JP4772936B2 - 揮散剤の取り扱い方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、揮散剤の消耗度を目視により監視し、補給又は詰め替えの時期を簡単かつ的確に検知する揮散剤の取り扱い方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、揮散剤としては、液体のものが多用されているが、これには液体がこぼれたり、漏洩したりして取り扱いにくいという欠点がある。
また、揮散剤として揮散成分を固体担体に担持させた揮散剤を用いるものも知られているが、これには揮散成分の揮散前後で担体のサイズがほとんど変わらず、揮散剤の揮散機能の消耗度が分からないため、揮散剤の補給又は詰め替えをタイミングよく適切に行うのが困難であり、また揮散後の揮散剤が揮散前と比べ量的にも減らず、特に容量的に減らないためかさ張ることから、使用済みの揮散剤についてその後処理が大変面倒であるという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の揮散剤を利用する方法における欠点を克服し、揮散剤の消耗度を目視でき、揮散剤の補給又は詰め替えの時期を簡単かつ的確に知ることができる優れた、取り扱いやすく、場合により揮散後の揮散剤の後処理も容易に行える揮散剤の取り扱い方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、揮散剤の取り扱い方法について種々研究を重ねた結果、揮散剤として、揮散成分を含有し、その蒸散に伴い粒径が縮小する粒状のものを用い、この揮散剤の特性を利用して、容器内を仕切り板で区分し、仕切り板に、揮散剤を収容させた区画から揮散成分の蒸散により縮小した多数の粒状物を別の区画へ通過、移行させうる複数のスリットを穿設した仕切りを有する容器を用いることにより、揮散剤の取り扱いを適切に行いうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、容器を、所定幅の複数のスリットをもつ仕切り板で上下2分し、少なくとも部分的に透視可能な材料で形成されている上部区画に、上記スリット幅よりも大きいサイズを有し、含水セルロースビーズ基材に揮散成分を含ませ、粒状に成形したものであり、揮散により最終的に粒径が2/3以下に縮小する多数の揮散剤粒状物を収容し、揮散によりサイズが縮小した上記粒状物を、スリット幅が当該粒状物の最終的な粒径の1.1倍以上であるスリットの間隙を通して下部区画に落下させて移行させ、上部区画内部を透明部分を通して経時的に目視しながら、上記粒状物の消耗度を検知し、補給又は詰め替えを行うことを特徴とする揮散剤の取り扱い方法を提供するものである。
本発明において、揮散成分とは常温で蒸散し、通常の使用形態で人体に悪影響を及ぼさない各種機能物質であって、例えば香料、消臭剤、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、消毒剤、殺虫剤、忌避剤、誘引剤などが挙げられる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明方法に用いられる揮散成分含有粒状物としては、多量の水分を含有する粒状基材に揮散成分を含ませたものであって、自体べとつかず、また互いにくっつき合わないものが取り扱いやすく、衛生的であるので好ましく、このようなものは揮散成分が水分とともに揮散し、それに伴い粒径が縮小するという特性を有するもの、特にセルローズビーズを基材とし、これに水分とともに揮散成分を含ませ、粒状に成形したものが好ましい。
また、揮散成分含有粒状物として、揮散成分に食品添加物として認可されている香料を用いた場合には、乳幼児が誤って飲み込んだとしても害のないものが好ましく、この点からも基材にセルローズビーズ系のものを用いるのがよい。
また、揮散成分含有粒状物としては、揮散成分の蒸散に伴い、最終的に粒径が好ましくは2/3以下、より好ましくは1/2以下、特に1/3以下に縮小するものがよい。
また、揮散成分含有粒状物としては、さらに揮散成分の蒸散に伴い変色するものが容器を透視、観察するだけで揮散の程度を知る目安となるので好ましい。
【0007】
本発明方法で用いる容器は、揮散成分の蒸散に伴い粒径が縮小する揮散成分含有粒状物を収容しうるとともに揮散成分を外気へ放散させうるものであれば特に制限はないが、少なくとも揮散成分含有粒状物を収容させた区画を透視しうる透明性又は半透明性を有するもの、中でも該区画だけを透視しうる透明性又は半透明性を有するもの、例えば該区画の前面や全面一体を透明としたものなどが好ましく、また容器の材料としては揮散成分に侵されないものが好ましい。この材料は揮散成分の種類によって変動しうる。例えば香料の場合、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
このような材料は容器としては、少なくとも部分的に透明性又は半透明性を有するものを用いるのがよい。
上記した、揮散成分を外気へ放散させうるものとしては、容器の素材自体が通気性を有するものも用いられるが、容器の適所に微小孔を多数開けたものが好ましい。
【0008】
本発明揮散方法で用いる容器としては、容器内を二つの区画に区分する仕切り板が設けられたものを用いる。
この仕切り板には、揮散成分含有粒状物を収容させた一方の区画から揮散成分の蒸散により縮小した粒状物を他方の区画へ通過、移行させうる複数のスリットを設ける。
また、揮散成分含有粒状物を収容させた一方の区画側の容器の適所に蒸散した揮散成分を外気へ放散させる微小孔を多数開けるのが好ましい。
仕切り板のスリットの間隙の幅については、揮散成分含有粒状物の揮散成分の蒸散に伴う粒状物の最終的な粒径に対し、通常1.1倍以上、好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.5倍以上の範囲が選ばれる。
また、容器には、揮散成分含有粒状物を投入しうる投入口を開閉自在に設けるのがよい。
【0009】
上記の容器の形状については特に制限されることはなく、例えば種々の幾何学的形状、動植物の形状、キャラクター又はペットをデザインした形状などが挙げられる。
この幾何学的形状としては例えば各種角柱体、球状体、楕円体、放物面体、平行四面体、各種角錐体などが、キャラクターとしては例えばキティ、ピカチュー、ピングー、くまのプーさんのようなデザイングッズなどが、またペットとしては例えば愛玩動物や育成シュミレーションゲームで育成される愛玩動物などが挙げられる。またその躯体内は中空のものが好ましい。
このような種々の形状の容器においては、適所に外気へ揮散成分を揮散させる微小孔が多数開けられているのが好ましい。
【0010】
キャラクター又はペットをデザインした形状の容器においては、口や嘴を開閉自在とし、これを開閉自在の投入口とすることができ、揮散成分含有粒状物を収容させる時にはこの口や嘴を開けて揮散成分含有粒状物を投入し、揮散成分含有粒状物を収容させ、場合により収容後にはこの口や嘴が閉じられるようにしてもよい。
このような容器においては、仕切り板を腹部と背部の区画を形成させるように配設してもよいが、有利には一部が腹部の下部に回りこむように配設して、揮散成分含有粒状物を収容させた区画から、揮散成分の蒸散に伴い縮小した粒状物について仕切り板のスリットを通過させ腹部の底部及び背部へ移行させうるのを重力や自動車等の車両の走行時の振動により助長させるようにするのがよい。
また、腹部はその少なくとも一部を透明又は半透明として、容器内に収容させた揮散成分含有粒状物を透視しうるようにするのが好ましい。
【0011】
次に添付図面に従って本発明方法で用いる容器の好適な例を説明する。
図1及び図2は、それぞれ容器の1例の正面図及び斜視図である。これらの図において、容器11は円筒状形態を有し、実質的に中空で、さらに仕切り板12で上方区画13と下方区画14に区分され、上方区画13に揮散成分含有粒状物を収容させうるようになっている。上方区画側の容器の適所に蒸散した揮散成分を外気へ放散させる微小孔が多数開設されている。この上方区画はその全面を透明又は半透明として該区画に収容させた揮散成分含有粒状物を透視しうるようになっている。仕切り板12には複数のスリットaが設けられ、該スリットにより上方区画から揮散成分の蒸散により縮小した粒状物を下方区画へ通過、移行させうるようになっている。
【0012】
また、図3及び図4は容器の別の例の斜視図及び正面図であって、容器31は四角錐体形態を有し、最上方のキャップ部材31aと容器本体31bからなる。容器本体31bは、実質的に中空で、さらに仕切り板32で上方区画33と下方区画34に区分され、さらに上方区画33に揮散成分含有粒状物を収容させうるようになっている。キャップ部材31aと上方区画33とは両者間に揮散孔が形成されるように取り付けられ、またキャップ部材31aは取り外し可能で、それを取り外し、揮散成分含有粒状物を補給しあるいは詰め替えることができるようになっている。この上方区画はその全面を透明又は半透明として該区画に収容させた揮散成分含有粒状物を透視しうるようになっている。仕切り板32は容器より鈍角の四角錐形状を有し、その下方周縁部に複数のスリットaが設けられ、該スリットにより上方区画から揮散成分の蒸散により縮小した粒状物を下方区画へ通過、移行させうるようになっている。
【0013】
また、図5、図6及び図7は容器の別の例の斜視図、側面図及び平面図であって、容器51は平たい四角柱形態を有し、さらにその四隅についてその対角線上の一方の一対を曲面に、他方の一対を平面になるように切り欠いた形状のものであって、この一対の平面部分に容器を立て掛ける脚部材55が取り付けられている。容器は実質的に中空で、さらに仕切り板52で上方区画53と下方区画54に区分され、上方区画53に揮散成分含有粒状物を収容させうるようになっている。上方区画側の容器の適所に蒸散した揮散成分を外気へ放散させる孔が複数開設されている。この上方区画はその全面を透明又は半透明として該区画に収容させた揮散成分含有粒状物を透視しうるようになっている。仕切り板52には複数のスリットaが設けられ、該スリットにより上方区画から揮散成分の蒸散により縮小した粒状物を下方区画へ通過、移行させうるようになっている。
このような揮散具において、部分的な変更も可能である。例えば、下方区画側に脚部材を配設し、上方区画と仕切り板を一体化したものをカートリッジとし、このカートリッジを下方区画部材に対しスライド式に着脱自在とするようにしてもよい。
【0014】
【発明の効果】
本発明方法は、目視しうる区画内の揮散成分含有粒状物が揮散成分の揮散に伴う粒径の縮小により仕切り板のスリットを通り抜けて該区画からなくなることから、揮散剤の消耗度を目視でき、補給又は詰め替えの時期を的確に知るのを簡単に行うことができ、取り扱いやすく、場合により、揮散後の揮散剤が揮散前と比べ容量的に減りかさ張らないから、使用済みの揮散剤についてその後処理が容易に行えるという顕著な効果を奏し、とりわけ自動車用や家庭用として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法に用いる容器の1例の正面図。
【図2】 図1の容器の斜視図。
【図3】 本発明方法で用いる容器の別の例の斜視図。
【図4】 図3の容器の正面図。
【図5】 本発明方法で用いる容器のさらに別の例の斜視図。
【図6】 図5の容器の側面図。
【図7】 図5の容器の平面図。
【符号の説明】
11,31,51 容器
31a キャップ部材
31b 容器本体
12,32,52 仕切り板
13,33,53 上方区画
14,34,54 下方区画
55 脚部材
a スリット
Claims (1)
- 容器を、所定幅の複数のスリットをもつ仕切り板で上下2分し、少なくとも部分的に透視可能な材料で形成されている上部区画に、上記スリット幅よりも大きいサイズを有し、含水セルロースビーズ基材に揮散成分を含ませ、粒状に成形したものであり、揮散により最終的に粒径が2/3以下に縮小する多数の揮散剤粒状物を収容し、揮散によりサイズが縮小した上記粒状物を、スリット幅が当該粒状物の最終的な粒径の1.1倍以上であるスリットの間隙を通して下部区画に落下させて移行させ、上部区画内部を透明部分を通して経時的に目視しながら、上記粒状物の消耗度を検知し、補給又は詰め替えを行うことを特徴とする揮散剤の取り扱い方法。
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