JP4787688B2 - 圧電振動子の製造方法 - Google Patents
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Description
プラグ83は、金属材料で形成された環状のステム84と、該ステム84を貫くように配され、圧電振動片81の両マウント電極81aに接合された2本のリード端子85と、該リード端子85とステム84とを絶縁状態で一体的に固定すると共にケース82内を密封させる充填剤86とで構成されている。
2本のリード端子85は、ケース82内に突出している部分がインナーリード85aとなり、ケース82外に突出している部分がアウターリード85bとなっている。そして、このアウターリード85bが、外部接続端子として機能するようになっている。
まず、図12に示すように、2本のリード端子85及びステム84を有するプラグ83と、圧電振動片81とを、それぞれ図示しない治具にセットすると共に、リード端子85のインナーリード85aが圧電振動片81のマウント電極81a上にくるように治具の位置を調整する。そして、絶縁性の押え工具90によりステム84を上方から押さえつける。これにより、インナーリード85aとマウント電極81aとが確実に接触した状態(密着状態)となる。次いで、2本のリード端子85のうち、接合を行う側のアウターリード85bをグランド及びアーク発生装置91の出力端子に接続した後、トーチ電極92をインナーリード85aに近づける。具体的には、トーチ電極92の先端に設けられている針状のプラズマアーク電極93をインナーリード85aに近接させる。そして、アーク発生装置91により、所定の電圧をプラズマアーク電極93とインナーリード85aとの間に印加する。またこれと同時に、プラズマアーク電極93とインナーリード85aとの周囲にアルゴンガスを供給する。
なお、隣接して平行に配置されている他方のリード端子85のインナーリード85aは、アウターリード85b側がアーク発生装置91に接続されていないので、フローティング電位(浮遊電位)となっている。そのため、プラズマアーク電極93との間に放電が発生することがない。また、他方のマウント電極81aも同様にフローティング電位となっているので、やはりプラズマアーク電極93との間で放電が発生することがない。更にステム84は、2本のリード端子85に対して絶縁されているので、やはりフローティング電位となっている。
即ち、図12に示すように、プラズマアーク電極93を先端に有するトーチ電極92は、針状に形成されたプラズマアーク電極93とは異なり、通常先端の直径が大きく設計されているものである。例えば、プラズマアーク電極93の直径が約0.1mmなのに対して、トーチ電極92の先端直径は約9.5mmとなっている。これは、トーチ電極92がアルゴンガス等を供給できるように設計されているためである。そのため、トーチ電極92とステム84を押さえつけている押え工具90との接触を防止するため、トーチ電極92を斜めにした状態で使用せざるを得なかった。よって従来では水平面に対して約60度斜めにした状態で使用せざるを得なかった。
このように、従来の方法では、数パーセントの確率で放電位置不良が発生してしまい、プラズマアーク電極93とインナーリード81aとの間だけで放電を発生させることができるものではなかった。
本発明の圧電振動子の製造方法は、平行に配置され、基端側が基部に固定された一対の振動腕部と、該一対の振動腕部の外表面上に形成されて一対の振動腕部を振動させる励振電極と、引き出し電極を介して励振電極に電気的に接続されたマウント電極とを有する圧電振動片と、該圧電振動片を内部に収納するケースと、該ケースを密閉させるステムと、該ステムを貫通した状態で配置され、ステムを間に挟んで一端側が前記マウント電極に電気的に接続されるインナーリードとされ、他端側が外部に電気的に接続されるアウターリードとされたリード端子とを有する気密端子とを備えた圧電振動子を製造する方法であって、前記圧電振動片を振動片ホルダにセットすると共に、前記気密端子を気密端子ホルダにセットするセット工程と、該セット工程後、前記マウント電極上に前記インナーリードが位置するように、前記振動片ホルダ及び前記気密端子ホルダの位置を調整する調整工程と、該調整工程後、前記アウターリードを絶縁性の押え工具で押さえつけ、前記インナーリードを前記マウント電極に対して密着させる密着工程と、該密着工程後、先端にプラズマアーク電極を有するトーチ電極を、プラズマアーク電極の軸線と水平面との角度が70度から90度の範囲内に収まるように前記インナーリードの上方に近づけるトーチ電極セット工程と、該トーチ電極セット工程後、アルゴンガス中で前記プラズマアーク電極と前記インナーリードとの間に電圧を印加して、プラズマアーク放電により前記インナーリードとマウント電極とを接合する接合工程と、該接合工程後、真空中で前記ケースと前記ステムとを封止する封止工程とを備えていることを特徴とするものである。
しかも、この密着工程の際、従来のステムを押し付ける方法とは異なり、アウターリードを押さえつけているので、インナーリード及びステムの上方に押え工具が存在せず、なにも存在しない空間が確保されている。
なお、プラズマアーク電極の軸線と水平面との角度を90度に近づけるにつれて、上述した放電位置不良の可能性が減るので、より好ましい。
また、本発明の電子機器は、上記本発明の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とするものである。
また、本発明の電波時計は、上記本発明の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とするものである。
また、本発明に係る圧電振動子によれば、上述した方法により製造されているので、インナーリードとマウント電極とがより確実に接合され、品質に優れている。
また、本発明に係る発振器、電子機器及び電波時計によれば、上述した圧電振動子を備えているので、同様に強度的に優れ、高品質化を図ることができ、製品の信頼性を高めることができる。
本実施形態の圧電振動子1は、シリンダパッケージタイプの圧電振動子1であって、図1に示すように、圧電振動片2と、該圧電振動片2を内部に収納するケース3と、圧電振動片2をケース3内に密閉させる気密端子であるプラグ4とを備えている。
また、本実施形態の圧電振動片2は、一対の振動腕部11、12の両主面上に、該振動腕部11、12の長手方向Xに沿ってそれぞれ形成された溝部18を備えている。この溝部18は、振動腕部11、12の基端側から略中間付近まで形成されている。
なお、上述した励振電極15、マウント電極16、17及び引き出し電極20、21は、例えば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、金(Au)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の導電性膜の被膜により形成されたものである。
また、2本のリード端子26は、ケース3内に突出している部分がインナーリード26aとなり、ケース3外に突出している部分がアウターリード26bとなっている。そして、インナーリード26aとマウント電極16、17とが、ケース3内で接合されている。
まず、メッキ後のステム27の直径は、約0.92mmである。また、リード端子26の母材の直径は、約0.15mmであり、メッキ後の直径は、約0.18mmである。通常、約10μmから15μmの厚みのメッキ層が形成される。また、リード端子26の母材の材質としては、コバール(FeNiCo合金)が慣用されている。また、メッキの材質としては、耐熱ハンダメッキ(錫と鉛の合金で、その重量比が1:9)や、錫銅合金(SnCu)や金錫合金(AuSn)等が用いられる。
このステム27の外周のメッキ層を介在させてケース3の内周に真空中で冷間圧接させることにより、ケース3の内部を真空状態で気密封止できるようになっている。
この製造装置30は、図5(a)、(b)に示すように、図示しない搬送ベルトによって移動可能なマウント治具31と、該マウント治具31上に取り付けられた振動片ホルダ32と、該マウント治具31上に着脱自在に固定されるパレット(気密端子ホルダ)33とを備えている。
また、パレット33は、上面視矩形状で且つ断面視L字状に形成されており、図5(b)に示すように、上部にプラグ25を嵌め込むことができる凹部33aが、長手方向に沿って所定間隔毎に複数形成されている。この凹部33aは、円筒状のステム27を上方から嵌合できるように、底面が円筒内面の溝状に形成されている。この凹部33aによって、図5(a)に示すように、複数のプラグ4を所定の間隔に並べた状態でパレット33に固定できるようになっている。なお、パレット33の凹部33aの間隔は、振動片ホルダ32の凹部32aの間隔と同じ間隔に設定されている。これにより、複数の圧電振動片2と複数のプラグ4とを、それぞれ対向するように位置決めした状態で確実に並べることができるようになっている。
本実施形態の圧電振動子の製造方法は、セット工程と、調整工程と、密着工程と、トーチ電極セット工程と、接合工程と、封止工程とを順に行って、複数(n個)の圧電振動子1を製造する方法である。
本実施形態では、ワーク供給ステーションS1にて、複数のプラグ4が予めセットされたパレット33を、図示しないロボット等により、マウント治具31に装着する。これにより、図5(a)、(b)に示すように、各圧電振動片2のマウント電極16、17上に、各プラグ4のインナーリード26aが位置した状態になる。従って、簡単に調整工程を行うことができる。
次いで、搬送ベルトを駆動してマウント治具31をワーク供給ステーションS1から図6に示すマウントステーションS2に移動させる。
具体的には、図7に示すように、複数のプラグ4のアウターリード26b側を絶縁性の押え工具35で上から押さえつける。これにより、ステム27を間にしてアウターリード26bとは反対側に位置するインナーリード26aがマウント電極16、17側に撓むので、該インナーリード26aとマウント電極16、17とを密着させることができる。しかも、この密着工程の際、従来のステムを押し付ける方法とは異なり、アウターリード26bを押さえつけているので、図7に示すように、インナーリード26a及びステム27の上方に押え工具35が存在せず、なにも存在していない開放された空間を確保することができる。
なお、本実施形態では、先に一方のインナーリード26aとマウント電極16とを接合し、その後、他方のインナーリード26aとマウント電極17とを接合する場合を例にして説明する。
具体的には、上述した状態を維持しながらマウント治具31をマウントステーションS2内に設置されているマウントステージS4の原点に移動させる。このマウントステージS4の原点には、図6に示すように、先端に針状に形成されたプラズマアーク電極37を有するトーチ電極38が配置されている。これにより、マウント治具31に固定された複数のプラグ4及び圧電振動片2のうち、最初のプラグ4及び圧電振動片2をトーチ電極38の先端に近接させることができる。
なお、ここで使用するトーチ電極38は、従来使用しているものと同じサイズのものであり、先端の直径が約9.5mmのものである。また、プラズマアーク電極37は、直径1mmの電極棒を研磨して直径が約0.1mmの針状となったものである。
即ち、電圧を印加すると、プラズマアーク電極37とインナーリード26aとの間に極めて短時間に放電熱を伴う放電を発生する。この放電熱によって、インナーリード26aのメッキ表面及びマウント電極16の表面に吸着していた水分等が瞬間的に蒸発すると共に、インナーリード26aの表面のメッキに十分な放電熱が加わって短時間で該メッキを全体的に溶解する。その結果、インナーリード26aとマウント電極16とを強固に接合することができる。
なお、プラズマアーク電極37の軸線と水平面とのなす角度を90度に近づけるにつれて、上述した放電位置不良の可能性が減るのでより好ましい。
そして、複数(n個)の圧電振動片2とプラグ4との組み合わせについて、上述したと同様の工程を繰り返し行う。その結果、全てのプラグ4について、一方のインナーリード26aをマウント電極16に接合することができる。
こうすることで、アーク放電による接合工程時に、インナーリード26aの表面に塗布されている半田をも溶解させて接合を行えるので、接合状態をより強固にすることができる。よって、強度的な信頼性をさらに向上することができる。
本実施形態の発振器40は、図8に示すように、圧電振動子1を、集積回路41に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器40は、コンデンサ等の電子部品42が実装された基板43を備えている。基板43には、発振器用の上記集積回路41が実装されており、この集積回路41の近傍に、圧電振動子1の圧電振動片2が実装されている。これら電子部品42、集積回路41及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
また、集積回路41の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
始めに本実施形態の携帯情報機器50は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
無線部57は、音声データ等の各種データを、アンテナ65を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部58は、無線部57又は増幅部60から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部60は、音声処理部58又は音声入出力部61から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部61は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
なお、呼制御メモリ部64は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部62は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
なお、通信部54の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部を備えることで、通信部54の機能をより確実に停止することができる。
本実施形態の電波時計70は、図10に示すように、フィルタ部71に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
アンテナ72は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ73によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部71によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部78、79をそれぞれ備えている。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部78、79は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。60kHzを例にとれば、音叉型振動片の寸法例として、全長が約2.8mm、基部10の幅寸法が約0.5mmの寸法で構成することが可能である。
1 圧電振動子
2 圧電振動片
3 ケース
4 プラグ(気密端子)
10 基部
11、12 振動腕部
15 励振電極
16、17 マウント電極
20、21 引き出し電極
26 リード端子
26a インナーリード
26b アウターリード
27 ステム
32 振動片ホルダ
33 パレット(気密端子ホルダ)
35 押え工具
37 プラズマアーク電極
38 トーチ電極
40 発振器
41 集積回路
50 携帯情報機器(電子機器)
53 計時部
70 電波時計
71 フィルタ部
Claims (2)
- 平行に配置され、基端側が基部に固定された一対の振動腕部と、該一対の振動腕部の外表面上に形成されて一対の振動腕部を振動させる励振電極と、引き出し電極を介して励振電極に電気的に接続されたマウント電極とを有する圧電振動片と、
該圧電振動片を内部に収納するケースと、
該ケースを密閉させるステムと、該ステムを貫通した状態で配置され、ステムを間に挟んで一端側が前記マウント電極に電気的に接続されるインナーリードとされ、他端側が外部に電気的に接続されるアウターリードとされたリード端子とを有する気密端子とを備えた圧電振動子を製造する方法であって、
前記圧電振動片を振動片ホルダにセットすると共に、前記気密端子を気密端子ホルダにセットするセット工程と、
該セット工程後、前記マウント電極上に前記インナーリードが位置するように、前記振動片ホルダ及び前記気密端子ホルダの位置を調整する調整工程と、
該調整工程後、前記アウターリードを絶縁性の押え工具で押さえつけ、前記インナーリードを前記マウント電極に対して密着させる密着工程と、
該密着工程後、先端にプラズマアーク電極を有するトーチ電極を、プラズマアーク電極の軸線と水平面との角度が70度から90度の範囲内に収まるように前記インナーリードの上方に近づけるトーチ電極セット工程と、
該トーチ電極セット工程後、アルゴンガス中で前記プラズマアーク電極と前記インナーリードとの間に電圧を印加して、プラズマアーク放電により前記インナーリードとマウント電極とを接合する接合工程と、
該接合工程後、真空中で前記ケースと前記ステムとを封止する封止工程とを備えていることを特徴とする圧電振動子の製造方法。 - 請求項1に記載の圧電振動子の製造方法において、
前記接合工程の際、前記インナーリードの表面には、半田が塗布されていることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
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