JP4779870B2 - イオン注入方法およびその装置 - Google Patents
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このように、従来のウェル形成方法では、レジスト塗布、露光、現像、除去といった一連のホトレジスト工程が必要であった。
半導体デバイスのメーカにとっては、デバイス製造の原価低減が直接収益に影響するため、複雑化しているプロセスを簡略し、製造コストを削減することが最大の課題となっている。特に、半導体基板に不純物を導入するイオン注入工程には、イオン注入の前後に上述のようなホトレジスト工程を必要とする。しかも、このイオン注入工程が半導体装置完成までの全工程中に複数回必要であれば、その都度このような付随する工程を行なわなければならない。これは、図21に示すような従来のイオン注入装置で用いられるイオンビームが直径数cmの太いビームであるため、上述のチャネルドーピングやウェル形成、拡散層形成のような所望の箇所に選択的にイオン注入するイオン注入工程では、図22に示したように、シリコン基板85にホトレジスト86を塗布し、開口87を設けて、イオンビーム88を照射しなければならない。この時、各開口に均一にイオンを導入するために、イオンビームと基板を相対的に揺動させたりする。(図22ではイオンビームを走査していることを示すために矢印を記した。)このレジストを設けるに伴ない、開口を開けるための露光や現像、イオン注入後のレジスト除去などの工程が必要となり、上記の如き付随的な多数の複雑な工程が必要となる。また、それらの工程のために、そのそれぞれの専用装置が必要で、装置の費用、設置面積の確保、専用担当者の確保など経済的負担となり、多くの工程を経ることによる完成品歩留りの低下をもたらしていた。
(M.Tamura et al., Nuclear Instrument and Methods in Physics Research,
B7/8 (1985) 858-863, "Focused boron ion implantation into silicon")(公知例2)
また、レジストを用いずにイオン注入する別の方法として、特開昭58−106822号に『不純物導入方法』(公知例3)と題して開示されている。この方法は、図25のように、所望の開口100を有する着脱可能なマスク101を、半導体基板102と所望の位置関係になるように僅かな空隙を保持して位置合わせをした後、イオンビームを照射し、上記マスク101の開口100を介して上記半導体基板102にイオン注入を行なうものである。103はイオン注入領域である。この方法により、従来行われていたウェハ表面にレジストを塗布し、露光装置によってイオン注入領域を作成するといったレジスト工程が不要となる。
(A.Chalupka et al., "Progress in ion projection lithography",Microelectronic Engineering, 17 (1992) 229-240.)(公知例4)と題する論文に開示されている。この方法はイオン露光によって、レジスト内での散乱が光や電子よりも小さく、従来の光や電子ビームによる露光に比べてシャープな像が露光できるという利点を持つ。しかしながら、公知例4はウェハに塗布されたレジストへの露光装置であるため、依然としてレジスト工程を経なければならず、レジスト工程の削減は実現されない。
(1)ドーパントイオンを放出するイオン源から引出したイオンビームを、開口パターンを有するステンシルマスクに照射し、上記開口パターンを通過したイオンビームをイオン投射光学系によって試料に投射することで、上記試料内にイオン注入領域を形成する方法により達成される。また、
(2)半導体装置製造プロセスにおけるイオン注入方法において、ドーパントイオンを放出するイオン源から引出したイオンビームを、開口パターンを有するステンシルマスクに照射し、上記開口パターンを通過したパターンイオンビームをイオン投射光学系によって半導体基板に投射することで、上記半導体基板内にドーパントイオン注入領域を形成する方法によっても達成できる。また、(3)上記(2)の方法において、第1のステンシルマスクによって第1イオン種のイオン注入領域を形成する第1イオン注入工程および、少なくとも第2のステンシルマスクによって第2イオン種のイオン注入領域を形成する第2イオン注入工程とからなる方法によるか、または、
(4)上記(2)または(3)の方法が、その前工程に少なくとも上記半導体基板面上にイオン注入領域を限定するホトレジストマスクのパターン形成工程を伴わない方法により達成される。また、
(5)上記(2)から(4)の方法が、ドーパントイオンを放出するイオン源から引出したイオンビームを、開口パターンを有するステンシルマスクに照射し、上記ステンシルマスクを透過したパターンイオンビームをイオン投射光学系によって半導体基板に投射することで、上記半導体基板内にドーパントイオン注入領域を形成するイオン注入方法において、さらに、半導体基板表面に形成した厚膜酸化膜によってイオン注入領域を制限する方法によるか、特に、
(6)上記(1)から(5)のいずれかで、上記試料または半導体基板がシリコンであり、かつ、該試料に投射されるイオン種がホウ素、リン、ヒ素のうちの少なくともいずれかである方法により達成される。また、
(7)上記(1)から(6)のいずれかで、特に、パターンイオンビームの投射および停止、試料への投射位置の移動を順次繰り返すことで、上記試料または半導体基板上に上記イオン注入領域を少なくとも2箇所以上形成する方法によって、同じイオン注入領域を同一試料に多数形成できる。また、特に、
(8)ドーパントイオンを放出するイオン源から引出したイオンビームを、開口パターンを有するステンシルマスクに照射し、上記開口パターンを通過したイオンビームをイオン投射光学系によって半導体基板に投射することで、レジスト工程を経ることなく上記半導体基板内にウェル領域を形成することができ、特に、(9)第1のステンシルマスクによって上記半導体基板に第1イオン種によるp型ウェル領域を形成する第1イオン注入工程と、第2のステンシルマスクによって上記半導体基板に第2イオン種によるn型ウェル領域を形成する第2イオン注入工程とからなる方法により達成される。また、
(10)半導体装置製造プロセスにおけるイオン注入方法で、ドーパントイオンを放出するイオン源から引出したイオンビームを、開口パターンを有するステンシルマスクに照射し、上記開口パターンを通過したイオンビームをイオン投射光学系によって半導体基板に投射する方法により、上記半導体基板内にチャネルドープ領域を形成できる。特に、
(11)第1イオン種のイオン注入による第1チャネルドープ領域を形成する第1イオン注入工程、および、上記第1チャネルドープ領域のうちの一部に対して、ステンシルマスクの開口パターンを通過した第2イオン種のイオンビームによるイオン注入を行なって第2チャネルドープ領域を形成する第2イオン注入工程とからなる方法であってもよい。また、
(12)上記半導体装置製造プロセスにおけるイオン注入方法であって、半導体基板表面に厚膜酸化膜または多結晶シリコンの少なくとも何れかによるイオン注入制限領域を形成した後、ドーパントイオンを放出するイオン源から引出したイオンビームを、開口パターンを有するステンシルマスクに照射し、上記開口パターンを通過したイオンビームをイオン投射光学系によって半導体基板に投射することで、上記半導体基板内にドーパントイオン注入領域を形成することができる。特に、
(13)上記(7)から(12)のいずれかで、上記試料へのイオン注入量が1×1011個/cm2以上、かつ、1×1014個/cm2未満であるか、上記試料に投射されるイオンビームのエネルギが30keV以下のうちのいずれかである方法により達成される。また、
(14)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、上記イオン照射光学系内でイオンビームの質量分離を行ない、ドーパントイオンのみで上記ステンシルマスクを照射する方法によるか、
(15)上記試料または上記半導体基板上のイオン注入領域が、特に、前記ステンシルマスクの開口パターンとほぼ相似的に縮小した領域である方法によるか、(16)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、上記試料が化合物半導体であり、かつ、上記試料に投射されるイオン種がシリコン、ベリリウム、マグネシウム、セレン、酸素、イオウのうちの少なくともいずれかである方法によっても達成される。さらに、
(17)ドーパントイオンを放出するイオン源から引出したイオンビームを、所望のイオン注入領域に対応する開口パターンを有するステンシルマスクに照射し、上記開口パターンを通過したイオンビームをイオン投射光学系によって試料に投射することで、上記試料内にドーパントイオンの注入領域を形成するイオン注入方法において、イオン注入に先立ち、上記ステンシルマスクの上記開口パターンの近傍に設置した小開口に限定して上記イオンビームを照射して、上記小開口を通過したイオンビームによって試料面に設置したマークを検出し、試料ステージ位置もしくは上記ドーパントイオンビームの投射位置の少なくとも何れかの補正を行なって、イオン注入領域の位置決めを伴なう方法によるか、または、
(18)イオン注入に先立ち、上記試料表面を観察できる顕微鏡によって試料面に設置したマークを検出し、上記ドーパントイオンビームの投射位置が所望のイオン注入領域に一致するように試料ステージ位置もしくは上記ドーパントイオンビームの投射位置の少なくとも何れかの補正を行なってイオン注入領域の位置決めを伴なう方法によって達成される。
(19)ドーパントイオンを放出するイオン源と、該イオン源から放出したイオンを質量分離する質量分離器と、開口パターンを有するステンシルマスクを搭載するマスクステージと、上記ステンシルマスクに上記イオン源から放出したイオンビームを照射するイオン照射光学系と、上記開口パターンを通過したイオンビームを試料に投射するイオン投射光学系と、試料を保持して微動する試料ステージとを少なくとも備えることにより達成される。また、
(20)ドーパントイオンを放出するイオン源と、該イオン源から放出したイオンを質量分離する質量分離器と、開口パターンを備えたステンシルマスクを保持するマスクステージと、上記イオン源よりイオンビームを引き出し上記ステンシルマスクに照射する照射光学系と、試料を保持して微動する試料ステージと、上記開口パターンを通過したイオンビームを上記試料に投射する投射光学系とを少なくとも備えたイオン注入装置において、特に、上記マスクステージは複数種のステンシルマスクを保持し、更に、該マスクステージを移動させる駆動手段と、該駆動手段の制御を行なう信号処理装置とを備えることによって達成される。また特に、
(21)上記(19)または(20)において、上記イオン源がプラズマイオン源または液体金属イオン源、電界電離ガスイオン源のうちのいずれかであるか、(22)上記(19)から(21)のいずれかにおいて、特に、上記イオン源においてイオン化すべき材料がボロン、ヒ素、リン、シリコン、ベリリウム、マグネシウム、セレン、酸素、イオウからなる群のうちの少なくともいずれかを含むガスまたは合金もしくは化合物であることにより達成される。
また、
(23)上記(20)において、特に、上記イオン源は、複数のドーパントイオンを放出するイオン源であるか、または、ドーパントイオンを放出する複数個のイオン源からなり、上記信号処理装置は少なくとも上記イオン源の放出電流の制御、または、上記複数のイオン源から特定のイオン源を選択する信号を発信する装置であることにより達成される。特に、
(24)上記(19)または(20)において、上記イオン源から試料面に至るイオンビーム光学軸が鉛直方向であることにより達成される。あるいはまた、上記上記イオン照射光学系は、少なくとも上記イオン源から放出したイオンビームを質量分離する質量分離器と、所望のイオンビームを選択する質量分離アパチャを含むか、または、(25)上記イオン照射光学系は、上記イオン源から放出したイオンビームの拡がりを狭める照射レンズを含むことによるか、また、(26)上記イオン投射光学系は上記ステンシルマスクを通過したイオンビームを試料に投射させる投射レンズを含み、かつ、上記照射レンズ、上記投射レンズのうち、少なくともいずれかが加速モードのアインツェルンレンズであることによるか、あるいはまた、(27)上記イオン投射光学系はステンシルマスクを通過したイオンビームを試料に投射させる投射レンズを含み、かつ、上記投射レンズの最終電極と試料は同電位で、上記投射レンズの最終電極もしくは試料が0から10Vの出力を有する電源に接続されたことによるか、または、(28)上記ステンシルマスクを照射されるイオンビームのエネルギと、上記試料に投射されるイオンビームのエネルギは同一であることによって達成される。また、
(29)上記(17)において、特に、前記ステンシルマスクを通過したパターンイオンビームを集束させる集束レンズのクロスオーバの直前または直後にビーム遮断手段または真空遮断手段の少なくともいずれかを備えることによるか、
(30)上記(10)から(21)のいずれかにおいて、特に、上記イオン源と上記ステンシルマスクの間に、上記イオン源からの放出イオンの拡がりを制限するビーム制限アパチャを備えることよるか、
(31)上記(30)において、特に上記ビーム制限アパチャは、該ビーム制限アパチャを通過したイオンの拡がりの半開角が最大10°となる孔径または位置関係にあることにより達成される。また、
(32)上記(19)から(31)のいずれかにおいて、特に、上記イオン源からの放出イオンの初期エネルギが1から20keVであり、試料に投射されるパターンイオンビームの加速エネルギが1から40keVであることにより達成される。
(33)上記(19)から(32)のいずれかにおいて、特に、試料へ投射するパターンイオンビームの電流密度が1nA/cm2から10μA/cm2の範囲内であることにより達成される。
(34)イオン源と、イオンの透過する開口を備えたステンシルマスクを保持するマスクステージと、試料を保持し微動する試料ステージと、上記イオン源よりイオンビームを引き出し上記マスクに照射する照射光学系と、上記マスクを透過したイオンビームを上記試料の任意位置へ照射して、上記マスクの像を上記試料上に投射する投射光学系と、上記イオンビームを遮断する手段とを備えたイオン注入装置において、上記投射光学系は投射レンズを一段のみ備え、かつ、上記照射光学系が上記イオンビームを上記投射レンズのほぼ中心に集束させる照射レンズを備えたことにより達成される。また、
(35)上記照射光学系がイオンビームをマスク上で走査する走査偏向系を備えるとともに、上記走査偏向系の偏向中心が上記イオンビームのクロスオーバにあることにより達成され、あるいは、(36)上記(35)において、上記照射光学系は、上記走査偏向系が上記イオンビームを走査するのと連動して、上記イオンビームの集束状態を補正するダイナミック補正手段を備えることにより達成される。また、
(37)上記(36)のダイナミック補正手段は、非点補正器と、集束補正レンズとを備えることにより、また、
(38)上記(36)または(37)のダイナミック補正手段は、2段以上の偏向補正器を備えたことにより、あるいはまた、
(39)上記(34)の投射レンズは、3枚電極の静電レンズであることにより、また、(40)上記(34)から(36)のいずれかのイオンビームは、上記マスクへ照射する上記イオンビームの加速電圧が1〜20kVであり、上記試料上へ照射する上記イオンビームの加速電圧が1〜50kVであることにより達成される。さらに、
(41)複数個のチャンバおよび、これらと相互間のウエハの出し入れを行なうウエハハンドラ、上記複数個のチャンバに連結され上記ウエハハンドラを収納するウエハハンドラハウジングから構成されるマルチチャンバプロセス装置において、上記チャンバのうち少なくとも1個が上記(19)から(40)のいずれかのイオン注入装置であることにより達成される。また、半導体装置は、
(42)上記(1)から(18)のいずれかのイオン注入方法、または、上記(19)から(40)のいずれかのイオン注入装置、または、上記(41)のマルチチャンバプロセス装置の少なくともいずれかを用いて製造することにより、また、
(43)半導体装置において、隣合うp型ウェル領域とn型ウェル領域が、互いのウェル領域の基板表面に段差を有しない構造であることにより達成される。
本発明による第1の実施例を図5から図11を用いて説明する。
(実施例2)
〈実施例2の第1形態〉
本発明に係るイオン注入装置の実施例の詳細を図面をもとに説明する。図12において、301は本発明によるイオン注入装置、302はイオン源であり、本実施例ではイオン源302はシリコンに対するドーパントであるホウ素イオンを放出する液体金属イオン源を用いた。このイオン源302でのイオン化材料は白金/ホウ素合金である。303は質量分離器であり、放出したイオン304を所望のドーパントイオン305(本実施例ではホウ素1価イオン)と不要イオン306(本実施例ではホウ素1価イオン以外のイオン)に選別するものである。307はドーパントイオン305のみを通過させ、不要イオン306を下流へ送らないための質量分離アパチャである。この質量分離アパチャ307がステンシルマスク309の上流側に設置されているため、不要イオン306がマスクを照射することがなく、ステンシルマスク309の損傷が軽減され寿命が延びる。集束レンズ308のクロスオーバが質量分離アパチャ307にあるため、ドーパントイオン305と不要イオン306は容易に分離できる。310は質量分離アパチャ307を通過して広がりを持つイオンをマスク309にほぼ垂直入射するように軌道を曲げる照射レンズである。図では略式に楕円で示したが、実際は複数枚の電極から構成されている。本例の場合、イオン照射光学系311は、質量分離器303、質量分離アパチャ307、集束レンズ308、照射レンズ310より構成されている。
試料ステージ318はレーザ干渉計(図示せず)を用いてXY方向に正確に移動でき、1領域分のイオン注入が完了すると、イオンビームをブランキング状態(ブランカは図示せず)にするか、試料317とイオン源302の間のいずれかの箇所に設けたシャッタ(図12における320、320’)によって遮って、次の領域にステップ・アンド・リピート方式によって位置決め、再びイオン注入が行える。上記の操作の繰返しで試料317全体にイオン注入を施すことができる。これらのイオン光学系部品は真空容器321内にある。
本実施例は別のイオン光学系の例であり、概略構成を図13に示す。本実施例では複数のイオン源302、302’がイオン源ステージ330に設置されており、イオン源コントローラ331により、必要に応じてイオン源を交換し、放出するイオン種を切り替えることができる。また、ステンシルマスクは複数枚、マスクステージ312’に搭載されており、必要に応じてステンシルマスクをマスクコントローラ332によって交換することができる。搭載するステンシルマスクの開口パターンは異種同種に制限はない。これら、イオン源コントローラ331やマスクコントローラ332、更には試料ステージ318は信号処理装置333からの信号によって制御される。
本実施例は別のイオン光学系の例であり、概略構成を図14に示す。本実施例は、実施例1に比べレンズを1組減らし、3組のアインツェルンレンズ310’、314’、316’によって構成したイオン注入装置の例である。ステンシルマスク、マスクステージ、試料ステージなどは図12と同じである。
(実施例3)
本実施例3では、本発明によるイオン注入装置のうち、特に、試料に投射したステンシルマスクの像歪みを口径比の5次まで実質的に消去できる手段を備えたイオン注入装置を説明する。
しかしながら、上記従来の技術では試料に投射したステンシルマスクの像にはまだ5次の歪みが残っているため、あまり大きなステンシルマスクを使うことはできない。
以下、本発明によるイオン注入装置の具体的な実施例の詳細を図とともに説明する。図15は本発明によるイオン注入装置を示す構成図であり、図16はステンシルマスク対レンズ口径比と像歪みとの関係を示す模式図である。本装置は、イオン源401(ホウ素イオンを放出する液体金属イオン源)より引き出されたイオンビーム402は、照射光学系403によりステンシルマスク404に照射される(加速電圧は10kV)。ステンシルマスク404にはパターンを持つ貫通孔が設けられ、ステンシルマスク404はマスクステージ405に保持されている。ステンシルマスクを透過したイオンビーム402は投射光学系406により試料407に投射される(加速電圧は10kV)。投射光学系406はステンシルマスク404の像を試料407上に縮小して投射する(縮小率は1/8)。
試料407は試料ステージ408に移動可能に保持されている。
実施例3の第2形態の概略構成図を図17に示す。イオン源441(リンイオン放出用液体金属イオン源)より引き出されたイオンビーム442は照射光学系403’により、ステンシルマスク404に照射される(加速電圧は10kV)。ステンシルマスク404を透過したイオンビーム442は投射光学系406’により試料407に照射される(加速電圧は20kV)。投射光学系406’はステンシルマスク404の像を試料407上に縮小して投射する(縮小率は1/8)。ステンシルマスク404やマスクステージ405、照射レンズ410、試料ステージ408は図15と同じである。
なお、E×B質量分離器414はイオンビーム442のクロスオーバ413をその中心に配置しており色収差の発生を抑えている。アライメント偏向器415はイオンビーム442を偏向して、イオンビーム442の軸が照射レンズ410と投射レンズ420の中心軸に通るようにする。なお、質量分離器414と、ブランキング偏向器421’、ブランキングアパチャ422’とを照射光学系403’内に設けたのはイオンビーム442の照射によるステンシルマスク404の劣化を抑えるためであって、これらを投射光学系406’内に設けても作用は変わらない。
投射レンズ420は上記第1形態と同じであるが、イオンビーム442を10kVから20kVに加速するために両端の電極に印加する電圧を非対称にした。
この場合の走査偏向系430の偏向中心となるイオンビーム402のクロオーバは投射レンズ420の中心である。また、照射光学系403’内にクロスオーバ413を作らなくても試料像の歪みの改善には同様の効果がある。この場合の走査偏向系430の偏向中心となるイオンビーム402のクロスオーバーはイオン源441の仮想物点である。
(実施例4)
図8、図9で示したように、予め設けたマークを基準にパターンイオンビームの投射位置を定めた。本実施例は、その具体的実施方法を示す。
電子ビーム軸とイオンビーム軸のズレを事前に計測しておき、電子ビームによって試料上のマークを検出して、その時のマーク座標からイオン注入すべき領域の座標を計算し、事前に計測した電子ビーム軸とイオンビーム軸のズレを考慮して、イオンビーム軸に所望のイオン注入領域の中心が来るように試料ステージを補正した後、所望のパターンのイオン注入を行なってもよい。
(実施例5)
本実施例は、複数個の処理室を持ち、その内の少なくとも1個のチャンバが実施例2または実施例3で示したイオン注入装置であるマルチチャンバプロセス装置の上面図である。このマルチチャンバプロセス装置は、プロセスチャンバ500、501、502、503とロードロックチャンバ504A、504Bが、ウェハハンドラ505、505’を備えてウェハ506、506’を夫々のチャンバに搬送する搬送チャンバ507にゲートバルブ508A、508B、508C、508D、508E、508Fを介して結合された装置で、基本的にはウェハを大気に触れさせることなく連続して複数のプロセスが処理できる。チャンバの数、各チャンバに設置する装置はこの例に限定されることはない。
ロードロックチャンバ504Aに投入したウェハ509は、ゲートバルブ508F開放後、ウェハハンドラ505によって搬送チャンバ507に導入される。ゲートバルブ508E閉鎖後、ゲートバルブ508Aを開放し、ウェハ509(506)を本発明によるイオン注入装置のサンプルステージ(図示せず)に設置する。その後、ゲートバルブ508Aを閉鎖し、所定の真空度まで真空引きするが、各チャンバとも超高真空状態であるため、イオン注入装置におけるステージの排気は短時間で済む。この状態で、ボロンパターンイオンビームによるイオン注入を開始する。所定のイオン注入条件でウェハ全体に渡ってイオン注入することでこの工程は完了する。必要な場合、ウェハ506をチャンバ500からチャンバ501に移動させ、次のイオン注入を開始する。この間のゲートバルブの開閉は上記と同様である。また、チャンバ502には、チャンバ500と別のパターンを有するステンシルマスクを設置して、別工程のイオン注入を並行して行なってもよい。このような工程により、少なくとも1種類のイオン注入を確実に、短時間に、更に、大気に曝すことなく実行できる。このように、本発明によるイオン注入装置はレジストを必要としないため、レジスト塗布、洗浄というウエットな工程がなくなり完全ドライ化され、他のドライプロセス用半導体製造装置、分析装置と連結させることができる。これにより、半導体装置の製造が効率的となるとともに、歩留りが向上した。
(1)半導体プロセスにおいて、レジストレスでイオン注入できるため、レジスト塗布、露光、現像、従来のイオン注入、アッシング工程が削減される。それに伴って、これら装置に係る担当者の人件費、装置の運転費用、メンテナンス費が削減され、更に、これら装置と本発明によるレジストレスイオン注入装置の置換により、半導体製造装置の占有床面積が削減される。これらを総合的に評価して、本発明によるレジストレスイオン注入方法を用いることで、半導体装置の製造コストを削減することができた。
(2)本発明によるイオン注入方法は、レジストが不要であるため、レジスト塗布というウエット工程がなくなり、イオン注入前後の工程が完全ドライ化できる。これにより、多数の製造装置を連結したマルチチャンバプロセス装置に取り付けることができる。
(3)上記(1)に記載の如くイオン注入前後の工程が削減されるため、各工程間のウェハの搬送作業が削減される。これに伴い搬送時に生じる異物の付着などの危険性が低減され、デバイス製造の歩留が向上する。
102…質量分離器、105…質量分離絞り、108…パターンイオンビーム、109…不要イオン、110…ゲートバルブ。
401、441…イオン源、403、403’…照射光学系、404…ステンシルマスク、405…マスクステージ、406、406’…投射光学系、407…試料、408…試料ステージ、410…照射レンズ、420…投射レンズ、422、422’…アパチャ。
XSDEC…電圧印加回路、SAC…センスアンプ、YDEC…列デコーダ、I/O…入出力、CS…チップ選択信号、CHIP…チップ、CTRL…制御回路、 PW-MAT、PW-XSDEC、PW-XDEC、PW-SAC、PW-YDEC、PW-I/O、PW-CTRL…p型ウェル領域のパターン
NW-XSDEC、NW-XDEC、NW-SAC、NW-YDEC、NW-I/O、NW-CTRL…n型ウェル領域のパターン。
Claims (8)
- イオン源と、
所定のパターンが形成されたステンシルマスクと、
前記ステンシルマスクを保持するマスクステージと、
前記イオン源から放出されたイオンビームを前記ステンシルマスクに照射し、前記ステンシルマスクを通過した前記イオンビームを試料に投射する光学系と、
前記イオンビームの投射領域を含む領域に電子ビームを照射して前記試料の表面状態を観察可能な走査電子顕微鏡を備え、
前記光学系は、前記ステンシルマスクに前記イオンビームを照射させる照射レンズと、前記ステンシルマスクを前記試料に縮小投影させる、一段で構成された投射レンズを有し、
前記投射レンズの略中心に前記イオンビームが集束されることを特徴とする試料加工装置。 - イオンビームを発生するイオン源と、
前記イオンビームを所定の形状に成形し、当該成形されたイオンビームを試料に投射する投射光学系と、
前記イオンビームの投射領域を含む領域に電子ビームを照射して前記試料より生じる2次電子を検出する走査電子顕微鏡を備え、
前記投射光学系は、前記イオン源から放出したイオンビームを成形するステンシルマスクと、前記ステンシルマスクに前記イオンビームを照射させる照射レンズと、前記ステンシルマスクを通過した前記イオンビームを前記試料に縮小投影させる投影させる投射レンズを有し、
前記投射レンズは、一段で構成され、
前記投射レンズの略中心に前記イオンビームが集束されることを特徴とする試料加工装置。 - 請求項1または2に記載の試料加工装置において、
前記試料に前記電子ビームを照射して、前記試料の所望とする加工領域の位置を検出し、
当該検出結果を基に前記加工領域に対する前記イオンビームの投射位置を補正する手段を備えることを特徴とする試料加工装置 - 請求項3に記載の試料加工装置において、
前記試料を載置する試料ステージを有し、
前記加工領域に対する前記イオンビームの投射位置を補正する手段は、前記検出結果を基に前記試料ステージの位置の補正を含むことを特徴とする試料加工装置。 - 請求項1または2に記載の試料加工装置において、
前記照射レンズ、前記投射レンズの少なくともいずれかがアインツェルンレンズであることを特徴とする試料加工装置。 - 請求項1または2に記載の試料加工装置において、
前記イオン源から放出されたイオンビームを質量分離する質量分離器と、所望のイオンビームを選択する質量分離アパチャを備えることを特徴とする試料加工装置。 - 請求項1または2に記載の試料加工装置において、
前記イオン源はプラズマイオン源であることを特徴とする試料加工装置。 - 請求項1または2に記載の試料加工装置において、
前記イオン源は電界電離イオン源であることを特徴とする試料加工装置。
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