JP4772985B2 - ロードセル及び荷重検出計 - Google Patents

ロードセル及び荷重検出計 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロードセル及びこのロードセルを使用した荷重検出計に関し、特に、荷重によって歪みを生じる構造物に取り付けるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば荷重によって歪みを生じる構造物に取り付けるロードセルを使用した荷重検出計としては、例えば鉄道等のレール上を走行する車両の輪重を測定する輪重計がある。この輪重計に使用するロードセルとしては、例えばレールにおいて、車両が通過したときに歪む起歪部分に、剪断力を検出するように、ストレインゲージを貼着するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
輪重計は長期の使用が求められている。しかるに、上述したロードセルを輪重計に使用した場合、ストレインゲージの接着は、施行現場において常温硬化の接着剤によって行わなければならない。そのため、工場等においてストレインゲージを接着するために使用している加熱硬化の接着剤と比較した場合、寿命が短く、ロードセルの耐用年数が制限され、例えば約1年程度しか使用することができない。しかも、ストレインゲージを接着する構成では、充分なシール構造とすることができず、このことも耐用年数が制限される原因になっていた。更に、接着によってレールに取り付けているので、ストレインゲージの交換や、或いは既に接着したストレインゲージを流用して、別の場所で輪重を測定することもできない。
【0004】
上述したものの他に、レールの側方に、車両の車輪がレールから浮いた状態で乗り上げる計量載台を設け、これにストレインゲージを設けるものもある。この場合、計量載台がレールから分離独立しているので、測定するために、静定時間が必要であり、低速で車両を走行させるか、停止させる必要がある。一般に、輪重計は、運用上、車両の走行中に測定することが求められることがある。また、計量載台に車両の車輪が乗り上げる際に、ロードセルに衝撃が作用し、ロードセルの破損や、部品の脱落の可能性がある。特に、脱落した部品が車輪に巻き込まれたりすると、最悪の場合、脱線することもある。さらに、乗り上げた際に車輪に傷がつくこともある。
【0005】
本発明は、上記の各問題点をそれぞれ解決したロードセルを提供することを目的とする。さらに、このロードセルを使用した荷重計を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によるロードセルは、車輪の荷重によって歪みを生じるレールの起歪部の両側面にそれぞれ設けられるものである。このロードセルは、前記レールの両側面それぞれに、前記レールの長さ方向に間隔をあけて配置された2つの台座と、これら2つの台座間に前記レールの両側面の同一位置に位置するように取り付けられた剪断力検出用ブロックとを、具備している。前記検出ブロックは、前記2つの台座と接触する第1の面と、第1の面と対向する第2の面とを有する直方体状のブロックで、第2の面の四隅に、第2の面から第1の面に貫通するように設けたボルト挿通孔に挿入されたボルトによって前記2つの台座に固定される。前記検出ブロックにおける前記2つの台座に非固定部分の上下方向からそれぞれ円弧状に切り欠いて、その残りの部分に中央縦断面形状がコ字の窪みを形成し、この窪みの底部に剪断力を検出するようにストレインゲージが設けられている。前記2つの台座のうち一方に近い前記非固定部分の上面側から下面側に向かって直線状に伸び、かつ第1及び第2の面に貫通した第1の切り込みと、この第1の切り込みの前記窪み側によった位置の前記下面側から前記上面側に向かって直線状に伸び、かつ第1及び第2の面に貫通した第2の切り込みとを、設け、第1及び第2の切り込みの重なり合う部分間に存在する部分によって屈曲部が形成されている。
【0017】
上述したロードセルを使用して荷重検出計を構成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施形態のロードセル2は、荷重計、例えば輪重計に使用されている。ロードセル2は、図1(a)に示すように、構造物、例えば1本のレール4に、その長さ方向に所定の間隔をあけて、同図(b)及び図3に示すようにレール4の内外の両側面の同一位置にそれぞれ取り付けられている。従って、4つのロードセル2が使用されている。
【0019】
図1(a)に示すように、レール4の下方に設けたベース6に切り欠き8が形成されている。この切り欠き8の上方に位置するレール4の部分は、その上を車両の車輪が通過するとき、下方に変位する起歪部となる。この切り欠き8の両端部付近に対応するレール4の両側面に、ロードセル2が設けられている。これは両持ち梁にその長さ方向に間隔をあけて、ロードセル2を設けたのと等価である。
【0020】
これらロードセル2は、図2に拡大して示すように、複数、例えば2つの取付部、例えば台座10a、10bを有している。これら台座10a、10bは、扁平な直方体状に形成され、レール4の長さ方向に間隔をおいて配置されている。
台座10a、10bは同一の形状に形成され、それらにおけるレール4と反対側の面に跨って検出ブロック12が取り付けられている。台座10a、10bにおける検出ブロック12の取付面がレール4に平行な同一面上にそれぞれ位置するように、台座10a、10bの位置が調整され、かつレール4に溶接によって固定されている。
【0021】
検出ブロック12は、概略直方体状に形成され、レール4の長さ方向に沿う両端部が、複数の取付具、例えば4つのボルト14によって、着脱自在に台座10a、10bに取り付けられている。これらボルト14は、検出ブロック12の台座10a、10bと接触している面と反対側の面における4隅から、台座10a、10b側に挿通されている。このロードセル2は、レール4に予め固定した台座10a、10bに検出ブロック12を着脱自在に取り付ける構成であるので、もし検出ブロック12が故障したとしても、容易に新しい検出ブロック12に交換することができるし、また、別の場所で輪重を測定する場合、その別の場所に別の台座10a、10bを取り付けておけば、現在使用中の検出ブロック12を別の場所での測定に流用することができる。さらに、レール4の側面にロードセル2は取り付けられ、レール4の変位を検出するものであるので、車両を停止または低速走行させる必要がなく、車両の車輪が乗り上げる必要のある部品も存在しない。
【0022】
検出ブロック12では、図4(a)に示すように、台座10a、10bと接触する面と対向している面の4隅から、台座10a、10bと接触している面に向けて貫通したボルト挿通孔16a乃至16dが穿設されている。これらボルト挿通孔16a乃至16dのうち、図1の切り込み8の中央側に近い位置にあるボルト挿通孔16a、16bが形成されている部分が、可動部18とされ、切り込み8の中央から離れた位置にあるボルト16c、16dが形成されている部分が固定部20とされている。即ち、可動部18と固定部20とが、それぞれ台座10a、10bに取り付けられている。
【0023】
この可動部18と固定部20との間に、荷重検出部22が形成されている。この荷重検出部22は、可動部18と固定部22との間を、その上下方向から例えば円弧状に切り欠いて、その残りの部分に、図4(f)に示すように中央縦断面形状がコ字状となる円形の窪み24を形成したものである。この窪み24の中心は、検出ブロック12の短辺方向の中心を長辺に平行に通る中心軸上に位置している。この窪み24の半径は、中心軸から各ボルト挿通孔16a乃至16dまでの最短距離よりも短く形成されている。またボルト挿通孔16a乃至16dの直径よりも窪み24の直径の方が大きい。
【0024】
図4(f)に示す窪み24の底部24aの図4(a)に一点鎖線で示した領域26に、剪断力を検出するように複数、例えば4つのストレインゲージが貼着されている。剪断力を検出するために、ストレインゲージをどのように配置するかは公知であるので、詳細な説明は省略する。また、ストレインゲージは、熱硬化性の樹脂によって強固に窪み24の底面24aに貼着されている。この熱硬化性樹脂による接着は、工場でしか行えないものであり、このロードセル2を取り付ける現場においては不可能なものである。なお、窪み24の上下に円弧状の切り欠きを形成してあるのは、4本のボルト16a乃至16dによって検出ブロック12の4隅を台座10a、10bに強固に固定してあるので、円弧状の切り欠きを設けなければ、ストレインゲージに印加される剪断力が小さくなるからである。
【0025】
図5(a)に示すように、窪み24内には、封止用のシリコン等の柔軟性を有する樹脂28が、窪み24の開口付近まで充填されている。この樹脂28の表面を、窪み24の開口よりも若干小さい円形の金属板30によって覆い、シールしてある。このような樹脂28と金属板30とによるシールも、施工現場で行えるものではなく、工場でしか行えない。
【0026】
或いは、図5(b)に示すように樹脂28の表面に、窪み24の開口と同じ大きさの金属板30aを配置し、TIG溶接によって開口の周縁部に固定してある。このようなシールも施行現場で行えるものではなく、工場でしか行えない。
【0027】
図5(a)または図5(b)に示すような強固なシールが検出ブロック部12には行われている。この検出ブロック12を使用したロードセル2は耐久性の高いものとなる。このような強固なシールを施した検出ブロック12を使用できるのは、レール4に対して取り付けた台座10a、10bに対して検出ブロック12を取り付けてあるからである。
【0028】
このブロック検出部12では、図1におけるロードセル2、2が設けられている間の符号aで示す区間を車両の車輪が通過すると、車輪のレール4の長さ方向に直角方向の荷重によって、レール4が下方に撓み、これによって応力検出部24に生じた剪断力がストレインゲージによって検出される。応力検出部の上下に円弧上の切り欠きが形成されているので、ストレインゲージの検出出力は、切り欠きを形成していない場合よりも大きい。
【0029】
なお、可動部18と応力検出部24が設けられている部分とが一体に結合されている場合、例えば車両のレール方向に沿う移動に基づく曲げモーメントが応力検出部24のストレインゲージに印加される。また、車輪の重量がレールの幅方向、図1(b)における左右方向に移動すると、応力検出部24のストレインゲージには捻りモーメントが印加される。これらモーメントの影響によって、ストレインゲージは、高精度に剪断力を検出することができない。
【0030】
そこで、このブロック検出部12には、図4に示すように、屈曲部、例えばフレキシャ32、34が形成されている。
【0031】
図4(a)に示すように、可動部18の上面側から下面側に向かう直線状の切り込み36と、この切り込み36よりも応力検出部24側に若干寄った位置の下面側から上面側に向かう直線状の切り込み38(図4(b)参照)とを設け、これら切り込みが重なりあっている部分間に存在する厚さの薄い直線状部分を、フレキシャ32としている。なお、切り込み36、38は、図4(d)に示すように、レール4側の面とこれと対向する面との間を貫通するように形成されている。さらに、切り込み36、38では、互いに重なり合っている部分の幅寸法を、これら切り込み36、38の切り込み開始部分の幅寸法よりも大きく選択することによって、フレキシャ32の幅寸法を小さくして、フレキシャ32が良く撓むように構成してある。また、フレキシャ32を直線状としてあるのも良く撓むようにするためである。
【0032】
フレキシャ32を設けているので、着力点がレールの長さ方向に沿って移動しても、フレキシャ32が撓むことによって、ストレインゲージに印加される曲げモーメントが緩和され、正確に剪断力を測定できる。
【0033】
フレキシャ34は、フレキシャ32の中途に形成されている。このフレキシャ34は、レール4の捻りのほぼ中心軸上に、中心軸に沿って所定の幅だけ切り込むことによって形成されている。図4(c)から明らかなように、このフレキシャ34は、レール4の長さ方向に貫通し、かつその底面部は曲面ではなく平面とされている。平面としているのは、曲面とした場合よりも良く撓むようにするためである。
【0034】
フレキシャ34を設けているので、レール4の幅方向に着力点の移動が生じても、フレキシャ34を中心として撓んで、捻りモーメントがストレインゲージに印加されるのを緩和する。
【0035】
なお、図4(a)に符号40で示すのは、ストレインゲージが校正するブリッジのリード線を引き出すための通路である。これら通路40を通るリード線によって伝送された各ロードセル2の出力を合算することによって、1つの車輪の重量、即ち輪重が測定される。
【0036】
台座10a、10bに代えて、ボルトによってレール4と非接触の状態を維持して検出ブロック12をレール4に取り付けることも考えられる。しかし、この場合、レール4が変位したときに、レール4の変位と比例せずにボルト独自に撓みが生じ、正確にレール4の変位が検出ブロック12に伝達されない可能性がある。従って、レール4の変位によって独自に変位を生じない大きさ、例えば可動部18、固定部20とほぼ同一面積を有する台座10a、10bの使用が望ましい。また、台座10aは、フレキシャ32、34と接触しないように配置することが望ましい。同様に、台座10bも、窪み24に接触しないように配置することが望ましい。
【0037】
上記の実施の形態では、ロードセル2を輪重計に使用したが、平行する2本のレールに上述したのと同様に4つまたは2つのロードセル2をそれぞれ設け、これらロードセル2の出力を合算することで軸重計として使用することもできる。
また、輪重計として使用する場合、1つのレールに対して4つのロードセル2を使用したが、1つのレールに対して2つのロードセル2を設けてもよい。或いは、物品が収容されるホッパを固定台に支持する例えば水平に配置された複数の支持腕それぞれにロードセル2を設け、これらロードセル2の出力を合算することによって、ホッパの重量を測定することもできる。上記の実施の形態の検出ブロック12では、フレキシャ32は、中途から幅広とした2つの切り込みによって形成したが、同一の幅を持つ2つの切り込みによって形成することもできる。また、フレキシャ32は、1つだけ設けたが、平行に複数のフレキシャ32を形成することもできる。また、上記の実施の形態では、窪み24は中央縦断面形状がコ字状のものを示したが、中央縦断面形状がI字状のものを使用することもできる。また、台座10a、10b、検出ブロック12を防錆性の高い材料、例えばオーステナイト系ステンレス製のカバーによって覆うことによって、防錆効果を高めることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、荷重の着力点の移動が生じても、その影響を緩和することができ、精度の高い測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態の軸重計の正面図及び側面図である。
【図2】図1の軸重計で使用しているロードセルの拡大正面図である。
【図3】図1の軸重計の部分拡大側面図である。
【図4】図2のロードセルで使用している検出ブロックの正面図、底面図、正面図のA−A線に沿う断面図、正面図のB−B線に沿う断面図、側面図、正面図のC−C線に沿う断面図である。
【図5】図4の検出ブロックにおいて使用されている2つのシール構造を示す図である。
【符号の説明】
2 ロードセル
4 レール
10a、10b 台座(取付部)
12 検出ブロック
18 可動部
20 固定部
24 窪み
30 30a 金属板
32 34 フレキシャ(屈曲部)

Claims (3)

  1. 車輪の荷重によって歪みを生じるレールの起歪部の両側面にそれぞれ設けられるロードセルであって、
    前記レールの両側面それぞれに、前記レールの長さ方向に間隔をあけて配置された2つの台座と、
    これら2つの台座間に前記レールの両側面の同一位置に位置するように取り付けられた剪断力検出用ブロックとを、
    具備し、前記検出ブロックは、前記2つの台座と接触する第1の面と、第1の面と対向する第2の面とを有する直方体状のブロックで、第2の面の四隅に、第2の面から第1の面に貫通するように設けたボルト挿通孔に挿入されたボルトによって前記2つの台座に固定され、
    前記検出ブロックにおける前記2つの台座に非固定部分の上下方向からそれぞれ円弧状に切り欠いて、その残りの部分に中央縦断面形状がコ字の窪みを形成し、この窪みの底部に剪断力を検出するようにストレインゲージを設け、
    前記2つの台座のうち一方に近い前記非固定部分の上面側から下面側に向かって直線状に伸び、かつ第1及び第2の面に貫通した第1の切り込みと、この第1の切り込みの前記窪み側によった位置の前記下面側から前記上面側に向かって直線状に伸び、かつ第1及び第2の面に貫通した第2の切り込みとを、設け、第1及び第2の切り込みの重なり合う部分間に存在する部分によって屈曲部を形成した
    ロードセル。
  2. 請求項1記載のロードセルにおいて、前記屈曲部における前記レールの捻りのほぼ中心軸線上に、中心軸線に沿って切り込んで、別の屈曲部を形成したロードセル。
  3. 請求項1または2記載のロードセルを使用した荷重検出計。
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