JP2003068664A - 液相成長装置及びそれを使用する液相成長方法 - Google Patents

液相成長装置及びそれを使用する液相成長方法

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JP2003068664A JP2001260332A JP2001260332A JP2003068664A JP 2003068664 A JP2003068664 A JP 2003068664A JP 2001260332 A JP2001260332 A JP 2001260332A JP 2001260332 A JP2001260332 A JP 2001260332A JP 2003068664 A JP2003068664 A JP 2003068664A
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真 川崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同一ロット内において不純物濃度のばらつき
の少ないエピタキシャル層が形成できる液相成長装置及
びそれを使用した液相成長方法を提供する。 【解決手段】 本発明の液相成長装置1は、反応管3
と、不純物を含むプロセスガスGを成長反応室9内に流
出させるガス供給部2と、プロセスガスGの成長反応室
9内における流量を規制する通口10が形成されている
バッフル4とを有する。バッフル4における通口形成面
4bの上下方向の長さを二等分する水平基準線を設定し
たとき、該通口形成面4bの該水平基準線よりも上方の
領域を第一領域とし、下方の領域を第二領域とする。通
口10は、第二領域における総面積よりも第一領域にお
ける総面積の方が大きくなるように、もしくは第一領域
のみに形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体単結晶基
板上にエピタキシャル層を形成するための液相成長装置
及びそれを使用した液相成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液相エピタキシャル成長法(以下、液相
成長方法ともいう)とは、成長させたい成長層(エピタ
キシャル層)の結晶成分を溶質として、Ga(ガリウ
ム)等の溶媒に溶かし、温度又は温度勾配を変化させる
ことにより、半導体単結晶基板上に結晶成分を析出成長
させる方法である。
【0003】例えば、GaP(燐化ガリウム)単結晶に
より構成される発光素子等を製造する場合、n型のGa
P基板上にn型のGaPエピタキシャル層を液相成長さ
せた後、p型のGaPエピタキシャル層を同様に液相成
長させる。このエピタキシャル成長において、不純物を
添加するには、不純物が既に溶け込んでいる別の成長溶
液に取り替えて成長させる手法や、キャリアガス中に不
純物を混入させたガスを流しながら成長させる手法を用
いるのが一般的である。
【0004】キャリアガス中に不純物を混入させたガス
から不純物を取り込むように構成された液相成長装置と
して、従来図6に示すような装置1’が使用されてい
る。液相成長装置1’は、反応管3を有し、該反応管3
内には、ガスを供給するためのガス供給部2と石英製の
バッフル4とによって、成長反応室9が形成される。そ
して、半導体単結晶基板Wと成長溶液16とをセットし
たボート8を、その成長反応室9内に配置する仕組みで
ある。ガス供給部2内には、例えばp型の不純物源17
として、Zn(亜鉛)が配置される。そして、反応管3
の外側に位置するサブヒータ6にて加熱して、不純物を
蒸発・気化させ、HやAr等のキャリアガスととも
に、整流部材2dに形成されたガス供給口2hを通過さ
せて、成長反応室9内に供給する(キャリアガスと不純
物ガスが混ざり合ったガスを以後、プロセスガスともい
う)。
【0005】ガス供給口2hから成長反応室9内に供給
されたプロセスガスGは、成長反応室9内に配置された
各ボート間を流通した後、バッフル4の下部に形成され
た通口10’に流入する形にてバッフル4の内側に導か
れる。バッフル4には、図示しない排気口が通口10’
の反対側に形成されており、それが反応管3の排気口へ
とつながって、ガスが反応管3の外部へと排気される仕
組みである。なお、若干ではあるが、バッフル4と反応
管3との間に形成された隙間を流通する形にて、反応管
3の排気口へ向うガスもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法を採用した場合、プロセスガスGの流れが不
均一になりがちであり、同じ反応室内であっても場所に
よって成長溶液に取り込まれる不純物の量に差異が生じ
てしまうという問題がある。結果として、形成されたエ
ピタキシャル層における不純物濃度がばらついてしまう
という不具合が生じる。そして、このようにして作製さ
れたエピタキシャルウェーハを使用して例えば発光素子
を作製すると、発光出力にばらつきが生じてしまう。
【0007】本発明の課題は、不純物濃度のばらつきの
少ないエピタキシャル層を半導体単結晶基板上に形成す
ることができる液相成長装置及び、それを使用した液相
成長方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用効果】上記課題を
解決するために、本発明の液相成長装置は、反応管内に
設置された成長用ボートに、半導体単結晶基板をその主
表面に成長溶液が接する状態で複数配置するように構成
され、さらに、前記反応管の長手方向の一方にガス供給
部が設けられ、他方に排気ガスの流量を規制するために
ガス流通方向に通口の形成されたバッフルが配置される
とともに、前記通口は、その通口が形成されている通口
形成面を上下方向に二等分したとき、該通口形成面の下
部に形成された通口の総面積よりも、上部に形成された
通口の総面積のほうが大きくなるように調整されている
ことを特徴とする。
【0009】同じく課題を解決するために、本発明の液
相成長装置は、反応管内に設置された成長用ボートに、
半導体単結晶基板をその主表面に成長溶液が接する状態
で複数配置するように構成され、さらに、前記反応管の
長手方向の一方にガス供給部が設けられ、他方に排気ガ
スの流量を規制するためにガス流通方向に通口の形成さ
れたバッフルが配置されるとともに、前記通口は、その
通口が形成されている通口形成面を上下方向に二等分し
たとき、その上部にのみ形成されていることを特徴とす
る。
【0010】さらに、本発明の液相成長方法は、反応管
内に、主表面上に成長溶液が接する状態で半導体単結晶
基板が載置された成長用ボートを配置し、前記反応管内
にキャリアガス及びドーピングガスを流入させながら、
前記半導体単結晶基板の主表面上にエピタキシャル層を
形成する液相成長方法において、前記エピタキシャル層
の形成は、本発明の液相成長装置を使用して行われるこ
とを特徴とする。
【0011】本発明者らは、反応管内にガスを供給する
ような液相成長装置において、反応管の一端からガス供
給部によりガスを流入させると、ガスは反応管の下流で
バッフルの端面に当たってボート上部の空間を逆流し、
再び上流側から流れる形で循環することを見出した。さ
らにガスは、結晶の成長が行なわれる成長反応管で熱せ
られるため、反応管内の上方に移動する傾向が強く、過
剰な対流がバッフルの近傍における成長反応室の上方に
形成されることを突き止めた。
【0012】そこで、本発明者らは、液相成長装置にお
いて、成長用ボートに関してガス供給部とは反対側に設
けられるバッフルに通口を設ける際、バッフルの通口形
成面を上下方向に二等分したとき、該通口形成面の下部
に形成される通口の総面積よりも上部に形成される通口
の総面積のほうが大きくなるように設定した。これによ
りバッフルの近傍においてガスの過剰な対流が抑制さ
れ、その結果、成長反応室内に導入されたガスの流れの
均一化を図ることができる。すなわち、上記通口は整流
作用を備える。
【0013】また、通口形成面の上部にのみ通口が形成
されている形態も採用できる。バッフルはガスの流れを
できるだけ乱さず、かつ放熱を十分に抑制できる形態で
設けられるのが望ましい。通口を設けすぎると、遮熱効
果を発揮できない恐れもある。反応管内を流れてきたガ
スは、バッフルの近傍においては反応管の上方に向って
流れやすい傾向にあるので、通口形成面の上部にのみ通
口を形成しておいても、過剰な対流を抑制する効果は十
分に望める。なお、通口の面積とは、通口形成面におけ
る開口面積をいう。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態について説明する。図1は、本発明の液相成長装
置1を示す概略図である。以下、該装置においてGaP
単結晶基板上にGaPエピタキシャル層を形成する場合
について説明する。液相成長装置1は、該装置1を主に
構成する反応管3と、該反応管3に接続されてプロセス
ガスGを供給するガス供給部2と、反応管3の長手方向
においてガス供給部2と反対方向に位置するバッフル4
とを有する。さらに、反応管3とガス供給部2及びバッ
フル4の端面にて囲まれる形で、成長反応室9が形成さ
れている。
【0015】バッフル4は、反応管3の長手方向におい
て、成長用ボート8に関してガス供給部2と反対側に反
応管3内の放熱を抑制するための断熱部材として設けら
れる。液相成長においては、成長反応室9内の温度を所
定の温度に維持することが重要だからである。さらに、
バッフル4には、プロセスガスGの排出量を調節する通
口が形成される。これにより、成長反応室9内での放熱
を抑制しつつ、反応管3内におけるプロセスガスGの流
れの均一化を図ることが可能になる。図1に示すよう
に、成長反応室9を形成するバッフル4の端面におい
て、その上半分の領域に通口10が形成されている。
【0016】上記通口10は、プロセスガスGの過剰な
対流を抑制する程度に形成されていれば十分である。プ
ロセスガスGを排出する機能を重視しすぎると、放熱抑
制の効果が十分に発揮できない。成長反応室9内に導入
されたプロセスガスGの流れを均一にするためには、プ
ロセスガスGがバッフル4に跳ね返されて生じる対流を
抑制できれば十分であり、形成される通口10の寸法及
び分布形態を調節して、プロセスガスGが過剰に排出さ
れるのを抑制する。
【0017】また、バッフル4は、筒状形態の反応管3
の開口部を塞ぐ形態で、該開口部から反応管3の内部に
挿入される柱状部材であって、排気されるプロセスガス
Gをいったん収容する内部空間を有する。バッフル4の
内部空間でプロセスガスGの対流、乱流等が生じること
にはなんら問題はない。むしろ、ガスの流れ方向に関す
る通口の距離を短くすることが可能になるので、ガスの
スムーズな流れに寄与する。
【0018】次に、図3に、液相成長装置1内に配置さ
れる成長用ボートの模式図を示す。複数段に組立可能と
されたボート8は、石英製の部材として構成される。そ
のボート8の上面部には、そこに形成された凹部に枠状
又は環状の石英製堤部材8sが擦り合わせにより着脱可
能に嵌合して、半導体単結晶基板Wの載置部と成長溶液
溜とを形成している。このボート8には、一段につき複
数の基板を載置可能である。基板の入れかえを行う際に
は、これらボート8を個別に分解したうえで、液相成長
後に残余した成長溶液を取り除き、さらに堤部材8sを
取り外してエピタキシャルウェーハを取り出せばよい。
成長溶液溜に溜められるGa溶液は、表面張力によって
堤部材8sの上端よりもやや隆起するようにその量が調
整されるので、プロセスガスG中に含まれる不純物の溶
けこみも促進される。
【0019】このように、成長用ボート8が複数段あ
り、複数の半導体単結晶基板Wが配置されるような液相
成長装置1においては、各ボートの間を流れるガスはヒ
ータによって熱せられるため、排気される際には反応管
3の上側方向に進みやすい傾向にあり、さらには、バッ
フル4に跳ね返されて対流を生ずる。そのため、成長反
応室9内に導入されたプロセスガスGの流れが不均一に
なりやすく、そのような場合、エピタキシャル層の不純
物濃度にばらつきが生じやすい。従って、本発明が好適
に使用できるものである。
【0020】図1に戻り、ガス供給部2には、その本体
部2aと連通する形で不純物源供給室2bが形成されて
おり、さらに、成長反応室9に、その長手方向に突出す
る形でガス供給管11、12が形成されている(図2
(a)参照)。不純物源供給室2bに配置されたボート
18には、p型不純物源17となるZnが配置されてお
り、ボート18と一体化したスライドピン19により不
純物源供給室2bに出し入れ可能となっている。反応管
3の外側における成長反応室9及び不純物源供給室2b
に対応する位置に、それら室内を加熱するためのメイン
ヒータ5及びサブヒータ6が設けられている。
【0021】図2(a)に示すように、ガス供給部2に
は、成長反応室9内に突出する形でガス供給管11、1
2が形成されており、該ガス供給管11、12の先端の
開口部がプロセスガスGを成長反応室9に導くガス供給
口14、15として機能する。また、ガス供給部2の壁
面2cに開口するガス供給口13が図示されない位置に
設けられている。これらガス供給口13、14、15
は、成長反応室9の該長手方向において異なる位置に形
成されている。すなわち、ガス供給管11は、成長反応
室9の中間位置まで突出する形態で長く形成されてお
り、対応するガス供給口15がその位置に設定されてい
る。
【0022】さらに、本実施の形態においては、ボート
8上にGaP単結晶基板Wが反応室9の長手方向(プロ
セスガスGの流れ方向)に沿って複数配列する形態で配
置されている。このように、ガス供給部2からの距離が
各GaP単結晶基板Wによって異なる場合には、ガス供
給口13、14、15の位置を異ならせることによっ
て、プロセスガスGの流れ方向におけるドーピング濃度
の均一化を図ることができ、さらに本発明の構成を採用
することによって、プロセスガスGの流れもより均一に
なるので、各GaP単結晶基板Wに形成されるエピタキ
シャル層における不純物濃度のばらつきをより一層抑制
することができる。
【0023】図2(b)は、図2(a)におけるA−
A’断面から、ガス供給部2を観察した断面矢視図であ
る。該ガス供給部2には、ガス供給管11、12以外
に、ガス供給部2の壁面2cの下方に下部ガス供給口1
3が形成されている。この下部ガス供給口13と、上記
ガス供給口14、15とから反応室9内に次々と不純物
を含んだガスが導入される。
【0024】さらに、図2(c)は、図2(a)のB−
B’断面からバッフル4の通口形成面を観察したもので
ある。バッフル4における通口形成面4bを上下方向に
二等分する水平基準線Hよりも上方の第一領域(上部)
4cには、成長反応室9内に導入されたプロセスガスG
を排出するための通口10が形成されている。一方、水
平基準線Hよりも下方の第二領域(下部)4dには通口
は形成されていない。
【0025】図4において、バッフル4に形成される通
口10の作用について説明する。バッフル4に通口10
が形成されていなかったり、図4(a)に示すように、
バッフル4の通口形成面4bにおける第二領域4dのみ
に通口10’が形成されているような場合は、バッフル
4によるプロセスガスGの跳ね返りにより、通口形成面
4bの第一領域4c近傍に過剰な対流が形成される。成
長反応室9に導入されたプロセスガスGは、ヒータに熱
せられて反応管3の上方向へ進む傾向をもつ。従って、
バッフル4にプロセスガスGが当たって生じる対流も上
方向へ進行する傾向が強くなる。この対流は、いったん
逆流するようにして流れ、再び上流側から流れる形で循
環する。このように、過度な対流の発生は、プロセスガ
スGの均一な流れを損ねてしまう。
【0026】他方、図4(b)に示すように、バッフル
4の通口形成面4bにおける第一領域4cのみに通口1
0を形成した場合には、バッフル4に形成される通口1
0を介してプロセスガスGが効果的に排出されることか
ら、バッフル4によるプロセスガスGの跳ね返りが適度
に抑制されて、対流の過剰な発生を防止することができ
る。なお、反応管3に配置されるバッフル4は、成長反
応室9内の温度を均一に保つためにも重要な部材であ
る。そのため、成長反応室9に開口する通口10の総面
積は、成長反応室9内の温度を均一にする効果を損なわ
ない大きさに適宜調整するとよい。
【0027】また、バッフル4に形成される通口10の
形状及びその分布形態は図5のようにしてもよい。図5
(a)に示すように、1つの通口10を第一領域4cに
プロセスガスGが排出され易い形状にて形成するように
してもよいし、図5(b)に示すように複数の通口10
を第一領域4cのみに形成するようにしてもよい。さら
に、図5(c)のように、第二領域4dに形成される通
口10’よりも、第一領域4cに形成される通口10の
総面積を大きく設定するようにしてもよい。図5(a)
〜(c)のいずれも、第一領域4cに形成される通口1
0の総面積のほうが、第二領域4dに形成されるそれよ
りも大きく設定されている。これにより、通口形成面4
bの上部におけるプロセスガスGの跳ね返り、及びその
近傍で生ずる対流を抑制することができるので、プロセ
スガスGの流れの均一化を図れる。なお、さらに成長反
応室9内のプロセスガスGの流れを均一にするために、
成長反応室9内から通口10を通過してバッフル4の裏
側へと流れるプロセスガスGを吸引するガス吸引機構
(図示せず)を設けるようにしてもよい。
【0028】以上説明した実施の形態においては、バッ
フル4は成長反応室9を形成する端面を少なくとも一端
に有する石英製の柱状部材とした。遮熱作用と整流作用
とを備えるバッフル4の別形態を図7に示す。この例に
おいては、板状のバッフル4’(バッフル板)をプロセ
スガスGの流れ方向に複数連ねて配置している。各バッ
フル板4’に通口10が形成されている。このように、
バッフル板4’を複数連ねた形態にすると、その各々に
おいて通口の形成形態を異ならせることも可能である。
図7に示す例においては、成長反応室9に最も近くに配
置されるバッフル板4’を除き、後続をなすバッフル板
4’には下部の通口10’も上部通口10に加えて形成
されている。このように、通口10,10’の面積やバ
ッフル板4’の枚数を種々調整できるので、遮熱の効果
と整流の効果との兼ね合いを最適化しやすい。
【0029】以下、上記のような液相成長装置1を用い
た液相成長方法について述べる。図8は液相成長装置1
にて形成されるGaPエピタキシャルウェーハを素子化
することにより作製される発光素子用基体30の一例を
示すものである。n型GaP単結晶基板W上にn型Ga
Pエピタキシャル層22、N(窒素)ドープn型GaP
エピタキシャル層23、Nドープp型GaPエピタキシ
ャル層24、p型GaPエピタキシャル層25が形成さ
れている。n型GaPエピタキシャル層22及びNドー
プn型GaPエピタキシャル層23には、n型ドーパン
トとしてSiが添加されている。さらに、上記Nドープ
n型GaPエピタキシャル層23及びNドープp型Ga
Pエピタキシャル層24には、該発光素子30の発光効
率を向上させるために、アイソエレクトロニック・トラ
ップ(Isoelectronic Trap)型の発光中心として振舞う
窒素(N)をドープしている。
【0030】まず、公知の液体封止型チョクラルスキー
法によって得られるGaP単結晶棒をスライスして得た
n型GaP単結晶基板Wを、その主表面にGaP多結晶
を溶け込ませたGa融液(成長溶液16)を接触させた
状態で配置する。そして、メインヒータ5により、成長
反応室9内の温度を上昇させる。
【0031】次に、温度を1000℃近傍まで上昇させ
ると、n型GaP単結晶基板Wの上部が徐々に成長溶液
に溶解して、やがて該成長溶液におけるGaP濃度は飽
和濃度に達する。そこで、Ga溶液16の温度を降下さ
せることにより、n型GaPエピタキシャル層22を成
長させる。なお、エピタキシャル層にn型の不純物を含
有させるには、キャリアガス中にS、Si等を含有する
ガスを混ぜて微量流すとよい。又は、ボート自体の材質
から取り込む等の方法により成長溶液中に供給すること
もできる。
【0032】そして、n型GaPエピタキシャル層22
の厚さが所望の値に到達した時に、降温を停止して成長
を止め、該温度(例えば900℃以上1000℃以下の
所定温度である)を保持しつつ、ガス供給部2を介して
成長反応室9に、N(窒素)を供給するために必要なガ
ス(例えばNH)をArやH等のキャリアガスに混
合して導入する。次に、Ar希釈NHガスを成長反応
室9内に供給しながら、成長溶液16の温度を降下させ
る。これにより、n型GaPエピタキシャル層22上
に、NドープGaPエピタキシャル層23が形成され
る。
【0033】そして、不純物源供給室2bに、Zn(亜
鉛)をセットしたボート18を、スライドピン19を用
いて押し込み、Znを蒸発させて、ZnとNHとがH
及びArに含有されるプロセスガスGを、成長反応室
9内に流入させつつ、引き続き成長溶液16の降温を行
う。これにより、Zn及びNがドープされたp型GaP
エピタキシャル層24がNドープGaPエピタキシャル
層23上に形成される。さらに、NHの供給を停止す
ればZnドープのp型エピタキシャル層25が得られ
る。このようにして、図8に対応する多層構造の発光素
子1用のGaPエピタキシャルウェーハが得られる。
【0034】
【実施例】本発明の効果を調べるために以下の実験を行
った。図1(実施例)及び図6(比較例)に示す液相成
長装置1、1’を用い、直径50mm、厚さ0.3m
m、面方位(111)のn型GaP単結晶基板W上にG
aPエピタキシャル層を、前述した方法により液相エピ
タキシャル成長させた発光素子用GaPエピタキシャル
ウェーハをそれぞれ作製した。
【0035】実施例にかかる液相成長装置1にて同時に
製造された複数のGaPエピタキシャルウェーハのエピ
タキシャル層(ここでは、p型GaP層)25における
不純物濃度をそれぞれ測定し、各ウェーハ間の不純物濃
度のばらつきを調べたところ、そのばらつきは20%で
あった。他方、比較例にかかる液相成長装置1’にて同
様に不純物濃度のばらつきを調べたところ、そのばらつ
きは50%であった。このように、本発明によって、不
純物濃度のばらつきの少ないエピタキシャル層を形成で
きる液相成長装置及びそれを使用した液相成長方法を実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液相成長装置を示す概略図。
【図2】本発明の液相成長装置の要部を示す概略図。
【図3】半導体単結晶基板の配置形態を示す模式図。
【図4】液相成長装置の作用を説明する図。
【図5】通口の形成形態をいくつか示す模式図。
【図6】従来の液相成長装置を示す概略図。
【図7】バッフルの別形態を示す模式図。
【図8】本発明の装置及び方法により製造される半導体
単結晶基板を使用した発光素子の構造の一例を示す模式
図。
【符号の説明】
1、1’ 液相成長装置 2 ガス供給部 2a 本体部 2b 不純物源供給室 2c ガス供給部の壁面 3 反応管 4,4’ バッフル 4b 通口形成面 4c 第一領域 4d 第二領域 5 メインヒータ 6 サブヒータ 8 成長用ボート 8s 堤部材 9 成長反応室 10 通口 11、12 ガス供給管 13 下部ガス供給口 14、15 ガス供給口 16 Ga溶液(成長溶液) 17 p型不純物源 18 ボート 19 スライドピン W 半導体単結晶基板 G プロセスガス H 水平基準線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G077 AA03 BE43 CB04 CG01 EA06 EG24 QA01 QA27 5F053 AA03 AA26 BB52 BB59 DD07 FF01 GG01 HH04 JJ01 JJ03 KK01 KK04 KK06 RR01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応管内に設置された成長用ボートに、
    半導体単結晶基板をその主表面に成長溶液が接する状態
    で複数配置するように構成され、さらに、前記反応管の
    長手方向の一方にガス供給部が設けられ、他方に通口の
    形成されたバッフルが配置されるとともに、 前記通口は、その通口が形成されている通口形成面を上
    下方向に二等分したとき、該通口形成面の下部に形成さ
    れた通口の総面積よりも、上部に形成された通口の総面
    積のほうが大きくなるように調整されていることを特徴
    とする液相成長装置。
  2. 【請求項2】 反応管内に設置された成長用ボートに、
    半導体単結晶基板をその主表面に成長溶液が接する状態
    で複数配置するように構成され、さらに、前記反応管の
    長手方向の一方にガス供給部が設けられ、他方に通口の
    形成されたバッフルが配置されるとともに、 前記通口は、その通口が形成されている通口形成面を上
    下方向に二等分したとき、その上部にのみ形成されてい
    ることを特徴とする液相成長装置。
  3. 【請求項3】 反応管内に、主表面上に成長溶液が接す
    る状態で半導体単結晶基板が載置された成長用ボートを
    配置し、 前記反応管内にキャリアガス及びドーピングガスを流入
    させながら、前記半導体単結晶基板の主表面上にエピタ
    キシャル層を形成する液相成長方法において、 前記エピタキシャル層の形成は、請求項1または2に記
    載の液相成長装置を使用して行われることを特徴とする
    液相成長方法。
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