JP6182903B2 - セラミック回路基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属回路板や放熱板がセラミックス基板にろう付けされた構成を具備するセラミックス回路基板、その製造方法に関する。また、このセラミックス回路基板を用いた半導体モジュールに関する。
近年、電動車両用インバータとして高電圧、大電流動作が可能なパワー半導体モジュール(例えばIGBTモジュール)が用いられている。こうした半導体モジュールにおいては、半導体チップが自己の発熱によって高温になるため、その放熱を効率よく行うという機能が要求される。このため、この半導体モジュールにおいて、半導体チップを搭載する回路基板としては、機械的強度が高く、熱伝導率の高い絶縁性のセラミックス基板に金属板を接合したもの(セラミックス回路基板)が広く使用されている。
ここで、金属板はセラミックス基板の両面に接合され、その一方の面の金属板は金属回路板となり、他方の面の金属板は放熱板となる。半導体チップは金属回路板上に搭載され、金属回路板は、半導体チップに電気的に接続される配線として機能する。このため、金属回路板は、配線として機能するように適宜パターニングされている。
一方、この回路基板が実際に使用される際には、放熱板側において金属ブロックに接合される。この場合、半導体チップが発した熱が、金属回路板からセラミックス基板と放熱板を経て金属ブロックに伝わることによって放熱がなされる。このため、金属回路板と異なり、放熱板はセラミックス基板のほぼ全面にわたり形成される。
一般に、セラミックス基板としては、熱伝導率が高い窒化アルミニウムや、これに機械特性付与した窒化珪素等のセラミックスが広く使用される。金属回路板や放熱板としては、導電性、熱伝導率が高い銅やアルミニウムが使用される。また、金属回路板、放熱板とセラミックス基板との間の接合には、通常は熱伝導率の高いろう材が用いられる。
金属回路板の材料としては、はんだ付けが容易であることや導電性の高さの観点から、通常は銅、銅合金が使用される場合が多い。また、通常は、製造工程を単純化するためには、金属回路板と放熱板を同じ材料で構成することが好ましいため、放熱板も同様に銅、銅合金で構成される場合が多い。
例えば、銅で構成された金属板と窒化珪素で構成されたセラミックス基板との接合には活性金属(Ti等)−銀(Ag)−銅(Cu)系のろう材が、720〜850℃程度の接合温度で好適に用いられ、これによって強固な接合が得られることが知られている。
一方、回路基板が接合される金属ブロックとしては、安価かつ軽量なアルミニウムが使用される場合が多い。こうした場合において、放熱板を構成する銅と金属ブロックを構成するアルミニウムの熱膨張係数は大きく異なるため、これらとセラミックス基板の間の接合の信頼性に問題が発生する場合がある。この点においては、金属回路板と放熱板を共にアルミニウムで構成することが好ましいが、アルミニウムの導電性は銅と比べて劣るため、配線としての特性は銅を用いた場合と比べて劣化する。
また、アルミニウムで構成された金属板と窒化珪素で構成されたセラミックス基板との接合には、アルミニウム(Al)−シリコン(Si)系のろう材が、Al、Cuの融点よりも低い520〜590℃程度の接合温度で好適に用いられる。
上記のような背景から、金属回路板を銅、放熱板をアルミニウムで構成した回路基板が待望されている。金属回路板とセラミックス基板、放熱板とセラミックス基板との間の接合において同一のろう材が使用されるのが一般的であるが、銅とアルミニウムでは構成元素が異なる上に、融点が大きく異なるため、銅で構成された金属回路板とアルミニウムで構成された放熱板を共にセラミックス基板に接合する際に、これらの間で共通のろう材を使用することは、以下のように困難である。
例えば、銅で構成された金属板と窒化珪素で構成されたセラミックス基板との接合に用いられる活性金属(Ti等)−銀(Ag)−銅(Cu)系のろう材を上記の2箇所において同時に用いる場合は、この接合温度がアルミニウムの融点(660℃程度)よりも高いために、アルミニウムで構成された金属板が存在する条件下ではこの接合を行うことは困難であり、金属回路板を銅、放熱板をアルミニウムで構成した回路基板を得ることは困難であった。
また、アルミニウムで構成された金属板と窒化珪素で構成されたセラミックス基板との接合に用いられるアルミニウム(Al)−シリコン(Si)系のろう材を用いる場合は、Al、Cuの融点よりも低い520〜590℃程度の接合温度で好適に用いられるため、アルミニウムで構成された金属板と銅で構成された金属板とをこのろう材を用いてセラミックス基板に同時に接合することは不可能ではない。しかしながら、この場合、銅で構成された金属板におけるCuとAlとの間で脆性の金属間化合物が形成される。このため、銅で構成された金属板とセラミックス基板との間の接合強度は低く、その信頼性は低くなる。
このために、特許文献1においては、この回路基板の製造方法において、金属回路板とセラミックス基板とを接合する工程と、放熱板とセラミックス基板とを接合する工程とを分けて、それぞれの接合を行うことが記載されている。この場合、接合温度の高い金属回路板(Cuで構成された金属板)とセラミックス基板との間の接合を活性金属を含有したろう材を用いて行った後に、接合温度の低い放熱板(Alで構成された金属板)とセラミックス基板との間の接合をAl−Si系のろう材を用いて行うことにより、セラミックス基板の片面に銅板が接合され、これに相対するもう一方の面にアルミニウム板が接合されたセラミックス回路基板を形成している。
特開2003−197826号公報
前記の金属回路板を銅、放熱板をアルミニウムで構成したセラミックス回路基板を用いて半導体モジュールを製造する際には、金属回路板の上に、前記の2種類のろう材よりも低い接合温度をもつはんだを用いて半導体チップを更に接合することが必要になる。この際、特許文献1に記載の製造方法で製造されたセラミックス回路基板においては、接合を2回に分けて行うことにより、半導体チップの接合前の状態(常温)において、大きな反りが発生した。この場合、半導体チップの接合が困難となるため、その接合の信頼性が低下した。あるいは、半導体チップを接合した後のはんだ層が反りに起因して厚くなるために、半導体チップからの放熱性が劣化した。すなわち、特許文献1に記載の構造の回路基板は、接合を2回に分けて行うことによって製造できるものの、これによって半導体チップの接合において問題が発生した。
すなわち、銅を主成分とする金属板とアルミニウムを主成分とする金属板の両方がセラミックス基板に接合された形態を具備し、接合の高い信頼性をもつ半導体モジュールを得ることは困難であった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記の問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明のセラミックス回路基板の製造方法は、銅または銅合金からなる第1の金属基板とアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第2の金属基板とを同時にろう材を用いて窒化物であるセラミックス基板に接合するセラミックス回路基板の製造方法であって、平均粒子径(d50)が0.1〜μmの水素化チタン粒子を0.2〜5.0質量%と、平均粒子径(d50)が10〜5000nmの銀粒子を含むろう材ペーストを準備し、当該ろう材ペーストを前記セラミックス基板の一面に塗布する第1の塗布工程と、前記ろう材ペーストを前記セラミックス基板の他面に塗布する第2の塗布工程と、前記セラミックス基板の一面において、塗布された前記ろう材ペーストを介して前記第1の金属基板を、前記セラミックス基板の他面において、塗布された前記ろう材ペーストを介して前記第2の金属基板を、それぞれ載置する載置工程と、前記載置工程の後に、前記セラミックス基板、前記ろう材ペースト、前記第1の金属基板、及び前記第2の金属基板を、前記第2の金属基板の融点未満の温度で同時に真空雰囲気下において加熱し、その後冷却することによって前記セラミックス基板に前記第1の金属基板及び前記第2の金属基板を接合する接合工程と、を具備することを特徴とする。
本発明のセラミックス回路基板の製造方法は、前記接合工程において、前記セラミックス基板、前記ろう材ペースト、前記第1の金属基板、及び前記第2の金属基板を、300〜600℃の温度に加熱する、ことを特徴とする。
本発明のセラミックス回路基板の製造方法は、銅または銅合金からなる第1の金属基板とアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第2の金属基板とを同時にろう材を用いて窒化物であるセラミックス基板に接合するセラミックス回路基板の製造方法であって、平均粒子径(d50)が0.1〜20μmの水素化チタン粒子を0.2〜5.0質量%と、平均粒子径(d50)が10〜5000nmの銀粒子を含むろう材ペーストを準備し、当該ろう材ペーストを前記セラミックス基板の一面に塗布する第1の塗布工程と、前記ろう材ペーストを前記セラミックス基板の他面に塗布する第2の塗布工程と、前記セラミックス基板の一面において、塗布された前記ろう材ペーストを介して前記第1の金属基板を、前記セラミックス基板の他面において、塗布された前記ろう材ペーストを介して前記第2の金属基板を、それぞれ載置する載置工程と、前記載置工程の後に、前記セラミックス基板、前記ろう材ペースト、前記第1の金属基板、及び前記第2の金属基板を、前記第2の金属基板の融点未満の温度で同時に真空雰囲気下において300〜600℃の温度で加熱し、その後冷却することによって前記セラミックス基板に前記第1の金属基板及び前記第2の金属基板を接合する接合工程と、を具備することを特徴とする。
本発明のセラミックス回路基板の製造方法において、前記ろう材ペーストは、前記水素化チタン粒子と前記銀粒子との混合粉末100質量部に対し、メタクリル系樹脂を2〜10質量部、有機溶剤を1〜8質量部含む、ことを特徴とする。
本発明のセラミックス回路基板の製造方法は、窒化珪素粉末、酸化マグネシウム粉末、及び酸化イットリウム粉末を混合、成形、焼成することによって前記セラミックス基板を製造することを特徴とする。
本発明は以上のように構成されているので、銅を主成分とする金属板とアルミニウムを主成分とする金属板の両方がセラミックス基板に接合された形態を具備した高い信頼性をもつ半導体モジュールを得ることができる。
本発明の実施の形態となるセラミックス回路基板の斜視図(a)、その断面図(b)である。 本発明の実施の形態となるセラミックス回路基板の製造方法を示す工程斜視図である。 本発明の実施の形態となるセラミックス回路基板の製造方法におけるエッチング工程について示す断面図である。 本発明の実施例における、反り量(常温、200℃)とt/t×tの関係をプロットした結果である。
図1は、本発明の実施の形態に係る回路基板(セラミックス回路基板)の斜視図(a)及びその一点鎖線部分における断面図(b)である。この回路基板(セラミックス回路基板)10においては、セラミックス基板11の一方の主面に金属回路板(第1の金属基板)12が、他方の主面に放熱板(第2の金属基板)13が接合される。金属回路板12とセラミックス基板11の間、放熱板13とセラミックス基板11の間の接合は、同一種の接合層14によってなされる。なお、接合層14は金属回路板12や放熱板13と比べて薄いために、斜視図(図1(a)においてはその記載を省略している。この回路基板10には半導体チップがはんだ(共に図示せず)を介して搭載され、半導体モジュールとして使用される。この際、半導体チップは金属回路板12の上に搭載され、放熱板13は、外部の金属ブロックに接合される。放熱板13の平面形状はセラミックス基板11の平面形状とほぼ同様の矩形形状である。これに対して、金属回路板12は、その上に搭載される半導体チップの配線として機能するため、配線となるように適宜パターニングされている。
この構成においては、金属回路板12の上に搭載された半導体チップから、金属回路板12、セラミックス基板11、放熱板13を介して、金属ブロックに放熱がなされる。このため、これらを構成する材料には、熱伝導率が高いことが要求される。
ここで用いられるセラミックス基板11としては、機械的強度が高く、かつ絶縁性、熱伝導率が高い窒化珪素質セラミックスや窒化アルミニウムセラミックスが特に好ましく用いられる。これらはいずれも窒化物であり、共に絶縁性の基板として良好な特性をもつ。その製造方法としては、一般的に知られる焼結体の製造方法を用いることができる。すなわち、窒化珪素質セラミックスの場合には、窒化珪素粉末を主成分とする原料粉末を湿式で混合した後に、バインダーを加えて混合、乾燥して造粒粉とした後、公知のプレス成形法や、CIP成形法、また、シート成形に適したドクターブレード法、押し出し成形法、射出成形法等の公知の成形方法で成形体とし、これを成形バインダーの脱脂および焼成することによってセラミックス基板11を得ることができる。
金属回路板12は、半導体素子からの放熱の他に、大電流送電の配線材としても機能するため、導電性の高い銅(以下、Cu)又はCu合金をその材料としている。
一方、放熱板13が接合される外部の金属ブロックは、この半導体モジュールが使用される機器の一部を構成する。金属ブロックの材料としては、軽量かつ安価なアルミニウム又はアルミニウムを主成分とする合金が使用される場合が多い。この回路基板10においては、金属ブロックとこれに接合される放熱板13の熱膨張係数等を整合させるために、アルミニウム(以下、Al)又はAlを主成分とする合金で放熱板13を構成する。すなわち、金属回路板12と放熱板13を異なる材料で構成する。この点については特許文献1と同様である。
ただし、この回路基板10においては、金属回路板12とセラミックス基板11との間の接合層14(第1の接合層141)と、放熱板13とセラミックス基板11との間の接合層14(第2の接合層142)が、同一組成のろう材を用いて形成されている。
以下に、接合後に第1の接合層141、第2の接合層142となるろう材について説明する。このろう材は、活性金属を含むろう材であり、塗布時にはペースト状であり、塗布後に加熱処理されることによって第1の接合層141、第2の接合層142が形成される。すなわち、金属回路板12と放熱板13は、セラミックス基板11との間に薄いろう材ペーストを介した状態で加熱処理されることによって、ろう材ペーストが溶着した接合層14(第1の接合層141、第2の接合層142)が形成されることによって接合される。
このろう材は、平均粒子径(d50)が0.1〜20μmである水素化チタン(TiH)粒子を0.2〜5.0重量%含む。また、平均粒子径(d50)が10〜5000nmである銀粒子、所謂銀のナノ粒子も含まれる。銀のナノ粒子は、その粒径が小さく、単位重量当たりの総表面積が大きくなる。このため、表面エネルギーの寄与が大きくなって、融解に必要な熱エネルギーが減少し、バルク銀の融点が961℃であるにも関わらず、これよりも低温での溶融固着が可能になる。銀粒子の平均粒子径(d50)が、10nm未満であると、接合層中の空隙率が高くなって、接合強度が低下し、接合の信頼性が低下する。一方、銀粒子の平均粒子径(d50)が、5000nmを超える場合も、接合層中の空隙率が高くなって、接合強度が低下して、接合の信頼性が低下する。上記の理由から、銀粒子の平均粒子径(d50)は、好ましくは20~500nmであり、より好ましくは50~500nmである。
また、本発明で用いられるろう材ペーストに含まれる銀のナノ粒子の表面には、薄い酸化層(AgO)が形成されており、接合時の昇温過程において、後述するメタクリル系樹脂の分解の際にカーボンが発生して還元雰囲気となるため、AgOが還元され、この際に銀粒子の緻密化が進行する。これによっても接合層中の空隙率を小さくすることができ、高い接合強度が得られる。この効果を高くする観点からは、銀粒子の純度は98.5%以上、含有酸素量は0.1wt%以下であることが好ましい。
次に、このろう材ぺーストが、平均粒子径(d50)が0.1〜20μmである水素化チタン(TiH)粒子を0.2〜5.0重量%含む理由について説明する。まず、セラミックス基板11に含まれる窒素との間で窒化チタン(TiN)を生成するようなTi成分がこのろう材ペーストに含まれる場合、生成されたTiNが、金属基板12とセラミックス基板11の間で緻密化する銀粒子とセラミックス基板11との接合に寄与する。こうしたTi成分となる粉末として、特にTiHを用いた場合には、TiH粉末自身は酸化されにくく、かつ、TiH自身の溶融開始の際にはTiとHに分解し、還元ガスであるHの作用により、銀粉末の表面に存在する酸化膜が除去される。これにより銀粉末同士の緻密化が更に促進される。
また、前記の通りに生成されたTiNは、放熱板13中のAlとの間で合金(Al−Ti相)を生成する。これにより、第2の接合層142も強固とすることができる。このため、Ti成分として水素化チタン(TiH)粒子を含むろう材は、セラミックス基板11の材料として窒化珪素セラミックスや窒化アルミニウムセラミックスを用いる場合において特に好ましい。
この際、水素化チタン粒子の平均粒子径(d50)が0.1μm未満の場合は、水素化チタンの溶融は促進される一方で、表面積が大きいために、酸素を吸収しやすいために酸化チタンを生成しやすくなる。このため、金属回路板およびセラミックス基板の接合に寄与するTiNが生成されにくくなる。一方、水素化チタン粒子の平均粒子径(d50)が20μmを超える場合は、水素化チタン粒子自身の溶融が促進されず、この場合においても接合に寄与するTiNが生成されにくくなる。また、上記水素化チタン粒子の添加濃度が0.2重量%未満の場合は、接合に寄与するTiNを生成を十分に確保することができない。個の添加濃度が5.0重量%を超える場合は、前記TiNは充分生成されるものの、脆性相であるTi−Si相が金属回路板及びセラミックス基板との間隙に散在しやすくなり、接合強度ひいては冷熱繰り返しに伴う、接合信頼性が低下する。
以上説明したように、上記のろう材ペーストは、上記銀粒子および水素化チタンを上記割合で含んでいるため、Cuからなる金属基板(金属回路板12)と、Alからなる金属基板(放熱板13)を、セラミックス基板11に対して、放熱板13を構成するAlの融点よりも低い接合温度で同時に接合することが可能である。この場合には、第1の接合層141、第2の接合層142においては、銀粒子が緻密に焼結するために空隙の発生が少なく、高い接合強度及び熱伝導率を得ることができる。
なお、このろう材ペーストは、上記の成分以外にも、他の成分となる粒子を含んでもよい。例えば、ろう材の融点を下げる効果のあるインジウム(In)や錫(Sn)等の低融点金属成分粒子を添加した場合、主成分である銀粒子の緻密化が更に促進される。
また、このろう材ペーストは、上記の成分に加え、塗布工程を容易とするように、有機材料からなるバインダー、有機溶剤を含有することが好ましい。すなわち、このろう材ペーストを構成する材料は、銀、特に銀のナノ粒子を主成分とし、これに活性金属である水素化チタン粒子、及び有機材料からなるバインダー、有機溶剤が混合されたものであることが好ましい。
バインダーとしては、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、グリコール系樹脂等を用いることができ、有機溶剤としては、αテネピオール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、イソプロパノール、プロパノール等を用いることができる。例えば、バインダーとしてメタクリル系樹脂を2〜10重量%、有機溶剤(例えばαテネピネオール)を1〜8重量%の組成で上記の金属成分に混合したものを使用することが好ましい。これらの成分は、接合後における接合層14には残存しないが、この接合の信頼性を高め、かつ上記の回路基板10の製造工程における接合前のろう材ペーストの形成を特に容易にすることができる。具体的には、バインダーと有機溶剤の組成を上記の範囲とすることによって、接合層14におけるボイドの発生を抑制することができる。また、ろう材ペーストの形成を、印刷(例えばスクリーン印刷)によって特に容易に行うことができ、そのパターニングを精密に行うことが可能である。
メタクリル樹脂としては、例えばメタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ノルマルブチル、メタクリル酸ブチル、プロピオン酸ブチル等を用いることができるが、なかでもメタクリル酸ノルマルブチルおよびメタクリル酸イソブチルが好ましい。
図2(a)〜(g)は、この回路基板10の製造工程を示す斜視図である。ここでは、図1(a)の構成の回路基板10が縦横2列に4個並んで同時に製造される場合について記載している。
まず、図2(a)に示されるように、セラミックス基板11を準備する。ただし、この時点においては、セラミックス基板11は、図1(a)の状態におけるものを縦横2列ずつ並べた状態の大きさとする。
次に、図2(b)に示されるように、図2(a)の状態のセラミックス基板11の上面に、ろう材ペースト16をパターニングして形成する(第1の塗布工程)。ろう材ペースト16は、金属回路板12に対応したパターンとされる。このため、図中上面において、図1(a)における金属回路板12と同様のパターンが縦横2列ずつ配列されたパターンとされてろう材ペースト16が形成される。
この際、ろう材ペースト16におけるバインダーと有機溶剤の組成を上記の設定とすることにより、ろう材ペースト16の粘度が保たれ、塗布が容易であり、かつ形成後におけるパターン形状の崩れを抑制することができる。このため、スクリーン印刷等によってろう材ペースト16のパターニングを容易に行うことができる。その後、必要に応じて、ろう材ペースト16の乾燥が行われる。
次に、図2(c)に示されるように、図2(b)の状態のセラミックス基板11の下面に、第1の塗布工程において塗布されたものと同一の材料で構成されたろう材ペースト16をパターニングして形成する(第2の塗布工程)。なお、図2(c)は図2(b)と上下を逆転して示しており、図2(b)における下面側が図2(c)においては上側に示されている。ろう材ペースト16は、放熱板13に対応したパターンとされる。このため、図1(a)における放熱板13と同様の矩形形状のパターンが縦横2列ずつ配列されたパターンとされてろう材ペースト16が形成される。その後、必要に応じて、ろう材ペースト16の乾燥が行われる。
次に、図2(d)に示されるように、金属回路板12をセラミックス基板11の上面側から、放熱板13を下面側から積層して載置する(載置工程)。この時点では、金属回路板12及び放熱板13はパターニングされておらず、セラミックス基板11と同様の平板状とされる。
この状態で300〜600℃程度の加熱処理を行い、その後に常温に冷却することにより、図2(e)に示されるように、セラミックス基板11の上面に金属回路板12が、放熱板13がそれぞれ接合される(接合工程)。金属回路板12や放熱板13を酸化させないために、加熱処理は真空中で行うことが好ましい。この際、金属回路板12とセラミックス基板11の間のろう材ペースト16、放熱板13とセラミックス基板11の間のろう材ペースト16においては、バインダーと有機溶剤が蒸発し、かつ銀粒子が焼結、融着することによって固化し、図1(b)に示されたような接合層14(第1の接合層141、第2の接合層142)が形成される。この際、ろう材ペースト16におけるバインダーと有機溶剤の組成を上記の設定とすることにより、接合層14中における空隙の形成が抑制される。すなわち、機械的強度と熱伝導率が高い接合層14が形成される。
上記加熱処理温度が300℃未満の場合は、十分な接合強度を有する接合層が得られない場合もあるため、好ましくない。一方、上記加熱処理温度が600℃を超えると、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第2の金属基板の変形が発生するため好ましくない。加熱温度は、350〜500℃がより好ましく、380〜450℃が更に好ましい。
その後、金属回路板12上と放熱板13上のそれぞれに、図1におけるそれぞれのパターンに対応したフォトレジストをリソグラフィによって形成し、これをマスクとして、ウェットエッチングを行う(エッチング工程)。その後、フォトレジストを除去することにより、セラミックス基板11の上面における金属回路板12、セラミックス基板12の下面における放熱板13がそれぞれ図2(f)に示されるようにパターニングされる。
図3(a)〜(d)は、特にこのエッチング工程における詳細な状況を示す断面図である。図3においては、特に図2(f)における点線で囲まれた領域(同時に製造された2つの回路基板10の境界領域)について示されている。
まず、パターニングされていない金属回路板12、放熱板13が用いられているため、接合工程後にはこの構造の断面形状は図3(a)のようになっている。
次に、図3(b)に示されるように、フォトリソグラフィを用いて、上面、下面にフォトレジスト層20、21をそれぞれ形成する。上面におけるフォトレジスト層20のパターンは金属回路板12のパターンに対応し、下面におけるフォトレジスト層21のパターンは放熱板13のパターンに対応する。
次に、図3(c)に示されるように、フォトレジスト層20、21が形成されていない箇所における金属回路板12及びその直下の第1の接合層141、放熱板13及びその直上の第2の接合層142をウェットエッチングで除去する。この際、金属回路板12を構成するCu等と、放熱板13を構成するAl等は、例えば共に、塩化第二鉄溶液や塩化第二銅溶液を用いてエッチングすることが可能である。また、前記の通り、第1の接合層141と第2の接合層142は同一組成であり、これは例えば過酸化水素と酸性フッ化アンモニウムの混合溶液でエッチングすることが可能である。これらのエッチング液によってフォトレジスト層20はエッチングされない。このため、初めに塩化第二鉄溶液等を用いてCu(金属回路板12)とAl(放熱板13)をエッチングし、その後で過酸化水素と酸性フッ化アンモニウムの混合溶液を用いて上下面の接合層14をエッチングすることによって、図3(c)のような形状を形成することができる。
この際、金属回路板12と放熱板13は接合層14と比べて厚く、これらのウェットエッチング時においては、フォトレジスト層20が形成されていない箇所において金属回路板12と放熱板13をそれぞれの厚さ方向にわたり除去することが望ましいが、エッチングは図3(c)中の厚さ方向だけでなく、これと垂直な方向にも進行する。更に、塩化第二鉄溶液等によるウェットエッチングのエッチレートはCuとAlで等しくなく、一般にはAlの方が高くなる。このため、エッチング後の形状におけるフォトレジスト層20の端部から金属回路板12の端部(図3においては下端部)までの距離をC、フォトレジスト層21の端部から放熱板13の端部(図3においては上端部)までの距離をAとすると、図3(c)に示されるように、A>C>0となる。このため、フォトレジスト層20を形成するためのリソグラフィにおいては、金属回路板12に対応する(仕上がりを考慮した補正量)マスクパターンとしてCを考慮したパターン設計値を用い、放熱板13に対応するマスクパターンとしてA(A>C)を考慮したパターン設計値を用いる。すなわち、金属回路板12に対応するマスクパターンとしては、所望のパターンを両側でそれぞれCだけ太くしたパターンを用い、放熱板13に対応するマスクパターンとしては、所望のパターンを両側でそれぞれAだけ太くしたパターンを用いる。すなわち、厚さ方向と垂直な方向におけるエッチング量を考慮した各々のマスクパターンを用いることにより、金属回路板12(Cu)と放熱板13(Al)のウェットエッチングを同時に行うことができる。
従って、金属回路板12の端部と金属回路板12上に形成されたフォトレジスト層20の端部との距離Cが、放熱板13の端部と放熱板13上に形成されたフォトレジスト層21の端部までの距離をAより小さいことを考慮したマスクパターンを設計することが好ましい。一般的には、A−Cを0.05mm〜0.5mmの範囲とすることによって、所望のパターンの金属回路板12、放熱板13を得ることができる。
なお、このウェットエッチングにおいては、前記の厚さ方向と垂直な方向に進行するエッチングの影響のために、エッチング後の金属回路板12の端部及び放熱板13の端部は共にテーパー化する。図3においては、上記のC、Aは、金属回路板12の下端部と放熱板13の上端部を基準にして定義されているが、金属回路板12の上端部と放熱板13の下端部を基準にしてこれらを設定してもよい。
以上のようにして、金属回路板12(Cu)と放熱板13(Al)のエッチングを同時に行うことが可能であり、図2(f)の形状が得られる。この形状は、セラミックス基板11において図1の構造の回路基板10が縦横2列ずつ配列された形状となっている。
このため、図2(g)に示される破線でセラミックス基板11を切断することにより、図1に示された回路基板10を4個得ることができる。
上記の製造方法においては、共通のろう材ペースト16を用いて、Cu又はCu合金で構成された金属回路板12とAl又はAl合金で構成された放熱板13がそれぞれ一方、他方の主面に接合された回路基板10を製造することができる。この際、接合のための加熱処理を1回で行うことができるため、回路基板10における反りを小さくすることができる。また、強度の高い各接合を1回の熱処理で形成することができるために、製造工程が簡略化され、製造コストが抑制される。
上記の製造方法、構成は、回路基板10における反りが生じやすい構成において特に有効である。このため、セラミックス基板11が薄く、放熱板13が金属回路板12に対して厚い場合において、特に有効である。具体的には、セラミックス基板の厚さをt、金属回路板の厚さをt、放熱板の厚さをtとした場合に、t≦1mm、0.02mm≦t/t×t≦1mmである場合において特に有効である。更に、0.02mm≦t/t×t≦0.8mmである場合に特に有効である。
なお、上記の製造方法で、載置工程を2回に分割して、第1の塗布工程の直後に金属回路板12を上面側から載置し、その後で第2の塗布工程を行い、その直後に放熱板13を下面側から載置してもよい。
また、上記の製造方法で製造されたセラミックス回路基板を用いて半導体モジュールを製造する際において、半導体チップを金属回路板にはんだで接合する際における反りが小さくなっている。このため、この半導体モジュールにおいては、半導体チップの接合における高い信頼性も得ることができる。
(実施例)
図1に示された構成の回路基板を、図2に示した手順で製造した。ここで、各実施例、比較例において用いられたセラミックス基板(厚さt)は窒化珪素質セラミックスで構成されており、窒化珪素粉末96質量%、酸化マグネシウム粉末3質量%、酸化イットリウム粉末3質量%の原料を混合、成形、焼成して得たものを用いた。図2におけるセラミックス基板11の外形寸法は100mm×80mm、金属回路板12(第1の金属基板:厚さt)はCu(無酸素銅)で構成され、放熱板13(第2の金属基板:厚さt)はAl(純Al)で構成され、金属回路板(第1の金属基板)、放熱板(第2の金属基板)共に外形寸法は99mm×79mmである。
ろう材ペーストにおける銀粒子としては、純度99.2%、酸素量0.08wt%のものを用い、表1〜5に示す各種平均粒子径のものを用いた。水素化チタン粒子としては、純度99.5%のものを用い、表に示す各種平均粒子径、添加量のものを用いた。また、バインダーとしては、メタクリル酸ノルマルブチル(メタクリル系樹脂)を表1〜5に示す質量%で用い、有機溶剤としてはαテネピネオールを表1~5に示す質量%で用いた。
その後、比較例15、16以外については、図2に示した手順で第1の金属基板、セラミックス基板、第2の金属基板をろう材ペーストを介して、真空雰囲気中、表1〜4に示す接合温度で、保持時間3時間の条件で接合した。比較例15、16については、特許文献1に記載の技術と同様に2種類のろう材を用いて接合を2回に分けて行った。その後、金属回路板12と放熱板13上に図1のパターンに応じたレジストを形成した後、エッチングして金属回路板12と放熱板13の不要な部分を除去し、レジストを除去して、図2(f)に示す4つの回路パターンを有するセラミックス回路基板を作製した。その後、図2(g)に破線で示す位置で分割して、図1に示すセラミックス回路基板を作製した。このセラミックス基板の外形寸法は50mm×40mm、放熱板の外形寸法は49mm×39mm、金属回路板の外形寸法は48mm×38mmである。ただし、放熱板が単純な矩形形状であるのに対して、金属回路板は、半導体チップが搭載される大パターン部と、これら素子回路部(ゲートあるいは温度センサー)との間がワイヤボンディング等によって接続される補助端子用の小パターン部とが分離して構成されるようにパターニングされている。
その後、製造された(図2(g)に破線で示された位置で4分割後の)回路基板における放熱板とセラミックス基板界面の接合部の空隙率を、厚み方向の断面における任意の位置の100μmの矩形領域における空隙率として、走査型電子顕微鏡(SEM)によるSEM像の画像解析によって測定した。また、常温(20℃)と200℃における反り量を非接触型レーザー走査方式の3次元形状測定機を用い評価した。ここで、反り量は、製造された回路基板において、金属回路板側を上側とした場合に凸形状となった場合において正の値とし、逆向きに反った場合において負の値となるものとした。
実施例1〜62において用いられたろう材ペーストでは、金属成分として、平均粒子径(d50)が10〜5000nmの範囲内である前記の組成の銀粒子が用いられ、これに、平均粒子径(d50)が0.1〜20μmの範囲内である水素化チタン粒子が0.2〜5.0質量%混合された。また、上記の金属成分100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸ノルマルブチルが2〜10質量部、有機溶剤(αテネピネオール)が1〜8質量部の範囲内で添加された。
また、実施例1〜62では、セラミックス基板、金属回路板、放熱板の厚さが、t≦1mm、0.02mm≦t/t×t≦1mmを満たすように設定された。この条件は、前記の通り、従来の構造の回路基板、あるいは従来の製造方法によれば反りが大きくなる場合に対応している。また、接合工程における加熱時の温度が300〜600℃となるように設定された。接合工程は、真空中(減圧雰囲気)で行った。
実施例63〜68においては、バインダーの組成が2〜10質量部の範囲外、かつ有機溶剤の組成が1〜8質量部の範囲外とされたが、ろう材ペーストにおけるこれら以外の金属成分やセラミックス基板等の構成については、実施例1〜62と同様の範囲内となっている。
実施例69〜74においては、ろう材ペーストに関するパラメータは実施例1〜62と同様の範囲内とされ、セラミックス基板、金属回路板、放熱板の厚さが、t≦1mm、0.02mm≦t/t×t≦1mmの範囲外となるようにされている。
実施例75〜80においては、ろう材ペーストの金属成分に関するパラメータ(銀粒子の平均粒子径、水素化チタン粒子の平均粒子径及びその組成)は実施例1〜62と同様の範囲内としているが、これら以外のパラメータである、ろう材におけるバインダーと有機溶剤の組成、セラミックス回路基板におけるセラミックス基板、金属回路板、放熱板の厚さ、は実施例1〜62における範囲外とされている。
実施例1〜30における上記のパラメータの値と、空隙率、反り量の測定結果について表1、実施例31〜62における同様の結果を表2に、実施例63〜80における同様の結果を表3に、それぞれ示す。
Figure 0006182903
Figure 0006182903
Figure 0006182903
これに対して、比較例1〜14においては、ろう材ペーストにおける金属成分が、いずれも実施例1〜62の範囲外とされている。比較例1〜3は、銀粒子の平均粒子径が20〜5000nmの範囲よりも小さい場合(8nm)、比較例4〜6は、大きな場合(5200nm)であり、これら以外のパラメータは全て実施例1〜62と同様の範囲内となっている。比較例7、8では、銀粒子の平均粒子径を8nmとして更に水素化チタン粒子の平均粒子径を実施例1〜62における範囲外とし、これら以外のパラメータは、実施例1〜62と同様の範囲内としている。比較例9、10では、銀粒子の平均粒子径を8nmとして更に水素化チタン粒子の組成を実施例1〜62における範囲外とし、これら以外のパラメータは、実施例1〜62と同様の範囲内としている。
比較例11、12では、銀粒子の平均粒子径を5200nmとして更に水素化チタン粒子の平均粒子径を実施例1〜62における範囲外とし、これら以外のパラメータは、実施例1〜62と同様の範囲内としている。比較例13、14では、銀粒子の平均粒子径を5200nmとして更に水素化チタン粒子の組成を実施例1〜62における範囲外とし、これら以外のパラメータは、実施例1〜62と同様の範囲内としている。
比較例1〜14について、表1等と同様の測定を行った結果について、表4に示す。
Figure 0006182903
また、比較例15、16では、特許文献1に記載の技術と同様に、金属回路板(第1の金属基板)側と放熱板(第2の金属基板)側とで異なる2種類のろう材を用い、接合工程を個別に行っている。ここで、金属回路板、放熱板、セラミックス基板の寸法については、比較例1〜14と同様である。金属回路板側のろう材は、Ag−Cu合金粒子(質量組成比82:16)に対して、TiH粒子を(質量組成比98:2)で混合して構成したものであり、その接合は840℃(比較例15)、830℃(比較例16)で、1時間で行った。放熱板側のろう材はAl−Si(質量組成比88:12)系のものであり、その接合は590℃、4時間で、金属回路板の接合の後で行った。空隙率の評価は、実施例と同種のろう材を用いた第1の金属基板側で上記と同様に行った。
比較例15、16について、表1等と同様の測定を行った結果について、表5に示す。
Figure 0006182903
この結果より、実施例1〜80の全てにおいて、空隙率が40%以下となっており、常温における反り量の絶対値が4μm/mm以下となっている回路基板が得られた。また、200℃における反り量の絶対値も8μm/mm以下であった。すなわち、これらの回路基板においては、反りの絶対値が小さく、かつ金属回路板/セラミックス基板、セラミックス回路基板/放熱板の各々の界面で強固な接合が得られている。このため、これらの回路基板の信頼性は高く、この上に半導体チップを搭載することにより、信頼性の高い半導体モジュールを得ることができる。
ただし、ろう材ペーストにおけるバインダーの組成範囲と有機溶剤の組成範囲が実施例1〜62の範囲外とされた実施例63〜68においても、同様の特性が得られている。また、ろう材の金属成分に関するパラメータのみを実施例1〜62と同様の範囲内とし、これ以外のパラメータ(ろう材のバインダー、有機溶媒、金属回路板厚さ等)を実施例1〜62の範囲外とした実施例75〜80においても、空隙率、反り量が同様に小さくなっている。このため、ろう材の組成において最も重要な特徴は、(1)金属成分として、平均粒子径(d50)が10〜5000nmの範囲である銀粒子が含まれること、(2)平均粒子径(d50)が0.1〜20μmの範囲である水素化チタン粒子が0.2〜5.0質量%混合されること、であると考えられる。
ただし、実施例75〜80における空隙率は、実施例63〜68よりも大きめであるため、バインダー、有機溶媒についても、実施例1〜62と同様の範囲内(バインダーが2〜10質量部、有機溶剤が1〜8質量部の範囲)とすることが最も好ましい。
また、t≦1mm、0.02mm≦t/t×t≦1mmは、前記の通り、従来の回路基板において最も反りが大きくなりやすい条件に対応する。このため、金属回路板の厚さ等がこの条件から外れた実施例69〜74においても、同様に良好な結果が得られている。ただし、t、t、tが上記の範囲内である場合に特に有効である。
一方、ろう材の金属成分に関するパラメータのいずれかが上記の範囲から外れた比較例1〜14においては、空隙率が40%を越えている。また、比較例1〜14のいずれもが、反り量は負となっている。これは、前記の通り、金属回路板(Cu)側を上にした場合に、凹形状となっていることに対応する。この原因は、セラミックス基板/放熱板(Al)界面の接合強度が金属回路板(Cu)/セラミックス基板界面の接合強度よりも低いため、接合後の冷却で金属回路板(Cu)側の収縮の影響が強く出たためである。このため、200℃における反りは、いずれも正側に(反り量自体は負ではあるがその絶対値が小さくなる側に)シフトしている。これは、金属回路板側の第2の接合層において、空隙率が大きく40%以下となっていないことに対応している。すなわち、比較例1〜14の場合にも、同一ろう材を用いて金属回路板(Cu板)と放熱板(Al板)を接合することは可能であるが、この場合、回路基板の反りが大きくなり、金属回路板側の第2の接合層の接合信頼性が低くなる。
このため、比較例の回路基板を使って信頼性の高い半導体モジュールを製造することは困難である。
また、2回の接合を行った比較例15、16については、空隙率は小さくなっているものの、接合工程を2回行うという煩雑な工程を要した上に、反りの絶対値が大きくなっている。
以上の結果より、実施例において良好な特性が得られることが確認された。
また、上記の実施例1〜80について、反り量(常温、200℃)とt/t×tの関係をプロットした結果を図4に示す。この結果より、t/t×tが小さい場合には反りが大きくなる、すなわち、反りが生じやすいことが明らかである。しかしながら、少なくとも0.02mm≦t/t×t≦1mmの範囲内であれば、常温における反り量の絶対値を4μm以下にできることが明らかである。
また、図4の結果において、前記の比較例1〜14の結果とは逆に、常温から200℃にした場合に、反り量は負側にシフトする傾向があることが確認できる。これは、比較例1〜14とは逆に、回路基板の反りが小さく、セラミックス基板/放熱板(Al)界面における高い接合信頼性が得られていることに対応している。
すなわち、この結果からも、実施例の回路基板においては高い信頼性が得られていることが確認できる。
なお、上記の例では、セラミックス基板として窒化珪素を主成分とするセラミックスを用いた場合について記載したが、同様の窒化物である窒化アルミニウムを主成分とする場合についても同様である。
10 セラミックス回路基板(回路基板)
11 セラミックス基板
12 金属回路板(第1の金属基板)
13 放熱板(第2の金属基板)
14 接合層
16 ろう材ペースト
141 第1の接合層(接合層)
142 第2の接合層(接合層)
20、21 フォトレジスト層

Claims (5)

  1. 銅または銅合金からなる第1の金属基板とアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第2の金属基板とを同時にろう材を用いて窒化物であるセラミックス基板に接合するセラミックス回路基板の製造方法であって、
    平均粒子径(d50)が0.1〜μmの水素化チタン粒子を0.2〜5.0質量%と、平均粒子径(d50)が10〜5000nmの銀粒子を含むろう材ペーストを準備し、当該ろう材ペーストを前記セラミックス基板の一面に塗布する第1の塗布工程と、
    前記ろう材ペーストを前記セラミックス基板の他面に塗布する第2の塗布工程と、
    前記セラミックス基板の一面において、塗布された前記ろう材ペーストを介して前記第1の金属基板を、前記セラミックス基板の他面において、塗布された前記ろう材ペーストを介して前記第2の金属基板を、それぞれ載置する載置工程と、
    前記載置工程の後に、前記セラミックス基板、前記ろう材ペースト、前記第1の金属基板、及び前記第2の金属基板を、前記第2の金属基板の融点未満の温度で同時に真空雰囲気下において加熱し、その後冷却することによって前記セラミックス基板に前記第1の金属基板及び前記第2の金属基板を接合する接合工程と、
    を具備するセラミックス回路基板の製造方法。
  2. 前記接合工程において、前記セラミックス基板、前記ろう材ペースト、前記第1の金属基板、及び前記第2の金属基板を、300〜600℃の温度に加熱する、
    ことを特徴とする請求項に記載のセラミックス回路基板の製造方法。
  3. 銅または銅合金からなる第1の金属基板とアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第2の金属基板とを同時にろう材を用いて窒化物であるセラミックス基板に接合するセラミックス回路基板の製造方法であって、
    平均粒子径(d50)が0.1〜20μmの水素化チタン粒子を0.2〜5.0質量%と、平均粒子径(d50)が10〜5000nmの銀粒子を含むろう材ペーストを準備し、当該ろう材ペーストを前記セラミックス基板の一面に塗布する第1の塗布工程と、
    前記ろう材ペーストを前記セラミックス基板の他面に塗布する第2の塗布工程と、
    前記セラミックス基板の一面において、塗布された前記ろう材ペーストを介して前記第1の金属基板を、前記セラミックス基板の他面において、塗布された前記ろう材ペーストを介して前記第2の金属基板を、それぞれ載置する載置工程と、
    前記載置工程の後に、前記セラミックス基板、前記ろう材ペースト、前記第1の金属基板、及び前記第2の金属基板を、前記第2の金属基板の融点未満の温度で同時に真空雰囲気下において300〜600℃の温度で加熱し、その後冷却することによって前記セラミックス基板に前記第1の金属基板及び前記第2の金属基板を接合する接合工程と、
    を具備するセラミックス回路基板の製造方法。
  4. 前記ろう材ペーストは、前記水素化チタン粒子と前記銀粒子との混合粉末100質量部に対し、メタクリル系樹脂を2〜10質量部、有機溶剤を1〜8質量部含む、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のセラミックス回路基板の製造方法。
  5. 窒化珪素粉末、酸化マグネシウム粉末、及び酸化イットリウム粉末を混合、成形、焼成することによって前記セラミックス基板を製造することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のセラミックス回路基板の製造方法。
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