JP4782555B2 - 紙製集積袋 - Google Patents

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本発明は、米、麦、豆等の穀類、或いは小麦粉、砂糖、塩などの粉体、その他食品、肥料などを小分けして包装した袋をまとめて収納するための紙製集積袋に関する。
穀類などの流通過程において、1〜5kg程度の米、砂糖、塩など包装した袋(個包装袋)を20kg程度にまとめるための包装材が多用されている。このような包装材は集積袋と呼ばれ、通常クラフト紙などの強度のある紙で作られている。集積袋の開口部には、予め感圧接着剤等の粘着剤が塗布されており、個包装袋を詰め込んだ後、手作業で或いは自動で開口部を封緘できるようになっている。
集積袋の封緘は、個包装袋が充填された状態で行われ、圧着する際の受けとなる均一かつ堅固な平面がないため、圧力を付与することが難しく、初期接着性のよい粘着剤が使用されている。しかし、一般に初期接着性の良い粘着剤はブロッキング性が高く、このため個包装袋を詰め込む際に開口部に塗布された粘着剤が個包装袋や他の集積袋とくっつきやすく、作業性が悪いという問題がある。特に粘着剤の粘度が減少する高温環境下では、開口部で粘着剤が糸を引き、さらに作業性を低下させることがある。
一方、クラフト紙から構成される大型包装袋では、開口部の粘着剤としてブロッキング性の少ないホットメルト系接着剤が多用されている(例えば特許文献1)。しかし、ホットメルト系接着剤の場合には封緘に際しホットメルト粘着剤を再活性化するために熱を加える必要があり、手作業の場合には封緘作業に手間がかかり、また自動封緘装置を用いた場合には装置に加熱装置を備える必要があるため装置が大型化、高コスト化するという問題がある。
特開2004−149129号公報
また紙製集積袋は、商品の流通過程で、例えば生産者から卸業者に個包装された商品を納品する場合などに使用されるが、この場合、個包装袋には顧客毎に異なるラベルや印刷が施されており、これら表示に対応した表示のある紙製集積袋が使用される。ここで紙製集積袋が誤用され、中身と集積袋とが一致しなくなる場合もありえるが、一度、個包装袋を封緘してしまうと外からでは中身を確認することができないため、確認のためには再度開封する必要がある。また個包装袋に破袋が生じている場合も同様であり、容易に確認することができないという問題がある。
そこで本発明は、初期接着力が高く、接着のために圧力をかけなくても容易且つ確実に封緘することができ、しかも集積袋の保管時や個包装袋の詰め込み作業時において、個包装袋や他の集積袋が触れてもくっついて作業を妨げることがない集積袋を提供することを目的とする。また本発明は、自動封緘装置を用いて容易に封緘を行うことができる集積袋を提供することを目的とする。さらに本発明は、封緘後であっても容易に中身の確認を行うことが可能な集積袋を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の紙製集積袋は、内容物が収納された複数の包袋を収納するための紙製集積袋であって、袋本体と、当該袋本体の開口部を封止するためのフラップ部とを備え、前記フラップ部および袋本体外面の前記フラップ部が折り返される位置に接着層を備え、前記接着層は、主剤として変性天然ゴムラッテクスを60〜95重量%含む自着性粘着剤からなり、JIS−Z−0237に基づくボールタック試験法による粘着性がボールNo.7以下であることを特徴とする。
本発明の紙製集積袋において、好ましくは、自着性粘着剤は、変性天然ゴムラテックスを70〜90重量%含む。また本発明の紙製集積袋において、好ましくは、変性天然ゴムラテックスは、メチルメタクリレートをグラフト重合したメタクリレート変性天然ゴムラテックスであり、より好ましくはグラフト重合率3〜40重量%のメタクリレート変性天然ゴムラテックスである。さらに接着層は、添加剤としてロジンエステル樹脂およびテルペン樹脂の少なくとも1種を5〜40重量%含むことが好ましい。
また本発明の紙製集積袋において、例えば、接着層は袋の開口部を除く、フラップ部とその対向部分に形成される。
さらに本発明の紙製集積袋は、内容物が収納された複数の個包装袋を収納するための紙製集積袋であって、袋本体と、当該袋本体の開口部を封止するためのフラップ部とを備え、前記袋本体の一部に前記個包装袋を確認するための孔或いは孔形成部が設けられていることを特徴とする。
孔形成部は、例えば、孔を形成するための切り取り用ミシン線である。
本発明の集積袋は、粘着剤として特定の自着性粘着剤を用いたことにより、高い初期接着性が得られ、フラップ部を折り返し軽く圧着しただけで、確実に封緘することができる。したがって個包装袋が収納された状態で袋詰め封緘装置により封緘が可能となる。また封緘時などに、接着層が他の袋に触れても、袋同士が接着してしまうことなく、操作性よく自動袋詰め封緘を行うことができる。また接着層を、開口部を避けて設けることにより、開口不良を防止することができる。
また本発明の紙製集積袋は、袋本体に孔或いは孔形成部が設けられているので、個包装袋が収納され、封緘された後でも、孔或いは孔形成部に形成した孔を通して中身を確認することができ、これにより集積袋の誤用を防止できる。
以下、本発明の紙製集積袋の実施の形態を説明する。
図1に本発明の紙製集積袋の一実施の形態を示す。本発明の紙製集積袋10は、複数の個包装を収納するための袋本体11と、袋本体の開口部に、本体と連続して設けられるフラップ部12とからなり、フラップ部を本体側に折り返したときに互いに接触する面に、それぞれ接着層13が形成されている。袋本体の材質や袋の形状は特に限定はされないが、通常、袋本体はクラフト紙、未晒し包装紙、晒し包装紙、塗工紙などの紙からなるガゼット袋である。
袋本体には、製袋工程において任意の形状の孔或いは孔の形状のミシン目14が穿設されている。孔が形成される位置は特に限定されないが、集積袋が積み上げられたときに確認しやすい位置、例えば底面近傍や他の集積袋と重ならない側面などが好適である。図示する例では、ミシン目14がガゼット折部を貫通するように形成されており、これにより袋の前面、後面および側面に同時に3つの孔形成部であるミシン目14が形成される。ユーザーは3つのミシン目の任意のものを切り取ることにより所望の位置に確認用の孔を形成することができる。確認用の孔を打ち抜きではなくミシン目14で形成しておくことにより、打ち抜いた穴の紙片が集積袋内にゴミとして残ることを防止できる。
図示する例では、ガゼット折部が開口部の端部から突出しており、接着層13は、この突出するガゼット折部を除くフラップ部12と、フラップ部が折り返されたときにフラップ部と接触する袋本体の外周面とに形成されている。ただしフラップ部の全面に設けられている必要はなく、一部でもよい。
次に接着層の構成について説明する。
接着層は、変性天然ゴム系ラッテクスを主剤とし、さらに粘着付与剤を添加した自着性粘着剤からなる。自着性とは、同じ粘着剤同士では接着性を有するが、他の材料に対してはタック性の少ない性質をいい、一般に天然ゴム系の粘着剤はコールドシール接着剤或いは自着性粘着剤として知られている。しかし一般的なコールドシール接着剤は、タック性(ブロッキング性)が少なく粘着剤の層同士を重ね一定以上の圧力を加えることにより接着剤の層を接着することができるもので、封筒などのように内容物(書類)を入れた状態でも平面性が保たれるような袋では接着層に均一な圧力を加えることができるため必要な接着強度が得られるが、ボリュームのある個包装袋を多数収納し、封筒のような封緘方法を採用できない集積袋では十分な接着強度を得ることが難しい。
本発明の接着層に主剤として用いる変性天然ゴムラテックスとしては、メチルメタクリレートをグラフト重合したメチルメタクリレート変性天然ゴム(以下、MMA変性天然ゴムという)、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレートをグラフト重合したアクリレート変性天然ゴム、スチレンをグラフト重合したスチレン変性天然ゴムなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して使用することができる。これらのうち特にMMA変性天然ゴムが好ましい。
グラフト率は、添加剤であるロジンエステル樹脂の含有量によっても異なるが、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは10〜25重量%とする。グラフト率を40重量%以下とすることにより、天然ゴムが持つ自着性を損なうことなく耐ブロッキング性を向上することができる。
自着性粘着剤における変性天然ゴムの含有量は、固形分比で60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%、より好ましくは75〜80重量%とする。変性天然ゴムの含有量を60重量%以上とすることにより十分な接着性が得られ、また耐ブロッキングを高めることができる。特に70重量%以上とした場合には、優れた熱安定性が得られる。従って集積袋を接着層形成後に、温度の高い環境や温度変化のある環境に保存した場合にも高い保存安定性が得られる。一方、天然ゴムおよび変性天然ゴムの含有量が95重量%を超えると、初期接着性および経時接着性がいずれも低下する。
粘着付与剤としては、ロジンエステル樹脂およびテルペン樹脂の少なくとも1種を用いる。ロジンエステル樹脂としては、ロジンエステル、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル(安定化ロジンエステル)などが挙げられる。特に安定化ロジンエステルが好適である。テルペン樹脂としては、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂などが挙げられ、特にテルペンフェノール樹脂が好適である。
自着性粘着剤における粘着付与剤の含有量は、固形分比で5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%、より好ましくは20〜30重量%とする。粘着付与剤の含有量を5重量%以上とすることにより、接着性、特に初期接着性を改善することができる。また40重量%を越えると耐ブロッキング性が低下する。
接着層を構成する自着性粘着剤は、上述した主剤および粘着付与剤のほか、接着層の特性を阻害しない範囲で、他のゴムラテックスや紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加剤、顔料を含有せしめることができる。
接着層は、印刷、バーコート、ロール塗布、スプレー塗布など一般的な層形成方法により形成することができる。特にスポンジロールを用いたロール塗布によって形成することが好ましい。これにより、均一な厚みとすることができ、また任意の形状のスポンジ型を用いることにより所望の形状に接着層を形成することができる。
接着層は、フラップ部および袋本体外面の前記フラップ部が折り返される位置に塗布される。この場合、フラップ部全面に塗布するのではなく、図1に示すようにフラップ部と袋本体との境界(すなわち袋の開口端部)を含む細い領域を除いて接着層を形成することが好ましい。このような接着層の形状(パターン)は、所定の形状のスポンジ型を用いることによって容易に形成することができる。開口端部を避けて接着層を設けることにより、開口不良を防止することができる。
接着層の厚みは、特に限定されないが、通常5g/m2以上、好適には10〜30g/m2の範囲とする。
このような接着層は、JIS−Z−0237に基づくボールタック試験法による粘着性がボールNo.7以下、好ましくはNo.2〜6、より好ましくはボールNo.3〜5である。ボールNo.が7を超えるとべたつき(ブロッキング性)がひどくなり、収納や保管時の作業性が悪くなる。すなわち粘着性の範囲で、良好な耐ブロッキング性を保ちながら初期接着性を改善することができ、封緘装置を用いた自動封緘を容易に行うことができる。
以下、本発明の紙製集積袋の実施例を説明する。以下、「部」「%」は特に断らない限り重量部、重量%を示す。
<実施例1〜4>
表1に示す天然ゴムのMMAグラフト重合体(ラテックス:固形分50%)および粘着付与剤を用いて接着層用塗布液を調整した。これら接着層用塗布液をそれぞれクラフト紙(坪量150g/m2)に塗布し、厚さ25g/m2の接着層を有する紙片試料を作製した。
Figure 0004782555
天然ゴムMMAグラフト重合体(重合度10%)(商品名MG-10:レジテックス社製)
天然ゴムMMAグラフト重合体(重合度25%)(商品名MG-25:レジテックス社製)
<比較例1〜5> 表1に示す主剤および粘着付与剤を用いて接着層用塗布液を調整した。これら接着層用塗布液を実施例1と同じクラフト紙に塗布し、厚さ25g/m2の接着層を有する紙片試料を作製した。
Figure 0004782555
実施例1〜4及び比較例1〜5で作製した紙片について、以下の評価を行った。結果を表3に示す。
1.初期接着性
接着層用塗布液を塗布した直後に、2枚の紙片試料の接着層同士を軽く圧着し、剥離したときの接着強度を官能にて比較した。剥離抵抗が大きく、場合によっては紙が破れた場合を◎、紙が破れることはないが剥離抵抗はあった場合を○、剥離抵抗なく剥がせた場合を△、接着しない場合を×とした。
2.接着安定性
接着後の安定性(接着の持続性)を評価するために、接着層用塗布液を塗布した直後に、2枚の紙片試料の接着層同士を軽く圧着し、24時間後に剥離したときの接着強度を官能にて比較した。剥離抵抗が大きく、場合によっては紙が破れた場合を◎、紙が破れることはないが剥離抵抗はあった場合を○、剥離抵抗なく剥がせた場合を△、接着しない場合を×とした。
3.経時接着性
接着層の接着力の経時変化を評価するために、接着層を形成後の紙片を2ヶ月間常温下にクラフト梱包した状態で保管した後、上記初期接着性と同様に接着強度を官能にて比較し、同様に評価した。
4.耐ブロッキング性
接着層を、接着層が形成されていない紙片に圧着し、剥離したときの接着性からグロッキング度合いを評価した。接着しない場合を◎、多少の剥離抵抗がある場合を○、剥離抵抗が大きい場合を△、剥離抵抗が大きく、紙片が破れるか破れそうになった場合を×とした。
5.ボールタック試験
JIS−Z−0237に基づくボールタック試験法により、粘着性を評価した。
6.温度変化に対する安定性
接着層を形成した紙片試料をそれぞれ低温(0℃)と高温(60℃)の環境下に1週間保管した場合の接着強度を比較した。かなりの剥離抵抗があり、場合によっては紙が破れる(材破)場合を◎、剥離抵抗がある場合を○、剥離抵抗が少ない場合を△、接着しない場合を×とした。
Figure 0004782555
表1に示す結果からもわかるように、比較的グラフト重合率の低い天然ゴムMMAグラフト重合体を70重量%以上用いることにより、適度の粘着性と耐ブロッキング性が得られ、また接着の経時安定性や熱安定性に優れることが示された。一方、実施例1〜4の接着層は、いずれの項目についても優れた性能を示した。
天然ゴムMMAグラフト重合体の含有量が少ない場合(比較例1)は初期接着性、耐ブロッキング性ともに良好な結果を得ることができず、自動封緘用の接着層には不適当であることが示された。またグラフト重合率が高い場合(比較例2)には、ボールタック性は実施例の場合と同様の値を示したにもかかわらず、初期接着性が悪く、安定接着性や経時接着性も劣っていた。また主剤として天然ゴムMMAグラフト重合体以外の材料を用いた場合(比較例3〜5)には、いずれも初期接着性は良好であったが耐ブロッキング性が悪く、紙製集積袋の接着層としては不適当であることが示された。
本発明の紙製集積袋の一実施形態を示す正面図および側面図
符号の説明
10・・・集積袋、11・・・袋本体、12・・・フラップ部、13・・・接着層、14・・・孔形成部

Claims (7)

  1. 内容物が収納された複数の個包装袋を収納するための紙製集積袋であって、袋本体と、当該袋本体の開口部を封止するためのフラップ部とを備え、
    前記フラップ部および袋本体外面の前記フラップ部が折り返される位置に接着層を備え、前記接着層は、主剤としてメタクリレート変性天然ゴムラテックスを60〜95重量%含む自着性粘着剤からなり、添加剤としてロジンエステル樹脂及びテルペン樹脂の少なくとも1種を5〜40重量%含み、JIS−Z−0237に基づくボールタック試験法による粘着性がボールNo.7以下であることを特徴とする紙製集積袋。
  2. メチルメタクリレート変性天然ゴムのグラフト重合率が3〜40重量%であることを特徴とする請求項に記載の紙製集積袋。
  3. 内容物が収納された複数の個包装袋を収納するための紙製集積袋であって、袋本体と、当該袋本体の開口部を封止するためのフラップ部とを備え、
    前記フラップ部および袋本体外面の前記フラップ部が折り返される位置に接着層を備え、前記接着層は、主剤としてグラフト重合率3〜40重量%のメタクリレート変性天然ゴムラテックスを60〜95重量%、添加剤としてロジンエステル樹脂及びテルペン樹脂の少なくとも1種を5〜40重量%含む自着性粘着剤からなることを特徴とする紙製集積袋。
  4. JIS−Z−0237に基づくボールタック試験法による粘着性がボールNo.7以下であることを特徴とする請求項記載の紙製集積袋。
  5. 前記接着層は、袋の開口部を除く部分に形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項記載の紙製集積袋。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項記載の紙製集積袋において、
    袋本体と、当該袋本体の開口部を封止するためのフラップ部とを備え、
    前記袋本体の一部に前記個包装袋を確認するための孔或いは孔形成部が設けられていることを特徴とする紙製集積袋。
  7. 前記孔形成部は、孔を形成するための切り取り用ミシン線であることを特徴とする請求項記載の紙製集積袋。
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