JP4784904B2 - 液相成長装置及びそれを使用する液相成長方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体単結晶基板上にエピタキシャル層を形成するための液相成長装置及びそれを使用した液相成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液相エピタキシャル成長法(以下、液相成長方法ともいう)とは、成長させたい成長層(エピタキシャル層)の結晶成分を溶質として、Ga(ガリウム)等の溶媒に溶かし、温度又は温度勾配を変化させることにより、半導体単結晶基板上に結晶成分を析出成長させる方法である。
【0003】
例えば、GaP(燐化ガリウム)単結晶により構成される発光素子等を製造する場合、n型のGaP基板上にn型のGaPエピタキシャル層を液相成長させた後、p型のGaPエピタキシャル層を同様に液相成長させる。このエピタキシャル成長において、不純物を添加するには、不純物が既に溶け込んでいる別の成長溶液に取り替えて成長させる手法や、キャリアガス中に不純物を混入させたガスを流しながら成長させる手法を用いるのが一般的である。
【0004】
キャリアガス中に不純物を混入させたガスから不純物を取り込むように構成された液相成長装置として、従来図6に示すような装置1’が使用されている。液相成長装置1’は、反応管3を有し、該反応管3内には、ガスを供給するためのガス供給部2と石英製のバッフル4とによって、成長反応室9が形成される。そして、半導体単結晶基板Wと成長溶液16とをセットしたボート8を、その成長反応室9内に配置する仕組みである。ガス供給部2内には、例えばp型の不純物源17として、Zn(亜鉛)が配置される。そして、反応管3の外側に位置するサブヒータ6にて加熱して、不純物を蒸発・気化させ、H2やAr等のキャリアガスとともに、整流部材2dに形成されたガス供給口2hを通過させて、成長反応室9内に供給する(キャリアガスと不純物ガスが混ざり合ったガスを以後、プロセスガスともいう)。
【0005】
ガス供給口2hから成長反応室9内に供給されたプロセスガスGは、成長反応室9内に配置された各ボート間を流通した後、バッフル4の下部に形成された通口10’に流入する形にてバッフル4の内側に導かれる。バッフル4には、図示しない排気口が通口10’の反対側に形成されており、それが反応管3の排気口へとつながって、ガスが反応管3の外部へと排気される仕組みである。なお、若干ではあるが、バッフル4と反応管3との間に形成された隙間を流通する形にて、反応管3の排気口へ向うガスもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような方法を採用した場合、プロセスガスGの流れが不均一になりがちであり、同じ反応室内であっても場所によって成長溶液に取り込まれる不純物の量に差異が生じてしまうという問題がある。結果として、形成されたエピタキシャル層における不純物濃度がばらついてしまうという不具合が生じる。そして、このようにして作製されたエピタキシャルウェーハを使用して例えば発光素子を作製すると、発光出力にばらつきが生じてしまう。
【0007】
本発明の課題は、不純物濃度のばらつきの少ないエピタキシャル層を半導体単結晶基板上に形成することができる液相成長装置及び、それを使用した液相成長方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記課題を解決するために、本発明の液相成長装置は、反応管内に設置された成長用ボートに、半導体単結晶基板をその主表面に成長溶液が接する状態で複数配置するように構成され、さらに、前記反応管の長手方向の一方にガス供給部が設けられ、他方に排気ガスの流量を規制するためにガス流通方向に通口の形成されたバッフルが配置されるとともに、
前記通口は、その通口が形成されている通口形成面を上下方向に二等分したとき、該通口形成面の下部に形成された通口の総面積よりも、上部に形成された通口の総面積のほうが大きくなるように調整されていることを特徴とする。
【0009】
同じく課題を解決するために、本発明の液相成長装置は、反応管内に設置された成長用ボートに、半導体単結晶基板をその主表面に成長溶液が接する状態で複数配置するように構成され、さらに、前記反応管の長手方向の一方にガス供給部が設けられ、他方に排気ガスの流量を規制するためにガス流通方向に通口の形成されたバッフルが前記反応管の内部に配置されるとともに、
前記通口は、その通口が形成されている通口形成面を上下方向に二等分したとき、その上部にのみ形成されていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の液相成長方法は、反応管内に、主表面上に成長溶液が接する状態で半導体単結晶基板が載置された成長用ボートを配置し、
前記反応管内にキャリアガス及びドーピングガスを流入させながら、前記半導体単結晶基板の主表面上にエピタキシャル層を形成する液相成長方法において、
前記エピタキシャル層の形成は、本発明の液相成長装置を使用して行われることを特徴とする。
【0011】
本発明者らは、反応管内にガスを供給するような液相成長装置において、反応管の一端からガス供給部によりガスを流入させると、ガスは反応管の下流でバッフルの端面に当たってボート上部の空間を逆流し、再び上流側から流れる形で循環することを見出した。さらにガスは、結晶の成長が行なわれる成長反応管で熱せられるため、反応管内の上方に移動する傾向が強く、過剰な対流がバッフルの近傍における成長反応室の上方に形成されることを突き止めた。
【0012】
そこで、本発明者らは、液相成長装置において、成長用ボートに関してガス供給部とは反対側に設けられるバッフルに通口を設ける際、バッフルの通口形成面を上下方向に二等分したとき、該通口形成面の下部に形成される通口の総面積よりも上部に形成される通口の総面積のほうが大きくなるように設定した。これによりバッフルの近傍においてガスの過剰な対流が抑制され、その結果、成長反応室内に導入されたガスの流れの均一化を図ることができる。すなわち、上記通口は整流作用を備える。
【0013】
また、通口形成面の上部にのみ通口が形成されている形態も採用できる。バッフルはガスの流れをできるだけ乱さず、かつ放熱を十分に抑制できる形態で設けられるのが望ましい。通口を設けすぎると、遮熱効果を発揮できない恐れもある。反応管内を流れてきたガスは、バッフルの近傍においては反応管の上方に向って流れやすい傾向にあるので、通口形成面の上部にのみ通口を形成しておいても、過剰な対流を抑制する効果は十分に望める。なお、通口の面積とは、通口形成面における開口面積をいう。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の液相成長装置1を示す概略図である。以下、該装置においてGaP単結晶基板上にGaPエピタキシャル層を形成する場合について説明する。液相成長装置1は、該装置1を主に構成する反応管3と、該反応管3に接続されてプロセスガスGを供給するガス供給部2と、反応管3の長手方向においてガス供給部2と反対方向に位置するバッフル4とを有する。さらに、反応管3とガス供給部2及びバッフル4の端面にて囲まれる形で、成長反応室9が形成されている。
【0015】
バッフル4は、反応管3の長手方向において、成長用ボート8に関してガス供給部2と反対側に反応管3内の放熱を抑制するための断熱部材として設けられる。液相成長においては、成長反応室9内の温度を所定の温度に維持することが重要だからである。さらに、バッフル4には、プロセスガスGの排出量を調節する通口が形成される。これにより、成長反応室9内での放熱を抑制しつつ、反応管3内におけるプロセスガスGの流れの均一化を図ることが可能になる。図1に示すように、成長反応室9を形成するバッフル4の端面において、その上半分の領域に通口10が形成されている。
【0016】
上記通口10は、プロセスガスGの過剰な対流を抑制する程度に形成されていれば十分である。プロセスガスGを排出する機能を重視しすぎると、放熱抑制の効果が十分に発揮できない。成長反応室9内に導入されたプロセスガスGの流れを均一にするためには、プロセスガスGがバッフル4に跳ね返されて生じる対流を抑制できれば十分であり、形成される通口10の寸法及び分布形態を調節して、プロセスガスGが過剰に排出されるのを抑制する。
【0017】
また、バッフル4は、筒状形態の反応管3の開口部を塞ぐ形態で、該開口部から反応管3の内部に挿入される柱状部材であって、排気されるプロセスガスGをいったん収容する内部空間を有する。バッフル4の内部空間でプロセスガスGの対流、乱流等が生じることにはなんら問題はない。むしろ、ガスの流れ方向に関する通口の距離を短くすることが可能になるので、ガスのスムーズな流れに寄与する。
【0018】
次に、図3に、液相成長装置1内に配置される成長用ボートの模式図を示す。複数段に組立可能とされたボート8は、石英製の部材として構成される。そのボート8の上面部には、そこに形成された凹部に枠状又は環状の石英製堤部材8sが擦り合わせにより着脱可能に嵌合して、半導体単結晶基板Wの載置部と成長溶液溜とを形成している。このボート8には、一段につき複数の基板を載置可能である。基板の入れかえを行う際には、これらボート8を個別に分解したうえで、液相成長後に残余した成長溶液を取り除き、さらに堤部材8sを取り外してエピタキシャルウェーハを取り出せばよい。成長溶液溜に溜められるGa溶液は、表面張力によって堤部材8sの上端よりもやや隆起するようにその量が調整されるので、プロセスガスG中に含まれる不純物の溶けこみも促進される。
【0019】
このように、成長用ボート8が複数段あり、複数の半導体単結晶基板Wが配置されるような液相成長装置1においては、各ボートの間を流れるガスはヒータによって熱せられるため、排気される際には反応管3の上側方向に進みやすい傾向にあり、さらには、バッフル4に跳ね返されて対流を生ずる。そのため、成長反応室9内に導入されたプロセスガスGの流れが不均一になりやすく、そのような場合、エピタキシャル層の不純物濃度にばらつきが生じやすい。従って、本発明が好適に使用できるものである。
【0020】
図1に戻り、ガス供給部2には、その本体部2aと連通する形で不純物源供給室2bが形成されており、さらに、成長反応室9に、その長手方向に突出する形でガス供給管11、12が形成されている(図2(a)参照)。不純物源供給室2bに配置されたボート18には、p型不純物源17となるZnが配置されており、ボート18と一体化したスライドピン19により不純物源供給室2bに出し入れ可能となっている。反応管3の外側における成長反応室9及び不純物源供給室2bに対応する位置に、それら室内を加熱するためのメインヒータ5及びサブヒータ6が設けられている。
【0021】
図2(a)に示すように、ガス供給部2には、成長反応室9内に突出する形でガス供給管11、12が形成されており、該ガス供給管11、12の先端の開口部がプロセスガスGを成長反応室9に導くガス供給口14、15として機能する。また、ガス供給部2の壁面2cに開口するガス供給口13が図示されない位置に設けられている。これらガス供給口13、14、15は、成長反応室9の該長手方向において異なる位置に形成されている。すなわち、ガス供給管11は、成長反応室9の中間位置まで突出する形態で長く形成されており、対応するガス供給口15がその位置に設定されている。
【0022】
さらに、本実施の形態においては、ボート8上にGaP単結晶基板Wが反応室9の長手方向(プロセスガスGの流れ方向)に沿って複数配列する形態で配置されている。このように、ガス供給部2からの距離が各GaP単結晶基板Wによって異なる場合には、ガス供給口13、14、15の位置を異ならせることによって、プロセスガスGの流れ方向におけるドーピング濃度の均一化を図ることができ、さらに本発明の構成を採用することによって、プロセスガスGの流れもより均一になるので、各GaP単結晶基板Wに形成されるエピタキシャル層における不純物濃度のばらつきをより一層抑制することができる。
【0023】
図2(b)は、図2(a)におけるA−A’断面から、ガス供給部2を観察した断面矢視図である。該ガス供給部2には、ガス供給管11、12以外に、ガス供給部2の壁面2cの下方に下部ガス供給口13が形成されている。この下部ガス供給口13と、上記ガス供給口14、15とから反応室9内に次々と不純物を含んだガスが導入される。
【0024】
さらに、図2(c)は、図2(a)のB−B’断面からバッフル4の通口形成面を観察したものである。バッフル4における通口形成面4bを上下方向に二等分する水平基準線Hよりも上方の第一領域(上部)4cには、成長反応室9内に導入されたプロセスガスGを排出するための通口10が形成されている。一方、水平基準線Hよりも下方の第二領域(下部)4dには通口は形成されていない。
【0025】
図4において、バッフル4に形成される通口10の作用について説明する。バッフル4に通口10が形成されていなかったり、図4(a)に示すように、バッフル4の通口形成面4bにおける第二領域4dのみに通口10’が形成されているような場合は、バッフル4によるプロセスガスGの跳ね返りにより、通口形成面4bの第一領域4c近傍に過剰な対流が形成される。成長反応室9に導入されたプロセスガスGは、ヒータに熱せられて反応管3の上方向へ進む傾向をもつ。従って、バッフル4にプロセスガスGが当たって生じる対流も上方向へ進行する傾向が強くなる。この対流は、いったん逆流するようにして流れ、再び上流側から流れる形で循環する。このように、過度な対流の発生は、プロセスガスGの均一な流れを損ねてしまう。
【0026】
他方、図4(b)に示すように、バッフル4の通口形成面4bにおける第一領域4cのみに通口10を形成した場合には、バッフル4に形成される通口10を介してプロセスガスGが効果的に排出されることから、バッフル4によるプロセスガスGの跳ね返りが適度に抑制されて、対流の過剰な発生を防止することができる。なお、反応管3に配置されるバッフル4は、成長反応室9内の温度を均一に保つためにも重要な部材である。そのため、成長反応室9に開口する通口10の総面積は、成長反応室9内の温度を均一にする効果を損なわない大きさに適宜調整するとよい。
【0027】
また、バッフル4に形成される通口10の形状及びその分布形態は図5のようにしてもよい。図5(a)に示すように、1つの通口10を第一領域4cにプロセスガスGが排出され易い形状にて形成するようにしてもよいし、図5(b)に示すように複数の通口10を第一領域4cのみに形成するようにしてもよい。さらに、図5(c)のように、第二領域4dに形成される通口10’よりも、第一領域4cに形成される通口10の総面積を大きく設定するようにしてもよい。図5(a)〜(c)のいずれも、第一領域4cに形成される通口10の総面積のほうが、第二領域4dに形成されるそれよりも大きく設定されている。これにより、通口形成面4bの上部におけるプロセスガスGの跳ね返り、及びその近傍で生ずる対流を抑制することができるので、プロセスガスGの流れの均一化を図れる。なお、さらに成長反応室9内のプロセスガスGの流れを均一にするために、成長反応室9内から通口10を通過してバッフル4の裏側へと流れるプロセスガスGを吸引するガス吸引機構(図示せず)を設けるようにしてもよい。
【0028】
以上説明した実施の形態においては、バッフル4は成長反応室9を形成する端面を少なくとも一端に有する石英製の柱状部材とした。遮熱作用と整流作用とを備えるバッフル4の別形態を図7に示す。この例においては、板状のバッフル4’(バッフル板)をプロセスガスGの流れ方向に複数連ねて配置している。各バッフル板4’に通口10が形成されている。このように、バッフル板4’を複数連ねた形態にすると、その各々において通口の形成形態を異ならせることも可能である。図7に示す例においては、成長反応室9に最も近くに配置されるバッフル板4’を除き、後続をなすバッフル板4’には下部の通口10’も上部通口10に加えて形成されている。このように、通口10,10’の面積やバッフル板4’の枚数を種々調整できるので、遮熱の効果と整流の効果との兼ね合いを最適化しやすい。
【0029】
以下、上記のような液相成長装置1を用いた液相成長方法について述べる。図8は液相成長装置1にて形成されるGaPエピタキシャルウェーハを素子化することにより作製される発光素子用基体30の一例を示すものである。n型GaP単結晶基板W上にn型GaPエピタキシャル層22、N(窒素)ドープn型GaPエピタキシャル層23、Nドープp型GaPエピタキシャル層24、p型GaPエピタキシャル層25が形成されている。n型GaPエピタキシャル層22及びNドープn型GaPエピタキシャル層23には、n型ドーパントとしてSiが添加されている。さらに、上記Nドープn型GaPエピタキシャル層23及びNドープp型GaPエピタキシャル層24には、該発光素子30の発光効率を向上させるために、アイソエレクトロニック・トラップ(Isoelectronic Trap)型の発光中心として振舞う窒素(N)をドープしている。
【0030】
まず、公知の液体封止型チョクラルスキー法によって得られるGaP単結晶棒をスライスして得たn型GaP単結晶基板Wを、その主表面にGaP多結晶を溶け込ませたGa融液(成長溶液16)を接触させた状態で配置する。そして、メインヒータ5により、成長反応室9内の温度を上昇させる。
【0031】
次に、温度を1000℃近傍まで上昇させると、n型GaP単結晶基板Wの上部が徐々に成長溶液に溶解して、やがて該成長溶液におけるGaP濃度は飽和濃度に達する。そこで、Ga溶液16の温度を降下させることにより、n型GaPエピタキシャル層22を成長させる。なお、エピタキシャル層にn型の不純物を含有させるには、キャリアガス中にS、Si等を含有するガスを混ぜて微量流すとよい。又は、ボート自体の材質から取り込む等の方法により成長溶液中に供給することもできる。
【0032】
そして、n型GaPエピタキシャル層22の厚さが所望の値に到達した時に、降温を停止して成長を止め、該温度(例えば900℃以上1000℃以下の所定温度である)を保持しつつ、ガス供給部2を介して成長反応室9に、N(窒素)を供給するために必要なガス(例えばNH3)をArやH2等のキャリアガスに混合して導入する。次に、Ar希釈NH3ガスを成長反応室9内に供給しながら、成長溶液16の温度を降下させる。これにより、n型GaPエピタキシャル層22上に、NドープGaPエピタキシャル層23が形成される。
【0033】
そして、不純物源供給室2bに、Zn(亜鉛)をセットしたボート18を、スライドピン19を用いて押し込み、Znを蒸発させて、ZnとNH3とがH2及びArに含有されるプロセスガスGを、成長反応室9内に流入させつつ、引き続き成長溶液16の降温を行う。これにより、Zn及びNがドープされたp型GaPエピタキシャル層24がNドープGaPエピタキシャル層23上に形成される。さらに、NH3の供給を停止すればZnドープのp型エピタキシャル層25が得られる。このようにして、図8に対応する多層構造の発光素子1用のGaPエピタキシャルウェーハが得られる。
【0034】
【実施例】
本発明の効果を調べるために以下の実験を行った。
図1(実施例)及び図6(比較例)に示す液相成長装置1、1’を用い、直径50mm、厚さ0.3mm、面方位(111)のn型GaP単結晶基板W上にGaPエピタキシャル層を、前述した方法により液相エピタキシャル成長させた発光素子用GaPエピタキシャルウェーハをそれぞれ作製した。
【0035】
実施例にかかる液相成長装置1にて同時に製造された複数のGaPエピタキシャルウェーハのエピタキシャル層(ここでは、p型GaP層)25における不純物濃度をそれぞれ測定し、各ウェーハ間の不純物濃度のばらつきを調べたところ、そのばらつきは20%であった。他方、比較例にかかる液相成長装置1’にて同様に不純物濃度のばらつきを調べたところ、そのばらつきは50%であった。このように、本発明によって、不純物濃度のばらつきの少ないエピタキシャル層を形成できる液相成長装置及びそれを使用した液相成長方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液相成長装置を示す概略図。
【図2】本発明の液相成長装置の要部を示す概略図。
【図3】半導体単結晶基板の配置形態を示す模式図。
【図4】液相成長装置の作用を説明する図。
【図5】通口の形成形態をいくつか示す模式図。
【図6】従来の液相成長装置を示す概略図。
【図7】バッフルの別形態を示す模式図。
【図8】本発明の装置及び方法により製造される半導体単結晶基板を使用した発光素子の構造の一例を示す模式図。
【符号の説明】
1、1’ 液相成長装置
2 ガス供給部
2a 本体部
2b 不純物源供給室
2c ガス供給部の壁面
3 反応管
4,4’ バッフル
4b 通口形成面
4c 第一領域
4d 第二領域
5 メインヒータ
6 サブヒータ
8 成長用ボート
8s 堤部材
9 成長反応室
10 通口
11、12 ガス供給管
13 下部ガス供給口
14、15 ガス供給口
16 Ga溶液(成長溶液)
17 p型不純物源
18 ボート
19 スライドピン
W 半導体単結晶基板
G プロセスガス
H 水平基準線
Claims (3)
- 反応管内に設置された成長用ボートに、半導体単結晶基板をその主表面に成長溶液が接する状態で複数配置するように構成され、さらに、前記反応管の長手方向の一方にガス供給部が設けられ、他方に通口の形成されたバッフルが配置されるとともに、
前記通口は、その通口が形成されている通口形成面を上下方向に二等分したとき、該通口形成面の下部に形成された通口の総面積よりも、上部に形成された通口の総面積のほうが大きくなるように調整されていることを特徴とする液相成長装置。 - 反応管内に設置された成長用ボートに、半導体単結晶基板をその主表面に成長溶液が接する状態で複数配置するように構成され、さらに、前記反応管の長手方向の一方にガス供給部が設けられ、他方に通口の形成されたバッフルが前記反応管の内部に配置されるとともに、
前記通口は、その通口が形成されている通口形成面を上下方向に二等分したとき、その上部にのみ形成されていることを特徴とする液相成長装置。 - 反応管内に、主表面上に成長溶液が接する状態で半導体単結晶基板が載置された成長用ボートを配置し、
前記反応管内にキャリアガス及びドーピングガスを流入させながら、前記半導体単結晶基板の主表面上にエピタキシャル層を形成する液相成長方法において、
前記エピタキシャル層の形成は、請求項1または2に記載の液相成長装置を使用して行われることを特徴とする液相成長方法。
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