以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
まず、本発明のトナーの製造方法に用いる機械式粉砕機による粉砕方法の概略を、図1を用いて説明する。
図1は、本発明に使用する機械式粉砕機を組込んだ粉砕システムの一例を示す。
図1では、横型の一般的な機械式粉砕装置の概略断面図を示しているが、縦型であっても構わないし、分級ローターを内蔵していても構わない。
図1に示した機械式粉砕機は、ケーシング313、ケーシング313内にあって冷却水を通水できるジャケット316、ケーシング313内にあって中心回転軸312に取り付けられた回転体からなる高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314、回転子314の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられている固定子310、更に、被処理原料を導入するための原料投入口311、処理後の粉体を排出するための原料排出口302とから構成されている。
以上のように構成してなる機械式粉砕機では、図1に示した定量供給機315から機械式粉砕機の原料投入口311へ所定量の粉体原料が投入されると、原料は粉砕処理室内に導入され、該粉砕処理室内で高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314と、表面に多数の溝が設けられている固定子310との間に発生する衝撃と、この背後に生じる多数の超高速渦流、並びにこれによって発生する高周波の圧力振動によって瞬間的に粉砕される。
その後、原料排出口302を通り、排出される。粒子を搬送しているエアー(空気)は粉砕処理室を経由し、原料排出口302、パイプ219、補集サイクロン229、バグフィルター222、及び吸引フィルター224を通って装置システムの系外に排出される。本発明においては、この様にして、粉体原料の粉砕が行われるため、微粉及び粗粉を増やすことなく所望の粉砕処理を容易に行うことができる。
このような機械式粉砕機としては、例えば、イノマイザ(ホソカワミクロン社製)、クリプトロン(川崎重工社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボミル(ターボ工業社製)等を挙げることができ、これらをそのまま、或いは適宜改造して用いることができる。
本発明は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有する組成物を溶融混練し、得られた混練物を冷却固化し、冷却固化物を粗粉砕して粗粉砕物を得る粗粉砕工程、得られた粗粉砕物を微粉砕して重量平均粒径3乃至8μm微粉砕物を得る微粉砕工程を有するトナーの製造方法において、
(1)該微粉砕工程を、機械式粉砕機を用いて行い、該機械式粉砕機は、少なくとも固定子と、中心回転軸に取り付けられた回転子とを有し、該固定子は該回転子を内包しており、該固定子の表面と該回転子の表面とは所定の間隙を有するように回転子は配置されて粉砕ゾーンを形成しており、粉砕ゾーンにおいて、該回転子の回転に伴って粗粉砕物を微粉砕し、
(2)該機械式粉砕機の回転子の外周面及び固定子の内周面は、複数の凸部と、該凸部と該凸部との間に形成される凹部とを有し(図2参照)、
(3)該機械式粉砕機の回転子の凸部と凸部との繰り返し距離をRa、該固定子の凸部と凸部との繰り返し距離をLaとしたとき、
(4)RaとLaとが異なる範囲が存在するよう回転子及び固定子の構成を設定し、
(5)該機械式粉砕機の回転子において、該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが異なる範囲が存在するよう回転子の構成を設定する
ことを特徴とするトナーの製造方法である。
なお、回転子と固定子の「凸部と凸部との繰り返し距離」は、図2では図中のaに相当する。
本発明に用いる機械式粉砕機の特徴は、図3から図5に示す通り、該回転子の凸部と凸部との繰り返し距離をRaとし、該固定子の凸部と凸部との繰り返し距離をLaとしたとき、RaとLaとが異なる範囲が存在するよう回転子及び固定子の構成を設定することにある。
更に、本発明に用いる機械式粉砕機の特徴は、図3から図5に示す通り、該回転子において、該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが異なる範囲が存在するよう回転子の構成を設定することにある。
本発明者は、機械式粉砕機で、重量平均粒径6μm以下のトナー粒子を得るべく鋭意検討した結果、機械式粉砕機に内蔵される回転子外周面の歯の構成と、該回転子の外周に設置されている固定子内周面の歯の構成に着目した。
つまり、機械式粉砕機おける粉砕性は、該回転子の周速と、該回転子/固定子の最小間隔が最も寄与していると考えられるが、それ以外にも該回転子外周面の歯数と、該固定子内周面の歯数も寄与していると考えられる。
つまり、該回転子及び固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離を狭くすることで、該回転子及び固定子の凸部の歯数を増加させることができ、トナー粒子の粉砕性を向上することができる。
これは、該回転子及び固定子の凸部の歯数を増加させることで、トナー粒子に対する衝撃力を大きくすることができ、更に、該回転子と該固定子との間に発生する超高速の渦流を多くすることができるためと考えている。
しかしながら、ただ単に該回転子及び固定子の該凸部と該凸部との繰り返し距離を狭くし、該凸部の歯数を増加させるだけでは、重量平均粒径が6μm以下のトナー粒子を、より高い処理能力で得ることは困難であった(図6(a)参照)。
本発明者は、上述した知見を元に、トナー粒子の粉砕性を更に向上すべく検討した結果、該回転子の凸部と凸部との繰り返し距離をRaとし、該固定子の凸部と凸部との繰り返し距離をLaとしたとき、
(1)RaとLaとが異なる範囲が存在するよう回転子及び固定子の構成を設定し、
(2)且つ、該回転子において、該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが異なる範囲が存在するよう回転子の構成を設定することにより、
従来の機械式粉砕機では困難であった、より小粒径の、具体的には重量平均粒径が6μm以下のトナー粒子を、より高い処理能力で得られることが分かった。
更に本発明者が検討した結果、該機械式粉砕機の固定子は、該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満(=SLa)とし、且つ、該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上のゾーンをLRa、該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満のゾーンをSRaとしたとき、LRa/SRaを0.1以上7.0以下とすることにより、重量平均粒径が6μm以下のトナー粒子を、より高い処理能力で得ることができる。
上記の理由として、該回転子の凸部と凸部との繰り返し距離をRaと、該固定子の凸部と凸部との繰り返し距離をLaとが異なる範囲が存在するよう回転子及び固定子の構成を設定することで、該回転子と固定子の間で凸部と凸部との繰り返し距離が異相する部分ができる。
更に、上述の異相に加えて、該回転子において該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが異なる範囲が存在するよう回転子の構成を設定することで、該回転子においても凸部と凸部との繰り返し距離が異相する部分ができる。
本発明者は、従来の機械式粉砕機では不可能であった、重量平均粒径が6μm以下のトナー粒子を、より高い処理能力で得られる理由を、上述した2つの異相により、機械式粉砕機内におけるトナー粒子の分散性が向上し、トナー粒子を最も効率良く粉砕できるため、トナー粒子の粉砕性が向上すると考えている。
また本発明者が検討した結果、該回転子のLRa/SRaが0.1未満及び7.0を超える場合、重量平均粒径が6μm以下のトナー粒子を得るためには、処理能力を低く設定しなければならずトナー生産性という点から十分満足できるものではない。
上記の理由として、該回転子のLRa/SRaが0.1未満及び7.0を超える場合、機械式粉砕機内におけるトナー粒子の分散性が低下するため、トナー粒子の粉砕性を向上することができないと考えている。
また、本発明者が検討した結果、材料組成の違いにより、便宜回転子及び固定子、及び回転子間の凸部と凸部の繰り返し距離を変更することにより、材料構成の変更による材料組成の変化に対応できる。
つまり、材料組成の違いにより、便宜該回転子の凸部と凸部との繰り返し距離Raと、該固定子の凸部と凸部との繰り返し距離Laを異なる範囲が存在するよう回転子及び固定子の構成を設定し、且つ、該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離RaのLRa/SRaを変化させるよう回転子の構成を設定することにより、材料構成の変更による材料組成の変化に対応できる。
例えば、図3(a)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子を原料供給側と微粉砕物排出側とに2分割し、原料供給側における回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離LaをLRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)とし、微粉砕物排出側における回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離LaをSRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)としている(従って、LRa/SRa=1.0)。
また、図3(b)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子を4分割し、原料供給側から微粉砕物排出側にかけて、夫々回転子の番号をR1/R2/R3/R4とした場合、R1〜R3までをLRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)、R4をSRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)としている(従って、LRa/SRa=3.0)。
また、図3(c)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子を4分割し、原料供給側から微粉砕物排出側にかけて、夫々回転子の番号をR1/R2/R3/R4とした場合、R1をLRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)、R2〜R4をSRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)としている(従って、LRa/SRa=0.3)。
また、図3(d)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子を8分割し、原料供給側から微粉砕物排出側にかけて、夫々回転子の番号をR1/R2/R3/R4/R5/R6/R7/R8とした場合、R1〜R7をLRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)、R8をSRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)としている(従って、LRa/SRa=7.0)。
また、図3(e)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子を8分割し、原料供給側から微粉砕物排出側にかけて、夫々回転子の番号をR1/R2/R3/R4/R5/R6/R7/R8とした場合、R1をLRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)、R2〜R8をSRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)としている(従って、LRa/SRa=0.14)。
また、図4(a)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子を原料供給側と微粉砕物排出側とに2分割し、原料供給側における回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離LaをSRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)とし、微粉砕物排出側における回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離LaをLRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)としている(従って、LRa/SRa=1.0)。
また、図4(b)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子を4分割し、原料供給側から微粉砕物排出側にかけて、夫々回転子の番号をR1/R2/R3/R4とした場合、R1〜R3をSRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)、R4をLRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)としている(従って、LRa/SRa=0.3)。
また、図4(c)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子を4分割し、原料供給側から微粉砕物排出側にかけて、夫々回転子の番号をR1/R2/R3/R4とした場合、R1をSRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)、R2〜R4をLRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)としている(従って、LRa/SRa=3.0)。
また、図4(d)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子を8分割し、原料供給側から微粉砕物排出側にかけて、夫々回転子の番号をR1/R2/R3/R4/R5/R6/R7/R8とした場合、R1〜R7をSRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)、R8をLRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)としている(従って、LRa/SRa=0.14)。
また、図4(e)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子を8分割し、原料供給側から微粉砕物排出側にかけて、夫々回転子の番号をR1/R2/R3/R4/R5/R6/R7/R8とした場合、R1をSRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)、R2〜R8をLRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)としている(従って、LRa/SRa=7.0)。
また、図5(a)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子のR1/R4をLRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)、該回転子のR2/R3をSRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)としている(従って、LRa/SRa=1.0)。
また、図5(b)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子のR1/R4をSRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)、該回転子のR2/R3をLRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)としている(従って、LRa/SRa=1.0)。
また、図5(c)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子のR1/R3をLRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)、該回転子のR2/R4をSRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)としている(従って、LRa/SRa=1.0)。
また、図5(d)においては、該固定子における該凸部と該凸部との繰り返し距離Laを3.5mm未満とし、且つ該回転子のR1/R3をSRa(=該回転子の該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm未満)、該回転子のR2/R4をLRa(=該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが3.5mm以上)としている(従って、LRa/SRa=1.0)。
更に本発明のトナーの製造方法は、該機械式粉砕機の固定子310に、邪魔板リング322を設け、該邪魔板リングと該回転子の間隔が0.3mm以上0.8mm以下であることを特徴とする(図3から図5参照)。
本発明者が検討した結果、該機械式粉砕機の固定子に、邪魔板リングを設け、該邪魔板リングと該回転子の最小間隔が0.3mm以上0.8mm以下とすることにより、トナー粒子の粉砕性が向上し、粉砕の過程で生成される粗粒分を少なくすることができる。
上記の理由として、該固定子に設置された邪魔板リングにより、粉砕されずにショートパスしようとするトナー粒子が堰き止められることで、この部分での粉砕性が向上し、粉砕の過程で生成される粗粒分を少なくすることができると考えている。
尚、該邪魔板リングは1枚でも良いし、複数枚でも構わないが、設置する場所は、該回転子において該凸部と該凸部との繰り返し距離Raが異相する部分に対向する固定子部分に設置することが好ましい。
また、該邪魔板リングと該回転子の最小間隔は、0.3mm以上0.8mm以下とすることが好ましい。本発明者が検討した結果、最小間隔が0.3mm未満の場合、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され、トナーの熱変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から十分満足できるものではない。逆に0.8mmを超える場合は、上述した堰き止め効果が薄れてしまい、こちらもトナー生産性という点から十分満足できるものではない。
更に本発明のトナーの製造方法は、該微粉砕工程の前に中粉砕工程があり、該中粉砕工程が、少なくとも機械式粉砕機を用いて行い、得られる中粉砕物の重量平均粒径が50乃至500μmであることを特徴とする。
本発明者が検討した結果、該機械式粉砕機に導入する粉砕原料の重量平均粒径を、より積極的にコントロールした方が、機械式粉砕機におけるトナー粒子の粉砕性を向上することができることが分かった。
つまり、材料構成により固めとなった粗粉砕物の場合は、中粉砕工程で得るトナー粒子の重量平均粒径を小さくし、逆に柔らかめとなった粗粉砕物の場合は、中粉砕工程で得るトナー粒子重量平均粒径を大きくすることで、機械式粉砕機におけるトナー粒子の粉砕性を向上することができる。
本発明者が検討した結果、該微粉砕工程の前に中粉砕工程があり、該中粉砕工程が、少なくとも機械式粉砕機を用いて行われ、粗粉砕物の材料組成に合せて、得られる中粉砕物の重量平均粒径を50乃至500μm、更には100乃至400μmとすることにより、次工程の機械式粉砕機におけるトナー粒子の粉砕性を向上することができる。
尚、該中粉砕工程で使用する機械式粉砕機は、公知のものを使用することができる。
更に本発明のトナーの製造方法は、該中粉砕工程で使用する機械式粉砕機の回転子及び、該微粉砕工程で使用する機械式粉砕機の回転子は、ポンプ等を用いて外部から冷媒を、回転子軸端部の回転体継手より回転軸内部の通冷媒経路を介して端回転子から導入し、除熱した後に逆の端回転子から再び回転軸の通冷媒経路に戻す冷媒循環を設けてあることを特徴とする。
本発明者が検討した結果、該中粉砕及び微粉砕工程で使用する機械式粉砕機の回転子を上述した構成とすることにより、トナー粒子の粉砕時における発熱を防止でき、粉砕の途中熱的要因で生成する粗粒分の発生を抑えることができる。
尚、該冷媒として、エチレングリコール等の不凍液を通水することが好ましい。この方法によれば、通水する水温及び水量によっても該機械式粉砕機の室内温度を制御することができる。
更に本発明のトナーの製造方法は、該微粉砕工程の後工程に、該微粉砕工程で使用する機械式粉砕機により得られた微粉砕物の粗粒分を分級するための、分級工程を有し、粗粒分を粉砕工程に戻すシステムであることを特徴とする。
本発明者が検討した結果、該微粉砕工程の後工程に、該微粉砕工程で使用する機械式粉砕機により得られた微粉砕物の粗粒分を分級するための、分級工程を有し、粗粒分を粉砕工程に戻すシステムとすることにより、微粉砕物中における画像欠損を誘発するような粗粒分を効果的に除去でき、トナー生産性上好ましい。
尚、分級工程で分級した粗粒分は、輸送手段を介して微粉砕工程に戻し、再粉砕することがトナー生産性上好ましい。
尚、該分級工程で使用する分級機は、公知のものを使用することができる。
また、本発明においては、該機械式粉砕機で粉砕したトナー粒子のうち、円相当径が2μm以上の粒子の平均円形度が0.920以上、好ましくは0.930以上であることが好ましい。
本発明者が検討した結果、前記平均円形度が0.920未満の場合、次工程に表面改質工程を設け、高円形度を有する表面改質粒子を得ようとする場合、表面改質装置への負担が大きくなり、トナーの熱変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から十分満足できるものではない。
更に本発明においては、該機械式粉砕機内の回転子と固定子との間の最小間隔は0.5乃至10.0mmであることが好ましく、0.5乃至5.0mmとすることが更に好ましい。回転子と固定子との間の間隔を0.5乃至10.0mm、より好ましくは0.5乃至5.0mmとすることで、トナーの粉砕不足や過粉砕を抑えられ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。
該回転子と該固定子との間の間隔が10.0mmより大きい場合、粉砕されずにショートパスを起こしてしまいトナー生産性という点から十分満足できるものではない。また回転子と固定子との間の間隔が0.5mmより小さい場合、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され、トナーの熱変質や機内融着を起こしやすいのでこちらもトナー生産性という点から十分満足できるものではない。
また、より好ましいトナーの粉砕の形態としては、粉砕機内に+30℃以下の空気を送風することが好ましく、その空気の温度は+30乃至−50℃であることが更に好ましく、+20乃至−40℃であることが特に好ましい。上記の冷風発生手段により、機械式粉砕機内の粉体導入口に連通する渦巻室212内の室温T1を+20℃以下、より好ましくは+20乃至−40℃、更に好ましくは+10乃至−30℃とすることがトナー生産上及び現像性能上、好ましい。
該機械式粉砕機内の渦巻室の室温T1を+20℃以下、より好ましくは+10乃至−30℃とすることにより、トナーの熱変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができ、トナー粒子の形状分布のバラツキを抑え、カブリの発生を少なくする。粉砕機内の渦巻室の室温T1が+20℃を超える場合、粉砕時にトナーの熱変質や機内融着を起こしやすく、トナー生産上及び現像・転写性能上、問題となることがある。
上記冷風発生手段321で使用する冷媒としては、地球全体の環境問題という点から代替フロンが好ましい。代替フロンとしては、R134A、R404A、R407C、R410A、R507A、R717等が挙げられる。
また、機械式粉砕機内で生成した微粉砕物は、機械式粉砕機の後室320を経由して粉体排出口302から機外へ排出される。その際、機械式粉砕機の後室320の室温T2が60℃以下、より好ましくは、25℃以上60℃以下とすることがトナー生産上及び現像・転写性能上好ましい。
該機械式粉砕機の後室320の室温T2を25℃以上60℃以下とすることにより、トナーの粉砕不足や過粉砕を抑えられ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。また、トナー粒子の形状分布のバラツキを抑え、カブリの発生を少なくする。
該機械式粉砕機の温度T2が25℃より小さい場合、粉砕されずにショートパスを起こしている可能性がありトナー生産性という点から十分満足できるものではない。また、60℃より大きい場合、粉砕時に過粉砕されている可能性があり、トナーの熱変質や機内融着を起こしやすく、トナー生産上及び現像・転写性能上、問題となることがある。
該機械式粉砕機の後室の室温T2を上記のように温調するために、装置本体の機内冷却手段として、機械式粉砕機はジャケット構造316を有する構造とし、冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を通水することが好ましい。この方法によれば、通水する水温及び水量によっても該機械式粉砕機の後室の室温T2を制御することができる。
尚、冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)は、冷却水供給口317よりジャケット内部に供給され、冷却水排出口318より排出される。
更に本発明のトナーの製造方法は、該微粉砕工程の後工程、或いは該分級工程の後工程に、得られたトナー粒子を表面改質して表面改質粒子を得る表面改質工程を有することを特徴とする。
本発明者が検討した結果、前述した該微粉砕工程の後工程、或いは該分級工程で得られたトナー粒子を表面改質処理させることにより、良好な現像性、転写性並びにクリーニング性、及び安定した帯電性を有する、長寿命のトナーを得ることができる。
本発明のトナーの製造方法に好適に用いられる回分式の表面改質装置による表面改質方法の概略を、図8を用いて説明する。
図8は、本発明に使用する回分式の表面改質処理装置を組込んだ表面改質システムの一例を示す(尚、本明細書における表面改質とは、円形度及び球形化度アップのことを示す)。
図8に示す回分式の表面改質装置は、円筒形状の本体ケーシング30、本体ケーシングの上部に開閉可能なよう設置された天板43;微粉排出ケーシングと微粉排出管とを有する微粉排出部44;冷却水或いは不凍液を通水できる冷却ジャケット31を有している。
更に図8に示す回分式の表面改質装置は、表面改質手段としての、本体ケーシング30内にあって中心回転軸に取り付けられた、上面に角型ディスクである分散ハンマー33を複数個有し、所定方向に高速に回転する円盤状の回転体である分散ローター32;分散ローター32の周囲に一定間隔を保持して固定配置された、分散ローター32に対向する表面に多数の溝が設けられているライナー34を有している。
更に図8に示す回分式の表面改質装置は、粉体粒子中の所定粒径以下の微粉を連続的に除去するための分級ローター35;本体ケーシング30内に冷風を導入するための冷風導入口46;粉体粒子(原料)を導入するために本体ケーシング30の側面に形成された原料投入口37及び原料供給口39を有する投入管を有している。
更に図8に示す回分式の表面改質装置は、表面改質処理後のトナー粒子を本体ケーシング30外に排出するための製品排出口40及び製品抜取口42を有する製品排出管;表面改質時間を自在に調整できるように、原料投入口37と原料供給口39との間に設置された開閉可能な原料供給弁38;及び製品排出口40と製品抜取口42との間に設置された製品排出弁41を有している。
更に図8に示す回分式の表面改質装置は、天板43に対して垂直な軸を有する円筒状の案内手段としてのガイドリング36を本体ケーシング30内に有している。このガイドリング36は、先述した通り、該ガイドリングの上端部分が天板内面と密着しており、分級ローター36がその円筒に覆われた状態で設置されている。
また、ガイドリング36の下端は分散ローター32の円盤部又は角形ディスクである分散ハンマー33から所定距離離間して設けられる。このガイドリング36によって装置内において分級ローター35と分散ローター32−ライナー34との間の空間が、ガイドリング外側の第一の空間47と、ガイドリング内側の第二の空間48とに二分される。
ここで、第一の空間47は粉体粒子を分級ローター35へ導入するための空間であり、第二の空間は粉体粒子を分散ローターに導入するための空間である。
分散ローター32上に複数個設置された角型のディスクである分散ハンマー33と、ライナー34との間隙部分が表面改質ゾーン49であり、分級ローター35及び該ローター周辺部分が分級ゾーン50である。
尚、分級ローターの設置方向は図8に示したように縦型でも構わないし、横型でも構わない。また、分級ローターの個数は図8に示したように単体でも構わないし、複数でも構わない。また、分散ローター及び分級ローターの回転方向は同一方向であることが好ましい。分散ローターと分級ローターの回転方向を逆にすると、分級ローターに対する負荷が大きくなり、正常な運転が行えずトナー生産性という点から十分満足できるものではない。
また、該回分式表面改質装置天板と分級ローターは密着させず、隙間を設けることが装置構成上好ましい。また、該間隔からエアーが噴出する構成とすることが好ましい。
以上のように構成してなる回分式の表面改質装置では、製品排出弁39を閉とした状態で、原料供給弁38を開とし、原料投入口37から被表面改質粒子を投入し、一定時間経過後原料供給弁38を閉とする。
原料供給口39より装置内に投入された粉体粒子は、まずブロワー364により吸引され、分級ローター35で分級される。その際、分級された所定粒径以下の微粉は、微粉排出ケーシング44、微粉排出口45を通り装置外へ連続的に排出除去される。
所定粒径以上の粉体粒子は遠心力によりガイドリング36の内周(第二の空間48)に沿い、旋回しながら、分散ローター32により発生する循環流にのり表面改質ゾーン49へ導かれる。
表面改質ゾーン49に導かれた粉体粒子は、分散ローター32上に複数個設置された角型のディスクである分散ハンマー33と、ライナー34との間で機械式衝撃力を受け、表面改質される。
表面改質された粉体粒子は、機内を通過する冷風及びブロワー吸引流にのって、ガイドリング36の外周(第一の空間47)に沿い、旋回しながら分級ゾーン50に導かれ、分級ローター35により、再度微粉は微粉排出ケーシング44、微粉排出口45を通り機外へ排出され、粗粉体は、循環流にのり、再度表面改質ゾーン49に戻され、繰り返し表面改質作用を受ける。
一定時間経過後、製品排出弁41を開とし、製品抜取口42より表面改質粒子を回収する。
尚、該回分式の表面改質装置で発生した微粉体は、サイクロン、バグ等の捕集機器により回収し、トナー原料の配合工程に戻して再利用することがトナー生産性上好ましい。
次に、本発明のトナーの製造方法に好適に用いられる回分式の表面改質装置の表面改質条件について説明する。
本発明のトナーの製造方法においては、該回分式の表面改質装置における表面改質時間としては、5秒以上180秒以下、より好ましくは15秒以上150秒以下、更に好ましくは15秒以上120秒以下であることが好ましい。
該表面改質時間が5秒未満の場合、表面改質時間が短時間過ぎるため、所望の円形度及び平均面粗さを持つ表面改質粒子が得られずトナー品質上好ましくない。
また、表面改質時間が180秒を超える場合、表面改質時間が長時間過ぎるため、表面改質時に発生する熱による表面変質や、機内融着の発生、及び処理能力の低下を招くので、トナー生産性という点から十分満足できるものではない。
更に、本発明のトナーの製造方法においては、該回分式表面改質装置内に導入する冷風温度T1を5℃以下、より好ましくは0℃以下、更に好ましくは−5℃以下とすることが好ましい。
該回分式表面改質装置内に導入する冷風温度T1を5℃以下より好ましくは0℃以下、更に好ましくは−5℃以下とすることにより、表面改質時に発生する熱による表面変質や、機内融着を防止することができる。
該回分式表面改質装置内に導入する冷風温度T1を5℃以下より好ましくは0℃以下、更に好ましくは−5℃以下とすることにより、表面改質時に発生する熱による表面変質や、機内融着を防止することができる。
該回分式表面改質装置内に導入する冷風温度T1が5℃を超えるものとすると、表面改質時に発生する熱による表面変質や、機内融着を起こしやすいので、トナー生産性という点から十分満足できるものではない。
また、該回分式表面改質装置内に導入する冷風の発生装置で使用する冷媒としては、地球全体の環境問題という点から代替フロンが好ましい。
代替フロンとしては、R134A、R404A、R407C、R410A、R507A、R717等が挙げられる。
尚、該回分式表面改質装置内に導入する冷風は、装置内の結露防止という面から、除湿したものであることがトナー生産性上好ましい。除湿装置としては公知のものが使用できる。給気露点温度としては、−15℃以下が好ましく、更には−20℃以下が好ましい。
更に、本発明のトナーの製造方法においては、該回分式表面改質装置内は、機内冷却用のジャケットを具備しており、該ジャケットに冷媒(好ましくは冷却水、更に好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を通しながら被表面改質粒子を表面改質処理することが好ましい。
該ジャケットによる機内冷却により、表面改質時における熱による表面変質や機内融着を防止することができる。
尚、該回分式表面改質装置のジャケット内に通す冷媒の温度は5℃以下、より好ましくは0℃以下、更に好ましくは−5℃以下とすることが好ましい。
該回分式表面改質装置内のジャケット内に通す冷媒の温度を5℃以下、より好ましくは0℃以下、更に好ましくは−5℃以下とすることにより、表面改質時に発生する熱による表面変質や、機内融着を防止することができる。
該冷却ジャケット内に導入する冷媒の温度が5℃を超えるものとすると、表面改質時に発生する熱による表面変質や、機内融着を起こしやすいので、トナー生産性という点から十分満足できるものではない。
更に、本発明のトナーの製造方法においては、該回分式表面改質装置内の分級ローター後方にある、微粉排出口内の温度T2を60℃以下、より好ましくは55℃以下、更に好ましくは50℃以下とすることが好ましい。
該回分式表面改質装置内の分級ローター後方にある、微粉排出口内の温度T2を60℃以下、より好ましくは55℃以下、更に好ましくは50℃以下とすることにより、表面改質時に発生する熱による表面変質や、機内融着を防止することができる。
該回分式表面改質装置内の分級ローター後方にある、微粉排出口内の温度T2を、60℃を超えるものとすると、表面改質ゾーンにおいては、それ以上の温度が影響していると推察され、表面改質時に発生する熱による表面変質や、機内融着を起こしやすいので、トナー生産性という点から十分満足できるものではない。
更に、本発明のトナーの製造方法においては、該回分式表面改質装置内の分散ローター上の角型ディスク或いは円筒形のピンと、ライナーとの間の最小間隔が0.5mm乃至15.0mmとすることが好ましい。
また、該分散ローターの回転周速は30m/sec乃至175m/secとすることが好ましい。
本発明者が検討した結果、該回分式表面改質装置内の分散ローターとライナーとの間の最小間隔を0.5mm未満とすると、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、表面改質時に過粉砕され熱による表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から十分満足できるものではない。
また、該分散ローターとライナーとの間の最小間隔を、15.0mmを超えるものとすると、所望の平均円形度及び平均面粗さを持つ表面改質粒子を得るために処理能力を落とさなければならず、こちらもトナー生産性上十分満足できるものではない。
また、該回分式表面改質装置内の分散ローターの回転周速を30m/sec未満とすると、所定の円形度及び平均面粗さを得るためには処理能力を落とさなければならず、トナー生産性上十分満足できるものではない。
また、該分散ローターの回転周速を175m/secを超えるものとすると、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、表面改質時に表面改質粒子が過粉砕されると同時に、熱による表面変質や機内融着を起こしやすいので、こちらもトナー生産性という点から十分満足できるものではない。
本発明者が検討した結果、該回分式表面改質装置の表面改質条件を上述の範囲に制御することにより、表面改質時における微粉の増加を防止し、表面改質時における熱の影響を少なくでき、表面改質粒子の表面状態(=円形度)を所望のものにコントロールできる。
更には、良好な現像性、転写性並びにクリーニング性、及び安定した帯電性を有する、長寿命のトナーを得ることができる。
次に、本発明のトナーの製造方法で、トナーを製造する手順について説明する。
まず、原料混合工程では、トナー内添剤として、少なくとも樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
更に、上記で配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中の着色剤等を分散させる。該溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。
近年では、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。
更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕される。
更に、イノマイザ(ホソカワミクロン社製)、クリプトロン(川崎重工社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボミル(ターボ工業社製)等の機械式粉砕機で中粉砕及び微粉砕される。
粉砕工程では、このように段階的に所定のトナー粒度まで粉砕される。その後、便宜に応じて、表面改質工程で表面改質=球形化処理を行い、表面改質粒子を得る。尚、便宜に応じて表面改質工程の前後に分級工程を設けても構わない。
尚、表面改質工程で分級されて発生したトナー微粉体は、トナー原料の配合工程に戻して再利用することがトナー生産性上好ましい。
更に、本発明のトナーの製造方法においては、上記のようにして得られた表面改質粒子であるトナー粒子に、少なくとも平均粒径が50nm以下の無機微粒子を外添剤として外添する。
トナー粒子に外添剤を外添処理する方法としては、表面改質されたトナー粒子と公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Q型ミキサー(メカノハイブリッド)、ノビルタ、サイクロミックス等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合することが好ましい。
この際、外添機内部で発熱を生じ、凝集物を生成し易くなるので、外添機の容器部周囲を水で冷却する等の手段で温度調整をすることがトナー生産性上好ましい。
次に、本発明で使用する結着樹脂及び着色剤を少なくとも含むトナー粒子の原材料について説明する。
本発明のトナーは、フルカラー画像形成方法に用いられるトナーであり、結着樹脂が少なくともポリエステルユニットを有する樹脂でことを特徴とする。
本発明で用いられる「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を意味し、ポリエステルユニットを構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分を意味する。
本発明のトナーは、これらのポリエステルユニットを構成する成分を原料の一部とし、縮重合された部分を有する樹脂を用いることを特徴とする。
本発明で用いられる結着樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、又はハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、又はハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、又はポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系重合体、又はポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、のいずれかから選択される樹脂が好ましい。
ハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニット成分と(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマー成分を重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
ポリエステルユニット成分である2価以上のアルコールモノマー成分として、具体的には、2価アルコールモノマー成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコールモノマー成分としては、例えばソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
2価のカルボン酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
3価以上のカルボン酸モノマー成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸等が挙げられる。
また、その他のモノマーとしては、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類等が挙げられる。
それらの中でも、特に、下記一般式(イ)で表されるビスフェノール誘導体を2価アルコールモノマー成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、または、その低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸モノマー成分として、これらのポリエステルユニット成分で縮重合した樹脂が良好な帯電特性を有するので好ましい。
尚、本発明のトナーに含有される結着樹脂は、少なくともポリエステルユニットを有する樹脂であればよい。好ましくは、全結着樹脂中に含まれるポリエステルユニット成分が、全結着樹脂に対して30質量%以上であることが、本発明の効果を発現させるために好ましい。更に好ましくは、40質量%以上であり、特に好ましくは、50質量%以上である。
全結着樹脂中に含まれるポリエステルユニット成分が、全結着樹脂に対して30質量%以上である場合、トナー粒子中における着色剤の分散性が良化し、定着画像におけるトナー混色性や透明性等の色再現性が優れる。また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得ることが出来る。特に、着色剤マスターバッチ等の顔料コンテンツが大きい場合により効果がある。
ハイブリッド樹脂に用いられるビニル系重合体ユニット又はビニル系重合体を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
更に、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
更に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
ハイブリッド樹脂で用いられるビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
本発明で用いられるハイブリッド樹脂は、ビニル系重合体又はユニット及び/又はポリエステル樹脂又はユニット中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂又はユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体又はユニットと反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体又はユニットを構成するモノマーのうちポリエステル樹脂又はユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含む重合体又は樹脂が存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の重合体又は樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
本発明のビニル系重合体、又はビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
本発明で用いられるハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、熱することによりエステル交換反応を行って合成されたポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を得ることが出来る。
(2)ビニル系重合体製造後に、この存在下にポリエステル樹脂を生成し反応させ、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステル樹脂との反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステル樹脂製造後に、この存在下にビニル系重合体を生成し、反応させポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステル樹脂(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体との反応により製造される。
(4)ビニル系重合体及びポリエステル樹脂製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体及/又はポリエステル樹脂、又は更にハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合、該ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分は上記(2)乃至(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)〜(6)の製造方法において、ビニル系共重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
本発明において、ビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットは、ビニル系単重合体若しくはビニル系共重合体又はビニル系単重合体ユニット又はビニル系共重合体ユニットを意味するものである。
更に、本発明のポリエステルユニットを有する樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布が、メインピークを分子量3,500乃至15,000の領域に有しており、好ましくは、分子量4,000乃至13,000の領域に有しており、Mw/Mnが3.0以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましい。メインピークが分子量3,500未満の領域にある場合には、トナーの耐高温オフセット性が減少する。一方、メインピークが分子量15000超の領域にある場合には、十分なトナーの低温定着性及び、OHPの透過性が低下する。また、Mw/Mnが3.0未満である場合には良好な耐オフセット性が減少する。
また、本発明のポリエステルユニットを有する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40乃至90℃が好ましく、軟化温度(Tm)は、80乃至150℃が保存性、低温定着性、耐高温オフセット性、着色剤の分散性を両立させる上で好ましい。
また、該樹脂の酸価は、50mgKOH/g未満であることが現像耐久安定性や着色剤の分散性を良化させる点で好ましい。
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合、磁性トナーに含まれる磁性材料としては、通常使用されている磁性体であれば特に限定されないが、例えばマグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、または、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ニオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性材料を単独でまたは二種以上組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄またはγ−三二酸化鉄の微粉末である。
これらの強磁性体は平均粒径が0.05〜2μmで、795.8kA/m印加での磁気特性が抗磁力1.6〜12.0kA/m、飽和磁化50〜200Am2/kg(好ましくは50〜100Am2/kg)、残留磁化2〜20Am2/kgのものが、特に電子写真画像形成方法に用いる上で好ましい。
更に、これらの磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、60〜200質量部、更に好ましくは80〜150質量部含有させることが好ましい。
前述したように本発明のトナーでは磁性体を着色剤として用いても良いが、その他の着色剤として非磁性の着色剤等も用いることができる。このような非磁性の着色剤としては、公知の染料または/及び顔料が使用される。顔料単独使用でもかまわないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用着色顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペルリン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、150、163、202、206、207.209、238、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
マゼンタトナー用染料としては、C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料が挙げられる。
シアントナー用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、及び下記式で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20などが挙げられる。
イエロー用着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162等があり、顔料と染料を併用しても良い。
本発明に用いられる黒色着色剤としてカーボンブラック、酸化鉄、上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
また、本発明のトナーにおいて、本発明の結着樹脂に予め、着色剤を混合し、マスターバッチ化させたものを用いることが好ましい。そして、この着色剤マスターバッチとその他の原材料(結着樹脂及びワックス等)を溶融混練させることにより、トナー中に着色剤を良好に分散させることが出来る。
本発明の樹脂を用い着色剤をマスターバッチ化させる場合、多量の着色剤を用いた場合においても着色剤の分散性を悪化させず、また、トナー粒子中における分散性を良化し、混色性や透明性等の色再現性が優れる。また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得ることが出来る。また、着色剤の分散性が良化することにより、トナー帯電性の耐久安定性が優れ、高画質を維持した画像を得ることが出来る。
トナー中における着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜12質量部、最も好ましくは2〜10質量部が良い。色再現性、現像性の点で好ましい。
本発明のトナーは、ワックスを含有していることを特徴とする。
本発明に用いられるワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリルなどのエステルワックス、カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒で重合した低分子量のポリアルキレンワックス、パラフィンワックス、石炭または天然ガスから合成されるフィッシャートロプシュワックス、高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー、一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。更にプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素;パラフィンワックスが、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
本発明において、トナーに荷電制御剤を使用できる。荷電制御剤は公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸またはカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が利用できる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が利用できる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し総量で0.2〜10質量部が好ましい。
本発明のトナーには、流動性向上のため、外添剤が添加されている。
外添剤としては、ケイ酸微粉体、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粉体が好ましい。前記無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイルまたはそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
外添剤は、通常、トナー粒子100質量部に対して0.1〜5質量部使用される。本発明は非磁性一成分現像、非磁性二成分現像においても非常に有効である。トナー粒子がフルカラー画像形成用の非磁性のカラートナー粒子である場合は、外添剤として、酸化チタン微粒子を使用することが好ましい。
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合は、トナーは磁性キャリアと混合して使用される。磁性キャリアとしては、例えば表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライト等が使用できる。
上記磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて調製した塗布液を磁性キャリア粒子表面に付着せしめる方法、磁性キャリア粒子と被覆材とを粉体の状態で混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。
磁性キャリア粒子の表面への被覆材料としては、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられる。これらは、単独或いは複数で用いられる。
上記被覆材料の処理量は、磁性キャリア粒子に対し0.1〜30質量%(好ましくは0.5〜20質量%)が好ましい。磁性キャリアの平均粒径は10〜100μmであることが好ましく、20〜70μmであることがより好ましい。
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として2質量%〜15質量%にすると通常良好な結果が得られ、より好ましくは4質量%〜13質量%である。
尚、本発明における粒度分布の測定はコールターカウンターのマルチサイザーを用いて行った。
測定装置としては、コールターカウンターのマルチサイザーII型或いはIIe型(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及び一般的なパーソナルコンピューターを接続し、電解液は特級または1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。
測定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターのマルチサイザーII型により、中粉砕物粒径の測定に際しては、400μmアパーチャーを用いて測定し、微粉砕物粒径の測定に際しては、100μmアパーチャーを用いて測定する。
その後トナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布とを算出し、体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径を求める。
また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定を行い、円相当径0.6〜400μmの範囲内の粒子を測定し、そこで測定された粒子の円形度を下式(1)により求め、更に円相当径2μm以上400μm以下の粒子において、円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
円形度a=L0/L (1)
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子投影像の周囲長を示す。〕
本発明に用いている円形度はトナー粒子及びトナーの凹凸の度合いの指標であり、トナー粒子及びトナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
尚、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出にあたって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4〜1.0に61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行う算出法を用いている。
しかしながら、この算出法で算出される平均円形度の値と、各粒子の円形度の総和を用いる算出式によって算出される平均円形度の誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度である。本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、各粒子の円形度の総和を用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
更に本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来トナー粒子及びトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA1000」と比較して、処理粒子画像の倍率の向上、更に取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)することによりトナー粒子及びトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な捕捉を達成している装置である。
従って、本発明のように、より正確に形状及び粒度分布を測定する必要がある場合には、より正確に形状及び粒度分布に関する情報が得られるFPIA2100の方が有用である。
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。
分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールし、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
トナー粒子の円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm以上400μm以下の粒子において、トナー粒子の平均円形度を求める。
また本発明において、結着樹脂のガラス転移温度Tgは、示差熱分析装置(DSC測定装置)DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い、下記の条件で測定した。
試料:5〜20mg、好ましくは10mg
温度曲線:昇温I(20℃→180℃、昇温速度10℃/min.)
降温I(180℃→10℃、降温速度10℃/min.)
昇温II(10℃→180℃、昇温速度10℃/min.)
昇温IIで測定されるTgを測定値とする。
測定法:試料をアルミパン中にいれ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。吸熱ピークが出る前と出た後のべースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点をガラス転移点Tgとした。
次に、本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
[実施例1]
・ハイブリッド樹脂: 100質量部
(スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート、α−メチルスチレン、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、コハク酸、無水トリメリット酸、フマル酸からなるハイブリッド樹脂 重量平均分子量(Mw)81300、数平均分子量(Mn)3000、ピーク分子量(Mp)15400、Tg60℃)
・銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメンブルー15:3): 4質量部
・パラフィンワックス(最大吸熱ピーク67℃): 5質量部
・荷電制御剤(1,4−ジ−t−ブチルサリチル酸アルムニウム化合物): 1質量部
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサーでよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて2mm以下に粗粉砕し、粗粉砕物を得た。
得られた粗粉砕物を、ホソカワミクロン社製ACM10を用いて、重量平均粒径100μmに中粉砕し、得られた中粉砕物を図1に示す機械式粉砕機301(ターボ工業社製ターボミルT250−RS型を以下の通り改造した改造機)を用いて微粉砕した。その後、得られた微粉砕物を、図7に示すホソカワミクロン社製ターボプレックス100ATPを用いて粗粒分級を行い、得られたトナー粒子を図8に示す表面改質装置を用いて表面改質した。
本実施例では、機械式粉砕機301の回転子314及び固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離を以下のように設定した。
・固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離La:SLa
・回転子314、1段目/2段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:LRa
・回転子314、3段目/4段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:SRa
・従って、LRa/SRa=1.0(図3(a)参照)
また、回転子314の周速を150m/secとし、回転子314と固定子310の間隙を0.8mmとし、回転子前段2段と後半2段の境目に対向する固定子に邪魔板リングを1本設け、該邪魔板リングと回転子314の間隙を0.5mmとした(表1参照)。
この時、得られる微粉砕品の目標粒度を、重量平均径を5.0〜5.3μmとし、4.00μm以下%を65個数%以下とした。
本実施例においては、重量平均径が5.1μmであり、粒径4.00μm以下の粒子が60個数%の粒度分布を有する微粉砕品を粉砕供給量25kg/hrで得ることができた。
また得られた微粉砕品の平均円形度(FPIA2100測定、円相当径2μm以上400μm以下における)を測定した結果、0.932であった。
また、該回転子に、ポンプを用いて外部から冷媒を、回転子軸端部の回転体継手より回転軸内部の通冷媒経路を介して端回転子から導入し、逆の端回転子から再び回転軸の通冷媒経路に戻す冷媒循環を設けた(図示しない。尚冷媒の温度は−10℃とした。)。
更に、機械式粉砕機301の出口温度T2の到達目標温度を40±2℃とし、出口温度T2が到達目標温度範囲内に入るよう入口温度T1をコントロールした。
得られた微粉砕を、図7に示すホソカワミクロン社製ターボプレックス100ATPを用いて粗粒分級を行い、その後図8に示す回分式の表面改質装置で表面改質した。
得られた表面改質粒子の粒度分布及び平均円形度(FPIA2100測定、円相当径2μm以上400μm以下における)を測定した結果、重量平均粒径が5.8μmであり、粒径4.00μm以下の粒子が30個数%であり、平均円形度は0.946であった。
次に、得られた表面改質粒子100質量部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカを1.8質量部外添混合し、トナーを得た。このトナー5質量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95質量部を混合し、現像剤とした。
この現像剤を用いて、キヤノン製フルカラー複写機CLC1000改造機(定着ユニットのオイル塗布機構を取り外した)を用いて常温常湿(23℃,60%RH)下で、画出し評価を行った。
(評価−1:転写性評価)
転写性は、4万枚耐久前後の画像を現像,転写し、感光体上の転写前のトナー量(単位面積あたり)と、転写材上のトナー量(単位面積あたり)をそれぞれ測定し、下式により求めた。評価基準は次の通りである。
転写率(%)=(転写材上のトナー量)/(感光体上の転写前のトナー量)×100
A:90%以上
B:88%以上、90%未満
C:86%以上、88%未満
D:85%以下
(評価−2:カブリ評価)
カブリは白地部分の白色度をリフレクトメーター(東京電色社製)により測定し、その白色度と転写紙の白色度の差からカブリ濃度(%)を算出し、評価した。評価基準は次の通りである。
A:非常に良好(0.5%未満)
B:良好(0.5%〜1.5%)
C:普通(1.5%〜2.5%)
D:やや悪い(2.5%〜3.5%)
E:悪い(3.5%以上)
(評価−3:ドット再現性評価)
ドット再現性は、潜像電界によって電界が閉じ易く、再現しにくい小径(40μm)の孤立ドットパターンの画像をプリントアウトし、ドット100個に対するドット再現性を評価した。
A:非常に良好 100個中の欠損が2個以下
B:良好 100個中の欠損が3〜5個
C:実用可 100個中の欠損が6〜10個
D:実用不可 100個中の欠損が11個以上
結果を表2に示す。評価の結果、本実施例における現像剤は、4万枚後の画像形成においても非常に良好な転写性を示し、カブリを生じなかった。また、ドット再現性も良好であった。
[実施例2]
実施例1で得られた中粉砕物を、図1に示す機械式粉砕機301(ターボ工業社製ターボミルT250−RS型を以下の通り改造した改造機)を用いて微粉砕した。
その後、得られた微粉砕物を、図7に示すホソカワミクロン社製ターボプレックス100ATPを用いて粗粒分級を行い、得られたトナー粒子を図8に示す表面改質装置を用いて表面改質した。
本実施例では、機械式粉砕機301の回転子314及び固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離を以下のように設定した。
・固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離La:SLa
・回転子314、1段目〜3段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:LRa
・回転子314、4段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:SRa
・従って、LRa/SRa=3.0(図3(b)参照)
この時、得られる微粉砕品の目標粒度を、実施例1と同様とした。
その結果、本実施例においては、重量平均径が5.3μmであり、粒径4.00μm以下の粒子が58個数%の粒度分布を有する微粉砕品を粉砕供給量20kg/hrで得ることができた。
また得られた微粉砕品の平均円形度(FPIA2100測定、円相当径2μm以上400μm以下における)を測定した結果、0.930であった。
得られた微粉砕品を実施例1と同様に粗粒分級及び表面改質を行い、表面改質粒子を得た。
得られた表面改質粒子に実施例1と同様に疎水性シリカを外添混合しトナーとし、更にアクリルコートされたフェライトキャリアを混合し、現像剤とした。
この現像剤を用いて、実施例1と同様にキヤノン製フルカラー複写機CLC1000改造機で画出し評価を行ったところ、表2に示す通り、実施例1と同様に良好な画像が得られた。
[実施例3]
実施例1で得られた中粉砕物を、図1に示す機械式粉砕機301(ターボ工業社製ターボミルT250−RS型を以下の通り改造した改造機)を用いて微粉砕した。
その後、得られた微粉砕物を、図7に示すホソカワミクロン社製ターボプレックス100ATPを用いて粗粒分級を行い、得られたトナー粒子を図8に示す表面改質装置を用いて表面改質した。
本実施例では、機械式粉砕機301の回転子314及び固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離を以下のように設定した。
・固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離La:SLa
・回転子314、1段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:LRa
・回転子314、2段目〜4段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:SRa
・従って、LRa/SRa=0.3(図3(c)参照)
この時、得られる微粉砕品の目標粒度を、実施例1と同様とした。
その結果、本実施例においては、重量平均径が5.1μmであり、粒径4.00μm以下の粒子が59個数%の粒度分布を有する微粉砕品を粉砕供給量18kg/hrで得ることができた。
また得られた微粉砕品の平均円形度(FPIA2100測定、円相当径2μm以上400μm以下における)を測定した結果、0.933であった。
上記に示した以外は、実施例1と同様に微粉砕及び表面改質を行い、表面改質粒子を得た。
得られた表面改質粒子に実施例1と同様に疎水性シリカを外添混合しトナーとし、更にアクリルコートされたフェライトキャリアを混合し、現像剤とした。
この現像剤を用いて、実施例1と同様にキヤノン製フルカラー複写機CLC1000改造機で画出し評価を行ったところ、表2に示す通り、実施例1と同様に良好な画像が得られた。
[実施例4]
実施例1で得られた中粉砕物を、図1に示す機械式粉砕機301(ターボ工業社製ターボミルT250−RS型を以下の通り改造した改造機)を用いて微粉砕した。
その後、得られた微粉砕物を、図7に示すホソカワミクロン社製ターボプレックス100ATPを用いて粗粒分級を行い、得られたトナー粒子を図8に示す表面改質装置を用いて表面改質した。
本実施例では、機械式粉砕機301の回転子314及び固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離を以下のように設定した。
・固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離La:SLa
・回転子314、1段目〜7段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:LRa
・回転子314、8段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:SRa
・従って、LRa/SRa=7.0(図3(d)参照)
この時、得られる微粉砕品の目標粒度を、実施例1と同様とした。
その結果、本実施例においては、重量平均径が5.2μmであり、粒径4.00μm以下の粒子が57個数%の粒度分布を有する微粉砕品を粉砕供給量14kg/hrで得ることができた。
また得られた微粉砕品の平均円形度(FPIA2100測定、円相当径2μm以上400μm以下における)を測定した結果、0.930であった。
上記に示した以外は、実施例1と同様に微粉砕及び表面改質を行い、表面改質粒子を得た。
得られた表面改質粒子に実施例1と同様に疎水性シリカを外添混合しトナーとし、更にアクリルコートされたフェライトキャリアを混合し、現像剤とした。
この現像剤を用いて、実施例1と同様にキヤノン製フルカラー複写機CLC1000改造機で画出し評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例5]
実施例1で得られた中粉砕物を、図1に示す機械式粉砕機301(ターボ工業社製ターボミルT250−RS型を以下の通り改造した改造機)を用いて微粉砕した。
その後、得られた微粉砕物を、図7に示すホソカワミクロン社製ターボプレックス100ATPを用いて粗粒分級を行い、得られたトナー粒子を図8に示す表面改質装置を用いて表面改質した。
本実施例では、機械式粉砕機301の回転子314及び固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離を以下のように設定した。
・固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離La:SLa
・回転子314、1段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:LRa
・回転子314、2段目〜8段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:SRa
・従って、LRa/SRa=0.14(図3(e)参照)
この時、得られる微粉砕品の目標粒度を、実施例1と同様とした。
その結果、本実施例においては、重量平均径が5.0μmであり、粒径4.00μm以下の粒子が62個数%の粒度分布を有する微粉砕品を粉砕供給量12kg/hrで得ることができた。
また得られた微粉砕品の平均円形度(FPIA2100測定、円相当径2μm以上400μm以下における)を測定した結果、0.934であった。
上記に示した以外は、実施例1と同様に微粉砕及び表面改質を行い、表面改質粒子を得た。
得られた表面改質粒子に実施例1と同様に疎水性シリカを外添混合しトナーとし、更にアクリルコートされたフェライトキャリアを混合し、現像剤とした。
この現像剤を用いて、実施例1と同様にキヤノン製フルカラー複写機CLC1000改造機で画出し評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例6]
・ポリエステル樹脂: 100質量部
(Tg58℃、酸価20mgKOH/g、水酸基価23mgKOH/g、分子量:Mp6 000、Mn3000、Mw55200)
・銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメンブルー15:3): 4質量部
・パラフィンワックス(最大吸熱ピーク67℃): 5質量部
・荷電制御剤(1,4−ジ−t−ブチルサリチル酸アルムニウム化合物): 1質量部
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサーでよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて2mm以下に粗粉砕し、粗粉砕物を得た。
得られた粗粉砕物を、ホソカワミクロン社製ACM10を用いて、重量平均粒径50μmに中粉砕し、得られた中粉砕物を図1に示す機械式粉砕機301(ターボ工業社製ターボミルT250−RS型を以下の通り改造した改造機)を用いて微粉砕した。
その後、得られた微粉砕物を、図7に示すホソカワミクロン社製ターボプレックス100ATPを用いて粗粒分級を行い、得られたトナー粒子を図8に示す表面改質装置を用いて表面改質した。
本実施例では、機械式粉砕機301の回転子314及び固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離を以下のように設定した。
・固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離La:SLa
・回転子314、1段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:LRa
・回転子314、2段目〜4段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:SRa
・従って、LRa/SRa=0.3(図3(c)参照)
この時、得られる微粉砕品の目標粒度を、実施例1と同様とした。
その結果、本実施例においては、重量平均径が5.3μmであり、粒径4.00μm以下の粒子が58個数%の粒度分布を有する微粉砕品を粉砕供給量18kg/hrで得ることができた。
また得られた微粉砕品の平均円形度(FPIA2100測定、円相当径2μm以上400μm以下における)を測定した結果、0.931であった。
上記に示した以外は、実施例1と同様に粗粒分級及び表面改質を行い、表面改質粒子を得た。
得られた表面改質粒子に実施例1と同様に疎水性シリカを外添混合しトナーとし、更にアクリルコートされたフェライトキャリアを混合し、現像剤とした。
この現像剤を用いて、実施例1と同様にキヤノン製フルカラー複写機CLC1000改造機で画出し評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例7]
・結着樹脂: 100質量部
(スチレン−アクリル酸ブチル−マレイン酸ブチルハーフエステル共重合体)
(Tg62℃、分子量:Mp13000、Mw600000、分子量1000〜3000 0の成分の存在比:60%)
・磁性酸化鉄: 90質量部
(平均粒子径0.22μm、795.8kA/m磁場での特性Hc5.1kA/m、σs 85.1Am2/kg、σr5.1Am2/kg)
・モノアゾ金属錯体(負荷電制御剤、オリエント社製E−88): 2質量部
・低分子量エチレン−プロピレン共重合体: 3質量部
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサーでよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて2mm以下に粗粉砕し、トナー製造用粉体原料である粉体原料(粗粉砕物)を得た。
得られた粗粉砕物を、ホソカワミクロン社製ACM10を用いて、重量平均粒径200μmに中粉砕し、得られた中粉砕物を図1に示す機械式粉砕機301(ターボ工業社製ターボミルT250−RS型を以下の通り改造した改造機)を用いて微粉砕した。
その後、得られた微粉砕物を、日鉄鉱業社製EJ−5を用いて分級を行い、得られたトナー粒子を図8に示す表面改質装置を用いて表面改質した。
本実施例では、機械式粉砕機301の回転子314及び固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離を以下のように設定した。
・固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離La:SLa
・回転子314、1段目〜3段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:LRa
・回転子314、4段目の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:SRa
・従って、LRa/SRa=3.0(図3(b)参照)
この時、得られる微粉砕品の目標粒度を、重量平均径を5.5±0.3μmとし、4.00μm以下%を65個数%以下とした。
本実施例においては、重量平均径が5.5μmであり、粒径4.00μm以下の粒子が55個数%の粒度分布を有する微粉砕品を粉砕供給量25kg/hrで得ることができた。
また得られた微粉砕品の平均円形度(FPIA2100測定、円相当径2μm以上400μm以下における)を測定した結果、0.931であった。
上記に示した以外は、実施例1と同様に粗粒分級及び表面改質を行い、表面改質粒子を得た。
得られた表面改質粒子100質量部に、ヘキサメチルジシラザンとシリコーンオイルで疎水化処理された一次粒径12nmの乾式シリカを1.0質量部添加し、ヘンシェルミキサーにて外添混合して評価用トナーとした。
このトナーを用いて、キヤノン製のLBP−930改造機(235mm/secに相当する1.5倍のプリントスピードに改造)に搭載して画出し試験を行い、以下の項目でトナーの画像特性を評価した。
(評価−1:転写性評価)
評価用トナーを現像器中に入れ、高温高湿室(32.5℃,85%)に一晩(12時間)放置する。現像器の質量を測定後、現像器を設置し、現像スリーブを3分間から回転させた。
この時、本体内のクリーナー部及び廃トナー回収部は事前に一旦取外し、質量を測定しておく。印字比率6%のテストチャートを用いて、500枚画出しを行い、転写率を評価した(尚、転写率計算式及び評価基準は実施例1と同様である)。結果を表2に示す。
(評価−2:カブリ評価)
評価用トナーを現像器中に330g入れ、低温低湿室(15℃,10%)に一晩(12時間以上)放置する。濃度評価用チャートを使用して200枚の画出しを行う。この前後でベタ白画像におけるカブリを測定した(尚、カブリ計算式及び評価基準は実施例1と同様である)。結果を表2に示す。
[参考例]
実施例1で得られた粗粉砕物を、図1に示す機械式粉砕機301(ターボ工業社製ターボミルT250−RS型を以下の通り改造した改造機)を用いて微粉砕した。その後、得られた微粉砕物を、図8に示す表面改質装置を用いて表面改質した。
本参考例では、機械式粉砕機301の回転子314及び固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離を以下のように設定した。
・固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離La:SLa
・回転子314の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:SRa
・図6(a)参照
この時、得られる微粉砕品の目標粒度を、実施例1と同様とした。
その結果、本参考例においては、重量平均径が5.3μmであり、粒径4.00μm以下の粒子が58個数%の粒度分布を有する微粉砕品を粉砕供給量10kg/hrで得ることができた。
また得られた微粉砕品の平均円形度(FPIA2100測定、円相当径2μm以上400μm以下における)を測定した結果、0.931であった。
上記に示した以外は、実施例1と同様に微粉砕及び表面改質を行い、表面改質粒子を得た。
得られた表面改質粒子に実施例1と同様に疎水性シリカを外添混合しトナーとし、更にアクリルコートされたフェライトキャリアを混合し、現像剤とした。
この現像剤を用いて、実施例1と同様にキヤノン製フルカラー複写機CLC1000改造機で画出し評価を行った。結果を表4に示す。
[比較例]
実施例1で得られた粗粉砕物を、図1に示す機械式粉砕機301(ターボ工業社製ターボミルT250−RS型)を用いて微粉砕した。
その後、得られた微粉砕物を、図7に示すホソカワミクロン社製ターボプレックス100ATPを用いて粗粉分級を行い、得られたトナー粒子を図8に示す表面改質装置を用いて表面改質した。
本比較例では、機械式粉砕機301の回転子314及び固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離を以下のように設定した。
・固定子310の凸部と凸部との繰り返し距離La:LLa
・回転子314の凸部と凸部との繰り返し距離Ra:LRa
・図6(b)参照
この時、得られる微粉砕品の目標粒度を、実施例1と同様としたが、本比較例においては、粉砕供給量を5kg/hrまで下げても重量平均径が6.0μmであり、目標粒径を得ることができなかった。尚、得られた微粉砕品の平均円形度(FPIA2100測定、円相当径2μm以上400μm以下における)を測定した結果、0.921であった。
得られた微粉砕品を図7に示すホソカワミクロン社製100ATPを用いて粗粉カット分級を行い、重量平均粒径5.5μmのトナー粒子を得た。得られたトナー粒子を実施例1と同様に表面改質行い、表面改質粒子を得た。
次に、得られた表面改質粒子に実施例1と同様に疎水性シリカを外添混合しトナーとし、更にアクリルコートされたフェライトキャリアを混合し、現像剤とした。
この現像剤を用いて、実施例1と同様にキヤノン製フルカラー複写機CLC1000改造機で画出し評価を行った。結果を表4に示すが、実施例と比べ劣る結果となった。