本発明は、熱膨張係数が異なる2種の部材の接合方法に関するものである。
従来、異なる金属同士または金属とセラミックスとのような2種の被接合部材を銀ろう材を用いて接合する方法が知られている。
前記銀ろう材として純銀を用いる場合、該銀ろう材を被接合部材間に配置して接合層とするが、銀の融点まで加熱して該純銀を溶融させると、銀と他の金属とが反応して合金化し、該接合層が脆化する。そこで、前記被接合部材を銀の融点より低い温度で接合するために、ナノオーダーの銀粒子を含む銀ろう材を用いることが検討されている。
前記ナノオーダーの銀粒子を含む組成物としては、例えば、球状銀粉またはフレーク銀粉と、長径10μm以下、結晶子径30nm以上のロッド状銀粉とを混合した混合銀粉が知られている(特許文献1参照)。前記混合銀粉は、樹脂成分及び有機溶剤と混合して銀ペーストとすることにより、プリント配線基板の回路形成等の電気的導通確保の手段に用いられる。
ところで、ナノオーダーの銀粒子を含む銀ろう材を被接合部材間に配置して接合層とする場合、該接合層は純銀からなるので、熱膨張係数が19.1ppm/Kという大きな値となる。従って、前記被接合部材の熱膨張係数が銀よりも小さいときには、接合は可能であるものの、加熱と冷却との熱サイクルが繰り返されたときに、該被接合部材と前記接合層との熱膨張係数の相違のために、該接合層において該熱サイクルに対して十分な耐久性が得られないことがある。
特開2006−49106号公報
本発明は、かかる事情に鑑み、互いに熱膨張係数が異なり、少なくとも一方は銀よりも熱膨張係数が小さい2種の被接合部材を、銀の融点よりも低い温度で接合することができ、しかも加熱と冷却との熱サイクルに対して優れた耐久性を備える接合層を得ることができる熱膨張係数が異なる部材の接合方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、互いに熱膨張係数が異なると共に、少なくとも一方は銀よりも熱膨張係数が小さい2種の部材の接合方法であって、平均粒子径50nm以下の銀粒子と、平均粒子径20μm以上の銀よりも熱膨張係数の小さい粒子とからなる混合粉末であり、且つ該銀よりも熱膨張係数の小さい粒子を該混合粉末全体の10〜40%の範囲の体積分率で含むろう材を、両部材間に配置して加熱することにより両部材を接合するときに、前記2種の部材のうちの一方の部材がSiであり他方の部材がAl又はCuのいずれか1種であって且つ前記銀よりも熱膨張係数の小さい粒子がCu,Ni,Tiからなる群から選択される1種の金属であるか、前記2種の部材のうちの一方の部材がSiCであり他方の部材がCuであって且つ前記銀よりも熱膨張係数の小さい粒子がNiであるか、前記2種の部材のうちの一方の部材がAl 2 O 3 ,AlN,Si 3 N 4 からなる群から選択される1種のセラミックスであり他方の部材がAlであって且つ前記銀よりも熱膨張係数の小さい粒子がNi又はTiのいずれか1種であるか、又は、前記2種の部材のうちの一方の部材がAl 2 O 3 ,AlN,Si 3 N 4 からなる群から選択される1種のセラミックスであり他方の部材がCuであって且つ前記銀よりも熱膨張係数の小さい粒子がNiであることを特徴とする。
本発明の接合方法では、前記ろう材を前記両部材間に配置して加熱する。ここで、前記ろう材は平均粒子径50nm以下の銀粒子を含んでいるので、銀の融点よりも低い温度で接合層を形成することができ、該接合層を介して前記両部材を接合することができる。
前記銀粒子の平均粒子径が50nmよりも大きいときには、より高い温度に加熱することが必要であり、平均粒子径が50nm以下の場合と同等の温度では前記両部材を接合することはできるものの、加熱と冷却との熱サイクルに対する耐久性が極度に低下する。前記銀粒子の平均粒子径は、5〜50nmの範囲にあることが好ましい。
また、本発明の接合方法では、前記ろう材を前記銀粒子と、平均粒子径20μm以上の銀よりも熱膨張係数の小さい粒子とからなる混合粉末とすると共に、該銀よりも熱膨張係数の小さい粒子を該混合粉末全体の10〜40%の範囲の体積分率で含むようにする。この結果、本発明の接合方法によれば、前記ろう材により形成される前記接合層自体の熱膨張係数を純銀よりも小さくすることができ、加熱と冷却との熱サイクルに対して優れた耐久性を備える接合層を得ることができる。
前記銀よりも熱膨張係数の小さい粒子の平均粒子径が20μm未満であるか、前記混合粉末全体に対する体積分率が前記範囲外であるときには、前記接合層を均一な組織とすることができず、該接合層において加熱と冷却との熱サイクルに対して十分な耐久性を得ることができない。前記銀よりも熱膨張係数の小さい粒子の平均粒子径は、20〜40μmの範囲にあることが好ましい。
本発明の接合方法において、前記2種の部材のうちの一方の部材としては例えばSiまたはSiCを挙げることができ、他方の部材としてはAlまたはCuを挙げることができる。ここで、Si、SiC、Cuの熱膨張係数は、いずれも銀の熱膨張係数19.1ppm/Kよりも小さい。これに対して、Alの熱膨張係数は、銀の熱膨張係数よりも大きい。さらに、銀よりも熱膨張係数の小さい部材として、Al2O3、AlN、Si3N4等を挙げることができ、いずれも本発明の接合方法によりAlまたはCuと接合することができる。
また、本発明の接合方法において、前記銀粒子と共に前記ろう材を形成する銀よりも熱膨張係数の小さい粒子としては、例えば、Cu、Ni、Tiからなる群から選択される1種の金属粒子を挙げることができる。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は本実施形態の接合方法の一態様を示す説明的断面図であり、図2は本実施形態の接合方法の他の態様を示す説明的断面図であり、図3は本実施形態の接合方法のさらに他の態様を示す説明的断面図である。
本実施形態の接合方法は、図1に示すように、互いに熱膨張係数が異なると共に、少なくとも一方は銀よりも熱膨張係数が小さい2種の被接合部材1,2の間にろう材3を配置して加熱するものである。
被接合部材1としては、Si、SiC、Al2O3、AlN、Si3N4等の銀よりも熱膨張係数の小さい材料からなるものをあげることができる。ここで、Siの熱膨張係数は2.8ppm/K、SiCの熱膨張係数は4.0ppm/K、Al2O3の熱膨張係数は7.5ppm/K、AlNの熱膨張係数は4.5ppm/K、Si3N4の熱膨張係数は3.0ppm/Kであり、いずれも銀の熱膨張係数19.1ppm/Kよりも小さい。
次に、被接合部材2としては、Alのように銀よりも熱膨張係数の大きい材料であってもよく、Cuのように銀よりも熱膨張係数の小さい材料であってもよい。Alの熱膨張係数は23.5ppm/Kであり、Cuの熱膨張係数は17.0ppm/Kである。
次に、ろう材3としては、50nm以下の範囲の平均粒子径、好ましくは5〜50nmの範囲の平均粒子径を備える銀粒子と、20μmより大きい範囲の平均粒子径、好ましくは20〜40μmの範囲の平均粒子径を備え、銀よりも熱膨張係数の小さい粒子とからなる混合粉末であり、且つ該銀よりも熱膨張係数の小さい粒子を該混合粉末全体の10〜40%の範囲の体積分率で含むものを挙げることができる。
前記銀よりも熱膨張係数の小さい粒子としては、例えば、Cu、Ni、Tiからなる群から選択される1種の金属粒子を挙げることができる。Cuの熱膨張係数は前記のとおりであり、Niの熱膨張係数は13.3ppm/K、Tiの熱膨張係数は8.9ppm/Kである。
本実施形態の接合方法では、被接合部材1,2の間にろう材3を配置した状態で、Agの融点(960.8℃)よりも低い温度、例えば350℃に加熱して10分間保持することにより、ろう材3からなる接合層を形成し、該接合層を介して被接合部材1,2を接合する。この結果、例えば、大気中で室温から200℃まで加熱し、再び室温まで冷却する処理を1サイクルとする熱サイクルに対して、5000サイクル以上という優れた耐久性を備える接合層を得ることができる。
被接合部材1,2は、ろう材3の加熱により形成される接合層との接合性を向上させるために、表面にAgコーティング層4を備えることが好ましいが、被接合部材2がAlの場合には、図2に示すように、表面にNiメッキ層5を備え、Niめっき層5上にAgコーティング層4を備えることが好ましい。また、被接合部材2がCuの場合には、図3に示すように、表面にAgコーティング層4を備えなくてもよい。Agコーティング層4は、例えば、メッキ、蒸着、スパッタリング等の方法により形成することができる。
次に、本発明の実施例と比較例とを示す。
本実施例では、まず、平均粒子径15nmのAg粒子と、平均粒子径20μmのCu粒子とを混合して混合粉末とし、該混合粉末からなるろう材3を調製した。Cu粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率は20%とした。
前記Ag粒子はオクタデカンジオールで被覆されており、被覆の耐熱温度は約220℃である。尚、室温〜300℃の範囲におけるCuの熱膨張係数(線膨張係数)は17.0ppm/Kであり、室温〜380℃の範囲におけるAgの熱膨張係数は19.1ppm/Kである。
次に、被接合部材1として7mm×7mmのSiチップを用意した。被接合部材1としての前記Siチップは、図2に示すように、表面に蒸着により形成された厚さ120nmのAgコーテイング層4を備えている。
また、被接合部材2として10mm×10mm×5mmのAl板を用意した。被接合部材2としての前記Al板はA1050材からなり、図2に示すように、表面にNiメッキ層5を備え、Niメッキ層5上に蒸着により形成された厚さ120nmのAgコーテイング層4を備えている。
尚、室温〜380℃の範囲におけるSiの熱膨張係数は2.8ppm/Kであり、Alの熱膨張係数は23.5ppm/Kである。
次に、図2に示すように、被接合部材(Siチップ)1のAgコーテイング層4と、被接合部材(Al板)2のAgコーテイング層4との間に、200μm厚のスクリーンを用いて、本実施例で調製したろう材3を7mm×7mmの部分に200μmの厚さに塗布した。そして、ろう材3を介して被接合部材1,2を重ね合わせ、2MPaの荷重を負荷して60℃/分の昇温速度で350℃まで加熱し、10分間保持した。この結果、ろう材3からなる接合層が形成され、該接合層を介して被接合部材1,2が接合された。
次に、接合された被接合部材1,2を、大気中で室温から200℃まで加熱し、再び室温まで冷却する処理を1サイクルとする熱サイクル試験を5000サイクルまで行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
本実施例では、平均粒子径40μmのCu粒子を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
本比較例では、平均粒子径10μmのCu粒子を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
本比較例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いると共に、該Cu粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を5%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いると共に、該Cu粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を10%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いると共に、該Cu粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を30%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いると共に、該Cu粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を40%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
本比較例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いると共に、該Cu粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を50%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
表1から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が15nmであり、Agより熱膨張係数の小さいCu粒子の平均粒子径が20〜40μmの範囲であり、該Ag粒子と該Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率が10〜40%の範囲である実施例1〜6の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例1〜6の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSiチップと、Agより熱膨張係数の大きい被接合部材2としてのAl板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、ろう材3を形成するCu粒子の平均粒子径が20μmより小さい10μmである比較例1の接合方法、前記Ag粒子と該Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例2の接合方法、該Cu粒子の体積分率が40%より大きい50%である比較例3の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例1のCu粒子に代えて、平均粒子径20μmのNi粒子を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。尚、室温〜300℃の範囲におけるNiの熱膨張係数(線膨張係数)は13.3ppm/Kである。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表2に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのNi粒子を用いた以外は、実施例7と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表2に示す。
〔比較例4〕
本比較例では、平均粒子径10μmのNi粒子を用いた以外は、実施例7と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表2に示す。
〔比較例5〕
本比較例では、平均粒子径30μmのNi粒子を用いると共に、該Ni粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を5%とした以外は、実施例7と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表2に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのNi粒子を用いると共に、該Ni粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を10%とした以外は、実施例7と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表2に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのNi粒子を用いると共に、該Ni粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を30%とした以外は、実施例7と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表2に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのNi粒子を用いると共に、該Ni粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を40%とした以外は、実施例7と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表2に示す。
〔比較例6〕
本比較例では、平均粒子径30μmのNi粒子を用いると共に、該Ni粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を50%とした以外は、実施例7と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表2に示す。
表2から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が15nmであり、Agより熱膨張係数の小さいNi粒子の平均粒子径が20〜30μmの範囲であり、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10〜40%の範囲である実施例7〜11の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例7〜11の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSiチップと、Agより熱膨張係数の大きい被接合部材2としてのAl板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、ろう材3を形成するNi粒子の平均粒子径が20μmより小さい10μmである比較例4の接合方法、前記Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例5の接合方法、該Ni粒子の体積分率が40%より大きい50%である比較例6の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例1のCu粒子に代えて、平均粒子径20μmのTi粒子を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。尚、室温〜300℃の範囲におけるTiの熱膨張係数(線膨張係数)は8.9ppm/Kである。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表3に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのTi粒子を用いた以外は、実施例12と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表3に示す。
〔比較例7〕
本比較例では、平均粒子径10μmのTi粒子を用いた以外は、実施例12と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表3に示す。
〔比較例8〕
本比較例では、平均粒子径30μmのTi粒子を用いると共に、該Ti粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を5%とした以外は、実施例12と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表3に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのTi粒子を用いると共に、該Ti粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を10%とした以外は、実施例12と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表3に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのTi粒子を用いると共に、該Ti粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を30%とした以外は、実施例12と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表3に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのTi粒子を用いると共に、該Ti粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を40%とした以外は、実施例12と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表3に示す。
〔比較例9〕
本比較例では、平均粒子径30μmのTi粒子を用いると共に、該Ti粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を50%とした以外は、実施例12と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表3に示す。
〔比較例10〕
本比較例では、平均粒子径15μmのAg粒子のみを用い、Agより熱膨張係数の小さい粒子を全く用いずにろう材3を調製した以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表3に示す。
表3から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が15nmであり、Agより熱膨張係数の小さいTi粒子の平均粒子径が20〜30μmの範囲であり、該Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10〜40%の範囲である実施例12〜16の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例12〜16の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSiチップと、Agより熱膨張係数の大きい被接合部材2としてのAl板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、ろう材3を形成するTi粒子の平均粒子径が20μmより小さい10μmである比較例7の接合方法、前記Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例8の接合方法、該Ni粒子の体積分率が40%より大きい50%である比較例9の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
また、平均粒子径15μmのAg粒子のみを用い、Agより熱膨張係数の小さい粒子を全く用いずに調製したろう材3を用いる比較例9の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例1の平均粒子径15nmのAg粒子に代えて、平均粒子径50nmのAg粒子を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表4に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いた以外は、実施例17と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表4に示す。
〔比較例11〕
本比較例では、平均粒子径10μmのCu粒子を用いた以外は、実施例17と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表4に示す。
〔比較例12〕
本比較例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いると共に、該Cu粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を5%とした以外は、実施例17と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表4に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いると共に、該Cu粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を10%とした以外は、実施例17と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表4に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いると共に、該Cu粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を30%とした以外は、実施例17と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表4に示す。
〔比較例13〕
本比較例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いると共に、該Cu粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を50%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表4に示す。
表4から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいCu粒子の平均粒子径が20〜30μmの範囲であり、該Ag粒子と該Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率が10〜30%の範囲である実施例17〜20の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例17〜20の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSiチップと、Agより熱膨張係数の大きい被接合部材2としてのAl板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、ろう材3を形成するCu粒子の平均粒子径が20μmより小さい10μmである比較例11の接合方法、前記Ag粒子と該Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例12の接合方法、該Cu粒子の体積分率が40%より大きい50%である比較例13の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例17のCu粒子に代えて、平均粒子径20μmのNi粒子を用いた以外は、実施例17と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表5に示す。
〔比較例14〕
本比較例では、平均粒子径10μmのNi粒子を用いた以外は、実施例21と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表5に示す。
〔比較例15〕
本比較例では、平均粒子径30μmのNi粒子を用いると共に、該Ni粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を5%とした以外は、実施例21と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表5に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのNi粒子を用いると共に、該Ni粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を10%とした以外は、実施例21と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表5に示す。
〔比較例16〕
本比較例では、平均粒子径30μmのNi粒子を用いると共に、該Ni粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を50%とした以外は、実施例21と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表5に示す。
表5から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいNi粒子の平均粒子径が20〜30μmの範囲であり、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10〜20%の範囲である実施例21,22の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例21,22の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSiチップと、Agより熱膨張係数の大きい被接合部材2としてのAl板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、ろう材3を形成するNi粒子の平均粒子径が20μmより小さい10μmである比較例14の接合方法、前記Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例15の接合方法、該Ni粒子の体積分率が40%より大きい50%である比較例16の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例17のCu粒子に代えて、平均粒子径20μmのTi粒子を用いた以外は、実施例17と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表6に示す。
〔比較例17〕
本比較例では、平均粒子径10μmのTi粒子を用いた以外は、実施例23と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表6に示す。
〔比較例18〕
本比較例では、平均粒子径30μmのTi粒子を用いると共に、該Ti粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を5%とした以外は、実施例23と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表6に示す。
本実施例では、平均粒子径30μmのTi粒子を用いると共に、該Ti粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を10%とした以外は、実施例23と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表6に示す。
〔比較例19〕
本比較例では、平均粒子径30μmのTi粒子を用いると共に、該Ti粒子の前記混合粉末全体に対する体積分率を50%とした以外は、実施例23と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表6に示す。
表6から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいTi粒子の平均粒子径が20〜30μmの範囲であり、該Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10〜20%の範囲である実施例23,24の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例23,24の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSiチップと、Agより熱膨張係数の大きい被接合部材2としてのAl板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、ろう材3を形成するTi粒子の平均粒子径が20μmより小さい10μmである比較例17の接合方法、前記Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例18の接合方法、該Ti粒子の体積分率が40%より大きい50%である比較例18の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
〔比較例20〕
本比較例では、実施例1の平均粒子径15nmのAg粒子に代えて、平均粒子径90nmのAg粒子を用いると共に、平均粒子径10μmのCu粒子を用い、該Ag粒子と該Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率を20%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表7に示す。
〔比較例21〕
本比較例では、平均粒子径20μmのCu粒子を用いた以外は、比較例20と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表7に示す。
〔比較例22〕
本比較例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いると共に、前記Ag粒子と該Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率を10%とした以外は、比較例20と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表7に示す。
〔比較例23〕
本比較例では、平均粒子径30μmのCu粒子を用いると共に、前記Ag粒子と該Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率を50%とした以外は、比較例20と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表7に示す。
表7から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmより大きい90nmである比較例20〜23の接合方法によれば、加熱温度が350℃では、該Ag粒子と共にろう材3を形成するCu粒子の平均粒子径と、該Ag粒子と該Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率との如何に関わらず、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が1000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないばかりか、該耐久性が極端に低くなることが明らかである。
〔比較例24〕
本比較例では、実施例1の平均粒子径15nmのAg粒子に代えて、平均粒子径90nmのAg粒子を用いると共に、平均粒子径10μmのNi粒子を用い、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を20%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表8に示す。
〔比較例25〕
本比較例では、平均粒子径20μmのNi粒子を用いた以外は、比較例24と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表8に示す。
〔比較例26〕
本比較例では、平均粒子径30μmのNi粒子を用いた以外は、比較例24と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表8に示す。
表8から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmより大きい90nmである比較例24〜26の接合方法によれば、加熱温度が350℃では、該Ag粒子と共にろう材3を形成するNi粒子の平均粒子径と、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率との如何に関わらず、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が1000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないばかりか、該耐久性が極端に低くなることが明らかである。
本実施例では、被接合部材2として実施例1のAl板に代えてCu板を用いると共に、実施例1の平均粒子径15nmのAg粒子に代えて平均粒子径50nmのAg粒子を用いる一方、該Ag粒子と共にろう材3を形成するために平均粒子径30μmのCu粒子を用い、該Ag粒子と該Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率を30%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
被接合部材2としての前記Cu板は、C1100材からなり、図1に示すように、表面に蒸着により形成されたAgコーティング層4を備えている。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表9に示す。
〔比較例27〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率を5%とした以外は、実施例25と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表9に示す。
表9から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいCu粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率が30%である実施例25の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例25の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSiチップと、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材2としてのCu板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例27の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例25のCu粒子に代えて平均粒子径30μmのNi粒子を用い、前記Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例25と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表10に示す。
〔比較例28〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を5%とした以外は、実施例26と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表10に示す。
表10から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいNi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%である実施例26の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例26の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSiチップと、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材2としてのCu板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例28の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例25のCu粒子に代えて平均粒子径30μmのTi粒子を用い、前記Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例25と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表11に示す。
〔比較例29〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を50%とした以外は、実施例27と全く同一にして、被接合部材(Siチップ)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表11に示す。
表11から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいTi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%である実施例27の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例27の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSiチップと、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材2としてのCu板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%より小さい50%である比較例29の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、被接合部材1として実施例1のSiチップに代えてSiCチップを用い、被接合部材2として実施例1のAl板に代えてCu板を用いると共に、前記Ag粒子と共にろう材3を形成するために平均粒子径30μmのCu粒子を用い、該Ag粒子と該Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率を30%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(SiCチップ)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
被接合部材1としての前記SiCチップは、図1に示すように、表面に蒸着により形成されたAgコーティング層4を備えている。また、被接合部材2としての前記Cu板は、C1100材からなり、図1に示すように、表面に蒸着により形成されたAgコーティング層4を備えている。尚、室温〜380℃の範囲におけるSiCの熱膨張係数は、4.0ppm/Kである。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表12に示す。
〔比較例30〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率を5%とした以外は、実施例28と全く同一にして、被接合部材(SiCチップ)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表12に示す。
表12から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が15nmであり、Agより熱膨張係数の小さいCu粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率が30%である実施例28の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例28の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSiCチップと、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材2としてのCu板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Cu粒子との混合粉末全体に対する該Cu粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例30の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例28のCu粒子に代えて平均粒子径30μmのNi粒子を用い、前記Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例28と全く同一にして、被接合部材(SiCチップ)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表13に示す。
〔比較例31〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を5%とした以外は、実施例29と全く同一にして、被接合部材(SiCチップ)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表13に示す。
表13から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が15nmであり、Agより熱膨張係数の小さいNi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%である実施例29の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例29の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSiCチップと、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材2としてのCu板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例31の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例28のCu粒子に代えて平均粒子径30μmのTi粒子を用い、前記Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例28と全く同一にして、被接合部材(SiCチップ)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表14に示す。
〔比較例32〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を50%とした以外は、実施例30と全く同一にして、被接合部材(SiCチップ)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表14に示す。
表14から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が15nmであり、Agより熱膨張係数の小さいTi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%である実施例30の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例30の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSiCチップと、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材2としてのCu板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%より小さい50%である比較例32の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、被接合部材1として実施例1のSiチップに代えてAl2O3板を用い、被接合部材2として実施例1のAl板に代えてCu板を用いる一方、実施例1の平均粒子径15nmのAg粒子に代えて平均粒子径50nmのAg粒子を用いると共に、該Ag粒子と共にろう材3を形成するために平均粒子径30μmのNi粒子を用い、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Al2O3板)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
被接合部材1としての前記Al2O3板は、図3に示すように、表面に蒸着により形成されたAgコーティング層4を備えている。また、被接合部材2としての前記Cu板は、C1100材からなり、図3に示すように、表面は純CuでありAgコーティング層4は備えていない。尚、室温〜380℃の範囲におけるAl2O3の熱膨張係数は、7.5ppm/Kである。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表15に示す。
〔比較例33〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を5%とした以外は、実施例31と全く同一にして、被接合部材(Al2O3板)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表15に示す。
表15から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいNi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%である実施例31の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例31の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのAl2O3板と、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材2としてのCu板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例33の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例31のNi粒子に代えて平均粒子径30μmのTi粒子を用い、前記Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例31と全く同一にして、被接合部材(Al2O3板)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表16に示す。
〔比較例34〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を50%とした以外は、実施例31と全く同一にして、被接合部材(Al2O3板)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表16に示す。
表16から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいTi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%である実施例32の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例32の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのAl2O3板と、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材2としてのCu板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%より小さい50%である比較例34の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、被接合部材1として実施例1のSiチップに代えてAl2O3板を用い、被接合部材2として実施例1と同一のAl板を用いる一方、実施例1の平均粒子径15nmのAg粒子に代えて平均粒子径50nmのAg粒子を用いると共に、該Ag粒子と共にろう材3を形成するために平均粒子径30μmのNi粒子を用い、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Al2O3板)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
被接合部材1としての前記Al2O3板は、図2に示すように、表面に蒸着により形成されたAgコーティング層4を備えている。また、被接合部材2としての前記Al板は、A1050材からなり、図2に示すように、表面にNiメッキ層5を備え、Niメッキ層5上に蒸着により形成された厚さ120nmのAgコーティング層4を備えている。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表17に示す。
〔比較例35〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を5%とした以外は、実施例33と全く同一にして、被接合部材(Al2O3板)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表17に示す。
表17から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいNi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%である実施例33の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例33の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのAl2O3板と、Agより熱膨張係数の大きい被接合部材2としてのAl板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例35の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例33のNi粒子に代えて平均粒子径30μmのTi粒子を用い、前記Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例33と全く同一にして、被接合部材(Al2O3板)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表18に示す。
〔比較例36〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を50%とした以外は、実施例34と全く同一にして、被接合部材(Al2O3板)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表18に示す。
表18から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいTi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%である実施例34の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例34の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのAl2O3板と、Agより熱膨張係数の大きい被接合部材2としてのAl板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%より小さい50%である比較例36の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、被接合部材1として実施例1のSiチップに代えてAlN板を用い、被接合部材2として実施例1のAl板に代えてCu板を用いる一方、実施例1の平均粒子径15nmのAg粒子に代えて平均粒子径50nmのAg粒子を用いると共に、該Ag粒子と共にろう材3を形成するために平均粒子径30μmのNi粒子を用い、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(AlN板)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
被接合部材1としての前記AlN板は、図3に示すように、表面に蒸着により形成されたAgコーティング層4を備えている。また、被接合部材2としての前記Cu板は、C1100材からなり、図3に示すように、表面は純CuでありAgコーティング層4は備えていない。尚、室温〜380℃の範囲におけるAlNの熱膨張係数は、4.5ppm/Kである。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表19に示す。
〔比較例37〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を5%とした以外は、実施例35と全く同一にして、被接合部材(AlN板)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表19に示す。
表19から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいNi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%である実施例35の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例35の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのAlN板と、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材2としてのCu板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例37の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例35のNi粒子に代えて平均粒子径30μmのTi粒子を用い、前記Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例35と全く同一にして、被接合部材(AlN板)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表20に示す。
〔比較例38〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を50%とした以外は、実施例36と全く同一にして、被接合部材(AlN板)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表20に示す。
表20から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいTi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%である実施例36の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例36の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのAlN板と、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材2としてのCu板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%より小さい50%である比較例38の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、被接合部材1として実施例1のSiチップに代えてAlN板を用い、被接合部材2として実施例1と同一のAl板を用いる一方、実施例1の平均粒子径15nmのAg粒子に代えて平均粒子径50nmのAg粒子を用いると共に、該Ag粒子と共にろう材3を形成するために平均粒子径30μmのNi粒子を用い、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(AlN板)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
被接合部材1としての前記AlN板は、図2に示すように、表面に蒸着により形成されたAgコーティング層4を備えている。また、被接合部材2としての前記Al板は、A1050材からなり、図2に示すように、表面にNiメッキ層5を備え、Niメッキ層5上に蒸着により形成された厚さ120nmのAgコーティング層4を備えている。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表21に示す。
〔比較例39〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を5%とした以外は、実施例37と全く同一にして、被接合部材(AlN板)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表21に示す。
表21から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいNi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%である実施例37の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例37の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのAlN板と、Agより熱膨張係数の大きい被接合部材2としてのAl板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例39の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例37のNi粒子に代えて平均粒子径30μmのTi粒子を用い、前記Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例37と全く同一にして、被接合部材(AlN板)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表22に示す。
〔比較例40〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を50%とした以外は、実施例38と全く同一にして、被接合部材(AlN板)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表22に示す。
表22から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいTi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%である実施例38の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例38の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのAlN板と、Agより熱膨張係数の大きい被接合部材2としてのAl板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%より小さい50%である比較例40の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、被接合部材1として実施例1のSiチップに代えてSi3N4板を用い、被接合部材2として実施例1のAl板に代えてCu板を用いる一方、実施例1の平均粒子径15nmのAg粒子に代えて平均粒子径50nmのAg粒子を用いると共に、該Ag粒子と共にろう材3を形成するために平均粒子径30μmのNi粒子を用い、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(Si3N4)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
被接合部材1としての前記Si3N4板は、図3に示すように、表面に蒸着により形成されたAgコーティング層4を備えている。また、被接合部材2としての前記Cu板は、C1100材からなり、図3に示すように、表面は純CuでありAgコーティング層4は備えていない。尚、室温〜380℃の範囲におけるSi3N4の熱膨張係数は、3.0ppm/Kである。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表23に示す。
〔比較例41〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を5%とした以外は、実施例39と全く同一にして、被接合部材(Si3N4板)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表23に示す。
表23から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいNi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%である実施例39の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例39の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSi3N4板と、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材2としてのCu板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例41の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例39のNi粒子に代えて平均粒子径30μmのTi粒子を用い、前記Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例39と全く同一にして、被接合部材(Si3N4板)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表24に示す。
〔比較例42〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を50%とした以外は、実施例40と全く同一にして、被接合部材(Si3N4板)1と、被接合部材(Cu板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表24に示す。
表24から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいTi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%である実施例40の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例40の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSi3N4板と、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材2としてのCu板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%より小さい50%である比較例42の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、被接合部材1として実施例1のSiチップに代えてSi3N4板を用い、被接合部材2として実施例1と同一のAl板を用いる一方、実施例1の平均粒子径15nmのAg粒子に代えて平均粒子径50nmのAg粒子を用いると共に、該Ag粒子と共にろう材3を形成するために平均粒子径30μmのNi粒子を用い、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例1と全く同一にして、被接合部材(AlN板)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
被接合部材1としての前記AlN板は、図2に示すように、表面に蒸着により形成されたAgコーティング層4を備えている。また、被接合部材2としての前記Al板は、A1050材からなり、図2に示すように、表面にNiメッキ層5を備え、Niメッキ層5上に蒸着により形成された厚さ120nmのAgコーティング層4を備えている。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表25に示す。
〔比較例43〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率を5%とした以外は、実施例41と全く同一にして、被接合部材(Si3N4板)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表25に示す。
表25から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいNi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%である実施例41の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例41の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSi3N4板と、Agより熱膨張係数の大きい被接合部材2としてのAl板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ni粒子との混合粉末全体に対する該Ni粒子の体積分率が10%より小さい5%である比較例43の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本実施例では、実施例41のNi粒子に代えて平均粒子径30μmのTi粒子を用い、前記Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を10%とした以外は、実施例41と全く同一にして、被接合部材(Si3N4板)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表26に示す。
〔比較例44〕
本比較例では、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率を50%とした以外は、実施例42と全く同一にして、被接合部材(Si3N4板)1と、被接合部材(Al板)2との接合を行った。
次に、接合された被接合部材1,2に対して、実施例1と全く同一にして熱サイクル試験を行い、該熱サイクルに対する耐久性を評価した。結果を表26に示す。
表26から、ろう材3を形成するAg粒子の平均粒子径が50nmであり、Agより熱膨張係数の小さいTi粒子の平均粒子径が30μmであり、該Ag粒子と該Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%である実施例42の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対して5000サイクル以上の優れた耐久性を得ることができることが明らかである。従って、実施例42の接合方法によれば、前記接合層により、Agより熱膨張係数の小さい被接合部材1としてのSi3N4板と、Agより熱膨張係数の大きい被接合部材2としてのAl板とを確実に接合できることが明らかである。
一方、前記Ag粒子と前記Ti粒子との混合粉末全体に対する該Ti粒子の体積分率が10%より小さい50%である比較例44の接合方法によれば、ろう材3からなる接合層において熱サイクルに対する耐久性が5000サイクル未満であり、十分な耐久性が得られないことが明らかである。
本発明に係る接合方法の一態様を示す説明的断面図。
本発明に係る接合方法の他の態様を示す説明的断面図。
本発明に係る接合方法のさらに他の態様を示す説明的断面図。
符号の説明
1…銀よりも熱膨張係数が小さい部材、 2…部材、 3…ろう材。