JP4787706B2 - 構造発色材料 - Google Patents

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Description

本発明は、可視領域の波長の着色光を発する構造発色材料に関する。更に詳しくは、セラミックスからなり、耐湿熱特性を有することから耐久性に優れ、発色性に優れた構造発色材料に関する。
従来、周期的な屈折率の変調により構造発色する材料は、フォトニック結晶として広く知られている。一般に、フォトニック結晶はフェムト秒レーザー加工等の超微細光造形法や、コロイド結晶の配列周期制御等によって作製されるものであり、優れた光学特性を有している。しかしながら、これらの方法は、作製に非常に長時間を有したり、特殊な容器を必要とする等のさまざまな問題が存在していた。
これに対して、有機高分子からなる材料を用いて、エレクトロスピニング法(静電紡糸法)により従来の繊維よりも細い繊維を作製し、構造発色材料を得ることが提案されている。
ここで、エレクトロスピニング法(静電紡糸法)とは、有機高分子等の繊維形成性の溶質を溶解させた溶液に、高電圧を印加して帯電させることにより、溶液を電極に向かって噴出させ、噴出によって溶媒が蒸発することから、極細の繊維構造体を簡便に得ることのできる方法である(特許文献1参照)。
そして、特許文献2には、エレクトロスピニング法を用いて作製したポリエチレンオキシドからなる繊維の積層体が、そのウッドパイル様の構造により、構造発色機能を有することが記載されている。
特開2002−249966号公報 特開2006−022463号公報
しかしながら、特許文献2に記載された構造発色材料は、ポリエチレンオキシドからなるため、水分や熱によって容易に構造が変化してしまい、実用に際して耐久性に問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐湿熱特性を有するため耐久性に優れ、発色性に優れた構造発色材料を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討を重ねた。その結果、極細繊維をセラミックスで構成し、当該繊維の集合体を形成することにより、耐湿熱特性に優れ、発色性にも優れた構造発色材料を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、繊維の集合体で構成された材料であって、前記繊維はセラミックスからなり、かつ、平均繊維径が50nm以上1000nm以下であり、可視領域の波長の着色光を発する構造発色材料である。
本発明の構造発色材料は、セラミックスで構成されるため、耐湿熱特性を有することから耐久性に優れ、また、発色性にも優れたものである。したがって、本発明の構造発色材料は、各種発色材料やカラーフィルター等として非常に有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<構造発色材料>
本発明の構造発色材料は、繊維の集合体で構成される。ここで、「構造発色材料」とは、反射、屈折、干渉などの物理現象によって、特定の可視光を反射し、あるいは、特定の可視光を透過し、発色する材料のことをいう。以下に構造発色材料について説明する。
[構造発色材料を構成する繊維の材料]
本発明の構造発色材料を構成する繊維は、セラミックスからなる。ここで、「セラミックス」とは、熱処理によって製造される無機質固体材料をいう。無機質固体材料として、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等が挙げられるが、本発明においては、屈折率等の観点から、酸化物(酸化物系セラミックス)であることが好ましい。
酸化物系セラミックスとしては、例えば、Al、SiO、TiO、LiO、NaO、MgO、CaO、SrO、BaO、B、P、SnO、ZrO、KO、CsO、ZnO、Sb、As、CeO、V、Cr、MnO、Fe、CoO、NiO、Y、Lu、Yb、HfO等を挙げることができ、これらは、一種単独であっても、あるいは、2種以上を含むものであってもよい。これらの中では、屈折率の観点から、チタン元素を含有するものであることが好ましく、酸化チタンであることがより好ましい。
[構造発色材料を構成する繊維の平均繊維径]
次に、構造発色材料を構成する繊維の平均繊維径について説明する。本発明の構造発色材料を構成する繊維の平均繊維径は、50nm以上1000nm以下である。平均繊維径が1000nmを越える場合には、可視光波長よりも大きくなることから発色が弱くなり好ましくない。一方で、平均繊維径が50nmより小さい場合には、構造発色材料の強度が低下するため好ましくない。発色と強度の観点からは、好ましくは150nm以上500nm以下の範囲であり、より好ましくは200nm以上500nm以下の範囲である。
[構造発色材料の形状]
本発明の構造発色材料の形状としては、構造発色材料として使用することのできる形状であれば特に限定されるものではないが、その後の加工が容易であることから、不織布などの面状体であることが好ましい。
<構造発色材料の製造方法>
次に、本発明の構造発色材料の製造方法について説明する。本発明の構造発色材料を構成する繊維の製造方法は、特に限定されるものではないが、極細繊維を簡便に得られることから、静電防止法にて繊維形成用組成物を噴出することにより得られるものであることが好ましい。
したがって、本発明の構造発色材料は、例えば、繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、静電紡糸法にて繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、繊維集合体を焼成して繊維構造体を得る焼成工程と、を含む製造方法にて得られることが好ましい。
以下に、本発明の構造発色材料を得るための好ましい製造方法に用いられる繊維形成用組成物の構成成分、および、各製造工程について説明する。
[繊維形成用組成物の構成]
本発明の構造発色材料を得るための好ましい製造方法に用いられる繊維形成用組成物について説明する。好ましい製造方法として用いられる繊維形成用組成物は、チタン酸アルキル、チタン酸アルキルとの錯体形成性化合物、水、および、繊維形成性物質を含む組成物である。繊維形成用組成物の構成について以下に説明する。
〔チタン酸アルキル〕
好ましい製造方法において用いられるチタン酸アルキルとしては、例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラノルマルプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラターシャリーブトキシド等が挙げられる。これらの中では、入手の容易さの観点から、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシドが好ましい。
〔チタン酸アルキルとの錯体形成性化合物〕
次に、チタン酸アルキルとの錯体形成性化合物について説明する。チタン酸アルキルとの錯体形成性化合物としては、カルボン酸類、アミド類、エステル類、ケトン類、ホスフィン類、エーテル類、アルコール類、チオール類等の配位性の化合物が挙げられる。
後記する繊維形成用組成物調製工程においては、チタン酸アルキル、チタン酸アルキルとの錯体形成性化合物、水、とを混合する。このため、チタン酸アルキルとの錯体形成性化合物としては、常温で水との反応性を示さない程度までに強固な錯体を形成する化合物を用いることは好ましくない。この観点からはカルボン酸類を用いることが好ましく、より好ましくは脂肪族カルボン酸であり、特に好ましくは酢酸である。
また、チタン酸アルキルとの錯体形成性化合物の添加量としては、本発明の構造発色材料を作製するための繊維形成用組成物を作製することができる量であれば特に限定されないが、チタン酸アルキルに対して5当量以上であることが好ましく、7当量以上10当量以下であることがより好ましい。
〔水〕
好ましい製造方法において用いられる水は、特に限定されるものではないが、金属イオンが不純物として含まれると、作製された構造発色材料中に当該金属が残存するため好ましくない。このため、好ましい製造方法に用いられる水としては、蒸留水やイオン交換水が好ましい。
また、添加する水の量は、繊維形成用組成物から構造発色材料を構成する繊維を作製することのできる量であれば特に限定されるものではないが、チタン酸アルキルの質量に対して0.5倍量以上10倍量以下であることが好ましい。さらに好ましくはチタン酸アルキルの質量に対して0.5倍量以上3倍量以下であり、特に好ましくは0.5倍量以上1.5倍量以下である。
〔繊維形成性物質〕
次に、繊維形成性物質について説明する。本発明の構造発色材料を得るための好ましい製造方法においては、繊維形成用組成物に曳糸を持たせることを目的として、繊維形成用組成物に繊維形成性物質を溶解または分散させる必要がある。用いられる繊維形成性物質としては、本発明の構造発色材料を構成する繊維を作製することのできるものであれば特に限定されないが、取り扱いの容易さの観点や、焼成工程において除去される必要があることから、有機高分子を用いることが好ましい。
用いられる有機高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、エーテルセルロース、ペクチン、澱粉、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルイソシアネート、ポリブチルイソシアネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリノルマルプロピルメタクリレート、ポリノルマルブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリパラフェニレンテレフタラミド−3,4’−オキシジフェニレンテレフタラミド共重合体、ポリメタフェニレンイソフタラミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、メチルセルロース、プロピルセルロース、ベンジルセルロース、フィブロイン、天然ゴム、ポリビニルアセテート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルノルマルプロピルエーテル、ポリビニルイソプロピルエーテル、ポリビニルノルマルブチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリビニルターシャリーブチルエーテル、ポリビニリデンクロリド、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(N−ビニルカルバゾル)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリビニルメチルケトン、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリプロピレンオキシド、ポリシクロペンテンオキシド、ポリスチレンサルホン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、並びにこれらの共重合体等が挙げられる。中でも、水に対する溶解性の観点から、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、エーテルセルロース、ペクチン、澱粉が好ましく、ポリエチレングリコールが特に好ましい。
用いられる有機高分子の平均分子量は、本発明の構造発色材料を構成する繊維を作製することができれば特に限定されるものではないが、平均分子量が低い場合には、有機高分子の添加量を大きくせねばならないことから、焼成工程において発生する気体が多くなり、また、得られる構造発色材料を構成する繊維の構造に欠陥が発生する可能性が高くなるため好ましくない。一方で、平均分子量が高い場合には、粘度が高くなりすぎるため紡糸が困難となるため好ましくない。用いられる有機高分子の好ましい平均分子量は、ポリエチレングリコールの場合には、100,000以上6,000,000以下の範囲であり、より好ましくは100,000以上600,000以下の範囲である。
繊維形成性物質の添加量としては、構造発色材料を構成する繊維の表面構造の緻密性を向上させる観点から、繊維を形成することのできる濃度範囲において可能な限り少量であることが好ましく、繊維形成用組成物全体に対して0.01質量%以上2質量%以下の範囲が好ましく、0.01質量%以上1.5質量%以下の範囲がより好ましい。
〔その他成分〕
本発明の構造発色材料を得るための好ましい製造方法においては、繊維形成用組成物から繊維を形成でき、本発明の要旨を超えない範囲であれば、上記の必須成分以外の成分を繊維形成用組成物の成分として含有させてもよい。
好ましい態様の繊維形成用組成物においては、水を必須成分として用いるが、この水は溶媒としての役割をも果たすものである。繊維形成用組成物においては、組成物の安定性や紡糸の安定性を向上させる観点から、水以外の溶媒、例えばアルコール等を添加することも可能であるし、塩化アンモニウム等の塩や塩酸等の酸を添加することも可能である。
[繊維形成用組成物調製工程]
繊維形成用組成物調製工程においては、チタン酸アルキル、チタン酸アルキルとの錯体形成性化合物、水、および、繊維形成性物質を含む繊維形成用組成物を調製する。
本発明の構造発色材料を得るための好ましい製造方法においては、まず、チタン酸アルキルとチタン酸アルキルとの錯体形成性化合物とを含む混合物を得る。なお、チタン酸アルキルとチタン酸アルキルとの錯体形成性化合物との混合により得られる混合物は、均一な溶液となる。
混合の方法は、特に限定されるものではなく、攪拌等の周知の方法を採用することができる。また、混合の順序も特に限定されるものではなく、いずれかをベースとしてこれに他方を添加する形態でも、あるいは、ほぼ同量ずつを同時に添加する形態であってもよい。
続いて、上記で得られたチタン酸アルキルとチタン酸アルキルとの錯体形成性化合物とを含む混合物と、水と、を混合する。これらを混合すると、ゲルが生成する。繊維形成用組成物調製工程においては、生成したゲルを解離させることにより、最終的に透明なチタン含有溶液を調製する。
チタン酸アルキルとチタン酸アルキルとの錯体形成性化合物とを含む混合物に水を添加する際には、水の濃度が局所的に高くなると、解離困難なゲルが生成する可能性がある。このため、チタン酸アルキルとチタン酸アルキルとの錯体形成性化合物を含む混合物を攪拌しつつ、水を徐々に添加することが好ましい。
また、生成したゲルの解離にあたっては、さらに攪拌を続けることによってゲルを解離させることができる。ゲルが解離すると、透明なチタン含有溶液を得ることができる。
引き続き、上記で得られたチタン含有溶液に、繊維形成性物質を添加することにより、最終的に繊維形成用組成物を得る。繊維形成性物質の添加の方法は、チタン含有溶液と繊維形成性物質がほぼ均一に混合できれば、特に限定されるものではない。また、添加順序も特に限定されるものではなく、一方をベースとして他方を添加する形態でも、あるいは、ほぼ同量ずつを同時に添加する形態でもよい。
なお、繊維形成性物質の添加時期は、チタン含有溶液の調製時であっても差し支えない。この場合には、チタン酸アルキルとチタン酸アルキルとの錯体形成性化合物とを含む混合物を得る時点であっても、また、当該混合物と水とを混合する時点であってもよい。繊維形成性物質を水と同時に添加する場合には、例えば、水と繊維形成性物質とを予め混合しておき、チタン酸アルキルとチタン酸アルキルとの錯体形成性化合物とを含む混合物に徐々に添加することも可能である。
本発明において、繊維形成用組成物の溶液の安定性や紡糸の安定性の観点から、水以外の溶媒を繊維形成用組成物に添加する場合や、その他の任意成分を添加する場合には、チタン酸アルキルとチタン酸アルキルとの錯体形成性化合物とを含む混合物を得る時点、当該混合物と水とを混合する時点、あるいは、さらに繊維形成性物質を添加する時点、のいずれの時点においても添加することが可能であるが、錯体形成に影響を与えないためにも、繊維形成性物質を添加する時点が好ましい。
[紡糸工程]
紡糸工程においては、静電紡糸法にて上記で得られた繊維形成用組成物を噴出することにより、繊維を作製する。以下に、紡糸工程における紡糸方法および紡糸装置について説明する。
〔紡糸方法〕
好ましい態様の紡糸工程においては、静電紡糸法によって繊維を作製する。ここで、「静電紡糸法」とは、繊維形成性の基質等を含む溶液または分散液を、電極間で形成された静電場中に吐出し、溶液または分散液を電極に向けて曳糸することにより、繊維状物質を形成する方法である。なお、紡糸により得られる繊維状物質は、後記する累積工程において、捕集基板である電極上に積層される。
また、形成される繊維状物質は、繊維形成用組成物に含まれていた繊維形成性物質や溶媒等が完全に留去した状態のみならず、これらが繊維状物質に含まれたまま残留する状態も含む。
なお、通常の静電紡糸は室温で行われるが、溶媒等の揮発が不十分な場合等、必要に応じて紡糸雰囲気の温度を制御したり、あるいは、後記する累積工程で用いられる捕集基板の温度を制御することも可能である。
〔紡糸装置〕
次いで、静電紡糸法で用いる装置について説明する。
静電場を形成するための電極は、導電性を示しさえすれば、金属、無機物、または有機物等のいかなるものであってもよい。また、絶縁物上に導電性を示す金属、無機物、または有機物等の薄膜を設けたものであってもよい。
静電紡糸法で用いられる静電場は、一対または複数の電極間で形成されるものであり、静電場を形成するいずれの電極に高電圧を印加しても良い。これは、例えば、電圧値が異なる高電圧の電極2つ(例えば15kVと10kV)と、アースにつながった電極1つの合計3つの電極を用いる場合をも含み、または3つを越える数の電極を用いる場合も含む。
[累積工程]
累積工程においては、上記の紡糸工程で得られた繊維を累積させて、繊維集合体を得る。具体的には、上記の紡糸工程で形成される繊維状物質を、捕集基板である電極上に累積(積層)することによって繊維集合体を得る。
したがって、捕集基板となる電極として平面を用いれば平面状の繊維集合体を得ることができるが、捕集基板の形状を変えることによって、所望の形状の繊維集合体を作製することもできる。また、繊維集合体が捕集基板上の一箇所に集中して累積(積層)される等、均一性が低い場合には、基板を揺れ動かしたり、回転させたりすることも可能である。
なお、焼成前の繊維集合体は強度が低いことから、捕集基板上に累積(積層)された繊維集合体を剥離する際に、その構造の一部が壊れてしまうことがある。このため、捕集基板とノズルとの間に静電気除去装置等を設置し、ノズルと静電気除去装置との間に綿状に繊維集合体を積層させることも可能である。
また、繊維集合体は上記同様に、繊維形成用組成物に含まれていた溶媒等が完全に留去して集合体となっている状態のみならず、溶媒等が繊維状物質に含まれたまま残留する状態も含まれる。
[焼成工程]
焼成工程においては、上記の累積工程において得られた繊維集合体を焼成することにより、本発明の構造発色材料を得る。
焼成にあたっては、一般的な電気炉を用いることができるが、必要に応じて炉内の気体を置換可能な電気炉を用いてもよい。また、焼成温度は、300℃以上900℃以下の範囲とすることが好ましく、500℃以上800℃以下の範囲がより好ましい。
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限りこれらに何等限定を受けるものではない。
<測定方法>
実施例においては、以下の項目について、以下の方法によって測定を実施した。
[平均繊維径]
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、商品名:S−2400)により、得られた構造発色材料の表面を撮影(倍率:2000倍)し、写真図を得た。得られた写真図から無作為に20箇所を選択し、構成する繊維の繊維径を測定した。繊維径のすべての測定結果(n=20)の平均値を求めて、構造発色材料を構成する繊維の平均繊維径とした。
[透過スペクトルの測定]
分光光度計(株式会社島津製作所製、商品名:UV−2400)を使用し、得られた構造発色材料についての透過スペクトルを測定した。
<実施例1>
[繊維形成用組成物調製工程]
チタンテトラノルマルブトキシド(和光純薬工業株式会社製、一級)1質量部に、酢酸(和光純薬工業株式会社製、特級)1.3質量部を添加混合することにより、均一な溶液を得た。得られた溶液に、イオン交換水1質量部を、攪拌しながら添加したところ、溶液中にゲルが生成した。さらに攪拌を続けることにより、生成したゲルは解離し、透明なチタン含有溶液を調製することができた。
得られたチタン含有溶液に、ポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製、一級、平均分子量300,000〜500,000)0.016質量部を混合し、繊維形成用組成物(紡糸溶液)を得た。
[紡糸工程・累積工程]
上記で得られた繊維形成用組成物(紡糸溶液)を用いて、図1に示す静電紡糸装置により繊維形成用組成物を噴出し、繊維を紡糸した。さらに、連続的に紡糸を行うことにより繊維を蓄積させて、繊維集合体を作製した。このときの噴出ノズル1の内径は0.2mm、電圧は15kV、噴出ノズル1から電極4までの距離は15cmであった。
[焼成工程]
上記で得られた繊維集合体を、空気雰囲気下で、電気炉を用いて600℃まで10時間かけて昇温し、その後、600℃で2時間保持することにより構造発色材料を得た。
[測定・評価]
得られた構造発色材料につき、上記の各種測定を実施した。その結果、平均繊維径は400nmであった。また、得られた構造発色材料は、緑色に構造発色していた。
構造発色材料の表面の走査型電子顕微鏡写真を図2に、X線回折図形を図3に示す。
本発明の構造発色材料を製造するための製造装置を模式的に示した図である。 実施例1で得られた構造発色材料の表面を走査型電子顕微鏡で撮影(2000倍)して得られた写真図である。 実施例1で得られた構造発色材料の透過スペクトルである。
符号の説明
1 繊維形成用組成物噴出ノズル
2 繊維形成用組成物
3 繊維形成用組成物保持槽
4 電極
5 高電圧発生器

Claims (4)

  1. 繊維の集合体で構成された材料であって、
    前記繊維はセラミックスからなり、かつ、平均繊維径が50nm以上1000nm以下であり、
    可視領域の波長の着色光を発する構造発色材料。
  2. 前記セラミックスは、チタン元素を含有する請求項1記載の構造発色材料。
  3. 前記繊維は、静電紡糸法にて繊維形成用組成物を噴出することにより得られるものである請求項1または2記載の構造発色材料。
  4. 前記繊維形成用組成物は、チタン酸アルキル、チタン酸アルキルとの錯体形成性化合物、水、および、繊維形成性物質を含む組成物である請求項1から3いずれか記載の構造発色材料。
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