JP2003199817A - 人工硬膜 - Google Patents

人工硬膜

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JP2003199817A JP2002246647A JP2002246647A JP2003199817A JP 2003199817 A JP2003199817 A JP 2003199817A JP 2002246647 A JP2002246647 A JP 2002246647A JP 2002246647 A JP2002246647 A JP 2002246647A JP 2003199817 A JP2003199817 A JP 2003199817A
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Kensho Shirahama
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俊康 柚場
Takao Okada
隆雄 岡田
Yukari Imamura
由賀里 今村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】縫合糸周囲の針穴からの液漏れが無く、また手
術時における縫合スパンが従来の人工硬膜よりも広くと
ることのできる人工硬膜を提供すること。 【解決手段】生体内分解性高分子を二層以上積層するこ
とにより構成され、少なくとも一層は漏水防止層()
より構成され、漏水防止層()は(a)粘度5,000mPa
・s〜500,000Pa・sの高粘度生体内分解性高分子、また
は(b)含水膨潤する生体内分解性高分子より構成さ
れ、全体のヤング率が2〜40MPaである人工硬膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脳外科分野におけ
る硬膜欠損の補填に用いる人工硬膜の改良に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】硬膜は
脳と頭蓋骨との間に介在し、脳の保護、脳脊髄液の保護
等の機能を担う。脳外科における開頭手術においては必
ず硬膜を切開する。これにより生じた硬膜の欠損あるい
は収縮は補填する必要がある。従来はこの補填にヒト乾
燥硬膜が使用されてきたが、クロイツフェルト・ヤコブ
病の原因となる恐れがあるとし、1997年厚生省により使
用が禁止された。
【0003】ヒト乾燥硬膜に代わる人工硬膜として延伸
テフロン(登録商標)やシリコーンを素材とする人工硬
膜も開発されたが、非分解性であるため体内に永続的に
残留し、周辺組織へ慢性的に刺激を与えることから肉芽
組織の肥大化、皮膜内出血の原因となると報告された。
生体内分解吸収性高分子を用いた人工硬膜も開発されて
いるが、これら人工硬膜は収縮性がないため縫合糸の針
穴から脳脊髄液が漏出するという大きな問題がある。そ
の他コラーゲンやゼラチンを材料とする人工硬膜の作製
も試みられたが縫合強度の不足、硬膜再生まで必要とさ
れる膜強度を保持できない等の問題がある。また、特開
平9−140785号には、単一膜の性状を補うため分
解性が遅く柔軟性の低い層とその両側に分解性が早く柔
軟な層を積層する医療用フィルムが開示されている。以
上のことから現在では必ずしも性能的に充分とはいえな
い延伸テフロン製人工硬膜を使用せざるを得ない状況に
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、以
上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、従来
の人工硬膜がかつて成しえなかった(a)人工硬膜に要
求される機能である液漏れが無いこと、特に問題となる
縫合糸周囲の針穴からの液漏れが無いこと、(b)手術
時における縫合スパンが従来の人工硬膜よりも広くとれ
ること、(c)生体硬膜に近い柔らかさ、弾性率を有す
ること、(d)組織の修復に伴い分解吸収されること、
(e)十分な縫合強度を有すること等の性能を全て有す
る人工硬膜の発明に到達した。
【0005】[1]本発明は、生体内分解性高分子を二
層以上積層することにより構成され、少なくとも一層は
漏水防止層()より構成され、漏水防止層()は
(a)粘度5,000mPa・s〜500,000Pa・sの高粘度生体内
分解性高分子、または(b)含水膨潤する生体内分解性
高分子より構成され、全体のヤング率が2〜40MPaである
人工硬膜を提供する。 [2]本発明は、二層以上積層することにより構成され
た人工硬膜において、漏水防止層()と形状保持層
()とを含み、形状保持層()は乳酸を主成分とす
る生体内分解性高分子または合成セルロースからなり、
かつ引っ張り強度8〜20MPa、ヤング率2〜40MPaである
[1]に記載の人工硬膜を提供する。 [3]本発明は、二層以上積層することにより構成され
た人工硬膜において、漏水防止層()と形状保持層
()と弾性層()とを含み、弾性層()はε−カ
プロラクトン単位を含有する生体内分解性高分子からな
り、かつ引っ張り強度8〜20MPa、ヤング率2〜40MPaであ
る[1]または[2]に記載の人工硬膜を提供する。 [4]本発明は、引っ張り強度が8〜20MPaであり、かつ
全体の厚さが100〜1000μmである[1]、[2]または
[3]に記載の人工硬膜を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の人工硬膜は、生体内分解
性高分子を二層以上積層することにより構成され、少な
くとも一層は漏水防止層()より構成される。漏水防
止層()は縫合時に脳硬膜との密着性を上げること、
針穴からの脳髄液の漏出を防止することを目的とするた
めの層である。漏水防止層()は、形状保持層()
と共に積層して使用される。また漏水防止層()は形
状保持層()と弾性層()の中間に配置して使用され
る。漏水防止層()は、生体硬膜と縫合した際に脊髄
液が滲み出る程度の小さな針穴を生じる場合には(a)
粘度5,000〜500,000mPa・s、好ましくは20,000〜300,00
0mPa・s、より好ましくは50,000〜200,000mPa・sの高粘
度生体内分解性高分子、もしくは生体硬膜と縫合した際
に脊髄液が明らかに漏れ出すような大きな針穴を生じる
場合には粘度5,000〜500,000Pa・s、好ましくは10,000
〜300,000Pa・s、より好ましくは20,000〜100,000Pa・s
の高粘度生体内分解性高分子、または(b)含水するこ
とで膨潤する生体内分解性高分子より構成される。含水
膨潤する高分子には、水溶性のものと非水溶性のものが
あるが、本発明では非水溶性が好ましい。なお漏水防止
層()は、生体硬膜と縫合した際に前記小さな針穴と
大きな針穴との中間の大きさの針穴を生じる場合は、粘
度500,000mPa・s〜5,000Pa・sの高粘度生体内分解性高
分子が好適である。本発明で、前記粘度5000mPa・s〜50
0,000Pa・sの高粘度生体内分解性高分子としては、例え
ば乳酸、ヒアルロン酸を主成分とする生体内分解性高分
子、アテロコラーゲン等が好適に使用される。前記乳酸
を主成分とする生体内分解性高分子としては、ポリ乳酸
単体、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンの三元
共重合体等が好例として挙げられる。前記ヒアルロン酸
を主成分とする生体内分解性高分子としては、ヒアルロ
ン酸単体、ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロース
の共重合体等が好例として挙げられる。漏水防止層
()は、生体硬膜と縫合した際に小さな針穴を生じる
場合には粘度が5000mPa・s未満では頭内圧力により針穴
から脳脊髄液等が押出される可能性があり、粘度が5000
00mPa・sを超えると流動性が低すぎ、小さな針穴を効率
よく塞ぐことが出来ないため好ましくない。また、生体
硬膜と縫合した際に大きな針穴を生じる場合には粘度が
5000Pa・s未満では頭内圧力により針穴から脳脊髄液等
が押出される可能性があり、粘度が500000Pa・sを超え
ると流動性が低すぎ、大きな針穴を効率よく塞ぐことが
出来ないため好ましくない。また前記含水膨潤する生体
内分解性高分子としては、膨潤率が5〜500%、好ましく
は20〜200%の生体内分解性高分子が使用される。これ
らの生体内分解性高分子としては、例えばヒアルロン酸
とカルボキシメチルセルロースの共重合体、アルギン酸
の架橋物あるいは構成成分としてPEGを含有するヒド
ロキシカルボン酸共重合体等が好適に使用される。含水
膨潤する生体内分解性高分子は膨潤率が5%未満では膨潤
により針穴を十分に防ぐことが出来ず、500%を超える
と膜形状を維持することが出来ないため好ましくない。
【0007】本発明の人工硬膜1、11の全体のヤング
率は2〜40MPa、好ましくは2〜15MPaに設定される。ヤン
グ率が2MPa未満では柔軟すぎ、硬膜としての形状を保て
ないため好ましくない。ヤング率が40MPaを超えると柔
軟性が損なわれ、脳組織を傷つける可能性があるため好
ましくない。また本発明の人工硬膜1、11は全体の引
っ張り強度が8〜20MPa、好ましくは8〜15MPaに設定され
る。引っ張り強度が8MPa未満では人工硬膜にかかりうる
脳内圧力に耐えられないため好ましくない。20MPaを超
えると不測の力が加わった際に周囲の脳硬膜に過度の負
担がかかるため好ましくない。また本発明の人工硬膜
1、11は、全体の厚さを脳脊髄液の漏出を防止するこ
とができる厚さに形成され、全体の厚さは100〜1000μ
m、好ましくは200〜800μmに形成される。100μm未満で
は人工硬膜に必要とされる強度が保持できないため好ま
しくない。1000μmを超えると柔軟性が損なわれ、脳組
織を傷つける可能性があるため好ましくない。
【0008】本発明の人工硬膜1、11は、漏水防止層
()と少なくとも形状保持層()を含み、必要によ
り弾性層()を含む。形状保持を目的とする形状保持
層()は乳酸を主成分とする生体内分解性高分子、合
成セルロース等でかつ、引っ張り強度8〜20MPa、ヤング
率2〜40Mpaのものが好適に使用される。前記乳酸を主成
分とする生体内分解性高分子としては、ポリ乳酸、乳酸
/グリコール酸の共重合体、乳酸/ε−カプロラクトン
の共重合体、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン
の三元共重合体等が好例として挙げられるが、これらに
限定されるものではない。前記乳酸/グリコール酸/ε
−カプロラクトンからなる三元共重合体の乳酸の含有量
は65〜99モル%のものが使用される。乳酸が65%未満で
は人工硬膜に要求される強度を下廻るため好ましくな
い。99%を超えると柔軟性が損なわれるため好ましくな
い。
【0009】またゴム的弾性を有することで針穴を収縮
させることを目的とする前記弾性層()はε−カプロ
ラクトンを含有する生体内分解性高分子等でかつ、引っ
張り強度8〜20MPa、ヤング率2〜40Mpaのものが好適に使
用される。前記ε−カプロラクトンを含有する生体内分
解性高分子としては、乳酸/ε-カプロラクトンの共重
合体、乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンの三元
共重合体等が例示される。これらの内でも乳酸/グリコ
ール酸/ε−カプロラクトンからなる三元共重合体が特
に好ましく、とりわけε−カプロラクトンの含有量10〜
40モル%のものが好ましい。ε−カプロラクトンが10モ
ル%未満では水漏れを十分に防ぐことが可能なゴム的弾
性が寄与できないため好ましくない。また40モル%を超
えると強度が極度に下がるため好ましくない。
【0010】図1は本発明の人工硬膜の一例を示す概略
図で、図2は本発明の人工硬膜のその他の実施例を示す
概略図である。図1に例示した人工硬膜1は、生体内分
解性高分子材料からなるシートを少なくとも二層以上、
好ましくは三層以上積層することにより構成される。前
記積層のうち少なくとも一層は、(A)形状保持を目的
とする生体内分解性高分子(例えば、乳酸を主成分とす
る乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンの三元共重
合体、合成セルロース等)より形成される形状保持層
()である。また前記積層のうち少なくとも一層は、
(C)縫合時に脳硬膜との密着性を上げること、針穴か
らの脳髄液の漏出を防止することを目的とする高粘度生
体内分解性高分子(例えばグリコール酸/ε−カプロラ
クトンの共重合体、ヒアルロン酸を主成分とする生体内
分解性高分子、コラーゲン、あるいは乳酸を主成分とす
る非水溶性生体内分解性高分子等)または含水膨潤する
生体内分解性高分子(例えばヒアルロン酸とカルボキシ
メチルセルロースの共重合体、アルギン酸架橋物等)か
らなる漏水防止層()である。二層の場合、形状保持
層()が外層O、漏水防止層()が内層Iとして配
置される。また、さらに望ましくは(B)ゴム的弾性を
有することで針穴を収縮させることを目的とする生体内
分解性高分子(例えば乳酸/グリコール酸/ε−カプロ
ラクトンの三元共重合体等のε−カプロラクトンを含有
する生体内分解性高分子)からなる弾性層()と形状
保持層()の間に漏水防止層()を配置して、三層
以上積層される。三層の場合、漏水防止層()は中間
層Mとして配置される。
【0011】図2に例示した人工硬膜11は(A)形状
保持を目的とする例えば乳酸を主成分とする三元共重合
体からなる形状保持層()と、(B)ゴム的弾性を有
することで針穴を収縮させることを目的とする、例え
ば、ε−カプロラクトンを含有する生体内分解性高分子
からなる弾性層()を積層した層L(+)から形
成され、これらの積層L(+)の間に、(C)縫合
時に脳硬膜との密着性を上げること、針穴からの脳髄液
の漏出を防止することを目的とする高粘度生分解性高分
子(例えばグリコール酸/ε−カプロラクトンの共重合
体、ヒアルロン酸を主成分とする生体内分解性高分子、
コラーゲンあるいは乳酸を主成分とする生体内分解性高
分子等)、あるいは含水することで膨潤する非水溶性生
体内分解性高分子(例えばヒアルロン酸とカルボキシメ
チルセルロースの共重合体、アルギン酸架橋物等)から
なる漏水防止層()を中間層Mとして配置したもので
ある。さらに詳述すれば、図2に例示した人工硬膜11
は、弾性層()と()の間に漏水防止層()を配
置し、形状保持層()をそれぞれ最外層Oと最内層I
として配置している。
【0012】図3に例示した人工硬膜21は(A)形状
保持を目的とする例えば乳酸とグリコール酸の共重合体
からなる形状保持層()の両面に、(B)ゴム的弾性
を有することで針穴を収縮させることを目的とする、例
えば、ε−カプロラクトンを含有する生体内分解性高分
子からなる弾性層()を積層接着した層K(++
)から形成され、この積層K(++)とさらに
もう1枚の(B)弾性層()との間に、(C)縫合時
に脳硬膜との密着性を上げること、針穴からの脳髄液の
漏出を防止することを目的とする高粘度生分解性高分子
(例えばグリコール酸/ε−カプロラクトンの共重合
体、ヒアルロン酸を主成分とする生体内分解性高分子、
コラーゲンあるいは乳酸を主成分とする生体内分解性高
分子等)、あるいは含水することで膨潤する非水溶性生
体内分解性高分子(例えばヒアルロン酸とカルボキシメ
チルセルロースの共重合体、アルギン酸架橋物等)から
なる漏水防止層()を中間層Mとして配置したもので
ある。
【0013】本発明に使用される乳酸/グリコール酸/
ε−カプロラクトンの三元共重合体の製法は、一般的な
方法により製造するものであれば何れの方法によるもの
であってもよい。その一例を挙げれば、ラクチド、グリ
コリド、ε−カプロラクトンをオクタン酸スズ、塩化ス
ズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、アルミニウムイソプロ
ポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、トリエ
チル亜鉛等の触媒存在下で加熱して、100〜250℃で開環
重合を行うことによって製造することができる。前記乳
酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンの三元共重合体
の数平均分子量は形状保持層及び弾性層においては7万
〜50万のものが使用される。7万未満では硬膜組織が修
復するまで強度を維持することが出来ず、50万を超える
と硬膜組織が修復後も長期にわたり頭蓋骨内に残存する
からである。また、漏水防止層に用いる前記乳酸/グリ
コール酸/ε−カプロラクトンの三元共重合体の数平均
分子量は4,000〜10万のものが使用される。4,000未満で
は分解速度が早すぎ、硬膜周囲のpHが過度に低下するた
め好ましくなく、10万を超えると流動性が低下しすぎ、
効率よく針穴を塞ぐことが出来ないからである。
【0014】
【実施例】実施例1 重量平均分子量が40万の乳酸/グリコール酸/ε−カプ
ロラクトンの三元共重合体(モル比72:5:23)粉末を180
℃、20kg/cm2でプレスした後、25℃冷却プレスによって
冷却し、ゴム的弾性を有する厚さ100μmのフィルム状シ
ート(弾性層())を得た。重量平均分子量30万の乳
酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンの三元共重合体
(モル比79:12:9)から成る10デニールの糸を編んで、
形状保持を目的とする厚さ100μmの生地(形状保持層
())を作製した。これら形状保持層()と弾性層
()の間に、重量平均分子量8,100の乳酸/グリコー
ル酸/ε−カプロラクトンの三元共重合体(モル比70:1
8:12)から成る高粘度流体(漏水防止層())を配置
(充填)し、ヒートプレスすることで一体化し、積層し
た全体の厚さ400μmの人工硬膜1(図1参照)を得た。
【0015】実施例2 重量平均分子量が40万の乳酸/グリコール酸/ε−カプ
ロラクトンの三元共重合体(モル比72:5:23)を180℃、
20kg/cm2でプレスした後、25℃冷却プレスによって冷却
し、ゴム的弾性を有する厚さ100μmのフィルム状シート
(弾性層())を得た。実施例1で使用した乳酸/グ
リコール酸/ε−カプロラクトンの三元共重合体(モル
比79:12:9)から成る10デニールの糸を編んで、形状保
持を目的とする厚さ100μmの生地(形状保持層())
を作製した。生地(形状保持層())と前記フィルム
状シート(弾性層())を重ね、120℃、20kg/cm2
プレスして、180μmの一体化シート(積層L(+
))を得た。この180μmの一体化シート(積層L(
+))を二枚、生地(形状保持層())がそれぞれ
外側になるように重ね、その間に重量平均分子量7,500
の乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトンの三元共重
合体(モル比52:8:40)から成る高粘度流体(漏水防止
層())を配置(充填)し、ヒートプレスすることで
一体化し、積層した全体の厚さ500μmの人工硬膜11
(図2参照)を得た。
【0016】実施例3 重量平均分子量が10万の乳酸/グリコール酸の共重合体
(モル比78:22)を180℃、20kg/cm2でプレスした後、15
℃冷却プレスによって冷却し、形状維持を目的とする厚
さ60μmのフィルム状シート(形状維持層())を得
た。重量平均分子量が30万の乳酸/グリコール酸/ε−
カプロラクトンの三元共重合体(モル比67:6:27)を180
℃、20kg/cm2でプレスした後、15℃冷却プレスによって
冷却し、ゴム的弾性を有する厚さ75μmのフィルム状シ
ート(弾性層())を得た。前記形状保持層()の
両面に前記弾性層()を重ね、120℃、1kg/cm2でプレ
スして、厚さ210μmの一体化シート(積層K(++
))を得た。この210μmの一体化シート(積層K(
++))と更にもう一枚の弾性層()を重ね、そ
の間に重量平均分子量3万のグリコール酸/ε−カプロ
ラクトンの共重合体(モル比34:66)から成る高粘度流
体(漏水防止層())を配置(充填)し、ヒートプレ
スすることで一体化し、積層した全体の厚さ350μmの人
工硬膜21(図3参照)を得た。比較例 比較例1として手術時に人体より切除したヒト生体硬膜
を使用した。比較例2として延伸テフロン製人工硬膜
(ゴアテックス(登録商標)EPTFEパッチII)を使用し
た。
【0017】〈性能評価試験〉前記実施例に記載した本
発明の実施例1の人工硬膜1、実施例2の人工硬膜11
及び実施例3の人工硬膜21と前記比較例1に記載した
ヒト生体硬膜、比較例2に記載した延伸テフロン製人工
硬膜(ゴアテックス(登録商標)EPTFEパッチII)を用
いて、以下の各性能評価試験を行った。物性評価試験 各試験n数は5で行い、その平均を求めた。 引張り強度試験試験片を6.35mm×45mmに切断し、37℃
の恒温条件でチャック間距離10mm、引張速度5mm/minで
引張試験を行った。 縫合強度試験試験片を6.35mm×45mmに切断した。上片
及び右左辺からそれぞれ2.5mmの位置に縫合糸(ゴアテッ
クス(登録商標)スーチャーCV-5)を通して円周100mmの
輪状に結節した。この縫合糸を双方から37℃の恒温条件
で引張速度5mm/minで引張り、その破断強度を測定し
た。 クラッシュバーグ用ダンベルを利用してそれぞれ6.35
mm×64mmの曲げ硬さ試験試験片を切断作製し、クラッシ
ュバーグ試験機(TOYO SEKI)により37℃の恒温条件で曲
げ硬さを測定した。以上の結果を表1に示す。本実施例
1の人工硬膜1、本実施例2の人工硬膜11及び本実施
例3の人工硬膜21は比較例1のヒト生体硬膜と比較し
ても十分な引張り強度と縫合強度を有し、また人工硬膜
として満足できる柔らかさであることが確認できた。
【0018】
【表1】
【0019】分解性試験 実施例1の人工硬膜1、実施例2の人工硬膜11及び実
施例3の人工硬膜21についてIn vitroにおける分解性
試験を行った。それぞれ6.35mm×64mmに切断した分解性
試験試験片を、ダルベッコリン酸緩衝液に浸漬し、37℃
に保温した。これを4、7、15、21、30日後に取り出し、
引張り強度試験を行った。以上の結果を表2に示す。実
施例1の人工硬膜1及び実施例2の人工硬膜11はダルベ
ッコリン酸緩衝液中において15日程度で、実施例3の人
工硬膜21はダルベッコリン酸緩衝液中において30日程
度でともに初期の半分程度の強度となることから、生体
内でも加水分解されると考えられる。しかし、生体内で
は通常約1ヶ月で皮膜形成が起こり、これらが液漏れを
防止し、更には硬膜が再生されるため前記分解速度は、
実用上充分なものである。
【0020】
【表2】
【0021】水漏れ試験 実施例1の人工硬膜1、実施例2の人工硬膜11及び実
施例3の人工硬膜21と延伸テフロン製人工硬膜(比較
例2)を用いて、水漏れ試験を行った。それぞれ縦47m
m、横26mmの人工硬膜二枚を、重なり幅5mm、縫合間隔2m
mになるように縫合糸(ゴアテックス(登録商標)スー
チャーCV-5)によって結紮縫合し、47mm四方の水漏試験
試験片を作製した。この試験片を47mmインラインフィル
ターホルダー(MILLIPORE)にセットし、インラインフ
ィルターホルダーの上口部に37℃の生理食塩水バッグを
セットして、60mmHgに加圧し、下口部から出る生理食塩
水を回収し、1分間に縫合部より漏れ出す水の量を測定
した。試験n数は5で行い、その平均を求めた。以上の結
果を表3に示す。実施例1の人工硬膜1、実施例2の人
工硬膜11及び実施例3の人工硬膜21は、それぞれ水
漏れ速度が0で、延伸テフロン製人工硬膜(比較例2)
と比較して格段に耐液漏れ性が向上したことが確認でき
た。
【0022】
【表3】
【0023】漏水防止層の粘度と水漏れ防止効果の相関
実施例3の人工硬膜21における漏水防止層の粘度を変
化させ、水漏れ試験を行い、粘度と水漏れ防止効果の相
関性を調査した。なお漏水防止層の粘度は回転粘度計
(Rheopolym@粘弾性測定装置(REOLOGICA社製))によ
り、37℃の温度条件で、各ポリマーの固有粘度を測定す
ることにより得られた。それぞれ縦47mm、横26mmの二枚
の人工硬膜を、重なり幅3mm、縫合間隔2mmになるように
縫合糸(VICRYL縫合糸5-0)によって連続縫合し、47mm
四方の水漏れ試験試験片を作製した。この試験片を47mm
インラインフィルターホルダー(MILLIPORE)にセット
し、インラインフィルターホルダーの上口部に37℃の生
理食塩水バッグをセットして、60mmHgに加圧し、下口部
から出る生理食塩水を回収し、1分間に縫合部より漏れ
出す水の量を測定した。試験n数は3で行い、その平均
を求めた。以上の結果から漏水防止層の粘度と水漏れ速
度をグラフ化し、図4に示す。VICRYL縫合糸のように針
の外径と縫合糸の外形が大きく異なる縫合糸で人工硬膜
を縫合すると、比較的大きな針穴が生じる。この様な大
きな針穴を生じる場合には粘度5,000〜500,000Pa・s、
好ましくは10,000〜300,000Pa・s、より好ましくは20,0
00〜100,000Pa・sの高粘度生体内分解性高分子を漏水防
止層に用いることで、非常に効率よくに液漏れを防止で
きることが確認できた。
【0024】また形状保持層にポリ乳酸、漏水防止層
に乳酸とグリコール酸とε−カプロラクトンの共重合
体、弾性層にグリコール酸とε−カプロラクトンの共
重合体を用いて、図1と同形態の人工硬膜を作成し、前
記と同様の性能評価試験を行ったところ、引張り強度、
縫合強度、曲げ硬さが若干増したものの、実施例1とほ
ぼ同様の結果が得られた。
【0025】
【発明の作用効果】以上各性能評価結果からも明らかな
ように、本発明の人工硬膜は従来の延伸テフロンから成
る人工硬膜に代わるものとして、(a)人工硬膜に要求
される機能である液漏れが無いこと、特に問題となる縫
合糸周囲の針穴からの液漏れが無いこと、(b)手術時
における縫合スパンが従来の人工硬膜よりも広くとれる
こと、(c)生体硬膜に近い柔らかさ、弾性率を有する
こと、(d)組織の修復に伴い分解吸収されること、
(e)十分な縫合強度を有すること等の機能を全て満た
すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人工硬膜の一例を示す概略図
【図2】本発明の人工硬膜の一例を示す概略図
【図3】本発明の人工硬膜の一例を示す概略図
【図4】本発明の人工硬膜に用いる漏水防止層の粘度と
水漏れ防止効果の相関性を示すグラフ
【符号の説明】
1 人工硬膜 11 人工硬膜 21 人工硬膜 形状保持層 弾性層 漏水防止層 L(+) 積層 K(++) 積層 O 外層 M 中間層 I 内層
フロントページの続き (72)発明者 富永 勉 東京都葛飾区東四つ木1−13−13 ライオ ンズマンション東四つ木906号 (72)発明者 白濱 憲昭 大分県大野郡三重町大字玉田7番地の1 川澄化学工業株式会社三重工場内 (72)発明者 柚場 俊康 大分県大野郡三重町大字玉田7番地の1 川澄化学工業株式会社三重工場内 (72)発明者 岡田 隆雄 兵庫県加古川市平岡町新在家2081−5 (72)発明者 今村 由賀里 兵庫県姫路市東今宿4−2−22 Fターム(参考) 4C081 AA14 AB11 BA13 BA16 BB07 BB09 CA171 CB011 CB041 CC01 CC08 CD021 CD081 CD131 DA02 DA12 DB08 DC02 DC04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体内分解性高分子を二層以上積層するこ
    とにより構成され、少なくとも一層は漏水防止層()
    より構成され、 漏水防止層()は(a)粘度5,000mPa・s〜500,000Pa
    ・sの高粘度生体内分解性高分子、または(b)含水膨
    潤する生体内分解性高分子より構成され、 全体のヤング率が2〜40MPaであることを特徴とする人工
    硬膜。
  2. 【請求項2】二層以上積層することにより構成された人
    工硬膜において、漏水防止層()と形状保持層()
    とを含み、 形状保持層()は乳酸を主成分とする生体内分解性高
    分子または合成セルロースからなり、かつ引っ張り強度
    8〜20MPa、ヤング率2〜40MPaであることを特徴とする請
    求項1に記載の人工硬膜。
  3. 【請求項3】二層以上積層することにより構成された人
    工硬膜において、漏水防止層()と形状保持層()
    と弾性層()とを含み、 弾性層()はε−カプロラクトン単位を含有する生体
    内分解性高分子からなり、かつ引っ張り強度8〜20MPa、
    ヤング率2〜40MPaであることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の人工硬膜。
  4. 【請求項4】引っ張り強度が8〜20MPaであり、かつ全体
    の厚さが100〜1000μmであることを特徴とする請求項
    1、2または3に記載の人工硬膜。
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