JP2004235815A - 携帯電話機 - Google Patents
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Abstract
【課題】デュープレクサの接続端インピーダンスを可変して、送信/受信共用時の送信波回り込みを抑制することができる携帯電話機を提供する。
【解決手段】送信/受信共用で使用されるアンテナ10と、送信信号または受信信号を帯域制限する2組のフィルタ(デュープレクサ)50と、アンテナ10とデュープレクサ50との間に接続される移相器30、40と、アンテナ10、移相器30、40およびデュープレクサ50の接続を使用形態により切り替える切替器20とを備え、移相器30、40は、送信または受信信号帯域が帯域外となる側のデュープレクサ50の接続端インピーダンスがスミスチャートの右周辺(インピーダンス大)にくるように移相量が制御される。
【選択図】 図1
【解決手段】送信/受信共用で使用されるアンテナ10と、送信信号または受信信号を帯域制限する2組のフィルタ(デュープレクサ)50と、アンテナ10とデュープレクサ50との間に接続される移相器30、40と、アンテナ10、移相器30、40およびデュープレクサ50の接続を使用形態により切り替える切替器20とを備え、移相器30、40は、送信または受信信号帯域が帯域外となる側のデュープレクサ50の接続端インピーダンスがスミスチャートの右周辺(インピーダンス大)にくるように移相量が制御される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯電話機に関し、特に送信/受信を同時に行うフルデュープレクス形式の携帯電話機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の携帯電話機は、アンテナに送信回路及び受信回路がデュープレクサを介して接続され、送信と受信を同時に行うフルデュプレクス機能を備える場合、送信波がデュープレクサを介して受信回路に入り込み、受信回路の増幅器が歪むことを防止するために、送信回路からの送信信号と逆相の相殺信号を発生する相殺信号発生部を備え、相殺信号発生部からの相殺信号を電力合成部にて受信回路への受信信号に合成することにより、受信回路に漏洩する送信回路からの送信信号を相殺して低雑音増幅部における飽和を回避するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、単一の基準発振器の基準周波数を受信段の第1局発用周波数シンセサイザと、音声周波数帯域以下の低周波データ信号によって上記基準周波数が変調された第2局発用周波数シンセサイザとに入力して夫々加え、送信用周波数シンセサイザに対して上記第2局発用周波数シンセサイザの変調出力周波数を用い、送信搬送周波数の受信機への回り込みを相殺するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
しかしながら、これらの従来の携帯電話機は、デュープレクサを介して受信回路に入り込む送信波を相殺するために、相殺信号発生部を備えるか、あるいは送信信号で変調された信号を受信機側の第2局発とするなどにより、回路構成が複雑になるという問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−308143号公報
【特許文献2】
特開平5−41673号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の携帯電話機は、デュープレクサを介して受信回路に入り込む送信波を相殺するために、相殺信号発生部を備えるか、あるいは送信信号で変調された信号を受信機側の第2局発とするなどにより、回路構成が複雑になるという欠点がある。
【0007】
本発明の目的は、このような従来の欠点を除去するため、デュープレクサの送信あるいは受信信号帯域が帯域外となる側のインピーダンスを十分高くすることにより信号の回り込みを抑圧することを可能とする携帯電話機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の携帯電話機は、少なくとも2つのアンテナと、送信信号または受信信号を帯域制限する複数のフィルタと、前記2つのアンテナと前記複数のフィルタとの間に接続される複数の移相器と、前記2つのアンテナ、前記複数の移相器および前記複数のフィルタの接続を使用形態により切り替える切替器とを有する携帯電話機であって、前記複数の移相器は、送信または受信信号帯域が帯域外となる側のフィルタの接続端インピーダンスを高くするように移相量が制御されることを特徴としている。
【0009】
また、前記切替器は、1つのアンテナで送受信する場合には、選択した第1のアンテナを共通に第1、第2の移相器および第1、第2のフィルタを受信側あるいは送信側それぞれとして接続し、非選択アンテナを第3の移相器を介して接地することを特徴としている。
【0010】
また、前記第1、第2の移相器は、送信あるいは受信信号帯域が帯域外となる第1、第2のフィルタの接続端インピーダンスがそれぞれ高くなるように移相量が制御され、前記第3の移相器は、前記非選択アンテナの影響が最少または送信レベルが最大となるように移相量が制御されることを特徴としている。
【0011】
また、前記切替器は、2つのアンテナで送受信を分ける場合には、第1、第2のアンテナ、第1、第2の移相器および第1、第2のフィルタを受信側あるいは送信側それぞれとして接続することを特徴としている。
【0012】
また、前記第1、第2の移相器は、受信側では送信レベルが最大、送信側では受信レベルが最大となるように移相量が制御されることを特徴としている。
【0013】
また、前記移相器は、ジグザグの蛇行パターンでプリント基板上に形成されたマイクロストリップラインと、マイクロストリップラインの電気長を可変するための複数のpinダイオードと、前記複数のpinダイオードをオン/オフ制御するための複数の高周波カット用コイルおよび電流を制限する電流制限抵抗と、より構成されることを特徴としている。
【0014】
また、前記pinダイオードは、前記マイクロストリップラインの片側または両側で、隣接または所要の位置間に接続され、個々にオン/オフされることを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の携帯電話機の一つの実施の形態を示すブロック図である。
【0016】
図1に示す本実施の形態の携帯電話機は、送受信共用のアンテナ10と、他のアンテナを含むアンテナ10の使用形態により切り替えを行う切替器20と、移相量を可変できる移相器30、40と、送信信号または受信信号を通過帯域とする2つのフィルタの組(デュープレクサ)50と、受信AMP60と、送信AMP70とを備えて構成されている。
【0017】
次に、本実施の形態の携帯電話機について図1を参照して詳細に説明する。なお、図1(b)は、受信側および送信側の移相回転(インピーダンス変化)を説明する図である。
【0018】
図1によると、アンテナ10は、送受信共用として使用され,送受信信号の周波数帯域でインピーダンスが50Ωに調整されている。
【0019】
切替器20は、1つのアンテナ10で送受信する場合、あるいは図示しない他のアンテナとダイバーシチ受信する場合などの使用形態に応じて、アンテナ10、移相器30、40およびデュープレクサ50を含む接続関係を切り替える。
【0020】
移相器30、40は、切替器20とデュープレクサ50との間の受信側、送信側それぞれに接続され、デュープレクサ50の送信あるいは受信信号帯域が帯域外となる側のインピーダンスを可変し、信号の回り込みを抑圧するように移相量が制御される。
【0021】
デュープレクサ50は、受信周波数帯域および送信周波数帯域のそれぞれに対応した2つのフィルタ素子を一体化したものである。また、それぞれの通過帯域では特性インピーダンスが50Ωに調整され、互いの通過帯域が帯域外となる側のインピーダンスが50Ωから外れた例えば5Ωに調整されているものとする。
【0022】
受信AMP60および送信AMP70は、受信部および送信部の入力端および出力端となり、受信信号および送信信号を所要の電力レベルにまで増幅する。
【0023】
次に、移相器の動作について図1および図2により説明する。図2は、図1に示す移相器の構成を説明する図である。
【0024】
図2によると、移相器30、40は、ジグザグの蛇行パターンでプリント基板上に形成されたマイクロストリップライン1と、マイクロストリップライン1の長さを調整するためのダイオード2と、高周波カット用コイル3、4と、ダイオード2に流れる電流を制限する電流制限抵抗5とより構成されている。
【0025】
マイクロストリップライン1は、パターン幅やプリント基板の材質を選定することにより、一般には、50Ω(特性インピーダンス)に設定される。
【0026】
ダイオード2は、マイクロストリップライン1の隣接する2点間に接続される。また、ダイオード2に使用されるPinダイオードは、オン抵抗が小さく、オフ時のインピーダンスが比較的大きいことより、インピーダンス不整合を生じることなく、オン/オフ動作でライン長を切り替えることができる。図2では、ダイオードが1個の場合を示しているが、マイクロストリップライン1の隣接する2点間に繰り返して複数設けるか、または、マイクロストリップライン1の反対側において、隣接する2点間あるいは所定の2点間に繰り返して複数設けるなど、適宜選択できるものとする。
【0027】
高周波カット用コイル3、4および電流制限抵抗5は、ダイオード2をオン/オフする際に、高周波信号の遮断および電流の制限に使用されている。
【0028】
図2に示した移相器を図1(a)の携帯電話機に使用した場合、デュープレクサ50は、受信側の移相器30側(点E)から見た受信信号帯域のインピーダンスが50Ωに調整されているため、図1(b)に示すように、スミスチャートの中心(50Ω)に位置し、移相器30による移相調整に無関係となり、したがって、切替器20側(点A)から見たインピーダンスも50Ωのままであり、アンテナ10とのインピーダンス整合が得られる。一方、送信信号帯域でのインピーダンスは、5Ω、すなわち、図1(b)に示すスミスチャートの左周辺(位置E)にあるため、50Ωに比較してインピーダンスが低く送信信号に影響(送信信号の回り込みによるレベル低下)を与える。これを避けるため、移相器30の移相量を制御し、切替器20側から見たインピーダンスを高く、すなわち、図1(b)に示すスミスチャートの右周辺(位置A)に回転することにより、例えば、5Ωから500Ωにして、送信信号の影響を排除することができる。同様にして、送信側の移相器40も移相量が制御され、切替器20側(点B)から見たインピーダンスが高くされる。
【0029】
以上のことより、移相器30、40の移相量を調整することにより、送信/受信共用による接続点を介した信号の回り込み、あるいはレベル低下を防止することができる。
【0030】
次に、ダイバーシチ用に備えた未使用のアンテナによる影響について説明する。図3は、送受信共用アンテナ以外のアンテナが隣接して備えられた場合を説明する図である。
【0031】
図3(a)によると、図1の構成と同じであるが、送受信共用とするアンテナ11のほかに、選択されていないアンテナ12が移相器80を介して接地されている。
【0032】
アンテナ11は、アンテナ12が未使用であっても、隣接して備えられる場合には、アンテナ12による影響を受ける。これは、アンテナ11より放射される電波あるいは受信される電波がアンテナ11、12の空間結合により、相手方のアンテナ12に入りさらに反射して自身のアンテナ11の送信パワーあるいは受信パワーを強めたり弱めたりするためである。
【0033】
図3(b)は、アンテナ12が移相器80を介して接地(低インピーダンス)されている場合に、移相器80の移相量が予め設定されたスミスチャートの右周辺(位置C)を基点に、反時計回りに調整された場合の送信パワーの変化が示されている。これより、選択されていないアンテナ12に接続された移相器80の移相量が、送信パワーの最適値(最大値)を得るために、スミスチャートの右周辺(位置C)ではなく、90度戻したスミスチャートの上周辺(位置C’)になったとしても、移相器80のPinダイオードを選択的にオン/オフ制御することにより、所定の移相量に調整される。
【0034】
次に、2つのアンテナを送受信それぞれで使用する場合について説明する。図4は、2つのアンテナを送受信それぞれで使用する場合について説明する図である。図4(b)に示す図の実線は、受信側の移相器30の移相調整による送信側のパワー特性であり、図の破線は、同様にして求めた送信側の移相器40の移相調整による受信側のパワー特性である。
【0035】
図4(a)によると、送受信それぞれで使用するアンテナ11、12の接続を除いては、図1の構成と同じである。
【0036】
アンテナ11およびアンテナ12は、切替器20により、送信側、受信側それぞれでデュープレクサ50に接続されている。したがって、アンテナ11およびアンテナ12が隣接して備えられる場合の空間結合を最少限にすることが好ましい。
【0037】
図4(b)には、図3(b)と同様に、移相器30、40の移相量を予め設定されたスミスチャートの右周辺を基点に、調整した場合の送信側および受信側のパワーの変化が示されている。
【0038】
受信側の移相器30は、図4(b)の実線で示すように、移相量90度の時に、送信側のパワー特性を最適(最大)値にすることができる。また、送信側の移相器40は、図4(b)の破線で示すように、移相量135度の時に、受信側のパワー特性を最適(最大)値にすることができる。
【0039】
図5は、図4(a)に示す移相器を、図2に示す移相器で置き換えた図である。受信側の移相器30の移相量(90度戻し)および送信側の移相器40移相量(135度戻し)を実現するために、例えば、マイクロストリップライン31およびマイクロストリップライン41に設けられたダイオード32およびダイオード42がそれぞれオンに制御される。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態によれば、アンテナとデュープレクサとの間に接続したそれぞれの移相器の移相量を制御することにより、1つのアンテナで送受信する場合の送信信号が受信側に回り込むこと、また、受信信号が送信側の低インピーダンスにより減衰することを抑制するために、デュープレクサの送信あるいは受信信号帯域が帯域外となる側のインピーダンスを十分高くすることができるとともに、隣接するアンテナとの空間結合による送信/受信パワーの劣化を抑制することができる。
【0041】
また、移相器は、ジグザグの蛇行パターンで隣接する2点間に接続される複数のPinダイオードをオン/オフすることにより、使用形態に応じた移相量(電気長)を1つの移相器で実現することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の携帯電話機によれば、ジグザグの蛇行パターンのマイクロストリップラインを複数のPinダイオードのオン/オフにより電気長を可変とする移相器を用いることにより、最小限の移相器により、同一アンテナで送信と受信を同時に行う場合、あるいは、2つのアンテナを送受信それぞれで使用する場合に応じて、最適な送信および受信特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の携帯電話機の一つの実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示す移相器の構成を説明する図である。
【図3】送受信共用アンテナ以外のアンテナが隣接して備えられた場合を説明する図である。
【図4】2つのアンテナを送受信それぞれで使用する場合について説明する図である。
【図5】図4(a)に示す移相器を、図2に示す移相器で置き換えた図である。
【符号の説明】
10、11、12 アンテナ
20 切替器
30、40、80 移相器
50 デュープレクサ
60 受信AMP
70 送信AMP
1、31、41 マイクロストリップライン
2、32、42 ダイオード
3、4 高周波カット用コイル
5 抵抗
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯電話機に関し、特に送信/受信を同時に行うフルデュープレクス形式の携帯電話機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の携帯電話機は、アンテナに送信回路及び受信回路がデュープレクサを介して接続され、送信と受信を同時に行うフルデュプレクス機能を備える場合、送信波がデュープレクサを介して受信回路に入り込み、受信回路の増幅器が歪むことを防止するために、送信回路からの送信信号と逆相の相殺信号を発生する相殺信号発生部を備え、相殺信号発生部からの相殺信号を電力合成部にて受信回路への受信信号に合成することにより、受信回路に漏洩する送信回路からの送信信号を相殺して低雑音増幅部における飽和を回避するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、単一の基準発振器の基準周波数を受信段の第1局発用周波数シンセサイザと、音声周波数帯域以下の低周波データ信号によって上記基準周波数が変調された第2局発用周波数シンセサイザとに入力して夫々加え、送信用周波数シンセサイザに対して上記第2局発用周波数シンセサイザの変調出力周波数を用い、送信搬送周波数の受信機への回り込みを相殺するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
しかしながら、これらの従来の携帯電話機は、デュープレクサを介して受信回路に入り込む送信波を相殺するために、相殺信号発生部を備えるか、あるいは送信信号で変調された信号を受信機側の第2局発とするなどにより、回路構成が複雑になるという問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−308143号公報
【特許文献2】
特開平5−41673号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の携帯電話機は、デュープレクサを介して受信回路に入り込む送信波を相殺するために、相殺信号発生部を備えるか、あるいは送信信号で変調された信号を受信機側の第2局発とするなどにより、回路構成が複雑になるという欠点がある。
【0007】
本発明の目的は、このような従来の欠点を除去するため、デュープレクサの送信あるいは受信信号帯域が帯域外となる側のインピーダンスを十分高くすることにより信号の回り込みを抑圧することを可能とする携帯電話機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の携帯電話機は、少なくとも2つのアンテナと、送信信号または受信信号を帯域制限する複数のフィルタと、前記2つのアンテナと前記複数のフィルタとの間に接続される複数の移相器と、前記2つのアンテナ、前記複数の移相器および前記複数のフィルタの接続を使用形態により切り替える切替器とを有する携帯電話機であって、前記複数の移相器は、送信または受信信号帯域が帯域外となる側のフィルタの接続端インピーダンスを高くするように移相量が制御されることを特徴としている。
【0009】
また、前記切替器は、1つのアンテナで送受信する場合には、選択した第1のアンテナを共通に第1、第2の移相器および第1、第2のフィルタを受信側あるいは送信側それぞれとして接続し、非選択アンテナを第3の移相器を介して接地することを特徴としている。
【0010】
また、前記第1、第2の移相器は、送信あるいは受信信号帯域が帯域外となる第1、第2のフィルタの接続端インピーダンスがそれぞれ高くなるように移相量が制御され、前記第3の移相器は、前記非選択アンテナの影響が最少または送信レベルが最大となるように移相量が制御されることを特徴としている。
【0011】
また、前記切替器は、2つのアンテナで送受信を分ける場合には、第1、第2のアンテナ、第1、第2の移相器および第1、第2のフィルタを受信側あるいは送信側それぞれとして接続することを特徴としている。
【0012】
また、前記第1、第2の移相器は、受信側では送信レベルが最大、送信側では受信レベルが最大となるように移相量が制御されることを特徴としている。
【0013】
また、前記移相器は、ジグザグの蛇行パターンでプリント基板上に形成されたマイクロストリップラインと、マイクロストリップラインの電気長を可変するための複数のpinダイオードと、前記複数のpinダイオードをオン/オフ制御するための複数の高周波カット用コイルおよび電流を制限する電流制限抵抗と、より構成されることを特徴としている。
【0014】
また、前記pinダイオードは、前記マイクロストリップラインの片側または両側で、隣接または所要の位置間に接続され、個々にオン/オフされることを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の携帯電話機の一つの実施の形態を示すブロック図である。
【0016】
図1に示す本実施の形態の携帯電話機は、送受信共用のアンテナ10と、他のアンテナを含むアンテナ10の使用形態により切り替えを行う切替器20と、移相量を可変できる移相器30、40と、送信信号または受信信号を通過帯域とする2つのフィルタの組(デュープレクサ)50と、受信AMP60と、送信AMP70とを備えて構成されている。
【0017】
次に、本実施の形態の携帯電話機について図1を参照して詳細に説明する。なお、図1(b)は、受信側および送信側の移相回転(インピーダンス変化)を説明する図である。
【0018】
図1によると、アンテナ10は、送受信共用として使用され,送受信信号の周波数帯域でインピーダンスが50Ωに調整されている。
【0019】
切替器20は、1つのアンテナ10で送受信する場合、あるいは図示しない他のアンテナとダイバーシチ受信する場合などの使用形態に応じて、アンテナ10、移相器30、40およびデュープレクサ50を含む接続関係を切り替える。
【0020】
移相器30、40は、切替器20とデュープレクサ50との間の受信側、送信側それぞれに接続され、デュープレクサ50の送信あるいは受信信号帯域が帯域外となる側のインピーダンスを可変し、信号の回り込みを抑圧するように移相量が制御される。
【0021】
デュープレクサ50は、受信周波数帯域および送信周波数帯域のそれぞれに対応した2つのフィルタ素子を一体化したものである。また、それぞれの通過帯域では特性インピーダンスが50Ωに調整され、互いの通過帯域が帯域外となる側のインピーダンスが50Ωから外れた例えば5Ωに調整されているものとする。
【0022】
受信AMP60および送信AMP70は、受信部および送信部の入力端および出力端となり、受信信号および送信信号を所要の電力レベルにまで増幅する。
【0023】
次に、移相器の動作について図1および図2により説明する。図2は、図1に示す移相器の構成を説明する図である。
【0024】
図2によると、移相器30、40は、ジグザグの蛇行パターンでプリント基板上に形成されたマイクロストリップライン1と、マイクロストリップライン1の長さを調整するためのダイオード2と、高周波カット用コイル3、4と、ダイオード2に流れる電流を制限する電流制限抵抗5とより構成されている。
【0025】
マイクロストリップライン1は、パターン幅やプリント基板の材質を選定することにより、一般には、50Ω(特性インピーダンス)に設定される。
【0026】
ダイオード2は、マイクロストリップライン1の隣接する2点間に接続される。また、ダイオード2に使用されるPinダイオードは、オン抵抗が小さく、オフ時のインピーダンスが比較的大きいことより、インピーダンス不整合を生じることなく、オン/オフ動作でライン長を切り替えることができる。図2では、ダイオードが1個の場合を示しているが、マイクロストリップライン1の隣接する2点間に繰り返して複数設けるか、または、マイクロストリップライン1の反対側において、隣接する2点間あるいは所定の2点間に繰り返して複数設けるなど、適宜選択できるものとする。
【0027】
高周波カット用コイル3、4および電流制限抵抗5は、ダイオード2をオン/オフする際に、高周波信号の遮断および電流の制限に使用されている。
【0028】
図2に示した移相器を図1(a)の携帯電話機に使用した場合、デュープレクサ50は、受信側の移相器30側(点E)から見た受信信号帯域のインピーダンスが50Ωに調整されているため、図1(b)に示すように、スミスチャートの中心(50Ω)に位置し、移相器30による移相調整に無関係となり、したがって、切替器20側(点A)から見たインピーダンスも50Ωのままであり、アンテナ10とのインピーダンス整合が得られる。一方、送信信号帯域でのインピーダンスは、5Ω、すなわち、図1(b)に示すスミスチャートの左周辺(位置E)にあるため、50Ωに比較してインピーダンスが低く送信信号に影響(送信信号の回り込みによるレベル低下)を与える。これを避けるため、移相器30の移相量を制御し、切替器20側から見たインピーダンスを高く、すなわち、図1(b)に示すスミスチャートの右周辺(位置A)に回転することにより、例えば、5Ωから500Ωにして、送信信号の影響を排除することができる。同様にして、送信側の移相器40も移相量が制御され、切替器20側(点B)から見たインピーダンスが高くされる。
【0029】
以上のことより、移相器30、40の移相量を調整することにより、送信/受信共用による接続点を介した信号の回り込み、あるいはレベル低下を防止することができる。
【0030】
次に、ダイバーシチ用に備えた未使用のアンテナによる影響について説明する。図3は、送受信共用アンテナ以外のアンテナが隣接して備えられた場合を説明する図である。
【0031】
図3(a)によると、図1の構成と同じであるが、送受信共用とするアンテナ11のほかに、選択されていないアンテナ12が移相器80を介して接地されている。
【0032】
アンテナ11は、アンテナ12が未使用であっても、隣接して備えられる場合には、アンテナ12による影響を受ける。これは、アンテナ11より放射される電波あるいは受信される電波がアンテナ11、12の空間結合により、相手方のアンテナ12に入りさらに反射して自身のアンテナ11の送信パワーあるいは受信パワーを強めたり弱めたりするためである。
【0033】
図3(b)は、アンテナ12が移相器80を介して接地(低インピーダンス)されている場合に、移相器80の移相量が予め設定されたスミスチャートの右周辺(位置C)を基点に、反時計回りに調整された場合の送信パワーの変化が示されている。これより、選択されていないアンテナ12に接続された移相器80の移相量が、送信パワーの最適値(最大値)を得るために、スミスチャートの右周辺(位置C)ではなく、90度戻したスミスチャートの上周辺(位置C’)になったとしても、移相器80のPinダイオードを選択的にオン/オフ制御することにより、所定の移相量に調整される。
【0034】
次に、2つのアンテナを送受信それぞれで使用する場合について説明する。図4は、2つのアンテナを送受信それぞれで使用する場合について説明する図である。図4(b)に示す図の実線は、受信側の移相器30の移相調整による送信側のパワー特性であり、図の破線は、同様にして求めた送信側の移相器40の移相調整による受信側のパワー特性である。
【0035】
図4(a)によると、送受信それぞれで使用するアンテナ11、12の接続を除いては、図1の構成と同じである。
【0036】
アンテナ11およびアンテナ12は、切替器20により、送信側、受信側それぞれでデュープレクサ50に接続されている。したがって、アンテナ11およびアンテナ12が隣接して備えられる場合の空間結合を最少限にすることが好ましい。
【0037】
図4(b)には、図3(b)と同様に、移相器30、40の移相量を予め設定されたスミスチャートの右周辺を基点に、調整した場合の送信側および受信側のパワーの変化が示されている。
【0038】
受信側の移相器30は、図4(b)の実線で示すように、移相量90度の時に、送信側のパワー特性を最適(最大)値にすることができる。また、送信側の移相器40は、図4(b)の破線で示すように、移相量135度の時に、受信側のパワー特性を最適(最大)値にすることができる。
【0039】
図5は、図4(a)に示す移相器を、図2に示す移相器で置き換えた図である。受信側の移相器30の移相量(90度戻し)および送信側の移相器40移相量(135度戻し)を実現するために、例えば、マイクロストリップライン31およびマイクロストリップライン41に設けられたダイオード32およびダイオード42がそれぞれオンに制御される。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態によれば、アンテナとデュープレクサとの間に接続したそれぞれの移相器の移相量を制御することにより、1つのアンテナで送受信する場合の送信信号が受信側に回り込むこと、また、受信信号が送信側の低インピーダンスにより減衰することを抑制するために、デュープレクサの送信あるいは受信信号帯域が帯域外となる側のインピーダンスを十分高くすることができるとともに、隣接するアンテナとの空間結合による送信/受信パワーの劣化を抑制することができる。
【0041】
また、移相器は、ジグザグの蛇行パターンで隣接する2点間に接続される複数のPinダイオードをオン/オフすることにより、使用形態に応じた移相量(電気長)を1つの移相器で実現することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の携帯電話機によれば、ジグザグの蛇行パターンのマイクロストリップラインを複数のPinダイオードのオン/オフにより電気長を可変とする移相器を用いることにより、最小限の移相器により、同一アンテナで送信と受信を同時に行う場合、あるいは、2つのアンテナを送受信それぞれで使用する場合に応じて、最適な送信および受信特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の携帯電話機の一つの実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示す移相器の構成を説明する図である。
【図3】送受信共用アンテナ以外のアンテナが隣接して備えられた場合を説明する図である。
【図4】2つのアンテナを送受信それぞれで使用する場合について説明する図である。
【図5】図4(a)に示す移相器を、図2に示す移相器で置き換えた図である。
【符号の説明】
10、11、12 アンテナ
20 切替器
30、40、80 移相器
50 デュープレクサ
60 受信AMP
70 送信AMP
1、31、41 マイクロストリップライン
2、32、42 ダイオード
3、4 高周波カット用コイル
5 抵抗
Claims (7)
- 少なくとも2つのアンテナと、送信信号または受信信号を帯域制限する複数のフィルタと、前記2つのアンテナと前記複数のフィルタとの間に接続される複数の移相器と、前記2つのアンテナ、前記複数の移相器および前記複数のフィルタの接続を使用形態により切り替える切替器とを有する携帯電話機であって、前記複数の移相器は、送信または受信信号帯域が帯域外となる側のフィルタの接続端インピーダンスを高くするように移相量が制御されることを特徴とする携帯電話機。
- 前記切替器は、1つのアンテナで送受信する場合には、選択した第1のアンテナを共通に第1、第2の移相器および第1、第2のフィルタを受信側あるいは送信側それぞれとして接続し、非選択アンテナを第3の移相器を介して接地することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
- 前記第1、第2の移相器は、送信あるいは受信信号帯域が帯域外となる第1、第2のフィルタの接続端インピーダンスがそれぞれ高くなるように移相量が制御され、前記第3の移相器は、前記非選択アンテナの影響が最少または送信レベルが最大となるように移相量が制御されることを特徴とする請求項2記載の携帯電話機。
- 前記切替器は、2つのアンテナで送受信を分ける場合には、第1、第2のアンテナ、第1、第2の移相器および第1、第2のフィルタを受信側あるいは送信側それぞれとして接続することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
- 前記第1、第2の移相器は、受信側では送信レベルが最大、送信側では受信レベルが最大となるように移相量が制御されることを特徴とする請求項4記載の携帯電話機。
- 前記移相器は、ジグザグの蛇行パターンでプリント基板上に形成されたマイクロストリップラインと、マイクロストリップラインの電気長を可変するための複数のpinダイオードと、前記複数のpinダイオードをオン/オフ制御するための複数の高周波カット用コイルおよび電流を制限する電流制限抵抗と、より構成されることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の携帯電話機。
- 前記pinダイオードは、前記マイクロストリップラインの片側または両側で、隣接または所要の位置間に接続され、個々にオン/オフされることを特徴とする請求項7記載の携帯電話機。
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