以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明を適用した船外機の第一実施形態を示す左側面図である。図1に示すように、この船外機1はエンジンホルダ2を備え、このエンジンホルダ2の上方にエンジン3が設置される。なお、このエンジン3はその内部に図示しないクランクシャフトを略垂直に配置したバーティカル(縦)型のエンジン3である。
エンジンホルダ2の下方にはオイルパン4が配置されると共に、この船外機1のエンジン3、エンジンホルダ2およびオイルパン4の周囲はエンジンカバー5によって覆われる。
オイルパン4の下部にはドライブシャフトハウジング6が設置される。また、ドライブシャフトハウジング6の下部にはギヤケース7が設けられ、このギヤケース7の後部に推進装置であるプロペラ8が配置される。
船外機1は、クランプブラケット9を介して船体10のトランサム10aに装着される。クランプブラケット9にはチルト軸11を介してスイベルブラケット12が設けられ、このスイベルブラケット12内にパイロットシャフト13が鉛直方向に、且つ回動自在に軸支される。そして、このパイロットシャフト13の上端にはステアリングブラケット14の基端部を兼ねるアッパーマウントブラケット101が、下端にはロアーマウントブラケット201がそれぞれ回動一体に設けられる。
一方、エンジンホルダ2の前下部には防振部材であるアッパーマウントユニット102が設けられ、エンジンホルダ2の前面から前方に向かって突出するアッパーマウントボルト103によってアッパーマウントブラケット101に連結される。また、ドライブシャフトハウジング6の両側部には他の防振部材である一対のロアーマウントユニット202が設けられ、ロアーマウントボルト203によってロアーマウントブラケット201に連結される。そして、以上によりマウント装置15を構成し、船外機1はクランプブラケット9に対しパイロットシャフト13を中心に左右に操舵可能になると共に、チルト軸11を中心に上方に向かってチルトアップ可能になる。
図2は、図1のII−II線に沿う断面図であり、アッパーマウントユニット102の第一実施形態を示す平断面図である。また、図3は図2のIII−III線に沿う断面図である。図2および図3に示すように、エンジンホルダ2の内部にはアッパーマウントユニット102を収納するアッパーマウント収納部104が形成され、アッパーマウントユニット102はエンジンホルダ2に固定された後、アッパーマウントボルト103の前端部にアッパーマウントブラケット101に形成された取り付け穴106が挿着されて前方より締付けナット107によって固定される。
アッパーマウント収納部104には船外機1の幅方向に並設された左右一対のアッパーマウント保持部108がエンジンホルダ2と一体に形成される。また、このアッパーマウント保持部108は船外機1の重心16の略直下に配置される。
アッパーマウントユニット102は主にその後端部にナット109を一体に備える上記左右一対のアッパーマウントボルト103と、各アッパーマウントボルト103の周囲にそれぞれ配置された直管状のインナーチューブ110と、各インナーチューブ110の周囲に巻装され、且つ上記アッパーマウント保持部108に嵌合可能な、ゴム等の弾性体から形成される第一アッパーマウント111と、左右のアッパーマウントボルト103後端部間に架設される板部材112とアッパーマウント保持部108との間に介装される、ゴム等の弾性体から形成される第二アッパーマウント113と、左右のアッパーマウントボルト103後端部を連結するように左右のナット109に被装された、ゴム等の弾性体から形成される第三アッパーマウント114と、エンジンホルダ2の前面中央部に対向するアッパーマウントブラケット101の後面中央部に配置される、ゴム等の弾性体または樹脂部材から形成される第四アッパーマウント115等から構成される。
第一アッパーマウント111は、エンジン3が低回転時に発生させる振動の伝達防止を受け持つために用いられ、前後および左右方向に非常に柔らかいバネ定数を有する。また、第一アッパーマウント111は船外機1の重心16の略直下に配置され、多少の傾斜角の変更、例えばPTT(図示せず)のUP/DOWNでも自重を保持しやすい位置関係にあるので、その上下方向のバネ定数は自重を保持するに必要な適値に設定される。
第二アッパーマウント113は、左右のアッパーマウントボルト103後端部間に架設される板部材112の前面および上下左右面を覆うようにこの板部材112に取り付けられ、この第二アッパーマウント113の前面と対向するアッパーマウント保持部108の後壁との間、および第二アッパーマウント113の左右上下面と対向するアッパーマウント収納部104の内壁との間には若干の隙間が形成される。
第二アッパーマウント113は、プロペラ8の前進方向推力により船外機1のエンジンホルダ2(エンジン3)後方への移動(変位)を規制するために用いられるもので、例えば船外機1のエンジンホルダ2が後方に向かって変位した場合上記第一アッパーマウント111が最初に変形し、それを超えた変位を、第二アッパーマウント113の表面が対向するアッパーマウント保持部108の後壁やアッパーマウント収納部104の内壁に当接することにより規制する役割を持つ。
そのため、第二アッパーマウント113のバネ定数は、一定レベルの振動伝達を防止でき、且つプロペラ8の推力による変位を規制できる程度のバネ定数、すなわち第一アッパーマウント111のバネ定数よりも大きい、中程度に設定される。また、プロペラ8の推力発生時には第二アッパーマウント113の表面が対向面に接した状態(第一アッパーマウント111の変形後)で維持され、操舵力がエンジンホルダ2を介して船外機1に伝達される。第二アッパーマウント113の両側端は操舵の回転中心17(パイロットシャフト13の回転中心)から比較的遠い位置に、且つ左右のアッパーマウントボルト103より外側に位置するため、操舵力は効率的に船外機1に伝達されると共に、操舵フィーリングも良好になる。
第三アッパーマウント114は、左右のアッパーマウントボルト103後端部間に架設される板部材112の後面に、左右のアッパーマウントボルト103後端部を連結し、且つ左右のアッパーマウントボルト103の頭部109に被装されたように取り付けられ、この第三アッパーマウント114の後面と、対向するアッパーマウント収納部104の後壁との間には若干の隙間が形成される。
第三アッパーマウント114は、リバース時のプロペラ8の後進方向推力により船外機1のエンジンホルダ2(エンジン3)の前方への移動(変位)を規制するために用いられるもので、例えば船外機1のエンジンホルダ2が前方に向かって変位した場合上記第一アッパーマウント111が最初に変形し、それを超えた変位を、第三アッパーマウント114の表面が対向するアッパーマウント収納部104の後壁に当接することにより規制する役割を持つ。
そのため、第三アッパーマウント114のバネ定数も第二アッパーマウント113と略同じ(第一アッパーマウント111のバネ定数よりも大きい)中程度に設定される。
第四アッパーマウント115は、例えば左右一対の環状部材であり、船体10側と船外機1側とのボルト連結部近傍、例えばアッパーマウントブラケット101の後面にアッパーマウントボルト103を囲むように固着されると共に、船外機1の通常使用状態において第四アッパーマウント115とエンジンホルダ2の前面との間には若干の隙間が形成される。
第四アッパーマウント115は、船体10がジャンプした時などの衝撃で発生する船外機1の船体10に対する前後左右上下方向の各変位を規制するために用いられるもので、例えば船外機1(エンジン3)が衝撃により前方に向かって変位した場合上記第一アッパーマウント111が最初に変形し、さらにプロペラ8の推力を超えた衝撃力により第三アッパーマウント114が変形し、それを超えた変位を、第四アッパーマウント115の後面がエンジンホルダ2の前面に当接することにより規制する役割を持つ。また、エンジンホルダ2の前面には第四アッパーマウント115の上下左右を覆うようにフランジ117が延設され、第四アッパーマウント115の上下左右面がフランジ117の内面に当接することにより上下および左右方向の変位を規制する役割を持つ。
そのため、第四アッパーマウント115のバネ定数は、衝撃力による変位を規制できる程度のバネ定数、すなわち第一アッパーマウント111や第二アッパーマウント113、そして第三アッパーマウント114のバネ定数よりも大きい値に設定される。但し、上述したエンジン3が低回転時に発生させる振動のような低変位領域では第四アッパーマウント115がエンジンホルダ2の前面に接することはない。
図4は、図1のIV−IV線に沿う断面図であり、ロアーマウントユニット202の第一実施形態を示す平断面図である。また、図5は図4のV−V線に沿う断面図であり、図6は図5のVI−VI線に沿う断面図である。図4、図5および図6に示すように、ドライブシャフトハウジング6の両側部にはロアーマウントユニット202を収納するロアーマウント収納部204が形成され、巾方向に着脱可能なロアーマウントカバー205によって塞がれるように構成される。
ロアーマウントユニット202はドライブシャフトハウジング6のロアーマウント収納部204に固定されて外側方よりロアーマウントカバー205で塞がれた後、ロアーマウントボルト203の前端部にロアーマウントブラケット201に形成された取り付け穴206が挿着されて前方より締付けナット207によって固定される。
ロアーマウント収納部204およびロアーマウントカバー205には船外機1の幅方向に並設された左右一対のロアーマウント保持部208がロアーマウント収納部204およびロアーマウントカバー205と一体に形成される。
ロアーマウントユニット202は主にその後端部にナット209を一体に備える上記左右一対のロアーマウントボルト203と、各ロアーマウントボルト203の周囲にそれぞれ配置された直管状のインナーチューブ210と、各インナーチューブ210の周囲に巻装され、且つ上記ロアーマウント保持部208に嵌合可能な、ゴム等の弾性体から形成される第一ロアーマウント211と、左右のロアーマウントカバー205のそれぞれの前面に対向するロアーマウントブラケット201の後面両側端に配置される、ゴム等の弾性体から形成される左右一対の第二ロアーマウント213と、左右のロアーマウントボルト203後端部に設けられた板部材212とロアーマウント保持部208との間に介装される、ゴム等の弾性体から形成される第三ロアーマウント214と、ドライブシャフトハウジング6の前面中央部に対向するロアーマウントブラケット201の後面中央部に配置される、ゴム等の弾性体または樹脂部材から形成される第四ロアーマウント215等から構成される。
第一ロアーマウント211は、第一アッパーマウント111同様、エンジン3が低回転時に発生させる振動の伝達防止を受け持つために用いられ、前後および左右方向に非常に柔らかいバネ定数を有する。また、その上下方向のバネ定数は自重を保持するに必要な適値に設定される。
第二ロアーマウント213は、その後面と対向する左右のロアーマウントカバー205の前面との間には若干の隙間が形成される。この第二ロアーマウント213は、プロペラ8の前進方向推力により船外機1のドライブシャフトハウジング6の前方への移動(変位)を規制するために用いられるもので、例えば船外機1のドライブシャフトハウジング6が前方に向かって変位した場合上記第一ロアーマウント211が最初に変形し、それを超えた変位を、第二ロアーマウント213の後面が対向する左右のロアーマウントカバー205の前面に当接することにより規制する役割を持つ。
そのため、第二ロアーマウント213のバネ定数は第一ロアーマウント211のバネ定数よりも大きい、中程度に設定される。また、プロペラ8の推力発生時には第二ロアーマウント213の後面が対向面に接した状態(第一ロアーマウント211の変形後)で維持され、操舵力がドライブシャフトハウジング6を介して船外機1に伝達される。第二ロアーマウント213の両側端は操舵の回転中心17(パイロットシャフト13の回転中心)から比較的遠い位置に、且つ左右のロアーマウントボルト203より外側に位置するため、操舵力は効率的に船外機1に伝達されると共に、操舵フィーリングも良好になる。
第三ロアーマウント214は、左右のアッパーマウントボルト103後端部に設けられる板部材212の前面に取り付けられ、この第三ロアーマウント214の前面と、対向するロアーマウント収納部204の後壁との間には若干の隙間が形成される。
第三ロアーマウント214は、第三アッパーマウント114同様、リバース時のプロペラ8の逆推力により船外機1の後方への移動(変位)を規制するために用いられるもので、例えば船外機1が後方に向かって変位した場合上記第一ロアーマウント211が最初に変形し、それを超えた変位を、第三ロアーマウント214の表面が対向するロアーマウント収納部204の後壁に当接することにより規制する役割を持つ。
そのため、第三ロアーマウント214のバネ定数は第二ロアーマウント213と略同じ(第一ロアーマウント211のバネ定数よりも大きい)中程度に設定される。
第四ロアーマウント215は、船体10側と船外機1側とのボルト連結部近傍、例えばロアーマウントブラケット201の後面に左右のロアーマウントボルト203に挟まれるように配置され固着されると共に、船外機1の通常使用状態において第四ロアーマウント215とドライブシャフトハウジング6の前面との間には若干の隙間が形成される。
第四ロアーマウント215は、第四アッパーマウント115同様、船体10がジャンプした時などの衝撃で発生する船外機1の船体10に対する左右上下方向の変位を規制するために用いられるもので、例えば船外機1が衝撃により前方に向かって変位した場合上記第一ロアーマウント211が最初に変形し、それを超えた変位を、第四ロアーマウント215の後面がドライブシャフトハウジング6の前面に当接することにより規制する役割を持つ。また、ドライブシャフトハウジング6の前面には第四ロアーマウント215の左右上下を覆うようにフランジ217が延設され、第四ロアーマウント215の左右上下面がフランジ217の内面に当接することにより左右上下方向の変位を規制する役割を持つ。
そのため、第四ロアーマウント215のバネ定数は第一ロアーマウント211や第二ロアーマウント213、そして第三ロアーマウント214のバネ定数よりも大きく設定される。但し、上述したエンジン3が低回転時に発生させる振動のような低変位領域では第四ロアーマウント215がドライブシャフトハウジング6の前面に接することはない。
図7は、アッパーマウントユニット302の第二実施形態を示す平断面図であり、図8は図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。また、図9は、ロアーマウントユニット402の第二実施形態を示す平断面図であり、図10は図9のX−X線に沿う断面図である。なお、第一実施形態に示すアッパーマウントユニット102およびロアーマウントユニット202と共通する構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
図7〜図10に示すように、これらのアッパーマウントユニット302およびロアーマウントユニット402に設けられる第一アッパーマウント311および第一ロアーマウント411に関しては第一実施形態に示すものと同一の構造および機能を有する。一方、左右のアッパーマウントボルト303およびロアーマウントボルト403の後端部間には剛性部材であるバー状部材316およびバー状部材416がそれぞれ架設され、これらのバー状部材316およびバー状部材416の前後、上下および左右面がゴム等の弾性体から形成される変位規制アッパーマウント313および変位規制ロアーマウント413によってそれぞれ覆われる。
この変位規制アッパーマウント313の前面と対向する、エンジンホルダ2と一体に形成されたアッパーマウント保持部308の後壁との間、および変位規制アッパーマウント313の左右上下後面と対向する、エンジンホルダ2の内部に形成されたアッパーマウント収納部304の内壁との間には若干の隙間が形成される。また、同様に、変位規制ロアーマウント413の前面と対向する、ロアーマウント収納部404およびロアーマウントカバーB内に一体に形成されたロアーマウント保持部408の後壁との間、および変位規制ロアーマウント413の左右上下後面と対向する、ドライブシャフトハウジング6に設けられたロアーマウント収納部404の内壁との間には若干の隙間が形成される。
変位規制アッパーマウント313および変位規制ロアーマウント413は、プロペラ8の推力により船外機1の前方への移動(変位)、リバース時のプロペラ8の逆推力により船外機1の後方への移動(変位)および船体10がジャンプした時などの衝撃で発生する船外機1の船体10に対する左右上下方向の変位を規制するために用いられるもので、上記第一アッパーマウント311および第一ロアーマウント411の変形後にそれを超えた変位を規制するものである。よって、変位規制アッパーマウント313および変位規制ロアーマウント413のバネ定数は第一アッパーマウント311および第一ロアーマウント411のバネ定数よりも大きい、前記第二アッパーマウント113および第二ロアーマウント213と同等の、中程度に設定される。
さらに、アッパーマウントブラケット301と、左右一対のアッパーマウントボルト303と、各アッパーマウントボルト303の周囲にそれぞれ配置された直管状のインナーチューブ310と、左右のアッパーマウントボルト303間に架設されるバー状部材316とで、また、ロアーマウントブラケット401と、左右一対のロアーマウントボルト403と、各ロアーマウントボルト403の周囲にそれぞれ配置された直管状のインナーチューブ410と、左右のロアーマウントボルト403間に架設されるバー状部材416とでそれぞれ矩形を形成し、船体10がジャンプした時などの衝撃で発生する荷重をアッパーマウントボルト303やロアーマウントボルト403単品だけではなく、これらの矩形構成全体で受け止めるように構成される。
そして、これらのバー状部材316およびバー状部材416で左右のアッパーマウントボルト303およびロアーマウントボルト403を結合することによりボルトやナットの締め付け時に周り止めとして機能する。さらに、例えば図9および図10に示すように、ロアーマウントユニット402のバー状部材416にロアーマウントボルト403連結用のネジ穴417を加工すれば、マウントボルトの後端部に設けられるナットが不要になる。
図11は、ロアーマウントユニット502の第三実施形態を示す左側面図であり、図12は図11のXII−XII線に沿う断面図である。また、図13は図12のXIII−XIII線に沿う断面図であり、図14は図12のXIV−XIV線に沿う断面図である。なお、第一実施形態に示すロアーマウントユニット202と共通する構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
上述した例えば第一実施形態において、ロアーマウントユニット202を収納するロアーマウント収納部204はドライブシャフトハウジング6の両側部に、その巾方向外側に開口して形成され、巾方向に着脱可能なロアーマウントカバー205によって塞がれるように構成されているが、この第三実施形態に示すロアーマウントユニット502を収納する左右一対のロアーマウント収納部504は前後方向に延びる筒状の形状を有し、ドライブシャフトハウジング6の前面にロアーマウントユニット502挿入用の挿入口506が形成されると共に、この挿入口506はロアーマウントユニット502が抜け出ないよう、中央部が開口した左右一対のカバー部材505によって塞がれる。
また、ドライブシャフトハウジング6のハウジング内部は上下方向に型分割されるため、カバー部材505をドライブシャフトハウジング6に固定するボルト507は、ドライブシャフトハウジング6の駄肉が付かない位置に配置される。なお、上記カバー部材505は左右別部材としたが、左右一体化(図示せず)してもよい。
ロアーマウントユニット502は主にその後端部にナット509を一体に備える左右一対のロアーマウントボルト503と、各ロアーマウントボルト503の周囲にそれぞれ配置され、その略中央部にフランジ部512を備える直管状のインナーチューブ510と、各インナーチューブ510のフランジ部512より後方部分の周囲に巻装され、且つロアーマウント保持部508に嵌合可能な、ゴム等の弾性体から形成される第一ロアーマウント511と、左右のカバー部材505のそれぞれの前面に対向するロアーマウントブラケット501の後面両側端に配置される、C字形状を有するゴム等の弾性体から形成される左右一対の第二ロアーマウント513と、各インナーチューブ510のフランジ部512より前方部分の周囲に巻装され、且つ上記ロアーマウント保持部508に嵌合可能な、ゴム等の弾性体から形成される第三ロアーマウント514と、ドライブシャフトハウジング6の前面中央部に対向するロアーマウントブラケット501の後面中央部に配置される、ゴム等の弾性体または樹脂部材から形成される第四ロアーマウント515等から構成される。
第一ロアーマウント511は、ロアーマウント収納部504の底(後端)面とインナーチューブ510のフランジ部512との間に介装されており、上記第一実施形態で示した第一ロアーマウント211同様、エンジン3が低回転時に発生させる振動の伝達防止を受け持つために用いられ、前後および左右方向に非常に柔らかいバネ定数を有する。また、その上下方向のバネ定数は自重を保持するに必要な適値に設定される。
第二ロアーマウント513は、その後面と対向する左右のカバー部材505の前面との間には若干の隙間518が形成される。この第二ロアーマウント513は、プロペラ8の前進方向推力により船外機1のエンジンホルダ2の後方への移動(変位)を規制するために用いられるもので、例えば船外機1のエンジンホルダ2が後方に向かって変位した場合上記第一ロアーマウント511が最初に変形し、それを超えた変位を、第二ロアーマウント513の後面が対向する左右のカバー部材505の前面に当接することにより規制する役割を持つ。
そのため、第二ロアーマウント513のバネ定数は第一ロアーマウント511のバネ定数よりも大きい、中程度に設定される。また、プロペラ8の推力発生時には第二ロアーマウント513の後面が対向面に接した状態(第一ロアーマウント511の変形後)で維持され、操舵力がドライブシャフトハウジング6を介して船外機1に伝達される。第二ロアーマウント513の両側端は操舵の回転中心17(パイロットシャフト13の回転中心)から比較的遠い位置に、且つ左右のロアーマウントボルト503より外側に位置するため、操舵力は効率的に船外機1に伝達されると共に、操舵フィーリングも良好になる。
ところで、この第三実施形態に示すロアーマウントユニット502は上述した第二ロアーマウント513の他に副第二ロアーマウント516を備える。この副第二ロアーマウント516は、左右のロアーマウントボルト503後端の頭部509に被装されるように取り付けられ、この副第二ロアーマウント516の周囲と、対向するロアーマウント収納部504の壁面との間には若干の隙間519が形成される。そして、この副第二ロアーマウント516とロアーマウント収納部504の壁面との間の隙間519は上記(主)第二ロアーマウント513の後面とカバー部材505との間の隙間518より小さく設定され、さらに副第二ロアーマウント516のバネ定数を(主)第二ロアーマウント513より小さく、且つ第一ロアーマウント511のバネ定数よりも大きく設定される。
このように副第二ロアーマウント516を設定することにより、(主)第二ロアーマウント513とその対向面が接触する推力よりも小さな推力発生時に副第二ロアーマウント516とその対向面が接触することで、低速域から高速域までのマウントのバネ定数(弾性力)を段階的に複数具備することができる。
第三ロアーマウント514は、ロアーマウントユニット502挿入用の挿入口506を塞ぐカバー部材505とインナーチューブ510のフランジ部512との間に介装されており、上記第一実施形態で示した第三ロアーマウント214同様、リバース時のプロペラ8の逆推力により船外機1のドライブシャフトハウジング6の後方への移動(変位)を規制するために用いられるもので、例えば船外機1のドライブシャフトハウジング6が後方に向かって変位した場合上記第一ロアーマウント511が最初に変形し、それを超えた変位を、第三ロアーマウント514の表面が対向するインナーチューブ510のフランジ部512に当接することにより規制する役割を持つ。
そのため、第三ロアーマウント514のバネ定数は第二ロアーマウント513と略同じ(第一ロアーマウント511のバネ定数よりも大きい)中程度に設定される。
第四ロアーマウント515は、船体10側と船外機1側とのボルト連結部近傍、例えばロアーマウントブラケット501の後面に左右のロアーマウントボルト503に挟まれるように配置され固着されると共に、船外機1の通常使用状態において第四ロアーマウント515とドライブシャフトハウジング6の前面との間には若干の隙間が形成される。
第四ロアーマウント515は、上記第一実施形態で示した第四ロアーマウント215同様、船体10がジャンプした時などの衝撃で発生する船外機1の船体10に対する左右上下方向の変位を規制するために用いられるもので、例えば船外機1が衝撃により前方に向かって変位した場合上記第一ロアーマウント511が最初に変形し、それを超えた変位を、第四ロアーマウント515の後面がドライブシャフトハウジング6の前面に当接することにより規制する役割を持つ。また、ドライブシャフトハウジング6の前面には第四ロアーマウント515の上下および左右を覆うようにフランジ517が延設され、第四ロアーマウント515の上下および左右面がフランジ517の内面に当接することにより上下および左右方向の変位を規制する役割を持つ。
そのため、第四ロアーマウント515のバネ定数は第一ロアーマウント511や第二ロアーマウント513、そして第三ロアーマウント514のバネ定数よりも大きく設定される。但し、上述したエンジン3が低回転時に発生させる振動のような低変位領域では第四ロアーマウント515がドライブシャフトハウジング6の前面に接することはない。
図15は、ロアーマウントユニット602の第4実施形態を示す平断面図である。なお、第一実施形態に示すロアーマウントユニット202と共通する構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。また、ロアーマウントユニット602は第一実施形態に示すロアーマウントユニット202同様、ドライブシャフトハウジング6の両側部に形成されたロアーマウント収納部604に収納され、巾方向に着脱可能なロアーマウントカバー605によって塞がれるように構成される。
図15に示すように、ロアーマウントユニット602は主にその後端部にナット609を一体に備える左右一対のロアーマウントボルト603と、各ロアーマウントボルト603の周囲にそれぞれ配置された直管状のインナーチューブ610と、各インナーチューブ610の周囲に巻装され、且つロアーマウント収納部604およびロアーマウントカバー605内に一体に形成されたロアーマウント保持部608に嵌合可能な、ゴム等の弾性体から形成される第一ロアーマウント611と、左右のロアーマウントカバー605のそれぞれの前面に対向するロアーマウントブラケット601の後面両側端に配置される、ゴム等の弾性体から形成される左右一対の第二ロアーマウント613と、左右のロアーマウントボルト603後端部に設けられた板部材612とロアーマウント保持部608との間に介装される、ゴム等の弾性体から形成される第三ロアーマウント614と、各インナーチューブ610の周囲、且つ第一ロアーマウント611の前後に巻装され、且つロアーマウント保持部608に嵌合可能な、ゴム等の弾性体または樹脂部材から形成される第四ロアーマウント615等から構成される。
第一ロアーマウント611は、上記第一実施形態で示した第一ロアーマウント211同様、エンジン3が低回転時に発生させる振動の伝達防止を受け持つために用いられ、前後および左右方向に非常に柔らかいバネ定数を有する。また、その上下方向のバネ定数は自重を保持するに必要な適値に設定される。
第二ロアーマウント613は、その後面と対向する左右のロアーマウントカバー605の前面との間には若干の隙間が形成される。この第二ロアーマウント613は、プロペラ8の前進方向推力により船外機1のドライブシャフトハウジング6の前方への移動(変位)を規制するために用いられるもので、例えば船外機1のドライブシャフトハウジング6が前方に向かって変位した場合上記第一ロアーマウント611が最初に変形し、それを超えた変位を、第二ロアーマウント613の後面が対向する左右のロアーマウントカバー605の前面に当接することにより規制する役割を持つ。
そのため、第二ロアーマウント613のバネ定数は第一ロアーマウント611のバネ定数よりも大きい、中程度に設定される。また、プロペラ8の推力発生時には第二ロアーマウント613の後面が対向面に接した状態(第一ロアーマウント611の変形後)で維持され、操舵力がドライブシャフトハウジング6を介して船外機1に伝達される。第二ロアーマウント613の両側端は操舵の回転中心17(パイロットシャフト13の回転中心)から比較的遠い位置に、且つ左右のロアーマウントボルト603より外側に位置するため、操舵力は効率的に船外機1に伝達されると共に、操舵フィーリングも良好になる。
第三ロアーマウント614は、左右のロアーマウントボルト603後端部に設けられる板部材612の前面に取り付けられ、この第三ロアーマウント614の前面と、対向するロアーマウント収納部604の後壁との間には若干の隙間が形成される。
第三ロアーマウント614は、上記第一実施形態に示す第三ロアーマウント214同様、リバース時のプロペラ8の逆推力により船外機1の後方への移動(変位)を規制するために用いられるもので、例えば船外機1が後方に向かって変位した場合上記第一ロアーマウント611が最初に変形し、それを超えた変位を、第三ロアーマウント614の表面が対向するロアーマウント収納部604の後壁に当接することにより規制する役割を持つ。
そのため、第三ロアーマウント614のバネ定数は第二ロアーマウント613と略同じ(第一ロアーマウント611のバネ定数よりも大きい)中程度に設定される。
第四ロアーマウント615は、船外機1の通常使用状態において第四ロアーマウント615とロアーマウント収納部604やロアーマウントカバー605の内壁面およびインナーチューブ610との間に若干の隙間619が形成されるように配置される。
第四ロアーマウント615は、上記第一実施形態で示した第四ロアーマウント215同様、船体10がジャンプした時などの衝撃で発生する船外機1の船体10に対する左右上下方向の変位を規制するために用いられるもので、例えば船外機1が衝撃により前方に向かって変位した場合上記第一ロアーマウント611が最初に変形し、それを超えた変位を、第四ロアーマウント615の表面がロアーマウント収納部604やロアーマウントカバー605の内壁面およびインナーチューブ610に当接することにより規制する役割を持つ。
そのため、第四ロアーマウント615のバネ定数は第一ロアーマウント611や第二ロアーマウント613、そして第三ロアーマウント614のバネ定数よりも大きく設定される。但し、上述したエンジン3が低回転時に発生させる振動のような低変位領域では第四ロアーマウント615が対向する面に接することはない。
図16および図17はそれぞれ上記第二実施形態で示したロアーマウントユニット402の第一および第二変形例である。なお、第二実施形態に示すロアーマウントユニット402と共通する構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
図16に示すロアーマウントユニット702(第一変形例)は、左右のロアーマウントボルト703の後端部間に架設されるバー状部材716の前後、上下および左右面を覆うゴム等の弾性体から形成される変位規制ロアーマウント713の外表面に襞状の突起717を複数個設けたものであり、船外機1の変位によって変位規制ロアーマウント713が変形するにつれて、変位規制ロアーマウント713の外表面とその対向する面との接触面積が増加することにより、低速域から高速域までのマウントのバネ定数(弾性力)を段階的に複数具備することができるものである。
図17に示すロアーマウントユニット802(第二変形例)は、左右のロアーマウントボルト803の後端部間に架設されるバー状部材816の前後、上下および左右面を覆うゴム等の弾性体から形成される変位規制ロアーマウント813の外表面に高さ817の異なる部位818を設けたものであり、船外機1の変位によって変位規制ロアーマウント813が変形するにつれて、変位規制ロアーマウント813の外表面とその対向する面との接触面積が増加することにより、低速域から高速域までのマウントのバネ定数(弾性力)を段階的に複数具備することができるものである。
ところで、変位規制マウントを備えた船外機は、例えばステアリングを中立にした常態で急減速を行うと、プロペラの推力がなくなって変位規制マウントの前後面の船外機本体への接触が解除され、いわゆるマウントへの荷重(スラスト)が抜けた状態となってその瞬間に左右方向への回転変位(ヨー)が発生する。ここで、この回転変位は操舵の回転中心17(パイロットシャフト13の回転中心)とは異なる、例えばエンジン3のトルクロール軸を回転中心とした回転力による変位である。そして、この回転変位が発生すると変位規制マウントの左右面が船外機本体へ接触してこの変位を規制するようになっている。
しかしながら、例えば上述した第二実施形態で示したマウントユニットのように、変位規制マウントの前後長が短いと変位規制マウントの左右面の船外機本体への接触が点接触のようになり、今度はこの点接触部分を中心に船外機本体の前側がさらに左右方向へ回転しようとする。その結果、船外機側、例えばエンジンホルダやドライブシャフトハウジング6と船体側、例えば第一マウントのインナーチューブとが接触するといった問題が発生する。
図18および図19はそれぞれ上記第二実施形態で示したアッパーマウントユニット302の第一変形例およびロアーマウントユニット402の第三変形例である。なお、第二実施形態に示すアッパーマウントユニット302およびロアーマウントユニット402と共通する構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
図18に示すアッパーマウントユニット902(第一変形例)は、左右のロアーマウントボルト903の後端部間に架設されるバー状部材916の前後、上下および左右面を覆うゴム等の弾性体から形成される変位規制アッパーマウント913と、回転変位の中心917(例えばエンジン3のトルクロール軸)近傍に位置する第一アッパーマウント911を挟んでこの変位規制アッパーマウント913の反対側に配置される回転変位規制アッパーマウント918とを有する。
回転変位規制アッパーマウント918は、例えばゴム等の弾性体または樹脂部材から形成され、左右のインナーチューブ910の外側に、既定のクリアランスを備えて配置され、例えばエンジンホルダ2に取り付けられる。そして、衝撃による前後左右上下方向の変位は変位規制アッパーマウント913で規制し、上述した理由で発生する回転変位(ヨー)は回転変位規制アッパーマウント918によって規制される。
一方、図19に示すロアーマウントユニット1002(第三変形例)も同様に、左右のロアーマウントボルト1003の後端部間に架設されるバー状部材1016の前後、上下および左右面を覆うゴム等の弾性体から形成される変位規制ロアーマウント1013と、回転変位の中心1017近傍に位置する第一ロアーマウント1011を挟んでこの変位規制ロアーマウント1013の反対側に配置される回転変位規制ロアーマウント1018とを有する。
回転変位規制ロアーマウント1018は、例えばゴム等の弾性体または樹脂部材から形成され、左右のインナーチューブ1010の内側に、既定のクリアランスを備えて配置され、例えばドライブシャフトハウジング6に取り付けられる。そして、衝撃による前後左右上下方向の変位は変位規制ロアーマウント1013で規制し、回転変位(ヨー)は回転変位規制ロアーマウント1018によって規制される。
なお、上述した変形例においては回転変位規制マウント918,1018をインナーチューブ910,1010の外側や内側に配置した例を示したが、詳細には図示しないが、ステアリングブラケット14やアッパーおよびロアーマウントブラケット901,1001の回転を抑制する位置に配置することも可能である。
図20および図21はそれぞれ上記第三変形例で示したロアーマウントユニット1002のさらなる変形例(第四および第五変形例)である。なお、第三変形例に示すロアーマウントユニット1002と共通する構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
図20に示すロアーマウントユニット1102(第四変形例)においては、第三変形例で示したロアーマウントユニット1002に備えられた、回転変位の中心1017を挟んで変位規制ロアーマウント1013の反対側に配置される回転変位規制ロアーマウント1018の代わりに、同位置に異形円筒形状のストッパ1118を左右の第一ロアーマウント1111のアウターチューブ1119に挿着し、ロアーマウントカバー1105によって抜け止めを行ったものである。
また、図21に示すロアーマウントユニット1202(第五変形例)においては、ストッパ1218を円筒形状とし、左右のインナーチューブ1210に例えば接着等で固定したものである。いずれの変形例(第四および第五変形例)においても、衝撃による前後左右上下方向の変位は変位規制ロアーマウント1113,1213で規制し、回転変位(ヨー)はストッパ1118,1218によって規制される。
ところで、例えば第一実施形態で示したアッパーマウントユニット102やロアーマウントユニット202のように、第四アッパーマウント115および第四ロアーマウント215を別体に備えたものは、これらの第四マウント115,215が好適な位置に配置されていることから、第四マウント115,215は衝撃による前後左右上下方向の変位のみならず回転変位も規制可能なため、上述したような回転変位規制マウントやストッパは不要である。
次に、本実施形態の作用について説明する。
船外機1のマウント装置には、エンジン3の振動、特に駆動トルクの反力によって生じる低回転域での振動と、プロペラ8の回転(正・逆)によって生じる前進方向および後進方向の推力と、急加減速時の衝撃力と、船体10がジャンプした後の着水時等に生じる、通常の推進力の2〜3倍の荷重を有する衝撃力が作用する。
そこで、本願発明においては船外機1を船体10に取り付けるアッパーマウントブラケット101,301およびロアーマウントブラケット201,401,501,601に、エンジン3が低回転時に発生させる振動の伝達防止を受け持つ第一アッパーマウント111,311および第一ロアーマウント211,411,511,611(以下、第一マウントと略す)と、プロペラ8の前進方向推力による船外機1のアッパーユニット(エンジン3およびエンジンホルダ2)の後方への移動(変位)規制を受け持つ第二アッパーマウント113およびロアーユニット(ドライブシャフトハウジング6およびギヤケース7)の前方への移動(変位)規制を受け持つ第二ロアーマウント213,513,613(以下、第二マウントと略す)と、リバース時のプロペラ8の後進方向推力による船外機1のアッパーユニットの前方への移動(変位)規制を受け持つ第三アッパーマウント114およびロアーユニットの後方への移動(変位)規制を受け持つ第三ロアーマウント214,514,614(以下、第三マウントと略す)と、そして船体10がジャンプした時などの衝撃で発生する船外機1の船体10に対する前後左右上下方向の変位規制を受け持つ第四アッパーマウント115および第四ロアーマウント215,515,615(以下、第四マウントと略す)とを備えたものである。
また、各マウントのバネ定数を、第四マウントのバネ定数を第二マウントおよび第三マウントのバネ定数よりも等しくもしくは大きく、また、第二マウントのバネ定数と第三マウントのバネ定数と略同じに、さらに第一マウントのバネ定数を第二マウントおよび第三マウントのバネ定数より小さく、すなわち各マウントのバネ定数を、第一マウント<第二マウント(および第三マウント)≦第四マウントに設定したものである。
そして、上述した構造により、船外機1のマウント装置15に作用するあらゆる力に対応することができる。特に、船体10がジャンプした後の着水時等に生じる衝撃力は、その上下左右の変位を規制しなければマウントボルト103,203…803(アッパーおよびロアー)に大きな曲げ荷重やせん断荷重を作用させるが、第四マウントを船体10側と船外機1側との接続部近傍、すなわちボルト連結部近傍に配置することによりマウントボルト103,203…803にかかる荷重を低減できる。
一方、設計の制約上、第四マウントを船体10側と船外機1側との接続部近傍に配置することが困難な場合がある。そこで、上述した第二実施形態に示すように、例えば別体であった第二マウント、第三マウントおよび第四マウントを一体化して変位規制マウント313,413を形成し、この変位規制マウント313,413で左右の第一マウント311,411を連結するようにすれば、中程度のバネ定数でも広い面積で荷重を受けると共に、作用する荷重を二本のマウントボルト303,403に均等に分散させ、衝撃力を緩和して上記単独の第四マウントの機能を達成可能となる。
他方、第一マウントを振動伝達防止に適した非常に柔らかいバネ定数に設定すると、操舵伝達力が柔らかくなって操縦安定性が低下する虞があるが、本願発明の構成のように、プロペラ8の推力による船外機1の前方への変位規制を受け持つ第二マウントを、操舵の回転中心17(パイロットシャフト13の回転中心)から比較的遠い位置に、且つ左右のマウントボルト103,203…803より外側に、すなわちマウントボルト103,203…803を挟んで操舵の回転中心17の反対側に配置すれば、操舵時に船外機1本体が左右に振れると第二マウントが一早く対向面に接触して操舵力を確実に伝達でき、操縦安定性が向上する。
ところで、例えばロアーマウントユニット202,602を収納するロアーマウント収納部204,604をドライブシャフトハウジング6の両側部に、その巾方向外側に開口して形成し、巾方向に着脱可能なロアーマウントカバー205,605によって塞ぐように構成した場合、ドライブシャフトハウジング6の幅が狭まって左右方向の剛性を充分に確保できず、エンジン3やプロペラ8からの加振力によって船外機1が共振し、船体10振動が発生する場合がある。
そこで、上記第三実施形態に示すように、ロアーマウントユニット502を収納する左右一対のロアーマウント収納部504を前後方向に延びる筒状の形状とし、ドライブシャフトハウジング6の前面にロアーマウントユニット502挿入用の挿入口506を形成してロアーマウントユニット502をドライブシャフトハウジング6の前方から挿入する構造としたことにより、ロアーマウントユニット502の外側部にドライブシャフトハウジング6と一体の外壁部6aが設けられたこととなってドライブシャフトハウジング6の、ロアーマウントユニット502両側部の剛性が著しく向上する。