JP4772390B2 - 可変分散補償器 - Google Patents
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Description
この従来の可変分散補償器では、格子ピッチが連続的に変化しているチャープド回折格子が形成されている光導波路を、基板上に1列に並んで形成された多数個のヒータ上に配置させ、各ヒータにパルス電流を流すように構成されている。そして、ヒータにパルス電流が流れると、各ヒータが発熱し光導波路の温度が上昇する。この時、各ヒータに流れるパルス電流のデューティ比を制御することで、様々な温度分布を形成できる。そして、光導波路の温度が変化すると、屈折率が変化し、その結果チャープド回折格子の各部分のブラッグ反射波長が変化し、光導波路に入射した光信号に付加される分散が変化する。
図1はこの発明の実施の形態1に係る可変分散補償器の構成を示す概略図、図2は図1のII−II矢視断面図、図3はこの発明の実施の形態1に係る可変分散補償器における制御回路部分を示すブロック図である。
そして、光導波路2は、チャープド回折格子5が形成されている領域をヒータ71〜7n上に位置させ、かつ密接させて基板6上に接着剤などにより固定されている。ここで、ヒータ71〜7nは、光導波路2の光軸に沿って1列並んで配列されている。そして、パルス電流が第1電極ヒータ81〜8nからヒータ71〜7nに流され、チャープド回折格子5に所望の温度分布が付与される。
制御回路10は、分散可変前の温度分布を形成しているn個の第1パルス電流Ia1〜Ianを記憶している第1記憶領域12と、所望の分散値にするための温度分布を形成するn個の第2パルス電流Ib1〜Ibnを記憶している第2記憶領域13と、勾配係数kを記憶している勾配係数記憶領域14と、切換スイッチ15と、切換スイッチ15の切り換え時間を規定するカウンタ16と、各演算を行う演算部分17と、を備えている。そして、演算部分17は、減算器18と、乗算器19と、加算器20と、を備えている。
まず、分散値を可変するコマンドが可変分散補償器1に送信されると、該コマンドはインターフェイス回路11で処理され、所望の分散値が制御回路10に送信される。
そして、命令を受け取った制御回路10は、現在の分散値を構成する第1パルス電流Ia1〜Ianを第1記憶領域12に記憶した後、受け取った命令に対応する分散値を構成する第2パルス電流Ib1〜Ibnを第2記憶領域13に記憶する。
ついで、各ヒータ7iに流すパルス電流値が第1および第2記憶領域12,13に記憶されているパルス電流値に基づいて演算部分17により演算される。
まず、第2記憶領域13に記憶されている第2パルス電流値と第1記憶領域12に記憶されている第1パルス電流値との差が減算器18により計算される。ついで、乗算器19により、その結果に勾配係数記憶領域14に記憶されている勾配係数kを乗じ、さらに加算器20により、その結果と第2記憶領域13に記憶されている第2パルス電流値との和が計算される。
まず、図4中、温度分布30は、現在の分散値を構成する温度分布、つまり第1パルス電流Ia1〜Ianをヒータ71〜7nに印加して形成される温度分布である。また、図4中、温度分布31は、新しい分散値を構成する温度分布、つまり第2パルス電流Ia1〜Ianをヒータ71〜7nに印加して形成される温度分布である。
ここで、新しい分散値に可変するコマンドが可変分散補償器1に送信され、切換スイッチ15が第2記憶領域13側に切り換えられると、新しい分散値を構成する温度分布31となるように第2パルス電流Ib1〜Ibnが各ヒータ7iに流される。この時、現在の温度分布30が新しい温度分布31に変化すれば、所望の分散値に可変できたことになるが、前述したように、温度が定常状態になるまでに多くの時間がかかってしまう。
この時の分散値変化を図7に示す。この図7に示される分散値変化33から分かるように、初期分散値から所望の分散値となるまでに長い時間を要してしまう。
この時の分散値変化を図8に示す。この図8に示される分散値変化34から分かるように、第3パルス電流がヒータ7iに印加されている時間35では、勾配係数kによって決められた勾配の大きい温度分布となっているため、分散値変化33より変化の割合が大きい。即ち、初期分散値から所望の分散値まで短時間で可変する。そして、所望の分散値に到達した後、第2パルス電流が時間36の間ヒータ7iに流され、所望の分散値が維持される。
また、勾配係数kと一定時間(第3パルス電流の印加時間)との積を最適な一定値にしなければならない。この積が最適値より小さいと、所望の分散値に到達する前にパルス電流値が第3パルス電流値から第2パルス電流値に切り替わってしまい、そこから所望の分散値に達するまでの時間がかかってしまう。一方、この積が最適値より大きいと、所望の分散値を超えてからパルス電流値が第3パルス電流値から第2パルス電流値に切り替わることになり、分散値変化の曲線がオーバーシュートし、これもまた応答速度の低下をもたらしてしまう。そこで、可変後の分散値に対応して、勾配係数kと一定時間との積が最適値となるような勾配係数kおよび一定時間の組み合わせを予め見つけて記憶領域に記憶しておき、送信されたコマンドから得られた新たな分散値に対応する勾配係数kおよび一定時間を読み出して、演算部分17での演算処理およびカウンタ16の計測処理を行う。
図9はこの発明の実施の形態2に係る可変分散補償器における制御回路部分を示すブロック図である。
図9において、制御回路10Aは、新たな分散値に可変とするコマンドが送信されてから予め設定された一定時間をカウンタ16が計測すると、勾配係数記憶領域14から勾配係数k=0を乗算器19に出力するように構成され、切換スイッチ15を省略している。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
まず、分散値を可変するコマンドが可変分散補償器1に送信されると、該コマンドはインターフェイス回路11で処理され。所望の分散値が制御回路10Aに送信される。
そして、命令を受け取った制御回路10Aは、現在の分散値を構成する第1パルス電流Ia1〜Ianを第1記憶領域12に記憶した後、受け取った命令に対応する分散値を構成する第2パルス電流Ib1〜Ibnを第2記憶領域13に記憶する。
ついで、各ヒータ7iに流すパルス電流値が第1および第2記憶領域12,13に記憶されているパルス電流値に基づいて演算部分17により演算される。
まず、第2記憶領域13に記憶されている第2パルス電流値と第1記憶領域12に記憶されている第1パルス電流値との差が減算器18により計算される。ついで、乗算器19により、その結果に勾配係数記憶領域14に記憶されている勾配係数を乗じ、さらに加算器20により、その結果と第2記憶領域13に記憶されている第2パルス電流値との和が計算される。
また、切換スイッチ15が不要となり、構成の簡素化が図られる。
図10はこの発明の実施の形態3に係る可変分散補償器における制御回路部分を示すブロック図、図11はこの発明の実施の形態3に係る可変分散補償器におけるサーミスタ実装位置を説明する図である。
図10において、制御回路10Bでは、温度モニタ21がサーミスタ22の温度をモニタしており、サーミスタ22の温度が設定温度となると、切換スイッチ15を演算部分17側から第2記憶領域13側に切り換えるように構成されている。このサーミスタ22はヒータ7iの温度を計測している。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
まず、分散値を可変するコマンドが可変分散補償器1に送信されると、該コマンドはインターフェイス回路11で処理され。所望の分散値が制御回路10Bに送信される。
そして、命令を受け取った制御回路10Bは、現在の分散値を構成する第1パルス電流Ia1〜Ianを第1記憶領域12に記憶した後、受け取った命令に対応する分散値を構成する第2パルス電流Ib1〜Ibnを第2記憶領域13に記憶する。
ついで、各ヒータ7iに流すパルス電流値が第1および第2記憶領域12,13に記憶されているパルス電流値に基づいて演算部分17により演算される。
まず、第2記憶領域13に記憶されている第2パルス電流値と第1記憶領域12に記憶されている第1パルス電流値との差が減算器18により計算される。ついで、乗算器19により、その結果に勾配係数記憶領域14に記憶されている勾配係数を乗じ、さらに加算器20により、その結果と第2記憶領域13に記憶されている第2パルス電流値との和が計算される。
一方、温度モニタ21がサーミスタ22を介して所定のヒータの温度をモニタしており、当該ヒータの温度が設定温度となると、切換スイッチ15に切り換え信号を出力する。これにより、そこで、切換スイッチ15が第2記憶領域13側に切り換えられ、第2記憶領域13に記憶されている第2パルス電流が各ヒータ7iに流される。
また、この実施の形態3では、特定のヒータの温度をモニタし、当該ヒータ温度が設定温度となるまでは第3パルス電流を印加し、設定温度となった後は第2パルス電流を印加するようにしている。そこで、ヒータの抵抗値の変動や制御回路10Bへの供給電圧の変動などの外乱が発生しても、正確に所望の温度分布に近づけることができる。
また、上記実施の形態1,2では、予め可変後の分散値に対応して勾配係数kと一定時間との積の最適値を見つけておく必要があったが、この実施の形態3では、ヒータ温度をモニタしてその結果を反映するというフィードバック制御を行っているので、最適値という概念が不要となり、製造工程の簡略化が実現できる。
1つのサーミスタ22を実装する場合には、図11に実装位置23,24で示されるように、ヒータ列の両端に位置するヒータ71,7nの一方にサーミスタ22を実装することが好ましい。
分散値を可変する場合、中央のヒータを中心に温度勾配を変化させる。これは、ヒータで補償する全消費電力を、全ての分散値で等しくするためである。つまり、中央のヒータ温度は全ての分散値で一定の温度となる。このため、仮にサーミスタ22を中央のヒータに配置した場合、分散値を変化させても温度の変化を検知できず、温度分布の時間的変化の情報を得ることができない。一方、端のヒータは、分散値を可変した場合一番大きな温度変化があるため、温度分布の時間的変化を検知することができる。
この環境温度への対応に関しては、先行文献1に記載されているように、ペルチェ素子の温度によって実現されている。しかし、この従来技術では、ヒータの下部にあるペルチェ素子の温度をサーミスタで検知しているため、実際のファイバグレーティングに伝わっている温度との間には誤差がある。さらに、サーミスタで検知する場所と実際の温度の場所とが離れており、熱抵抗が発生し、温度制御の発振などといった不安定の原因となっていた。この実施の形態3では、ヒータ温度を直接検知しているので、従来技術のような制御の不安定は発生せず、安定な制御を行うことができる。
なお、サーミスタ22は3つ以上でもよく、数が多ければ多いほど、より正確な温度分布を検知することができるため好ましい。
上記実施の形態1〜3では、第3パルス電流値を演算する際に、ヒータの上限値や下限値を超えないように勾配係数を決定していた。しかし、分散値の可変範囲を変更したときに、そのままの勾配係数ではヒータの上限値や下限値を超える可能性もある。特に、上限値を超えた場合には、ヒータの切断、ファイバグレーティングの固定用接着剤の劣化などの修復不可能な致命的な欠陥を引き起こす可能性がある。そこで、上限値以上のパルス電流値に関しては上限値に、下限値以下のパルス電流値に関しては下限値に設定する機能であるヒータ保護機能を可変分散補償器に持たせることが有効である。
Claims (4)
- 回折格子を有する光導波路と、
上記光導波路の光軸に沿って1列に配列された複数のヒータと、
複数のパルス電流を生成して上記複数のヒータのそれぞれに供給する制御回路と、を備えた可変分散補償器において、
上記制御回路は、第1および第2記憶領域を備え、分散値を可変するコマンドを受け取ると、分散可変前に上記複数のヒータのそれぞれに供給している複数の第1パルス電流を上記第1記憶領域に記憶し、目標分散値にするために上記複数のヒータのそれぞれに供給する複数の第2パルス電流を上記第2記憶領域に記憶した後、上記第2パルス電流と上記第1パルス電流との差を計算し、計算された上記第2パルス電流と上記第1パルス電流との差に勾配係数を乗じ、上記第2パルス電流と上記第1パルス電流との差に勾配係数を乗じた値と上記第2パルス電流との和を計算して複数の第3パルス電流を算出し、算出された上記複数の第3パルス電流を上記複数のヒータのそれぞれに供給し、その後一定時間経過後に上記複数の第2パルス電流を上記複数のヒータのそれぞれに供給することを特徴とする可変分散補償器。 - 回折格子を有する光導波路と、
上記光導波路の光軸に沿って1列に配列された複数のヒータと、
複数のパルス電流を生成して上記複数のヒータのそれぞれに供給する制御回路と、
上記複数のヒータの少なくとも1つのヒータ温度を検知するサーミスタと、を備えた可変分散補償器において、
上記制御回路は、第1および第2記憶領域を備え、分散値を可変するコマンドを受け取ると、分散可変前に上記複数のヒータのそれぞれに供給している複数の第1パルス電流を上記第1記憶領域に記憶し、目標分散値にするために上記複数のヒータのそれぞれに供給する複数の第2パルス電流を上記第2記憶領域に記憶した後、上記第2パルス電流と上記第1パルス電流との差を計算し、計算された上記第2パルス電流と上記第1パルス電流との差に勾配係数を乗じ、上記第2パルス電流と上記第1パルス電流との差に勾配係数を乗じた値と上記第2パルス電流との和を計算して複数の第3パルス電流を算出し、算出された上記複数の第3パルス電流を上記複数のヒータのそれぞれに供給し、上記サーミスタで検知した上記ヒータ温度が設定値に到達した後、上記複数の第2パルス電流を上記複数のヒータのそれぞれに供給することを特徴とする可変分散補償器。 - 上記第1および第2記憶領域は、半導体メモリであることを特徴とする請求項1又は2記載の可変分散補償器。
- 上記制御回路は、上記複数の第3パルス電流の上限値および下限値が設定されており、算出された上記複数の第3パルス電流が上記上限値以上である場合には、当該第3パルス電流を上記上限値に設定し、算出された上記複数の第3パルス電流が上記下限値以下である場合には、当該第3パルス電流を上記下限値に設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の可変分散補償器。
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