以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの主要部の構成を示す図である。
図において、10は画像形成装置としてのプリンタである。本実施の形態におけるプリンタ10は、電子写真プロセスを利用して印刷媒体としての用紙12上に画像を形成する装置であればいかなる装置であってもよく、例えば、ファクシミリ機、複写機、複合機等であってもよいが、ここでは、カラー画像を形成するカラープリンタである場合について説明する。
そして、13は用紙12を給紙する給紙ローラであり、前記用紙12を矢印で示される方向に搬送する。また、15は用紙12を搬送する搬送ベルトであり、用紙12の搬送路上において給紙ローラ13の下流側に配設され、2つの搬送ローラ23の周囲に掛け回されて張設される。なお、該搬送ローラ23は、図示されない駆動手段によって、矢印で示される方向に回転させられる。
また、前記搬送ベルト15に沿って、ブラック(BK)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色に対応する画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cが、用紙12の搬送方向に関して上流から順に、かつ、各々所定の距離だけ離間して配設されている。そして、搬送ベルト15を挟んで各画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cと対向する位置には、転写ローラとしての転写器22BK、22Y、22M及び22Cが各々配設されている。該転写器22BK、22Y、22M及び22Cは、画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cによって形成されたブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のトナー像を用紙12上に転写する。
さらに、用紙12の搬送路上において画像形成部21Cの下流側には、定着器24が配設されている。該定着器24は、加熱及び加圧することによって、用紙12上に転写されたトナー像を定着させる。
また、用紙12の搬送路上において画像形成部21BKの上流側には、用紙12の端部を検出する媒体端部検出部としての用紙端検出部14が配設されている。そして、該用紙端検出部14の用紙検出位置から画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cの各々の転写位置までの距離は、DK〔inch〕、DY〔inch〕、DM〔inch〕及びDC〔inch〕となっている。
さらに、20は画像データ制御部であり、画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cにデータを送信する。
次に、前記画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cの構成について詳細に説明する。なお、画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cの構成は共通しているので、ここでは、画像形成部21Cの構成についてのみ説明する。
図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成部の構成を示す断面図である。
図に示されるように、画像形成部21Cは、トナーカートリッジ26C、像担持体31C、帯電ローラ32C、露光部としてのLED(Light Emitting Diode)ヘッド33C、トナー供給ローラ34C及び現像ローラ35Cを有する。ここで、前記トナーカートリッジ26Cは、現像剤としてのトナーを収容する容器である。なお、図においては、トナー粒25Cが模式的に描画されている。
また、前記像担持体31Cは、ドラム状の部材であり、図示されない駆動手段によって、矢印で示される方向に回転させられる。そして、前記LEDヘッド33Cは、主走査方向(図3において図面に垂直な方向)に配列された複数のLEDを備え、帯電ローラ32Cによって帯電された像担持体31Cの表面に選択的に光を照射して露光し、静電潜像を形成する。また、トナーカートリッジ26Cから供給されたトナーは、トナー供給ローラ34Cによって現像ローラ35Cに供給される。そして、該現像ローラ35Cは、像担持体31Cの表面に形成された静電潜像をトナーによって現像し、前記像担持体31Cの表面にトナー像を形成する。該トナー像は、像担持体31Cの回転によって移動し、転写器22Cにより用紙12上に転写される。
なお、図において、Rは、像担持体31Cの外周の半周分の距離〔inch〕を示し、前記DK、DY、DM及びDCとは、次の式(1)で示される関係を備える。
R<DK<DY<DM<DC ・・・式(1)
ここでは、画像形成部21Cの構成についてのみ説明したが、画像形成部21BK、21Y及び21Mも、画像形成部21Cと同様の構成を有するものであり、トナーカートリッジ26BK、26Y及び26M、像担持体31BK、31Y及び31M、帯電ローラ32BK、32Y及び32M、LEDヘッド33BK、33Y及び33M、トナー供給ローラ34BK、34Y及び34M、並びに、現像ローラ35BK、35Y及び35Mを有する。なお、画像形成部21BK、21Y、21M及び21C、転写器22BK、22Y、22M及び22C、トナーカートリッジ26BK、26Y、26M及び26C、像担持体31BK、31Y、31M及び31C、帯電ローラ32BK、32Y、32M及び32C、LEDヘッド33BK、33Y、33M及び33C、トナー供給ローラ34BK、34Y、34M及び34C、並びに、現像ローラ35BK、35Y、35M及び35Cを各々統合的に説明する場合には、画像形成部21、転写器22、トナーカートリッジ26、像担持体31、帯電ローラ32、LEDヘッド33、トナー供給ローラ34、及び、現像ローラ35として説明する。
次に、前記画像データ制御部20の構成について詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの画像データ制御部の構成を示すブロック図である。
図に示されるように、プリンタ10の画像データ制御部20は、印刷データ受信部41、展開データ作成部42、展開データ格納部43、展開データ補正部44、補正展開データ格納部45、補正展開データ転送部46、展開データ編集部51及び転送信号発生部52を有する。
ここで、前記印刷データ受信部41は、図示されない上位装置から印刷データを受信するものである。また、前記展開データ作成部42は、印刷データ受信部41が受信した印刷データを展開して、画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cに送るためのピットマップ形式の展開データBK、Y、M及びCを作成するものである。該展開データBK、Y、M及びCは、画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cの各々が備えるLEDヘッド33BK、33Y、33M及び33Cの1つ1つのLEDに対応したデータの集合であり、LEDが主走査方向にW個配列されたLEDヘッド33で、P本のラインの印刷を行う場合には、W×P個のドットイメージデータで構成される。
また、前記展開データ格納部43は、展開データ作成部42が作成した展開データBK、Y、M及びCを格納する。
さらに、前記展開データ補正部44は、展開データ格納部43に格納されている展開データBK、Y、M及びCをライン単位で受信し、画像形成部21BK、21Y、21M及び21CのそれぞれのLEDヘッド33BK、33Y、33M及び33Cのずれ量に応じて補正するものである。そして、例えば、100枚の用紙12に印刷する毎、図示されないカバーがオープンされたりクローズされたりした時等のような所定のタイミングにおいて、画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cの各々が搬送ベルト15上に所定のトナーパターンを形成し、該トナーパターンをセンサで検出することによって、LEDヘッド33BK、33Y、33M及び33Cのずれ量を検出し、該ずれ量をメモリに記憶する。
また、前記補正展開データ格納部45は、展開データ補正部44によって補正された補正展開データBK、Y、M及びCを格納するものである。
さらに、前記補正展開データ転送部46は、補正展開データ格納部45に格納された補正展開データBK、Y、M及びCをライン単位で画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cへ転送を行うものである。
そして、前記転送信号発生部52は、用紙端検出部14からの用紙検出信号に基づいて、展開データ転送信号BK、Y、M及びCを展開データ格納部43、展開データ編集部51、展開データ補正部44及び補正展開データ格納部45に対して出力するとともに、補正展開データ転送信号BK、Y、M及びCを補正展開データ転送部46並びに画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cに対して出力し、さらに、展開データ編集信号BK、Y、M及びCを展開データ編集部51に対して出力する。さらに、前記転送信号発生部52は、ライン同期信号を展開データ格納部43、展開データ補正部44、補正展開データ格納部45、補正展開データ転送部46、展開データ編集部51並びに画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cに対して出力する。
なお、前記展開データ転送信号BK、Y、M及びCは、展開データ格納部43に格納された展開データBK、Y、M及びCを、展開データ編集部51と展開データ補正部44とを経て補正展開データ格納部45に送信し、補正展開データBK、Y、M及びCとして格納させる信号である。
そして、前記補正展開データ転送信号BK、Y、M及びCは、補正展開データ格納部45に格納されたそれぞれの補正展開データを補正展開データ転送部46から画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cに転送させる信号である。
また、前記展開データ編集信号BK、Y、M及びCは、展開データ編集部51に、展開データ格納部43から転送されてくる展開データを編集させる信号である。
さらに、前記ライン同期信号は、副走査方向のライン印刷タイミングを示す信号である。図2に示される搬送ローラ23は、ライン同期信号1周期の時間で副走査1ライン分だけ矢印方向に回転し、搬送ベルト15を移動させる。
そして、前記展開データ編集部51は、転送信号発生部52からの展開データ編集信号BK、Y、M及びCに基づいて、展開データ格納部43からライン単位で転送されてくる展開データの一部を空白データにするものである。なお、該空白データは、LEDヘッド33で露光を行わず、トナー像が印刷されないことを示すデータである。
次に、前記構成のプリンタ10の動作について説明する。まず、主走査方向に対する傾きが互いに異なるようにLEDヘッド33が取り付けられている場合において、従来のようにLEDヘッド33の互いの傾きに応じて展開データを補正して画像を印刷した比較例について説明する。
図4はLEDヘッドの傾きに応じて展開データを補正して画像を印刷した比較例を示す第1の図、図5はLEDヘッドの傾きに応じて展開データを補正して画像を印刷した比較例を示す第2の図である。
ここで、図4(a)−BKは展開データBKを示し、図4(a)−Yは展開データYを示している。
そして、図4(b)−BKは、画像形成部21BKのLEDヘッド33BKの傾きに従って補正された補正展開データBKを示している。なお、斜線の丸はLEDヘッド33BKによって露光を行いトナー像が印刷されることを示す印刷データであり、白丸は空白データである。
また、図4(b)−Yは、画像形成部21YのLEDヘッド33Yの傾きに従って補正された補正展開データでYある。なお、格子線の丸は印刷データであり、白丸は空白データである。
さらに、図4(c)−BKは、LEDヘッド33BKで補正展開データBKの1ライン目を印刷した結果を示し、図4(c)−Yは、LEDヘッド33Yで補正展開データYのlライン目を印刷した結果を示している。これにより、LEDヘッド33BK及びLEDヘッド33Yが斜めに取り付けられているため、補正展開データBK及びYが斜めに印刷されることが分かる。
そして、図4(d)−BKは、LEDヘッド33BKで補正展開データBKの1ライン目から4ライン目を印刷した結果を示し、図4(d)−Yは、LEDヘッド33Yで補正展開データYの1ライン目から4ライン目を印刷した結果を示している。これにより、印刷結果の書き出し位置がともに揃(そろ)っていることが分かる。
また、図5(e)−BKは、10ライン目以降のLEDヘッド33BKの露光を禁止した場合の印刷結果を示し、図5(e)−Yは、10ライン目以降のLEDヘッド33Yの露光を禁止した場合の印刷結果を示している。ともに印刷結果が斜めになって終了していることが分かる。
さらに、図5(f)は図5(e)−BK及び図5(e)−Yを重ね合わせた結果である。なお、黒丸で示した部分は、BKとYの印刷結果が重なっている部分を示している。そして、8ライン目から10ライン目にBKとYの印刷結果が重ならず、色の重ねずれが生じていることが分かる。
従来のように、露光禁止が通知されると、補正展開データBK及びYをLEDヘッド33BK及びYに送る段階で、それ以降のデータを空白に変えているため、このようなずれが生じてしまう。さらに、10ライン目まで印刷することができるが、7ライン目までしか正しい画像を得ることができない。
次に、前記プリンタ10の印刷プロセスについて説明する。
まず、搬送ローラ23によって移動される搬送ベルト15により用紙12が搬送されてくると、帯電ローラ32は像担持体31の表面を一様かつ均一に負に帯電させる。続いて、LEDヘッド33は、帯電された像担持体31表面を露光して静電潜像を形成する。続いて、現像ローラ35は、像担持体31表面に形成された静電潜像にトナーを付与することによって現像し、トナー像を形成する。続いて、像担持体31表面に形成されたトナー像は、転写器22によって用紙12上に転写される。続いて、トナー像が転写された用紙12は、搬送ベルト15によって定着器24に搬送される。そして、用紙12に転写されたトナー像は定着器24によって定着される。
次に、前記転送信号発生部52の動作について説明する。
図6は本発明の第1の実施の形態における転送信号発生部が出力する信号のタイムチャートである。
本実施の形態において、転送信号発生部52は、ライン同期信号、展開データ転送信号BK、Y、M及びC、展開データ編集信号BK、Y、M及びC、並びに、補正展開データ転送信号BK、Y、M及びCを出力する。なお、用紙検出信号は、用紙端検出部14から出力される信号であり、前記用紙端検出部14が用紙12の先端部を検出すると1 (High) になり、後端部を検出すると0(Low)になる信号である。
そして、転送信号発生部52は、用紙検出信号が1になるのを検知すると、ライン同期信号をT1分カウントして展開データ転送信号BKを1にし、更にライン同期信号をP分カウントして展開データ転送信号BKを0にする。
同様に、用紙検出信号が1になるのを検知すると、ライン同期信号をT2分カウントし、ライン同期信号に同期して展開データ転送信号Yを1にし、更にライン同期信号をP分カウントし、ライン同期信号に同期して展開データ転送信号Yを0にする。
また、同様に、用紙検出信号が1になるのを検知すると、ライン同期信号をT3分カウントし、ライン同期信号に同期して展開データ転送信号Mを1にし、更にライン同期信号をP分カウントし、ライン同期信号に同期して展開データ転送信号Mを0にする。
さらに、同様に、用紙検出信号が1になるのを検知すると、ライン同期信号をT4分カウントし、ライン同期信号に同期して展開データ転送信号Cを1にし、更にライン同期信号をP分カウントし、ライン同期信号に同期して展開データ転送信号Cを0にする。
ここで、T1=(DK−R)/Nであるから、用紙端検出部14と画像形成部21BKとの距離DK〔inch〕と、像担持体31BKの半周分の距離R〔inch〕と、副走査ラインピッチN〔line/inch〕とから、T1を求めることができる。すなわち、T1は、用紙検出信号が1になってから展開データ転送信号BKを1にするまでの遅延時間を副走査ライン数で表したものである。
なお、図6において、Pは展開データの副走査ライン数である。
そして、展開デーダ転送信号BKが1になった時刻からLEDヘッド33BKによって1ライン目の露光を開始すれば、像担持体31BKに形成された1ライン目の潜像が像担持体31BKの真下に到達するのと同時に、用紙12の先端が像担持体31BKの真下に到達することになる。
同様に、T2=(DY−R)/Nであるから、用紙端検出部14と画像形成部21Yとの距離DY〔inch〕と、像担持体31Yの半周分の距離R〔inch〕と、副走査ラインピッチN〔line/inch〕とから、T2を求めることができる。
また、同様に、T3=(DM−R)/Nであるから、用紙端検出部14と画像形成部21Mとの距離DM〔inch〕と、像担持体31Mの半周分の距離R〔inch〕と、副走査ラインピッチN〔line/inch〕とから、T3を求めることができる。
さらに、同様に、T4=(DC−R)/Nであるから、用紙端検出部14と画像形成部21Cとの距離DC〔inch〕と、像担持体31Cの半周分の距離R〔inch〕と、副走査ラインピッチN〔line/inch〕とから、T4を求めることができる。
また、転送信号発生部52は、用紙検出信号が0になるのを検知すると、ライン同期信号をT1分カウントし、ライン同期信号に同期してその時刻で展開データ転送信号BKが1である場合は、展開データ編集信号BKを1にする。さらに、展開データ転送信号BKが0になるのと同時に展開データ編集信号BKを0にする。
同様に、用紙検出信号が0になるのを検知すると、ライン同期信号をT2分カウントし、ライン同期信号に同期してその時刻で展開データ転送信号Yが1である場合は、展開データ転送信号Yを1にする。さらに、展開データ転送信号Yが0になるのと同時に展開データ編集信号Yを0にする。
また、同様に、用紙検出信号が0になるのを検知すると、ライン同期信号をT3分カウントし、ライン同期信号に同期してその時刻で展開データ転送信号Mが1である場合は、展開データ転送信号Mを1にする。さらに、展開データ転送信号Mが0になるのと同時に展開データ編集信号Mを0にする。
さらに、同様に、用紙検出信号が0になるのを検知すると、ライン同期信号をT4分カウントし、ライン同期信号に同期してその時刻で展開データ転送信号Cが1である揚合は、展開データ転送信号Cを1にする。さらに、展開データ転送信号Cが0になるのと同時に展開データ編集信号Cを0にする。
すなわち、展開データ編集信号BK、Y、M及びCは、用紙12の長さがPライン分である場合には、1にならない信号である。
そして、補正展開データ転送信号BKは、展開データ転送信号BKからLライン同期信号分遅延して1になり、ライン同期信号をP+SK分カウントし、ライン同期信号に同期して0になる信号である。
また、補正展開データ転送信号Yは、展開データ転送信号YからLライン同期信号分遅延して1になり、ライン同期信号をP+SY分カウントし、ライン同期信号に同期して0になる信号である。
さらに、補正展開データ転送信号Mは、展開データ転送信号MからLライン同期信号分遅延して1になり、ライン同期信号をP+SM分カウントし、ライン同期信号に同期して0になる信号である。
さらに、補正展開データ転送信号Cは、展開データ転送信号CからLライン同期信号分遅延して1になり、ライン同期信号をP+SC分カウントし、ライン同期信号に同期して0になる信号である。
ここで、Lは1ライン同期周期である。そして、SKはLEDヘッド33BKの傾き補正値の最大値であり、SYはLEDヘッド33Yの傾き補正値の最大値であり、SMはLEDヘッド33Mの傾き補正値の最大値であり、SCはLEDヘッド33Cの傾き補正値の最大値である。
次に、主走査方向に対するLEDヘッド33の傾きについて説明する。
図7は本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッド33BKの副走査方向の傾きを示した図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッド33Yの副走査方向の傾きを示した図である。
図7(b)は、LEDヘッド33が図7(a)のように傾いている場合の副走査ライン単位のずれ量を示す図である。ここでは、説明の便宜上、LEDヘッド33BKを主走査方向に4つの領域D1、D2、D3及びD4に分割して示しているが、通常は、更に多数に分割される。また、図7(c)は、LEDヘッド33BKの領域D1、D2、D3及びD4に対応した傾き補正値を示しており、SK1=0、SK2=1、SK3=2及びSK4=3である。なお、LEDヘッド33BKの傾き補正値の最大値が3なので、SK=3となる。
また、図8(b)は、LEDヘッド33Yが図8(a)のように傾いている場合の副走査ライン単位のずれ量を示す図である。そして、図8(c)はLEDヘッド33Yの領域D1、D2、D3及びD4に対応した傾き補正値を示しており、SY1=3、SY2=2、SY3=1及びSY4=0である。なお、LEDヘッド33Yの傾き補正値の最大値が3なので、SY=3となる。
その他のLEDヘッド33M及び33Cについても、同様に、LEDヘッド33M及び33Cの傾きから傾き補正値を求め、SM及びSCの値が求められる。
次に、前記画像データ制御部20全体の動作について説明する。まず、展開データ編集信号BK、Y、M及びCが1にならない場合、すなわち、展開データの副走査ライン数であるPと用紙12の長さとが同じ場合の動作について説明する。
図9は本発明の第1の実施の形態における展開データの副走査ライン数と用紙の長さとが同じ場合の展開データ、補正展開データ、露光結果及び印刷結果を示す第1の図、図10は本発明の第1の実施の形態における展開データの副走査ライン数と用紙の長さとが同じ場合の展開データ、補正展開データ、露光結果及び印刷結果を示す第2の図である。
まず、印刷データ受信部41が上位装置から印刷データを受信すると、展開データ作成部42は、前記印刷データ受信部41が受信した印刷データから画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cに送るための展開データBK、Y、M及びCを各々作成し、展開データ格納部43に格納する。
図9(a)は、展開データ格納部43に格納された展開データBKの例を示す図である。ここでは、展開データBKの副走査ライン数が15ラインであるものとして説明する。
そして、1ページ分の展開データが展開データ格納部43に格納されると、給紙ローラ13によって用紙12の搬送が開始される。該用紙12の搬送が進むと、用紙端検出部14によって、用紙12の先端が検出され、そのT1後、展開データ転送信号BKが1にされる。
続いて、展開データ格納部43は、転送信号発生部52からのライン同期信号を検知し、更に展開データ転送信号BKが1になるのを検知すると、展開データBKの1ライン目を展開データ補正部44に転送する。そして、該展開データ補正部44は、LEDヘッド33BKの傾き補正値に従って、1ライン目の展開データBKを複数ラインの補正展開データBKの要素として補正展開データ格納部45に格納する。
図9(b)は、1ライン目の展開データBKを補正展開データ格納部45に格納した例を示す図である。ここで、lライン目の補正展開データBKを格納するポインタは1であり、領域D1の傾き補正値はSK1=0であるので、ポインタ=1+SK1=1に1ライン目の領域D1の展開データBKを格納する。そして、領域D2の傾き補正値はSK2=1であるので、ポインタ=1+SK2=2に1ライン目の領域D2の展開データBKを格納する。また、領域D3の傾き補正値はSK3=2であるので、ポインタ=1+SK3=3に1ライン目の領域D3の展開データBKを格納する。さらに、領域D4の傾き補正値はSK4=3であるので、ポインタ=1+SK4=4に1ライン目の領域D4の展開データBKを格納する。
このようにして、展開データ補正部44は、展開データBKを補正展開データBKとして補正展開データ格納部45に格納する。なお、該補正展開データ格納部45は、補正を行うライン数分(SK+1)と読み出し用に1ライン以上が必要であり、ここでは8ライン分とした。また、補正展開データ格納部45には、初期状態において、空白データが格納されている。
続いて、展開データ格納部43は、次のライン同期信号を検知し、更に展開データ転送信号BKが1であることを検知すると、展開データBKの2ライン目を展開データ補正部44に転送する。そして、該展開データ補正部44は、LEDヘッド33BKの傾き補正値に従って、2ライン目の展開データBKを複数ラインの補正展開データBKの要素として補正展開データ格納部45に格納する。
図9(c)は、2ライン目の展開データBKを補正展開データ格納部45に格納した例を示す図である。ここで、2ライン目の補正展開データBKを格納するポインタは2であり、領域D1の傾き補正値はSKl=0なので、ポインタ=2+SK1=2に2ライン目の領域D1の展開データBKを格納する。そして、領域D2の傾き補正値はSK2=1であるので、ポインタ=2+SK2=3に2ライン目の領域D2の展開データBKを格納する。また、領域D3の傾き補正値はSK3=2であるので、ポインタ=2+SK3=4に2ライン目の領域D3の展開データBKを格納する。さらに、領域D4の傾き補正値はSK4=3であるので、ポインタ=2+SK4=5に2ライン目の領域D4の展開データBKを格納する。
このようにして、展開データ補正部44は、展開データBKを補正展開データBKとして補正展開データ格納部45に格納する。
続いて、補正展開データ転送部46は、ライン同期信号を検知し、更に補正展開データ転送信号BKが1になるのを検知すると、補正展開データ格納部45に格納された1ライン目の補正展開データBKを画像形成部21BKに転送する。すると、該画像形成部21BKは、転送されてきた補正展開データBKに基づいてLEDヘッド33BKを駆動し、像担持体31BKを露光する。
続いて、補正展開データ転送部46は、次のライン同期信号を検知し、更に補正展開データ転送信号BKが1であることを検知すると、補正展開データ格納部45に格納された2ライン目の補正展開データBKを画像形成部21BKに転送する。すると、該画像形成部21BKは、転送されてきた補正展開データBKに基づいてLEDヘッド33BKを駆動し、像担持体31BKを露光する。
図9(d)は1ライン目の露光結果を示し、図9(e)は1ライン目及び2ライン目の露光結果を示している。そして、前述の動作を繰り返し行うことによって、1ページ分の印刷が行われる。
図9(f)は、図9(a)に示される展開データBKについて、前述の動作を繰り返し行うことによって得られた印刷結果を示している。図9(f)から分かるように、Pラインの展開データBKをSKライン傾いたLEDヘッド33BKで印刷するために、画像形成部21BKに転送される補正展開データBKはP+SKラインとなる。すなわち、補正展開データ転送信号BKの長さはP+SKラインになる。
また、イエローについても、同様の動作を繰り返し行うことによって、lページ分の印刷が行われる。
図10(a)は、展開データ格納部43に格納された展開データYを示している。展開データBKと同様に、展開データYの副走査ライン数が15ラインであるものとする。
そして、図10(b)は、1ライン目の展開データYを補正展開データ格納部45に格納した例を示す図である。また、図10(c)は、2ライン目の展開データYを補正展開データ格納部45に格納した例を示す図である。さらに、図10(d)は1ライン目の露光結果を示し、図10(e)は1ライン目及び2ライン目の露光結果を示している。そして、ブラックの場合と同様の動作を繰り返し行うことにより、1ページ分の印刷が行われる。
図10(f)は、図10(a)に示される展開データYについて、ブラックの場合と同様の動作を繰り返し行うことによって得られた印刷結果を示している。図9(f)と図10(f)とから、ブラックの印刷結果とイエローの印刷結果とが、色ずれが生じることなく、重なることが分かる。
そして、マゼンタ及びシアンについても同様の動作を行うことによって、1ページ分の印刷が行われ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像が、用紙12上に色の重ねずれが生じることなく印刷される。
次に、展開データ編集信号BK、Y、M及びCが1になる場合、すなわち、展開データの副走査ライン数Pより用紙12の長さが短い場合における展開データ編集部51の動作について説明する。
図11は本発明の第1の実施の形態における展開データの副走査ライン数より用紙の長さが短い場合の展開データ、補正展開データ及び印刷結果を示す第1の図、図12は本発明の第1の実施の形態における展開データの副走査ライン数より用紙の長さが短い場合の展開データ、補正展開データ及び印刷結果を示す第2の図である。
用紙12の搬送が更に進み、用紙端検出部14によって用紙12の後端が検出され、そのT1後にまだ展開データ転送信号BKが1(展開有り)の場合、展開データ編集信号BKが1となる。
そして、展開データ編集部51は、展開データ編集信号BKが1になったことを検知すると、展開データ格納部43から転送されてくるライン単位の展開データBKを空白データとして編集し、展開データ補正部44に転送する。すなわち、展開データ格納部43から転送されてくるライン単位の展開データBKがD1「●●●●」、D2「●●●●」、D3「●●●●」及びD4「●●●●」である場合、これをD1「○○○○」、D2「○○○○」、D3「○○○○」及びD4「○○○○」として、展開データ補正部44に転送する。
例えば、展開データ格納部43から10ライン目の展開データBKが転送された後に展開データ編集信号BKが1になった場合、展開データ編集部51は、11ライン目以降の展開データBKを空白データに編集することになる。
図11(a)は、展開データ格納部43に格納された展開データBKの例を示す図である。11ライン目からの展開データBKは、展開データ編集部51によって空白データに編集され、展開データ補正部44を経て、補正展開データ格納部45に格納される。
また、図11(b)は、11ライン目が格納された補正展開データ格納部45の状態を示す図である。さらに、図11(c)は、12ライン目が格納された補正展開データ格納部45の状態を示す図である。
そして、図11(d)は、図11(a)に示される展開データBKを展開データ編集部51によって11ライン目以降編集し、それによって得られた印刷結果を示す図である。図11(d)から、印刷結果は副走査方向にずれることなく10ライン目で終了していることが分かる。
また、イエローの場合も同様に、展開データ編集部51は、展開データ編集信号Yが1になったことを検知すると、展開データ格納部43から転送されてくるライン単位の展開データYを空白データとして編集し、展開データ補正部44に転送する。そして、例えば、展開データ格納部43から10ライン目の展開データYが転送された後に展開データ編集信号Yが1になった場合、展開データ編集部51は、11ライン目以降の展開データYを空白データに編集することになる。
図12(a)は、展開データ格納部43に格納された展開データYの例を示す図である。11ライン目からの展開データYは、展開データ編集部51によって空白データに編集され、展開データ補正部44を経て、補正展開データ格納部45に格納される。
また、図12(b)は、11ライン目が格納された補正展開データ格納部45の状態を示す図である。さらに、図12(c)は、12ライン目が格納された補正展開データ格納部45の状態を示す図である。
そして、図12(d)は、図12(a)に示される展開データYを展開データ編集部51によって11ライン目以降編集し、それによって得られた印刷結果を示す図である。図12(d)から、印刷結果は副走査方向にずれることなく10ライン目で終了していることが分かる。
また、マゼンタ及びシアンについても同様の動作を行うことによって、印刷結果は副走査方向にずれることなく10ライン目で終了する。これにより、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像が、用紙12上に色の重ねずれが生じることなく印刷を終了する。さらに、10ライン目まで各色の画像データが印刷される。
このように、本実施の形態においては、画像サイズよりも短い用紙12が挿入された場合、印刷途中で画像形成を停止して用紙12外への印刷を防止しても、用紙12内へは色の重ねずれが生じることなく、画像を印刷することができる。
なお、本実施の形態においては、プリンタ10が露光部としてLEDヘッド33を用いたものである場合について説明したが、露光部として光レーザを複数使用し、光レーザ走査のずれに対して画像データを補正し、色の重ねずれをを防止するレーザプリンタついても同様に適用できる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び効果についてもその説明を省略する。
図13は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの画像データ制御部の構成を示すブロック図である。
図に示されるように、本実施の形態における画像データ制御部20は、前記第1の実施の形態における展開データ格納部43、転送信号発生部52及び展開データ編集部51に代えて、展開データ格納部61、転送信号発生部62及び展開データ編集部63を有する。
そして、前記転送信号発生部62は、用紙端検出部14からの用紙検出信号に基づいて、展開データ転送信号BK、Y、M及びCを展開データ格納部61、展開データ補正部44、及び補正展開データ格納部45に対して出力するとともに、補正展開データ転送信号BK、Y、M及びCを補正展開データ転送部46並びに画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cに対して出力し、さらに、展開データ編集開始ライン信号を展開データ編集部63に対して出力する。
また、前記転送信号発生部62は、ライン同期信号を展開データ格納部61、展開データ補正部44、補正展開データ格納部45、補正展開データ転送部46並びに画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cに出力する。
なお、前記展開データ転送信号BK、Y、M及びCは、展開データ格納部61に格納された展開データBK、Y、M及びCを、展開データ補正部44を経て、補正展開データ格納部45に補正展開データBK、Y、M及びCとして格納させる信号である。
また、前記補正展開データ転送信号BK、Y、M及びCは、補正展開データ格納部45に格納されたそれぞれの補正展開データを、補正展開データ転送部46から画像形成部21BK、21Y、21M及び21Cに転送させる信号である。
さらに、前記展開データ編集開始ライン信号は、展開データ編集部63が、展開データ格納部61に格納されている展開データの編集を開始するラインを示す信号である。
そして、前記ライン同期信号は、副走査方向のライン印刷タイミングを示す信号である。図2に示される搬送ローラ23は、ライン同期信号1周期の時間で副走査1ライン分矢印方向に回転し、搬送ベルト15を移動させる。
また、前記展開データ編集部63は、転送信号発生部62からの展開データ編集開始ライン信号に従って、展開データ格納部61に格納された展開データの一部を空白データに編集する。
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本実施の形態におけるプリンタ10の動作について説明する。まず、転送信号発生部62の動作について説明する。
図14は本発明の第2の実施の形態における転送信号発生部が出力する信号のタイムチャートである。
転送信号発生部62は、用紙検出信号が1になるのを検知するとライン同期信号をカウントする用紙長カウンタを備える。そして、該用紙長カウンタは、用紙検出信号が0になるまでカウントし続ける。さらに、転送信号発生部62は、用紙検出信号が0になったことを検知すると、展開データ編集開始ライン信号を用紙長カウンタの値Zに1を加算したZ+1にし、展開データ編集部63に対して出力する。
なお、展開データ転送信号BK、Y、M及びC、並びに、補正展開データ転送信号BK、Y、M及びCについては、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、前記画像データ制御部20全体の動作について説明する。
図15は本発明の第2の実施の形態における展開データ、補正展開データ及び印刷結果を示す第1の図、図16は本発明の第2の実施の形態における展開データ、補正展開データ及び印刷結果を示す第2の図である。
展開データ編集部63は、転送信号発生部62から出力される展開データ編集開始ライン信号が0以外の値(ここでは、Z+1であるとする)に変化するのを検知すると、展開データ格納部61に格納された展開データのうち、Z+1ライン目以降の展開データを空白データに編集する。
図15(a)は、展開データ格納部61に格納された、編集前の印刷開始における展開データBKの例を示す図である。
また、図15(b)は、Z=10の場合、展開データ編集部63によって編集され、展開データ格納部61に格納された展開データBKの例を示す図である。Z=10の場合、転送信号発生部62から出力される展開データ編集開始ライン信号は11である。そして、展開データ編集部63は、これに従って、展開データ格納部61に格納されている展開データBKのうち11ライン目以降の展開データBKを空白データにする。
そして、図16(a)は、展開データ格納部61に格納された、編集前の印刷開始における展開データYの例を示す図である。
また、図16(b)は、Z=10の場合、展開データ編集部63によって編集され、展開データ格納部61に格納された展開データYの例を示す図である。なお、展開データM及びCについても、同様に編集され、展開データ格納部61に格納される。
そして、図15(c)は、図15(b)に示された展開データを画像形成部21BKで印刷した結果を示す図である。また、図16(c)は、図16(b)に示された展開データを画像形成部21Yで印刷した結果を示す図である。図15(c)及び16(c)から、印刷結果は副走査方向にずれることなく10ライン目で終了することが分かる。また、印刷データ長より用紙長が短い場合であっても、用紙12外に印刷されることはない。
さらに、マゼンタ及びシアンについても同様の動作を行うことによって、印刷結果は副走査方向にずれることなく10ライン目で終了する。これにより、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像が、用紙12上に色の重ねずれが生じることなく印刷を終了する。さらに、10ライン目まで各色の画像データが印刷される。
なお、印刷データ受信部41、展開データ作成部42、展開データ補正部44、補正展開データ格納部45及び補正展開データ転送部46の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
このように、前記第1の実施の形態においては、転送信号発生部52が、展開データ編集信号BK、Y、M及びCの信号を用紙端検出部14と画像形成部21との距離に基づいて正確なタイミングで発生させるためにTl、T2、T3、T4をカウントする4つのカウンタが必要としたのに対し、本実施の形態においては、その代わりに、用紙12の長さをカウントするカウンタを1つだけ設ければよいので、回路を小規模化することができる。
なお、本実施の形態においては、プリンタ10が露光部としてLEDヘッド33を用いたものである場合について説明したが、露光部として光レーザを複数使用し、光レーザ走査のずれに対して画像データを補正し、色の重ねずれを防止するレーザプリンタついても同様に適用できる。
なお、前記第1及び第2の実施の形態においてはプリンタ10に適用した例について説明したが、MFP(複合型プリンタ:Multi Function Printer)、ファクシミリ機、複写装置等のいかなる種類の画像形成装置にも適用することができる。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。