JP4780755B2 - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、有機EL素子の製造方法に関する。
有機EL素子は、少なくとも1層の陽極層と、該陽極層上に形成された少なくとも1層の有機化合物層と該有機化合物層上に形成された少なくとも1層の陰極層から構成されている。この有機EL素子の発光のメカニズムは、陽極層及び陰極層に直流電源からの所定の電圧を印加すると、陽極層表面から有機化合物層内には正孔が注入され、陰極層から有機化合物層内には電子が注入され、有機化合物層内で電子と正孔とが再結合して励起子が生成され、この励起子が失活する際の光放出によって発光が行われるものである。有機EL素子の製造方法としては、真空槽において、所定の有機化合物を種々の加熱方法により蒸発させて基板上に成膜する方法と、所定の有機化合物を有機溶媒に溶解し印刷によって基板上に成膜する方法が一般的である。
有機EL素子の発光効率や寿命等の基本的な性能は、各層間の界面の状態が大きく関係する。すなわち、電極/有機化合物層の界面や有機化合物層/有機化合物層の界面に汚染が発生すると、基板電極から有機化合物層への電荷注入の阻害因子となり、有機EL素子の性能に大きく影響することが分かっている。また、陽極層や陰極層から有機化合物層への正孔や電子の注入に大きく関与するのは、陽極層表面の仕事関数と、この陽極層と隣接する有機化合物層の最高被占分子軌道(HOMO)、または、陰極層表面の仕事関数と、陰極と隣接する有機化合物層の最低空位分子軌道(LUMO)である。すなわち、陽極層表面の仕事関数が陽極層と隣接する有機化合物層のHOMOの準位に近いもしくはそれ以上であり、または、陰極層表面の仕事関数が隣接する有機化合物のLUMOの準位に近いもしくはそれ以下であれば、陽極表面または陰極表面から隣接する有機化合物層への正孔及び電子の注入効率がより高くなるので、発光効率が高くなり、また、素子寿命が向上する。また、有機EL素子の特性を改善する為には、陽極層表面の仕事関数や陰極層表面の仕事関数を制御することが重要であり、特に、陽極層表面については、有機化合物層の形成前にプラズマ処理等を行うことにより、陽極層表面の洗浄と伴に仕事関数を増加させることが一般に行われている。
一般的に、基体表面には陽極層が形成されており、その陽極層は、フォトプロセス法を用いて、任意のパターンに変形される。そのために、基体及び陽極層には、フォトプロセスで用いられる有機材料からなるフォトレジストの一部が残存している。これら残存しているレジスト膜の一部は陽極層の電子伝導性を損なうことから、従来は、これら残存している一部のレジスト膜を除去するために、陽極層の形成された基体を有機溶剤によって洗浄することが必要であった。しかしながら、この有機溶剤による洗浄だけでは、陽極層表面の汚れを全て除去することはできず、陽極層表面は依然としてレジスト等の様々な汚染物質に冒されていたため、正孔注入が陽極層/有機化合物層の界面で不均一になっていた。また、陽極層の電気伝導性については、製造の際に不純物の注入や還元などにより酸素欠陥を形成させることによって、キャリア濃度とその移動度を高めるようにしている。したがって、陽極層の表面には多くの酸素欠陥が存在しており、これらの酸素欠陥が仕事関数を低下させる大きな要因になっていた。これらの汚染物質の除去や酸素欠陥を無くして仕事関数を増加させる具体的な方法としては、陽極層が形成されている基板を、有機溶媒や界面活性剤,水,酸液,アルカリ液等を用いて浸漬,超音波洗浄,煮沸洗浄等を行う事により、陽極表面に残っている塵やレジストなどの有機物を除去する。その後、酸処理、或いはグロー放電処理、或いはプラズマ放電処理、或いはUV/オゾン処理等を行うようにする。従来は、これらの方法により、超音波洗浄では除去しきれないレジストなどの吸着している有機物を除去し、また、陽極層の最表面に存在する酸素欠陥を、発生したラジカル種やイオン種による酸化作用により、仕事関数を増加させていた。
しかしながら、上述した清浄のための処理は非常に煩雑なものであり、有機溶剤による洗浄工程を簡略化することが望まれていた。また、上述したグロー放電処理、或いはプラズマ放電処理、或いはUV/オゾン処理では、真空チャンバー内に処理物を設置して行われることから、生産性が低く、さらには、高価な装置を用いることからコストが高くなる。また、最近では、インクジェット印刷やスクリーン印刷、マイクログラビア印刷などの方法により有機化合物材料を有機溶媒に溶かしたインクを大気中で成膜し、乾燥させることによって有機薄膜を陽極層上に形成する方法が検討されている。具体的には、大気中で、容易に有機薄膜を形成できるという利点を最大限に生かす為には、大気中で洗浄,仕事関数増加,有機化合物層形成についての連続した処理ができることが求められており、このような連続処理は、陽極層につきグロー放電処理やプラズマ放電処理、UV/オゾン処理等の真空チャンバー内で行う必要がある場合には非効率であることから、真空チャンバーを用いない新たな方法が求められている。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、大気中で容易に、陽極層表面に残存するレジストなどの汚染物質を除去し、かつ、陽極の仕事関数を増加させることができ、さらには、大気中でコロナ放電処理できることによる工程の簡略化による製造コストの低減や生産効率の向上を図ることが可能な有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、コロナ放電処理を適応することで、大気中で陽極層の表面の洗浄を行うと同時に、コロナ放電処理で発生する酸化活性に優れた各種のラジカルやイオンにより陽極層表面を酸化させることで、表面に存在する酸素欠陥を補って仕事関数を増加させることが可能となる、との知見を得るに至り、工程の簡略化によるコスト低減が図られ、発光効率、寿命に優れた有機EL素子を実現できる製造方法を創出した。
すなわち、本発明の有機EL素子の製造方法は、基体上に少なくとも1層の陽極層を形成し、該陽極層上に少なくとも1層の有機化合物層を形成し、該有機化合物層上に少なくとも1層の陰極層を形成して製造される有機EL素子であって、前記陽極層表面を単位面積あたりのコロナ放電のエネルギーが900〜90000J/mであるコロナ放電処理することによって、前記陽極層表面の仕事関数を4.8eV〜6.0eVの範囲にすることを特徴とする。
本発明によれば、表面が、大気中または減圧下でコロナ放電処理によって洗浄され且つ仕事関数が4.8eVから6.0eVに制御されている陽極層を備えることにより、以下の効果が得られる。すなわち、一般的な有機化合物の最高被占分子軌道(HOMO)は4.8eVから6.0eVと言われており、陽極の仕事関数がHOMOの値に近くなる、もしくは、それ以上になることにより、正孔注入特性が向上し、発光効率、寿命に優れた有機EL素子の提供が可能となり、さらには、大気中で陽極層表面の仕事関数を容易に増加させることが出来ることから、生産性が向上し、コストの低減が可能となる。
また、本発明によれば、陽極層表面の仕事関数を増加させると同時に該陽極層表面に残存するレジスト膜を除去することが可能となり、煩雑な有機溶剤による洗浄工程が簡略化出来るなどの効果も得られる。さらに、有機化合物層をインクジェット法や印刷法等で形成する場合、本発明によれば、大気中で洗浄,仕事関数増加,有機化合物層形成についての連続した処理が可能となり、生産性が向上し、コストの低減が可能となるなどの効果が得られる。
以下に、本発明を適用した有機EL素子及びその製造方法について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態の有機EL素子100の断面の一部を拡大した図である。本実施の形態の有機EL素子100は、基体1上に透明性に優れた少なくとも1層の陽極層2が積層され、この陽極層2上には少なくとも1層の有機化合物層3が積層され、その上方には少なくとも1層の陰極層4が積層されることにより構成されている。
本実施の形態の有機EL素子100に用いられる基体1を構成する材料としては、可視光透過性に優れた材料、例えば、ガラスや石英などの無機材料、或いは、ポリエチレンテレフタレート,ポリカーボネート,ポリエステル等の樹脂が用いられる。
本実施の形態の有機EL素子100に用いられる陽極層2は、可視光透過性に優れ、且つ、導電性を有するITO,FTO,IZO,CdO,SnO,ZnO,ZnSnO等が一般的に用いられる。可視光の透過率は10%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上のものが用いられ、また、陽極層2の膜厚は、10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲内であれば良い。また、有機化合物層3の膜厚は数十nm〜数百nmであることから、陽極の平坦度も有機EL素子の発光効率、素子寿命の重要な要因となる。
陽極層2を基体1上に形成する方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、印刷法等を挙げることができる。または、市販の予め基材(基体1)上に形成されている陽極層2を用いても良い。
また、陽極層2の表面に存在する酸素欠陥は、大気中でのコロナ放電処理により、コロナ放電で発生する酸化性に優れた各種のラジカル種やイオン種により酸化され、それにより陽極層2表面の仕事関数が4.8eVから6.0eVに制御する事が出来る。仕事関数の値が4.8eVに満たない場合は、一般的な有機化合物の最高被占有軌道(HOMO)が4.8eVから6.0eVであることから、陽極から有機化合物層への注入障壁が大きくなり、正孔注入が起こり難くなり、十分な発光強度を得る為には印加電圧を高くすることが必要となる。それにより、有機化合物層3の劣化が促進され、これによって、有機EL素子の寿命が著しく短くなるので好ましくない。
また、仕事関数の値が6.0eVを超えると、正孔の注入が過剰となり、陰極層4からの電子注入が追付かなくなるので、電子注入量以上の正孔を注入しても、再結合のバランスが取れなくなって効率は向上せず、また、照射エネルギーが高くなることから、エネルギー損失が大きくなるので好ましくない。
本実施の形態の有機EL素子100に用いられる有機化合物層3は、単層型あるいは複層型のいずれであっても良い。但し、一般に、複層型構造とした場合には、正孔または電子注入、正孔または電子輸送、発光の機能をそれぞれの各層で機能分担することが出来、それに伴って発光効率、素子寿命を向上できることから、複層型構造の方が良く用いられる。ここで、複層型構造の素子構成としては、正孔注入を陽極から受け該正孔を発光層へ輸送する正孔輸送層と、電子注入を陰極から受け該電子を発光層へ輸送する電子輸送層と、正孔と電子とを再結合させて発光を取り出す発光層と、に分類することができる。ただし、正孔輸送層もしくは電子輸送層がバイポーラ性を有し、さらに発光性を有する場合には、発光層を兼ねることが出来る。さらに、正孔(電子)輸送層に関しては、陽極(陰極)からの正孔(電子)注入を向上させるためと、陽極(陰極)へ電子(正孔)が到達しないようにするために、正孔(電子)輸送層を2層以上の構成とすることが出来る。また、発光分子の蛍光量子収率を向上させるために、発光層に数mol%程度の蛍光性/燐光性色素をドーピングすることができる。用いる材料としては、低分子型と高分子型があるが、特に限定されるものでは無く、一般的に用いられるものでよい。
有機化合物層3の形成方法としては、真空蒸着法等の乾式法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、マイクログラビア法等の溶液法が挙げられる。溶液法については、有機化合物インクを成膜後、加熱乾燥する必要があり、好ましくは、真空中や、大気中で空気を、例えばAr,N2,CO2,O2などのガスで置換した環境下で、有機化合物を変質させない温度で乾燥させることが好ましく、これにより有機化合物層3へのダメージの低減を図ることが出来る。
本実施の形態の有機EL素子100に用いられる陰極層4は、仕事関数の低いCs,Na,K,Mg,Ca,Ba,Ce,In,Ag,Al,Cu,Li,これらの化合物、またはこれらの合金、酸化物、フッ化物などから選択される少なくとも1つの材料が用いられる。陰極層4の形成方法としては、蒸着法や印刷法、ラミネート法等が挙げられる。
さらに、陰極層4上に、大気中の酸素や水分を遮断するための封止膜を設けても良く、その構成としては、無機材料、樹脂等の薄膜、もしくはガラスや金属の缶が用いられる。無機材料や樹脂などの薄膜については、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、印刷法等で形成する事ができる。また、ガラスや金属の缶については一般的に用いられる接着剤で接着する必要がある。
次に、本発明で使用されるコロナ放電処理について詳述する。
図2は、本発明の実施の形態による有機EL素子100の陽極層2表面の汚染物質の除去と仕事関数を増加させるために用いられるコロナ放電処理装置200の構成を模式的に示した図である。このコロナ放電処理装置200は、高周波電源装置5Aと高圧トランス5Bとを備えた高周波発生装置5と、該装置5の出力電圧が印加される電極6,7と、を具備している。コロナ放電処理装置200の動作原理は、高周波発生装置5の高周波電源装置5Aによって、商用電源を直流電源に変換し、さらに低圧高周波に変換する。そして、この出力を高周波発生装置5の高圧トランス5Bで高電圧に昇圧させて、第1の電極6と、前記第1の電極6に対向して設置された第2の電極7との間に高圧高周波電圧を印加することで、エアーギャップ8にコロナ放電9を発生させるものである。この際、第1の電極6または第2の電極7の表面にはシリコーン樹脂やフッ素樹脂等からなる絶縁物質で被覆されていることが必要となる。
すなわち、第2の電極7の表面が上述の絶縁物質で被覆されてない場合には、前記第1の電極6と第2の電極7との間に、(有機EL素子100を構成する)陽極層2を第2の電極7に対抗する側になるように当該被処理物(透明電極)300を設置して、第1の電極6と第2の電極7との間に高圧高周波電圧を印加すると、陽極層2の表面は導電性であるので、電流が陽極層2の一部に流れて放電が発生しないばかりか、陽極層2の一部が破壊されることになる。従って、この場合には第2の電極7の表面を絶縁することが必要となり、被処理物300をこの反対向きに設置する場合には、第1の電極6の表面を絶縁することが必要となる。以下は、第2の電極7の表面が絶縁物質で被覆されている場合について説明する。
図3は、本発明の実施の形態による有機EL素子100の陽極層2表面の汚染物質の除去と仕事関数を増加させるために用いられるコロナ放電処理装置200の電極の箇所を抽出して示す概略平面図である。ここで、図3の矢印10、11、12は、コロナ放電処理を行う際における第1の電極6、第2の電極7、被処理物300の移動方向を表している(すなわち、相互に略平行な方向に相対移動する)。このとき、第1の電極6、第2の電極7、被処理物300のすべてが動く構成としても良く、このうちの1つもしくは2つだけが動く構成としても良い。簡易な方法としては、第2の電極7を形成するステージの上に被処理物300を載せ、固定した第1の電極に対しステージを往復運動させて処理する構成とすれば良い。また、量産に好適な方法として、ロール状の被処理物を連続的に処理するロールトゥ―ロールでの生産の場合には、固定した第1の電極と第2の電極とのスペース間で、被処理物300のみを動かす構成とするのが良い。
陽極層2が基体1の表面に被覆された被処理物(透明電極)300は、第2の電極7の表面に陽極層2が当接し、かつ基体1が第1の電極6に対向するように設置され、高周波発生装置5を作動させることによって、第1の電極6と第2の電極7の表面との間で発生するコロナ放電に曝される。このとき、被処理物300は、基体1の表面に被覆された陽極層2の表面が、コロナ放電により発生する酸化性に優れたラジカル種やイオン種によって酸化されて、陽極層2表面に存在するレジスト膜の有機物、汚染物質等の除去や、酸素欠陥の修復がなされ、これによって、陽極層2表面の仕事関数が高められる。
陽極層2の表面の仕事関数を4.8eVから6.0eVの範囲内に制御するためには、コロナ放電処理での放電量を制御することが必要となる。放電量E(J/m)は、放電電極長:L(m)、送り速度:V(m/sec)、放電電力:P(W)より、次の式で求められる。
E=P/LV
すなわち、上記式に従って、放電電力P、放電の照射速度、放電電極長L、等を適宜調節して、コロナ放電処理での放電量Eを100〜50000000J/mにすることで、陽極層2表面の仕事関数を4.8eVから6.0eVの範囲内の値に設定(制御)することが可能となる。この場合、放電量Eの値が100J/m未満では陽極層2表面の仕事関数を4.8eVにすることができない。一方、放電量Eが50000000J/mを超えた値の場合は、陽極層2表面の仕事関数は6.0eV前後の値であってほとんど変化しないので、処理エネルギーの損失が多くなり、また、生産性も低下するので好ましくない。コロナ放電処理での放電量Eの値は、好ましくは500〜5000000J/m、さらに5000〜500000J/mであることが、仕事関数が安定的に4.8eV以上となることを達成し、また処理エネルギーの損失を抑制し、好適な生産性を達成する観点から好ましい。
さらに、コロナ放電をする際には、第1の電極6と第2の電極7との間でコロナ放電9が発生する箇所に、酸素や窒素、或いは乾燥した空気などを供給して、これらのガスの濃度が高い雰囲気中で処理を行っても良い。また、コロナ放電処理装置200を、酸素,窒素,二酸化炭素,ドライ空気等のガスが充填した密閉した室内やボックス内に設置して処理を行っても良く、さらに、チャンバー内に設置して減圧下で処理を行っても良い。
なお、湿度が高い環境では、陽極層2の表面に水分が吸着し、吸着した水分は有機化合物層3の劣化を促進させることから、有機EL素子100の寿命が著しく短くなるので、このような環境下でコロナ放電処理を行うことは好ましくない。
また、コロナ放電処理装置200における第1の電極6と第2の電極7は、それぞれ1本以上であれば良く、処理効率や処理時間を短縮するために複数本設置しても良い。また、各電極6,7の形状は、陽極層2の表面の仕事関数を4.8eVから6.0eVの範囲内に制御出来るものであれば特に制限されるものではなく、例えば、棒状,平面状,凹凸状,ロール状,など、種々の形状とすることができる。さらにまた、1回のコロナ放電処理により必要エネルギー量に満たない場合には、2回以上の複数回照射を行うことことで、必要とするエネルギー量を達成するようにしてもよい。
以下、本実施の形態の有機EL素子の製造方法について詳述する。
本実施の形態における好適な方法としては、基体1上の陽極層2を、スパッタリング法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、印刷法等で形成する。
これらの方法で得られた被処理物(基体に陽極が形成されたもの)300について、界面活性剤を含んだ水溶液、水、酸液、アルカリ液、有機溶媒等に浸漬、超音波洗浄、煮沸洗浄等を行う。ここで、界面活性剤としては、一般的に用いられているものであれば良く、例えば、非イオン性活性剤などが用いられ、また、フルウチ化学(株)製、セミコクリーン56などの市販されている洗浄剤を使用しても良い。水洗用の水は、汚染物質となりうる不純物をできるだけ含まない純水、超純水を用いることが望ましい。有機溶媒は、脱脂、脱水力に優れ、揮発性が高く、安価で、しかも環境破壊等を引き起こさない安全性の高いものが望ましく、これらのうち満足する2種以上の有機溶媒毎に洗浄を繰り返すことが好ましい。すなわち、有機溶媒につき、上記条件の全てを満たす1種類の溶剤は存在しないため、2種以上の有機溶媒を用いて、個々の媒毎に洗浄を行うようにする。
次に、洗浄した陽極層2表面の仕事関数をコロナ放電処理により4.8eVから6.0eVの範囲内の所望の値になるように制御する。この場合、コロナ放電処理での放電量を100〜50000000J/mになるようにコロナ放電装置200での処理条件を設定すれば良い。具体的には、コロナ放電装置200は固定されるので、放電電極長は一定となることから、放電電力と照射速度を任意に設定してコロナ放電処理を行えば良い。
このようにしてコロナ放電処理された陽極層2上に、少なくとも1層の有機化合物層3を、真空蒸着法またはスピンコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、マイクログラビア法などにより形成する。このようにして形成した有機化合物層3上には、少なくとも1層の陰極層4を真空蒸着法または印刷法により形成した後、公知の方法により封止膜を設けることで、コロナ放電処理された陽極層2を用いた有機EL素子100が製造される。
本発明によれば、大気中で陽極表面を処理できることから、高額な真空装置を必要としないので、生産性やコスト面でのメリットがあり、さらに、コロナ放電処理された陽極層2は、該処理後に大気中で放置した場合であっても時間の経過による仕事関数の低下が少ないことから、有機化合物層3を形成するまでの時間が掛かっても、発光特性に大きく影響しない、などのメリットが得られる。
さらには、大気中で容易に、陽極層表面に残っているレジスト等の有機物質、汚染物質を除去でき、かつ、陽極の仕事関数を増加させることが出来ることから、工程の簡略化による製造コストの低減や生産効率の向上が可能な有機EL素子の製造方法が提供できる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<ITO電極の仕事関数の制御>
以下に説明する各実施例では、被処理物(透明電極)300として、ガラス基板の基体1上に陽極層2であるITO電極が形成されたITO付ガラス基板を使用した。このITO付ガラス基板は、三容真空(株)製(ソーダガラスITO、150±20nm、≦14Ω/□)を用いた。そして、ITO表面の仕事関数は、大気中で、光電子分光装置(理研計器株式会社製、AC−2)を用いて測定した。
(実施例1)
ITO付ガラス基板を、アセトンで5分間超音波洗浄し、次いで純水で5分間超音波洗浄し、次いで洗浄液(フルウチ化学株式会社製、セミコクリーン56)で5分間超音波洗浄し、次いで純水で5分間超音波洗浄し、次いでアセトンで5分間超音波洗浄し、次いで煮沸したIPAに5分間浸漬した後、自然乾燥させた。次に、ITO表面を放電量が、(1)900J/m、(2)9000J/m、(3)27000J/m、(4)90000J/mのそれぞれの条件で大気中にてコロナ放電処理を行い、ITO表面の仕事関数を測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0004780755
(実施例2)
ITO付ガラス基板を、アセトンで5分間超音波洗浄し、次いで純水で5分間超音波洗浄し、次いで洗浄液(フルウチ化学株式会社製、セミコクリーン56)で5分間超音波洗浄し、次いで純水で5分間超音波洗浄し、次いでアセトンで5分間超音波洗浄した後、自然乾燥させた。次に、ITO表面を放電量が54000J/mの条件で大気中にてコロナ放電処理を行い、仕事関数を測定した。その結果、測定されたITO表面の仕事関数は5.55eVであった。
(実施例3)
ITO付ガラス基板を、アセトンで2分間超音波洗浄し、次いで洗浄液(フルウチ化学株式会社製、セミコクリーン56)で1分間超音波洗浄し、次いで純水で1分間超音波洗浄し、次いでアセトンで1分間超音波洗浄した後、自然乾燥させた。次に、ITO表面を放電量が90000J/mの条件で大気中にてコロナ放電処理を行い、仕事関数を測定した。 その結果、測定されたITO表面の仕事関数は5.50eVであった。
(実施例4)
ITO付ガラス基板を、アセトンで5分間超音波洗浄し、次いで純水で5分間超音波洗浄し、次いで洗浄液(フルウチ化学株式会社製、セミコクリーン56)で5分間超音波洗浄し、次いで純水で5分間超音波洗浄し、次いでアセトンで5分間超音波洗浄し、次いで煮沸したIPAに5分間浸漬した後、自然乾燥させた。次に、ITO表面を放電量が90000J/mの条件で大気中にてコロナ放電処理を行い、その後大気中に、(1)30分間放置、(2)60分間放置、(3)120分間放置した後、ITO表面の仕事関数を測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0004780755
(比較例1)
実施例1のコロナ放電処理を施さない以外は、実施例1と同様の条件で処理することでITO付ガラス基板を得た。得られたITO付ガラス基板の仕事関数を測定した結果、4.75eVであった。
<EL素子の評価>
評価用EL素子は、実施例1で得られた(1)から(4)のITO付ガラス基板を用いて、それぞれ以下の条件で作製した。まず、有機化合物層を、ITO付ガラス基板のITO表面に、スピンコート法により、ポリビニルカルバゾールと2,5−ジ(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾールと3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)クマリンとが160:40:1の重量比で混合した混合物を1.0重量%分散したクロロホルム溶液を用いて形成した。ここでは、有機化合物層の厚さが略100nmとなるように形成した。次に、有機化合物層を形成したITO付ガラス基盤を真空蒸着装置内に設置し、有機化合物層表面に銀とマグネシウムからなる合金を200nmの厚さで蒸着して陰極を形成した。得られたEL素子の特性としては、発光が輝度計にて輝度の変化として確認出来た時の電圧、すなわち閾値電圧で評価した。なお、閾値電圧は有機EL発光効率測定装置(プレサイスゲージ株式会社製、EL1003)を用いて測定した。得られた結果を表3に示す。
Figure 0004780755
表1の結果と比較例1の結果が示すように、陽極層表面にコロナ放電処理を行うことによって、仕事関数が増加することが確認された。また、放電量を増加させると、仕事関数が増加することも確認された。また、コロナ放電処理による仕事関数の増加に伴い、表3の結果が示すように、仕事関数の増加に従って閾値電圧が低下する事も確認された。さらに、表2の結果に示されるように、90000J/mの放電量でコロナ放電処理を行ったITO付ガラス基盤を大気中で2時間放置した場合であっても、2時間経過後の仕事関数の値はコロナ放電処理を行わない比較例1の値より大きい事も確認された。また、実施例2、3の結果が示すように、超音波洗浄処理の時間の短縮や洗浄工程の一部削減のような簡略化を行った場合でも、仕事関数の増加が確認され、洗浄効果も兼ね備えている事が実証された。
以上説明したように、本発明によれば、陽極層表面の仕事関数を大気中で容易に向上させることが可能になる。また、コロナ放電処理前の超音波洗浄工程等を簡略化しても、陽極層表面の仕事関数を向上させることができることから、陽極層表面のレジスト等の有機物除去が可能な洗浄効果も有する。さらには、コロナ放電処理した陽極層表面の仕事関数は、時間経過と共に大きく変化しないために、量産対応が可能である。
以上の事から、大気中で陽極層表面を処理できることから、工程の簡略化による製造コストの低減や生産効率の向上が可能な有機EL素子の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の実施の形態の有機EL素子の断面図である。 本発明の実施の形態で用いられるコロナ放電処理装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態で用いられるコロナ放電処理装置の概略平面図である。
符号の説明
100:有機EL素子
1 :基体
2 :陽極層
3 :有機化合物層
4 :陰極層
200:コロナ放電処理装置
5 :高周波発生装置
5A :高周波電源装置
5B :高圧トランス
6 :第1の電極
7 :第2の電極
8 :エアーギャップ
9 :コロナ放電
300:被処理物(基体に陽極層を形成したもの)
10 :第2の電極(ステージ)の移動方向
11 :第1の電極の移動方向
12 :非処理物の移動方向

Claims (1)

  1. 基体上に少なくとも1層の陽極層を形成し、該陽極層上に少なくとも1層の有機化合物層を形成し、該有機化合物層上に少なくとも1層の陰極層を形成して製造される有機EL素子であって、前記陽極層表面を単位面積あたりのコロナ放電のエネルギーが900〜90000J/mであるコロナ放電処理することによって、前記陽極層表面の仕事関数を4.8eV〜6.0eVの範囲にすること
    を特徴とする有機EL素子の製造方法。
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