JP4774619B2 - 晶析脱リン装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理水等のリン含有排水からリンをリン酸カルシウム化合物として分離する流動床式の晶析脱リン装置に関し、更に詳しくは、結晶種を反応晶析槽内の底部に堆積・沈降させることがないディストリビュータ(液分散器)を備えた流動床式の晶析脱リン装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、一般市民の地球環境問題に対する意識が向上したこともあり、下水処理水等のリン含有排水の脱リン装置として最終生成物のリサイクル性が高いことに加えて、生物処理法や凝集沈殿法と比較したときに、系外に排出されるリン含有物の容積が最も小さく、かつ、含液分(付着液分)が少ないという理由から晶析脱リン装置が注目されている。
実用化されている晶析脱リン装置としては、結晶種を固定した状態で用いる固定床式の晶析脱リン装置が多数を占めている。
【0003】
この固定床式の晶析脱リン装置は、図4に示すように、流量調整槽101、脱炭酸塔102等から構成され、リン含有排水の脱炭酸を行う前処理装置と、薬注タンク103等から構成され、前処理した前記リン含有排水のpH値を前記pH調整槽104で調整するための薬剤を注入する薬注装置と、前記pH調整槽104等から構成され、前記リン含有排水のpH値を調整するpH調整装置と、反応晶析槽100等から構成され、リン酸カルシウムを含有する結晶種を担体に固定状態にした固定床100aで前記リン含有排水中のリンと前記結晶種とを接触させる固定床式の反応装置とから主要部が構成される。
【0004】
このような構成からなる固定床式の晶析脱リン装置は、
(1)最初に、下水処理水等のリン含有排水が、流量調整槽101に供給されて貯溜される。流量調整槽101で流量変動を吸収されたリン含有排水は、原水ポンプ101aにより流量調整槽101から所定量抜き出され、配管101bを介して後工程の脱炭酸塔102に供給される。
(2)脱炭酸塔102の上部に供給されたリン含有排水は、充填層102cの上部から落下しながら充填物(例えばラシヒリングやテラレット等)の表面で分散される。一方、充填層102cの下部からは、ブロワ(図示しない)により配管102aを介して空気が吹き込まれる。このように脱炭酸塔102内で向流で気液を接触させ、気体−液体の接触界面積を大きくすることにより、リン含有排水中に含まれる炭酸根CO3 2-、HCO3 -1を好適に炭酸ガスCO2としてストリッピング(放散)することができる。脱炭酸塔102から排出された炭酸ガスCO2は、処理水を中和するための再炭酸化等の処理に使用される。
尚、脱炭酸塔102は、リン含有排水中の炭酸根CO3 2-、HCO3 -1が少ない場合は、省略することができる。
このようにリン含有排水を前処理することで、リン含有排水の流量変動に対しても安定して所定の排水処理量が確保できると共に、pH調整槽104のアルカリ剤の消費量を低減でき、かつ、固定床式の反応晶析槽100でリン酸カルシウム化合物以外の難溶解性のカルシウム塩(例えば、炭酸カルシウム)が生成するのを防止することもできる。
【0005】
(3)次に、前処理装置で脱炭酸されたリン含有排水は、配管102bを介してpH調整槽104に供給され、後工程の固定床式の反応晶析槽100に適したpH値に調整される(例えば、pH=9)。pH調整槽104では、脱炭酸されたリン含有排水のpH値を調整するため、薬注装置の薬注ポンプ103aにより薬注タンク103から薬剤が所定量抜き出され、配管103bを介してpH調整槽104に注入される。
【0006】
このようにpH値を調整されたリン含有排水は、固定床式の反応晶析槽100の下部に供給する圧力を一定にして供給するため、調整液ポンプ104により配管104bを介してヘッドタンク105にポンプアップされる。ポンプアップされたリン含有排水は、配管105aを介してリン酸カルシウムを含有する結晶種を固定した固定床100aを有する固定床式の反応晶析槽100へと一定圧力で供給される。固定床式の反応晶析槽100へ供給されたリン含有排水は、固定床100aを通過する間に排水中のリンがリン酸カルシウムとして結晶種の表面に析出し分離される。リンが分離された排水は、処理水として固定床式の反応晶析槽100の上部から外部へ排出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の固定床式の反応晶析槽100を使用した晶析脱リン装置は、結晶種が支持板から落下せずに(例えば支持板が全面網状になっている)できるだけ均等にリン含有排水を通液できれば所望の脱リン性能が得られたが、反応晶析槽100内の処理水の空塔速度SVは2hr-1程度が限界であり処理速度が大きく取れなかった。
これに対し、図5に示すような流動床式の反応晶析槽200を使用した晶析脱リン装置は、固定床式の反応晶析槽100を使用した場合と比較して、反応晶析槽200内の処理水の空塔速度SVは3〜4hr-1と処理速度が大きくとれるが以下のような問題があった。
リン含有排水を反応晶析槽200に供給しても流動床200aを形成する上向流の流速分布にムラがあると、
(1)結晶種の堆積や反応晶析槽200からの結晶種の流出が起きる。
(2)結晶種の寿命が3ヶ月程度と短く、工業的に実用化する上で問題となる。
(3)リン酸カルシウムや炭酸カルシウムの微細結晶が発生してしまう。
【0008】
また、流動床200aの流動状態を維持するためには、結晶種を流動化させるための流速を与えることができると共に、結晶種がディストリビュータ200cの開口部から反応晶析槽200の底部に落下しないようにすることが必要であり、そのためにはこれらの条件を全て満足させることができるディストリビュータを設置する必要がある。しかし、これらの条件を全て満足させることができるディストリビュータは実用化されていなかった。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、リン含有排水を流動床式の反応晶析槽に供給したときに、上向流の流速分布にムラがなく、かつ、リン酸カルシウムを含んだ結晶種を流動化させる流速を与えることができると共に、開口部から前記結晶種が反応晶析槽の底部に落下することのないディストリビュータを有する晶析脱リン装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためになされた請求項1に係る晶析脱リン装置の発明は、リン含有排水を反応晶析槽内に導入し、カルシウム化合物及び/又はアルカリ剤を添加すると共にリン酸カルシウムを含有する結晶種の流動床を形成しながら前記リン含有排水中のリンと前記結晶種とを接触させて、前記リン含有排水中のリンをリン酸カルシウム化合物として分離する晶析脱リン装置において、前記リン含有排水を前記流動床の下部に均一に導入するためのディストリビュータを有し、このディストリビュータの筒状体の上部が前記筒状体の断面積を超える大きさの蓋で覆われており、かつ、前記筒状体の側面には開口部を有していることを特徴とするものである。
【0011】
請求項1の発明によると、流動床を利用した晶析脱リン装置において、リン含有排水を前記流動床の下部に均一に導入するためのディストリビュータを設け、このディストリビュータの筒状体の上部を前記筒状体の断面積を超える大きな蓋で覆い、更にこの筒状体の側面に開口部を設けたことにより、
(1)ディストリビュータに供給するリン含有排水の流量を調節することで結晶種を流動化させる上向流として流速分布にムラのない最適な流れが確保できる。
(2)また、筒状体の断面積を超える大きな蓋で筒状体の上部を覆うようにしたことにより、結晶種が開口部から離れた位置に落下するため、従来のように、結晶種がディストリビュータの開口部(例えば筒状体の中空部)から反応晶析槽の底部に落下しなくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る晶析脱リン装置の1実施形態について図面を参照して説明する。
最初に、本実施形態で使用される薬剤について説明する。
(1)本実施形態で用いられるカルシウム化合物及び/又はアルカリ剤とは排水中のリンと反応して難溶解性のカルシウム塩を生成するものであり、代表的には消石灰Ca(OH)2の消石灰乳が挙げられる。しかし、本発明で用いるカルシウム化合物は、同様な機能を奏すればCa(OH)2に限定されるものではなく、例えば塩化カルシウム等他のカルシウム化合物を用いることもできる。本発明の実施形態においては代表的な化合物としてCa(OH)2を例示して説明する。Ca(OH)2は、カルシウムイオン供給源としてだけでなくアルカリ剤としての機能を兼用できることから、カルシウム化合物としてはCa(OH)2を用いるのが望ましい。
(2)リン酸カルシウムを含有する結晶種は、例えば骨炭、リン酸カルシウム、リン鉱石を用いることができ、特にランニングコストの面からリン鉱石が好適である。また、その粒径は、晶析反応速度と粉砕コストとの兼ね合いから0.15〜0.3mm程度であることが好ましい。すなわち、粒径が0.15mm未満では粉砕コストが高くなり、逆に0.3mm以上では晶析反応速度が遅くなる。
【0013】
次に、本発明に係る晶析脱リン装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る晶析脱リン装置の1実施形態を示す系統図である。
本発明に係る晶析脱リン装置は、原水供給装置と、消石灰乳供給装置と、晶析脱リン装置と、処理水循環装置とから主要部が構成される。
【0014】
原水供給装置では、下水処理水等のリン含有排水(リン濃度(PO4−P)=1〜10mg/l)が原水ピット2に供給され、原水ピット2に貯溜される。原水ピット2には、液面計2cが設けられており、予め設定した値よりも液面高さが高すぎたり又は低すぎたりすると警報を発するようになっている。尚、液面高さの設定は、リン含有排水の流入量と原水ピット2でのリン含有排水の滞留時間により決定される。原水ピット2に貯溜されたリン含有排水は、原水ポンプ2aにより所定量抜き出され、配管2bを介して流動床式の反応晶析槽1に供給される。このとき、流動床式の反応晶析槽1には、原水ポンプ2aにより供給されるリン含有排水と前記反応晶析槽1でリンを分離され循環水ポンプ4a1により配管4b1を介して供給される処理水とが合流した常に一定流量の液が供給される。
このように反応晶析槽1へ供給するリン含有排水の量が変動しても、循環水ポンプ4a1を使って処理水の循環量を調整することにより、反応晶析槽1へ供給する液量を一定にすることができるので、従来必要であった流量調整槽が不要となる。
【0015】
一方、消石灰乳供給装置では、タンクローリー車からカルシウム化合物及び/又はアルカリ剤である消石灰乳(例えばCa(OH)2として25%濃度)が消石灰乳受入タンク3に受け入れられ、貯蔵される。貯蔵された消石灰乳は、バルブV1を開として循環ラインを形成し、循環ポンプ3aを運転しながら配管3bを介して循環(攪拌)するようにすることで消石灰乳受入タンク3内の消石灰濃度を均一にすることができる。バルブV2を開とすることにより、循環ポンプ3aを運転しながら配管3b及び配管3cを介して流動床式の反応晶析槽1に消石灰乳を供給できる。
このとき、消石灰乳(例えばCa(OH)2として25%濃度)は、消石灰乳受入タンク3から循環ポンプ3aを介して流動床式の反応晶析槽1に供給する前に、処理水槽4から希釈水ポンプ4a2により配管4b2を介して供給される処理水により配管3c内で200倍に希釈され、流動床式の反応晶析槽1の流動床1aがpH=9.5〜12、好ましくは9.7〜11、Ca濃度=20〜100mg/l好ましくは20〜80mg/lに設定できるように自動制御されて供給される。
このようにリンと反応する成分であるCa2+イオン濃度及び/又はpHを高く設定することで、流動床におけるリン酸カルシウムの溶解状態を不安定域とし、結晶種表面へのリン酸カルシウムの析出を促進することができる。その結果、炭酸カルシウムが結晶種表面に析出しても、リン酸カルシウムの結晶種表面への析出は妨害されることなく、長期間に亘って安定に処理することが可能であり、更にリン含有排水の処理速度を速くすることができるため、従来よりも反応晶析槽1の容積を小さくすることが可能となる。
【0016】
晶析脱リン装置では、流動床式の反応晶析槽1の下部から所定流量のリン含有排水を後記するディストリビュータ1cに通過させて9〜11m/Hの範囲の線速度LVとなるように上向流を形成し、結晶種を流動化させて流動床を形成する。このとき、リン含有排水の流量変動を考慮して原水ポンプと循環ポンプの吐出量を制御して適性な流動床の流動状態(流動床の界面が乱れずに一定状態)を保つようにしている。
前記ディストリビュータ1cは、筒状体である円筒11の上部が前記円筒11の断面積を超える大きさの蓋である傘部材10で覆われており、かつ、前記円筒11の側面には開口部13を有しているので、
(1)流動床1aの上向流の流速分布が均一となるだけでなく、結晶種を流動化させる流速が確保できると共に、従来のように結晶種がディストリビュータの開口部(例えば筒状体の中空部)から反応晶析槽1の底部に落下しなくなる。
また、消石灰乳を流動床1aに注入してpH=9.7〜11、Ca濃度=20〜80mg/l、反応晶析槽内の処理水の空塔速度SV=10hr-1とし、結晶種とリンとを接触させることでリン含有排水から好適にリンを分離することができる。結晶種と接触したリンは、カルシウムヒドロキシルアパタイトとして有意に回収される。
最終回収物として得られるカルシウムヒドロキシルアパタイトは、過リン酸石灰等の原料として使用できるので有価物として回収でき、リサイクルができるので地球環境を汚さない。また、汚泥等の有機系のたんぱく質を含んだ含液分の高い(80〜95%)廃棄物と比較して、含液率が低いので搬送等の作業性が容易になる。
【0017】
処理水循環装置では、流動床式の反応晶析槽1内でリンを分離された排水が配管1bを介して処理水槽4に貯溜され、処理水の一部は、後段のpH調整槽(不図示)でpH値を中和処理された後河川に放流される。処理水の残りは、一部は循環水ポンプ4a1により配管4b1を介して反応晶析層1の下部へ戻され、また一部は希釈水ポンプ4により配管4b2を介して配管3cへと消石灰乳を希釈するための希釈水として供給される。
【0018】
次に、本発明の要部である流動床式の反応晶析槽1に設けられるディストリビュータ1cの構造について図2(a)〜図2(c)及び図3を参照して説明する。
ディストリビュータ1cは、
筒状体である円筒11の上端に設けられる蓋であり、末広がりの断面形状をした傘部材10と、
前記傘部材10の下部に設けられ、その周方向に4つの開口部13を有する前記円筒11と、
前記円筒11の下部外周に設けられた雄螺子11aと螺合する雌螺子をその内側に有するブッシング12と、
から主要部が構成される。
【0019】
蓋である傘部材10は、図2(a)に示すように、円筒11の上端を塞ぐために設けられ、断面形状が末広がりの形状をしている略円錐形状の部材である。
また、傘部材10の最大径Dは、後記する円筒11の外径dを超える大きさである。すなわち円筒11の平面視投影断面積よりも傘部材10の平面視投影断面積の方が大きくなるように設けられている。
傘部材10の頂角θは、結晶種の安息角から決定するのが好ましい。
このような形状とすることにより、以下のような作用・効果が得られる。
(1)結晶種が流動床1a内で堆積・沈降しようとしたときに、末広がりの傘部材10の表面に沿って堆積・沈降する。しかし傘部材10の表面は、頂上から両側に行くに従って下り勾配となっているため、結晶種は、傘部材10の左右両端部から仕切り板PLの上に落下しようとする。
(2)このとき、リン含有排水がディストリビュータ1cの下から供給されているので、図2(c)に示すような開口部13から噴出される液によって形成される上向流の流れに乗って結晶種が上に舞い上がる。
その結果、流動床1aの下部に設けられた仕切り板PLへの結晶種の堆積・沈降を好適に防止することができる。
また、円筒11の平面視投影断面積よりも傘部材10の平面視投影断面積の方が大きくなるように設けられているので、結晶種が落下する位置がディストリビュータ1cの開口部13から遠くなる。その結果、結晶種がディストリビュータ1cの開口部13から反応晶析槽1の底部に落下することがなくなる。
【0020】
円筒11は、円形の配管である。
円筒11の上部には、図2(b)に示すように、中心に対して90度に振り分けた位置に、4つの開口部13が周方向に沿って設けられている。開口部13の液噴出方向に、図2(b)中に2点鎖線で示すようなアングル材で形成した液案内通路を設けてやれば更に液の流れ方向を好適に規制することができる。
尚、実施形態では開口部13の形状は四角形であるが、円形でも6角形でも開口していればよい。また、開口部13の数は、振り分け角度を変更することにより、必要に応じて適宜変更することができる。
円筒11の下部は、図2(a)に示すように、上部の配管の肉厚よりも肉厚が薄く形成され、外周面には、全体に雄螺子12aが設けられている。
【0021】
ブッシング12は、図3に示すように、反応晶析槽1内の下部を半径方向に区画する仕切り板PLに、縦・横150mmピッチの間隔で開けた多孔板の孔に、図2(a)に示すようなフランジ部12bを固設され、複数個取り付けられる配管継手である。内側に雌螺子12aが設けられており、ディストリビュータ1cの円筒11の下部に設けられた雄螺子11aとブッシング12の内側に設けられた雌螺子12aとを螺合させることでディストリビュータ1cを仕切り板PLに取り付けることができる。
【0022】
ディストリビュータ1cの開口部13は、前記したように、円筒11の中心に対して90度に振り分けた位置の配管の周方向に沿って4つ設けられるが、開口部13を通過するときのリン含有排水の噴出速度は、開口部の大きさが例えば8〜12mm□(一辺が8mm〜12mmの正方形)のときに、0.07〜0.16m/sに設定するのが望ましい。このような速度とすることで上向流の線速度LVを流速分布の少ない均一な流れとすることができる。
尚、前記開口部13の形状、位置(振り分け角度)及び数は必要に応じて適宜変更することができる。
このような開口部を設けることにより、上向流の線速度LVを流速分布の少ない均一な流れとすることができるので、
(1)従来、反応晶析槽において、上向流の流速分布にムラが発生することにより生じていた結晶種の堆積や結晶種の流出が防止できる。
(2)結晶種の有効利用率が向上し、結晶種の流出による損失や堆積・沈降による利用率の低下がなくなるので結晶種の寿命が延びる。
(3)流動床のpH値が、従来のpH値よりも高く、かつ、均一となるため炭酸カルシウムの微結晶が発生しなくなる。従って、炭酸カルシウムの微結晶がリン含有化合物の結晶化を妨げることがないので、好適にリン含有化合物の結晶化が起る。
【0023】
【実施例】
次に、図1に示すような晶析脱リン装置を適用して、リン含有排水を処理したときの実施例について説明する。尚、本発明はこの実施例に限定されるものでない。
実施例
(1)原水処理量
リン含有排水(リン濃度(PO4−P)=2〜4mg/l)を平均100m3/日(最大200m3/日)の水量で処理した。
(2)カルシウム化合物及び/又はアルカリ剤
消石灰のうちJIS規格の特号より微粒子のもので、目開きが150メッシュ(Tyler標準篩)の篩上残分が0.05%以下のものを水に分散し懸濁液(消石灰乳)として使用した。消石灰乳の添加位置は流動床内である。
(3)流動床式の反応晶析槽内での反応条件
▲1▼処理水で希釈した10%のCa(OH)2水溶液を用い、Ca(OH)2の添加量が反応晶析槽内のpH=10〜10.5、Ca濃度=40〜70mg/lを維持するようにした。
▲2▼反応晶析槽内の上向流の線速度LV=10m/hrとした。
▲3▼結晶種として0.15〜0.30mm径のリン鉱石を使用した。
(4)ディストリビュータ1cの寸法(図2(a)参照)
傘部材10の大きさD:50mm
開口部13の大きさ:8〜12mm□(一辺が8mm〜10mmの正方形)
仕切り板PLから傘部材10の下端面までの高さh:24mm
【0024】
以上述べた実施例によれば、
(1)結晶種が反応晶析槽から外部へ流出することや結晶種が反応晶析槽の底部へ落下することは見られなかった。
(2)上向流の線速度LVは、9〜11m/hrの範囲に入っており、流速分布にはムラがなく安定した流動状態が維持できた。
(3)反応晶析槽内の処理水の空塔速度SVが10hr-1のとき、処理水中のリン濃度(PO4-P)は<0.4mg/lであった(一般排水基準は8mg/l)。
【0025】
【発明の効果】
以上説明した構成と作用からなる本発明によれば、以下の効果を奏する。
1.請求項1の発明によれば、流動床を利用した晶析脱リン装置において、リン含有排水を前記流動床の下部に均一に導入するためのディストリビュータを設け、このディストリビュータの筒状体の上部を前記筒状体の断面積を超える大きな蓋で覆い、更にこの筒状体の側面に開口部を設けたことにより、
(1)ディストリビュータに供給するリン含有排水の流量を調節することで結晶種を流動化させる最適な流速が確保できる。
(2)また、筒状体の断面積を超える大きな蓋で筒状体を覆うことにより、従来のように結晶種がディストリビュータの開口部(例えば筒状体の中空部)から反応晶析槽の底部に落下しなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る晶析脱リン装置の1実施形態を示す系統図である。
【図2】(a)本発明に係るディストリビュータの縦断面図である。
(b)図(a)のA−A′断面図である。
(c)流動床の上向流を示す図である。
【図3】本発明に係るディストリビュータを仕切り板に取り付ける場合の取り付け位置を示す平面図である。
【図4】従来の固定床式の晶析脱リン装置を示す系統図である。
【図5】従来の流動床式の晶析脱リン装置で使用されている反応晶析槽の内部を示す簡略図である。
【符号の説明】
1 反応晶析槽
1a 流動床
2 原水ピット
2a 原水ポンプ
3 消石灰乳受入タンク
3a 循環ポンプ
4 処理水槽
4a1 循環水ポンプ
4a2 希釈水ポンプ
V1,V2 バルブ
Claims (1)
- リン含有排水を反応晶析槽内に導入し、カルシウム化合物及び/又はアルカリ剤を添加すると共にリン酸カルシウムを含有する結晶種の流動床を形成しながら前記リン含有排水中のリンと前記結晶種とを接触させて、前記リン含有排水中のリンをリン酸カルシウム化合物として分離する晶析脱リン装置において、
前記リン含有排水を前記流動床の下部に均一に導入するためのディストリビュータを有し、このディストリビュータの筒状体の上部が前記筒状体の断面積を超える大きさの蓋で覆われており、かつ、前記筒状体の側面には開口部を有していることを特徴とする晶析脱リン装置。
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