡張カテーテルを調製し、
案内カテーテルの先端が拡張処置に意図された部位の付近に置かれるように、案内カテーテルの一部分がきつく曲げられる間に患者の脈管系内の選定された位置に案内カテーテルを挿入し、
末端部組立体が案内カテーテル末端の先端部分の開口を通過しかつ少なくも部分的にこの開口から出ることと、同時に移行用組立体の移行チューブが曲げられた案内カテーテルの内面及び強化用部材の曲がりの内側と組み合うことを許しつつ、バルーン拡張カテーテルを、脈管系の中に挿入された案内カテーテル内にかつこれに関して摺動可能に位置決めし、そして
摺動可能な位置決め段階中、案内カテーテルがその選定された位置からの移動を避ける低い力を、強化用部材により案内カテーテルに加える
諸段階を含むバルーン拡張の実行方法。
【００５９】
１８．摺動可能な位置決め段階中、強化用部材が、曲げられた案内カテーテルの内面に実質的に相当する曲がりの形状に曲がる実施態様１７による方法。
【００６０】
１９．摺動可能な位置決め段階中、強化用部材及び移行チューブ組立体が、曲げられた案内カテーテルの内面に実質的に相当する曲がりの形状に曲がる実施態様１７による方法。
【００６１】
２０．摺動可能な位置決め段階中、強化用部材の手元側端部が、手元側カテーテルの末端部内で浮動し調節する実施態様１７による方法。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の原理による好ましいバルーン拡張カテーテルの部分的に図式的な一般的な立面図である。
【図２】図１に一般的に示されたカテーテルの移行部分を含み、案内カテーテル内に置かれ、部分的に切除され横断方向断面において示された拡大断面図である。
【図３】図１の線３−３に沿った断面図である。
【図４】図１の線４−４に沿った断面図である。
【図５】図１の線５−５に沿った断面図である。
【図６】図１のカテーテルの末端の先端部分の一般に図式的な部分図である。
【図７】図６の円形部分７の拡大断面図である。
【図８】図１の線８−８に沿った断面図である。
【符号の説明】
１０ カテーテル
１２ 手元側ハブ組立体
１４ チューブ
１６ 末端組立体
１８ 移行組立体
２０ 案内カテーテル
２２ バルーン
【従来技術及びその課題】
本発明は、一般に脈管系内における拡張処置を行うためのバルーンカテーテルに関する。バルーンカテーテルは、案内カテーテルに関連して使用され、バルーンカテーテルは、位置決め及び処置のために案内カテーテル内で摺動できる。バルーンカテーテルは、手元側のチューブ要素として長くて強度の大きいカニューレ又はハイポチューブを備える。カテーテルは末端部組立体を有し、この組立体はバルーンを備え、かつこれは手元側カニューレよりかなり柔軟である。手元側カニューレ及び末端部組立体は、補強用部材を有する移行用組立体により一緒に連結される。本発明は、追跡性能、圧迫性能、柔軟性などを含むカテーテルの種々の性能の特徴を改善する。
【０００２】
【検討】
カテーテルを拡張するための多くの応用において、拡張処置を行うためにバルーンを適正に位置決めするために、長い手元側チューブが、身体の外部に残っているカテーテルの手元側端部から長手方向の力と捩り力とを受け入れカテーテルの末端部分に伝えるように、比較的剛性が大きくかつ高強度の手元側カテーテルチューブを提供することが望まれる。
【０００３】
過去において、バルーンカテーテルのシャフト用に、金属のハイポチューブのような長い手元側チューブが提案され又は使用されている。しかし、この形式の剛性の大きいチューブは、バルーンカテーテルの全長を伸びないことが好ましい。きつい曲がり及び／又は締め付ける通路を通して操作するためには、カテーテルの末端部分は非常に柔軟でなければならない。
【０００４】
剛い手元側ハイポチューブと柔軟な末端部分とを持つことは望ましい目標であるが、この目標の達成は、比較的剛くて長い部材と比較的柔らかで長い部材との間の適切な移行を提供するための必要性から複雑化される。この特許において使用される用語「長い」は、引張り又は「伸長」と考え得る処理を暗示するのでなくて、単純に計測可能な長さを持つことを示す。かかる２個の異なる剛性の部分を互いに直接接続した場合は、案内カテーテルに関するバルーンカテーテルの運動中に、カテーテルが曲がり又は脱出する傾向のあることが見いだされている。従って、バルーンカテーテルは、案内カテーテルを通り、或いは希望の部位に達しても堅実かつ円滑には動かない。ときには、案内カテーテルが身体の脈管系内のその希望位置から外れることがある。
【０００５】
過去においては、この一般形式のカテーテルは、カテーテルの剛いハイポチューブ形式の構成要素と柔軟な末端部分との間に移行部分を備えていた。この形式の移行部分のアプローチの最初の構成要素は、一般に、移行位置に選定された柔軟性又は柔軟性範囲を有する構造を組み入れ、これによりカテーテルの手元側ハイポチューブの剛性を柔軟な末端部分に向かって徐々に減らした。ある種の公知システムにおいては、ブリッジングワイヤーが、ハイポチューブの末端方向に向けられた延長部としてハイポチューブに取り付けられ、ハイポチューブの末端部とバルーンのあるカテーテルの末端部との間に位置決めされる。
【０００６】
上に一般的に認識されたようなアプローチでは、ブリッジワイヤー又は同様な構造は、バルーンカテーテルが案内カテーテルのきつい曲がり部分を通過しなければならない場合に難問が生ずる可能性がある。ブリッジワイヤーの剛性のため、ブリッジワイヤーが曲がり又は横向きの力を案内カテーテルの壁に転移させる傾向がある。この横向きの力は曲がりがきついときに大きくなる。
【０００７】
従って、カテーテルシステムに対し、バルーンカテーテルの運動のため案内カテーテルの意図しない脱出が生ずる可能性のある案内カテーテルの壁への過度の横向きの力を加えることなく、案内カテーテル末端部分のきつい曲がりを容易に誘導するであろうバルーンカテーテルを有することが望ましい。このため、本発明は、比較的剛い手元側チューブと比較的柔軟な末端部分との間の移行部分の構造に関係する。
【０００８】
本発明は、カテーテルの末端部分にのみ案内ワイヤー用の内腔を組み入れた急変する形状を有するカテーテルにも関係する。かかる全体構造により、医師は、バルーンカテーテルを他のバルーンカテーテルに容易かつ迅速に交換でき、更に一般に長さの伸ばされた又は伸び得る案内ワイヤーの必要性、及びこれらを準備し取り扱うことに伴う問題を避けることができる。この一般形式のバルーンカテーテルシステムはヨックの米国特許５０６１２７３号及びレオポルドの米国特許５３４６５０５号に示され、これらの主題は参考文献としてここに取り入れられる。一般に、カテーテルの一般に末端部分の案内ワイヤー出口ポートを設けることにより、カテーテルの望ましくない弱点又は柔軟性の急な移行の可能性を大きくすることがあり得る。かかる弱点は、案内ワイヤーチューブと案内ワイヤーとを有するカテーテルの末端部分と案内ワイヤー出口ポートの直前のカテーテルの手元側部分との間の柔軟性の大きな相違のために生ずる。従って、一般にバルーンカテーテルと、急激な形状変化を有するバルーンカテーテルの案内ワイヤー出口ポートの付近とにおける改良された移行用構造についての優先した要求がある。
【０００９】
本発明により、バルーン拡張カテーテルは、比較的剛い手元側カニューレと手元側カニューレよりかなり柔軟な全体としてチューブ状の末端部組立体との間に改良された移行用組立体を持つ。移行用組立体は、最適の柔軟性、柱強度、引張り強度、及びその他の特性を有し柔軟な曲がり変形の救援を提供する。移行用組立体は、移行チューブ内に強化用部材を備えることが好ましい。更に、強化用部材は、好ましくは、その末端付近でカテーテルシャフトに取り付けられ、かつその末端はカテーテルシャフト内で比較的自由に浮動する。
【００１０】
バルーン拡張カテーテルは案内カテーテルとの組合せで使用されることが多く、このとき、バルーン拡張カテーテルは、血管形成術のような拡張処置中に遭遇することのある案内カテーテルの鋭い曲がりに円滑に追随することができる。この組合せにより、移行用組立体は最適化されて、案内カテーテルに最小の横向きの力を加え、拡張カテーテルが案内カテーテル内で動かされるとき、案内カテーテルが脈管系内の意図された位置から外れることを防止する。
【００１１】
従って、本発明の一般的な目的は、改良されたバルーン拡張カテーテル、拡張カテーテルと案内カテーテルとの組合せ、及びバルーン拡張カテーテルの製造方法を提供することである。
【００１２】
本発明の別の目的は、医療処置中の柔軟な曲がり変形の救援を提供する移行用組立体を有する改良されたバルーンカテーテルを提供することである。
【００１３】
本発明の別の目的は、案内カテーテル内のバルーン拡張カテーテルの摺動位置決め中に、移行部分が円弧状に容易に曲がり、これにより案内カテーテルに加わる横向きの力を最小にしかつ案内カテーテルの希望位置からの脱出を防止するような、バルーン拡張カテーテルと案内カテーテルとの改良された組合せを提供することである。
【００１４】
本発明の別の可能な目的は、患者の身体の外側のカテーテルの手元側端部から身体内部のカテーテルの末端部への力の伝達を妨げる可能性のある移行用組立体の望ましくない曲がりなしに、案内カテーテルの内部を末端方向に線状に動くバルーン拡張カテーテルを提供することである。
【００１５】
本発明の別の可能な目的は、血管形成処置中に案内カテーテルが希望位置から脱出する機会を減らす改良されたバルーン拡張カテーテルと案内カテーテルとの組合せを提供することである。
【００１６】
本発明の別の可能な目的は、カテーテルが曲がる事故を減らす移行部分を有するバルーン拡張カテーテルを提供することである。
【００１７】
本発明の別の可能な目的は、改良されたバルーン拡張カテーテルと案内カテーテルとの組合せであって、移行部分が案内カテーテルを通って動くとき、案内カテーテルの形になる改良された移行部分を持つために、追跡が容易でかつ追跡に要する力が小さい利点を示す組合せを提供することである。
【００１８】
本発明の別の可能な目的は、バルーンの膨張及び収縮中のバルーン膨張用流体の通過のために比較的大きい断面積を定めるバルーン拡張カテーテルのための移行部分を提供することである。
【００１９】
本発明のこれら及びその他の目的及び利点は、好ましい実施例の以下の詳細な説明から明らかでありかつそのの考察のより明瞭に理解されるであろう。
【００２０】
【好ましい実施例の説明】
好ましい実施例の説明にあたり、付属図面を参照する。
【００２１】
本発明の好ましい実施例の以下の説明は単にその特徴を説明するものであり、本発明、その応用又は使用を、厳密な意味でいささかも限定するものではない。本技術の熟練者は、本発明の精神及び範囲から離れることなく多くの変更を行うことができる。
【００２２】
好ましいバルーン拡張カテーテルが図１に一般に番号１０で示される。これは、本技術において一般に知られた方法で患者の身体の外側の位置からカテーテル１０を操作するための一般に知られた構造の手元側ハブ組立体１２を備える。長くて高強度の手元側カニューレ又はハイポチューブ１４が、適切な構造及び方法によりハブ組立体１２に取り付けられる。バルーンを有し一般に１６で示された末端部組立体が、カニューレ１０の末端部分を定める。一般に１８で示された移行用組立体が、柔軟な末端部組立体１６を手元側カニューレ１４に連結する。案内カテーテル２０が、バルーン拡張カテーテル１０と摺動組合いの状態で図２に全体的に示される。
【００２３】
手元側カニューレ１４を特に参照すれば、これは、典型的に金属製のハイポチューブで作られることが好ましい。ある種の特別に剛いポリマーも使うことができる。ハイポチューブは、ステンレス鋼、身体内の使用に利用できるその他の剛い合金、ニチノールのようなニッケル・チタン合金、及び類似の材料で作られたものを含む。手元側カニューレ１４は、大きい長手方向強度及び優れた捩り性能を含んだ優れた荷重支持特性を提供する材料及び構造を組み入れる。このような特性により、医師は、カテーテルを患者の脈管系を通して中に挿入するとき、カテーテルのかなり長い手元側部分を正確に操作することができる。かかる高強度カニューレ１４は、脈管系内における捩り及び長手方向の出入運動のような動きに応じたカテーテル１０の、より末端部分の応答運動も与える。
【００２４】
バルーン拡張カテーテル１０の手元側部分における操作制御が、バルーン拡張カテーテルの性能特性を強化し、かつバルーン拡張カテーテルへの有利な確実な手応えを与えることが認められるであろう。典型的に、長いカニューレとハブ組立体とを加えた長さは約１００ｃｍから約１２０ｃｍの間である。本発明による典型的なバルーン拡張カテーテルは、ハブ組立体から末端部までの全長が約１４０ｃｍから約１６０ｃｍの間である。
【００２５】
ステンレス鋼又はその他の金属合金或いは特に強いポリマーのような材料で手元側カニューレ１４を作る利点は、これらの材料が最小の壁厚で高い強度を提供することである。かかる薄壁のカニューレは、より厚い壁のチューブより大きい断面の膨張用内腔面積を定め、これによりカニューレを通過する膨張用流体の流れを容易にする。
【００２６】
図示された末端部組立体１６は、拡張バルーンに適した材料から、この材料に対する適切な成型方法に従って作られたバルーン２２を備える。バルーン２２は、外側のボデーチューブ２４に確実に取り付けられ、このチューブはその他方の端部において移行用組立体１８に取り付けられる。或いは、末端部組立体は、例えば同軸ではなくて平行な内腔を有する複内腔チューブを組み入れることができる。図示された末端部組立体１６は同軸構造を持つ。この同軸構造は、外側ボデーチューブ２４と内側ボデーチューブ又は案内ワイヤーチューブ２６とを備える。バルーン２２の手元側の口の部分２８は内側ボデーチューブ２６の末端部分に固定される。末端部組立体１６は末端部３２において終わる。典型的な末端部組立体１６は、例えば約２０ｃｍから約３０ｃｍの間のある長さを持つ。
【００２７】
末端部組立体１６は、その手元側端部に案内ヤイヤー用のポート３４も備える。内側ボデーチューブ２６は、その手元側開口３６が案内ワイヤー３８を受け入れるようにこの案内ポート３４に位置決めされる。図示されたカテーテル１０及び案内ワイヤー３８の使用中に、案内ワイヤーチューブ、従ってバルーン拡張カテーテル１０の全体は、案内ワイヤー３８が脈管系の希望位置に挿入された後、案内ワイヤー３８に関して摺動するであろうことが認められるであろう。これに関連するこの設備の作動は公知である。
【００２８】
図示された新規な移行用組立体１８を参照すれば、これは浮動式の強化用部材４０を組み入れる。この強化用部材４０は、典型的に平リボンワイヤー又は断面が全体として円形のワイヤーで構成される。円形断面が好ましい。編まれ又は捩られたワイヤー束も可能である。一般に、強化用部材４０は、手元側カニューレ１４に適切である材料のような材料からも作ることができる。ステンレス鋼は特に好ましく、また恐らくはニチノールも好ましいであろう。手元側カニューレ１４により移行用組立体１８に加えられる捩り、押し及び引張りの力が移行用組立体１８の曲がり又は永久捩れを生じないように、強化用部材４０は、移行用組立体１８全体が適切な捩り強度及び長手方向強度を保持するように設計されることが好ましい。加えて、強化用部材４０のその長さに沿った柔軟性は、手元側カニューレ１４から末端部分１６へのより円滑な柔軟性の移行を含んだ希望の特性と性能とを提供するように選定すべきである。
【００２９】
強化用部材４０は、その末端においてカテーテル軸にシールされ又は固定されることが好ましく、一方、強化用部材４０の手元側端部は高強度カニューレ１４の末端内で浮動状態であることが好ましい。
【００３０】
移行チューブ４２が強化用部材４０の大部分を囲む。移行チューブ４２の手元側端部はハイポチューブ１４に固定され、移行チューブ４２の末端部は外側ボデーチューブ２４に連結される。移行チューブ４２は、典型的にポリマー材料より作られる。チューブ４２が良好な強度特性を持つ場合は、剛性の小さい強化用部材４０を設けることができる。正確な構造が使用された場合は、常に、移行用組立体１８は一般に剛い手元側カニューレ１４と一般に柔軟な末端部組立体１６との間の柔軟な移行を提供する。
【００３１】
移行チューブ４２をなお特別に参照すれば、移行チューブ４２の内径は、強化用部材４０の外径に適合して選定された間隙距離を定め、ワイヤー４０の表面とチューブ４２との間の滑りを許すことが好ましく、このためこれらは、挿入された案内カテーテルの曲線に沿って曲がって行く間、互いに滑り組合いをする。或いは、強化用部材が１カ所又はそれ以上のテーパー位置を持ち、移行チューブは、それ自体の、一般に対応した形と寸法のテーパー位置を持つことができる。一般に、強化用部材４０は、移行用組立体１８に製作の際、チューブ４２の内径又は内腔の中に挿入される。
【００３２】
強化用部材４０と移行チューブ４２との組立体において、チューブ４２は強化用部材４０上に組み付けられる。図示実施例においては、移行チューブ４２の手元側端部は、手元側カニューレ１４の末端部の上にシールされる。このシール作業は、接着剤及び／又は加熱或いはその他適切な方法の使用を含む適切な手段により実行することができる。同様に、移行チューブ４２の末端部は強化用部材４０の末端部に伸び、そしてこの末端部は、末端のシール区域において末端部組立体１６の手元側端部部分に固定される。手前側案内ワイヤーポート３４は、案内ワイヤーチューブ２６の手前側端部部分及び強化用ワイヤー４０の末端部が移行チューブ４２の末端部分と外側ボデーチューブ２４の手元側端部部分との間にシールされるときに形成されることが好都合である。
【００３３】
好ましい実施例においては、この末端部シール区域の形成は、一緒に容易にヒートシールできる材料で作られた外側ボデーチューブ２４と移行チューブ４２とを有することにより容易にされる。外側ボデーチューブ２４は、例えば押し出されたナイロンホモポリマー又はコポリマー或いはホモポリマーとコポリマーとの混合物のようなナイロン材料、ポリイミド材料で作ることができる。好ましい実施例においては、移行チューブ４２の外側面の少なくも一部分がナイロン材料で作られ、そして外側ボデーチューブ２４が作られた材料と同じナイロン材料又はポリイミド材料で作ることができる。好ましくは、移行チューブ４２の内側面の少なくも一部分はポリウレタンのような材料で作ることができる。この材料は、ポリイミド又はナイロン材料よりもより容易に手元側カニューレ１４に接着できる。好ましい配列においては、カニューレ１４はステンレス鋼で作られ、外側ボデーチューブ２４はナイロン１２で作られる。これらの材料を受け入れるために、移行チューブ４２は、好ましくは２種の異なった材料で作られる。この望ましい結果を受け入れる好ましい方法は、共押出しで形成された移行チューブ４２を有することである。例のように共押出しはポリエチレンの内面を与えることができ、これはステンレス鋼、及びナイロン材料又は末端部組立体に容易に接着するその他の材料の外面によく接着する。
【００３４】
典型的な案内ワイヤーチューブ２６は、拡張カテーテル１０が経皮的内腔カニューレ血管形成術又はＰＴＣＡ形式のものであるときは、好ましくは０．０３６ｍｍ（０．００１４インチ）の外径を持った案内ワイヤー３８を受け入れるであろう。カテーテルが、例えば経皮的内腔カニューレ血管形成術又はＰＴＣＡ形式のものであるときは、案内チューブ２６は、通常は０．０４６ｍｍ（０．００１８インチ）台のより大きい外径の案内ワイヤー３８を受け入れるであろう。強化用部材４０が円形のステンレス鋼ワイヤーで作られる場合は、ワイヤー４０の直径は、種々のサイズから選定することができる。
【００３５】
図２は強化用部材４０を示し、この部材は、末端シール区域を含んだ移行用組立体１８と末端部組立体１６との間の連結区域を過度に強化することなく、かつ末端部組立体１６の手元側部分の保護と強化とを助ける長さに末端方向に伸びる。強化用部材４０の末端部分も、比較的厚いシール区域が薄いチューブ部分に直接隣接するこの連結区域の曲がりを避けることを支援する。
【００３６】
図５は、末端区域のやや図式的な図面であり、これにおいては移行チューブ４２と短いフィラーチューブとは事実上互いに融け合っている。
【００３７】
典型的に、移行用組立体１８は、約１０ｃｍから約３５ｃｍの間、好ましくは約１２ｃｍから約２０ｃｍの間の全長を持つ。強化用部材４０の長さは、約５ｃｍから約３０ｃｍの間、好ましくは約８ｃｍから約１８ｃｍの間の範囲である。
【００３８】
案内カテーテル２０とバルーン拡張カテーテル１０とが、典型的に案内ワイヤー３８と組み合わせられて、血管形成術のようなバルーン拡張処置中に使用されるカテーテルの組合せを備え得ることが本技術の熟練者により認められるであろう、本発明により、カテーテルのこの組合せの相互作用は、医師の拡張及び／又は血管形成処置の実行をより容易にする。本発明による説明の移行用組立体１８がない場合は、脈管系又は心臓の中で案内カテーテルがその長さに沿ったきつい曲がりを有する位置において、バルーン拡張カテーテルに案内カテーテルを通過させたいときに困難の生ずる傾向がある。
【００３９】
本発明の移行用組立体１８はきつい曲がり又は湾曲をより容易に誘導でき、そして案内カテーテル２０の壁により小さい横向きの力を与える。
【００４０】
説明された本発明の実施例は本発明の便利の応用のあるものの説明であることが理解されるであろう。本発明の精神及び範囲から離れることなく本技術の熟練者により種々の変更を行うことができる。
【００４１】
本発明の実施態様は以下のとおりである。
【００４２】
１．手元側端部と末端側端部とを有しかつ手元側内腔を定めている高強度の手元側カニューレ、
案内ワイヤー用内腔、バルーン部材、及び手元側カニューレの手元側内腔と連通している膨張用内腔を有する全体として筒状の末端部組立体であって、膨張用内腔がバルーン内に開口し、手元側カニューレより大きい柔軟性を有する末端部組立体、及び
末端部組立体と手元側カニューレとの間に置かれかつこれらを長手方向で連結している移行用組立体であって、柔軟な曲がり変形の救援を提供し、更に強化用部材及び手元側カニューレと末端部組立体とに連結された移行チューブを有する前記移行用組立体
を備え、強化用部材は移行チューブの末端部に取り付けられた末端部を有し、更に強化用部材は手元側カニューレの末端部内に伸びかつこの中で浮動している手元側端部を有する
バルーン拡張カテーテル。
【００４３】
２．移行用組立体の強化用部材が平らなワイヤーである実施態様１による拡張カテーテル。
【００４４】
３．移行用組立体の強化用部材が円形断面の単線である実施態様１による拡張カテーテル。
【００４５】
４．強化用部材が捩られ又は一緒に組まれた複数のワイヤーを有する実施態様１による拡張カテーテル。
【００４６】
５．移行チューブの末端部分が強化用部材の末端部の近くに伸びかつ末端部組立体に固定される実施態様１による拡張カテーテル。
【００４７】
６．移行用組立体の移行チューブが手元側方向に伸びかつ手元側カニューレの末端部に固定される実施態様１による拡張カテーテル。
【００４８】
７．移行チューブの末端部分が末端部組立体に固定され、移行チューブが内面と外面とを有し、更に手元側カニューレの末端部が移行チューブの内面に固定され、一方、末端部組立体の手元側端部が移行チューブの外面に固定される実施態様６による拡張カテーテル。
【００４９】
８．移行チューブは、手元側カニューレに容易に接着できる材料の内面を有しかつ末端部組立体に容易に接着できる材料の外面を持っている共押出しチューブである実施態様７による拡張カテーテル。
【００５０】
９．一般に、移行用組立体が末端部組立体に固定された位置に手元側案内ワイヤーポートを更に有する実施態様１による拡張カテーテル。
【００５１】
１０．強化用部材が、末端部組立体の手元側端部より先に末端方向に伸びる実施態様１による拡張カテーテル。
【００５２】
１１．拡張処置に適した長さを有する案内カテーテルであって、末端部先端部分と内径を有する案内内腔とを持ち、前記末端部先端部分が末端の開口を有する前記案内カテーテル、
案内カテーテル内でのバルーン拡張カテーテルの長手方向摺動と案内カテーテルの末端開口部の開口から出ることとを許すために、各が案内カテーテルの内径より小さい外径を有する一連の構成要素を持っているバルーン拡張カテーテルであって、
手元側端部と末端側端部とを有しかつ手元側内腔を定めている高強度の手元側カニューレ、
案内ワイヤー用内腔、バルーン部材、及び手元側カニューレの手元側内腔と連通している膨張用内腔を有する全体として筒状の末端部組立体であって、膨張用内腔がバルーン内に開口し、末端部組立体が手元側カニューレより大きい柔軟性を有する前記末端部組立体、及び
末端部組立体と手元側カニューレとの間に置かれかつこれらを長手方向で連結している移行用組立体であって、柔軟な曲がり変形の救援を提供し、更に強化用部材及び強化用部材の一部分を囲んでいる移行チューブを有する移行用組立体を有し、更に
強化用部材が移行チューブの末端部に取り付けられた末端部を有し、かつ手元側カニューレ内に伸びかつこの中で浮動している手元側端部を持っている
前記バルーン拡張カテーテル
を備えたバルーン拡張カテーテルと案内カテーテルとのシステム。
【００５３】
１２．移行用組立体の強化用部材が単線である実施態様１１によるカテーテルシステム。
【００５４】
１３．移行用組立体の移行チューブが手元側カニューレの末端部に固定される実施態様１１によるカテーテルシステム。
【００５５】
１４．移行チューブの末端部分が末端部組立体に固定され、移行チューブは内面と外面とを有し、更に手元側カニューレの末端部が移行チューブの内面に固定され、一方、末端部組立体の手元側端部が移行チューブの外面に固定される実施態様１３によるカテーテルシステム。
【００５６】
１５．移行チューブが、手元側カニューレに容易に接着できる材料の内面を有しかつ末端部組立体に容易に接着できる外面を持っている共押出しチューブである実施態様１４によるカテーテルシステム。
【００５７】
１６．一般に、移行用組立体が末端部組立体に固定された位置に手元側案内ワイヤーポートを更に有する実施態様１１によるカテーテルシステム。
【００５８】
１７．拡張処置に適した長さを有する案内カテーテルであって、末端部先端部分及び内径と末端部開口とを有する案内内腔を有する前記案内カテーテルを調製し、
各が案内カテーテルの内径より小さい外径を有する一連の構成要素を有するバルーン拡張カテーテルであって、長い高強度の手元側カニューレ、バルーン部材を有する全体として筒状の末端部組立体、及び手元側カニューレと末端部組立体との間の移行用組立体を有し、移行用組立体が移行チューブにより囲まれた強化用部材を持っている前記バルーン拡張カテーテルを調製し、
案内カテーテルの先端が拡張処置に意図された部位の付近に置かれるように、案内カテーテルの一部分がきつく曲げられる間に患者の脈管系内の選定された位置に案内カテーテルを挿入し、
末端部組立体が案内カテーテル末端の先端部分の開口を通過しかつ少なくも部分的にこの開口から出ることと、同時に移行用組立体の移行チューブが曲げられた案内カテーテルの内面及び強化用部材の曲がりの内側と組み合うことを許しつつ、バルーン拡張カテーテルを、脈管系の中に挿入された案内カテーテル内にかつこれに関して摺動可能に位置決めし、そして
摺動可能な位置決め段階中、案内カテーテルがその選定された位置からの移動を避ける低い力を、強化用部材により案内カテーテルに加える
諸段階を含むバルーン拡張の実行方法。
【００５９】
１８．摺動可能な位置決め段階中、強化用部材が、曲げられた案内カテーテルの内面に実質的に相当する曲がりの形状に曲がる実施態様１７による方法。
【００６０】
１９．摺動可能な位置決め段階中、強化用部材及び移行チューブ組立体が、曲げられた案内カテーテルの内面に実質的に相当する曲がりの形状に曲がる実施態様１７による方法。
【００６１】
２０．摺動可能な位置決め段階中、強化用部材の手元側端部が、手元側カテーテルの末端部内で浮動し調節する実施態様１７による方法。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の原理による好ましいバルーン拡張カテーテルの部分的に図式的な一般的な立面図である。
【図２】図１に一般的に示されたカテーテルの移行部分を含み、案内カテーテル内に置かれ、部分的に切除され横断方向断面において示された拡大断面図である。
【図３】図１の線３−３に沿った断面図である。
【図４】図１の線４−４に沿った断面図である。
【図５】図１の線５−５に沿った断面図である。
【図６】図１のカテーテルの末端の先端部分の一般に図式的な部分図である。
【図７】図６の円形部分７の拡大断面図である。
【図８】図１の線８−８に沿った断面図である。
【符号の説明】
１０ カテーテル
１２ 手元側ハブ組立体
１４ チューブ
１６ 末端組立体
１８ 移行組立体
２０ 案内カテーテル
２２ バルーン
Claims (2)
- 手元側端部と末端側端部とを有しかつ手元側内腔を定めている高強度の手元側カニューレ、
案内ワイヤー用内腔、バルーン部材、及び手元側カニューレの手元側内腔と連通している膨張用内腔を有する全体として筒状の末端部組立体であって、膨張用内腔がバルーン内に開口し、手元側カニューレより大きい柔軟性を有する末端部組立体、及び
末端部組立体と手元側カニューレとの間に置かれ、かつこれらを長手方向で連結している移行用組立体であって、柔軟な曲がり変形の救援を提供し、更に強化用部材及び手元側カニューレと末端部組立体とに連結された移行チューブを有する移行用組立体、
を備え、強化用部材は、強化用部材の末端部近くにて移行チューブの末端部に取り付けられ、更に強化用部材は手元側カニューレの末端部内に伸び、かつこの手元側カニューレの中で浮動している手元側端部を有するバルーン拡張カテーテル。 - 拡張処置に適した長さを有する案内カテーテルであって、末端部先端部分と内径を有する案内内腔とを持ち、前記末端部先端部分が末端の開口を有する案内カテーテル、
案内カテーテル内でのバルーン拡張カテーテルの長手方向摺動と案内カテーテルの末端開口部の開口から出ることとを許すために、各々が案内カテーテルの内径より小さい外径を有する一連の構成要素を持っているバルーン拡張カテーテルであって、
手元側端部と末端側端部とを有し、かつ手元側内腔を定めている高強度の手元側カニューレ、
案内ワイヤー用内腔、バルーン部材、及び手元側カニューレの手元側内腔と連通している膨張用内腔を有する全体として筒状の末端部組立体であって、膨張用内腔がバルーン内に開口し、末端部組立体が手元側カニューレより大きい柔軟性を有する末端部組立体、及び
末端部組立体と手元側カニューレとの間に置かれ、かつこれら末端部組立体と手元側カニューレを長手方向で連結している移行用組立体であって、柔軟な曲がり変形の救援を提供し、更に強化用部材及び強化用部材の一部分を囲んでいる移行チューブを有する移行用組立体を有し、更に
強化用部材が、強化用部材の末端部近くにて移行チューブの末端部に取り付けられ、かつ手元側カニューレ内に伸び、かつこの手元側カニューレの中で浮動している手元側端部を持っているバルーン拡張カテーテル、
を備えた、バルーン拡張カテーテルと案内カテーテルとのシステム。
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