JP4774168B2 - フラックス用洗浄剤組成物および洗浄方法 - Google Patents

フラックス用洗浄剤組成物および洗浄方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラックス用洗浄剤組成物および洗浄方法に関する。より詳細には、半田バンプ等を形成した後のフラックス残渣のみならず、アルカリイオン成分および、このアルカリイオン成分と、フラックス残渣とからなる生成物についての洗浄効果に優れたフラックス用洗浄剤組成物および洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フラックスの多くは、松脂を主成分としたものであって、半導体素子等を基板に半田付けした後に、フラックス残渣が存在していると、導体接合部の絶縁抵抗を低下させたり、導体接合部での腐食の発生原因となったりする。そのため、従来、フラックス用洗浄剤として、フロン系有機溶剤や塩素系有機溶剤が多用されてきたものの、近年、環境保護の面から、それらの使用が制限されるに至っている。
そこで、フロン系有機溶剤や塩素系有機溶剤に替わるフラックス残渣を少なくするためのフラックス用洗浄剤組成物が各種提案されている。
【0003】
例えば、特開平3−243698号公報には、(A)テトラフルフリルアルコールと、(B)特定のアミン系化合物または特定のエステル系化合物と、からなるフラックス等の清浄剤が開示されている。
また、特開平4−68095号公報には、(A)ノニオン系界面活性剤と、(B)N−メチルピロリドン等の有機溶剤と、からなるフラックス洗浄剤が開示されている。
【0004】
また、特開平5−43897号公報には、(A)界面活性剤と、(B)アルカリ金属塩のケイ酸塩等と、(C)(メタ)アクリル酸およびスルホン酸を単量体単位とした共重合体と、からなるアルカリ洗浄剤用組成物が開示されている。
また、特開平6−192694号公報や特開平7−118692号公報には、特定のグリコールエーテル化合物を所定量含み、フラックス中のイオン分と樹脂分を同時に除去することを意図した半田フラックス除去用洗浄剤が開示されている。
【0005】
また、特開平7−266028号公報には、(A)N−メチルピロリドンと、(B)特定のアルコールからなる酢酸エステルと、(C)所定量の水と、からなる半田付けフラックス用洗浄液組成物が開示されている。
また、特開平9−59683号公報には、(A)N−メチルピロリドン等の水溶性アミド化合物または水溶性ラクトン化合物と、(B)アルカノールアミンまたは4級低級アルキルアンモニウムヒドロキシドと、(C)所定量の水と、からなるフラックス除去用洗浄剤が開示されている。
【0006】
一方、特開平9−299893号公報には、硬質材料表面に付着した固体汚れを除去することを目的として、洗浄液の密度よりも高密度の粒子を0.01〜5重量%の割合で、洗浄液中に存在させて、超音波洗浄する洗浄方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、開示されたいずれのフラックス用洗浄剤も、構成成分が液体または液体可溶成分であって、化学的なフラックス除去効果のみを期待しており、フラックス残渣を機械的および物理的に除去する効果までは発揮することができなかった。
また、特開平9−299893号公報に開示された洗浄方法では、超音波洗浄を制限的に使用しなければならず、洗浄物が電子部品の場合、電気接合部分を損傷しやすいという問題が見られた。また、超音波洗浄により、高密度の粒子を硬質材料表面に付着した固体汚れに衝突させて、除去することのみを考慮しており、粒子によりアルカリイオン等を吸着させ、それによってフラックス残渣を十分除去することまではできなかった。
したがって、特開平9−299893号公報に開示された洗浄方法を、半田付け部におけるフラックス残渣の除去に適用した場合、フラックス残渣に含まれるアルカリイオン成分、さらにはフラックス残渣とアルカリイオン成分とが結合した生成物についての除去が不十分であって、半田付け部に白色生成物等が観察された。
【0008】
そこで、本発明の発明者らは、フラックス用洗浄剤組成物の主成分に対して、少なくともアルカリイオン吸着性を有する粒子状物(単に、粒子状物と称する場合がある。)を添加することにより、フラックス残渣、アルカリイオン成分、およびこのアルカリイオン成分とフラックス残渣とからなる白色生成物を、化学的、機械的および物理的に除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、フラックス残渣のみならず、フラックス残渣とアルカリイオン成分とからなる白色生成物等の洗浄効果についても極めて優れたフラックス用洗浄剤組成物および洗浄方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、水溶性アミド化合物およびグリコール化合物、あるいはいずれか一方の液体化合物を含むフラックス用洗浄剤に対して、少なくともアルカリイオン吸着性を有する平均粒径が0.01〜300μmの範囲内の値であるマグネシウムシリケート、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、およびゼオライトからなる群から選択される少なくとも一つの無機粒子状物を含み、無機粒子状物の添加量を、フラックス用洗浄剤組成物の主成分である水溶性アミド化合物およびグリコール化合物、あるいはいずれか一方の液体化合物100重量部に対して、0.01〜50重量部の範囲内の値とし、かつ、無機粒子状物が、塩基性物質の吸着能の目安として、水酸化カリウム吸着能を10〜201mg/gの範囲内の値とすることを特徴とするフラックス用洗浄剤組成物が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、フラックス用洗浄剤組成物中に、機械的および物理的除去効果(研磨効果と称する場合がある。)を発揮することが可能な粒子状物を含んでいるため、フラックス用洗浄剤組成物の主成分によって、化学的に膨潤等したフラックス残渣を、効率的に除去することができる。
また、フラックス用洗浄剤組成物中に含まれる粒子状物は、少なくともアルカリイオン吸着性も有するため、フラックス残渣のみならず、不要なアルカリイオン等を除去し、半田付け部における腐食原因を効果的に排除することができる。
さらに、かかるイオン吸着性を有する粒子状物を添加することにより、不要なアルカリイオン成分と、このアルカリイオン成分とフラックス残渣とが化学反応して生成した化合物についても、効果的に分解することができるため、極めて有効にフラックス残渣等を除去することができる。
また、無機粒子状物の添加量を、このように構成することにより、所定の洗浄効果が得られる一方、粒子状物自体の残渣も問題とならず、しかもフラックス用洗浄剤組成物の主成分に対する粒子状物の混合分散を、均一に行うことができる。
また、無機粒子状物の平均粒径を、このように構成すると、フラックス残渣を、より効率的に除去することができるとともに、フラックス用洗浄剤組成物の主成分に対する混合分散についてもより均一に行うことができる。
また、無機粒子状物をこのように構成すると、アルカリイオン成分、およびこのアルカリイオン成分とフラックス残渣とからなる生成物についての除去が促進され、フラックス残渣のみならず、これらの化合物についても効率的に除去することができる。
【0010】
また、本発明のフラックス用洗浄剤組成物を構成するにあたり、無機粒子状物が、塩基性物質のみならず酸性物質の吸着能を有することが好ましい。
このように構成すると、フラックス残渣の化学的除去が促進されるとともに、導体結合部における腐食原因となるアルカリイオン成分および酸イオン成分の両方についても、効率的に除去することができる。
【0011】
また、本発明のフラックス用洗浄剤組成物を構成するにあたり、無機粒子状物の比表面積(BET値)を50〜1,000m2/gの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成すると、比表面積が大きい粒子状物が、フラックス残渣や、不要なアルカリイオン成分等を吸着し、フラックス残渣の除去をさらに促進することができる。
【0012】
また、本発明のフラックス用洗浄剤組成物を構成するにあたり、アミン化合物およびアルキルアンモニウムヒドロキシド化合物、あるいはいずれか一方の化合物を、さらに含有することが好ましい。
このように構成すると、フラックス残渣の化学的除去がさらに促進され、フラックス残渣を、より効率的に除去することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、水溶性アミド化合物およびグリコール化合物、あるいはいずれか一方の液体化合物を含むフラックス用洗浄剤に対して、少なくともアルカリイオン吸着性を有する平均粒径が0.01〜300μmの範囲内の値であるマグネシウムシリケート、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、およびゼオライトからなる群から選択される少なくとも一つの無機粒子状物を含み、無機粒子状物の添加量を、フラックス用洗浄剤組成物の主成分である水溶性アミド化合物およびグリコール化合物、あるいはいずれか一方の液体化合物100重量部に対して、0.01〜50重量部の範囲内の値とし、かつ、無機粒子状物が、塩基性物質の吸着能の目安として、水酸化カリウム吸着能を10〜201mg/gの範囲内の値とすることを特徴とするフラックス用洗浄剤組成物である。
以下、本発明の実施の形態を、構成要件に分けて、具体的に説明する。
【0014】
1.フラックス用洗浄剤組成物の主成分
フラックス用洗浄剤組成物の主成分としては、フラックス残渣の洗浄性や取り扱い性等を考慮して定められるが、例えば、石油留分化合物、炭化水素系化合物、アルコール系化合物、アルカリ系化合物、水系化合物、水溶性アミド化合物、グリコール化合物、およびエステル類等の各種の化合物を一種単独または二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、従来公知の洗浄剤も使用することができ、例えば、上述した特開平3−243698号公報、特開平4−68095号公報、特開平5−43897号公報、特開平6−192694号公報、特開平7−118692号公報、特開平7−266028号公報、特開平9−59683号公報等に記載されたフラックス用洗浄剤組成物としての化合物を好適に使用することができる。
【0015】
ただし、上述したフラックス用洗浄剤組成物の主成分のうち、特に好ましい化合物として、水溶性アミド化合物およびグリコール化合物が挙げられる。
好ましい水溶性アミド化合物としては、具体的に、2−ピロリドン、N−アルキル−2−ピロリドン(例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン)、5−アルキル−2−ピロリドン(例えば、5−メチル−2−ピロリドン、5−エチル−2−ピロリドン、5−プロピル−2−ピロリドン)、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。
また、好ましいグリコール化合物としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノオクチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノオクチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノオクチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノオクチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジオクチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジオクチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジヘキシルエーテル、プロピレングリコールジオクチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールジオクチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジオクチルエーテル等が挙げられる。
また、エチレングリコールと、プロピレングリコールの両方が付加した形のグリコールエーテル化合物や、メトキシブタノールおよびメチルメトキシブタノール、さらには分子内に含まれるアルコール基がエステル化された化合物、例えば酢酸エステル化された化合物等も挙げられる。また、これらのグリコール化合物に、イソ体がある場合には、それについても好適に使用することができる。
【0016】
2.添加剤
また、フラックス用洗浄剤組成物に、添加剤として、以下に示すアミン化合物、アルキルアンモニウムヒドロキシド化合物、界面活性剤および水等をさらに添加することが好ましい。
【0017】
(1)アミン化合物
フラックス残渣をより効率的に除去するため、フラックス用洗浄剤組成物に対して、アミン化合物を添加することが好ましい。
ここで、好ましいアミン化合物として、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジブタノールアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−シクロヘキジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン等が挙げられる。また、これらのアミン化合物に、イソ体がある場合には、それについても好適に使用することができる。
また、アミン化合物を添加する場合、その添加量を、フラックス用洗浄剤組成物の主成分100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるアミン化合物の添加量が、0.1重量部未満の値となると、添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、50重量部を超えた値となると、フラックスの除去効率が逆に低下する場合があるためである。
したがって、アミン化合物の添加量を、フラックス用洗浄剤組成物の主成分100重量部に対して、1〜30重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0018】
(2)アルキルアンモニウムヒドロキシド化合物
また、フラックス残渣をより効率的に除去するため、フラックス用洗浄剤組成物に対して、アルキルアンモニウムヒドロキシド化合物を添加することも好ましい。
ここで、好ましいアルキルアンモニウムヒドロキシド化合物として、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルエチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0019】
また、アルキルアンモニウムヒドロキシド化合物を添加する場合、その添加量を、フラックス用洗浄剤組成物の主成分100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるアルキルアンモニウムヒドロキシド化合物の添加量が、0.1重量部未満の値となると、添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、50重量部を超えた値となると、フラックスの除去効率が逆に低下する場合があるためである。
したがって、アルキルアンモニウムヒドロキシド化合物の添加量を、フラックス用洗浄剤組成物の主成分100重量部に対して、1〜30重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0020】
(3)界面活性剤
また、フラックス用洗浄剤組成物がフラックス残渣中に浸透しやすいように、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、あるいはノニオン系界面活性剤等の界面活性剤を添加することも好ましい。
ここで、好ましい界面活性剤として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド、脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。
また、界面活性剤を添加する場合、その添加量を、フラックス用洗浄剤組成物の主成分100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる界面活性剤の添加量が、0.1重量部未満の値となると、添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、50重量部を超えた値となると、フラックスの除去効率が逆に低下する場合があるためである。
したがって、界面活性剤の添加量を、フラックス用洗浄剤組成物の主成分100重量部に対して、1〜30重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0021】
(4)水
また、フラックス用洗浄剤組成物を不燃化したり、粘度を調整したりするために、水を添加することも好ましい。
その場合、水の添加量を、フラックス用洗浄剤組成物の主成分100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる水の添加量が、0.1重量部未満の値となると、添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、50重量部を超えた値となると、フラックスの除去効率が低下する場合があるためである。
したがって、水の添加量を、フラックス用洗浄剤組成物の主成分100重量部に対して、1〜30重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、後述する洗浄物の乾燥を短時間で行い、半田の酸化を有効に防止するためには、一例として、逆にフラックス用洗浄剤組成物に水を添加しないことも好ましい。その場合、フラックス用洗浄剤組成物における含水量を1重量%以下の値とすることが好ましく、0.5重量%以下の値とすることがより好ましく、0.1重量%以下の値とすることがさらに好ましい。
【0022】
3.粒子状物
(1)種類1
アルカリイオン吸着性を有する無機粒子状物であれば、その種類は特に問わないが、例えば、SiO2と、MgOやCaOなどのアルカリ土類金属酸化物とからなる粒子状物や、SiO2とAl23などの両性金属酸化物とからなる粒子状物が優れたアルカリイオン吸着性を示すことから好ましい。より具体的には、マグネシウムシリケート(ケイ酸マグネシウム、2MgO・6SiO2・xH2O)、アルミニウムシリケート(ケイ酸アルミニウム、Al23・9SiO2・xH2O)、カルシウムシリケート(ケイ酸カルシウム)等が挙げられる。
また、ハイドロタルサイト(水酸化アルミニウム・マグネシウム炭酸塩水和物)、カオリン(Al2・Si25・(OH)4)、タルク(Mg3・Si410・(OH)2)、シラス、ゼオライト、酸性白土(モンモリロナイト系粘土)およびこれらの酸処理物、さらには、カーボンブラック、活性炭等も好ましい粒子状物として挙げられる。
【0023】
また、イオン吸着性を有する粒子状物が、塩基性物質を吸着できることが好ましい。
このように塩基性物質を吸着することができれば、半田付け部における腐食原因となるアルカリイオン成分を効果的に除去できるためである。
ここで、塩基性物質の吸着性の目安として、水酸化カリウム吸着能(濃度0.4%KOH・ジプロピレングルコール溶液に、濃度1重量%の粒子状物を添加し、95℃、30分の条件で放置した後の、水酸化カリウム吸着量)が、10mg/g以上の値であることが好ましく、50mg/g以上の値であることが好ましく、100mg/g以上の値であることがさらに好ましい。
この理由は、かかる水酸化カリウム吸着能が10mg/g未満の値となると、腐食等の原因となるアルカリイオン成分を、効果的に吸着できない場合があるためである。
【0024】
また、アルカリイオン吸着性を有する粒子状物が、塩基性物質の吸着性のみならず、酸性物質についても吸着できることが好ましい。
この理由は、このように塩基性物質および酸性物質を吸着することができれば、半田付け部における腐食原因となるアルカリイオン成分のみならず、塩素イオン成分等についても効果的に除去できるためである。
ここで、酸性物質の吸着性の目安として、塩酸吸着能(濃度0.03%HCl
・ジプロピレングルコール溶液に、濃度0.25重量%の粒子状物を添加し、60℃、60分の条件で放置した後の塩酸吸着量)が、10mg/g以上の値であることが好ましく、20mg/g以上の値であることが好ましく、30mg/g以上の値であることがさらに好ましい。
この理由は、かかる水酸化カリウム吸着能が10mg/g未満の値となると、腐食等の原因となる酸性物質を、効果的に吸着できない場合があるためである。
【0025】
(2)種類2
また、フラックス残渣に対する研磨力を向上させるように、アルカリイオン吸着性を有しない無機粒子状物を、アルカリイオン吸着性を有する粒子状物と併用することも好ましい。
このようなアルカリイオン吸着性を有しない無機粒子状物としては例えば、アルミニウム、チタニウム、鉄、ニッケル、銅、ジルコニウム、銀、タングステン、白金、金、鉛、半田、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化タングステン、酸化鉛、酸化セリウム、ガラス類、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、窒化ほう素、窒化チタン、リン化物、ヒ化物類、黒鉛化合物、炭化ほう素、炭化チタン、炭化珪素、ジルコンカーバイド、炭化タングステン、炭化モリブデン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
特に、これらの粒子状物のうち、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および炭酸カルシウムを併用することにより、フラックス残渣の洗浄性が向上するとともに、残留する粒子状物の量が低下することから好ましい種類である。
なお、これらの粒子状物を添加する場合、その添加量を、アルカリイオン吸着性を有する粒子状物100重量部に対して、0.1〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
【0026】
(3)表面処理
また、アルカリイオン吸着性を有する粒子状物と、上述したフラックス用洗浄剤組成物の主成分とが、均一に混合するとともに、粒子状物が容易に沈降しないように、粒子状物の周囲を表面処理することが好ましい。
ここで、好ましい表面処理剤の種類として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルーアミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルフォスファイト)チタネート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0027】
また、表面処理剤の使用量を、アルカリイオン吸着性を有する粒子状物100重量部に対して、0.1〜50重量部の割合とすることが好ましい。
この理由は、かかる表面処理剤の処理量が0.1重量部未満の値となると、表面処理剤の添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、かかる表面処理剤の処理量が50重量部を超えると、粒子状物による、アルカリイオン吸着性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、表面処理剤の使用量を、アルカリイオン吸着性を有する粒子状物100重量部に対して、1〜30重量部の割合とすることがより好ましく、3〜20重量部の割合とすることがさらに好ましい。
【0028】
(4)添加量
また、粒子状物の添加量を、フラックス用洗浄剤組成物の主成分100重量部に対して、0.01〜50重量部の割合で添加することが必要である。
この理由は、かかる粒子状物の添加量が0.01重量部未満の値となると、フラックスの除去効率が極端に低下する場合があるためである。
一方、かかる粒子状物の添加量が50重量部を超えると、粒子状物が導体接合部に残留する場合があるためであり、また、主成分に対して、均一に混合分散することが困難となる場合があるためである。
したがって、粒子状物の添加量を、フラックス用洗浄剤組成物の主成分100重量部に対して、0.1〜30重量部の割合で添加することが好ましく、1〜20重量部の割合で添加することがさらに好ましい。
なお、粒子状物の添加量が、全体量の5重量%を超えると、洗浄物におけるフラックスの除去効率が極端に上昇し、短時間で除去できる一方、上述した種類のアルカリイオン吸着性を有する粒子状物であれば、添加量が全体量の5重量%を超えても、粒子の凝集等が生じないことが判明している。したがって、フラックスの除去効率や取り扱い性から判断すれば、全体量の5重量%を超える値は、好ましい粒子状物の添加量であると言える。
【0029】
(5)平均粒径1
また、粒子状物の平均粒径は、フラックス残渣の洗浄性と、粒子状物の取り扱い性等を考慮して定めることが好ましいが、0.01〜300μmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる粒子状物の平均粒径が0.01μm未満の値となると、フラックスの除去効率が低下する場合があるためである。一方、かかる粒子状物の平均粒径が300μmを超えると、粒子状物が過度に沈降しやすくなったり、主成分に対して、均一に混合分散したりすることが困難となる場合があるためである。
したがって、粒子状物の平均粒径を1〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、10〜50μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0030】
なお、アルカリイオン吸着性を有する粒子状物の平均粒径が30μmを超えると、フラックス残渣の除去効率に優れる一方、洗浄物に残留する粒子状物の割合が極端に少なくなり、しかも、仮に残留したとしても、容易に洗浄除去できることが判明している。したがって、フラックス残渣の除去効率や取り扱い性から判断すれば、粒子状物の平均粒径が30μmを超える値は、好ましい粒子状物の平均粒径であると言える。
【0031】
(6)平均粒径2
また、平均粒径が異なる複数のアルカリイオン吸着性を有する粒子状物を添加することが好ましい。例えば、半導体素子における半田バンプ等の周囲のフラックス残渣を洗浄除去する場合であっても、平均粒径が比較的小さい粒子状物であれば、隣接する半田バンプ間に容易に浸入することができる。したがって、平均粒径が異なる複数のアルカリイオン吸着性を有する粒子状物を含むフラックス用洗浄剤組成物は、微細な洗浄物の場合であっても、効率的にフラックス残渣を除去することができる。
一方、ピッチの大きい回路基板表面等の半田フラックスを洗浄除去する場合には、平均粒径が比較的大きく、優れた研磨力やアルカリイオン吸着性を発揮する粒子状物が、容易にフラックス残渣を除去することができる。したがって、平均粒径が異なる複数のアルカリイオン吸着性を有する粒子状物を含むフラックス用洗浄剤組成物は、比較的大きな洗浄物の場合であっても、効率的にフラックス残渣を除去することができる。
なお、平均粒径が異なる複数のアルカリイオン吸着性を有する粒子状物を使用する場合、例えば、平均粒径が10μm未満のアルカリイオン吸着性を有する粒子状物と、平均粒径が10μm以上のアルカリイオン吸着性を有する粒子状物とを併用することが好ましい。
【0032】
(7)比表面積
また、粒子状物の比表面積(BET値)は、フラックス残渣の洗浄性と、粒子状物の取り扱い性等を考慮して定めることが好ましいが、例えば、50〜1、000m2/gの範囲内の値とすることが好ましい。すなわち、粒子状物が所定の表面積を有するように多孔質物質であることが好ましい。
この理由は、かかる粒子状物の比表面積が50m2/g未満の値となると、フラックスの除去効率が低下する場合があるためである。一方、かかる粒子状物の比表面積が1、000m2/gを超えると、粒子状物が微小化し、取り扱いが困難となる場合があるためである。
したがって、粒子状物の比表面積を100〜800m2/gの範囲内の値とすることが好ましく、150〜600m2/gの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0033】
(8)真比重
また、粒子状物の真比重は、フラックス残渣の洗浄性と、粒子状物の取り扱い性等を考慮して定めることが好ましいが、例えば、1〜5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる粒子状物の真比重が1未満の値となると、フラックス用洗浄剤組成物の主成分に対して、均一に混合分散することが困難となり、フラックスの除去効率が低下する場合があるためである。一方、かかる粒子状物の真比重が5を超えると、粒子状物が沈降しやすくなり、逆に均一に混合分散することが困難となる場合があるためである。
したがって、粒子状物の真比重を1.1〜3の範囲内の値とすることが好ましく、1.5〜2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0034】
4.フラックス用洗浄剤組成物
(1)粘度
また、フラックス用洗浄剤組成物の粘度は、フラックス残渣の洗浄性と、フラックス用洗浄剤組成物の取り扱い性等を考慮して定めることが好ましいが、例えば、1000mPa・s(測定温度25℃)以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるフラックス用洗浄剤組成物の粘度が1000mPa・sを超えると、フラックスの除去効率が低下する場合があるためである。
したがって、フラックス用洗浄剤組成物の粘度を500mPa・s以下の値とすることが好ましく、100mPa・s以下の値とすることがさらに好ましい。
【0035】
(2)光透過率
また、フラックス用洗浄剤組成物を使用する前に、その光透過率(光吸収率)を測定し、粒子状物の添加量や、粒子状物が均一に分散されていることを、間接的に検査することが好ましい。
すなわち、粒子状物の添加量および分散性と、フラックス用洗浄剤組成物における光透過率との間には、相関関係があるため、予めその関係は把握し、検定曲線を作成しておくことが好ましい。そして、後述するフラックス用洗浄剤組成物のリサイクル経路に、光透過率測定部位を組み込み、粒子状物の添加量および分散性を管理することが好ましい。
【0036】
5.洗浄方法
(1)洗浄工程
フラックスの除去は、洗浄槽内にフラックス用洗浄剤組成物を仕込み、例えば、液温を20〜100℃程度の温度範囲に制御した後、フラックスが付着した洗浄物を全体的または部分的に浸漬して行うことが好ましい。
また、より効率的に洗浄するには、スプレー、エアーバブリング、超音波振動、液流、噴流、バレル回転力、揺動運動等を組み合わせて洗浄処理を行うことも好ましい。
【0037】
また、洗浄時間は、洗浄温度や洗浄物の大きさ等にもよるが、例えば、10mm×10mm角のICチップであれば、所定温度において、5分以内の洗浄時間で、十分に、フラックス残渣を除去できることが判明している。
したがって、通常、20〜100℃の温度範囲で、洗浄時間を1秒〜60分の範囲内の値とすることが好ましく、1分〜20分の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、周波数が100〜1,000Hzの超音波振動を加えた場合には、他の条件は同条件において、1分以内で、フラックス残渣を十分除去できることも判明している。
【0038】
(2)リンス工程および乾燥工程
また、フラックス用洗浄剤組成物による洗浄後は、図1のフローチャートが示すように、水リンス工程、アルコールリンス工程、乾燥工程等を順次設け、洗浄物に付着したフラックス用洗浄剤組成物自体の除去を行うことが好ましい。
なお、乾燥工程における、半田の酸化を有効に防止するためには、窒素ガス等の不活性ガス中で乾燥させるか、あるいは、乾燥温度を、例えば100℃以下の値とすることが好ましい。
【0039】
(3)検査工程
また、洗浄物の乾燥後に、フラックス残渣はもちろんのこと、アルカリイオン成分と結合したフラックス残渣やフラックス用洗浄剤組成物自体が残留していないか検査することが好ましい。
その場合、フラックス用洗浄剤組成物に添加した粒子状物の特性X線強度(例えば、Si、Mg、Al等)を測定することが好ましい。すなわち、かかるX線強度が測定限界以下であれば、洗浄結果に相関関係があり、粒子状物はもちろんのこと、フラックス残渣や、それと結合したアルカリイオン成分等も十分に除去されていることが判明している。
【0040】
6.回収方法
フラックス用洗浄剤組成物をリサイクル使用するに際して、図2に示すように、洗浄槽10と、フラックス用洗浄剤組成物回収槽12と、粒子状物回収槽14と、粒子状物充填槽16とからリサイクル経路を構成し、フラックス残渣やアルカリイオン成分を吸着した粒子状物を回収することが好ましい。
その場合、フラックス用洗浄剤組成物と、粒子状物との比重差を利用して、粒子状物を回収することが好ましい。より具体的には、フラックス用洗浄剤組成物のリサイクル経路に、粒子状物回収槽として、例えば、沈降槽やフィルター部を設けることが好ましい。また、図示しないが、粒子状物回収槽の付近で、回収すべき粒子状物が凝集して、沈降しやすいように、凝集剤を添加することも好ましい。
また、リサイクル経路の粒子状物回収槽を経過した地点に、回収した粒子状物量に対応して、新たな粒子状物を添加する粒子状物充填槽を設けることが好ましい。その場合、粒子状物の存在割合が均一になるように、バッファ−槽を設けることも好ましい。
そして、このように構成することにより、優れたフラックス洗浄効果を有するフラックス用洗浄剤組成物を、洗浄槽に対して、効果的にリサイクルすることができる。
なお、図2に示すリサイクル経路には、アルコール洗浄工程や水洗浄工程において回収されるフラックス用洗浄剤組成物のリサイクル経路については、省略してある。
【0041】
【実施例】
以下、実施例をもとに、本願発明の内容を詳細に説明する。ただし、言うまでも無く、本願発明の内容は、特に記載がない限り、実施例の記載に制限されるもので無い。
【0042】
[実施例1]
(1)フラックス用洗浄剤組成物の準備
容器内に、N−メチルピロリドン100重量部に対して、トリエタノールアミンを5重量部仕込んだ後、さらに、アルカリイオン吸着性を有する粒子状物として、マグネシウムシリケート(ケイ酸マグネシウム、2MgO・6SiO2・xH2O、比表面積150m2/g、KOH吸着能194mg/g、塩酸吸着能34mg/g、真比重1.99)を20重量部仕込んだ。
そして、容器内の温度を、周囲に設けたヒーターにより75℃に昇温させるとともに、スターラーを用いて均一になるまで攪拌し、白色懸濁状のフラックス用洗浄剤組成物を得た。
【0043】
(2)フラックス用洗浄剤組成物の評価
(2)−1 フラックス残渣の洗浄性
温度を75℃に保持するとともに、スターラー(500rpm)で緩やかに攪拌した状態のフラックス用洗浄剤組成物に対して、半田ボールからなるバンプが形成され、フラックスが付着した状態のチップ(10mm×10mm)を投入した。
5分後に、スターラーの回転を止めるとともに、容器内からチップを取り出し、それをリンス乾燥した後に、光学顕微鏡で、バンプ周辺を観察し、以下の基準で、フラックス残渣の洗浄性を評価した。
◎:フラックス残渣および白色生成物が全く観察されない。
○:フラックス残渣および白色生成物がほとんど観察されない。
△:フラックス残渣および白色生成物が少々観察される。
×:フラックス残渣および白色生成物が顕著に観察される。
【0044】
(2)−2 粒子状物の残留性
(2)−1と同様に、容器内からチップを取り出し、光学顕微鏡で、バンプ周辺を観察し、以下の基準で、粒子状物の残留性を評価した。
◎:粒子状物が全く観察されない。
○:粒子状物がほとんど観察されない。
△:粒子状物が少々観察される。
×:粒子状物が顕著に観察される。
【0045】
[実施例2〜4]
実施例1において、マグネシウムシリケートの添加量を5重量部(実施例2)、10重量部(実施例3)、および15重量部(実施例4)としたほかは、同様にフラックス用洗浄剤組成物を作成して、評価した。
【0046】
[実施例5〜8]
実施例1〜4において、マグネシウムシリケートのかわりに、アルミニウムシリケート(ケイ酸アルミニウム、Al23・9SiO2・xH2O、比表面積540m2/g、KOH吸着能201mg/g、塩酸吸着能23mg/g、真比重1.98)を用いたほかは、同様にフラックス用洗浄剤組成物を作成して、評価した。
【0047】
[実施例9]
実施例5において、アルミニウムシリケート20重量部とともに、シリカ微粒子(アエロジル#200)を5重量部用いたほかは、同様にフラックス用洗浄剤組成物を作成して、評価した。
【0048】
[実施例10]
実施例5において、アルミニウムシリケート20重量部とともに、粒子状の炭酸ナトリウムを10重量部用いたほかは、同様にフラックス用洗浄剤組成物を作成して、評価した。
【0049】
[比較例1]
実施例1において、アルカリイオン吸着性を有する粒子状物として、マグネシウムシリケートを添加しなかったほかは、同様にフラックス用洗浄剤組成物を作成して、評価した。
【0050】
[比較例2〜4]
比較例2では、実施例1において、マグネシウムシリケートのかわりに、ポリエチレン粒子(住友精化(株)製、UF−4、平均粒径20μm)を用い、比較例3では、酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業(株)製、平均粒径1.5μm)を用い、比較例4では、酸化アルミニウム(和光純薬工業(株)製、平均粒径1μm)を用いたほかは、同様にフラックス用洗浄剤組成物を作成して、評価した。
【0051】
【表1】
Figure 0004774168
【0052】
【発明の効果】
本発明のフラックス用洗浄剤組成物によれば、少なくともアルカリイオン吸着性を有する粒子状物を添加することにより、フラックス残渣、およびこのフラックス残渣とアルカリイオン成分とからなる生成物を、化学的のみならず、機械的および物理的にも除去できるため、フラックス残渣等の洗浄効果に極めて優れたフラックス用洗浄剤組成物および洗浄方法を提供することができるようになった。
したがって、本発明のフラックス用洗浄剤組成物は、一般的な半田付け作業の後のフラックス除去作業に使用することができるばかりか、半導体素子に対する半田バンプの形成後や、この半田バンプを利用した半導体素子の回路基板への電気接続後等の不純物イオンによる導体腐食が特に問題となる用途に、より好適に使用することができる。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフラックス用洗浄剤組成物を用いた洗浄方法のフローチャートである。
【図2】 本発明のフラックス用洗浄剤組成物を用いた洗浄工程を説明するために供する図である。

Claims (7)

  1. 水溶性アミド化合物およびグリコール化合物、あるいはいずれか一方の液体化合物を含むフラックス用洗浄剤に対して、
    少なくともアルカリイオン吸着性を有する平均粒径が0.01〜300μmの範囲内の値であるマグネシウムシリケート、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、およびゼオライトからなる群から選択される少なくとも一つの無機粒子状物を含み、
    前記無機粒子状物の添加量を、前記フラックス用洗浄剤組成物の主成分である水溶性アミド化合物およびグリコール化合物、あるいはいずれか一方の液体化合物100重量部に対して、0.01〜50重量部の範囲内の値とし、かつ、
    前記無機粒子状物が、塩基性物質の吸着能の目安として、水酸化カリウム吸着能を10〜201mg/gの範囲内の値とすることを特徴とするフラックス用洗浄剤組成物。
  2. 前記無機粒子状物が、塩基性物質のみならず酸性物質の吸着能を有することを特徴とする請求項1に記載のフラックス用洗浄剤組成物。
  3. 前記無機粒子状物が、酸性物質の吸着能の目安として、塩酸吸着能を10mg/g以上の値とすることを特徴とする請求項2に記載のフラックス用洗浄剤組成物。
  4. 前記無機粒子状物の比表面積(BET値)を50〜1,000m2/gの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフラックス用洗浄剤組成物。
  5. アミン化合物およびアルキルアンモニウムヒドロキシド化合物、あるいはいずれか一方の化合物を、さらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のフラックス用洗浄剤組成物。
  6. 前記フラックス残渣に対する研磨力を向上させるべく、アルカリイオン吸着性を有しない無機粒子状物を配合し、前記アルカリイオン吸着性を有する無機粒子状物と併用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のフラックス用洗浄剤組成物。
  7. 被洗浄物に付着したフラックス残渣、アルカリイオン成分、およびこのアルカリイオン成分と、フラックス残渣とからなる生成物を、それぞれ化学的のみならず、機械的および物理的に除去するフラックス用洗浄剤組成物を用いた洗浄方法であって、
    水溶性アミド化合物およびグリコール化合物、あるいはいずれか一方の液体化合物を含むフラックス用洗浄剤に対して、
    少なくともアルカリイオン吸着性を有する平均粒径が0.01〜300μmの範囲内の値であるマグネシウムシリケート、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、およびゼオライトからなる群から選択される少なくとも一つの無機粒子状物を含み、
    前記無機粒子状物の添加量を、前記フラックス用洗浄剤組成物の主成分である水溶性アミド化合物およびグリコール化合物、あるいはいずれか一方の液体化合物100重量部に対して、0.01〜50重量部の範囲内の値とし、かつ、
    前記無機粒子状物が、塩基性物質の吸着能の目安として、水酸化カリウム吸着能を10〜201mg/gの範囲内の値とすることを特徴とするフラックス用洗浄剤組成物を準備する工程と、 前記フラックス用洗浄剤組成物を用いて、前記被洗浄物を洗浄する工程と、
    前記被洗浄物を、リンスするリンス工程と、
    前記被洗浄物を、乾燥させる乾燥工程と、を順次含み、
    さらに、前記フラックス用洗浄剤組成物から、前記フラックス残渣やアルカリイオン成分が付着した無機粒子状物を回収する回収工程を含むことを特徴とするフラックス用洗浄剤組成物を用いた洗浄方法。
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