JP4788207B2 - セルロースエステル光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
未加熱の下記セルロースエステル群から選ばれる少なくとも1種のセルロースエステルA、加熱溶融済みの下記回収セルロースエステル群から選ばれる少なくとも1種の回収セルロースエステルB及び添加剤として、少なくとも下記一般式(1)または一般式(3)で表される化合物を含有する混合物を加熱溶融押出しするセルロースエステル光学フィルムの製造方法であって、該セルロースエステルAと回収セルロースエステルBとの混合比率(セルロースエステルA:回収セルロースエステルB)が、90:10〜95:5であり、下式(1)で表されるイエローインデックス(YI)値の変動比が、−0.5以上、0.0以下であり、YI 2 が2.4以下であることを特徴とするセルロースエステル光学フィルムの製造方法。
イエローインデックス(YI)値の変動比=(YI1−YI2)/YI1
〔式中、YI1はセルロースエステルとして未加熱のセルロースエステルAのみを用いて製膜したセルロースエステル光学フィルムのYI値であり、YI2はセルロースエステルとして未加熱のセルロースエステルA及び回収セルロースエステルBを用いて製膜したセルロースエステル光学フィルムのYI値である。〕
セルロースエステル群:セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート及びセルロースフタレート
回収セルロースエステル群:セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート及びセルロースフタレート
なお、本発明のセルロースエステル光学フィルムの製造方法において、回収セルロースエステルの添加比率は、一概に特定の範囲に決定されるものではなく、使用する回収セルロースエステルの光学特性(例えば、加熱溶融処理回数、加熱温度に依存する着色度)に準じて、イエローインデックス(YI)値の変動比が−0.5以上、0.0以下の範囲内となるようにその添加比率が適宜決定されるが、本発明においては、得られるセルロースエステルの光学特性、機械特性と省資源化の効率を考慮すると、イエローインデックス(YI)値の変動比は−0.5以上、−0.10以下であることが好ましく、より好ましく−0.50以上、−0.20以下であり、更に好ましくは−0.40以上、−0.20以下である。また、本発明においては、より着色度の低い回収セルロースを用いて、高い混合比率を達成する観点からは、使用する回収セルロースが既に受けている加熱溶融回数としては、3回以下であることが好ましく、より好ましくは2回以下であり、特に好ましくは1回である。
(溶融流延法)
本発明のセルロースエステル光学フィルムは、溶融流延によって形成されたセルロースエステルフィルムである。本発明における溶融流延とは、有機溶媒等を用いずに、セルロースエステルを流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースエステルを流延する方法である。
本発明のセルロースエステル光学フィルムの製造方法においては、本発明に係る未加熱のセルロースエステルA及び加熱溶融済みの回収セルロースエステルBは、同種であっても異種であってもよいが、安定した品質が得られる観点からは、同種のセルロースエステルとすることが好ましい。
2.6≦X+Y≦3.0
式(II)
0≦X≦2.5
特に、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、より好ましくは1.9≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦0.9である。上記アシル基で置換されていない部分は、通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。
本発明における回収セルロースエステルとは、溶融流延法で製造されるセルロースエステル光学フィルムにおいて、少なくとも1回の加熱溶融処理が施されたセルロースエステルであり、最終的に製品フィルムとして使用されないものをいい、セルロースエステル単体または2種以上のセルロースエステルの混合物の他に、可塑剤や酸化防止剤といった添加剤または他の高分子材料を含有していてもよい。回収セルロースエステルとしては、例えば、
1)所望の特性を備えていない部分、例えば、製膜開始直後や条件調整時期に製膜したセルロースエステルフィルム、
2)広幅のセルロースエステルフィルムを製膜する際、延伸時にテンター等の把持部分や両端部に付与したナーリング加工部分、
3)広幅原反を規定の幅にスリッティングする際に生じる端部や切り屑、
4)セルロースエステルフィルムの基準を満たしていない不良品や、故障の発生箇所等の製膜された後、製品に供さない部分、
5)ロール状に積層したセルロースエステル光学フィルムの加工時に、ロールの芯部に残った部分、
等であり、返材とも呼ばれている。
本発明のセルロースエステル光学フィルムの製造方法では、未加熱のセルロースエステルA、加熱溶融済みの回収セルロースエステルB及び少なくとも1種の添加剤を含有する混合物(以下、フィルム構成材料ともいう)を加熱溶融押出して得られる。該添加剤としては、特に制限はないが、可塑剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、過酸化物分解剤、ラジカル捕捉剤、金属不活性化剤、紫外線吸収剤、マット剤及び染料から選ばれる少なくとも1種であることが特徴である。
上記の空気中の酸素濃度を低減させる手段としては、例えば、不活性ガスとして窒素やアルゴンを使用する方法、減圧〜真空により脱気操作を行う方法、密閉環境下による製膜操作が挙げられる。本発明のセルロースエステル光学フィルムの製造方法において、成膜過程は、添加剤を存在させると共に、上記3つの手段のうち、少なくとも1つの方法を併用することが好ましい。
本発明のセルロースエステル光学フィルムでは、可塑剤として知られる化合物を添加することにより、機械的特性の向上、柔軟性の付与、耐吸水性の付与、水分透過率の低減等の光学フィルムに求められる主要特性を向上あるいは維持することができる。
本発明のセルロースエステル光学フィルムに適用可能な酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。その中でも、ヒンダードフェノール酸化防止剤化合物がより好ましく、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載されているものなどの、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。
本発明のセルロースエステル光学フィルムに適用可能な酸捕捉剤としては、米国特許第4,137,201号明細書に記載されているエポキシ化合物を含む酸補足剤を挙げることができる。このような酸捕捉剤としてのエポキシ化合物は、当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシドなどの縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金属エポキシ化合物、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、4,4′−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン等)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、炭素数2〜22、脂肪酸2〜4個程度のアルキルのエステル、例えば、ブチルエポキシステアレート等)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリド(例えば、エポキシ化大豆油などの組成物によって代表されるエポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらは時としてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している))が含まれる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)が挙げられ、これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含まれる。
本発明のセルロースエステル光学フィルムに適用する紫外線吸収剤としては、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、その中でも、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
本発明のセルロースエステル光学フィルムでは、滑り性を付与するためにマット剤等の微粒子を添加することができ、微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
上記マット剤として用いられる微粒子は、別の目的として、フィルムの強度向上のために用いることもできる。また、微粒子が複屈折性を有する場合、例えば、国際公開番号WO01/025264号パンフレットや特開2004−35347号公報に記載の微粒子を挙げることができる。また、リターデーションの発現方法を活用して、延伸工程により本発明のセルロースエステル光学フィルム中で微粒子が配向することによって、セルロースエステルと該微粒子との各々由来のリターデーション値を複合することができることから、液晶表示装置の表示品質向上のために用いてもよい。
本発明のセルロースエステル光学フィルムにおいては、上記説明した各添加剤の他に、過酸化物分解剤、ラジカル捕捉剤、金属不活性化剤、染料、顔料を添加剤として用いることが好ましい。これらは、特開平3−199201号公報、特開平5−1907073号公報、特開平5−194789号公報、特開平5−271471号公報、特開平6−107854号公報などに記載されている。
過酸化物分解剤としては、ラジカル連鎖禁止剤が好ましく、特に、前記のヒンダードフェノール系或いはヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。また、2種以上のものを併用してもよく、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤とチオエーテル類の酸化防止剤との併用も良い。更に、分子中に上記構造単位、例えば、ヒンダードフェノール構造単位とヒンダードアミン構造単位を含んでいるものも好ましい例として挙げることができる。具体的化合物としては、例えば、特開平5−194788号公報に記載の一般式(A−I)、(A−II)、(A−III)で表される化合物を挙げることができる。
本発明においてラジカル捕捉剤とは、化学反応過程で生成する活性な遊離基と反応して不活性化する物質であり、広い意味では重合禁止剤も含まれる。具体的には、ヨウ素、塩化鉄(III)、塩化第一銅、クロルアニル、テトラエチル−p−フェニレンジアミンなどが好ましい。なお、ラジカル捕捉剤については、J.C.Bevington著「ラジカル重合」東京化学同人(1966)、特開平5−194788号、特開平8−15520号および同8−20604号に詳しい記載があり、それらを参考にすることができる。
金属不活性化剤としては、例えば、特開平5−194788号公報に記載の一般式(C−I)、(C−II)、(C−III)で表される化合物を挙げることができ、また、市販品としては、例えば、NAUGARD XL−1(ユニロイヤル)、MARK CDA−1(アデカ・アーガス)、MARK CDA−6(アデカ・アーガス)、IRGANOX MD−1024(チバガイギー)、CU−NOX(三井東圧)等が挙げられる。
本発明においては、フィルムの色味を調整するために、例えば、青色染料等を添加剤として用いてもよい。好ましい染料としてはアンスラキノン系染料が挙げられる。アンスラキノン系染料は、アンスラキノンの1位から8位迄の位置に任意の置換基を有することが出来る。好ましい置換基としては、置換されても良いアニリノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、または水素原子が挙げられる。これらの染料のフィルムへの添加量はフィルムの透明性を維持するため0.1〜1000μg/m2、好ましくは10〜100μg/m2である。また、顔料に関しても、公知の顔料から目的に応じて適宜選択して用いることができる。
本発明の光学フィルムはセルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーを適宜選択して混合してもよい。前述の高分子材料やオリゴマーはセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であることが好ましい。セルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーの少なくとも1種以上を混合する目的は、加熱溶融時の粘度制御やフィルム加工後のフィルム物性を向上するために行う意味を含んでいる。この場合は、上述のその他添加剤として含むことができる。
本発明のセルロースエステル光学フィルムの製造に際しては、本発明に係るセルロースエステルA、添加剤、高分子材料、回収セルロースエステルB等は、加熱溶融前または加熱溶融時に乾燥状態にあることが望ましい。ここでいう乾燥とは、溶融材料のいずれかが吸湿した水分の他に、セルロースエステルと添加剤の混合物の調製時に用いた水または溶媒、あるいは添加剤の合成時に混入している溶媒のいずれかを除去する操作を指す。
本発明のセルロースエステル光学フィルムの製造方法は、例えば、バージンセルロースエステルA、添加剤及び回収セルロースエステルBの混合物を、熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、T型ダイよりフィルム状に押出して、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得る。冷却ドラムの温度は90〜150℃に維持されていることが好ましい。
本発明のセルロースエステル光学フィルムの製造に際し、延伸前または延伸後で帯電防止層、ハードコート層、易滑性層、易接着層、防眩層、バリアー層、光学補償層等の機能性層を塗設してもよい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。
溶融流延法による本発明のセルロースエステル光学フィルムの製造方法において、フィルム構成材料とは、フィルムを構成するセルロースエステルA、回収セルロースエステルB、添加剤、例えば、可塑剤、酸化防止剤等が挙げられ、必要に応じて紫外線吸収剤、滑り剤としてマット剤やフィルムの強度や光学的の制御のために上記微粒子を添加してもよく、また上述のリターデーション制御剤を添加してもよい。
次に延伸工程について説明する。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
ここにおいて、dはフィルムの厚み(nm)、屈折率nx(フィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう)、ny(フィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折率)、nz(厚み方向におけるフィルムの屈折率)である。
本発明において、光学フィルムとは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種表示装置に用いられる機能フィルムのことであり、特に偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルム等を含む。
偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本発明のセルロースエステル光学フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した光学フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも本発明の光学フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本発明の光学フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは市販のセルロースエステルフィルム(偏光板保護フィルム、位相差フィルム)を用いることが出来る。例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UY−HA、KC8UX−RHA(以上、コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。或いは更にディスコチック液晶、棒状液晶、コレステリック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることも好ましい。例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。本発明の光学フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることが出来る。或いは、セルロースエステルフィルム以外の環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート等のフィルムをもう一方の面の偏光板保護フィルムとして用いてもよい。この場合は、ケン化適性が低い為、適当な接着層を介して偏光板に接着加工することが好ましい。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光板保護フィルム、位相差フィルムは平面性・リターデーションの均一性が高いため、どの部位に配置しても優れた表示性が得られる。液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには、クリアハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられた偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが好ましい。また光学補償層を設けた位相差フィルムや、延伸操作等によりそれ自身に適切な光学補償能を付与した位相差フィルムの場合には、液晶セルと接する部位に配置することで、優れた表示性が得られる。特にマルチドメイン型の液晶表示装置、より好ましくは複屈折モードによってマルチドメイン型の液晶表示装置に使用することが本発明の効果をより発揮することが出来る。
〔セルロースエステルA〕
下記の2種類のバージンセルロースエステルを準備した。
A−2:セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8、重量平均分子量198000)
なお、上記の重量平均分子量は、GPC HLC−8220(東ソー社製)を用いた測定により得られた値である。
下記の2種類の可塑剤を用いた。
P−2:アデカスタブPFR(旭電化社製)
P−3:ペンタエリスリトールテトラベンゾエート(アルドリッチ社製)
〔酸化防止剤〕
下記の2種類の酸化防止剤を用いた。
C−2:IRGANOX−1010(チバスペシャルティケミカルズ社製)
〔回収セルロースエステルBの調製〕
(回収セルロースエステルB−1の調製)
120℃で3時間減圧乾燥したセルロースエステルA−1の90質量部と、可塑剤P−1の10質量部とを混合し、2軸溶融押出機を用い、溶融温度280℃、スクリュー回転数400rpmの溶融条件で混合物を調製した。この混合物を粉砕、ペレット化し、回収セルロースエステルB−1を得た。
120℃で3時間減圧乾燥したセルロースエステルA−2の95質量部と、可塑剤P−2の4質量部と、酸化防止剤のC−1の1質量とを混合し、2軸溶融押出機を用い、溶融温度280℃、スクリュー回転数400rpmの溶融条件で混合物を調製した。この混合物を粉砕、ペレット化し、回収セルロースエステルB−2を得た。
〔フィルムAの作製〕
90℃で5時間減圧乾燥したバージンセルロースエステルAであるセルロースエステルA−1の90質量部と、可塑剤P−1の10質量部と、酸化防止剤C−1の1質量部とを混合し、2軸溶融押出機を用い、溶融温度240℃、スクリュー回転数500rpmの溶融条件で溶融した。この溶融物を膜厚80μmとなるようにTダイよりドラム上に流延し、剥離、巻取りを行い、フィルムAを得た。
上記フィルムBの作製において、バージンセルロースエステルA、可塑剤及び酸化防止剤の種類を、表1に記載のように変更した以外は同様にして、フィルムB〜Hを作製した。
上記作製したセルロースエステルA単独の各フィルムについて、Spectrophotometer U−3200(日立製作所社製)を用い、JIS K 7103に定められるフィルムのYI(Yellowness Index:黄色みの指数)を下記式により求めた。
ここで、X、Y及びZはJIS Z 8701に定められた光源色の三刺激値である。
下記の方法に従って、バージンセルロースエステルA及び回収セルロースエステルBを用いて、セルロースエステル光学フィルムであるフィルム1〜30を作製した。
90℃で5時間減圧乾燥したバージンセルロースエステルAであるセルロースエステルA−1の85.5質量部と、回収セルロースエステルB−1の4.5質量部(セルロースエステルAと回収セルロースエステルBの混合比=95:5)と、可塑剤P−1の10質量部と、酸化防止剤C−1の1質量部とを混合し、2軸溶融押出機を用い、溶融温度240℃、スクリュー回転数500rpmの溶融条件で溶融した。この溶融物を膜厚80μmとなるようにTダイよりドラム上に流延し、剥離、巻取りを行い、フィルム1を得た。
フィルム1の作製において、セルロースエステルAの種類、回収セルロースエステルBの種類とそれらの混合比率、可塑剤の種類、酸化防止剤の種類、溶融温度及びスクリュー回転数を、表2に記載のように変更した以外は同様にして、フィルム2〜30を作製した。
上記作製した各セルロースエステル光学フィルムについて、Spectrophotometer U−3200(日立製作所社製)を用い、JIS K 7103に定められるフィルムのYI(Yellowness Index:黄色みの指数)を下記式により求めた。
ここで、X、Y及びZはJIS Z 8701に定められた光源色の三刺激値である。
上記作製したセルロースエステル光学フィルムであるフィルム1〜30と、セルロースエステルA単独で作製したフィルムA〜Hについて、下記の各評価を行った。
上記フィルム1〜30、フィルムA〜Hの作製において、回収セルロースエステルBの使用比率を尺度とし、下記の基準に従って資源の有効活用率を判定した。
○:回収セルロースエステルBの使用比率が10%以上、15%未満である
△:回収セルロースエステルBの使用比率が1%以上、10%未満である
×:回収セルロースエステルBを全く使用していない
〔イエローインデックス(YI)値の変動比の測定〕
表1に記載のセルロースエステルA単独のフィルムのイエローインデックス値(YI1)及び表2に記載のセルロースエステル光学フィルムのイエローインデックス値(YI2)より、下式に従ってイエローインデックス(YI)値の変動比を求めた。
なお、イエローインデックス(YI)値の変動比は、0に近い程、セルロースエステルA単独のフィルムのイエローインデックス(黄色味)に近似しており、回収セルロースエステルBを併用しても光学特性への影響が小さいことを表す。
上記測定したセルロースエステル光学フィルムのイエローインデックス値(YI2)を、下記のランクに分類した。
○:YI2値が、2.0以上、2.5未満
△:YI2値が、2.5以上、3.0未満
×:YI2値が、3.0以上、5.0未満
××:YI2値が、5.0以上
〔寸法安定性の評価:熱収縮率の測定〕
下記の方法に従って熱収縮率を測定し、これを寸法安定性の尺度とした。
◎:熱収縮率が、0.03%以下
○:熱収縮率が、0.04%以上、0.06%以下
△:熱収縮率が、0.07%以上、0.09%以下
×:熱収縮率が、0.10%以上、0.15%以下
××:熱収縮率が、0.16%以上
以上により得られた結果を、表3に示す。
実施例1に記載のフィルム1〜30の作製において、セルロースエステルとしてセルロースアセテートプロピオネートを、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースフタレートにそれぞれ変更した以外は同様にして各フィルムを作製し、実施例1に記載の方法と同様にして評価を行った結果、イエローインデックス(YI)値の変動比を−0.5以上、0.0以下とした本発明のフィルムは、実施例1に記載の結果と同様に、回収セルロースの有効利用率を高めることができると共に、光学特性(黄ばみ度)及び寸法安定性が、バージンセルロースエステルを用いたフィルムA〜Hとほぼ同等レベルを維持していることを確認することができた。
実施例1に記載のフィルム1〜30の作製において、下記の各添加剤を添加した以外は同様にして各フィルムを作製し、実施例1に記載の方法と同様にして評価を行った結果、イエローインデックス(YI)値の変動比を−0.5以上、0.0以下とした本発明のフィルムは、実施例1に記載の結果と同様に、回収セルロースの有効利用率を高めることができると共に、光学特性(黄ばみ度)及び寸法安定性が、バージンセルロースエステルを用いたフィルムA〜Hとほぼ同等レベルを維持していることを確認することができた。
光安定剤:ヒンダードアミン光安定剤
過酸化物分解剤:特開平5−194788号公報に記載の一般式(A−I)で表される化合物
ラジカル捕捉剤:テトラエチル−p−フェニレンジアミン
金属不活性化剤:IRGANOX MD−1024(チバガイギー社製)
紫外線吸収剤:チヌビン(TINUVIN)171(チバ−スペシャルティ−ケミカルズ社製)
染料:アンスラキノン系青味染料
Claims (1)
- 未加熱の下記セルロースエステル群から選ばれる少なくとも1種のセルロースエステルA、加熱溶融済みの下記回収セルロースエステル群から選ばれる少なくとも1種の回収セルロースエステルB及び添加剤として、少なくとも下記一般式(1)または一般式(3)で表される化合物を含有する混合物を加熱溶融押出しするセルロースエステル光学フィルムの製造方法であって、該セルロースエステルAと回収セルロースエステルBとの混合比率(セルロースエステルA:回収セルロースエステルB)が、90:10〜95:5であり、下式(1)で表されるイエローインデックス(YI)値の変動比が、−0.5以上、0.0以下であり、YI2が2.4以下であることを特徴とするセルロースエステル光学フィルムの製造方法。
式(1)
イエローインデックス(YI)値の変動比=(YI1−YI2)/YI1
〔式中、YI1はセルロースエステルとして未加熱のセルロースエステルAのみを用いて製膜したセルロースエステル光学フィルムのYI値であり、YI2はセルロースエステルとして未加熱のセルロースエステルA及び回収セルロースエステルBを用いて製膜したセルロースエステル光学フィルムのYI値である。〕
セルロースエステル群:セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート及びセルロースフタレート
回収セルロースエステル群:セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート及びセルロースフタレート
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