JP4782218B2 - 設備の異常診断方法 - Google Patents
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Description
(a)電流診断法
電流診断法では、設備を駆動する電動機の負荷電流を計測し、負荷電流に含まれる高調波含有率の検出、負荷電流の絶対値や相対値の比較、負荷電流の急変の検出等によって、設備の異常を診断する。
(b)振動診断法
振動診断法では、診断対象設備(部位)に、振動の振幅や加速度等を計測する振動センサーを設置し、診断対象設備の異常時における振動の固有の周波数や大きさを検出することによって、設備の異常を診断する。
音響診断法では、診断対象設備(部位)の近傍に音響マイクを設置し、診断対象設備の異常時における特有の音響周波数を解析することによって、設備の異常を診断する。
(d)温度診断法
温度診断法では、診断対象設備(部位)に温度計を設置し、診断対象設備の異常時における温度変化を検出することによって、設備の異常を診断する。
(e)トルク診断法
トルク診断法では、電動機の駆動軸に歪みゲージを設置してトルクの変動を検出することによって、設備の異常を診断する。
例えば、振動診断法では、軸受の異常(ベアリングの破損、焼き付き、負荷回転体の偏芯等)を診断するために、軸受部に振動検出器を設置し、振動周波数及び振幅の挙動によって異常を診断する方法があった。また、多数の設備診断用検出器に取って代わって電動機の電流を取り出し、該電流の最大値、最小値、平均値等を求め、予め設定した値と比較して設備の異常の判定を行う方法や、該電流の変化率を検出し、予め設定した値と比較して設備の異常を判定する等の電流診断法があった。
更に、相対値比較診断においても直近の電流値を移動平均するために、ある程度のデータ数(特許文献6ではデータ数L=0〜30個,サンプリング時間ΔT=6秒以下)が必要となる。このことは、異常を検出する時間がL×ΔT÷2だけ遅れることを意味する。したがって、異常の検出遅れを防止するためには、データ数L又はサンプリング時間ΔTを小さくする必要があるが、これを小さくすれば移動平均値と偏差値は限りなく得られた電流値に近づくため、設備の異常を検出することが出来ない問題がある。また、設備の異常現象として長時間にわたって徐々に電流が増加又は減少するような場合(例えば、減速機や軸受等の潤滑油やグリス等の減少による負荷増加)には、偏差値に基づく経時変化実績を基準とした比較では、設備の異常を検出できない問題がある。このため、利用価値の高い診断方法とは言えない問題点があった。
また、本発明の設備の異常診断方法の他の特徴とするところは、誘導電動機と、前記誘導電動機により駆動される機器と、それら誘導電動機及び機器を相互に接続するカップリングとを有する設備の異常を診断する設備の異常診断方法であって、前記誘導電動機の少なくとも一相分の負荷電流を測定する電流測定工程と、前記測定した負荷電流を周波数解析する周波数解析工程と、前記周波数解析により得られた波形の線幅に影響を与える相対的に短周期の上下方向の波形の振動である乱れと、前記周波数解析により得られた波形の概形に影響を与える相対的に長周期の上下方向の波形の振動であるうねりの状態に基づいて、前記設備の異常の有無を判断し、前記設備の異常がある場合には、前記異常のある波形に基づいて、前記設備の異常個所を判定する異常判定工程と、を有することを特徴とする。
まず、図4に、新品又は整備後の正常な誘導電動機の負荷電流を周波数解析した結果の一例を示す。図4に示す解析結果を得るために用いた誘導電動機は、ローターを新製し固定子コイルを捲き替え、ベアリングを取替えて組み込んだものであり、定格出力が650kW 3.3kV 136A、極数が8P、定格回転数が735min-1、絶縁階級がB種のものである。図4は、該誘導電動機単体を無負荷状態にしてその電流を測定し、周波数解析をした結果である。ベアリングのグリス給油と慣らし運転とを十分に行った後の安定した状態にて誘導電動機の電流を測定した。この電流の周波数解析の結果では、図4に示す様に、100Hz以下の領域で運転周波数fL(50Hz)を中心に山裾の様になだらかに減衰し、波形の乱れ(下記うねりよりも波形の線幅に影響を与える短周期の上下方向の波形の振動)もうねり(波形の概形に影響を与える前記乱れよりもなだらかな上下方向の波形の振動)も無い。また、回転周波数のサイドバンドも認められない。一方、100Hz以上の領域では、固定子磁界の磁束密度分布が方形波である為に、運転周波数fLの奇数高調波nfL(nは3以上の奇数の整数値)が認められる。
図5に、負荷電流が激しい場合の誘導電動機の負荷電流を周波数解析した結果の一例を示す。図5に示す解析結果を得るために用いた誘導電動機は、定格出力が260kW 3.3kV 157A、極数が6P、定格回転数が980min-1、絶縁階級がB種のものである。図5に示す周波数解析の結果では、負荷電流の変動は、28A〜56Aであり、図5(a)に示す様な波形となる。これを周波数解析すると図5(b)に示す様に、運転周波数fL(50Hz)の近傍で±数Hzの幅広の領域が生じる。これは、運転周波数fLの両脇に単一周波数のサイドバンド周波数が存在しているのではなく、負荷変動に伴ってスベリsも変動し、その変動周波数は±0〜±数Hzであり、しかも連続的に変動する為に、変動する各周波数に応じたサイドバンド周波数も連続的に変動することに起因する。この運転周波数fL(50Hz)の近傍の±数Hzの幅広の領域に基づき、設備の異常を診断できる。尚、図5(b)の破線は、正常な誘導電動機の理論的な波形を表す。
誘導電動機のカップリングの芯ズレや負荷アンバランス等、設備上に異常が生じると、誘導電動機の駆動軸に回転周波数(軸の回転数÷60秒)でトルク変動が生じる。図6に、この時の負荷電流を周波数解析した結果の一例を示す。図6(a)に示す解析結果を得るために用いた誘導電動機は、定格出力が165kW 3kV 39A、極数が6P、定格回転数が990min-1、絶縁階級がB種のものであり、カップリングの芯ズレ量は0.23mmである。一方、図6(b)に示す解析結果を得るために用いた誘導電動機は、定格出力が95kW 3kV 23A、極数が4P、定格回転数が1460min-1、絶縁階級がB種のものであり、カップリングの芯ズレ量は0.1mmである。
図7(a)は、ベアリング(の一部分)の構造の一例を示し、図7(b)は、ベアリングの破損時における誘導電動機の負荷電流の周波数解析の結果の一例を示す。ベアリングは、寸法や型式によって転動体(玉又はコロ)7の寸法や数量が異なり、ベアリングに固有の周波数(転動体7の公転周波数fC、転動体7の自転回転数fZ)を有している。ベアリングに異常(転動体7の疵、内輪9の疵、外輪10の疵等)がある状態で、誘導電動機の負荷電流を周波数解析すると、図7(b)に示す様に、ベアリングの固有周波数や、駆動軸15の回転周波数fNと、転動体7の公転周波数fC12との差となる相対速度fm(=fN−fC)が運転周波数fLの両脇にサイドバンド周波数として現れる。従って、ベアリングが有する固有周波数(転動体7の公転周波数fC、転動体7の自転回転数fZ)と、駆動軸15の回転周波数fNと転動体7の公転周波数fC12との差となる相対速度fmとに着目することで、該誘導電動機の負荷電流を周波数解析した結果から運転周波数fLの両脇に現われるサイドバンド周波数に基づいて、設備の異常を診断できる。
図8に、ベアリング等の軸受けの潤滑油の状態変化があった場合の誘導電動機の負荷電流の周波数解析の結果の一例を示す。具体的に、図8(a)は、軸受けのグリスが不足気味の状態での誘導電動機の負荷電流の周波数解析の結果を示す。また、図8(b)は、グリスを補給した後の安定した状態での誘導電動機の負荷電流の周波数解析の結果を示す。図8に示す解析結果を得るために用いた誘導電動機は、定格出力が95kW 3kV 24A、極数が4P、定格回転数が1460min-1、絶縁階級がB種のものである。両者を比較すると、軸受けのグリスが不足することで、運転周波数(50Hz)を中心に山裾の減衰曲線に乱れが生じるようになる(図8(a)を参照)。グリスの不足によってベアリングの転動体7が内輪9及び外輪10を転がる際に、転動体7と、内輪9及び外輪10との間で摩擦が生じることにより、ベアリングがスムーズに回転できなくなることで、駆動軸15に微小なトルク変動が生じるために、誘導電動機の負荷電流の周波数解析の結果の波形に乱れが生じる事になる。この状態で、グリスを補給し安定した状態で誘導電動機の負荷電流の周波数解析をすると、グリスがベアリング内に行き渡り、転動体7と、内輪9及び外輪10との間の摩擦が低減するために、図8(b)に示す様に、運転周波数(50Hz)の両脇にある山裾の減衰曲線に乱れが無くなる。この様に、ベアリング等の軸受けの潤滑油に何らかの異常(グリスの固着,不足等)があると、駆動軸15の微小トルクが発生する。これにより、負荷電流の周波数解析の結果では、低周波領域において、運転周波数(50Hz)を中心に両側に延びる山裾の減衰曲線に乱れが生じる。この乱れに基づいて設備の異常を診断できる。
図9に、誘導電動機の据え付けボルトが緩んだ場合に、該誘導電動機の負荷電流の周波数解析の結果に現れる現象について、本発明者が実験を行った結果を示す。誘導電動機の据え付けボルトの緩み以外に作用する外乱を除くために、誘導電動機を定盤に固定し、該誘導電動機をボルトで固定した。図9(a)は、この状態で無負荷にして誘導電動機の電流を周波数解析した結果を示す。また、誘導電動機の据え付けボルトの緩みを想定して、該誘導電動機と定盤との間に防振ゴム(厚み10mm)を挿入した。図9(b)は、この状態で無負荷にして誘導電動機の電流を周波数解析した結果を示す。図9に示す解析結果を得るために用いた誘導電動機は、定格出力が110kW 400V 190A、極数が2P、定格回転数が2980min-1、絶縁階級がF種のものである。
前述した様に、誘導電動機の零相電流は、式(4)から、通常であれば零となり、その周波数解析の結果では特徴となる運転周波数fL及びその奇数高調波nfL(nは3以上の奇数の整数値)が現れないことになる。例えば、誘導電動機が駆動する機器類や設備の負荷が変動すれば、該誘導電動機の各相の電流が負荷に応じて変動することになるが、その零相電流は相殺され負荷変動分が現われない。一方、誘導電動機の固定子コイルに何らかの異常(局部的な絶縁低下、レアショート等)が発生すると、当該相の電流に異常情報が電流として重畳される為、零相電流の周波数解析の結果において、運転周波数fL又はその奇数高調波nfL(nは3以上の奇数の整数値)が現れる様になる。特に、前述した様に、固定子コイルで生じる磁界の磁束分布が方形波を成しており、その逆起電力が負荷電流に重畳されていることから、該固定子コイルの異常時には奇数高調波が顕著に現れることとなり、このことに基づいて、該誘導電動機の固定子コイルの異常を診断することができる。
図10において、設備は、誘導電動機14の駆動軸15と、誘導電動機14によって駆動される機器類17とがカップリング16で相互に接続されて構成される。誘導電動機14を制御する制御盤18において、誘導電動機14の負荷電流を検出する電流検出器19と、その負荷電流の値を記憶するデータ収集装置20とを用いて、誘導電動機14の少なくとも1相分の電流及び零相電流の一方又は双方を計測し、そのデータを周波数解析装置21へ取り込み、周波数解析を行う。
尚、周波数解析装置21は、例えばパーソナルコンピュータを用いて実現することができる。また、機器類17は、減速器や機械装置等である。また、電流検出器19は、クランプメータ又は電流変成器等を用いることにより実現することができる。また、図11では、データ収集装置20と周波数解析装置21を別々の装置としているが、データ収集と周波数解析とを同一の機器で実施してもよい。この場合、誘導電動機14の負荷電流を高速でデータ収集ができるようにするのが好ましい。また、診断対象となる誘導電動機が多数存在する場合では、各誘導電動機に対して設けられている各制御盤に、各々電流検出器を用意し、各誘導電動機の負荷電流のデータを自動で一括して取り込み、それらを周波数解析するようにしてもよい。これらの構成は本発明の実施形態の自由な設計範囲に属する。
周波数解析装置21は、周波数解析により得られた波形の挙動を、予め定められた波形の挙動と比較し、その結果に基づいて異常の有無と異常個所とを判定する。通常であれば、異常発生の場所や異常形態等によって、複数の波形が混在した波形を示すことになるが、設備の機器構成,据え付け状況,更には設備仕様や設備稼働状況等の情報で総合的に判断すれば、容易に異常個所の特定が可能となる。予め定められた波形の挙動の情報としては、例えば、図5(b)に示した幅広の領域、図6(a)、図6(b)に示した回転周波数に相当するサイドバンド周波数、図7(b)に示したベアリングの固有周波数や相対速度に相当するサイドバンド周波数、図8(a)に示した波形の乱れ、図9(b)に示した波形のうねりや乱れ、運転周波数fL及びその奇数高調波nfL(nは3以上の奇数の整数値)、等の情報が挙げられる。このような情報を、例えばユーザによる操作に基づいて、周波数解析装置21内の記憶装置に予め記憶しておく。
図11−1(a)に示す波形では、運転周波数fLを中心に、山裾のようになだらかに減衰している。また、波形の線幅は、乱れが無く、細くなっている。さらに、波形にうねりもない。周波数解析の結果、このような波形が得られた場合、設備は正常な状態(誘導電動機14が新品である状態、固定子コイルの捲き替えやオーバーホールを行った後、誘導電動機14を定盤に固定して無負荷で十分慣らし運転をした状態)であると判定される。
図11−1(b)に示す波形では、運転周波数fLを中心になだらかに減衰せず、運転周波数fLの±数Hzで台形状に幅が広がり、レベルも高くなっている。周波数解析の結果、このような波形が得られた場合、基本的には、正常な負荷変動であると判断される。ただし、幅広の部分の左右のバランスがずれていたり、うねりがあったりする場合には、負荷変動が異常であると判断される。
図11−2(a)に示す波形では、図11−1(c)に示した波形の山裾の減衰曲線がうねっている。尚、この現象は、100Hz以上の周波数帯域でも認められる。周波数解析の結果、このような波形が得られた場合、ベアリングの破損、誘導電動機14やベアリングの取り付けボルトの緩み、据付架台の剛性不足等が生じていると判断される。
図11−2(b)に示す波形では、運転周波数fLの両脇に、回転周波数に相当するサイドバンド周波数が現れている。また、トルク変動が大きい場合には、その2倍のサイドバンド周波数が現れる。周波数解析の結果、このような波形が得られた場合、ベアリングの内輪又は外輪の一部の破損、カップリングの芯ズレ、負荷のアンバランス、ベアリング部の軸の偏摩耗等が生じていると判断される。
図11−2(c)に示す波形では、運転周波数fLの両脇に、回転周波数と異なる多数のサイドバンド周波数が現れている。このサイドバンド周波数は、ベアリングの固有周波数又は減速器の各軸の回転周波数と一致する。周波数解析の結果、このような波形が得られた場合、ベアリングの破損(転動体の表面疵や内輪及び外輪の転動面の疵の発生)、減速器の異常・破損(減速器ギヤの欠損や破損・歯の噛み合い不良)が生じていると判断される。
(2)誘導電動機14とその制御装置(周波数解析装置20)とは分離しており、通常、制御装置は集約して電気室の設置されていることから、作業者は、誘導電動機14が設置されている現場へ行くこと無く、電気室で設備の稼働状態・異常等を把握することができ安全である。
(3)誘導電動機14の負荷電流に含まれる情報量が豊富であり、誘導電動機14の負荷電流に基づいて、設備の稼働状態・異常状態を早期に把握できることから、無駄なく計画的な保全計画を策定することができる。
(4)誘導電動機14そのものが精度の高い高感度センサーでるため、診断に必要な新たなセンサーは、電流検出器19のみであることから非常に安価で信頼性の高い設備診断が可能となる。
(5)設備の異常を判定するための基準を、側波帯の位置及び大きさ、波形の乱れ及びうねり、運転周波数及びその奇数高調波によって定めることができるので、設備の異常を判定するための基準を試行錯誤により決定する必要がなくなる。よって、設備の異常を判定するための基準を作成する時間と労力を従来よりも低減できる。
(実施例1)
図12は、誘導電動機14のベアリングを新品に取替えた後に、誘導電動機14単体を無負荷状態にして運転した場合の周波数解析の結果を示す。図12に示す解析結果を得るために用いた誘導電動機14は、定格出力が95kW 3kV 23A、極数が4P、定格回転数が1460min-1、絶縁階級がB種のものである。
図13は、誘導電動機14の零相電流を周波数解析した結果を示す。図13に示す解析結果を得るために用いた誘導電動機14は、定格出力が1.5kW 400V 3.6A、極数が6P、定格回転数が935min-1、絶縁階級がB種のものである。具体的に図13(a)は、誘導電動機14の固定子コイルが正常な場合の零相電流を周波数解析した結果を示し、図13(b)は、誘導電動機14の固定子コイルで異常(レアショート)が生じた場合の零相電流を周波数解析した結果を示す。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
8 駆動軸
9 ベアリングの内輪
10 ベアリングの外輪
14 診断対象の誘導電動機
15 誘導電動機の駆動軸
16 カップリング
17 機器類
18 誘導電動機の制御盤
19 電流検出器
20 データ収集装置
21 周波数解析装置
Claims (4)
- 誘導電動機と、前記誘導電動機により駆動される機器と、それら誘導電動機及び機器を相互に接続するカップリングとを有する設備の異常を診断する設備の異常診断方法であって、
前記誘導電動機の少なくとも一相分の負荷電流を測定する電流測定工程と、
前記測定した負荷電流を周波数解析する周波数解析工程と、
前記周波数解析により得られた波形における、前記誘導電動機に印加される電圧の周波数である運転周波数の近傍の連続的な側波帯に起因する幅広の領域と、前記運転周波数の高周波数側及び低周波数側の両側に現われる側波帯であって、前記誘導電動機の駆動軸の回転周波数に対応する側波帯と、前記運転周波数の高周波数側及び低周波数側の両側に現われる側波帯であって、前記誘導電動機の駆動軸の回転周波数のn(nは2以上の整数)倍の周波数に対応する側波帯と、前記運転周波数の高周波数側及び低周波数側の両側に現われる側波帯であって、前記誘導電動機の軸受に配置される転動体が有する固有周波数に対応する側波帯と、前記運転周波数の高周波数側及び低周波数側の両側に現われる側波帯であって、前記誘導電動機の駆動軸の回転周波数と、前記誘導電動機の軸受に配置される転動体の公転周波数の差となる相対速度に対応する側波帯と、の少なくとも何れかに基づいて、前記設備の異常の有無を判断し、前記設備の異常がある場合には、前記異常のある波形に基づいて、前記設備の異常個所を判定する異常判定工程と、を有することを特徴とする設備の異常診断方法。 - 誘導電動機と、前記誘導電動機により駆動される機器と、それら誘導電動機及び機器を相互に接続するカップリングとを有する設備の異常を診断する設備の異常診断方法であって、
前記誘導電動機の少なくとも一相分の負荷電流を測定する電流測定工程と、
前記測定した負荷電流を周波数解析する周波数解析工程と、
前記周波数解析により得られた波形の線幅に影響を与える相対的に短周期の上下方向の波形の振動である乱れと、前記周波数解析により得られた波形の概形に影響を与える相対的に長周期の上下方向の波形の振動であるうねりの状態に基づいて、前記設備の異常の有無を判断し、前記設備の異常がある場合には、前記異常のある波形に基づいて、前記設備の異常個所を判定する異常判定工程と、を有することを特徴とする設備の異常診断方法。 - 前記電流測定工程は、前記誘導電動機の少なくとも一相分の負荷電流に替えて、前記誘導電動機の零相電流を測定し、
前記周波数解析工程は、前記測定した零相電流を周波数解析し、
前記異常判定工程は、前記周波数解析により得られた波形における、前記誘導電動機に印加される電圧の周波数である運転周波数の奇数高調波に基づいて、前記設備の異常の有無を判断し、前記設備の異常がある場合には、前記異常のある波形に基づいて、前記設備の異常個所を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の設備の異常診断方法。 - 前記電流測定工程は、前記誘導電動機の少なくとも一相分の負荷電流に加えて、更に前記誘導電動機の零相電流を測定し、
前記周波数解析工程は、前記測定した負荷電流及び零相電流の両者の周波数解析を行い、
前記異常判定工程は、前記周波数解析により得られた波形における、前記誘導電動機に印加される電圧の周波数である運転周波数の近傍の連続的な側波帯に起因する幅広の領域と、前記運転周波数の高周波数側及び低周波数側の両側に現われる側波帯であって、前記誘導電動機の駆動軸の回転周波数に対応する側波帯と、前記運転周波数の高周波数側及び低周波数側の両側に現われる側波帯であって、前記誘導電動機の駆動軸の回転周波数のn(nは2以上の整数)倍の周波数に対応する側波帯と、前記運転周波数の高周波数側及び低周波数側の両側に現われる側波帯であって、前記誘導電動機の軸受に配置される転動体が有する固有周波数に対応する側波帯と、前記運転周波数の高周波数側及び低周波数側の両側に現われる側波帯であって、前記誘導電動機の駆動軸の回転周波数と、前記誘導電動機の軸受に配置される転動体の公転周波数の差となる相対速度に対応する側波帯と、前記誘導電動機に印加される電圧の周波数である運転周波数の奇数高調波と、の少なくとも何れかに基づいて、前記設備の異常の有無を判断し、前記設備の異常がある場合には、前記異常のある波形に基づいて、前記設備の異常個所を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の設備の異常診断方法。
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