JP4772669B2 - 人工硬膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、脳外科分野における硬膜欠損の補填に用いる人工硬膜及びその製造方法に関する。
【背景技術】
硬膜は脳と頭蓋骨との間に介在し、脳の保護、脳脊髄液の保護等の機能を担う膜である。脳外科における開頭手術においては、必ず硬膜を切開することになるが、これにより生じた硬膜の欠損あるいは収縮は、これを補填する必要がある。従来はこの補填に、ヒト乾燥硬膜が使用されてきたが、この移植は、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)感染の原因となる恐れがあるとし、1997年厚生省により使用が禁止された。
ヒト乾燥硬膜に代わる人工硬膜として延伸したフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)やシリコーン樹脂を素材とする人工硬膜も開発されている。しかしながら、これら人工硬膜を形成するプラスチックス材料は、通常生体内非分解性高分子物質であるため、体内に永続的に残留し、周辺組織へ慢性的に刺激を与えることから、肉芽組織の肥大化、皮膜内出血の原因となると報告されている。
また、コラーゲンやゼラチンを主材料とする人工硬膜の作製も試みられたが縫合強度の不足、硬膜再生まで必要とされる膜強度を保持できない等の問題がある。
本出願人は、特開2003−199817号において、生体内分解性合成高分子二層以上積層することからなる人工硬膜を提案した。当該積層体の少なくとも一層は、人工硬膜針穴から脳脊髄液の漏れを防止するための「漏水防止層」である。しかしながら、当該人工硬膜の形態としては、前記「漏水防止層」に、さらに性能の異なる二つの層(弾性層と形状維持層)を積層するため、量産化するのに製造工程が煩雑となり、コスト高になるという問題があった。
また、これまでに提案されている生体内分解性合成高分子からなる人工硬膜は、生体親相性が高きに過ぎ、脳表面との癒着が懸念され、特に外傷性脳損傷などの場合、出血が激しく癒着する危険性がとくに高いという大きな問題があった。また、先の外傷性脳損傷の場合、再開頭を行う頻度が高いが、もし、脳表面と人工硬膜が癒着した場合は、開頭手技が困難になるというは大きな問題がある。
また、特許第3453648号には、生体に悪影響を及ぼす金属含量を減少したラクチドとグリコリドからなる共重合体が記載されており、その用途には人工硬膜があることが述べられている。しかしながら、この様なラクチドとグリコリドとの共重合体では、本発明が目的とするような脳脊髄液の漏れを効率的に防止する性能を有した人工硬膜を得ることができない。
以上のように、現在では、必ずしも性能的に、また、製造プロセス的にも充分とはいえない人工硬膜しか提案されていない状況にある。
かくして、本発明の目的は、上記した公知技術における問題を解決することであり、例えば上記特開2003−199817号に記載の人工硬膜においては「漏水防止層」に、さらに性能の異なる二つの層(弾性層と形状維持層)を積層しなければならないこと、及び、これらを量産化するのに製造工程が煩雑となり、コスト高になること、また、延伸フッ素樹脂やシリコーン樹脂を素材とする人工硬膜における、針穴からの脳脊髄液の漏れを皆無にするのが困難な点を解決することである。
また、従来、人工硬膜を製造する代表的な方法に溶融成形法があるが、分解性ポリマーである乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体は、重合に使用する金属触媒が残存することにより、溶融成形中に熱分解により物性が劣化するという問題がある。
これにより人工硬膜が、自家硬膜が再生するまでの期間、脳脊髄液漏れを抑制することが困難となる。
本発明者らは、以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、従来の人工硬膜がかつて成しえなかった製造工程の簡略化即ち、積層するシートの構成数を減らし、かつ、(a)人工硬膜に要求される機能である液漏れが無いこと、特に問題となる縫合糸周囲の針穴からの液漏れが無いこと、(b)生体硬膜に近い柔らかさを有すること、(c)組織の修復に伴い分解吸収されること、d)脳表面との癒着がないこと、(e)縫合張力に耐えうること、及び(f)溶融成形時の物性劣化がないこと等、人工硬膜に要求される全ての性能を具備した人工硬膜の発明に到達した。
【発明の開示】
本発明によれば、以下の人工硬膜の発明が提供される。
〔1〕 生体内分解性高分子を二層以上積層することにより構成される人工硬膜であって、少なくともその一層は基材層であり、当該基材層は、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体からなり、当該共重合体の構成モル分率が60〜85:3〜15:10〜30モル%であって、かつ、共重合体の平均連鎖長が下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする人工硬膜。
2<L(LA)<〔LA%/(LA%+GA%+CL%))×X×0.058 (1)
1<L(GA)<〔GA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (2)
1<L(CL)<〔CL%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (3)
(式中、L(LA)は乳酸ユニットの平均連鎖長を、L(GA)はグリコール酸ユニットの平均連鎖長を、L(CL)はカプロラクトンユニットの平均連鎖長を示す。更に、LA%は共重合体中の乳酸モル分率を、GA%は共重合体中のグリコール酸モル分率を、CL%は共重合体中のカプロラクトンモル分率をそれぞれ示し、Xは共重合体の重合度を示す。)
〔2〕 前記共重合体中の金属含有量が60ppm以下である〔1〕に記載の人工硬膜。
〔3〕 前記共重合体中のモノマー含量が、乳酸、グリコール酸及びε−カプロラクトンのモノマー総量として40ppm以下である〔1〕又は〔2〕に記載の人工硬膜。
〔4〕 生体脳硬膜と縫合した際に於ける脳圧が20mmHg以下の場合に於いて、縫合部からの液の漏れが5ml/min以下である〔1〕ないし〔3〕のいずれかに記載の人工硬膜。
〔5〕 前記基材層の片面又は両面に親水性高分子の層を積層し、当該層を脳表面との癒着を防止する機能を有する積材層とした〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載の人工硬膜。
〔6〕 前記積材層を構成する親水性高分子が、水膨潤性高分子である〔1〕ないし〔5〕のいずれかに記載の人工硬膜。
〔7〕生体内分解性高分子を、溶融成形により、二層以上積層することにより構成される人工硬膜であって、
少なくとも基材層であるその一層は、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体からなり、当該共重合体の構成モル分率が60〜85:3〜15:10〜30モル%であって、かつ、共重合体の平均連鎖長が下記式(1)〜(3)を満たすものであり、
かつ共重合体中の金属含有量が60ppm以下、かつ共重合体中のモノマー含量が、乳酸、グリコール酸及びε−カプロラクトンのモノマー総量として40ppm以下であることを特徴とする人工硬膜。
2<L(LA)<〔LA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.058 (1)
1<L(GA)<〔GA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (2)
1<L(CL)<〔CL%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (3)
(式中、L(LA)は乳酸ユニットの平均連鎖長を、L(GA)はグリコール酸ユニットの平均連鎖長を、L(CL)はカプロラクトンユニットの平均連鎖長を示す。更に、LA%は共重合体中の乳酸モル分率を、GA%は共重合体中のグリコール酸モル分率を、CL%は共重合体中のカプロラクトンモル分率をそれぞれ示し、Xは共重合体の重合度を示す。)
また本発明によれば、以下の人工硬膜の製造方法に関する発明が提供される。
〔8〕基材層を有する人工硬膜の製造方法であって、
(1)構成モル分率が60〜94:3〜20:3〜37モル%の割合で乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の重合を行う工程、
(2)(1)の共重合体に、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を構成する各モノマー混合物を添加して、最終生成物の構成モル分率が、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンとして60〜85:3〜15:10〜30モル%であって、かつ共重合体の平均連鎖長が下記式(1)〜(3)を満たす共重合体を得る工程、及び
(3)以上の(1)及び(2)の工程による共重合体により前記基材層を製造することを特徴とする人工硬膜の製造方法。
2<L(LA)<〔LA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.058 (1)
1<L(GA)<〔GA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (2)
1<L(CL)<〔CL%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (3)
(式中、L(LA)は乳酸ユニットの平均連鎖長を、L(GA)はグリコール酸ユニットの平均連鎖長を、L(CL)はカプロラクトンユニットの平均連鎖長を示す。更に、LA%は共重合体中の乳酸モル分率を、GA%は共重合体中のグリコール酸モル分率を、CL%は共重合体中のカプロラクトンモル分率をそれぞれ示し、Xは共重合体の重合度を示す。)
〔9〕 〔8〕において製造した基材層の片面又は両面に親水性高分子を積層させることにより脳表面との癒着を防止する機能を付与した積材層を形成することを特徴とする人工硬膜の製造方法。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の人工硬膜1の層構成の一例を示す説明図であって、基材層2の片面に、積材層3を積層した例を示す。
第2図は、本発明の人工硬膜の他の層構成の例を示す説明図であって、基材層2の両面に、積材層3を積層した例を示す。
第3図は、本発明の人工硬膜のさらに他の層構成の例を示す説明図であって、基材層2の両面に、複数の積材層、3a、3bを積層した例を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
(人工硬膜の内容)
本発明の人工硬膜は、生体内分解性高分子を二層以上積層することにより構成されるものであって、少なくともその一層は基材層であり、当該基材層は、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体からなり、当該共重合体の構成モル分率が60〜85:3〜15:10〜30モル%であって、かつ、共重合体の平均連鎖長が下記式(1)〜(3)を満たすものである。
2<L(LA)<〔LA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.058 (1)
1<L(GA)<〔GA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (2)
1<L(CL)<〔CL%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (3)
(式中、L(LA)は乳酸ユニットの平均連鎖長を、L(GA)はグリコール酸ユニットの平均連鎖長を、L(CL)はカプロラクトンユニットの平均連鎖長を示す。更に、LA%は共重合体中の乳酸モル分率を、GA%は共重合体中のグリコール酸モル分率を、CL%は共重合体中のカプロラクトンモル分率をそれぞれ示し、Xは共重合体の重合度を示す。)
(基材層)
本発明の人工硬膜は、生体内分解性高分子を二層以上積層することにより構成されるが、基材層は、少なくともその一層を構成し、人工硬膜としての必要な強度を保持し硬膜としての形態を保持する基材としての層(Substrate Layer)である。基材層は、生体内において加水分解あるいは酵素的作用を受けて分解される生体内分解性高分子から構成されるものであって、本発明においては、特に上記特定の乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンの共重合体が使用される。
基材層は、より具体的には、形態保持層であるとともに、縫合時に脳硬膜との密着性を上げること、生体硬膜と縫合時に当該針穴からの脳髄液の漏出を防止すること、及び生体内で分解される際に、当該形状を長期間維持することを目的とするための層である。
この目的には、上記の乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンの共重合体(以下「乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体」又は単に「共重合体」又は「生体内分解性高分子」という。)の使用が最も適するものである。またその構成モル分率は、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンとして60〜85:3〜15:10〜30モル%であることが必要である。
例えば、乳酸とグリコール酸を合わせたモル分率が90%を超えるようにあまり高くなると、基材層が固くなりすぎて、その結果、人工硬膜全体が硬くなる。このように過度に硬くなった人工硬膜は、脳表面を傷つける可能性があり好ましくない。また、人工硬膜を自家硬膜と縫合した際、縫合部の自家硬膜との密着性が乏しくなり望ましくない。
一方また、グリコール酸のモル分率が15%を超えるようにあまり高くなると、人工硬膜全体の生体内での形状維持期間が短くなるため、本来の硬膜が再生するまでの期間、形状を維持することが困難となるため好ましくない。
また、ε−カプロラクトンのモル分率が30%を超えるようにあまり高くなれば、膜全体が柔軟となりすぎ、縫合時の張力に耐えることができないため好ましくない。
(平均連鎖長)
本発明においては、基材層を構成する生体内分解性高分子のセグメントユニットは、下記式(1)〜(3)で規定する「平均連鎖長」の条件を満たすことが必要である。
2<L(LA)<〔LA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.058 (1)
1<L(GA)<〔GA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (2)
1<L(CL)<〔CL%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (3)
(式中、L(LA)は乳酸ユニットの平均連鎖長を、L(GA)はグリコール酸ユニットの平均連鎖長を、L(CL)はカプロラクトンユニットの平均連鎖長を示す。更に、LA%は共重合体中の乳酸モル分率を、GA%は共重合体中のグリコール酸モル分率を、CL%は共重合体中のカプロラクトンモル分率をそれぞれ示し、Xは共重合体の重合度を示す。)
本発明の人工硬膜を構成する生体内分解性高分子は、上記したその平均連鎖長が、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体が前記のような構成モル分率の範囲であることと相俟って、当該共重合体からなるシートが、人工硬膜に要求される生体に近い柔らかさ及び針穴より脳脊髄液の漏れを生じないような針穴を収縮させるゴム的物性を達成するために必要な条件である。
従って、本発明で使用する共重合体は、この式(1)〜(3)のすべてを充足することが必要であり、もし、当該共重合体が当該式(1)〜(3)のいずれかに適合しない場合は、もはやその共重合体は、本発明の人工硬膜に好ましくなく使用することはできない。
(金属含有量等)
また、基材層を構成する生体内分解性高分子中の金属含有量は、60ppm以下、好ましくは30ppm以下であることが望ましい。なお、当該金属含有量とは、主に当該生体内分解性高分子の重合に際し使用する重合触媒から由来する金属であって、例えばスズ、亜鉛等の金属をいうが、特にこれに限定されるものではない。
共重合体の金属含有量が60ppmを超える量の金属の共存下で、人工硬膜製造のための溶融成形を行うと、熱分解が過剰に生じて分子量が低下し、人工硬膜の強度が不足する場合があり好ましくない。更に、熱分解による生成物である低分子量体が多量に生成されるため、人工硬膜を生体内に埋殖した場合、低分子量体の分解反応が加速され、自家硬膜が再生するまでの期間、脳脊髄液漏れの防止が困難となるおそれがある。更には、人工硬膜の保存安定性も低下するという問題も生じる。
基材層を構成する生体内分解性高分子中のモノマー含量は、乳酸、グリコール酸及びε−カプロラクトンのモノマー総量として40ppm以下であることが必要である。モノマー総量が40ppmを超えると生体内分解性高分子の保存安定性が低下するばかりでなく、強度が低下して生体内での形状維持が困難になる。更に、40ppmを超える量のモノマーの存在下で人工硬膜製造のための溶融成形を行うと、熱分解が過剰に生じて更に人工硬膜の強度が低下する原因となる。
(膜厚)
本発明の人工硬膜は、上記生体内分解性高分子の二層以上のフィルム状シートとして成形するが、その膜厚は成形温度、成形圧力により容易に制御可能である。人工硬膜が薄すぎる場合、その強度が足りず脳脊髄液の漏れを発生させる可能性があり、逆に厚すぎると人工硬膜の剛性が高くなりすぎ脳表面を傷つける可能性があるため好ましくない。従って、人工硬膜の総膜厚は、30〜1000μmであることが好ましい。なお、基材層の膜厚は25〜990μm、好ましくは50〜500μm程度であり、それぞれの積材層の膜厚は5〜500μm、好ましくは5〜200μm程度である。
(積層構造)
本発明の人工硬膜は、生体内分解性高分子からなる上記基材層の片面又は両面に、親水性高分子の層を積層し、当該層を、脳表面との癒着を防止する機能を有する積材層として構成し、二層以上の積層体(積層シート)としたものである。
当該人工硬膜の層構成を図面に基づき、さらに説明する。
第1図は、本発明の人工硬膜1の層構成の一例を示す説明図であって、基材層2の片面に、積材層3を積層した例であり、第2図は、本発明の人工硬膜の他の層構成であって、基材層2の両面に、積材層3を積層した例であり、第3図は、本発明の人工硬膜のさらに他の層構成の例を示す説明図であって、基材層2の両面に、複数の積材層、3a、3bを積層した例を示す。
ここで積材層3とは、親水性高分子からなる層であって、更なる脳脊髄液の漏れ防止機能を付与する層である。
本発明の人工硬膜は、このように、少なくとも第1図に例示するように、二層構造の人工硬膜1、又は第2図に例示するように三層構造の人工硬膜1A、さらに又は第3図に例示するように四層構造の人工硬膜1Bとして、基材層と積材層から構成することにより、基材層2で基本的に奏される脳脊髄液の漏れ防止機能を、積材層で更に強化するものである。なお、四層を超えるさらに多層構造とすることも可能である。
基材層2の片面又は両面に積層させる積材層3である親水性高分子は、生体内分解性の親水性高分子であればいかなるものでもよいが、生体組織との密着性等を鑑みれば生体親和性の高い親水性高分子が好ましい。このようにして、当該人工硬膜が自家硬膜と密着することにより、密着面からの脳脊髄液の漏れを極力抑制することが可能となる。また、当該親水性高分子は、水膨潤性高分子である、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ハイドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、またはこれらの共重合体などが最も好ましい。しかしながら、親水性高分子であるならば、如何なるものでもよく、先の特開2003−199817号に記載のゲル状のグリコール酸/ε−カプロラクトンの共重合体も使用可能である。その他、コラーゲン、アテロコラーゲン(コラーゲンをプロテアーゼ処理して水溶性としてもの)、ゼラチン等を主成分とする酵素分解性の生体吸収性高分子であってもよい。
なお、第3図に示すように、積材層3は、単層ではなく、二層以上の複層構造(3a、3b、3c、・・・、3n)としてもよい。例えば、積材層としてグリコール酸/ε−カプロラクトの層3aを一層形成し、さらにその上にヒアルロン酸やカルボキシルメチルセルロースの層3bを形成してもよい。
(重合方法)
本発明の人工硬膜は、生体内分解性高分子を以下のごとき2段階重合により得る工程、及び重合された当該高分子を基材層とする工程、により製造される。
すなわち、当該基材層を有する人工硬膜は、
(1)構成モル分率が60〜98:3〜20:3〜40モル%の割合で乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の重合を行う工程、
(2)(1)の共重合体に、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を構成する各モノマー混合物を添加して、最終生成物の構成モル分率が、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンとして60〜85:3〜15:10〜30モル%となる共重合体を得る工程、及び
(3)以上の(1)及び(2)の工程による共重合体により前記基材層を形成することにより製造されるものである。
ここで、当該乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の重合方法の一例を挙げれば、一段階目として、温度計、窒素導入管、排気口を備えた反応容器に、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンの構成モル分率が60〜98:3〜20:3〜40モル%となるようにラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトンを投入する。これに触媒として、オクタン酸スズ、塩化スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、アルミニウムイソプロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、ジエチル亜鉛等を0.0005〜0.005質量%の範囲で加え、当該触媒存在下で加熱して100〜250℃で開環重合を行い、共重合体を得る。
引き続き二段階目として、この共重合体に最終生成物の構成モル分率が、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンとして60〜85:3〜15:10〜30モル%となるように、当該重合系に、ラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトンの各モノマー混合物を添加し、100〜250℃で開環重合を行うものである。
このようにして、二段階で共重合体を製造することにより、当該共重合体の各モノマーユニットの平均連鎖長を、本発明で規定する式(1)〜(3)を充足するように制御することが可能となる。
なお、一段階目の重合における乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体は、特に限定するものではなく、一般的な重合方法により製造するものであればいずれの方法によるものであってもよい。例えば、上記した開環重合の代わりに、乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトンを減圧下で直接脱水重縮合することにより共重合体を得る方法であってもよい。また開環重合では、モノマー原料を溶融状態下で重合させることも可能であるが、当該モノマーを溶解する溶媒中で重合を行うこともできる。
なお、開環重合や脱水重縮合等に使用するラクチドまたは乳酸のモノマーは、D体、L体、DL体のいずれであってもよいし、これらを混合して使用してもよい。
しかしながら、得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体にモノマーやオリゴマーが存在すると、これを生体内で使用した際に、生体の組織反応及び分解が異常に促進され、マクロファージの吸収分解以上に分解切片が生成するため、組織傷害性を生ずる原因となり好ましくない。
また、当該共重合体を、これらモノマーあるいはオリゴマーの共存下で溶融成形を行うと、熱分解が過剰に生じるため強度が低下して人工硬膜として必要な生体内での形状維持性能が低下するため望ましくない。従って、再沈殿法等の方法を繰り返すことにより、共重合体中のモノマー含量を実質的に不存在とすることが好ましく、具体的には40ppm以下、好ましくは30ppm以下になるまで精製して使用するのが好ましい。
また、前述のような二段階の重合によって得られる乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の数平均分子量は、100,000〜500,000の範囲である。
本発明において、特に重要なことは、得られる共重合体の平均連鎖長が、前述の式(1)〜(3)で規定された条件を満たすことであって、例え数平均分子量が上記の範囲内であっても、当該平均連鎖長が本発明で規定する条件を満たさない限り、本発明の目的とする優れた特性を有する人工硬膜を得ることができない。
(人工硬膜の製造)
本発明の人工硬膜を構成する基材層2は、それ自身公知の一般的なフィルム又はシートを形成するプラスチック成形方法のいずれかの方法によって形成すればよい。
基材層2の作製方法の一例を挙げると、上記の方法によって得られた、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体からなる人工硬膜用共重合体材料をクロロホルムなどの溶媒に溶解し、当該重合体の溶液を、適当な基体上に塗布し、風乾後離形することによりフィルム又はシート状に加工することができる。また、当該共重合体の粉末を加熱下に溶融しプレス成形してもよい。さらに当該共重合体を加熱溶融しTダイにより押出成形してフィルムまたはシートとすることもできる。
また、基材層2に積層させる親水性高分子の積材層3の積層方法も、当該基材層2に対して積材層を密着して配置できる方法であればどのような方法であってもよいが、例えば当該親水性高分子の加熱溶着、当該親水性高分子溶液への当該基材層フィルム又はシートディッピング(浸漬)によるコーティング、当該親水性高分子溶液の基材層への塗布やキャスティング、当該親水性高分子のフィルム又はシートの基材層への接着剤等による接着等の手段が挙げられる。
さらには、多層ダイを使用する、多層押出し成形機により、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体と親水性高分子をそれぞれのダイから溶融押出して基材層2と積材層3からなる多層フィルム又は多層シートを一挙に形成することも可能である。同様にして多層熱ラミネーション、多層接着ラミネーションにより多層フィルム等を形成してもよい。
(発明の効果)
本発明の人工硬膜は、特開2003−199817号に記載の人工硬膜のように「漏水防止層」に、さらに性能の異なる二つの層(弾性層と形状維持層)を積層しなくても、(1)針穴の肥大が小さく液漏れを生じず、また、(2)溶融成形によって製造される人工硬膜であっても、生体内で約3ヶ月以上強度を維持すると推定され、これは自家硬膜の再生期間より若干長く最適である。
【実施例】
以下実施例を挙げてさらに本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断らない限り%は全て質量%を示す。
〔実施例1〕
(1)グリコール酸(試薬、東京化成社製)を撹拌下、約180℃で脱水重縮合させて得たオリゴマーを、250℃で減圧蒸留することによりグリコリドを得た。
排気口と温度計を備えた反応容器に、重合の一段階目として、L−ラクチド(試薬、アルドリッチ社製)202gと、上記グリコリド10gと、ε−カプロラクトン(試薬、東京化成社製)38g及び触媒としてオクタン酸スズ(試薬、シグマ社製)0.01gを加え、真空ポンプを用いて反応容器内を1×10-3mmHgまで減圧し、150℃で24時間重合を行った。
(2)次に、重合の二段階目として、最終生成物の構成モル分率が、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンとして67:8:25モル%となるように、L−ラクチド64g、グリコリド18g、及びε−カプロラクトン168gを添加し、更に150℃で24時間重合を行った。
反応後に得られた共重合体をクロロホルムに溶解し、メタノール中で析出させることにより精製処理を行い、本発明の人工硬膜に使用する乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
(3)このようにして得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の数平均分子量をGPCにより測定した結果、28,000であり、その組成(モル分率)を1H−NMRの測定から求めた結果、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンのモル分率は67:8:25モル%であった。
また13C−NMRの測定から共重合体の平均連鎖長を求めた結果、L(LA)=7.4、L(GA)=5.1、L(CL)=1.2であった。また、式(1)〜(3)における平均連鎖長は、2<L(LA)<133、1<L(GA)<159、1<L(CL)<497となり、平均連鎖長はいずれも式(1)〜(3)で規定される範囲内であった。
また、このようにして得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体中の金属含量として、スズはSnとして16ppm、モノマー含量は乳酸、グリコール酸及びε−カプロラクトンの総量として20ppmであった。
(4)得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を基材層とする第1図に示す層構成の人工硬膜を形成した。すなわち、当該共重合体の粉末を160℃、30kg/cm2にてプレス成形し、10℃の冷却プレス機にて冷却し、ゴム弾性形状維持性を有する厚さ200μmのフィルム状シートの基材層2を得た。得られたシート基材層2の片側に、親水性膨潤性高分子であるヒアルロン酸(試薬、和光純薬社製)のキャストフィルムを積層して積材層3とし、厚さ300μmの二層からなる人工硬膜1を得た。
〔実施例2〕
(1)グリコール酸(試薬、東京化成社製)を撹拌下、約180℃で脱水重縮合させて得たオリゴマーを、250℃で減圧蒸留することによりグリコリドを得た。
排気口と温度計を備えた反応容器に、重合の一段階目として、L−ラクチド(試薬、アルドリッチ社製)111gと、上記グリコリド7gと、及びε−カプロラクトン(試薬、東京化成社製)82g及び触媒としてオクタン酸スズ(試薬、シグマ社製)0.01gを加え、真空ポンプを用いて反応容器内を1×10-3mmHgまで減圧し、180℃で24時間重合を行った。
(2)次に、重合の二段階目として、最終生成物の構成モル分率が、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンとして75:7:18モル%となるように、L−ラクチド200g、グリコリド18g、ε−カプロラクトン82gを添加し、更に180℃で24時間重合を行った。反応後に得られた共重合体をクロロホルムに溶解し、メタノール中で析出させることにより精製処理を行い、本発明の人工硬膜に使用する乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
(3)このようにして得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の数平均分子量をGPCにより測定した結果、350,000であり、その組成(モル分率)を1H−NMRの測定から求めた結果、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンのモル分率は75:7:18モル%であった。
また、13C−NMRの測定から共重合体の平均連鎖長を求めた結果、L(LA)=6.3、L(GA)=4.6、L(CL)=1.9であった。また、式(1)〜(3)における平均連鎖長は、2<L(LA)<193、1<L(GA)<180、1<L(CL)<464となり、平均連鎖長はいずれも式(1)〜(3)規定の範囲内であった。
また、このようにして得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体中の金属含量として、スズはSnとして20ppm、モノマー含量は乳酸、グリコール酸及びε−カプロラクトンの総量として18ppmであった。
(4)得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を基材層とする、第3図に示すような層構成の人工硬膜を形成した。すなわち、上記共重合体の粉末を200℃、30kg/cm2にてプレス成形し、10℃の冷却プレス機にて冷却し、ゴム弾性形状維持性を有する厚さ200μmのフィルム状シートの基材層2を得た。
更に、ゲル状の生分解性高分子であるグリコール酸/ε−カプロラクトンの共重合体(数平均分子量68,000)を熱溶着により片面に積層させ積材層3aを形成させ、更に両面にヒアルロン酸(試薬、和光純薬社製)を、両面にコーティングして積材層3b、3bとし、厚さ350μmの四層からなる人工硬膜を得た。
なお、上記積材層3aの形成に使用したグリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体は以下の方法で合成したものである。
排気口と温度計を備えた反応容器に、前記方法により得たグリコリド43gと、ε−カプロラクトン(試薬、東京化成社製)158g及び触媒としてオクタン酸スズ(試薬、シグマ社製)0.01gを加え、真空ポンプを用いて反応容器内を1×10-3mmHgまで減圧し、160℃で24時間重合を行った。反応後に得られた共重合体をクロロホルムに溶解し、メタノール中で析出させることにより精製処理を行い、グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を得た。このようにして得られたグリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の数平均分子量をGPCにより測定した結果、68,000であり、その組成(モル分率)を1H−NMRの測定から求めた結果、グリコール酸/ε−カプロラクトンのモル分率は40:60モル%であった。
〔実施例3〕
(1)グリコール酸(試薬、東京化成社製)を撹拌下、約180℃で脱水重縮合させて得たオリゴマーを、250℃で減圧蒸留することによりグリコリドを得た。
排気口と温度計を備えた反応容器に、重合の一段階目として、L−ラクチド(試薬、アルドリッチ社製)328gと、グリコリド10gと、及びε−カプロラクトン(試薬、東京化成社製)112g及び触媒としてジエチル亜鉛(試薬、関東化学社製)0.01gを加え、真空ポンプを用いて反応容器内を1×10-3mmHgまで減圧し、145℃で24時間重合を行った。
(2)次に、重合の二段階目として、最終生成物の構成モル分率が、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンとして80:5:15モル%となるように、L−ラクチド10g、グリコリド8g、ε−カプロラクトン32gを添加し、更に180℃で24時間重合を行った。
反応後に得られた共重合体をクロロホルムに溶解し、メタノール中で析出させることにより精製処理を行い、本発明の人工硬膜に使用する乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
(3)このようにして得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の数平均分子量をGPCにより測定した結果、180,000であり、その組成(モル分率)を1H−NMRの測定から求めた結果、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンのモル分率は80:5:15モル%であった。
また13C−NMRの測定から共重合体の平均連鎖長を求めた結果、はL(LA)=5.9、L(GA)=4.8、L(CL)=1.6であった。また、式(1)〜(3)における平均連鎖長は、2<L(LA)<107、1<L(GA)<67、1<L(CL)<201となり、平均連鎖長はいずれも式(1)〜(3)で規定している範囲内であった。
また、このようにして得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体中の金属含量として、亜鉛はZnとして30ppm、モノマー含量は乳酸、グリコール酸及びε−カプロラクトンの総量として26ppmであった。
(4)得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体からなる基材層を有する第2図で示される層構成の人工硬膜1Aを作成した。すなわち上記共重合体の粉末を180℃、30kg/cm2にてプレス成形し、10℃の冷却プレス機にて冷却し、ゴム弾性形状維持性を有する厚さ200μmのフィルム状シートの基材層2を得た。更に、得られたフィルム状シートの両面に水膨潤性高分子であるアルギン酸(試薬、和光純薬社製)のキャストフィルムを積材層3として配置し、厚さ400μmの三層からなる人工硬膜(1A)を得た。
〔比較例1〕
(1)排気口と温度計を備えた反応容器に、L−ラクチド(試薬、アルドリッチ社製)263gと、グリコリド(実施例1と同条件で製造)42gと、ε−カプロラクトン(試薬、東京化成社製)194g、及び触媒としてオクタン酸スズ(試薬、シグマ社製)0.01gを加え、真空ポンプを用いて反応容器内を1×10-3mmHgまで減圧し、190℃で24時間重合を行った。反応後、生成物をクロロホルムに溶解し、メタノール中で析出させることにより精製処理を行い、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
(2)このようにして得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の数平均分子量をGPCにより測定した結果、220,000であり、その組成(モル分率)を1H−NMRの測定から求めた結果、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンのモル分率は、65:15:20モル%であった。
また、13C−NMRの測定から共重合体の平均連鎖長を求めた結果、L(LA)=1.8、L(GA)=1.2、L(CL)=0.8であった。また、式(1)〜(3)における平均連鎖長は、2<L(LA)<106、1<L(GA)<244、1<L(CL)<326となり、L(LA)及びL(CL)は式で規定する下限値以下であった。
(3)第1図に示される層構成に準じて人工硬膜を形成した。すなわち、ここで得られた共重合体粉末を200℃、30kg/cm2にてプレス成形し、10℃の冷却プレス機にて冷却し、ゴム弾性形状維持性を有する厚さ200μmのフィルム状シートの基材層2を得た。更に、実施例1と同じく親水性膨潤性高分子であるヒアルロン酸を積材層3として、基材層2の片面に配置し、厚さ300μmの二層からなる人工硬膜1を得た。
〔比較例2〕
(1)排気口と温度計を備えた反応容器に、L−ラクチド322gおよび触媒としてオクタン酸スズ0.01gを加え、真空ポンプを用いて反応容器内を1×10-3mmHgまで減圧し、160℃で8時間重合を行った。次いで、ε−カプロラクトン156gを反応容器内に添加し、190℃で10時間重合を行った。更に、グリコリド22gを添加して210℃に加熱して24時間重合を行った。反応後、生成物をクロロホルムに溶解し、メタノール中で析出させることにより精製処理を行い、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
(2)このようにして得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の数平均分子量をGPCにより測定した結果、200,000であり、その組成(モル分率)を1H−NMRの測定から求めた結果、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンのモル分率は、75:7:18モル%であった。
また、13C−NMRの測定から共重合体の平均連鎖長を求めた結果、L(LA)=1830、L(GA)=120、L(CL)=480であった。また、式(1)〜(3)における平均連鎖長は、2<L(LA)<110、1<L(GA)<103、1<L(CL)<266となり、平均連鎖長はいずれも式(1)〜(3)で規定する上限を越えていた。
(3)得られた共重合体により、第1図の層構成に準じて人工硬膜1作成した。すなわちこの共重合体粉末を200℃、30kg/cm2にてプレス成形し、10℃の冷却プレス機にて冷却し、ゴム弾性形状維持性を有する厚さ200μmのフィルム状シートの基材層2を得た。更に、実施例2と同じくゲル状の生分解性高分子である、グリコール酸/ε−カプロラクトンの共重合体(数平均分子量68,000)を熱溶着により積材層3として積層させ、厚さ350μmの二層からなる人工硬膜1を得た。
なお、積材層3として使用したグリコール酸/カプロラクトン共重合体は、実施例2と同様の方法で合成した。
〔比較例3〕
(1)排気口と温度計を備えた反応容器に、重合の一段階目として、L−ラクチド130gとグリコリド2gとε−カプロラクトン50gおよび触媒としてオクタン酸スズ0.01gを加え、真空ポンプを用いて反応容器内を1×10-3mmHgまで減圧し、150℃で24時間重合を行った。
(2)次に、重合の二段階目として、最終生成物の構成モル分率が、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンとして40:5:55モル%となるように、L−ラクチド4g、グリコリド10g、ε−カプロラクトン304gを添加し、更に150℃で24時間重合を行った。反応後に得られた共重合体をクロロホルムに溶解し、メタノール中で析出させることにより精製処理を行い、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
(3)このようにして得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の数平均分子量をGPCにより測定した結果、290,000であり、その組成(モル分率)を1H−NMRの測定から求めた結果、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンのモル分率は、40:5:55モル%であった。
また、13C−NMRの測定から共重合体の平均連鎖長を求めた結果、L(LA)=5.6、L(GA)=1.2、L(CL)=3.8であった。また、式(1)〜(3)における平均連鎖長は、2<L(LA)<71、1<L(GA)<89、1<L(CL)<980となり、平均連鎖長はいずれも式(1)〜(3)で規定する範囲内であった。
(4)得られた共重合体を基材層とする人工硬膜を第1図の層構成に準じて作成した。当該共重合体の粉末を160℃、30kg/cm2にてプレス成形し、10℃の冷却プレス機にて冷却し、ゴム弾性形状維持性を有する厚さ200μmのフィルム状シートの基材層2を得た。更に、実施例1と同じ方法で親水性膨潤性高分子であるヒアルロン酸を積材層3として配置して、厚さ300μmの二層からなる人工硬膜1を得た。
〔実施例4〕
(1)グリコール酸(試薬、東京化成社製)を撹拌下、約180℃で脱水重縮合させて得たオリゴマーを、250℃で減圧蒸留することによりグリコリドを得た。
排気口と温度計を備えた反応容器に、重合の一段階目として、L−乳酸(試薬、シグマ社製)3gと、グリコール酸(試薬、東京化成社製)2gと、ε−カプロラクトン(試薬、東京化成社製)55g及び触媒としてオクタン酸スズ、(試薬、シグマ社製)0.01gを加え、減圧下、180℃で24時間重合を行った。
(2)次に、重合の二段階目として、最終生成物の構成モル分率が、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンとして72:8:20モル%となるように、L−ラクチド(試薬、アルドリッチ社製)278g、上記のグリコリド18g、ε−カプロラクトン(試薬、東京化成社製)120gを添加し、更に150℃で24時間重合を行った。反応後に得られた共重合体をクロロホルムに溶解し、メタノール中で析出させることにより精製処理を行い、本発明の人工硬膜に使用する乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
(3)このようにして得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の数平均分子量をGPCにより測定した結果、120,000であり、その組成(モル分率)を1H−NMRの測定から求めた結果、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンのモル分率は72:8:20モル%であった。
また、13C−NMRの測定から共重合体の平均連鎖長を求めた結果、L(LA)=4.8、L(GA)=1.2、L(CL)=2.8であった。また、式(1)〜(3)での平均連鎖長は、2<L(LA)<64、1<L(GA)<70、1<L(CL)<176となり、平均連鎖長はいずれも式(1)〜(3)で規定する範囲内であった。
また、このようにして得られた乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体中の金属含量として、スズはSnとして20ppm、モノマー含量は乳酸、グリコール酸及びε−カプロラクトンの総量として16ppmであった。
〈性能評価試験〉
前記実施例1から3と比較例1から3に記載した人工硬膜を用いて、以下の各性能評価試験を行った。
物性評価試験
各試験数nは5とし、その平均を求めた。
(1)10%引っ張り抵抗
各人工硬膜を6.35mm×64mmに切断し、37℃の恒温条件でチャック間距離20mm、引張速度10mm/minで引張試験(島津製作所社製、引っ張り試験機使用)を行い、10%伸びた時点の引っ張り抵抗を記録した。
(2)剛軟度
各人工硬膜を6.35mm×64mmに切断し、JIS−L1096と同様の方法で剛軟度試験を行った。なお、試験の際の試験片長さは40mmとした。
(3)永久伸び
各人工硬膜を6.35mm×64mmに切断し、37℃の恒温条件でチャック間距離20mm、引張速度10mm/minで100%延伸し、これをチャックから取り外し、37℃の恒温条件にて1時間保存した後の延伸した部位の伸び率を計測した。
分解性評価試験
それぞれの人工硬膜をそれぞれ6.35mm×64mmに切断した分解性試験片を、生理食塩液に浸漬し、これらを37℃に保温した。これを4週後、8週後、及び12週後に取り出し、引張り強度試験を行った。引っ張り試験は、試験片をチャック間10mm、引っ張り速度50mm/minの条件にて実施した。
水漏れ試験
それぞれの人工硬膜を用いて脳髄液の漏れの防止機能を評価した。それぞれ縦50mm、横25mmの人工硬膜と、ブタから採取した生体脳硬膜を重なり幅5mm、縫合間隔2mmになるように縫合糸(エチコン社製、バイクリル縫合糸)によって連続縫合し、50mm四方の試験片を作製した。この試験片を47mmインラインフィルターホルダー(MILLIPORE社製)にセットし、インラインフィルターホルダーの上口部に37℃の生理食塩水バッグをセットして、20mmHg及び60mmHgに加圧し、下口部から出る生理食塩水を回収し、1分間に縫合部より漏れ出す水の量を測定した。試験数nは5で行い、測定結果よりその平均を求めた。
平均連鎖長の測定
それぞれの基材層に用いた生体分解性ポリマーの平均連鎖長は、ポリマーを13C−NMRの測定に供し、測定結果を基に以下の式で求め、結果を表1に示した。
乳酸ユニットの平均連鎖長
L(LA)=(LLL+LLC+CLL+LLG+GLL)/{(LLC+CLL)/2+(LLG+GLL)/2}
グリコール酸ユニットの平均連鎖長
L(GA)=(GGG+GGL+LGG)/(GGL+LGG)/2
カプロラクトンユニットの平均連鎖長
L(CL)=(CCC+CCL+LCC+LCL)/(LCC+LCL)/2
なお、ここでLLL,LLC,CLL,LLG,GLLは乳酸ユニットのカルボニル炭素の積分値であり、GGG,GGL,LGGはグリコール酸ユニットのカルボニル炭素の積分値であり、CCC,CCL,LCC,LCLはカプロラクトンユニットのカルボニル炭素の積分値である。
実施例、比較例における組成を表1にまとめて示した。
【表1】
〈評価試験結果〉
評価試験結果を表2〜4にまとめて示した。
【表2】
表2の結果より、実施例1から3は、比較例1から3よりも永久伸びが小さく、縫合時に生じた針穴の肥大を最小限に抑えることが可能であり、脳脊髄液の漏れを防止することが可能であることを容易に推定できる。
【表3】
表3の結果より実施例1から3は比較例1から3と比較して水漏れがほとんどないことがわかる。
【表4】
表4の結果より実施例1から3は、比較例1及び3よりも2ヶ月以上の強度維持性能に優れていることがわかる。さらに比較例2はほとんど強度の低下がなく、長期間体内に残存することが予想され好ましくない。
〔動物実験〕
実施例1及び比較例2で用いた人工硬膜を使用し、ウサギ頭部への埋植試験を行った。
(試験方法)
ウサギ頭蓋骨の両側頭部に、8mm×14mm程度の長方形の穿孔を行い、自家硬膜を8mm×10mm程度摘出した。その後、当該欠損部を9mm×15mm大の人工硬膜で覆った。その際、出血した血液は可能な限り取り除かず、出血した脳表面に直接人工硬膜を設置した。埋植3ヵ月後に再解頭し、人工硬膜と脳表面の癒着状態を確認した。この試験を20例行い、実施例1及び比較例2の人工硬膜の癒着発生率を比較した。結果を表5に示す。
【表5】
表5の結果より、明らかに実施例1の人工硬膜は比較例2の人工硬膜より癒着の発生率が低いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
本発明の人工硬膜は、基本的には基材層と積材層とからなるもので、例えば従来の人工硬膜のように、漏水防止層に、さらに性能の異なる二つの層(弾性層と形状維持層)を積層しなくても、針穴の肥大が小さく液漏れを生じることがなく、また、溶融成形によって製造される人工硬膜であっても、生体内で、自家硬膜の再生期間より若干長い、約3ヶ月以上強度を維持すると推定されるもので、その産業上の利用可能性は、非常に大きい。
Claims (9)
- 生体内分解性高分子を二層以上積層することにより構成される人工硬膜であって、少なくともその一層は基材層であり、当該基材層は、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体からなり、当該共重合体の構成モル分率が60〜85:3〜15:10〜30モル%であって、かつ、共重合体の平均連鎖長が下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする人工硬膜。
2<L(LA)<〔LA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.058 (1)
1<L(GA)<〔GA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (2)
1<L(CL)<〔CL%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (3)
(式中、L(LA)は乳酸ユニットの平均連鎖長を、L(GA)はグリコール酸ユニットの平均連鎖長を、L(CL)はカプロラクトンユニットの平均連鎖長を示す。更に、LA%は共重合体中の乳酸モル分率を、GA%は共重合体中のグリコール酸モル分率を、CL%は共重合体中のカプロラクトンモル分率をそれぞれ示し、Xは共重合体の重合度を示す。) - 前記共重合体中の金属含有量が60ppm以下である請求項1記載の人工硬膜。
- 前記共重合体中のモノマー含量が、乳酸、グリコール酸及びε−カプロラクトンのモノマー総量として40ppm以下である請求項1又は2に記載の人工硬膜。
- 生体脳硬膜と縫合した際に於ける脳圧が20mmHg以下の場合に於いて、縫合部からの液の漏れが5ml/min以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の人工硬膜。
- 前記基材層の片面又は両面に親水性高分子の層を積層し、当該層を脳表面との癒着を防止する機能を有する積材層とした請求項1ないし4のいずれか1項に記載の人工硬膜。
- 前記積材層を構成する親水性高分子が、水膨潤性高分子である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の人工硬膜。
- 生体内分解性高分子を、溶融成形により、二層以上積層することにより構成される人工硬膜であって、
少なくとも基材層であるその一層は、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体からなり、当該共重合体の構成モル分率が60〜85:3〜15:10〜30モル%であって、かつ、共重合体の平均連鎖長が下記式(1)〜(3)を満たすものであり、
かつ共重合体中の金属含有量が60ppm以下、かつ共重合体中のモノマー含量が、乳酸、グリコール酸及びε−カプロラクトンのモノマー総量として40ppm以下であることを特徴とする人工硬膜。
2<L(LA)<〔LA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.058 (1)
1<L(GA)<〔GA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (2)
1<L(CL)<〔CL%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (3)
(式中、L(LA)は乳酸ユニットの平均連鎖長を、L(GA)はグリコール酸ユニットの平均連鎖長を、L(CL)はカプロラクトンユニットの平均連鎖長を示す。更に、LA%は共重合体中の乳酸モル分率を、GA%は共重合体中のグリコール酸モル分率を、CL%は共重合体中のカプロラクトンモル分率をそれぞれ示し、Xは共重合体の重合度を示す。) - 基材層を有する人工硬膜の製造方法であって、
(1)構成モル分率が60〜94:3〜20:3〜37モル%の割合で乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体の重合を行う工程、
(2)(1)の共重合体に、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体を構成する各モノマー混合物を添加して、最終生成物の構成モル分率が、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンとして60〜85:3〜15:10〜30モル%であって、かつ共重合体の平均連鎖長が下記式(1)〜(3)を満たす共重合体を得る工程、及び
(3)以上の(1)及び(2)の工程による共重合体により前記基材層を製造することを特徴とする人工硬膜の製造方法。
2<L(LA)<〔LA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.058 (1)
1<L(GA)<〔GA%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (2)
1<L(CL)<〔CL%/(LA%+GA%+CL%)〕×X×0.58 (3)
(式中、L(LA)は乳酸ユニットの平均連鎖長を、L(GA)はグリコール酸ユニットの平均連鎖長を、L(CL)はカプロラクトンユニットの平均連鎖長を示す。更に、LA%は共重合体中の乳酸モル分率を、GA%は共重合体中のグリコール酸モル分率を、CL%は共重合体中のカプロラクトンモル分率をそれぞれ示し、Xは共重合体の重合度を示す。) - 請求項8において製造した基材層の片面又は両面に親水性高分子を積層させることにより脳表面との癒着を防止する機能を付与した積材層を形成することを特徴とする人工硬膜の製造方法。
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