本願の第1の発明は、アンテナ側に接続されたアンテナ接続端と、受信信号を復調する受信部と、信号を送信する送信部と、前記受信部に接続された受信端と、前記送信部に接続された送信端と、アンテナ側より入来する信号の位相をシフトする位相調整部と、前記位相調整部からの信号を前記位相調整部へ反射させる反射部と、信号受信時または信号送信時に応じて前記アンテナ接続端を前記受信端、前記送信端または位相調整部に接続する切替スイッチ部とを備え、信号受信時において前記受信端の受信信号のレベルが所定値より大きいときに前記切替スイッチ部は前記アンテナ接続端と前記位相調整部を接続し、前記アンテナ接続端を介して入来する受信信号の位相を前記位相調整部によりシフトし、前記反射部により反射した信号を前記位相調整部を介して切替スイッチ部へ戻すことにより前記アンテナ側から入力された信号と前記位相調整部を介して戻された信号とを加算して受信端へ出力することを特徴としたものである。
アンテナ側に接続されるアンテナ接続端から受信端への信号に、位相調整部と反射部とで位相をシフトさせた信号を加算することにより、反射部で反射した信号が同相で加算された場合は受信端での信号レベルが強まり、反射部で反射した信号が逆相で加算された場合は受信端での信号レベルが弱まるので、受信部に接続される受信端での受信信号のレベルを適正に調整することができる。
本願の第3の発明は、反射部は、グランドであることを特徴としたものである。
反射部をグランドとすることで、位相が180度シフトした信号を合成することができ、位相調整部で位相を変化させる量が小さくてすむので、無線受信回路を小さく構成することができる。
本願の第4の発明は、反射部は、開放端であることを特徴としたものである。
反射部を開放端とすることで、位相が変化しない状態の信号を合成でき、位相調整回路で位相をシフトする範囲を広くすることができるので、回路定数や回路配置に幅広く対応可能な無線受信回路を設計できる。
本願の第5の発明は、位相調整部は、マイクロストリップラインであることを特徴としたものである。
位相調整回路をマイクロストリップラインとすることにより、基板の誘電率やマイクロストリップラインの線長などに基づいて位相調整回路を設計することができるので、無線受信回路の設計が容易になる。
本願の第6の発明は、位相調整部は、信号線に直列に接続されたコイルと、コイルとグランドとの間に接続されたコンデンサとを備えた回路であることを特徴としたものである。
位相調整回路をコイルとコンデンサの集中定数回路とすることにより、メガヘルツ帯以下の周波数の無線回路を実現できるので、無線受信回路が対応できる周波数の範囲を広げることができる。
本願の第7の発明は、位相調整部と反射部との間に設けられ、位相調整部で位相をシフトした受信信号のレベルを調整するレベル調整部を備えたことを特徴としたものである。
レベル調整部を設けることで、反射部で反射し位相をシフトした受信信号の大きさを変えて、加算した後の受信信号の大きさを変化させることができるので、受信端での受信信号のレベルを適正に調整することができる。
本願の第8の発明は、レベル調整部は、抵抗であることを特徴としたものである。
レベル調整部を抵抗とすることで、容易に受信信号のレベルの調整が可能であると共に、無線受信回路を小さく構成することができる。
本願の第9の発明は、位相調整部と反射部との間に設置された第1スイッチ部と、アンテナ接続端からアンテナ方向へ無線信号を出力するときに第1スイッチ部をオフするスイッチ制御部とを備えたことを特徴としたものである。
アンテナ端から無線信号を出力するときでも、スイッチ制御部により第1スイッチをオフにすることで、反射部からの反射した受信信号の影響を排除することができる。
本願の第10の発明は、位相調整部と第1スイッチ部との間に一端が接続されると共に、他端が出力側に接続される第2スイッチ部が設けられ、スイッチ制御部は、第1スイッチ部をオフするときには第2スイッチ部をオンとし、第1スイッチ部をオンするときには第2スイッチ部をオフとする機能を備えたことを特徴としたものである。
アンテナ端から無線信号を出力するときでも、スイッチ制御部により第1スイッチ部をオフし、第2スイッチ部をオンとすることで、無線信号の出力側への伝達特性に影響を与えないようにできるので、出力する無線信号を効率よくアンテナから出力することができる。
本願の第11の発明は、異なる位相にシフトする位相調整部と反射部とが減衰調整部として複数設けられていると共に、それぞれの減衰調整部を切り替える第3スイッチ部が設けられていることを特徴としたものである。
位相の異なる位相調整部と反射部とで反射した複数の無線信号を第3スイッチ部で選択し、加算することにより、第3スイッチ部のみの制御によりアンテナからの無線信号の位相を調整することができるので、無線回路を変更することなく受信端での受信信号のレベルを調整でき、回路の製造後でもばらつきを補正することができる。
本願の第12の発明は、アンテナ側に接続されたアンテナ接続端と、アンテナ接続端からの受信信号を復調する受信部に接続された受信端と、アンテナ接続端からの受信信号の位相をシフトする位相調整部と、位相調整部からの信号を位相調整部へ反射させる反射部と、アンテナ接続端を、受信端または位相調整部へ切り替え接続する切替スイッチ部とを備えた無線送受信回路の受信信号減衰方法において、受信信号のレベルが所定値より大きいときに前記アンテナ接続端を前記位相調整部に接続し、前記アンテナ接続端を介して入来する受信信号の位相を前記位相調整部によりシフトして反射部に送り、前記反射部により反射した受信信号を前記アンテナ側から入力された信号に加算して、受信端へ出力することを特徴としたものである。
アンテナ側に接続されるアンテナ接続端から受信端への信号に、位相をシフトさせた信
号を加算することにより、反射された信号が同相で加算された場合は受信端での信号レベルが強まり、反射された信号が逆相で加算された場合は受信端での信号レベルが弱まるので、受信端での受信信号のレベルを適正に調整することができる。
本願の第13の発明は、第1の発明から第11の発明のいずれかの無線受信回路を備えた携帯無線電話機としたものである。
受信信号が強いときに、受信信号を復調する受信部の入力前で受信信号を小さくすることができるので、通信相手が近いときでも、受信部の増幅部が飽和することなく受信することができる。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る携帯無線電話機の一例であるコードレス電話機の子機と、この子機と通信する親機とを、図面に基づいて説明する。まずは、本実施の形態1に係るコードレス電話機の構成を図1から図9に基づいて説明する。図1は、本実施の形態1に係るコードレス電話機を示す図であり、(a)は親機を示す外観図、(b)は、子機を示す外観図である。図2は、親機の構成を示す図である。図3は、子機の構成を示す図である。図4は、無線送受信回路を示すブロック図である。図5は、切替スイッチ部および減衰調整部を示す図である。図6(a)および同図(b)は、位相調整回路の一例を示す図である。図7(a)および同図(b)は、反射部の一例を示す図である。図8は、受信信号が過大レベルの時の受信切替スイッチ部の状態および信号の流れを示す図である。図9は、受信信号と反射波とがベクトル合成されて合成波となる状態を示す図である。
図1(a)および同図(b)に示すように、本実施の形態1に係るコードレス電話機は、無線通信する親機10と子機20とを備え、子機20が親機10を介して通話をするものである。親機10と子機20とは、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11での手順で通信を行っている。
図1(a)に示すように、親機10は、回線交換方式で相手に接続して音声通話をするために公衆電話交換回線網(Public Switched Telephone Networks:PSTN)や、IP電話機としてインターネットとの通信パケットの送受信を行うLAN(Local Area Network)に、後面側に位置するそれぞれのコネクタで接続されている。親機10の中央部には、子機20を搭載して充電するために充電部1001が設けられている。また前面側には、子機20が親機10を介して通話している状態を示す通話中ランプ1002と、留守番電話機能の作動中を示す留守ランプ1003と、親機10の状態や設定情報を設定するときに使用される表示部であるLCD(Liquid Crystal Display)1004が設けられている。側面側には、公衆電話交換回線網と通信するときの通信種別の設定を行うスライドスイッチ1005と、呼び出し音を調整するスライドボリューム1006とが設けられている。通話中ランプ1002と留守ランプ1003とはLED(Light Emitting Diode)で形成されている。また、親機10には、子機20と通信するためにアンテナ1007が設けられている。
図2に示すように、親機10は、無線ブロック1010と、有線ブロック1011と、メモリブロック1012と、ユーザI/Fブロック1013と、電源ブロック1014と、制御ブロック1015とが設けられている。
無線ブロック1010は、アンテナ1007に接続され、復調したり変調したりして子機20との双方向通信を行う。
有線ブロック1011は、公衆電話交換回線網またはLANに接続され、制御ブロック1015との間でプロトコル変換を行う。
メモリブロック1012は、制御ブロック1015が実行するオペーティングシステムや、アプリケーションプログラムが格納されるROM(Read Only Memory)や、これらのプログラムが作業領域として使用するRAM(Random Access Memory)などのメモリである。また、メモリブロック1012は、通話データの符号化または復号化のためのバッファ領域としても使用される。発信先電話番号をアドレス帳として記憶したり、様々な設定データを記憶したりする不揮発性メモリも有している。
ユーザI/Fブロック1013は、使用者が操作する各種の操作キー部1016や、使用者へ各種の情報を報知する報知手段であるLCD1004や、スピーカ1017などと、制御ブロック1015とのインターフェイスをとるものである。例えば、ユーザI/Fブロック1013が、制御ブロック1015からの表示データを入力するとLCD1004に表示したり、制御ブロック1015からの音声データを入力するとスピーカ1017から鳴動させたりする。また使用者が操作キー部1016を押下すると、ユーザI/Fブロック1013が制御ブロック1015に対して割り込みを発生し、そのキーに応じたキーデータを制御ブロック1015へ出力する。
電源ブロック1014は、電灯線から供給される電源を、適正で、かつ安定した電圧に変換して親機10全体へ供給すると共に、充電部1001(図1参照)へ搭載された子機20へ充電電流を供給する。
制御ブロック1015は、メモリブロック1012のプログラムを実行するMPU(Micro Processing Unit)と、このMPUのタイミングを制御する制御回路とを備え、親機10全体を統括制御するものである。
図1(b)に示すように子機20の前面側には、上から受話部であるレシーバ2001と、表示部であるLCD2002と、メニュー操作やオンフックやオンフックなどを行う機能キー部2003と、発信先電話番号を入力したり文字入力したりする数字キー部2004と、音声を入力する送話部であるマイク2005とが設けられている。また背面側には、着信音を鳴動させたり、通話音声を出力したりする図示しないスピーカが設けられている。
図3に示すように、子機20は、無線ブロック2010と、メモリブロック2011と、ユーザI/Fブロック2012と、電源ブロック2013と、制御ブロック2014とが設けられている。
無線ブロック2010は、子機20本体内に収納されたアンテナ2015に接続され、復調したり変調したりして親機10との双方向通信を行う。
メモリブロック2011は、制御ブロック2014が実行するオペーティングシステムや、アプリケーションプログラムが格納されるROMや、これらのプログラムが作業領域として使用するRAMなどのメモリである。また、メモリブロック2011は、通話データの符号化または復号化のためのバッファ領域としても使用される。
ユーザI/Fブロック2012は、使用者が操作する機能キー部2003および数字キー部2004などの操作キー部2016や、使用者へ各種の情報を報知する報知手段であ
るLCD2002や、スピーカ2017や、レシーバ2018や、使用者の音声を入力するマイク2005と、制御ブロック2014とのインターフェイスをとるものである。例えば、ユーザI/Fブロック2012が、制御ブロック2014からの表示データを入力するとLCD2002に表示したり、制御ブロック2014からの音声データを入力するとスピーカ2017やレシーバ2018から鳴動させたりする。また使用者が操作キー部2016を押下すると、ユーザI/Fブロック2012が制御ブロック2014に対して割り込みを発生し、そのキーに応じたキーデータを制御ブロック2014へ出力する。
電源ブロック2013は、親機10から充電されるバッテリを有し、バッテリの電圧を適正で、かつ安定した電圧に変換して子機20全体へ供給する。また、バッテリの電圧監視回路を有し、バッテリから供給される電圧を監視して、子機20が動作可能な電圧を下回るときには制御ブロック2014へ割り込みを通知する。
制御ブロック2014は、メモリブロック2011のプログラムを実行するMPU(Micro Processing Unit)と、このMPUのタイミングを制御する制御回路とを備え、子機20全体を統括制御するものである。
ここで、親機10と子機20とが無線通信する、親機10の無線ブロック1010と、子機20の無線ブロック2010とを図4に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態1に係る無線ブロック1010,2010では、同様の回路構成としており、図4においては、無線ブロック1010,2010を、無線送受信回路50として説明する。
図4に示すように、無線送受信回路50は、ISMバンドである2.4GHz帯で通信するもので、アンテナ5001との接続を切り替える切替スイッチ部5100と、減衰調整部5200と、受信部5300と、送信部5400と、局部発振部5500と、ベースバンド部5600と、MAC部5700とを備えている。
切替スイッチ部5100は、ベースバンド部5600からの指示により受信時にはアンテナ5001を受信部5300側または減衰調整部5200側へ、送信時にはアンテナ5001との接続を送信部5400へ切り替えるものである。
ここで切替スイッチ部5100について、図5に基づいて詳細に説明する。図5(a)、(b)、(c)に示すように、切替スイッチ部5100は、アンテナ5001に接続されるアンテナ接続端aを、受信部5300に接続される受信端bか、送信部5400に接続される送信端cか、または減衰調整部5200に接続される反射端dかのいずれかに切り替えて、ほぼ導通状態とする機能を有している。切替スイッチ部5100は、アンテナ接続端aを受信端b、送信端c、または反射端dのいずれかに接続しても、アンテナ接続端aは他の端子と完全にアイソレーションされず、アンテナ接続端aからの受信信号が約20〜30dB減衰した信号となって他の端子に出力する機能を備えている。この切替スイッチ部5100としては、SP3T(single−pole triple throw)スイッチを使用することができる。またSP3Tスイッチを、ダイオードなどを用いて等価回路で構成して切替スイッチ部5100とすることも可能である。
減衰調整部5200は、位相調整部5210と、反射部5220とを備えている。位相調整部5210は、受信信号の位相をシフトする機能を備えている。例えば、図6(a)に示すように、位相調整部5210をマイクロストリップライン5211で形成した分布定数回路とすることができる。マイクロストリップライン5211は、誘電体である基板を挟んでグランドパターン上に形成された導体パターンである。マイクロストリップライン5211による位相のシフト量は、導体パターンの線幅、線厚、および線長と、基板が有する誘電率と、受信信号の周波数とに応じて適正に決めることができる。また、図6(
b)に示すように、位相調整部5210は、反射端dに接続される信号線に直列に接続されたコイル5212,5213と、コイル5212,5213とグランド5214との間に接続されたコンデンサ5215とで形成された集中定数回路とすることができる。
また反射部5220は、位相調整部5210からの信号を位相調整部5210へ反射する機能を備えている。例えば、図7(a)に示すように、反射部5220は、グランド5221とすることができる。反射部5220をグランド5221とし、位相調整部5210をグランド5221へ接続することで、位相が180度シフトした信号を反射させることができる。また、図7(b)に示すように、反射部5220は、開放端5222とすることができる。位相調整部5210を開放端5222へ接続することで、位相が変化しない状態の信号を反射させることができる。
図4に戻って、受信部5300は、バンドパスフィルタ部5310と、バラン部5320と、ローノイズアンプ部5330と、ミキサ部5340と、ローパスフィルタ部5350と、ゲイン調整部5360とを備えている。
バンドパスフィルタ部5310は、2.4GHz帯の受信信号だけを通過させるフィルタである。バラン部5320は、不平衡信号である受信信号を平衡信号に変換する機能を有している。ローノイズアンプ部5330は、低ノイズ増幅器である。ミキサ部5340は、局部発振部5500からの信号により、2.4GHz帯の信号を2MHzの中間周波数にダウンコンバートする機能を有する。ローパスフィルタ部5350は、希望する低周波のみを通過させベースバンド信号に変換するフィルタである。ゲイン調整部5360は、ベースバンド信号を適正なレベルに調整して出力する。また、ゲイン調整部5360は、受信信号強度表示信号(RSSI:Received Signal Strength Indicator)をベースバンド部5600へ出力する。
送信部5400は、第1増幅部5410と、ローパスフィルタ部5420と、ミキサ部5430と、第2増幅部5440と、バラン部5450と、電力増幅部5460とを備えている。
第1増幅部5410は、ベースバンド部5600からの送信信号であるベースバンド信号を増幅するアンプである。ローパスフィルタ部5420は、増幅されたベースバンド信号から不要な高周波成分を除去することでスムージングする。ミキサ部5430は、局部発振部5500からの信号により中間周波数から高周波へアップコンバートする。第2増幅部5440は、高周波に変換された送信信号を増幅するアンプである。バラン部5450は、平衡信号である送信信号を不平衡信号に変換する機能を有している。電力増幅部5460は、不平衡信号に変換された送信信号を電力増幅するアンプである。
局部発振部5500は、2450MHz帯の信号を2MHzの中間周波数に変換するため、2448MHzの局部発信周波数を発生させる発振器5510と、発振器5510の発振周波数を安定させるPLL(Phase Locked Loop)部5520とを備えている。
ベースバンド部5600は、送受信時の切替スイッチ部5100の切り替え制御を含むリアルタイム制御を行う制御部である。また、ベースバンド部5600は、送信時においてはMAC部5700からの送信パケットをベースバンド帯での変調処理を行い送信信号としてベースバンド部5600へ出力する。また、受信時には受信信号を復調処理して受信パケットとしてMAC部5700へ出力する。
MAC部5700は、制御ブロック1015,2014からの送信データに基づいて送
信パケットを生成してベースバンド部5600へ出力したり、ベースバンド部5600からの受信パケットから受信データを生成して制御ブロック1015,2014へ出力したりする。
以上のように構成される本発明の実施の形態1に係るコードレス電話機の無線送受信回路50における送受信動作を図面に基づいて説明する。
まずは無線送受信回路50の送信動作を説明する。図4に示すように、MAC部5700は、制御ブロックからの送信データに基づいて送信パケットを生成してベースバンド部5600へ出力する。ベースバンド部5600は、MAC部5700からの送信パケットを入力すると、アンテナ接続端aを送信端cへ接続するよう切替スイッチ部5100へ指示する(図5(b)参照)。そしてベースバンド部5600は、送信パケットを変調した送信信号を生成して第1増幅部5410へ出力する。第1増幅部5410では、入力した送信信号を増幅してローパスフィルタ部5420へ出力する。ローパスフィルタ部5420では、入力された送信信号から高周波成分を除去してスムージングを行う。送信信号は、ミキサ部5430にて局部発振部5500からの信号と混合され、2.4GHz帯の高周波の送信信号にアップコンバートされる。アップコンバートされた送信信号は、第2増幅部5440で増幅され、バラン部5450で不平衡信号に変換された後、電力増幅部5460で電力増幅される。そして、導通状態となった切替スイッチ部5100の送信端cとアンテナ接続端aとを経由してアンテナ5001から無線信号として放射される。
次に、無線送受信回路50の受信動作を説明する。受信動作を説明するに当たっては、親機10と子機20とが受信可能な程度に十分離れた状態にある場合の受信動作を最初に説明し、次に例えば親機10に子機20が搭載された状態で無線信号を受信した場合の受信動作を説明する。
まず初期状態として、ベースバンド部5600は、アンテナ接続端aを受信端bへ接続するよう切替スイッチ部5100へ指示している(図5(a)参照)。図4に示すように、アンテナ5001から受信した無線信号は、切替スイッチ部5100のアンテナ接続端aと受信端bとを経由してバンドパスフィルタ部5310に受信信号として入力される。バンドパスフィルタ部5310に入力された受信信号は、不要な信号が除去され、バラン部5320へ出力される。バラン部5320に入力された受信信号は、不平衡信号から平衡信号に変換される。平衡信号に変換された受信信号は、ローノイズアンプ部5330により増幅された後、ミキサ部5340へ入力される。ミキサ部5340では増幅された受信信号を局部発振部5500からの信号により2.4GHz帯の信号を2MHzの中間周波数にダウンコンバートする。そして、中間周波数に変換された受信信号は、ローパスフィルタ部5350で希望する低周波のみを通過させベースバンド信号に変換された後、ゲイン調整部5360で適正なレベルに調整されたベースバンド部5600へ出力される。ベースバンド部5600では、入力された受信信号を復調して受信データを生成し、MAC部5700へ出力する。ベースバンド部5600は、ゲイン調整部5360から出力された受信信号強度表示信号により受信した受信信号の受信電力強度を知ることができる。このとき、受信信号強度表示信号が過大に大きい値を示している場合がある。これは、親機10に子機20が搭載された状態で子機20が無線信号を受信するなど、親機10と子機20との距離が接近した状態で無線信号を受信した場合である。
受信信号強度表示信号が過大に大きい値を示すときには、受信信号が過大なレベルで受信部5300に入力されていることを示しているので、ローノイズアンプ部5330などが飽和状態となり、再生音質の低下を招くおそれがある。
ベースバンド部5600が入力した受信信号強度表示信号が示す受信信号のレベルが所定値より大きい場合には、図5(c)に示すように、ベースバンド部5600は、切替スイッチ部5100のアンテナ接続端aと反射端dとを接続するように切替スイッチ部5100へ指示する。
この指示により切替スイッチ部5100は、切替スイッチ部5100のアンテナ接続端aと反射端dとが接続され、ほぼ導通状態とし、アンテナ接続端aからの受信信号を減衰させた信号を受信端bへ出力するように動作する。図8は切替スイッチ部5100がアンテナ接続端aと反射端dとを接続した状態および信号の流れを示す図である。
従って、アンテナ5001からの受信信号は、切替スイッチ部5100のアンテナ接続端aから反射端dを経由して減衰調整部5200へ流れる信号(実線)と、減衰してアンテナ接続端aから受信端bを経由してバンドパスフィルタ部5310へ流れる信号となる。
減衰調整部5200では、受信信号(実線)が位相調整部5210で位相φほどシフトされる。そして位相φほどシフトされた受信信号は、反射部5220のインピーダンス(ZL)と反射部5220での伝送路のインピーダンス(Z0)とで定まる反射率Γ=(ZL−Z0)/(ZL+Z0)で定まる信号となって反射する。反射部5220で反射した信号(一点鎖線)は、位相調整部5210で再度位相φほどシフトされて、位相調整部5210から反射波Sbとして切替スイッチ部5100の反射端dへ戻される。
従って、切替スイッチ部5100では受信信号(破線)Saと、反射波(一点鎖線)Sbとが合成され、その合成波Scがアンテナ接続端aから受信端bへも漏えいする。受信端bでは、この合成波Scが受信信号に対して例えば20dB〜30dB減衰した信号となり、この合成波Scが受信部5300へ入力される。
ここで、反射波Sbと元の受信信号Saとの位相差(2φ)が、90°〜270°の範囲であれば、信号同士が打ち消しあって、合成波Scは受信信号Saより小さくなる(減衰する)ので、受信信号が過大なレベルであっても減衰比Sc/Saとなった受信信号に改善することができる。図9では、位相調整部5210での位相のシフト量を90°とし、反射部5220での反射率を0.5としたときの各信号のベクトル合成を示している。つまり、受信信号Saとの位相差2φ=180°、反射率Γ=0.5では、合成波Sc=Sa/2となり、6dBの受信信号の減衰効果が得られる。
このように、親機10または子機20が受信するときに、通信距離が接近しているために、受信部5300への受信信号が過大なレベルとなってしまうような状態においても、アンテナ接続端aから受信端bへの減衰した信号に、位相調整部5210で位相調整し、反射部5220で反射した信号を加算し、受信端bへ出力することで、適正なレベルに調整することができる。
また、受信部5300による受信と、送信部5400とによる送信とが時分割で行われる無線送受信回路50では、受信信号が過大入力となる受信時の切り替えを切替スイッチ部5100を兼用することで、コストアップすることなく、受信信号のレベルを調整することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る無線送受信回路を、図10および図11に基づいて説明する。図10および図11は、本実施の形態2に係る無線送受信回路を示す図である。なお図10および図11においては、無線送受信回路の主要な部分のみを図示しており、他の構成は便宜上、省略している。また、図10および図11においては、図4および図6と
同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
図10に示す無線送受信回路60は、減衰調整部6100が、送信部5400側に挿入されている。そして、無線送受信回路60は、アンテナ5001との接続を、送信時には送信部5400へ、受信時には受信部5300へ切り替える切替スイッチ部6200を備えている。
実施の形態2に係る切替スイッチ部6200は、減衰調整部6100を送信部5400側に挿入するように配置しているので、実施の形態1の切替スイッチ部5100のような反射端dを有していない。
切替スイッチ部6200は、ベースバンド部5600からの指示C1により、アンテナ5001に接続されるアンテナ接続端aを、受信部5300に接続される受信端bか、送信部5400に接続される送信端cかのいずれかに切り替えて、ほぼ導通状態とする機能を有している。そして、切替スイッチ部6200は、アンテナ接続端aを受信端b、または送信端cのいずれかに接続しても、アンテナ接続端aは他の端子と完全にアイソレーションされず、アンテナ接続端aからの受信信号が約20〜30dB減衰した信号となって他の端子に出力する機能を備えている。この切替スイッチ部6200としては、SPDT(single−pole Double throw)スイッチを使用することができる。またSPDTスイッチを、ダイオードなどを用いて等価回路で構成して切替スイッチ部6200とすることも可能である。
減衰調整部6100には、位相調整部5210と反射部5220との間に第1スイッチ部6110が設けられている。この第1スイッチ部6110は、スイッチ制御部として機能するベースバンド部5600からの指示C2によりオンかオフかが制御される。
このように構成される本発明の実施の形態に係る無線送受信回路60の送受信動作を図10に基づいて説明する。
送信時には、アンテナ接続端aを送信端cへ接続するようベースバンド部5600から指示C1が切替スイッチ部6200へ出力される。この指示C1により、切替スイッチ部6200は、図10(a)に示すようにアンテナ接続端aを送信端cへ接続する。そして、ベースバンド部5600から第1スイッチ部6110へは、接続を切断するよう指示C2が出力される。そうすることで、反射部5220が送信部5400の伝送線路から切り離されるため、電力増幅部5460からの送信信号に反射部5220が影響を与えることがない。送信信号は位相調整部5210を通過することで位相がシフトするが、無線信号として位相がシフトすることで僅かばかり遅延するだけで、波形が歪んで変形する訳ではないので、通信は通常通り行うことができる。
受信時には、アンテナ接続端aを受信端bへ接続するようベースバンド部5600から指示C1が切替スイッチ部6200へ出力される。この指示C1により、切替スイッチ部6200は、図10(b)に示すようにアンテナ接続端aを受信端bへ接続する。そして、ベースバンド部5600から第1スイッチ部6110へは、接続を切断するよう指示C2が出力される。そうすることで、通常受信する状態において、反射部5220が切り離された状態となるため、受信部5300に対して反射部5220からの反射波による影響を与えないようにすることができる。
そして、受信時において受信信号が過大なレベルであると判断された場合には、アンテナ接続端aを送信端cへ接続するようベースバンド部5600から指示C1が切替スイッチ部6200へ出力される。この指示C1により、切替スイッチ部6200は、アンテナ接続端aを送信端cに接続する。そして、図10(c)に示すように、ベースバンド部5600から第1スイッチ部6110へ接続するよう指示C2が出力される。無線信号は、アンテナ5001からアンテナ接続端aと送信端cとを経由して受信信号として減衰調整部6100へ流れる。減衰調整部6100では、位相調整部5210により受信信号が位相シフトされ、接続された第1スイッチ部6110を介して受信信号が反射部5220で反射して反射波となる。反射した反射波は、再度位相調整部5210を通過して再度位相シフトされ、送信端cへ流れる。そして元の受信信号と反射波とが加算され、合成波となって受信端bへ流れる。受信端bへは、20dB〜30dB減衰した受信信号となって流れ、受信部5300のバンドパスフィルタ部5310へ流れるので、過大なレベルの受信信号であっても適正なレベルに調整することができる。
このように本実施の形態2では、反射部5220を送信部5400の伝送線路から切り離す第1スイッチ部6110を設けているので、減衰調整部6100を送信部5400側に挿入しても送信部5400に対して影響を与えないようにすることができる。
図10に示す減衰調整部6100としては、図11に示すような構成とすることができる。
図11に示すように、減衰調整部6100として、位相調整部5210をマイクロストリップライン(ML)6120、反射部5220をグランド6130で構成している。第1スイッチ部6110として、マイクロストリップライン6120に接続されたダイオード(D1)6111と、ベースバンド部5600に接続される抵抗(R2)6112と、コンデンサ(C)6113と、マイクロストリップライン6120に接続されるコイル(L1)6114とで構成している。
また図11においては、グランド6130での反射量を調整するレベル調整部として抵抗(R1)6300と、電力増幅部5460の伝送線路とマイクロストリップライン6120とを切り離す第2スイッチ部として機能するダイオード(D2)6410と、コイル(L2)6420とを備えている。
図11に示される減衰調整部の動作を説明する。まず送信時には、アンテナ接続端aを送信端cへ接続するようベースバンド部5600から指示C1が切替スイッチ部6200へ出力される。この指示C1により、切替スイッチ部6200は、アンテナ接続端aを送信端cへ接続する。そして、ベースバンド部5600は、指示C2として切替端eをハイレベルとする。コイル6114,6420は、高周波に対して高インピーダンスであるが、切替端eに対する指示C2には低インピーダンスとして作用するので、切替端eをローレベルとすることで、マイクロストリップライン6120の電位が低く、ダイオード6111はオフ、ダイオード6410はオンとなる。すなわち、送信時には、反射部5220であるグランド6130はマイクロストリップライン6120から切り離された状態となり、送信部5400の電力増幅部5460は伝送線路であるマイクロストリップライン6120に接続された状態となる。従って、送信信号が反射して、受信部5300へ向かう反射波となることを防止することができる。電力増幅部5460からの送信信号がグランド6130で反射して、送信信号に影響を与えてしまうことを防止することができる。
通常の受信時には、アンテナ接続端aを受信端bへ接続するようベースバンド部5600から指示C1が切替スイッチ部6200へ出力される。この指示C1により、切替スイッチ部6200は、アンテナ接続端aを受信端bへ接続する。そして、ベースバンド部5600は、指示C2として切替端eをローレベルとする。切替端eをローレベルとすることで、マイクロストリップライン6120の電位が低くなり、ダイオード6111はオフ、ダイオード6410はオンとなる。すなわち、通常の受信時には、反射部5220であ
るグランド6130がマイクロストリップライン6120から切り離された状態となることで、グランド6130で受信信号が反射して、受信部5300へ向かう反射波となることを防止することができる。
そして、受信時において、ベースバンド部5600が受信信号が過大なレベルであると判断した場合には、アンテナ接続端aを送信端cへ接続するようベースバンド部5600から指示C1が切替スイッチ部6200へ出力される。この指示C1により、切替スイッチ部6200は、アンテナ接続端aを送信端cに接続する。そして、ベースバンド部5600は、指示C2として切替端eをハイレベルとする。切替端eをハイレベルとすることで、マイクロストリップライン6120が高い電位となり、ダイオード6111はオン、ダイオード6410はオフとなる。ダイオード6111がオンとなることで、無線信号は、アンテナ5001からアンテナ接続端aと送信端cとを経由して受信信号としてマイクロストリップライン6120へ流れ位相シフトされる。そしてダイオード6111を通過した受信信号は、抵抗値rΩである抵抗6300と、グランド6130とにより、反射率Γ=(r−Z0)/(r+Z0)の反射波となって反射する。つまり抵抗6300を、位相調整部5210として機能するマイクロストリップライン6120と反射部5220として機能するグランド6130との間に設けることで、レベル調整部として機能させることができる。
このようにレベル調整部を抵抗6300で形成することで、容易に受信信号のレベルの調整が可能であると共に、無線送受信回路を小さく構成することができる。また、第2スイッチ部としてダイオード6410およびコイル6420を備えているので、マイクロストリップライン6120と、抵抗6300と、グランド6130とで構成される位相のシフト量に影響を与えないようにすることができる。
なお、図10および図11においては位相調整部5210としてマイクロストリップライン6120を採用しているので、位相のシフト量はこのマイクロストリップライン6120の線長に大きく影響される。従って、位相のシフト量を大きく設定するときに、マイクロストリップライン6120を長くする必要がある。しかし、例えば無線送受信回路を搭載するプリント基板サイズが大きくなるなどの物理的な制約があるときには、図6(b)に示すような集中定数回路で構成した位相調整部5210を採用してもよい。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る無線送受信回路を図12から図15に基づいて説明する。図12は、本実施の形態3に係る無線送受信回路を示す図である。図13は、図12における送信時の動作を示す図である。図14は、図12における通常の受信時の動作を示す図である。図15は、図12における受信信号が過大入力となる受信時の動作を示す図である。なお図12から図15においては、無線送受信回路の主要な部分のみを図示しており、他の構成は便宜上、省略している。また、図12から図15においては、図11と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
本実施の形態3に係る無線送受信回路60は、図11に示す切替スイッチ部6200を、SPDTスイッチを採用せずに、ダイオードなどで構成したものである。図12に示すように、指示C1に接続された抵抗6201と、指示C1のノイズ除去用のコンデンサ6202と、直流的に接続し高周波的に分断するコイル6203とが受信端bに接続されている。また受信端bには、ダイオード6204のアノードが接続されている。
同様に、指示C1の負論理に接続された抵抗6205と、指示C1のノイズ除去用のコンデンサ6206と、直流的に接続し高周波的に分断するコイル6207とが送信端cにコンデンサ6208を介して接続されている。また送信端cには、ダイオード6209の
アノードが接続されている。
そしてアンテナ5001が接続されるアンテナ接続端aには、ダイオード6204およびダイオード6209のアノード同士が接続された状態で接続され、グランドに接続されたコイル6210が接続されている。
このように構成された切替スイッチ部6200の動作を図13から図15に基づいて説明する。まず送信時には、図13に示すように、指示C1としてローレベル(例えば、−3V)が与えられる。そうすることでダイオード6204がオフとなる。そして指示C1の負論理としてハイレベル(例えば、+3V)が与えられたことで、ダイオード6209がオンとなり送信信号がマイクロストリップライン6120を介して送信端cからアンテナ接続端aへ通過してアンテナ5001から無線信号となって送信される。
受信時には、図14に示すように、指示C1としてハイレベル(例えば、+3V)が与えられる。そうすることでダイオード6204がオンとなる。そして指示C1の負論理としてローレベル(例えば、−3V)が与えられたことで、ダイオード6209がオフとなる。従って、アンテナ5001の受信信号がアンテナ接続端aからダイオード6204を介して受信端bへ流れ、位相調整部として機能するマイクロストリップライン6120や、反射部として機能するグランド6130からの影響は受けない。
そして受信信号が過大入力であるときには、図15に示すように、指示C1としてローレベル(例えば、−3V)が与えられる。そうすることでダイオード6204がオフとなる。そして指示C1の負論理としてハイレベル(例えば、+3V)が与えられたことで、ダイオード6209がオンとなる。ダイオード6204がオフとなることでアンテナ接続端aと受信端bとは切り離されるが、完全にアイソレーションされずに20dB〜30dBの漏洩電流が流れる。従って、送信端cから反射した位相シフトした受信信号が、アンテナ接続端aからの受信信号と加算され、更にダイオード6204を通過することで減衰した受信信号となって受信端bへ流れる。このようにダイオード6204とのカソード同士を接続し、オフ/オンを切り替えることで、切替スイッチ部6200として機能させることができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る無線送受信回路を図16に基づいて説明する。図16は、本実施の形態4に係る無線送受信回路を示す図である。なお図16においては、無線送受信回路の主要な部分のみを図示しており、他の構成は便宜上、省略している。また、図16においては、図10と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
実施の形態4に係る減衰調整部には、位相調整部と反射部とが複数組設けられている。図16に示すように、減衰調整部6500は、位相調整部としてマイクロストリップライン6510と、第1反射部6520と、第2反射部6530とを備えている。そして減衰調整部6500には、第1反射部6520と第2反射部6530とを切り替える第3スイッチ部6540が設けられている。第3スイッチ部6540は、マイクロストリップライン6510と第1反射部6520との間の接続および切断を行う第1反射部スイッチ6541と、マイクロストリップライン6510と第2反射部6530との間の接続および切断を行う第2反射部スイッチ6542とで構成される。
第1反射部スイッチ6541は、マイクロストリップライン6510の中間部に接続されている。また、第2反射部スイッチ6542は、マイクロストリップライン6510の端部に接続されている。これは、位相調整部として機能するマイクロストリップライン6510に第1反射部6520と第2反射部6530とが接続する位置を異ならせ、送信端
cからのマイクロストリップライン6510の伝送線路上の線長を異ならせることで、受信信号の位相のシフト量が異なるように設定したものである。
従って、受信時において受信信号が極端に大きいレベルであると判断された場合に、ベースバンド部5600にから第3スイッチ部6540への指示として第1反射部スイッチ6541をオフし、第2反射部スイッチ6542をオンしたり、受信信号が極端に大きくはないけれど、受信部5300が音質低下を引き起こす可能性がある程度のレベルであれば、その逆としたりすることで、適宜、受信信号のシフト量を変更して減衰量を調整することができる。また、第1反射部スイッチ6541に接続される第1反射部6520と第2反射部6530との反射率を異ならせることで、更なるシフト量の変更が可能である。
このように、第3スイッチ部6540を制御することで、アンテナ5001からの受信信号の位相を調整することができるので、無線送受信回路を変更することなく受信端bでの受信信号のレベルを調整でき、回路の製造後でもばらつきを補正することができる。
なお、本実施の形態4では、減衰調整部6500として位相調整部と反射部との組み合わせを2組としているが、マイクロストリップライン6510を延長して3組以上設けるようにすることも可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。実施の形態1〜4では、受信部と送信部とを備えた無線送受信回路に減衰調整部を設けたものであるが、例えば、図17に示すように、受信部5300が接続される受信端bと、減衰調整部6100が接続される反射端dとを、単極双投(SPDT)スイッチとした切替スイッチ部6200により、通常の受信時と、受信信号が過大入力となった受信時とで切り替えることで、受信部5300のみを備えた無線受信回路にも適用は可能である。
このように受信部5300のみ備えた無線受信回路であっても、受信信号が所定の大きさより大きいとき、アンテナ接続端aを反射端dに接続するよう切替スイッチ部6200を切り替えて、アンテナ5001から入力した受信信号と、アンテナ5001から入力した受信信号を反射部5220で反射させた信号とを加え、加えた信号を反射端dから受信端bへ漏洩させることで、受信端bでの受信信号のレベルを適正に調整することができ、再生音質の低下を防止することが可能である。