JP4790168B2 - 2−シアノアクリレート系瞬間接着剤用プライマー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2−シアノアクリレート系瞬間接着剤を用いて接着を行うにあたり、難接着性の被着材に対して接着力を顕著に向上させることのできるプライマー(すなわち、上記瞬間接着剤の適用に先立ち被着材を処理する前処理剤)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2−シアノアクリレート系瞬間接着剤は速硬化性を有するので、工業用、家庭用の接着剤として普及しているが、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂のような難接着性の被着材に対しては充分の接着力が得られない。そこで、接着に先立ち、被着材表面をプライマーで処理することがなされている。
【0003】
特公昭43−5004号公報においては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオキシエチレン、ポリ弗化エチレンなど2−シアノアクリレート系瞬間接着剤によっては接着性がほとんど示されない合成樹脂体に接着力を付与するために、これらの合成樹脂体の表面を予め無機塩基性物質または有機塩基性物質で処理する方法が提案されており、このうち無機塩基性物質の例として、苛性アルカリ、炭酸アルカリ、炭酸水素ナトリウム、水酸化カルシウムがあげられており、有機有機塩基性物質の例として、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピロリンがあげられている。
【0004】
特公昭47−8718号公報には、ベークライト、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、天然ゴムなどの基材を、予めジメチルアニリン、トリス[1−(2メチル)アジリディニール]フォスフィンオキサイドで処理する方法が開示されている。
【0005】
特公昭49−12094号公報には、ポリエステル、ナイロン、ポリアセタール、アルミニウムなどの基材を予めジエチルアミン、o−フェニレンジアミン、ジメチル−p−トルイジン、ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジエチルアニリン、トリクロルアセトアミド、コハク酸イミドで処理する方法が開示されている。
【0006】
特開昭59−66471号公報には、木材、紙、皮革の接着に際し瞬間接着剤の硬化促進を図る目的で、沸点50〜250℃のアミン化合物、脱臭剤および溶剤の3成分の均一溶液からなるシアノアクリレート系瞬間接着剤用硬化促進剤組成物が提案されており、アミン化合物の例として、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、イソプロピルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジメチル−o−トルイジン、ジメチルベンジルアミン、ピリジン、ピコリン、ビニルピリジン、エタノールアミン、プロパノールアミン、エチレンジアミンがあげられている。
【0007】
本出願人の出願にかかる特開昭62−18485号公報には、2,4−ルチジン、3,4−ルチジン、6−アミノ−2−ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジンおよび1−ビニルイミダゾールよりなる群から選ばれた化合物またはその溶剤溶液からなる2−シアノアクリレート系瞬間接着剤用プライマーが示されている。
【0008】
本出願人の出願にかかる特開昭62−18486号公報には、4−ビニルピリジンを必須成分とし、β−ピコリンまたは/および3,4−ルチジンを任意成分として含む化合物またはその溶剤溶液からなる2−シアノアクリレート系瞬間接着剤用プライマーが示されている。
【0009】
特開平3−207779号公報には、塩基性化合物、水可溶性有機溶剤および水の3成分を含有する瞬間接着剤用硬化促進剤組成物が示されており、塩基性化合物の例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、イソプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N−エチル−N−メチルトルイジン、N,N−ジエチルトルイジン、ジメチルベンジルアミン、ピリジン、ピコリン、ビニルピリジン、エタノールアミン、プロパノールアミン、エチレンジアミンがあげられている。
【0010】
特開平5−140512号公報には、N(R1 R2 R3 )またはR4 =N−R5 で示される塩基性物質を主成分とするシアノアクリレート系接着剤用下塗り剤が示されている。この塩基性物質の例は、トリエチルアミン、ジメチルラウリルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチル−4−メチルフェニルアミン、エチルフェニルベンジルアミン、エチルメチルベンジルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、トリフェニルアミン、ピリジン、N−エチルピペリジン、ビニルピペリジンである。
【0011】
本出願人の出願にかかる特開平6−57218号公報には、式R3 Nで表わされるアミン(ただし3つのRはいずれも炭化水素基)の炭化水素基のうち少なくとも1個の炭化水素基が炭素数8〜24の長鎖炭化水素基である第3級アミンを有効成分とする2−シアノアクリレート系瞬間接着剤用プライマーが示されている。
【0012】
そのほか、特公昭54−19416号公報、特公昭62−29471号公報、特公昭61−126190号公報、特開昭63−51489号公報、特開昭63−128090号公報、特開昭64−66222号公報にも上記に類似する含窒素化合物からなるプライマーが示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のうち水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基性物質を有効成分とするプライマーは、水性溶媒に溶解した形で使用できるという利点はあるものの、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂に対しては、プライマー効果が期待するほどには得られないという限界がある。
【0014】
また、上述の有機塩基性物質やアミン化合物の中には接着力が向上しないものも多数あり、殊に、最も難接着性の被着材とされているポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂や、シリコーン系樹脂に対しては、文献上は接着できたとあっても、実際に追試してみたときには、接着力がほとんど得られなかったり、接着力が不充分であることが多かった。
【0015】
本発明は、このような背景下において、難接着性の被着材であるポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンはもとより、最も難接着性の被着材とされているポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂に対してもすぐれた接着力を安定して発揮させることができる2−シアノアクリレート系瞬間接着剤用プライマーを提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の難接着性被着材用の2−シアノアクリレート系瞬間接着剤用プライマーは、アミン系有機化合物または第四級アンモニウム塩に属する有機含窒素化合物(A) と、無機塩基性化合物(B) との組成物(AB)を有効成分とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0018】
〈有機含窒素化合物(A) 〉
有機含窒素化合物(A) としては、アミン系有機化合物または第四級アンモニウム塩に属する化合物が用いられる。
【0019】
このうちアミン系有機化合物としては、脂肪族、脂環式、芳香族系の第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、窒素原子を環に有する複素環式化合物があげられる。アミン系有機化合物の例は、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジラウリルアミン、ジステアリルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、トリステアリルアミン、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、N,N’−ビス(ヒドロシキエチル)ジエチレントリアミン、トリアリルアミン等の脂肪族アミン;シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;アニリン、N−メチルアニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジブチルアニリン、トルイジン、N−エチルトルイジン、ジメチルトルイジン、ジエチルトルイジン、フェニレンジアミン、キシレンジアミン、ベンジルアミン、エチルベンジルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、トリベンジルアミン、N−ベンジルエチレンジアミン、アミノフェノール、2,6−ジメチル−4−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、m−メチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の芳香族アミン;ピロール、N−メチルピロール、ピロリン、1−メチルピロリジン、インドール、カルバゾール、ピリジン、メチルピリジン、ジメチルピリジン、6−アミノ−2−ピコリン、ピペリジン、キノリン、ピペラジン、イミダゾール等の含窒素複素環化合物などである。
【0020】
第四級アンモニウム塩に属する化合物としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2−トリデシル−(2−ヒドロキシエチル)−ベンジルイミダゾリニウム、1−エチルピリジウムブロマイド、セチルピリジウムクロライド、モノメチルトリヒドロキシエチルアンモニウムなどが例示される。
【0021】
〈無機塩基性化合物(B) 〉
無機塩基性化合物(B) としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが例示される。
【0022】
〈組成物(AB)〉
組成物(AB)は、上述の有機含窒素化合物(A) と無機塩基性化合物(B) とからなる。有機含窒素化合物(A) 、無機塩基性化合物(B) のそれぞれは、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
組成物(AB)中の有機含窒素化合物(A) と無機塩基性化合物(B) との割合は、重量比で、1:0.05〜1:50、特に1:0.1 〜1:20、なかんずく1:0.2 〜1:10とすることが望ましい。無機塩基性化合物(B) の割合が余りに少ないとき(有機含窒素化合物(A) の割合が余りに多いとき)は接着性の改善効果が不足し、一方、無機塩基性化合物(B) の割合が余りに多いとき(有機含窒素化合物(A) の割合が余りに少ないとき)は難接着性の被着材に対する接着性が低下する。
【0024】
〈プライマー〉
プライマーは、上記の組成物(AB)を溶媒に溶解ないし分散した溶液ないし分散液の形で用いられる。このときの組成物(AB)の濃度は、特に限定はないものの、 0.001〜20重量%、通常は0.01〜10重量%、好ましくは0.02〜5重量%、殊に0.03〜3重量%の濃度の溶液ないし分散液とすることが適当である。濃度が極端に低いときはプライマー効果が不足することがあり、濃度が極端に高いときは、かえって接着強度が低下することがあり、またコスト的にも不利となる。
【0025】
ここで溶媒としては、有機溶剤、水、または有機溶剤と水との混合溶媒が用いられる。上記のうち有機溶剤としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等)、炭化水素類(n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン等)、セロソルブ類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等)、含フッ素溶剤、含塩素溶剤、含窒素溶剤などが用いられる。有機溶剤を単独で用いる場合、有機溶剤を水との混合溶媒として用いる場合のいずれにあっても、有機溶剤を2種以上併用することもできる。
【0026】
有機含窒素化合物(A) と無機塩基性化合物(B) との共通溶媒がないときは、たとえば、片方を有機溶剤または有機溶剤を主体とする溶媒に溶解し、他方を水または水を主体とする溶媒に溶解し、両溶液を界面活性剤等を用いて油中水型や水中油型の乳化状態にしてプライマーとすることができる。
【0027】
上記の組成物(AB)からなる本発明のプライマーには、もし必要なら、賦香剤、着色剤、安定剤、可塑剤、増粘剤、防腐剤、抗菌剤などを加えることもできる。
【0028】
〈被着材〉
上記プライマーで処理する被着材としては、極性材料、非極性材料の如何を問わず任意の材質の材料があげられ、被着材を上記プライマーで処理することにより、同種の被着材または異種の被着材の接着が可能となる。
【0029】
これらの被着材のうち難接着性の被着材の例としては、
・ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム(エチレン−プロピレンターポリマー)、ポリブテン−1等のポリオレフィン系樹脂、
・シリコーン系樹脂、
・ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素系樹脂、
・ポリオキシメチレン(ポリアセタール)、
・ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、
・ポリアミド
などがあげられる。
【0030】
殊に、ポリオレフィンはもとより、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂や、シリコーン系樹脂のように、従来は2−シアノアクリレート系瞬間接着剤では接着できないか接着強度の著しく劣る被着材であっても、それら材料同士の接着、あるいはこれらの材料と極性基材との接着にも適用でき、かつ有効な接着力が得られる点が、本発明の特徴でもある。
【0031】
〈被着材に対するプライマーの塗布法〉
本発明のプライマーは、瞬間接着剤の適用に先立って被着材の被接着面に塗布され、ついで2−シアノアクリレート系瞬間接着剤を用いて接着がなされる。
【0032】
被着材に対するプライマーの塗布法としては、筆、布帛、紙、スポンジ、ローラー等による塗布、スプレーによる塗布、浸漬による塗布などの手段がいずれも採用される。
【0033】
〈2−シアノアクリレート系瞬間接着剤〉
2−シアノアクリレート系瞬間接着剤としては、アルキル 2−シアノアクリレート、シクロアルキル 2−シアノアクリレート、アルコキシアルキル 2−シアノアクリレート、アルケニル 2−シアノアクリレート、アルキニル 2−シアノアクリレートなどの2−シアノアクリレートを主剤とし、必要に応じ、重合防止剤、安定剤、増粘剤、耐熱性付与剤、可塑剤、着色剤、チクソトロピー性改善剤、pH調整剤、エチレンカーボネート、有機溶剤、フィラー、増粘目的以外の合成樹脂などを含んだものが用いられる。
【0034】
〈作用〉
上述の有機含窒素化合物(A) 単独を有効成分とするプライマーでは、有機含窒素化合物(A) の種類によってはプライマー効果が不足するものが多数あり、またプライマー効果が良いものであっても、最も難接着性の被着材とされているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂や、シリコーン系樹脂に対しては、プライマー効果が不足する傾向がある。また、上述の無機塩基性化合物(B) 単独を有効成分とするプライマーでは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂に対しては、プライマー効果が期待するほどには得られない。
【0035】
しかるに、有機含窒素化合物(A) と無機塩基性化合物(B) との組成物(AB)を有効成分とする本発明のプライマーを瞬間接着剤の適用に先立って被着材の被接着面に塗布し、ついで2−シアノアクリレート系瞬間接着剤を用いて接着を行うと、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂を問わず、安定してすぐれたプライマー効果が発揮されるという予期せぬ結果が得られる。
【0036】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。
【0037】
〈材料の準備〉
次の材料を準備した。
【0038】
(有機含窒素化合物(A) )
A-01: N,N−ジメチル−p−トルイジン
A-02: m−アミノフェノール
A-03: オクチルアミン
A-04: N,N’,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
A-05: 2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール
A-06: ジエタノールアミン
A-07: γ−メチルピリジン
A-08: 1−メチルピロリジン
A-09: 塩化ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド
A-10: トリベンジルアミン
A-11: ジシクロヘキシルアミン
【0039】
(無機塩基性化合物(B) )
NaOH: 水酸化ナトリウム
KOH: 水酸化カリウム
LiOH: 水酸化リチウム
Na-sil: ケイ酸ナトリウム
Na2CO3: 炭酸ナトリウム
Ca(OH)2:水酸化カルシウム
【0040】
(溶媒)
H2O: 水
EtOH: エタノール
MeOH: メタノール
Gly: グリセリン
Xyl: キシレン
MPr: プロピオン酸メチル
MCyc: メチルシクロヘキサン
【0041】
(試験片(被着材))
試験片(被着材)として下記のものを準備した。試験片の大きさは、巾25mm、長さ50mmである(厚みは後記)。各試験片は、試験に供する前に脱脂のみ行った(コロナ放電処理などは行っていない)。
HDPE: 厚み2mmの高密度ポリエチレン板
LDPE: 厚み2mmの低密度ポリエチレン板
PP: 厚み2mmのポリプロピレン板
silic: 厚み1mmのシリコーンゴムシート
PTFE: 厚み 0.1mmのポリテトラフルオロエチレンシート
【0042】
(瞬間接着剤)
接着試験に供する2−シアノアクリレート系瞬間接着剤としては、
(C-1) : 株式会社アルテコ(旧名称は株式会社アルファ技研)製のエチル 2−シアノアクリレート系瞬間接着剤「アルテコD」(粘度3cps/25℃)
を用いた。
【0043】
実施例1〜8、比較例1〜8、対照例1
〈プライマーの調整〉
上述の材料を用いて、後述の実施例および比較例のためのプライマーを調製した。
【0044】
〈プライマー処理と接着〉
プライマーをごく少量ガーゼにつけた状態で試験片(被着材)を拭い、そのようにプライマー処理した2枚の試験片のうちの一方の試験片にすみやかに瞬間接着剤を1滴滴下し、両試験片が1/2インチオーバーラップするように重ね合わせた状態で室温で1日養生し、後述の引張剪断接着強さを測定した。
【0045】
〈引張剪断接着強さ〉
引張剪断接着強さは、株式会社島津製作所製のオートグラフ「AG−20KNE」を用いて、JIS K6861 に準拠して、引張速度20mm/minで測定した。
【0046】
〈条件および結果〉
条件および結果を表1に示す。
・引張剪断強さは、試験片を各5個用いて測定したときの平均値である。
・表1の引張剪断強さの数値の右肩の#印は、「材料破壊」の意味である。
・表1の対照例は、プライマーによる処理を行うことなく、そのまま試験片を瞬間接着剤で接着した場合である。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例9〜10、比較例9〜10
有機含窒素化合物(A) として塩化ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(A-09)を用い、無機塩基性化合物(B) として水酸化カリウム(KOH) を用い、前者0.25g(または0.75g)と後者0.75g(または0.25g)とを、エタノールとメタノールとの重量比で87:13の混合溶媒100gに溶解して、プライマーを調整した。
【0049】
被着材として厚み1mmのシリコーンゴムシート(silic) および厚み 0.1mmのポリテトラフルオロエチレンシート(PTFE)を用い、上記で調整したプライマーを用いて処理した後、瞬間接着剤を滴下して接着を行い、引張剪断接着強さを測定した。条件は先に述べたのと同様である。結果を表2に示す。引張剪断強さの数値の右肩の#印は、「材料破壊」の意味である。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例11、比較例11
有機含窒素化合物(A) としてのトリベンジルアミン(A-10) 0.40 gを、キシレン(Xyl) 20gとプロピオン酸メチル(MPr) 10gの混合溶剤に溶解した。この溶液を、ポリオキエチレン(20)ソルビタントリオレート(界面活性剤)0.20gと水酸化ナトリウム(NaOH)(無機塩基性化合物(B) )0.60gとを水70gに溶解した水溶液中に加えて、ディスパーで撹拌したところ、直ちに乳化液が得られた。
【0052】
以下、実施例1の場合と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
実施例12、比較例12
有機含窒素化合物(A) としてのジシクロヘキシルアミン(A-11) 0.50 gを、メチルシクロヘキサン(MCyc)70gの混合溶剤に溶解した。この溶液に、フッ素系界面活性剤(株式会社トーケムプロダクツ製の「EF−112」)0.20gと水酸化ナトリウム(NaOH)(無機塩基性化合物(B) )0.40gとを水30gに溶解した水溶液を加えて、ディスパーで撹拌したところ、直ちに乳化液が得られた。
【0055】
以下、実施例1の場合と同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】
【発明の効果】
有機含窒素化合物(A) と無機塩基性化合物(B) との組成物(AB)を有効成分とする本発明のプライマーで被着材を処理してから2−シアノアクリレート系瞬間接着剤を適用するときは、難接着性の被着材であるポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンはもとより、最も難接着性の被着材とされているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂に対してもすぐれた接着力を安定して発揮させることができる。このようなプライマー効果は、有機含窒素化合物(A) のみあるいは無機塩基性化合物(B) のみを有効成分とするプライマーの不充分なプライマー効果からは到底予期しえないことである。
Claims (4)
- アミン系有機化合物または第四級アンモニウム塩に属する有機含窒素化合物(A) と、無機塩基性化合物(B) との組成物(AB)を有効成分とする難接着性被着材用の2−シアノアクリレート系瞬間接着剤用プライマー。
- 組成物(AB)中の有機含窒素化合物(A) と無機塩基性化合物(B) との割合が、重量比で、1:0.05:〜1:50である請求項1記載のプライマー。
- 組成物(AB)を溶媒に溶解ないし分散した 0.001〜20重量%濃度の溶液ないし分散液からなる請求項1記載のプライマー。
- 界面活性剤を含んでいる請求項1記載のプライマー。
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