JP4780042B2 - 燃料噴射装置の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、気筒内に直接燃料が噴射される筒内直噴エンジン等の内燃機関に用いられるインジェクタ等の燃料噴射装置を制御するための燃料噴射装置の制御装置の技術分野に関する。
この種の燃料噴射装置の一例であるインジェクタは、エンジン等の内燃機関が有する複数の気筒の夫々に対応して設けられており、ECU(Engine Control Unit)等の制御装置の制御下で気筒内に燃料を噴射する。インジェクタは、例えば、噴射ノズル、噴射ノズルの開閉を行うプランジャ、及びプランジャを駆動する電磁コイル等の磁気回路を含んで構成されている。プランジャは、電磁コイル等の磁気回路に供給された駆動電流によって生じた吸引力によって駆動され、噴射ノズルから燃料が噴射可能になる。
このようなインジェクタは、気筒内で燃料が燃焼することによって気筒内の圧力が高められた状態でも当該気筒内に燃料を噴射できるように、或いは気筒内に噴射された燃料の拡散時間が十分に確保されるように、高い圧力で燃料を噴射可能に構成されている。より具体的には、例えば、磁気回路に供給される駆動電流は、プランジャを吸引する吸引力等の駆動力がデリバリ内の燃料圧力より高くなるように、磁気回路に駆動電流を供給する期間の初期段階において高い電圧によって急激に立ち上げられ、噴射ノズルから燃料が噴射された状態で電圧が下げられることによって一定の電流値に維持される。このように駆動電流が設定されることによって、プランジャのフルリフト後における吸引力等の駆動力を下げ、駆動電流を磁気回路に供給することによって発生する発熱量の低減及び消費電力の低減が図られている。
また、内燃機関による燃費向上及び出力特性を高めるためには、各気筒に対応して内燃機関に設けられるインジェクタ相互における燃料の噴射量のばらつきを低減することが重要になり、インジェクタを内燃機関に搭載するに先んじて、インジェクタによる燃料の噴射量が調整される。特許文献1は、ソレノイド等の電磁コイルのインダクタンス値が小さい場合でも、優れた噴射特性を有する内燃機関の制御装置を提案している。
特開2003−106200号公報
この種の燃料噴射装置では、エンジン等の内燃機関に要求される要求出力の向上に伴い、インジェクタを駆動する駆動時間の広い範囲において、駆動電流に対して適切な噴射量で燃料を噴射できる噴射特性の向上に対する要請がある。より具体的には、気筒内における燃焼圧力が高い条件下でインジェクタの弁機構を作動させることを可能にすると共に、低い燃焼圧力から高い燃焼圧力まで駆動時間に対して噴射量が一様に変化する特性線に沿って噴射量を制御することによって、狙いの噴射量で正確に燃料を噴射できるようにインジェクタを制御する技術に対する要請がある。
そこで、燃焼圧力が高い条件下で燃料を噴射することを目的として電磁コイル等の磁気回路に高いピーク値を有する駆動電流を供給し、燃焼圧力が高い条件下において、駆動電流を供給してから経過したインジェクタの駆動時間に対して噴射量が一様な変化率で増大するようにインジェクタを制御する制御方法が考えられる。
しかしながら、気筒内の燃焼圧力が相対的に低い条件下で高い燃焼圧力に対応したピーク値を有する駆動電流をインジェクタに供給した場合、弁機構に作用する吸引力等の駆動力が燃焼圧力に対して過剰となり、弁機構が開く閉弁タイミングに遅れが生じる。このような閉弁タイミングの遅れによれば、目標とすべき噴射量より大きい噴射量で燃料が噴射されてしまい、駆動時間に対して変化する噴射量を一様な特性線に沿って制御することが困難になる。
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、例えば、筒内直噴エンジン等の内燃機関に用いられる燃料噴射装置から燃料を噴射する噴射量の制御性を高めることが可能となる燃料噴射装置の制御装置を提供することを課題とする。
本発明に係る燃料噴射装置の制御装置は上記課題を解決するために、内燃機関が有する気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置を制御するための燃料噴射装置の制御装置であって、前記燃料噴射装置の噴射孔を開閉する弁機構を駆動するために前記燃料噴射装置に供給される第1駆動電流のピーク値において前記弁機構に付与される第1駆動力が、前記気筒内の燃焼圧力より大きいか否かを判定する判定手段と、前記第1駆動力が前記燃焼圧力より大きいと判定された場合に、前記第1駆動電流のピーク値より低いピーク値を有する第2駆動電流を前記第1駆動電流の代わりに前記燃料噴射装置に供給することによって、前記低いピーク値において前記弁機構に付与される第2駆動力が前記第1駆動力に比べて前記燃焼圧力に近づくように、前記燃料噴射装置を制御する第1制御手段とを備える。
本発明に係る燃料噴射装置の制御装置によれば、燃料噴射装置は、例えば筒内直噴エンジン等の内燃機関の各気筒に対応して設けられるインジェクタである。燃料噴射装置は、例えば、電磁コイル等の磁気回路と、当該磁気回路で発生した電磁力によって駆動可能なプランジャ等の駆動部と、当該駆動部の駆動に応じて作用する吸引力等の駆動力によって燃料噴射孔を開閉可能なニードルバルブ等の弁機構とを備えており、電源から供給された駆動電流によって燃料を噴射できるように構成されている。燃料噴射装置は、例えば、燃料を気筒に供給可能な燃料噴射システムの一部として内燃機関に搭載されており、内燃機関の動作時において、気筒に燃料を噴射する。
判定手段は、例えば、ECU(Engine Control Unit)の一部を構成する回路部であり、燃料噴射装置の噴射孔を開閉する弁機構を駆動するために燃料噴射装置に供給される第1駆動電流のピーク値において弁機構に付与される第1駆動力が、気筒内の燃焼圧力より大きいか否かを判定する。ここで、第1駆動電流は、ピーク値をとった後、発熱及び消費電力の夫々を低減することを目的として低減され、一定の電流値に維持される。したがって、第1駆動力が、第1駆動電流に応じて弁機構に付与される駆動力のうち最大の駆動力となる。
第1制御手段は、例えば、ECUの一部を構成する回路部であり、第1駆動力が燃焼圧力より大きいと判定された場合に、第1駆動電流のピーク値より低いピーク値を有する第2駆動電流を第1駆動電流の代わりに燃料噴射装置に供給するように電源等の動作を制御することにより、燃料噴射装置の動作を間接的に制御する。
第2駆動電流は、第1駆動電流が供給された際に当該第1駆動電流の電流値がピーク値となるまでに要した駆動時間より短い駆動時間で当該ピーク値より低いピーク値を有する電流値に到達する。尚、「駆動時間」とは、燃料噴射装置に第1駆動電流或いは第2駆動電流を供給し始めてから経過した経過時間をいう。
ここで、内燃機関の動作に応じて気筒内の燃焼圧力が低くなった場合、燃焼圧力が低くなる前に燃料噴射装置に供給していた第1駆動電流と同様のピーク値を有する駆動電流が燃料噴射装置に供給されたのでは、第1駆動電流のピーク値において弁機構に付与される第1駆動力が燃焼圧力より大きくなる。燃焼圧力が下がった際に、第1駆動電流と同様のピーク値において弁機構に付与されていた第1駆動力と同じ大きさを有する駆動力が弁機構の付与されてしまうことによって、弁機構が開きすぎることになる。したがって、燃焼圧力が下がった条件下で噴射されるべき噴射量より多い噴射量で燃料が噴射されてしまう問題点が生じる。
そこで、第1制御手段は、第1駆動電流のピーク値より低いピーク値において弁機構に付与される第2駆動力が第1駆動力に比べて燃焼圧力に近づくように、電源等の電流供給手段を制御することによって間接的に燃料噴射装置を制御する。第2駆動電流の電流値のピーク値は、第1駆動電流のピーク値に比べて低いため、第1駆動力に比べて第2駆動力は小さく、第2駆動電流のピーク値から一定の電流値に電流値を維持するまでの過渡期において、弁機構に生じる開閉動作の遅れを低減できる。
したがって、本発明に係る燃料噴射装置の制御装置によれば、燃焼圧力及び第1駆動力の大小関係に応じて第1駆動電流及び第2駆動電流を相互に切り換えて弁機構を駆動させることによって、燃焼圧力が下がった際に生じる弁機構の開閉動作の遅れを低減でき、駆動時間に対して不均一な変化率で噴射量が増加しないように燃料噴射装置の動作を制御できる。
特に、本発明に係る燃料噴射装置の制御装置によれば、気筒内の燃焼圧力が、例えば、内燃機関の動作に応じて変化する燃焼圧力、及び弁機構に付与される第1駆動力相互のバランスで特定される所定の燃焼圧力以上である場合に、第1駆動電流に対して燃料が過剰に噴射されない。一方、気筒内の燃焼圧力が所定の燃焼圧力より低い場合には、第1駆動電流が第2駆動電流に切り換えられるため、燃焼圧力の変化した場合でも、駆動時間に対して噴射量が過剰に噴射されないように燃料噴射装置を制御でき、第1駆動電流及び第2駆動電流による噴射量の制御性を高めることが可能である。
本発明に係る燃料噴射装置の制御装置の一の態様では、前記燃料噴射装置から噴射される前記燃料の噴射量は、前記燃料噴射装置を駆動する駆動時間に対して前記噴射量の変化率が一定である特性線に沿って増大してもよい。
この態様によれば、第1駆動電流を燃料噴射装置に供給し始めてから経過した経過時間は、「駆動時間」の一例である。また、第1駆動電流の代わりに第2駆動電流を燃料噴射装置供給し始めてから経過した経過時間も、「駆動時間」の一例である。
この態様によれば、駆動時間に対して前記噴射量の変化率が一定である特性線に沿って噴射量が増大するように燃料噴射装置を制御可能であるため、燃料が過剰に噴射される場合に比べて、第1駆動電流及び第2駆動電流等の駆動電流に対する燃料噴射装置の制御性を高めることが可能である。
この態様では、前記特性線は、前記駆動時間及び前記噴射量の関係を示す特性図において、前記燃料噴射装置から噴射されるべき前記燃料の最小噴射量を通る直線であってもよい。
この態様によれば、「最小噴射量」とは、燃料噴射装置から内燃機関の気筒に噴射する燃料の噴射量のうち内燃機関の動作時に当該燃料噴射装置に要求される最も小さい噴射量をいう。「最小噴射量」は、燃料噴射装置が内燃機関に搭載されるに先んじて、内燃機関の動作時に当該内燃機関に要求される各種性能に基づいて予め設定されている。
この態様よれば、前記駆動時間及び前記噴射量の関係を示す特性図において、最小噴射量以上の噴射量の範囲において、駆動時間に対する噴射量の変化率が一様な直線として設定された特性線に沿って燃料を噴射できるため、燃料噴射装置から噴射可能な噴射量の範囲において燃料噴射装置の制御性を高めることが可能である。
本発明に係る燃料噴射装置の制御装置の他の態様では、前記弁機構を駆動するために前記燃料噴射装置に供給される駆動電流がピーク値を取るタイミングの前後の夫々において前記燃料噴射装置から噴射される前記燃料の噴射量を規定し、且つ前記燃料噴射装置の駆動時間に対する前記噴射量の変化率が互いに異なる第1特性線及び第2特性線を記憶した記憶部と、前記第1特性線及び前記第2特性線の夫々に基づいて前記燃料噴射装置を制御する第2制御手段とを更に備える。
この態様によれば、記憶部は、例えば、ECUの一部を構成するメモリ等の回路部であり、第1特性線及び第2特性線を記憶している。第1特性線及び第2特性線は、内燃機関の動作に先んじて予め記憶部に記憶されている。
このような第1特性線及び第2特性線は、燃料噴射装置の噴射孔を開閉する弁機構を駆動するために燃料噴射装置に供給される駆動電流がピーク値を取るタイミングの前後の夫々において燃料噴射装置から噴射される燃料の噴射量を規定している。
駆動電流は、気筒内の燃焼圧力が弁機構に作用した状態で当該弁機構を開弁可能なようにピーク値まで電流値が高められる。駆動電流がピーク値をとった後には、弁機構が開弁された状態を維持すればよいため、駆動電流の電流値は低減され、例えば一定の電流値に保持される。このように駆動電流が低減されることによって、燃料噴射装置に生じる発熱及び消費電力の夫々を低減できる。
ここで、駆動電流の電流値がピーク値をとるタイミングの前後においては、駆動電流に及び当該駆動電流に対して一様に変化する噴射量相互の関係を規定する特性線に基づいて燃料の噴射量を制御することが困難になる。より具体的には、駆動電流の電流値がピーク値をとった後において、駆動電流の電流値がピーク値をとるタイミング以前における特性線と比べて駆動時間に対して異なる変化率で噴射量が変化する。駆動電流の電流値がピーク値をとるタイミングの前後における駆動時間に対する噴射量の変化率の相違は、駆動電流の電流値がとるピーク値に応じて弁機構に付与される駆動力の相違に起因する。したがって、駆動電流の電流値がピーク値をとるタイミングを跨ぐ範囲において、駆動時間に対して噴射量の変化率が一様である特性線に基づいて噴射量を制御することが困難となり、燃料噴射装置の制御性を高めることが難しくなる。
そこで、第2制御手段は、燃料噴射装置の噴射孔を開閉する弁機構を駆動するために燃料噴射装置に供給される駆動電流がピーク値を取るタイミングの前後の夫々において燃料噴射装置から噴射される燃料の噴射量を規定し、且つ燃料噴射装置の駆動時間に対する噴射量の変化率が互いに異なる第1特性線及び第2特性線の夫々に基づいて燃料噴射装置を制御する。
第1特性線及び第2特性線の夫々は、燃料噴射装置に駆動電流を供給し始めてから経過した駆動時間を横軸にとり、燃料噴射装置から噴射された燃料の狙いの噴射量を縦軸にとった特性図において、駆動時間及び噴射量の関係を規定している。第1特性線及び第2特性線の夫々によれば、駆動時間に対して噴射量が一様に変化する特性線に基づいて噴射量を設定する場合に比べて、駆動時間に対して噴射量を正確に設定できる。より具体的には、駆動電流がピーク値をとるタイミングの前後の夫々において駆動時間に対して噴射量の変化率が互いに異なる第1特性線及び第2特性線の夫々に基づいて噴射量を設定することにより、駆動時間に対して正確に噴射量を設定できる。
したがって、本発明の第2の発明に係る燃料噴射装置の制御装置によれば、駆動電流がピーク値をとるタイミングの前後で第1特性線及び第2特性線の夫々に基づいて設定された噴射量と、実際に燃料噴射装置から噴射される燃料の噴射量とを一致させることができる。即ち、燃料噴射装置から噴射される燃料の狙いの噴射量、言い換えれば目標とすべき噴射量と、実際に燃料噴射装置から噴射される燃料の噴射量とを一致させることができ、燃料噴射装置の制御性を高めることができる。
この態様では、前記第2制御手段は、前記タイミングにおいて前記第1特性線から前記第2特性線に特性線を切り換えてもよい。
この態様によれば、例えば、燃料噴射装置に駆動電流を供給する電子駆動ユニット(EDU)等の電流供給手段が、駆動電流について電流値のピーク値を切り換えなくても、第1特性線及び第2特性線に基づいて狙いの噴射量で燃料が噴射される。したがって、第2制御手段による制御下において、燃料噴射装置の制御性を高めることが可能になる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
以下、図面を参照しながら、本発明の第1及び第2の発明の夫々に係る燃料噴射装置の制御装置の各実施形態を説明する。
<1:第1実施形態>
先ず、図1乃至図6を参照しながら、本発明に係る燃料噴射装置の制御装置の実施形態を説明する。
<1−1:燃料噴射システム>
図1を参照しながら、本実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置が適用された燃料噴射システムの構成を説明する。図1は、本実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置が適用された燃料噴射システムの構成を図式的に示したブロック図である。尚、燃料噴射システムは、インジェクタから筒内に直接燃料を噴射する筒内直噴式エンジン等の内燃機関に用いられる。以下では、図1において、エンジンの各筒内に燃料を噴射するインジェクタを燃料噴射システム中に図示し、エンジンの図示を省略する。
燃料噴射システム1は、燃料タンク2に蓄えられた燃料を加圧して送り出す燃料供給装置3と、燃料供給装置3から送り出された燃料が導かれる高圧燃料流路4と、インジェクタ5とを備えている。インジェクタ5は、本発明の「燃料噴射装置」の一例であり、燃料噴射システム1が搭載されたエンジンの動作時に、高圧燃料流路4から分配される燃料を気筒内に噴射する。高圧燃料流路4は気筒間で共用されており、インジェクタ5はエンジンが有する気筒毎に設けられている。尚、高圧燃料流路4は各インジェクタ5に対して燃料を分配できるものであればよく、その容積はこの種の燃料噴射システムに設けられているコモンレールの容積よりも小さくてよい。また、燃料噴射システム1は、第1の逆止弁11及び第2の逆止弁12と、第1の逆止弁11及び第2の逆止弁12とインジェクタ5との間にて燃料を蓄える容積室13とを備えている。
燃料供給装置3は、燃料タンク2に貯留された燃料を汲み上げてフィード圧まで加圧すると共に、当該加圧された燃料を低圧燃料流路7に送り出す低圧ポンプ6と、低圧燃料流路7に供給された燃料をさらに加圧して高圧燃料流路4に送り出す高圧ポンプ8とを備えている。低圧ポンプ6は電動モータにより一定速度で駆動される。高圧ポンプ8は、エンジンの駆動軸(クランク軸)から取り出される回転運動を利用して機械的に駆動される。より具体的には、例えば、高圧ポンプ8は、エンジンの駆動軸の回転運動をカム機構によってプランジャの往復運動に変換し、プランジャの往復運動を利用して燃料の吸入動作と押し出し動作とを繰り返すプランジャ型ポンプとして構成される。
高圧ポンプ8が備える圧力調整機構8aは、低圧燃料流路7から高圧ポンプ8の内部に燃料を取り込むための流路の絞り量を変化させることにより、高圧ポンプ8から吐出される燃料の圧力を所定の圧力調整範囲内における低圧域と高圧域との間で変化させる。尚、高圧燃料流路4には、その内部の最高圧力を制限する圧力調整弁9と、高圧燃料流路4の燃料圧力を検出する圧力センサ10とが取り付けられている。圧力調整弁9から排出された燃料は低圧燃料流路7に戻される。インジェクタ5は、その内部に設けられた燃料噴射機構5aが有する弁機構の開閉操作により内部流路を開閉して高圧燃料流路4から導かれる燃料を気筒内に噴射する。
燃料噴射システム1は、本発明の「燃料噴射装置の制御装置」の一例である電子制御ユニット(ECU)15を備えている。ECU15は、燃料噴射システム1を備えたエンジンの動作時に、圧力調整機構8aの動作を制御すると共に、電子駆動ユニット(EDU)16を介してインジェクタ5の動作を制御する。
<1−2:燃料噴射装置>
次に、図2を参照しながら、インジェクタ5の具体的な構成を説明する。図2は、インジェクタ5の構成を図式的に示した断面図である。
図2において、インジェクタ5は、端子52、ソレノイドコイル53、プランジャ54、ニードルバルブ55、噴射孔56及びスプリング58を備えて構成されている。端子52は、ECU15によって動作が制御される電源に電気的に接続されている。ソレノイドコイル53は、不図示の配線を介して端子52に電気的に接続されている。ソレノイドコイル53は、燃料噴射システム1の動作時に、ECU15の制御下で動作する電源から供給された駆動電流に応じて電磁力を発生させる。
プランジャ54は、ソレノイドコイル53で発生した電磁力によって駆動され、本発明の「弁機構」の一例であるニードルバルブ55に吸引力を作用させる。このような吸引力は、駆動電流の電流値の大きさによって変更可能である。後述する第1駆動電流及び第2駆動電流の夫々の電流値がピーク値を取る際にニードルバルブ55に作用する吸引力の夫々が、本発明の「第1駆動力」及び「第2駆動力」の具体例となる。
端子52は、不図示の電源に電気的に接続されており、ECU15の制御下において当該電源から駆動電流を供給される。端子52を介してインジェクタ5に供給された駆動電流によってニードルバルブ55の開閉動作が可能になる。
ニードルバルブ55は、プランジャ54から加えられる吸引力に応じて噴射孔56を開閉する。内部流路51を介して噴射孔56の手前まで到達した燃料は、噴射孔56の開閉に応じてインジェクタ5から気筒内に噴射される。インジェクタ5から噴射される燃料の噴射量は、ニードルバルブ55等の弁機構の開閉動作によって開いた噴射孔56の開期間によって規定される。ニードルバルブ55等の弁機構は、プランジャ54から作用する吸引力に応じて開閉されることから、噴射孔56から噴射される燃料の噴射量は、ソレノイドコイル53に供給される駆動電流の大きさ及び供給時間によって規定される。
尚、インジェクタ5は、燃料噴射システム1に搭載されるに先んじて、予め駆動電流に対して噴射量が調整されていてもよい。このように噴射量が相互に調整された複数のインジェクタ5によれば、図中4つのインジェクタ5相互における噴射量のばらつきを低減可能である。
<1−3:燃料噴射装置の制御装置>
次に、図3を参照しながら、ECU15の構成を説明する。図3は、ECU15の主要な構成を示したブロック図である。
図3において、ECU15は、本発明の「第1制御手段」の一例である制御部15a、及び判定部15bを備えている。制御部15aは、本発明の「判定手段」の一例である判定部15bの動作を制御すると共に、燃料噴射システム1全体、及び、燃料噴射システム1が搭載されたエンジン全体の動作を制御する。
判定部15bは、燃料噴射システム1が搭載されたエンジンを動作時に、ニードルバルブ55を駆動するためにインジェクタ5に供給される第1駆動電流のピーク値においてニードルバルブ55に付与される第1駆動力が、気筒内の燃焼圧力より大きいか否かを判定する。ここで、第1駆動電流は、ピーク値をとった後、発熱及び消費電力の夫々を低減することを目的として低減され、一定の電流値に維持される。したがって、第1駆動力が、第1駆動電流に応じて弁機構に付与される駆動力のうち最大の駆動力となる。
制御部15aは、ECU15の一部を構成する回路部であり、第1駆動力が燃焼圧力より大きいと判定された場合に、第1駆動電流のピーク値より低いピーク値を有する第2駆動電流が第1駆動電流の代わりに供給されるようにEDU16及びインジェクタ5を制御する。尚、制御部15a及び判定部15bの夫々による処理動作については、後述するインジェクタの制御方法を説明する中で詳細に説明する。
<1−4:燃料噴射装置の制御方法>
次に、図4乃至図6を参照しながら、本実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置によって実行される燃料噴射装置の制御方法を説明する。図4は、本実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置によって実行可能な燃料噴射装置の制御方法の主要な処理ルーチンを示したフローチャートである。図5は、本実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置の制御下において燃料噴射装置に供給される第1駆動電流の電流パターン、及び噴射量の夫々の時間に対する推移の一例を模式的に示したグラフである。図6は、本実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置の制御下において燃料噴射装置に供給される第2駆動電流の電流パターン、及び噴射量の夫々の時間に対する推移の一例を模式的に示したグラフである。
尚、図6では、説明の便宜上、第1駆動電流及び第2駆動電流相互で共通の駆動時間Tを横軸として第1駆動電流の電流パターンA1及び第2駆動電流の電流パターンA2を図示しているが、電流パターンA1及び電流パターンA2の夫々は、第1駆動電流及び第2駆動電流の夫々がインジェクタ5に供給され始めてから経過した経過時間を駆動時間Tとして変化する。
図4において、制御部15aは、燃料噴射システム1が搭載されたエンジンの動作時に、図1に図示しない圧力メータによって測定された燃焼圧力に関するデータを取得し、気筒内の燃焼圧力を特定する(ステップS100)。次に、制御部15aは、インジェクタ5に供給される第1駆動電流の電流値がピーク値を取る際にニードルバルブ55に付与される吸引力の大きさを推定する(ステップS110)。
次に、制御部15aは、ニードルバルブ55に付与される吸引力が、制御部15aによって特定された燃焼圧力より大きいか否かを判定する(ステップS120)。ニードルバルブ55に付与される吸引力が、制御部15aによって特定された燃焼圧力以下であると判定された場合には、制御部15aの制御下で引き続き第1駆動電流が供給され(ステップS130)、再度ステップS100に戻る。一方、ステップS120において、ニードルバルブ55に付与される吸引力が、制御部15aによって特定された燃焼圧力より大きいと判定された場合には、制御部15aの制御下で第2駆動電流が供給され(ステップS140)、再度ステップS100に戻る。
次に、図5及び図6を参照しながら、上述の燃料噴射装置の制御方法において、駆動時間Tに対する駆動電流の電流値、及び噴射量の夫々の推移を説明する。
先ず、図5を参照しながら、インジェクタ5に第1駆動電流が供給されている場合に噴射される燃料の噴射量Qの変化を説明する。
図5において、図中下側に第1駆動電流の電流値I1の推移を示す電流パターンA1が示され、図中上側に、駆動時間Tに対する燃料の噴射量Qを規定する特性線L0が示されている。図5において、電流パターンA1で示す第1駆動電流は、時間t1においてピーク値Ip1をとった後、発熱及び消費電力の夫々を低減することを目的として低減され、一定の電流値であるホールド電流値Ih1に維持される。したがって、第1駆動電流がピーク値Ip1を取った時間t1においてニードルバルブ55に付与されていた吸引力が、第1駆動電流に応じてニードルバルブ55に付与される吸引力のうち最大の吸引力になる。加えて、ピーク値Ip1からホールド電流値Ih1に電流値が低減される過渡期間(図中Δt)において、第1駆動電流の減少に起因してニードルバルブ55の開弁状態に影響が生じないため、噴射量Qは、駆動時間Tの経過に応じて駆動時間Tに対して一定の変化量で増大する。即ち、時間t1においてインジェクタ5から噴射されていた燃料の噴射量がインジェクタ5から噴射される燃料の最小噴射量qmin1となり、時間t1以降では特性線L0によって規定された噴射量で燃料が噴射可能となる。したがって、図4に示すステップS130では、制御部15aは、図5に示した特性線L0に基づいて正確に燃料を噴射可能である。
次に、図6を参照しながら、インジェクタ5に第2駆動電流が供給されている場合に噴射される燃料の噴射量Qの変化を説明する。図6において、図中下側に第2駆動電流の電流パターンA2が電流パターンA1と共に示されており、図中上側に駆動時間Tに対する燃料の噴射量Qを規定する特性線L1が示されている。
図6に示すように、制御部15aは、図4中のステップS140において、第1駆動電流のピーク値Ip1より低いピーク値Ip3を有する第2駆動電流が第1駆動電流の代わりにインジェクタ5に供給されるようにEDU16を制御する。第2駆動電流の電流パターンA2は、時間t1より早く到来する時間t3においてピーク値Ip3をとる。
ここで、気筒内の燃焼圧力が、第1駆動電流をインジェクタ5に供給した際の燃焼圧力より低くなった場合、即ち、図4中のステップS120においてニードルバルブ55に付与される吸引力が燃焼圧力より大きいと判定された場合を考える。このような場合、気筒内の燃焼圧力が低くなる前にインジェクタ5に供給していた第1駆動電流と同様のピーク値Ip1を有する駆動電流が供給されたのでは、ピーク値Ip1においてニードルバルブ55に付与される吸引力が燃焼圧力より大きくなり、ニードルバルブ55が開きすぎることになる。したがって、燃焼圧力が低くなった条件下で噴射されるべき噴射量より多い噴射量で燃料が噴射されてしまう問題点が生じる。
より具体的には、図6の上側の図に示すように、駆動時間Tに対して一様な変化率で変化する噴射量Qを規定する特性線L2より上側、言い換えれば、噴射量Qは、図6の上側の図中に示す特性線L3によって規定されることになる。特性線L3は、時間t1を境にして駆動時間Tに対する噴射量Qの変化率が互いに異なる特性線L3a及びL3bから構成されており、時間t1において特性線L2によって規定される噴射量より大きい噴射量qbがインジェクタ5から噴射されることになる。駆動時間Tに基づいてインジェクタ5から噴射される噴射量Qを制御することによってインジェクタ5の制御性を高めるためには、インジェクタ5から噴射される燃料の噴射量Qは、駆動時間Tに対して噴射量Qが一様な変化率で変化する特性線L2に基づいて制御されているほうが、特性線L3に基づいて制御されている場合より好ましい。
そこで、制御部15aは、第1駆動電流のピーク値Ip1より低いピーク値Ip3においてニードルバルブ55に付与される吸引力が、第1駆動電流のピーク値Ip1における吸引力に比べて小さくなるように、言い換えれば、第1駆動電流が供給されていた際の燃焼圧力より低くなった燃焼圧力に近づくように、電源等の電流供給手段を含むEDU16を制御することによって間接的にインジェクタ5を制御する。
より具体的には、図6の上側の図に示すように、制御部15aは、特性線L1a及びL1bから構成される特性線L1に基づいて第1駆動電流に対して噴射量Qを調整することによって、ピーク値Ip3における噴射量qaを噴射量qbより特性線L2にのる噴射量に近づけることが可能である。したがって、制御部15aによれば、ピーク値Ip3からホールド電流値Ih1に電流値を維持するまでの過渡期において、ニードルバルブ55に生じる開閉動作の遅れを低減でき、インジェクタ5の制御性を高めることが可能である。
特に、本実施形態では、気筒内の燃焼圧力が、エンジンの動作に応じて変化する燃焼圧力、及びニードルバルブ55に付与される吸引力相互のバランスで特定される所定の燃焼圧力以上である場合に、燃料が過剰に噴射されない。一方、気筒内の燃焼圧力が所定の燃焼圧力より低い場合には、第1駆動電流が第2駆動電流に切り換えられるため、駆動時間に対して噴射量が過剰に噴射されないようにインジェクタ5の動作が制御され、噴射量の制御性を高めることが可能である。
また、ECU15によれば、特性線L2に沿って噴射量Qを増大させることも可能である。より具体的には、図6に示すように、第1駆動電流の代わりに第2駆動電流がインジェクタ5に供給されることによって電流値のピーク値をピーク値Ip1からピーク値Ip3に下げ、更にピーク値を下げることによって各ピーク値における噴射量Qを、図中点p1に示す噴射量qbから点p2で示す噴射量qa、及び点p3で示す最小噴射量qmin2に下げ、図中最小噴射量qminを通る特性L2に基づいて噴射量を制御することも可能である。
ECU15が相対的に特性線L2に近づけられた特性線L1に基づいて噴射量Qを制御することによって、駆動電流に対する噴射量の制御性を高めることができる。また、特性線L1を特性線L2に一致させるように第2駆動電流のピーク値をシフトさせることによって、最小噴射量qmin以上の噴射量の範囲において、インジェクタ5の制御性を向上させることが可能である。
このように、ECU15によれば、燃焼圧力及び第1駆動力の大小関係に応じて第1駆動電流及び第2駆動電流を相互に切り換えてニードルバルブ55等の弁機構を駆動させることによって、燃焼圧力が下がった際に生じる弁機構の開閉動作の遅れを低減でき、インジェクタ5を駆動する駆動時間Tに対して噴射量Qが過剰にならないようにインジェクタb5の動作を制御できる。
<第2実施形態>
次に、図7乃至図9を参照しながら、本発明に係る燃料噴射装置の制御装置の他の実施形態を説明する。図7は、本発明に係る「燃料噴射装置の制御装置」の一例であるECU18の主要な構成を示したブロック図である。図8は、本実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置によって実行可能な燃料噴射装置の制御方法の主要な処理ルーチンを示したフローチャートである。図9は、本実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置の制御下において燃料噴射装置に供給される駆動電流の電流パターン、及び噴射量の夫々の時間に対する推移の一例を模式的に示したグラフである。
尚、ECU18は、第1実施形態で説明した燃料噴射システム1と同様の構成を有する燃料システムに組み込まれた状態でエンジン等の内燃機関に搭載される。したがって、以下では、第1実施形態で説明した燃料噴射システム1と共通する部分について同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
<2−1:燃料噴射装置の制御装置>
図7を参照しながら、本実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置の一例であるECU18の主要な構成を説明する。
図7において、ECU18は、本発明の「第2制御手段」の一例である制御部18a、及び記憶部18bを備えている。記憶部18bは、ECU18の一部を構成するメモリ等の回路部であり、インジェクタ5を駆動する駆動時間に対する燃料の噴射量を規定する第1特性線及び第2特性線を記憶している。第1特性線及び第2特性線は、エンジンの動作に先んじて予め記憶部18bに記憶されている。このような第1特性線及び第2特性線は、インジェクタ5の噴射孔56を開閉するニードルバルブ55等の弁機構を駆動するためにインジェクタ5に供給されるべき駆動電流がピーク値を取るタイミングの前後の夫々においてインジェクタ5から噴射される燃料の噴射量を規定している。
<2−2:燃料噴射装置の制御方法>
次に、図8及び図9を参照しながら、本実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置によって実行可能な燃料噴射装置の制御方法を説明する。
図8において、制御部18aは、記憶部18bから第1特性線に関するデータを読み出し、第1特性線に基づいてインジェクタ5に供給する駆動電流の供給を制御する(ステップS200)。
次に、制御部18aは、駆動電流のピーク値に到達したか否かを判定する(ステップS210)。駆動電流がピーク値に到達していないと判定された場合には、再度ステップS200に戻り、第1特性線に基づいて駆動電流を供給する。駆動電流がピーク値に到達したと判定された場合には、制御部18aは、特性線を第1特性線から第2特性線に切り換え(ステップS220)、第2特性線に基づいて駆動電流をインジェクタ5に供給するように、EDU等の動作を制御する(ステップS230)。
次に、図9を参照しながら、上述した燃料噴射装置の制御方法の各ステップにおける駆動時間、駆動電流及び噴射量の関係を説明する。
図9において、インジェクタ5に駆動電流I1を供給し始めてから時間t2において、インジェクタ5の噴射孔56が完全に開き、当該開度に応じた燃料が噴射孔56から噴射される。時間t2では、噴射孔56が完全に開き、時間t2以後では第1特性線L3a及び第2特性L3bから構成される特性線L3に基づいて噴射量Qが制御される。したがって、時間t2における噴射量qmin2が、インジェクタ5から噴射される燃料の噴射量のうち制御部18aの制御下で制御できる最小噴射量になる。時間t1において駆動電流がピーク値Ip1をとると、制御部18aは、第1特性線L3aから第2特性線L3bに特性線を切り換え、時間t1以降において第2特性線L3bに基づいてインジェクタ5から噴射される噴射量Qを制御する。
ここで、駆動電流I1の電流値がピーク値Ip1をとる時間t1の前後における駆動電流I1及び噴射量Qの夫々の駆動時間Tに対する変化を説明する。駆動電流は、駆動電流の電流値I1がピーク値Ip1をとる時間t1以降では、制御部18aの制御下において電流値が低減され、一定の電流値(ホールド電流)Ih1に保持される。駆動電流が一定の電流値に保持されるのは、第1実施形態と同様に、気筒内の燃焼圧力がニードルバルブ56に作用した状態でニードルバルブ56を開弁可能なようにピーク値Ip1まで電流値I1が高められた後、発熱及び消費電力の夫々を低減するためである。
ここで、時間t1を経過した後に第1特性線L3aに基づいてインジェクタ5が制御され、燃料が噴射されると、駆動時間Tに対して噴射量Qが狙いの噴射量より大きくなってしまう。
そこで、本実施形態では、駆動電流の電流値I1がピーク値Ip1をとる時間t1の前後の夫々において、駆動時間Tに対する噴射量Qの変化率が互いに異なる第1特性線L3a及び第2特性線L3bの夫々に基づいて、駆動時間Tに対して噴射量Qを制御する。より具体的には、時間t1以後においては、駆動時間t1に対して噴射量Qの変化率が第1特性線L3aより小さい第2特性線L3bに基づいて噴射量Qが制御される。このように時間t1の前後の夫々において、変化率が互いに異なる第1特性線L3a及びL3bの夫々が参照されるのは、駆動時間Tに対する噴射量Qの変化率が、駆動電流の電流値I1がとるピーク値Ip1に応じてニードルバルブ55に付与される吸引力の相違に起因する。即ち、駆動時間Tにおける時間t1を跨ぐ範囲において、駆動時間Tに対して噴射量Qの変化率が一様である特性線に基づいて噴射量Qを制御することが困難となり、インジェクタ5の制御性を高めることが難しくなるからである。
特に、本実施形態では、制御部18aが、時間t1において第1特性線L3aから第2特性線L3bに特性線を切り換えることから、インジェクタ5に駆動電流を供給するEDU16等の電流供給手段が、駆動電流について電流値のピーク値を切り換えなくても、第1特性線L3a及び第2特性線L3bに基づいて狙いの噴射量Qで燃料が噴射される。したがって、制御部18aによる制御下でインジェクタ5の制御性を高めることが可能になる。
したがって、本実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置によれば、駆動電流がピーク値Ip1をとる時間t1の前後で第1特性線L3a及び第2特性線L3bの夫々に基づいて設定された噴射量Qと、実際にインジェクタ5から噴射される燃料の噴射量Qとを一致させることができる。即ち、インジェクタ5から噴射される燃料の狙いの噴射量、言い換えれば目標とすべき噴射量と、実際にインジェクタ5から噴射される燃料の噴射量とを一致させることができ、インジェクタ5の制御性を高めることができる。
本発明の第1実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置が適用された燃料噴射システムの構成を図式的に示したブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置によって制御される燃料噴射装置の構成を図式的に示した断面図である。 本発明の第1実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置の主要な構成を示したブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置によって実行可能な燃料噴射装置の制御方法の主要な処理ルーチンを示したフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る燃料噴射装置の制御方法において燃料噴射装置に供給される第1駆動電流の電流パターン、及び噴射量の夫々の時間に対する推移を模式的に示したグラフである。 本発明の第1実施形態に係る燃料噴射装置の制御方法において燃料噴射装置に供給される第2駆動電流の電流パターン、及び噴射量の夫々の時間に対する推移を模式的に示したグラフである。 本発明の第2実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置の主要な構成を示したブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る燃料噴射装置の制御装置によって実行可能な燃料噴射装置の制御方法の主要な処理ルーチンを示したフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る燃料噴射装置の制御方法において燃料噴射装置に供給される駆動電流の電流パターン、及び噴射量の夫々の時間に対する推移を模式的に示したグラフである。
符号の説明
1・・・燃料噴射システム、5・・・インジェクタ、15,18・・ECU、15a,18a・・・制御部、15b・・・判定部、16・・・EDU、18b・・・記憶部

Claims (5)

  1. 内燃機関が有する気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置を制御するための燃料噴射装置の制御装置であって、
    前記燃料噴射装置の噴射孔を開閉する弁機構を駆動するために前記燃料噴射装置に供給される第1駆動電流のピーク値において前記弁機構に付与される第1駆動力が、前記気筒内の燃焼圧力より大きいか否かを判定する判定手段と、
    前記第1駆動力が前記燃焼圧力より大きいと判定された場合に、前記第1駆動電流のピーク値より低いピーク値を有する第2駆動電流を前記第1駆動電流の代わりに前記燃料噴射装置に供給することによって、前記低いピーク値において前記弁機構に付与される第2駆動力が前記第1駆動力に比べて前記燃焼圧力に近づくように、前記燃料噴射装置を制御する第1制御手段
    を備えたことを特徴とする燃料噴射装置の制御装置。
  2. 前記燃料噴射装置から噴射される前記燃料の噴射量は、前記燃料噴射装置を駆動する駆動時間に対して前記噴射量の変化率が一定である特性線に沿って増大すること
    を特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置の制御装置。
  3. 前記特性線は、前記駆動時間及び前記噴射量の関係を示す特性図において、前記燃料噴射装置から噴射されるべき前記燃料の最小噴射量を通る直線であること
    を特徴とする請求項2に記載の燃料噴射装置の制御装置。
  4. 前記弁機構を駆動するために前記燃料噴射装置に供給される駆動電流がピーク値を取るタイミングの前後の夫々において前記燃料噴射装置から噴射される前記燃料の噴射量を規定し、且つ前記燃料噴射装置の駆動時間に対する前記噴射量の変化率が互いに異なる第1特性線及び第2特性線を記憶した記憶部と、
    前記第1特性線及び前記第2特性線の夫々に基づいて前記燃料噴射装置を制御する第2制御手段
    更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置の制御装置。
  5. 前記第2制御手段は、前記タイミングにおいて前記第1特性線から前記第2特性線に特性線を切り換えること
    を特徴とする請求項4に記載の燃料噴射装置の制御装置。
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