JP2019191252A - 光変調器 - Google Patents

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Abstract

【課題】光損失を抑制すること。【解決手段】光変調器100は、分岐部110、並行導波路121,122および干渉部130を含む光導波路を通過した光のパワーを検出する。そして、光変調器100は、検出の結果に基づいて、光導波路を通過する光の位相ずれの大きさが所定の大きさより小さい場合は低速位相シフタ161,162を制御することによりその位相ずれを補正する。また、光変調器100は、位相ずれの大きさが所定の大きさ以上である場合は低速位相シフタ161,162を制御することによりその位相ずれを補正する。【選択図】図1

Description

本発明は、光変調器に関する。
従来、マッハツェンダ干渉計型の光デバイスにおいて、ダイオード特性を有するアームの光導波路に電流を流すことにより位相シフトを行う技術が知られている(たとえば、下記特許文献1参照。)。また、マッハツェンダ変調器において、一方のアームに設けられた位相調整ヒータに電圧を与えることにより位相差を与える技術が知られている(たとえば、下記特許文献2参照。)。
特開2016−133664号公報 特開2017−111338号公報
しかしながら、上述した従来技術では、たとえばダイオードを用いて位相シフトを行う構成においては、位相のシフト量が大きくなるほど光損失が大きくなるという問題がある。また、ヒータを用いて位相シフトを行う構成においては、微弱な位相ずれに追従して補正を行うことができないという問題がある。
1つの側面では、本発明は、光損失を抑制することができる光変調器を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、1つの実施態様では、光を通過させる光導波路と、前記光導波路に設けられたダイオードに電流を流すことにより、前記光導波路を通過する前記光の位相を調整可能な第1位相シフタと、前記光導波路の温度を調整することにより、前記光導波路を通過する前記光の位相を調整可能な第2位相シフタと、前記光導波路を通過した光のパワーの検出結果に基づいて、前記光導波路を通過する光の位相ずれの大きさが所定の大きさより小さい場合は前記第1位相シフタを制御することにより前記位相ずれを補正し、前記位相ずれの大きさが前記所定の大きさ以上である場合は前記第2位相シフタを制御することにより前記位相ずれを補正する制御部と、を備える光変調器が提案される。
本発明の一側面によれば、光損失を抑制することができるという効果を奏する。
図1は、実施の形態にかかる光変調器の一例を示す図である。 図2は、実施の形態にかかる位相シフタに用いるダイオードの電流特性の一例を示すグラフである。 図3は、実施の形態にかかる位相シフタに用いるダイオードの電圧特性の一例を示すグラフである。 図4は、実施の形態にかかる光変調器における位相差対光パワー特性の一例を示すグラフである。 図5は、実施の形態にかかるヒータによる変調動作点の粗調整の一例を示すグラフである。 図6は、実施の形態にかかる光変調器における変調動作点のドリフトの一例を示すグラフである。 図7は、実施の形態にかかる光変調器の他の一例を示す図である。 図8は、実施の形態にかかる光変調器によるヒータ設定の一例を示す図である。 図9は、実施の形態にかかる光変調器による低速位相シフタ設定の一例を示す図である。 図10は、実施の形態にかかる光変調器による処理の一例を示すフローチャートである。
以下に図面を参照して、本発明にかかる光変調器の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
(実施の形態にかかる光変調器)
図1は、実施の形態にかかる光変調器の一例を示す図である。図1に示すLD10は、光を生成して光変調器100へ出力する。LDはLaser Diode(レーザダイオード)の略語である。LD10が出力する光は連続光である。実施の形態にかかる光変調器100は、LD10から出力された光を強度変調することにより光信号を生成する。また、たとえば、光変調器100は、シリコン基板を用いて形成されるシリコン型の変調器である。
たとえば、光変調器100は、分岐部110と、並行導波路121,122と、干渉部130と、分岐部141,142と、を備える。分岐部110、並行導波路121,122、干渉部130および分岐部141,142は、たとえばシリコン基板に形成された光導波路である。また、光変調器100は、高速位相シフタ151,152と、低速位相シフタ161,162と、ヒータ171,172と、モニタPD181,182と、制御部190と、を備える。PDはPhoto Detectorの略語である。
分岐部110は、LD10から出力された光を分岐し、分岐した各光の一方を並行導波路121へ出力し、分岐した各光の他方を並行導波路122へ出力する。分岐部110は、たとえば2入力2出力の光カプラである。
並行導波路121,122は、互いに並行して設けられており、それぞれ分岐部110から出力された各光を通過させて干渉部130へ出力する。並行導波路121,122の各光路長はほぼ等しいが、製造誤差や経年劣化等によりわずかに異なる場合もある。以下、並行導波路121をUpper(アッパー)側、並行導波路122をLower(ローワー)側と称する。
干渉部130は、並行導波路121,122から出力された各光を干渉させ、干渉により得られた各光をそれぞれ分岐部141,142へ出力する。干渉部130は、たとえば2入力2出力の光カプラである。
分岐部141は、干渉部130から出力された光を分岐し、分岐した各光の一方を光変調器100の後段に出力し、分岐した各光の他方をモニタPD181へ出力する。分岐部142は、干渉部130から出力された光を分岐し、分岐した各光の一方を光変調器100の後段に出力し、分岐した各光の他方をモニタPD182へ出力する。分岐部141,142のそれぞれは、たとえば、干渉部130から出力した光の一部を、たとえば分岐比が90:1や95:5などの光カプラによりモニタPD181,182へ出力し、残りの光を透過させて光変調器100の後段へ出力することで実現することができる。なお、光変調器100の後段へ出力される光は、分岐部141,142のいずれかから出力される光のみでもよい。
高速位相シフタ151,152および低速位相シフタ161,162は、光変調器100のシリコン基板にpn接合を設けることにより形成されたダイオードである。シリコン基板に形成されたダイオードに流れる電流に応じてダイオードの屈折率が変化するため、ダイオードを通過する光を位相変調することができる。ダイオードはたとえばPINダイオード(p−intrinsic−n Diode)である。
高速位相シフタ151,152は、それぞれ並行導波路121,122に設けられており、図示しない駆動回路から入力されたデータ信号に応じて、それぞれ並行導波路121,122を通過する光を位相変調する(位相シフトさせる)データ変調部である。また、高速位相シフタ151,152は、高速なデータ信号に応じた位相変調が可能なように、たとえば低速位相シフタ161,162と比べて高速に動作する位相シフタである。
低速位相シフタ161,162およびヒータ171,172は、光変調器100における変調動作点(バイアス)を調整するための位相シフタである。低速位相シフタ161,162は、それぞれ並行導波路121,122に設けられており、制御部190からの印加電圧に応じて、それぞれ並行導波路121,122を通過する光を位相変調する。また、低速位相シフタ161,162は、たとえば上述の高速位相シフタ151,152と比べて低速に動作し、後述のヒータ171,172と比べて高速に動作する位相シフタとすることができる。
ヒータ171,172は、それぞれ並行導波路121,122に沿って設けられており、制御部190からの印加電圧に応じて、それぞれ並行導波路121,122を通過する光を位相変調する位相シフタである。シリコン基板に形成された並行導波路121,122の温度を変化させると、並行導波路121,122の屈折率が変化するため、並行導波路121,122を通過する光を位相変調することができる。たとえば、ヒータ171,172は電熱線などにより実現することができる。
モニタPD181,182は、それぞれ分岐部141,142から出力された光を電気信号に変換し、変換した電気信号を制御部190へ出力する。また、モニタPD181,182は、たとえば高速位相シフタ151,152へ入力されるデータ信号のレートに対して低速に動作する。これにより、高速位相シフタ151,152が駆動中においても、モニタPD181,182によって光変調器100の光出力パワーの平均値、すなわち、変調動作点での光変調器100の光出力パワーを測定することができる。
制御部190は、低速位相シフタ161,162にそれぞれ電圧を印加し、低速位相シフタ161,162への各印加電圧を制御することにより、低速位相シフタ161,162(ダイオード)に流れる電流を調整する。これにより、低速位相シフタ161,162における各光の位相シフト量を制御することができる。
また、制御部190は、ヒータ171,172にそれぞれ電圧を印加し、ヒータ171,172への各印加電圧を制御することにより、並行導波路121,122のうちヒータ171,172の付近の温度を調整する。これにより、並行導波路121,122のうちヒータ171,172の付近における各光の位相シフト量を制御することができる。
また、制御部190は、モニタPD181,182から出力された各電気信号に基づいて、低速位相シフタ161,162への各印加電圧と、ヒータ171,172への各印加電圧と、を制御する。たとえば、制御部190は、モニタPD181,182から出力された各電気信号に基づいて、干渉部130において干渉する各光の位相ずれの大きさや方向を判定し、この位相ずれを補正するように各印加電圧を制御する。位相ずれは、並行導波路121,122を通過する各光の位相の最適な位相状態からのずれであり、たとえば後述の変調動作点の最適点からのずれである。位相ずれの補正は、位相ずれを小さくすること(変調動作点を最適点に近づけること)である。
図1に示した例では、たとえば並行導波路121において、前段から高速位相シフタ151、低速位相シフタ161、ヒータ171の順序で設ける構成について説明したが、これらの順序は入れ替えてもよい。一例としては、低速位相シフタ161とヒータ171の位置を入れ替えてもよい。同様に、並行導波路122において、前段から高速位相シフタ152、低速位相シフタ162、ヒータ172の順序で設ける構成について説明したが、これらの順序は入れ替えてもよい。
また、たとえば、高速位相シフタ151または低速位相シフタ161と、ヒータ171と、を並行導波路121における同じ場所に設けてもよい。この場合は、ヒータ171は、並行導波路121のうち高速位相シフタ151または低速位相シフタ161のダイオードが設けられた部分の温度を調整する。同様に、高速位相シフタ152または低速位相シフタ162と、ヒータ172と、を並行導波路122における同じ場所に設けてもよい。
(実施の形態にかかる位相シフタに用いるダイオードの電流特性)
図2は、実施の形態にかかる位相シフタに用いるダイオードの電流特性の一例を示すグラフである。図2において、横軸は電流[mA]を示し、縦軸は光の位相シフト量[rad]および損失[dB]を示している。
電流対位相シフト量特性201は、低速位相シフタ161,162に用いるダイオード(PINダイオード)に流れる電流[mA]に対する、低速位相シフタ161,162に用いるダイオードを通過する光の位相のシフト量[rad]の特性を示している。電流対位相シフト量特性201に示すように、ダイオードに電流を流すほど、ダイオードを通過する光の位相のシフト量が増加する。
電流対損失特性202は、低速位相シフタ161,162に用いるダイオードに流れる電流[mA]に対する、低速位相シフタ161,162に用いるダイオードを通過する光の損失[dB]の特性を示している。電流対損失特性202に示すように、ダイオードに電流を流すほど、光吸収効果によりダイオードを通過する光の損失が大きくなる。すなわち、ダイオードに電流を流すほど、光の位相のシフト量が増加するが、同時に光の損失が大きくなる。一方で、ダイオードを用いる低速位相シフタ161,162は、ヒータ171,172による位相シフトよりも応答性に優れている。
(実施の形態にかかる位相シフタに用いるダイオードの電圧特性)
図3は、実施の形態にかかる位相シフタに用いるダイオードの電圧特性の一例を示すグラフである。図3において、横軸は電圧[V]を示し、縦軸は消費電力[mW]を示している。電圧対消費電力特性301は、低速位相シフタ161,162に用いるダイオードに印加される電圧[V]に対する、低速位相シフタ161,162の消費電力の特性を示している。電圧対消費電力特性301に示すように、ダイオードに大きな電圧を印加すると消費電力が大きくなる。
(実施の形態にかかる光変調器における位相差対光パワー特性)
図4は、実施の形態にかかる光変調器における位相差対光パワー特性の一例を示すグラフである。図4において、横軸は、並行導波路121,122を通過する各光の位相差を示し、縦軸は光パワーを示している。並行導波路121,122を通過する各光の位相差とは、たとえば、並行導波路121を通過する光の位相から、並行導波路122を通過する光の位相を減じた値である。すなわち、並行導波路121,122を通過する各光の位相差が大きいほど、並行導波路122を通過する光の位相に対して、並行導波路121を通過する光の位相が相対的に進んでいること、もしくは遅れていることを意味する。
位相差対光パワー特性401は、ヒータ171,172が並行導波路121,122を通過する各光に与える位相差に対する、干渉部130から出力される光のパワー(光出力パワー)の特性を示している。位相差対光パワー特性401に示すように、ヒータ171,172が並行導波路121,122を通過する各光に与える位相差が変化すると光出力パワーが周期的に変化する。また、ヒータ171,172による位相シフトにおいては光吸収効果が生じないため、ヒータ171,172が並行導波路121,122を通過する各光に与える位相差が大きくなっても光出力パワーの減衰はない。
位相差対光パワー特性402は、低速位相シフタ161,162が並行導波路121,122を通過する各光に与える位相差に対する光出力パワーの特性を示している。位相差対光パワー特性402に示すように、低速位相シフタ161,162が並行導波路121,122を通過する各光に与える位相差が変化すると光出力パワーが周期的に変化する。ただし、低速位相シフタ161,162による位相シフトにおいては光吸収効果が生じるため、低速位相シフタ161,162が並行導波路121,122を通過する各光に与える位相差が大きくなると光出力パワーの減衰403が生じる。減衰カーブ404は、低速位相シフタ161,162による光パワーの減衰を示している。
このため、仮に、並行導波路121,122を通過する各光に対して低速位相シフタ161,162のみで位相差を制御する構成とすると、位相差に応じて光の損失が大きくなる。したがって、たとえば光の損失を補償するためにLD10の出力を上げることになり、光変調器100の消費電力が増加する。
また、仮に、並行導波路121,122を通過する各光に対してヒータ171,172のみで位相差を制御する構成とすると、ヒータ171,172による温度調整には時間がかかるため、各光の微弱な位相ずれに対する応答性が低くなる。このため、たとえば光変調器100により得られる光信号の品質(たとえば消光比)が低下する。
実施の形態にかかる光変調器100は、低速位相シフタ161,162とヒータ171,172を併用して並行導波路121,122を通過する各光の位相差を制御することで、光損失を抑制することができる。このため、たとえば光信号の品質の低下および消費電力の増加を抑制することができる。
(実施の形態にかかるヒータによる変調動作点の粗調整)
図5は、実施の形態にかかるヒータによる変調動作点の粗調整の一例を示すグラフである。図5において、図4に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。ヒータ171,172の各印加電圧を制御することにより、位相差対光パワー特性401における光変調器100の変調動作点を粗調整することができる。
光変調器100の変調動作点は、高速位相シフタ151,152がデータ信号に基づく変調を行っていない場合における、並行導波路121,122を通過する各光の位相差である。あるいは、光変調器100の変調動作点は、高速位相シフタ151,152がデータ信号に基づく変調を行っている際に、並行導波路121,122を通過する各光の位相差が変化する範囲の中心(平均値)である。
一例として、ヒータ171,172の各印加電圧を制御することによりヒータ171,172の付近の各温度をともに40[℃]にした状態を基準状態とする。このときの光変調器100の変調動作点が変調動作点501であったとする。変調動作点が変調動作点501である状態で高速位相シフタ151,152がデータ信号に基づく位相変調を行うと、光変調器100の光出力パワーはデータ信号に応じて最大値付近を中心として変化する。このため、データ信号に応じた強度変調を正常に行うことができない。
この場合に、光変調器100は、たとえばUpper側のヒータの印加電圧を増加させてヒータ171の付近の温度を上昇させることで、並行導波路121を通過する光の位相を変化させ、変調動作点を最適点である変調動作点502に設定する。変調動作点が変調動作点502である状態で高速位相シフタ151,152がデータ信号に基づく位相変調を行うと、光変調器100の光出力パワーはデータ信号に応じて最小値および最大値に変化するため、データ信号に応じた強度変調を正常に行うことができる。
または、光変調器100は、Lower側のヒータの印加電圧を増加させてヒータ172の付近の温度を上昇させることで、並行導波路122を通過する光の位相を変化させ、変調動作点を他の最適点である変調動作点503に設定してもよい。変調動作点が変調動作点503である状態で高速位相シフタ151,152がデータ信号に基づく位相変調を行うと、光変調器100の光出力パワーはデータ信号に応じて最小値および最大値に変化するため、データ信号に応じた強度変調を正常に行うことができる。
なお、干渉部130において干渉する各光の位相差は、たとえば並行導波路121,122の光路長の製造誤差などにより光変調器100の個体ごとに異なる。このため、上述の変調動作点の調整は光変調器100の個体ごとに行われる。
(実施の形態にかかる光変調器における変調動作点のドリフト)
図6は、実施の形態にかかる光変調器における変調動作点のドリフトの一例を示すグラフである。図6において、図5に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。光変調器100の変調動作点が変調動作点503である場合に、高速位相シフタ151,152がデータ信号610に基づいて位相変調を行うと、光変調器100の光出力パワーは動作範囲620で変化する。
たとえば、光変調器100の光出力パワーは、データ信号610の値が“0”である場合は最小パワー621になり、データ信号610の値が“1”である場合は最大パワー622になる。このため、データ信号610に応じた強度変調(光のオン/オフ)を正常に行うことができる。
ただし、光変調器100の動作時に、経年劣化や周辺温度の変動等により、位相差対光パワー特性401が位相差対光パワー特性631や位相差対光パワー特性632のように変化し、変調動作点が位相方向に変動するドリフトが発生する場合がある。この変動が微小でありかつ変動速度がヒータ171,172で追随できない場合は、ダイオードを用いた低速位相シフタ161,162により位相差を調整する。
(実施の形態にかかる光変調器の他の例)
図7は、実施の形態にかかる光変調器の他の一例を示す図である。図7において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図7に示すように、光変調器100は、図1に示した構成に加えて温度モニタ701,702を備えてもよい。温度モニタ701,702は、それぞれヒータ171,172の温度を測定し、測定した温度を示す温度情報を制御部190へ出力する。
また、制御部190は、たとえば、抵抗711,712と、ADC721,722と、MCU730と、DAC741,742,751,752と、を備える。ADCはAnalog/Digital Converter(アナログ/デジタル変換器)の略語である。MCUはMicro Control Unit(マイクロコントロールユニット)の略語である。DACはDigital/Analog Converter(デジタル/アナログ変換器)の略語である。
抵抗711,712は、それぞれモニタPD181,182から出力された電気信号を電流信号から電圧信号に変換する。そして、抵抗711,712は、変換した電気信号をそれぞれADC721,722へ出力する。抵抗711からADC721へ出力される電気信号は、Upper側の分岐部141における光パワーP(U)を電圧により示す信号である。抵抗712からADC722へ出力される電気信号は、Lower側の分岐部142における光パワーP(L)を電圧により示す信号である。
ADC721,722は、それぞれ抵抗711,712から出力された電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。ADC721は、変換した電気信号を、光パワーP(U)を示す光パワー情報としてMCU730へ出力する。ADC722は、変換した電気信号を、光パワーP(L)を示す光パワー情報としてMCU730へ出力する。
MCU730は、それぞれ低速位相シフタ161,162に印加するための電圧を示すデジタルの各電圧情報をそれぞれDAC741,742へ出力する。また、MCU730は、それぞれヒータ171,172に印加するための電圧を示すデジタルの各電圧情報をそれぞれDAC751,752へ出力する。また、MCU730は、それぞれ温度モニタ701,702から出力される温度情報が示すヒータ171,172の各温度が後述の目標温度になるように、DAC751,752へ出力するデジタル信号を調整する。
また、MCU730は、ADC721,722から出力された各光パワー情報が示す光パワーP(U)および光パワーP(L)に基づいて、DAC741,742,751,752へ出力する各電圧情報を制御する。
DAC741,742は、MCU730から出力されたデジタルの電圧信号をアナログの電圧に変換し、変換した電圧をそれぞれ低速位相シフタ161,162へ印加する。DAC751,752は、MCU730から出力されたデジタルの電圧信号をアナログの電圧に変換し、変換した電圧をそれぞれヒータ171,172へ印加する。
(実施の形態にかかる光変調器によるヒータ設定)
図8は、実施の形態にかかる光変調器によるヒータ設定の一例を示す図である。図8に示すテーブル800は、光変調器100のMCU730がヒータ171,172に対して行う設定を示している。
テーブル800におけるヒータ設定HS(−20)〜HS(20)は、並行導波路121,122を通過する各光にヒータ171,172が与える位相差が1ステップずつ異なるヒータ171,172の目標温度の設定である。また、テーブル800におけるUpper側のヒータの目標温度はヒータ171の目標温度を示す。また、テーブル800におけるLower側のヒータの目標温度はヒータ172の目標温度を示す。
MCU730は、ヒータ171,172の制御を行う際に、ヒータ設定HS(−20)〜HS(20)のいずれかを選択する。そして、MCU730は、温度モニタ701から出力される温度情報が、選択したヒータ設定に対応するUpper側のヒータの目標温度となるように、DAC751へ出力する電圧情報を調整する。また、MCU730は、温度モニタ702から出力される温度情報が、選択したヒータ設定に対応するLower側のヒータの目標温度となるように、DAC752へ出力する電圧情報を調整する。
たとえばヒータ設定HS(0)は、基準となる設定であって、ヒータ171,172の温度を所定の基準温度となるようにする設定である。基準温度は、一例としては40[℃]である。
ヒータ設定HS(1)は、ヒータ設定HS(0)に対して、ヒータ171,172が各光に与える位相差を1ステップだけ増加させた設定であって、ヒータ171の温度が基準温度+ΔTとなり、ヒータ172の温度が基準温度となるようにする設定である。ΔTは、所定単位の温度であり、一例としては1[℃]である。
ヒータ設定HS(2)は、ヒータ設定HS(1)に対して、ヒータ171,172が各光に与える位相差を1ステップだけ増加させた設定であって、ヒータ171の温度が基準温度+2ΔTとなり、ヒータ172の温度が基準温度となるようにする設定である。このように、ヒータ設定HS(1)〜HS(20)は、基準となるヒータ設定HS(0)に対して、ヒータ171の目標温度をΔTずつ増加させた各設定である。
ヒータ設定HS(−1)は、ヒータ設定HS(0)に対して、ヒータ171,172が各光に与える位相差を1ステップだけ減少させた設定であって、ヒータ171の温度が基準温度となり、ヒータ172の温度が基準温度+ΔTとなるようにする設定である。
ヒータ設定HS(−2)は、ヒータ設定HS(−1)に対して、ヒータ171,172が各光に与える位相差を1ステップだけ減少させた設定であって、ヒータ171の温度が基準温度となり、ヒータ172の温度が基準温度+2ΔTとなるようにする設定である。このように、ヒータ設定HS(−1)〜HS(−20)は、基準となるヒータ設定HS(0)に対して、ヒータ172の目標温度をΔTずつ増加させた各設定である。
図8に示したように、所定の基準温度に対して、ヒータ171,172のいずれかの温度を変化させることで、並行導波路121,122を通過する各光にヒータ171,172が与える位相差を増減することができる。
(実施の形態にかかる光変調器による低速位相シフタ設定)
図9は、実施の形態にかかる光変調器による低速位相シフタ設定の一例を示す図である。図9に示すテーブル900は、光変調器100のMCU730が低速位相シフタ161,162に対して行う設定を示している。
テーブル900における低速位相シフタ設定PS(−20)〜PS(20)は、並行導波路121,122を通過する各光に低速位相シフタ161,162が与える位相差が1ステップずつ異なる低速位相シフタ161,162への印加電圧の設定である。また、テーブル900におけるUpper側の低速位相シフタへの印加電圧は低速位相シフタ161への印加電圧を示す。また、テーブル900におけるLower側の低速位相シフタへの印加電圧は低速位相シフタ162への印加電圧を示す。
MCU730は、低速位相シフタ161,162の制御を行う際に、低速位相シフタ設定PS(−20)〜PS(20)のいずれかを選択する。そして、MCU730は、選択した低速位相シフタ設定に対応するUpper側の低速位相シフタへの印加電圧を示す電圧情報をDAC741へ出力する。また、MCU730は、選択した低速位相シフタ設定に対応するLower側の低速位相シフタへの印加電圧を示す電圧情報をDAC742へ出力する。
たとえば低速位相シフタ設定PS(0)は、基準となる設定であって、低速位相シフタ161,162への印加電圧を0[V]にする(ダイオードに電流を流さない)ようにする設定である。
低速位相シフタ設定PS(1)は、低速位相シフタ設定PS(0)に対して、低速位相シフタ161,162が各光に与える位相差を1ステップだけ増加させた設定である。たとえば、低速位相シフタ設定PS(1)は、低速位相シフタ161への印加電圧がΔVとなり、低速位相シフタ162への印加電圧が0[V]となるようにする設定である。ΔVは、所定単位の電圧である。
低速位相シフタ設定PS(2)は、低速位相シフタ設定PS(1)に対して、低速位相シフタ161,162が各光に与える位相差を1ステップだけ増加させた設定である。たとえば、低速位相シフタ設定PS(2)は、低速位相シフタ161への印加電圧が2ΔVとなり、低速位相シフタ162への印加電圧が0[V]となるようにする設定である。このように、低速位相シフタ設定PS(1)〜PS(20)は、基準となる低速位相シフタ設定PS(0)に対して、低速位相シフタ161への印加電圧をΔVずつ増加させた各設定である。
低速位相シフタ設定PS(−1)は、低速位相シフタ設定PS(0)に対して、低速位相シフタ161,162が各光に与える位相差を1ステップだけ減少させた設定である。たとえば、低速位相シフタ設定PS(−1)は、低速位相シフタ161への印加電圧が0[V]となり、低速位相シフタ162への印加電圧がΔVとなるようにする設定である。
低速位相シフタ設定PS(−2)は、低速位相シフタ設定PS(−1)に対して、低速位相シフタ161,162が各光に与える位相差を1ステップだけ減少させた設定である。たとえば、低速位相シフタ設定PS(−2)は、低速位相シフタ161への印加電圧が0[V]となり、低速位相シフタ162への印加電圧が2ΔVとなるようにする設定である。このように、低速位相シフタ設定PS(−1)〜PS(−20)は、基準となる低速位相シフタ設定PS(0)に対して、低速位相シフタ162への印加電圧をΔVずつ増加させた各設定である。
図9に示したように、低速位相シフタ161,162のいずれかに電圧を印加しその電圧を変化させることで、並行導波路121,122を通過する各光に低速位相シフタ161,162が与える位相差を増減することができる。
(実施の形態にかかる光変調器による処理)
図10は、実施の形態にかかる光変調器による処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態にかかる光変調器100は、たとえば図10に示す処理を実行する。図10に示す処理は、たとえば図6に示したMCU730により実行される。初期状態として、LD10は光を出力しているが、光変調器100は高速位相シフタ151,152および低速位相シフタ161,162を駆動していない状態とする。
まず、光変調器100は、モニタPD181,182から出力された各電気信号に基づいて光パワーP(U)および光パワーP(L)をモニタしながら、ヒータ設定をスイープする(ステップS1001)。たとえば、光変調器100は、ヒータ171,172の設定をヒータ設定HS(0),HS(1),HS(2),…,HS(20),HS(−1),HS(−2),…,HS(−20)の順に切り替えながら光パワーP(U),P(L)を取得する。このとき、光変調器100は、ヒータ設定を切り替えるごとに、温度モニタ701,702からの温度情報が示す温度がヒータ設定の目標温度になるまで待ってから光パワーP(U),P(L)を取得する。
なお、ヒータ設定のスイープの順序はこれに限らず任意の順序にすることができる。たとえば、光変調器100は、ヒータ設定を、ヒータ設定HS(0),HS(−1),HS(−2),…,HS(−20),HS(0),HS(1),HS(2),…,HS(20)の順に切り替えてもよい。または、光変調器100は、ヒータ設定を、ヒータ設定HS(−20),HS(−19),…,HS(−1),HS(0),HS(1),HS(2),…,HS(20)の順に切り替えてもよい。また、光変調器100は、取得した光パワーP(U),P(L)が等しくなった時点でヒータ設定のスイープを終了してもよい。
つぎに、光変調器100は、ヒータ171,172の設定を、ステップS1001によってスイープしたヒータ設定のうち、取得した光パワーP(U),P(L)が等しくなったときのヒータ設定に設定する(ステップS1002)。または、光変調器100は、ヒータ171,172の設定を、ステップS1001によってスイープしたヒータ設定のうち、取得した光パワーP(U),P(L)の差が最小になったときのヒータ設定に設定してもよい。これにより、光変調器100の変調動作点を最適点(たとえば図5に示した変調動作点502,503)に設定することができる。ここでは、変調動作点が変調動作点503になった場合について説明する。
つぎに、光変調器100は、高速位相シフタ151,152の駆動、すなわちデータ信号に基づく変調を開始する(ステップS1003)。つぎに、光変調器100は、モニタPD181,182から出力された各電気信号に基づいて、光パワーP(U)および光パワーP(L)が等しいか否かを判断する(ステップS1004)。光パワーP(U)および光パワーP(L)が等しい場合(ステップS1004:Yes)は、変調動作点が最適点に保たれていると判断することができる。この場合に、光変調器100はステップS1004へ戻る。
ステップS1004において、光パワーP(U)および光パワーP(L)が等しくない場合(ステップS1004:No)は、経年劣化や周辺温度の変動等により変調動作点が最適点からずれたと判断することができる。この場合に、光変調器100は、光パワーP(U)が光パワーP(L)より大きいか否かを判断する(ステップS1005)。
ステップS1005において、光パワーP(U)が光パワーP(L)より大きい場合(ステップS1005:Yes)は、光変調器100は、光パワーP(U),P(L)の差の絶対値が所定値eより小さいか否かを判断する(ステップS1006)。所定値eは、一例としては0.5[mW]とすることができる。ただし、所定値eは、これに限らず、たとえばLD10の出力パワー、許容可能な光損失、許容可能な信号品質の低下などに応じて任意に設定することができる。
ステップS1006において、光パワーP(U),P(L)の差の絶対値が所定値eより小さい場合(ステップS1006:Yes)は、光変調器100は、ステップS1007へ移行する。すなわち、光変調器100は、低速位相シフタ設定の設定を、低速位相シフタ161,162が各光に与える位相差を現状より1ステップだけ増加させる低速位相シフタ設定に変更し(ステップS1007)、ステップS1004へ戻る。ステップS1007において、たとえば、光変調器100は、変更前の低速位相シフタ設定がPS(0)であった場合は、低速位相シフタ設定をPS(1)に変更する。
ステップS1006において、光パワーP(U),P(L)の差の絶対値が所定値eより小さくない場合(ステップS1006:No)は、光変調器100は、ステップS1008へ移行する。すなわち、光変調器100は、ヒータ設定を、ヒータ171,172が各光に与える位相差を現状より1ステップだけ増加させるヒータ設定に変更し(ステップS1008)、ステップS1004へ戻る。ステップS1008において、たとえば、光変調器100は、変更前のヒータ設定がHS(0)であった場合は、ヒータ設定をHS(1)に変更する。
ステップS1005において、光パワーP(U)が光パワーP(L)より大きくない場合(ステップS1005:No)は、光変調器100は、光パワーP(U),P(L)の差の絶対値が所定値eより小さいか否かを判断する(ステップS1009)。
ステップS1009において、光パワーP(U),P(L)の差の絶対値が所定値eより小さい場合(ステップS1009:Yes)は、光変調器100は、ステップS1010へ移行する。すなわち、光変調器100は、低速位相シフタ設定を、低速位相シフタ161,162が各光に与える位相差を現状より1ステップだけ減少させる低速位相シフタ設定に変更し(ステップS1010)、ステップS1004へ戻る。ステップS1010において、たとえば、光変調器100は、変更前の低速位相シフタ設定がPS(0)であった場合は、低速位相シフタ設定をPS(−1)に変更する。
ステップS1009において、光パワーP(U),P(L)の差の絶対値が所定値eより小さくない場合(ステップS1009:No)は、光変調器100は、ステップS1011へ移行する。すなわち、光変調器100は、ヒータ171,172の設定を、ヒータ171,172が各光に与える位相差を現状より1ステップだけ減少させるヒータ設定に変更し(ステップS1011)、ステップS1004へ戻る。ステップS1011において、たとえば、光変調器100は、変更前のヒータ設定がHS(0)であった場合は、ヒータ設定をHS(−1)に変更する。
図10に示したように、光変調器100は、光パワーP(U),P(L)を比較することにより位相ずれの方向を判定するとともに、光パワーP(U),P(L)の差の絶対値に基づいて位相ずれの大小を判定する。そして、光変調器100は、位相ずれが小さい場合は低速位相シフタ設定を変更し、位相ずれが大きい場合はヒータ設定を変更することにより、位相ずれを補正する制御を行う。
ステップS1002において変調動作点が変調動作点503になった場合について説明したが、ステップS1002において変調動作点が変調動作点502になった場合は、ステップS1005〜S1011における位相差の制御の増減が逆になる。すなわち、光変調器100は、ステップS1005において、光パワーP(U)が光パワーP(L)より大きい場合(ステップS1005:Yes)はステップS1009へ移行する。また、光変調器100は、ステップS1005において、光パワーP(U)が光パワーP(L)より大きくない場合(ステップS1005:No)はステップS1006へ移行する。
また、光変調器100は、ステップS1002において変調動作点が変調動作点502,503のいずれになったかについて、たとえばステップS1001のスイープの結果に基づいて判断することができる。たとえば、光パワーP(U),P(L)が等しくなったときのヒータ設定よりも各光に与える位相差が1ステップだけ多いヒータ設定において光パワーP(U)が光パワーP(L)より大きい場合は、変調動作点は変調動作点503になったと判断することができる。また、光パワーP(U),P(L)が等しくなったときのヒータ設定よりも各光に与える位相差が1ステップだけ多いヒータ設定において光パワーP(U)が光パワーP(L)より小さい場合は、変調動作点は変調動作点502になったと判断することができる。
また、ステップS1007,S1008,S1010,S1011において、光変調器100が、位相差を1ステップ変化させるようにヒータ設定または低速位相シフタ設定を変更する処理について説明したが、このような処理に限らない。たとえば、光変調器100は、光パワーP(U),P(L)の差の絶対値に応じたステップ数だけ位相差を変化させるようにヒータ設定または低速位相シフタ設定を変更してもよい。
また、光パワーP(U),P(L)に基づいてヒータ設定または低速位相シフタ設定を変更する処理について説明したが、このような処理に限らない。たとえば、光変調器100は、ステップS1001において設定したヒータ設定におけるP(U)(=P(L))をP(0)として記憶しておき、ステップS1004〜S1006,S1009においてはP(L)に代えてこのP(0)を用いてもよい。これにより、変調動作点の最適点における光出力パワーを基準として、位相ずれの方向や大きさを判定することができる。
このように、実施の形態にかかる光変調器100は、位相ずれが比較的小さい場合は、ダイオードを用いる低速位相シフタ161,162(第1位相シフタ)を制御することにより位相ずれを補正する。微弱な位相ずれに対する応答速度を向上させることができる。位相ずれの大きさは、たとえば上述のP(U),P(L)の差の絶対値である。
また、光変調器100は、位相ずれが比較的大きい場合は、温度調整を用いるヒータ171,172(第2位相シフタ)を制御することにより位相ずれを補正する。これにより、大きな位相ずれを補正する際の光損失を抑制することができる。
したがって、実施の形態にかかる光変調器100は、微弱な位相ずれに追従して補正を行いつつ、光損失を抑制することができる。このため、たとえば、光変調器100により得られる光信号の品質の低下を抑制しつつ、消費電力の増加を抑制することができる。
たとえば、低速位相シフタ161,162は、並行導波路121,122のそれぞれに設けられたダイオードに電流を流すことにより、並行導波路121,122を通過する各光の位相差を調整可能である。また、ヒータ171,172は、並行導波路121,122の各温度を制御することにより、並行導波路121,122を通過する各光の位相差を調整可能である。
この場合に、上述の位相ずれは、並行導波路121,122を通過して干渉部130において干渉する各光の位相差の平均値(変調動作点)の所定値(最適点)からのずれである。また、光変調器100は、干渉部130における各光の干渉により得られた各光のパワーに基づいて、位相ずれの大小を判定する。
また、光変調器100は、高速位相シフタ151,152による位相変調の開始前に、位相ずれの大きさに関わらず、ヒータ171,172を制御することにより位相ずれを補正してもよい。この場合に、光変調器100は、高速位相シフタ151,152による位相変調の開始後に、上述のように位相ずれの大きさに応じて低速位相シフタ161,162またはヒータ171,172を制御することにより位相ずれを補正する。これにより、製造誤差等による位相ずれを、光変調器100の運用前に、ヒータ171,172を制御することにより補正しておくことができる。このため、光変調器100の運用中における低速位相シフタ161,162による位相シフト量を少なくし、光変調器100の消費電力を低減することができる。
また、上述した実施の形態において、並行導波路121,122にそれぞれ低速位相シフタ161,162を設ける構成について説明したが、低速位相シフタ161,162のいずれかを省いた構成としてもよい。すなわち、低速位相シフタ161,162の一方のみの位相変調であっても、並行導波路121,122を通過する各光の位相差を変化させることができる。
また、上述した実施の形態において、並行導波路121,122にそれぞれヒータ171,172を設ける構成について説明したが、ヒータ171,172のいずれかを省いた構成としてもよい。すなわち、ヒータ171,172の一方のみの位相変調であっても、並行導波路121,122を通過する各光の位相差を変化させることができる。
また、並行導波路121,122の各温度を調整する構成としてヒータ171,172について説明したが、並行導波路121,122の各温度を調整する構成はヒータ171,172に限らない。たとえば、並行導波路121,122の各温度を調整する構成として、並行導波路121,122を冷却する素子等を用いてもよい。すなわち、並行導波路121,122の冷却によっても、並行導波路121,122を通過する各光の位相差を変化させることができる。
以上説明したように、光変調器によれば、光損失を抑制することができる。
たとえば、変調動作点をヒータ171,172により最適点に移動させ、細かな微調整はダイオードを用いた低速位相シフタ161,162により行うことができる。すなわち、微弱な位相ずれに対しては高速に応答可能な低速位相シフタ161,162により補正を行い、大きな位相ずれに対しては位相シフト量が増加しても光損失が増加しないヒータ171,172により補正を行うことができる。これにより、光損失を抑制することができる。
上述した各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)光を通過させる光導波路と、
前記光導波路に設けられたダイオードに電流を流すことにより、前記光導波路を通過する前記光の位相を調整可能な第1位相シフタと、
前記光導波路の温度を調整することにより、前記光導波路を通過する前記光の位相を調整可能な第2位相シフタと、
前記光導波路を通過した光のパワーの検出結果に基づいて、前記光導波路を通過する光の位相ずれの大きさが所定の大きさより小さい場合は前記第1位相シフタを制御することにより前記位相ずれを補正し、前記位相ずれの大きさが前記所定の大きさ以上である場合は前記第2位相シフタを制御することにより前記位相ずれを補正する制御部と、
を備えることを特徴とする光変調器。
(付記2)前記光導波路は、入力された光を分岐する分岐部と、前記分岐部により分岐された各光を通過させる各導波路と、前記各導波路を通過した各光を干渉させる干渉部と、を有し、
前記第1位相シフタは、前記各導波路の少なくともいずれかに設けられた前記ダイオードに電流を流すことにより、前記各導波路を通過する各光の位相差を調整可能であり、
前記第2位相シフタは、前記各導波路の少なくともいずれかの温度を制御することにより、前記各導波路を通過する各光の位相差を調整可能であり、
前記位相ずれは、前記各導波路を通過した各光の位相差の所定値からのずれであり、
前記制御部は、前記干渉部における前記各光の干渉により得られた光のパワーに基づいて、前記位相ずれの大きさが前記所定の大きさより小さいか否かを判定する、
ことを特徴とする付記1に記載の光変調器。
(付記3)前記制御部は、前記干渉部における前記各光の干渉により得られた各光のパワーの差が小さくなるように前記第1位相シフタおよび前記第2位相シフタの少なくともいずれかを制御することにより前記位相ずれを補正することを特徴とする付記2に記載の光変調器。
(付記4)入力されたデータ信号に基づいて、前記光導波路を通過する光を位相変調するデータ変調部を備えることを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の光変調器。
(付記5)入力されたデータ信号に基づいて、前記光導波路を通過する光を位相変調するデータ変調部を備え、
前記制御部は、前記データ変調部による位相変調の開始前に、前記第2位相シフタを制御することにより前記位相ずれを補正する、
ことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の光変調器。
(付記6)前記制御部は、前記データ変調部による位相変調の開始前に、前記第1位相シフタのダイオードに電圧を印加しない状態で前記第2位相シフタを制御することにより前記位相ずれを補正することを特徴とする付記5に記載の光変調器。
(付記7)前記第2位相シフタはヒータであることを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の光変調器。
10 LD
100 光変調器
110,141,142 分岐部
121,122 並行導波路
130 干渉部
151,152 高速位相シフタ
161,162 低速位相シフタ
171,172 ヒータ
181,182 モニタPD
190 制御部
201 電流対位相シフト量特性
202 電流対損失特性
301 電圧対消費電力特性
401,402,631,632 位相差対光パワー特性
403 減衰
404 減衰カーブ
501〜503 変調動作点
610 データ信号
620 動作範囲
621 最小パワー
622 最大パワー
701,702 温度モニタ
711,712 抵抗
721,722 ADC
730 MCU
741,742,751,752 DAC
800,900 テーブル

Claims (3)

  1. 光を通過させる光導波路と、
    前記光導波路に設けられたダイオードに電流を流すことにより、前記光導波路を通過する前記光の位相を調整可能な第1位相シフタと、
    前記光導波路の温度を調整することにより、前記光導波路を通過する前記光の位相を調整可能な第2位相シフタと、
    前記光導波路を通過した光のパワーの検出結果に基づいて、前記光導波路を通過する光の位相ずれの大きさが所定の大きさより小さい場合は前記第1位相シフタを制御することにより前記位相ずれを補正し、前記位相ずれの大きさが前記所定の大きさ以上である場合は前記第2位相シフタを制御することにより前記位相ずれを補正する制御部と、
    を備えることを特徴とする光変調器。
  2. 前記光導波路は、入力された光を分岐する分岐部と、前記分岐部により分岐された各光を通過させる各導波路と、前記各導波路を通過した各光を干渉させる干渉部と、を有し、
    前記第1位相シフタは、前記各導波路の少なくともいずれかに設けられた前記ダイオードに電流を流すことにより、前記各導波路を通過する各光の位相差を調整可能であり、
    前記第2位相シフタは、前記各導波路の少なくともいずれかの温度を制御することにより、前記各導波路を通過する各光の位相差を調整可能であり、
    前記位相ずれは、前記各導波路を通過した各光の位相差の所定値からのずれであり、
    前記制御部は、前記干渉部における前記各光の干渉により得られた光のパワーに基づいて、前記位相ずれの大きさが前記所定の大きさより小さいか否かを判定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
  3. 入力されたデータ信号に基づいて、前記光導波路を通過する光を位相変調するデータ変調部を備え、
    前記制御部は、前記データ変調部による位相変調の開始前に、前記第2位相シフタを制御することにより前記位相ずれを補正する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の光変調器。
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