以下、この発明によるトルクセンサのいくつかの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態1.
図1、図2、図3は、この発明の実施の形態1によるトルクセンサを、その原点位置において示す図である。図4、図5、図6は、同じくこの発明の実施の形態1によるトルクセンサを、その正のトルク範囲において示す図である。図1および図4は、実施の形態1のトルクセンサを軸線方向に見た上面図であるが、その一部の部品は図面を見やすくするために省略されている。図2および図5は、実施の形態1のトルクセンサを、共通軸線L−Lを含む平面で切断した縦断面図である。図3および図6は、実施の形態1によるトルクセンサの動作説明図であり、図3は原点位置における磁束の流れを、また図6は正のトルク範囲における磁束の流れをそれぞれ示す。図7は図5のA−A線断面図、図8は図5のB−B線断面図、図9は図5のC−C線断面図、図10は図5のD−D線断面図である。A−A線、B−B線、C−C線、D−D線は、いずれも共通軸線L−Lに直交する平面に含まれる。図11は実施の形態1によるトルクセンサの側面図である。
これらの図1−11を参照して、この発明による実施の形態1のトルクセンサについて説明する。先ず、この発明による実施の形態1のトルクセンサは、とくに図2、図5に示すように、第1回転軸1と、第2回転軸2と、内周回転体3と、ベース板4とトーションバー5と、磁場発生手段6と、外周回転体12と、磁場変化手段30と、磁気センサ15とを備えている。
この実施の形態1のトルクセンサは、第1回転軸1と第2回転軸2との間に働く捩りトルクを検出するセンサであり、自動車に搭載される電動パワーステアリングにおいて、ステアリングホイールに働くトルクを検出するのに使用される。第1、第2回転軸1、2は、互いに共通な共通軸線L−L上に回転可能に配置される。第1、第2回転軸1、2の間には、内周回転体3、ベース板4、トーションバー5、磁場発生手段6、外周回転体12、および磁場変化手段30が配置される。内周回転体3は、共通軸線L−Lを中心とする内周筒であり、鉄材などの磁性材料で構成される。この内周筒3は、その一端が第1回転軸1に結合され、第1回転軸1とともに共通軸線L−Lの周りを回転する。
ベース板4は第2回転軸2の一端に結合された円板であり、第2回転軸2とともに共通軸線L−Lの周りを回転する。トーションバー5は、内周筒3の内部に配置され、共通軸線L−Lに沿って延長される。このトーションバー5の一端は内周筒3に結合され、またその他端はベース板4の中心部に結合され、その結果、トーションバー5が内周筒3とベース板4とを連結する。内周筒3の捩り剛性はトーションバー5の捩り剛性と比べて十分大きいので、第1回転軸1と第2回転軸2との間に捩りトルクを与えると、そのトルクの大きさに応じてトーションバー5が共通軸線L−Lの周りで捩られ、第1回転軸1と第2回転軸2とが、共通軸線L−Lの周りで相対的に回転する。
外周回転体12は、内周筒3を取り囲むように配置された円筒体である。この外周回転体12は、共通軸線L−Lを中心としてその周りに配置され、一端がベース板4に結合され、このベース板4とともに共通軸線L−Lの周りを回転する。この外周回転体12は、図11に示すように、第1外周筒12aと、第2外周筒12bと、連結体13とにより構成される。第1、第2外周筒12a、12bは、共通軸線L−Lに沿って並べて配置され、連結体13により、互いに連結される。外周筒12a、12bは鉄材などの磁性材料で構成され、連結体13はアルミニウムなどの非磁性材料で構成される。
連結体13はほぼ円筒状に作られるが、図11に示すように、円筒状の一部分に空隙部を有し、この空隙部では外周筒12a、12bの突出部12c、12dが互いに共通軸線L−Lの方向に対向していて、これらの突出部12c、12dの間に、磁気センサ15が配置される。外周筒12a、12bの突出部12c、12dは、外周筒12a、12bの間に、共通軸線L−Lに沿って延びる検出磁路20を構成し、この検出磁路20には検出磁束DFが流れる。磁気センサ15は、検出磁路20を横切るように、突出部12c、12dの間に配置され、この磁気センサ15には検出磁束DFが与えられる。この実施の形態1では、磁気センサ15は外周回転体12とともに回転するように、設置される。検出磁束DFは、第1外周筒12aから第2外周筒12bに向かう検出磁束DF1と、第2外周筒12bから第1外周筒12aに向かう検出磁束DF2を含む。図11では、検出磁束DF1を実線で、検出磁束DF2を点線で示す。
内周回転体3と外周回転体12との間には、図2および図5に示すように、共通軸線L−Lに沿って4つのステージA、B、C、Dが設定される。ステージA、B、C、Dは、それぞれ共通軸線L−Lに直交するA−A線、B−B線、C−C線、D−D線を含む平面上に、それぞれ設定される。これらの4つのステージA、B、C、Dは、共通軸線L−Lに沿って互いに間隔をおいて設定される。
これらのステージA、B、C、Dの中のステージB、Cに、磁場発生手段6が配置される。また、ステージA、B、C、Dのすべてに、磁場変化手段30が配置される。まず、磁場発生手段6は、この実施の形態1では、2つの囲み磁石構造6B、6Cを有し、これらの囲み磁石構造6B、6Cは、それぞれステージB、Cに配置される。ステージBに配置された囲み磁石構造6Bと、ステージCに配置された囲み磁石構造6Cは、それぞれリング状の永久磁石62、63で構成される。
囲み磁石構造6Bは、共通軸線L−Lを囲むように配置され、共通軸線L−Lを中心とする内周磁極面62aと外周磁極面62bを有する。これらの内周磁極面62aと外周磁極面62bは、リング状の永久磁石62の内周面と外周面にそれぞれ形成される。同様に、囲み磁石構造6Cも、共通軸線L−Lを取り囲むように配置され、共通軸線L−Lを中心とする内周磁極面63aと外周磁極面63bを有する。これらの内周磁極面63aと外周磁極面63bは、リング状の永久磁石63の内周面と外周面にそれぞれ形成される。これらのリング状の永久磁石62、63は、それぞれの内周磁極面62a、63aが内周筒3の外周面に嵌め込まれて内周筒3に固定され、内周筒3とともに回転する。
リング状の永久磁石62、63は、それぞれその全体が共通軸線L−Lを中心とする半径方向に着磁されており、それぞれの内周磁極面62a、63aは、共通軸線L−Lの周りに沿って、それらの全周面が例えばS極となっており、また、それぞれの外周磁極面62b、63bは、共通軸線L−Lの周りに沿って、それら全周面が例えばN極となっている。言い換えれば、リング状の永久磁石62、63の内周磁極面62a、63aには、N極とS極の両磁極の中の一方の磁極であるS極ばかりがそれらの周面に沿って連続して形成され、同様に、リング状の永久磁石62、63の外周磁極面62b、63bには、両磁極の中のN極ばかりがそれらの周面に沿って連続して形成される。
実施の形態1において、リング状の永久磁石62、63の内周磁極面62a、63aにS極ばかりが形成され、またそれらの外周磁極面62b、63bにN極ばかりが形成される構成は、磁場発生手段6における着磁のばらつきを抑制するのに有効である。例えば、内周磁極面62a、63aにS極ばかりでなく、S極とN極とが交互に形成され、また外周磁極面62b、63bにN極ばかりでなく、N極とS極が交互に形成されるものでは、N極とS極とが隣接ように着磁され、それらの着磁のばらつきを解消するのが困難である。これに較べて、実施の形態1のように、リング状の永久磁石62、63の内周磁極面62a、63aに例えばS極ばかりが、またそれらの外周磁極面62b、63bに例えばN極ばかりが形成される構成は、従来の磁石構造のような、同じ周面上のN極とS極の境界が着磁のばらつきにより、ずれる不都合を解消できる。
なお、リング状の永久磁石62、63の全体を共通軸線L−Lの半径方向に着磁する場合に、着磁方向を前記と逆にし、それらの内周磁極面62a、63aの周面に沿ってN極ばかりを連続して形成し、それらの外周磁極面62b、63bの周面に沿ってS極ばかりを連続して形成することもできる。この場合にも、前記と同様に、着磁のばらつきを抑えることができる。
磁場変化手段30は、4つの磁場変化手段31〜34を含む。これらの4つの磁場変化手段31〜34は、内周回転体3と外周回転体12との間において、ステージA〜Dのそれぞれに配置される。これらの4つの磁場変化手段31、32、33、34は、それぞれ共通軸線L−Lの周りに配置された複数個の突出磁極により構成される。
ステージAに配置された磁場変化手段31は、内周磁極11aと外周磁極14aとから構成される。これらの内周磁極11aと外周磁極14aは、ともに共通軸線L−Lの周りに複数個の突出磁極を有する。これらの内周磁極11aと外周磁極14aは、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に互いに空隙を介して相対向している。内周磁極11aは、内周筒3の外周面に固定されたリング状鉄心9の外周面に配置される。外周磁極14aは、第1外周筒12aの内周面に配置される。これらの磁極11a、14aは、ステージAにおいて、内周回転体3と外周回転体12との相対回転に応じて、それらの対向状態が変化し、それらの間の空隙を通る磁束を変化させる。
ステージBに配置された磁場変化手段32は、内周磁極11bと外周磁極14bとから構成される。これらの内周磁極11bと外周磁極14aは、ともに共通軸線L−Lの周りに複数個の突出磁極を有する。これらの内周磁極11bと外周磁極14bは、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に互いに空隙を介して相対向している。内周磁極11bは、囲み磁石構造6Bを構成するリング状の永久磁石62の外周磁極面62bに配置される。外周磁極14bは、第1外周筒12aの内周面に配置される。これらの磁極11b、14bは、ステージBにおいて、内周回転体3と外周回転体12との相対回転に応じて、それらの対向状態が変化し、それらの間の空隙を通る磁束を変化させる。
磁場発生手段6の囲み磁石構造6Bを構成するリング状の永久磁石62は、図3に示すように、N極である外周磁極面62bから、磁場変化手段32の内周磁極11bと外周磁極14b、第1外周筒12a、磁場変化手段31の外周磁極14aと内周磁極11a、リング状鉄心9、および内周筒3を通り、S極である内周磁極面62aに帰る磁路に磁束Φ1を流す。磁場変化手段32の内周磁極11bと外周磁極14b、および磁場変化手段31の内周磁極11aと外周磁極14aは、それぞれの対向状態の変化に基づいて、この磁束Φ1の大きさを変化させる。
ステージCに配置された磁場変化手段33は、内周磁極11cと外周磁極14cとから構成される。これらの内周磁極11cと外周磁極14cは、ともに共通軸線L−Lの周りに複数個の突出磁極を有する。これらの内周磁極11cと外周磁極14cは、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に互いに空隙を介して相対向している。内周磁極11cは、囲み磁石構造6Cを構成するリング状の永久磁石63の外周磁極面63bに配置される。外周磁極14cは、第2外周筒12bの内周に配置される。これらの磁極11c、14cは、ステージCにおいて、内周回転体3と外周回転体12との相対回転に応じて、それらの対向状態が変化し、それらの間の空隙を通る磁束を変化させる。
ステージDに配置された磁場変化手段34は、内周磁極11dと外周磁極14dとから構成される。これらの内周磁極11dと外周磁極14dは、ともに共通軸線L−Lの周りに複数個の突出磁極を有する。これらの内周磁極11dと外周磁極14dは、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に互いに空隙を介して相対向している。内周磁極11dは、内周筒3の外周面に固定されたリング状鉄心10の外周面に配置される。外周磁極14dは、第2外周筒12bの内周面に配置される。これらの磁極11a、14aは、ステージDにおいて、内周回転体3と外周回転体12との相対回転に応じて、それらの対向状態が変化し、それらの間の空隙を通る磁束を変化させる。
なお、内周磁極11a、11b、11c、11dの共通軸線L−L方向の長さはすべて同じとされ、また外周磁極14a、14b、14c、14dについてもそれらの共通軸線L−L方向の長さはすべて同じとされる。加えて、各ステージA、B、C、Dにおける各内周磁極11a、11b、11c、11dと各外周磁極14a、14b、14c、14dとの間の空隙の径方向の長さも、すべて同じとされる。
磁場発生手段6の囲み磁石構造6Cを構成するリング状の永久磁石63は、図3に示すように、N極である外周磁極面63bから、磁場変化手段33の内周磁極11cと外周磁極14c、第2外周筒12b、磁場変化手段34の外周磁極14dと内周磁極11d、リング状鉄心10、および内周筒3を通り、S極である内周磁極面63aに帰る磁路に磁束Φ2を流す。磁場変化手段33の内周磁極11cと外周磁極14c、および磁場変化手段34の内周磁極11dと外周磁極14dは、それぞれの対向状態の変化に基づいて、この磁束Φ2の大きさを変化させる。
ステージA、Bに配置された磁場変化手段31、32の内周磁極11a、11bと、ステージC、Dに配置された磁場変化手段33、34の内周磁極11c、11dは、共通軸線L−Lの周りに互いに同じ位相で配置された複数個の突出磁極を有する。具体的には、これらの内周磁極11a〜11dは、それぞれ40度の角度間隔で配置された9個の突出磁極を持つが、各内周磁極11a〜11dのすべてについて、これらの9個の突出磁極は、共通軸線L−Lの周りの内周磁極基準位置から、例えば0度、40度、80度、120度、160度、200度、240度、280度、320度の角度位置に、互いに同じ位相で配置される。図1、図4では、これらの内周磁極11aから11dの突極が、共通軸線L−Lの方向にすべて互いに重なった状態で、実線で示される。
ステージA、B、C、Dに配置された磁場変化手段31〜34の外周磁極14a〜14dの中、磁場変化手段32の外周磁極14bと、磁場変化手段34の外周磁極14dは、共通軸線L−Lの周りに互いに同じ位相で配置された複数の磁極を有する。具体的には、これらの外周磁極14b、14dもそれぞれ40度の角度間隔で配置された9個の突出磁極を持つが、外周磁極14b、14dについて、これらの9個の突出磁極は、共通軸線L−Lの周りの外周磁極基準位置から、0度、40度、80度、120度、160度、200度、240度、280度、320度の角度位置に、互いに同じ位相で配置される。図1、図4では、これらの外周磁極14b、14dの突出磁極が、共通軸線L−Lの方向にすべて互いに重なった状態で、実線で示される。これらの互いに重なった外周磁極14b、14dの1つについて、その中心の角度位置を図1、図4において、θ1で示している。
磁場変化手段31〜34の外周磁極14a〜14dの中、磁場変化手段31の外周磁極14aと、磁場変化手段33の外周磁極14cは、共通軸線L−Lの周りに互いに同じ位相で配置された複数の磁極を有する。具体的には、これらの外周磁極14a、14cもそれぞれ40度の角度間隔で配置された9個の突出磁極を持つが、磁極14aと磁極14cについて、これらの9個の突出磁極は、共通軸線L−Lの周りの前記外周磁極基準位置から、磁極14b、14dとちょうど逆位相で、20度、60度、100度、140度、180度、220度、260度、300度、340度の角度位置に、互いに同じ位相で配置される。図1、図4では、これらの外周磁極14a、14cの突出磁極が、共通軸線L−Lの方向にすべて互いに重なった状態で、点線で示される。これらの互いに重なった外周磁極14a、14cの1つについて、その中心の角度位置を図1、図4において、θ2で示している。
磁気センサ15は、例えばホール素子であり、それを通る検出磁束DFの方向と大きさに応じた出力信号を発生する。この磁気センサ15には、第1外周筒12aと第2外周筒12bとの間に共通軸線L−Lに沿って流れる検出磁束DF1、DF2が流れる。磁気センサ15の出力信号の極性は、磁気センサ15を通る検出磁束DF1、DF2の方向に応じて、正極性と負極性の極性の反転する出力信号となり、またこの出力信号の大きさは、磁気センサ15を通る検出磁束DF1、DF2の大きさに比例する。
なお、図1、図4では、図面を見やすくするために、第1、第2回転軸1、2と、内周筒3と、トーションバー5と、リング状鉄心9が省略されている。
さて、図1〜図3は実施の形態1のトルクセンサを、その原点位置において示す。この原点位置では、磁場変化手段31〜34において、内周磁極11a、11b、11c、11dが、図1に示すように、共通軸線L−Lの周りの周方向に沿って、実線で示す外周磁極14b、14dの重なる角度位置θ1と、点線で示す磁極14a、14cの重なる角度位置θ2とのちょうど中間の角度位置に位置する。
この原点位置では、図3に示す磁束Φ1と磁束Φ2が、互いにほぼ等しい大きさとなる。この原点位置では、磁場変化手段31〜34の内周磁極11a、11b、11c、11dが、図1に示すように、共通軸線L−Lの周りの周方向に沿って、磁極14b、14dの重なる角度位置θ1と、磁極14a、14cの重なる角度位置θ2とのちょうど中間の角度位置に位置する。このため、図3に示す磁束Φ1と磁束Φ2の流れる磁路の磁気抵抗は互いに等しく、したがって磁束Φ1、Φ2の大きさは互いに等しい。このため、第1外周筒12aと第2外周筒12bの間において、磁気センサ15を通って流れる検出磁束DF1、DF2は、ともにゼロとなり、磁気センサ15の信号出力もゼロとなる。
図4、図5、図6は、原点位置から第1回転軸1が第2回転軸2に対して相対的に反時計方向に回転し、磁極11a、11b、11c、11dが、磁極14b、14dの重なる角度位置θ1に近い回転角度まで変位した正のトルク範囲を示す。この正のトルク範囲では、磁極11a、11b、11c、11dが、磁極14a、14cの重なる角度位置θ2から遠ざかり、磁極14b、14dの重なる角度位置θ1に近づいた位置にある。
図7〜図10は、それぞれ図5に示すステージA、B、C、Dにおける共通軸線L−Lと直交する方向の断面図である。図7に示すステージAの磁場変化手段31において、内周磁極11aの9個の突出磁極は、外周磁極14aの9個の突出磁極に対して、角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づいている。同様に、図9に示すステージCに示す磁場変化手段33において、内周磁極11cの9個の突出磁極は、外周磁極14cの9個の突出磁極に対して、角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づいている。そのため、これらの磁場変化手段31、33の内周磁極11a、11cと外周磁極14a、14cとの対向面積は減少し、磁気抵抗は、図1〜図3に示した原点位置における磁気抵抗よりも増大している。
一方、図8に示すステージBの磁場変化手段32において、内周磁極11bの9個の突出磁極も、外周磁極14bの9個の突出磁極に対して、角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づき、外周磁極14bに近づいている。同様に、図10に示すステージDに示す磁場変化手段34において、内周磁極11dの9個の突出磁極も、外周磁極14dの9個の突出磁極に対して、角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づき、外周磁極14dに近づいている。そのため、これらの磁場変化手段32、34の内周磁極11b、11dと外周磁極14b、14dとの対向面積は増加し、磁気抵抗は、図1〜図3に示した原点位置における磁気抵抗よりも減少している。
この図4〜図10に示す正のトルク範囲では、磁場変化手段32と磁場変化手段34の内周磁極11b、11dと外周磁極14b、14dとの対向面積がともに増加するために、図6に示すように、新たに第1外周筒12aから第2外周筒12bに向かう検出磁束DF1が流れる。この検出磁束DF1は、ステージBにおける囲み磁石構造6Bの外周磁極面62bから磁場変化手段32の磁極11b、14bを通り第1外周筒12aに至り、この第1外周筒12aから共通軸線L−Lに沿って検出磁路20における磁気センサ15を通り、第2外周筒12bに至り、リング状鉄心10を経由して内周筒3に至る。
磁気センサ15は、この検出磁路20を流れる検出磁束DF1を検出し、例えば正極性の信号出力を発生する。この正極性の信号出力は、正のトルク範囲、すなわち囲み磁石構造6Bから磁場変化手段32、34を通る検出磁束DF1が発生する範囲で得られ、その出力信号の大きさはこの正のトルク範囲において、第1、第2回転軸1、2間に与えられる捩りトルクの増大に応じて増大する。なお、正のトルク範囲では、磁場変化手段31の磁極11a、14aと、磁場変化手段33の磁極11c、14cの対向面積が減少するために、これらの磁場変化手段31、33を通る磁束Φ1、Φ2の大きさが減少する。
図3に示す原点位置から、第1回転軸1が第2回転軸2に対して相対的に、図4〜図10に示す正のトルク範囲とは逆方向に、時計方向に回転し、内周磁極11a、11b、11c、11dが、磁極14a、14cの重なる角度位置θ2に近い角度位置まで変位した負のトルク範囲では、第1、第2回転軸1、2間に与えられる捩りトルクが、正のトルク範囲に対して逆方向となる。この負のトルク範囲では、磁極11a、11b、11c、11dが、図1〜図3に示す原点位置よりも、磁極14b、14dの重なる角度位置θ1から遠ざかり、磁極14a、14cの重なる角度位置θ2に近づいた状態にある。
この負のトルク範囲では、磁場変化手段31の磁極11a、14aと、磁場変化手段33の磁極11c、14cとの対向面積が増加するために、ステージCにおける囲み磁石構造6Cから、これらの磁場変化手段31、33を通る検出磁束DF2が発生し、逆に磁場変化手段32の磁極11b、14bと、磁場変化手段34の磁極11d、14dの対向面積が減少するために、これらの磁場変化手段32、34を通る磁束Φ1、Φ2の大きさが減少する。
この負のトルク範囲における検出磁束DF2は、ステージCにおける囲み磁石構造6Cから磁場変化手段33の磁極11c、14cを通り第2外周筒12bに至り、この第2外周筒12bから共通軸線L−Lに沿って検出磁路20における磁気センサ15を通り、第1外周筒12aに至り、リング状鉄心9を経由して内周筒3に帰る。磁気センサ15は、この検出磁束DF2を検出し、例えば負極性の信号出力を発生する。この負極性の信号出力は、負のトルク範囲、すなわち磁場変化手段31、33を通る磁束が増大し、磁場変化手段32、34を通る磁束が減少する範囲で得られ、その出力信号の大きさはこの負のトルク範囲において、第1、第2回転軸1、2間に与えられる逆方向の捩りトルクの減少に応じて増大する。
トルクセンサでは、回転軸1、2の間に、例えば±10度、言い換えれば20度の相対回転が生じるようにして、その角度範囲における捩りトルクの変化、すなわち回転軸1、2間の相対回転を検出する。この20度の相対回転範囲を検出範囲と呼ぶと、実施の形態1では、この検出範囲はその中間に図3に示す原点位置が対応し、前記負のトルク範囲で磁気センサ15の出力信号が、負極性の最大値となる第1角度位置から、正のトルク範囲で磁気センサ15の出力信号が正極性の最大値となる第2角度位置までほぼ直線的に変化するように設定される。この実施の形態1では、その第1角度位置と第2角度位置とのちょうど中間の原点位置において、出力信号がゼロとなる。
具体的には、実施の形態1では、角度位置θ1、θ2の間の角度が20度であり、そのちょうど中間に原点位置が設定されるので、検出範囲は、原点位置から角度位置θ2側へ10度近づいた第1角度位置と、原点位置から角度位置θ1側へ10度近づいた第2角度位置との間に設定される。第1角度位置は、負のトルク範囲にあり、磁気センサ15の出力信号は、この第1角度位置で負極性の最大値となる。第2角度位置は正のトルク範囲にあり、磁気センサ15の出力信号は、第2角度位置で正極性の最大値となる。
このようにして、実施の形態1では、検出範囲において、与えられる捩りトルクの増大に伴ない、極性が反転し、大きさがほぼ直線的に増大する出力信号が磁気センサ15から得られ、結果としてバイポーラタイプの出力信号を発生するトルクセンサを実現できる。このバイポーラタイプの出力信号を発生するトルクセンサは、出力信号の極性が反転する原点位置を有し、この原点位置でのセンサ出力値の校正のばらつきの校正が容易である。
またこの実施の形態1のトルクセンサでは、磁場発生手段6が、共通軸線L−Lを囲むように配置された囲み磁石構造6B、6Cを含み、この囲み磁石構造6B、6Cは、共通軸線L−Lを中心とする外周磁極面62b、63bと内周磁極面62a、63aを形成し、外周磁極面62b、63bには、共通軸線L−Lの周りに沿って、N極とS極の両磁極の中の一方の極性の磁極ばかりが並び、また内周磁極面62a、63aには、共通軸線L−Lの周りに沿って、両磁極の中の他方の極性の磁極ばかりが並ぶようにして、共通軸線L−Lを中心とする径方向に着磁されているので、従来の磁石構造のように、着磁のばらつきにより出力信号のゼロ点がN極とS極の境界に対応する原点からずれるような不都合は解消し、安定したゼロ点出力を得ることができる。
なお、実施の形態1では、内周回転体3を構成する内周筒の代わりに中実軸を用い、トーションバー5は回転軸1、2を連結するように別の位置に設置することもできる。また非磁性の連結体13の材料は、アルミニウムや樹脂材料など、他の非磁性材料を用いてもよい。また実施の形態1では、内周磁極11a、11b、11c、11dおよび外周磁極14a、14b、14c、14dのそれぞれに9個の突出磁極を形成したが、この突出磁極の個数は9個に限ることなく、他の個数にすることもできる。また、突出磁極を形成する代わりに、周面に切り欠きまたは穴を設けるなど、相対回転により磁気抵抗が変化するようにするだけでもよい。
また実施の形態1では、内周磁極11a、11b、11c、11dをすべて同相とし、外周磁極14a、14b、14c、14dについては、外周磁極14aと14c、外周磁極14bと14dを、それぞれ同相とした上で、外周磁極14a、14cと、外周磁極14b、14dとを逆相としたが、これらの関係を逆にし、外周磁極14a、14b、14c、14dをすべて同相とし、内周磁極11a、11b、11c、11dについて、内周磁極11aと11c、内周磁極11bと11dをそれぞれ同相とした上で、内周磁極11a、11cと、内周磁極11b、11dとを逆相としても、実施の形態1と同様に、磁気センサ15からバイポーラタイプの出力信号を得ることができる。
また実施の形態1では、2つの囲み磁石構造6B、6CをステージB、Cに配置したが、これらのステージB、Cに跨る1つの囲み磁石構造により、ステージB、Cのそれぞれに磁場を発生し、内周磁極11b、11cと外周磁極14b、14cの間を通って磁束Φ1、Φ2および検出磁束DF1、DF2が流れるようにすることもできる。この場合、1つの囲み磁石構造は、共通軸線L−Lに沿って筒状として構成されるが、これも実施の形態1と同様に、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に着磁され、その内周磁極面には、N極とS極の中の一方の極性の磁極ばかりが連続し、外周磁極面には、その他方の極性の磁極ばかりが連続するように構成される。
また実施の形態1では、囲み磁石構造6B、6CをそれぞれステージB、Cに配置したが、これらの囲み磁石構造6B、6CをステージA、Dに配置することもできる。この場合にも、ステージAに配置した囲み磁石構造により磁束Φ1および検出磁束DF1を、またステージDに配置した囲み磁石構造により磁束Φ2および検出磁束DF2を流すように構成される。
さらに、実施の形態1では、内周磁極11a、11b、11c、11dおよび外周磁極14a、14b、14c、14dの共通軸線L−Lの方向おける長さが、すべて同じとしたが、これを変えて、例えば囲み磁石構造6B、6Cを配置したステージB、Cにおける磁極11b、11c、14b、14cの共通軸線L−L方向の長さを、ステージA、Dにおける磁極11a、11d、14a、14dの共通軸線L−Lの方向の長さよりも長くすることもできる。
実施の形態2.
図12はこの発明によるトルクセンサの実施の形態2を示す断面図である。この図12は、共通軸線L−Lを含む平面による縦断面図であり、図2、図5に相当する断面図である。
この実施の形態2は、磁場発生手段6を、すべてのステージA、B、C、Dに配置したものである。この実施の形態2では、磁場発生手段6は、ステージB、Cに配置された囲み磁石構造6B、6Cに加え、ステージA、Dに配置された囲み磁石構造6A、6Dをも有する。その他は、実施の形態1と同じに構成される。この実施の形態2では、ステージA、B、C、Dのそれぞれに、磁場発生手段6を構成する囲み磁石構造6A、6B、6C、6Dと、磁場変化手段31〜34が配置される。
ステージAに配置された囲み磁石構造6Aはリング状の永久磁石61により構成され、ステージDに配置された囲み磁石構造6Dはリング状の永久磁石64により構成される。リング状の永久磁石61、64は、それぞれ共通軸線L−Lを取り囲むように配置され、この共通軸線L−Lを中心とする内周磁極面61a、64aおよび外周磁極面61b、64bを有する。これらのリング状の永久磁石61、64は、内周磁極面61a、64aを内周筒3の外周面に嵌め込んで固定され、内周筒3とともに回転する。これらの永久磁石61、64の外周に、磁場変化手段31、34の内周磁極11a、11dが配置される。
これらのリング状の永久磁石61、64は、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に着磁されているが、リング状の永久磁石62、63とは逆極性に着磁される。具体的には、リング状の永久磁石61は、リング状の永久磁石62と逆極性に着磁され、その内周磁極面61aは共通軸線L−Lの周りに沿って連続してN極を形成するように着磁され、その外周磁極面61bは共通軸線L−Lの周りに沿って連続してS極を形成するように着磁される。同様に、リング状の永久磁石64は、リング状の永久磁石63と逆極性に着磁され、その内周磁極面64aは共通軸線L−Lの周りに沿って連続してN極を形成するように着磁され、その外周磁極面64bは共通軸線L−Lの周りに沿って連続してS極を形成するように着磁される。
囲み磁石構造6A、6Dは、磁束Φ1、Φ2および検出磁束DF1、DF2を増強する。囲み磁石構造6Aは、磁束Φ1および検出磁束DF2の流れる磁路において、囲み磁石構造6Bと同極性の起磁力を加え、磁束Φ1および検出磁束DF2を増強する。囲み磁石構造6Dは、磁束Φ2および検出磁束DF1の流れる磁路において、囲み磁石構造6Cと同極性の起磁力を加え、磁束Φ2および検出磁束DF1を増強する。
この実施の形態2では、実施の形態1と同じ効果に加え、検出磁束DF1、DF2をともに増強できるので、磁気センサ15のバイポーラタイプの出力信号の大きさを増強し、大きなバイポーラタイプの出力信号を取り出すことができ、より高感度のトルクセンサを実現できる。
実施の形態3.
図13〜図16は、この発明によるトルクセンサの実施の形態3を示す。図13は、図2、図5、図12と同様な共通軸線L−Lを含む平面による縦断面図であり、実施の形態3のトルクセンサの正のトルク範囲おける縦断面図である。図14は図13のA−A線によるステージAの断面図、図15は図13のB−B線、C−C線によるステージB、Cの断面図、図16は図13のD−D線によるステージDの断面図である。
実施の形態3は、実施の形態1における4つの磁場変化手段31〜34の中、ステージB、Cにおける磁場変化手段32、33をそれぞれ磁場形成手段32A、33Aに変更したものである。その他は、実施の形態1と同じに構成される。この実施の形態3では、ステージA、Dには、磁場変化手段31、34がそれぞれ配置され、また、ステージB、Cには、それぞれ磁場発生手段6を構成する囲み磁石構造6B、6Cと、磁場形成手段32A、33Aが配置される。
図14に示すステージAにおける磁場変化手段31は、図7に示す実施の形態1における磁場変化手段31と同じに構成され、また図16に示すステージDにおける磁場変化手段34は、図10に示す実施の形態1における磁場変化手段34と同じに構成される。なお、図14、図16は、実施の形態3のトルクセンサが正のトルク範囲にあり、内周磁極11a、11dが、角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づいた状態を示す。
この実施の形態3において、磁場形成手段32A、33Aは、図15に示すように、それぞれの内周磁極11b、11cおよび外周磁極14b、14cが突出磁極を持たず、それらの内周磁極11b、11cと外周磁極14b、14cが、共通軸線L−Lの周りに沿って、それぞれがリング状の磁極面を持つように構成され、内周磁極11b、11cと外周磁極14b、14cの間には、共通軸線L−Lの周りに沿って均一な大きさの空隙が形成される。したがって、実施の形態3では、内周筒3と外周回転体12との相対回転に対して、磁場変化手段31、34は実施の形態1と同様な磁場変化を与え、磁束Φ1、Φ2を変化させ、検出磁束DF1、DF2を発生させるが、磁場形成手段32A、33Aは磁場変化を与えない。
この実施の形態3において、磁場形成手段32A、33Aにおける内周磁極11b、11cと、外周磁極14b、14cとの間の空隙長さは、実施の形態1に比べて充分小さくなるように構成される。このため、実施の形態3では、実施の形態1に比べて、磁束Φ1、Φ2および検出磁束DF1、DF2が大きくなるので、磁気センサ15のバイポーラタイプも出力信号が大きくなり、より高感度のトルクセンサを実現できる。
実施の形態4.
図17、図18は、この発明によるトルクセンサの実施の形態4を示す。図17は、図13と同様な共通軸線L−Lを含む平面による縦断面図であり、図18は図17のB−B線、C−C線によるステージB、Cの断面図である。
実施の形態4は、ステージB、Cに、実施の形態3と同様に、磁場形成手段32A、33Aを設けたものであるが、これらの磁場形成手段32A、33Aにおいて、内周磁極11b、11cが削除され、磁場形成手段32A、33Aが、それぞれ囲み磁石構造6B、6Cと外周磁極14b、14cにより、構成されたものである。その他は、実施の形態1と同じに構成される。この実施の形態4では、ステージA、Dには、磁場変化手段31、34がそれぞれ配置され、また、ステージB、Cには、それぞれ磁場発生手段6を構成する囲み磁石構造6B、6Cと、磁場形成手段32A、33Aが配置される。
この実施の形態4において、磁場形成手段32Aは囲み磁石構造6Bと外周磁極14bにより構成され、囲み磁石構造6Bのリング状の永久磁石62の外周磁極面62bは、空隙を介して直接外周磁極14bに対向している。同様に、磁場形成手段33Aは囲み磁石構造6Cと外周磁極14cにより構成され、囲み磁石構造6Cのリング状の永久磁石63の外周磁極面63bは、空隙を介して直接外周磁極14bに対向している。ステージB、Cには、内周筒3の外周面にリング状鉄心7、8が固定され、リング状の永久磁石62、63は、これらのリング状鉄心7、8の外周に固定される。
この実施の形態4では、図18に示すように、リング状の永久磁石62、63の外周磁極面62b、63bおよび外周磁極14b、14cは、突出磁極を持たず、それらの外周磁極面62b、63bと外周磁極14b、14cが、共通軸線L−Lの周りに沿って、それぞれがリング状の磁極面を持つように構成され、リング状の永久磁石62、63の外周磁極面62b、63bと外周磁極14b、14cの間には、共通軸線L−Lの周りに沿って均一な大きさの空隙が形成される。
この実施の形態4では、リング状の永久磁石62、63の外周磁極面62b、63bと外周磁極14b、14cとの間に空隙が形成され、永久磁石62、63の外周磁極面62b、63bがこれらの空隙に露出し、外周磁極面62b、63bからの磁束は、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に直接出て行くので、永久磁石62、63における漏洩磁束が小さくなり、結果として、実施の形態1に比べて、磁束Φ1、Φ2および検出磁束DF1、DF2が大きくなり、磁気センサ15のバイポーラタイプの出力信号が大きくなり、より高感度のトルクセンサを実現できる。
実施の形態5.
図19〜図23は、この発明によるトルクセンサの実施の形態5を示す。図19は、図2、図5、図12、図13、図17と同様な共通軸線L−Lを含む平面による縦断面図であり、実施の形態5のトルクセンサの正のトルク範囲における縦断面図である。図20は図19のA−A線によるステージAの断面図、図21は図19のB−B線によるステージBの断面図、図22は図19のC−C線によるステージCの断面図、図23は図19のD−D線によるステージDの断面図である。
この実施の形態5は、実施の形態1において、ステージB、Cにおける囲み磁石構造6B、6Cを、図21、図22に示すリング状の永久磁石65、66により構成し、これらのリング状の永久磁石65、66を、内周筒3に固定されたリング状鉄心7、8の外周に固定するとともに、実施の形態1における内周磁極11b、11cを削除したものである。その他は、実施の形態1と同じに構成される。この実施の形態5では、ステージA、Dには、磁場変化手段31、34がそれぞれ配置され、また、ステージB、Cには、それぞれ磁場発生手段6を構成する囲み磁石構造6B、6Cと、磁場変化手段32、33が配置される。
リング状の永久磁石65、66は、図21、図22に示すように、それぞれ外周に突出磁極65A、66Aを一体に形成したリング状の永久磁石であり、共通軸線L−Lを取り囲むように配置される。ステージBに配置されるリング状の永久磁石65は、内周磁極面65aと、外周磁極面65bと、それらの中間に形成された中間面65cを有する。同様に、ステージCに配置されるリング状の永久磁石66は、内周磁極面66aと、外周磁極面66bと、それらの中間に形成された中間面66cを有する。これらのリング状の永久磁石65、66は、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に、その内周側がS極、その外周側がN極となるように着磁される。
図21に示すように、突出磁極65Aは、リング状の永久磁石65の外周に、互いに等しい角度間隔で複数個形成されている。具体的には、互いに40度の角度間隔で、9個の突出磁極65Aがリング状の永久磁石65と一体に形成されている。図22に示すように、突出磁極66Aも、同様に、リング状の永久磁石66の外周に、互いに等しい角度間隔で複数個形成されている。具体的には、互いに40度の角度間隔で、9個の突出磁極66Aがリング状の永久磁石66と一体に形成されている。これらの突出磁極65A、66Aは、実施の形態1における内周磁極11b、11cと同様に、内周磁極11a、11dと同相に、共通軸線L−Lの周りの内周磁極基準位置から、例えば0度、40度、80度、120度、160度、200度、240度、280度、320度の角度位置に配置される。
リング状の永久磁石65、66の内周磁極面65a、66aは、共通軸線L−Lを中心としてその周りに連続する周面であり、共通軸線L−Lの周りに沿ってS極ばかりが連続して形成される。外周磁極面65b、66bは、突出磁極65A、66Aのそれぞれの外周に、互いに40度の角度間隔で、間欠的に形成され、これらの外周磁極面65b、66bは、それぞれ共通軸線L−Lを中心としてその周りを囲む。これらの外周磁極面65b、66bには、共通軸線L−Lの周りに沿って、N極ばかりが間欠的に形成される。
中間面65cは、共通軸線L−Lの周りに、9個の突出磁極65Aの各隣接する突出磁極65Aの間に位置して形成される。同様に、中間面66cは、共通軸線L−Lの周りに、9個の突出磁極66Aの各隣接する突出磁極66Aの間に位置して形成される。これらの中間面65c、66cは、それぞれ共通軸線L−Lを中心としてその周りに、互いに40度の角度間隔で間欠的に形成される。
図20〜図23は、実施の形態5のトルクセンサが、正のトルク範囲にあって、内周磁極11a、11d、および突出磁極65A、66Aが、角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づいた位置にある状態を示す。この状態では、ステージBとステージDとの間で検出磁束DF1が発生する。内周磁極11a、11d、および突出磁極65A、66Aが、角度位置θ1から遠ざかり、角度位置θ2に近づく負のトルク範囲では、ステージAとステージCとの間で検出磁束DF2が発生する。結果として、この実施の形態5でも、磁気センサ15により、バイポーラタイプの出力信号を得ることができる。
また、実施の形態5のトルクセンサでは、ステージB、Cに配置された囲み磁石構造6B、6Cが、外周に複数個の突出磁極65A、66Aを形成したリング状の永久磁石65、66で構成される。これらのリング状の永久磁石65、66は、その外周磁極面65b、66bには、共通軸線L−Lの周りに沿って、N極とS極の両磁極の中の一方の極性の磁極ばかりが並び、また内周磁極面65a、66aには、共通軸線L−Lの周りに沿って、両磁極の中の他方の極性の磁極ばかりが並ぶようにして、共通軸線L−Lを中心とする径方向に着磁されているので、従来の磁石構造のように、同じ周面上のN極とS極の境界がずれることによる出力信号のゼロ点のずれは解消し、安定したゼロ点出力を持った出力信号を得ることができる。
また、リング状の永久磁石65、66の外周磁極面65b、66bと外周磁極14b、14cとの間に空隙が形成され、永久磁石65、66の外周磁極面65b、66bがこれらの空隙に露出し、外周磁極面65b、66bからの磁束は、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に直接出て行くので、実施の形態1に比べて、磁束Φ1、Φ2および検出磁束DF1、DF2が大きくなり、磁気センサ15のバイポーラタイプの出力信号が大きくなり、より高感度のトルクセンサを実現できる。
実施の形態6.
図24、図25は、この発明によるトルクセンサの実施の形態6を示す。図24は、実施の形態6のステージBの断面図、図25はそのステージCの断面図である。この図24、図25は、共通軸線L−Lに直交する平面による断面図である。
実施の形態6は、実施の形態1において、ステージB、Cにおける囲み磁石構造6B、6Cを、図24、図25に示すリング状磁石体67、68により構成し、これらのリング状磁石体67、68を、内周筒3に固定されたリング状鉄心7、8の外周に固定するとともに、実施の形態1における内周磁極11b、11cを削除したものである。その他は、実施の形態1と同じに構成される。
これらのリング状磁石体67、68には、図24、図25に示すように、共通軸線L−Lの周りに等しい角度間隔で、複数の着磁区域67A、68Aが形成される。これらの複数の着磁区域67A、68Aは、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に、その内周側をS極、その外周側をN極として着磁される。ステージBに配置されるリング状磁石体67は、共通軸線L−Lを取り囲むように配置され、共通軸線L−Lの周りに内周磁極面67aと、外周磁極面67bとを有する。このリング状磁石体67の複数の着磁区域67Aは、内周磁極面67aと外周磁極面67bとの間に、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に延びている。この複数の着磁区域67Aにより、内周磁極面67aにはS極ばかりが共通軸線L−Lの周りに沿って間欠的に形成され、外周磁極面67bにはN極ばかりが共通軸線L−Lの周りに沿って間欠的に形成される。
同様に、ステージCに配置されるリング状磁石体68は、共通軸線L−Lを取り囲むように配置され、共通軸線L−Lの周りに内周磁極面68aと、外周磁極面68bとを有する。このリング状磁石体68の複数の着磁区域68Aは、内周磁極面68aと外周磁極面68bとの間に、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に延びている。この複数の着磁区域68Aにより、内周磁極面68aにはS極ばかりが共通軸線L−Lの周りに沿って間欠的に形成され、外周磁極面68bにはN極ばかりが、共通軸線L−Lの周りに沿って間欠的に形成される。なお、隣接する着磁区域67Aの相互間および隣接する着磁区域68Aの相互間は、磁性材料のまま着磁されずに残される。
複数の着磁区域67Aは、具体的には、図24に示すように、互いに40度の角度間隔で、9個の着磁区域67Aが形成される。複数の着磁区域68Aも、図25に示すように、互いに40度の角度間隔で、9個の着磁区域68Aが形成されている。これらの複数の着磁区域67A、68Aは、実施の形態1における内周磁極11b、11cと同様に、内周磁極11a、11dと同相に、共通軸線L−Lの周りの内周磁極基準位置から、例えば0度、40度、80度、120度、160度、200度、240度、280度、320度の角度位置に形成される。なお、図24、25は、実施の形態6のトルクセンサが正のトルク範囲にあり、着磁区域67A、68Aが、角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づいた状態を示す。
この実施の形態6でも、トルクセンサが、正のトルク範囲にあって、内周磁極11a、11d、および着磁区域67A、68Aが、角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づいた位置にある状態では、ステージBとステージDとの間で検出磁束DF1が発生し、また、内周磁極11a、11d、および着磁区域67A、68Aが、角度位置θ1から遠ざかり、角度位置θ2に近づく負のトルク範囲では、ステージAとステージCとの間で検出磁束DF2が発生するので、結果として、この実施の形態6でも、磁気センサ15により、バイポーラタイプの出力信号を得ることができる。
また、この実施の形態6のトルクセンサでも、リング状磁石体67、68は、その外周磁極面67b、68bには、共通軸線L−Lの周りに沿って、N極とS極の両磁極の中の一方の極性の磁極ばかりが間欠的に並び、また内周磁極面67a、68aにも、共通軸線L−Lの周りに沿って、両磁極の中の他方の極性の磁極ばかりが間欠的に並ぶので、従来の磁石構造のように、同じ周面上のN極とS極の境界がずれることによる出力信号のゼロ点のずれを解消し、安定したゼロ点出力を持ったバイポーラタイプの出力信号を得ることができる。
実施の形態7.
図26は、この発明によるトルクセンサの実施の形態7を示す。この図26は、実施の形態7の原点位置における上面図であるが、図1、図4と同様に、図面を見やすくするために、一部の部品を省略している。
実施の形態7は、ステージB、Cに配置される囲み磁石構造6B、6Cとして、図26に示すように、複数の永久磁石片69Aから構成された磁石リング配置69を用いたものであり、この磁石リング配置69は、ステージBでは内周筒3の外周に固定されたリング状鉄心7の内部に配置され、またステージCでは内周筒3の外周に固定されたリング状鉄心8の内部に配置される。その他は、実施の形態1と同じに構成される。
磁石リング配置69は、図26に示すように、複数個の、例えば9個の永久磁石片69Aによって構成され、この複数の永久磁石片69Aは、共通軸線L−Lを中心とする同一円周上に並べて配置される。この磁石リング配置69は、共通軸線L−Lを中心としてその周りに内周磁極面69aと外周磁極面69bを有する。内周磁極面69aは、複数の永久磁石片69Aの内周側端面を含む磁極面であり、外周磁極面69bはそれらの外周側端面を含む磁極面である。複数の各永久磁石片69Aは、それぞれの内周側端面がすべてS極となり、またそれぞれの外周側端面がすべてN極となるように、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に着磁される。したがって、磁石リング配置69の内周磁極面69aには、共通軸線L−Lの周りに沿ってS極ばかりが間欠的に形成され、またその外周磁極面69bには、共通軸線L−Lの周りに沿ってN極ばかりが間欠的に形成される。なお、隣接する永久磁石片69Aの相互間には、リング状鉄心7、8が介在する。
この実施の形態7でも、囲み磁石構造6B、6CがステージB、Cに配置され、磁場発生手段6を構成するので、実施の形態1と同様に、磁気センサ15により、バイポーラタイプの出力信号を発生することができ、また磁石リング配置69の内周磁極面69aおよび外周磁極面69bには、同じ極性の磁極が間欠的に並ぶので、安定したゼロ点出力を持ったバイポーラタイプの出力信号を得ることができる。
実施の形態8.
図27〜図32は、この発明によるトルクセンサの実施の形態8を示す。図27は実施の形態8のトルクセンサの原点位置における上面図であるが、図1、図4と同様に図面を見やすくするために、一部の部品を省略している。図28は共通軸線L−Lを含む平面による縦断面図であり、実施の形態8のトルクセンサの正のトルク範囲における縦断面図である。図29は図28のA−A線によるステージAの断面図、図30は図28のB−B線によるステージBの断面図、図31は図28のC−C線によるステージCの断面図、図32は図28のD−D線によるステージDの断面図である。
この実施の形態8は、実施の形態1のステージB、Cに配置される囲み磁石構造6Bとして、図30に示すように、複数の永久磁石片72Aから構成された磁石リング配置72を用い、またステージCに配置される囲み磁石構造6Cとして、図31に示すように、複数の永久磁石片73Aから構成された磁石リング配置73を用いる。磁石リング配置72は、ステージBにおいて内周筒3の外周に固定されたリング状鉄心7の外周に配置され、また磁石リング配置73は、ステージCにおいて内周筒3の外周に固定されたリング状鉄心8の外周に配置され、実施の形態1の内周磁極11b、11cが削除される。その他は、実施の形態1と同じに構成される。この実施の形態8では、ステージA、Dに、それぞれ磁場変化手段31、34が配置され、ステージB、Cには、それぞれ囲み磁石構造6B、6Cと、磁場変化手段32、33が配置される。
磁石リング配置72は、図30に示すように、複数個の、例えば9個の永久磁石片72Aによって構成され、この複数の永久磁石片72Aは、共通軸線L−Lを中心とするリング状鉄心7の外周面上に、所定の角度間隔で並べて配置される。この磁石リング配置72は、共通軸線L−Lを中心としてその周りに内周磁極面72aと外周磁極面72bを有する。内周磁極面72aは、複数の永久磁石片72Aの内周側端面を含む磁極面であり、外周磁極面72bはそれらの外周側端面を含む磁極面である。複数の各永久磁石片72Aは、それぞれの内周側端面がすべてS極となり、またそれぞれの外周側端面がすべてN極となるように、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に着磁される。したがって、磁石リング配置72の内周磁極面72aには、共通軸線L−Lの周りに沿ってS極ばかりが間欠的に形成され、またその外周磁極面72bには、共通軸線L−Lの周りに沿ってN極ばかりが間欠的に形成される。なお、隣接する永久磁石片72Aの相互間には、磁性体であるリング状鉄心7の外周の磁性体面7aが露出する。この磁性体面7aは、外周磁極面72bよりも径が小さい。
磁石リング配置73は、図31に示すように、複数個の、例えば9個の永久磁石片73Aによって構成され、この複数の永久磁石片73Aは、共通軸線L−Lを中心とするリング状鉄心8の外周面上に、所定の角度間隔で並べて配置される。この磁石リング配置73は、共通軸線L−Lを中心としてその周りに内周磁極面73aと外周磁極面73bを有する。内周磁極面73aは、複数の永久磁石片73Aの内周側端面を含む磁極面であり、外周磁極面73bはそれらの外周側端面を含む磁極面である。複数の各永久磁石片73Aは、それぞれの内周側端面がすべてS極となり、またそれぞれの外周側端面がすべてN極となるように、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に着磁される。したがって、磁石リング配置73の内周磁極面73aには、共通軸線L−Lの周りに沿ってS極ばかりが間欠的に形成され、またその外周磁極面73bには、共通軸線L−Lの周りに沿ってN極ばかりが間欠的に形成される。なお、隣接する永久磁石片73Aの相互間には、磁性体であるリング状鉄心8の外周の磁性体面8aが露出する。この磁性体面8aは、外周磁極面73bよりも径が小さい。
磁石リング配置72には、具体的には、図30に示すように、互いに40度の角度間隔で、9個の永久磁石片72Aが配置される。磁石リング配置73でも、図31に示すように、互いに40度の角度間隔で、9個の永久磁石片73Aが配置されている。これらの複数の永久磁石片72A、73Aは、実施の形態1における内周磁極11b、11cと同様に、内周磁極11a、11dと同相に、共通軸線L−Lの周りの内周磁極基準位置から、例えば0度、40度、80度、120度、160度、200度、240度、280度、320度の角度位置に形成される。
図29〜図32は、実施の形態8のトルクセンサが、正のトルク範囲にあって、内周磁極11a、11d、および永久磁石片72A、73Aが、角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づいた位置にある状態を示す。この状態では、ステージBとステージDとの間で検出磁束DF1が発生する。内周磁極11a、11d、および突出磁極72A、73Aが、角度位置θ1から遠ざかり、角度位置θ2に近づく負のトルク範囲では、ステージAとステージCとの間で検出磁束DF2が発生する。結果として、この実施の形態8でも、磁気センサ15により、バイポーラタイプの出力信号を得ることができる。
また、この実施の形態8のトルクセンサでも、磁石リング配置72、73は、その外周磁極面72b、73bには、共通軸線L−Lの周りに沿って、N極とS極の両磁極の中の一方の極性の磁極ばかりが間欠的に並び、また内周磁極面72a、73aにも、共通軸線L−Lの周りに沿って、両磁極の中の他方の極性の磁極ばかりが間欠的に並ぶので、安定したゼロ点出力を持ったトルクセンサを得ることができる。
また、この実施の形態8では、複数の永久磁石片72A、73Aと、外周磁極14b、14cとが空隙を介して対向し、複数の永久磁石片72A、73Aが直接この空隙に露出するので、この空隙の径方向の空隙長を実質的に増大する結果になり、正および負のトルク範囲の最外部で、磁気センサ15の出力信号が飽和するのを防止し、出力信号の線形性を向上することができる。
なお、複数個の永久磁石片72A、73Aのそれぞれは、リング状鉄心7、8の外周面に沿って円弧板状に形成することもでき、また平板状の形成することもできる。これらの永久磁石片72A、73Aは、接着などにより、リング状鉄心7、8の外周面に固定される。また各永久磁石片72A、73Aの着磁極性は、上記と逆にして、内周側端面がすべてN極、外周側端面がすべてS極となるように、変更することもできる。
実施の形態9.
図33は、この発明によるトルクセンサの実施の形態9の原点位置における上面図である。この実施の形態9は、実施の形態8のステージB、Cにおいて、磁石リング配置72、73をリング状鉄心7、8の外周面に形成された凹部に嵌め込むように変更したものである。その他は実施の形態8と同じに構成される。この実施の形態9によっても、実施の形態8と同じ効果を得ることができる。
図33は実施の形態9の上面図であるが、図1、図4と同様に、図面を見やすくするために、一部の部品を省略している。この実施の形態9では、ステージB、Cにおいて、リング状鉄心7、8の外周面には、その周面に沿って複数個の、例えば9個の凹部7b、8bが40度の角度間隔で形成され、これらの凹部7b、8bに、磁石リング配置72,73を構成する9個の永久磁石片72A、73Aが嵌め込まれ、固定される。ステージBのリング状鉄心7の外周面の凹部7bには、磁石リング配置72を構成する9個の永久磁石片72Aが嵌め込まれ、同様に、ステージCのリング状鉄心8の外周面の凹部8bには、磁石リング配置73を構成する9個の永久磁石片73Aが嵌め込まれ、固定される。隣接する各永久磁石片72A、73Aの間には、リング状鉄心7、8の外周の磁性体面7a、8aが露出する。これらの磁性体面7a、8aは、各永久磁石片72A、73Aの外周面により構成される外周磁極面72b、73bよりも径が小さい。
実施の形態10.
図34は、この発明によるトルクセンサの実施の形態10を示す。図34は、この実施の形態10の上面図であり、トルクセンサが原点位置にある状態を示すが、図1、図4と同様に図面を見やすくするために一部に部品を省略している。
この実施の形態10は、実施の形態1において、互いに同相である内周磁極11a、11b、11c、11dの各磁極面に、図34に示すように、傾斜面16a、16bを形成している。また、互いに同相である外周磁極14a、14cを、各内周磁極11a、11b、11c、11dの時計方向側端部と対向するように配置し、また互いに同相である外周磁極14b、14dを、各内周磁極11a、11b、11c、11dの反時計方向側端部と対向するように配置し、併せて、外周磁極14b、14dの各磁極面に、傾斜面16dを形成し、外周磁極14a、14cの各磁極面に、傾斜面16cを形成している。その他は実施の形態1と同じであり、ステージB、Cには、リング状の永久磁石62、63により構成される囲み磁石構造6B、6Cが磁場発生手段6として使用される。
内周磁極11a、11b、11c、11dの各磁極面の傾斜面16a、16bは、各磁極面の周方向の中央部で各磁極面を最も高くしており、傾斜面16aは、この中央部から時計方向に向かって各磁極面を低くするように傾斜し、また傾斜面16bは、その中央部から反時計方向に向かって各磁極面を低くするように傾斜している。外周磁極14a、14cの傾斜面16cは、内周磁極11a、11b、11c、11dの各傾斜面16aに空隙を介して対向しており、外周磁極14b、14dの傾斜面16dは、内周磁極11a、11b、11c、11dの各傾斜面16bに空隙を介して対向している。なお、傾斜面16a、16b、16c、16dは、例えば直線状の傾斜面とされるが、曲線状の傾斜面とすることもできる。
トルクセンサに働くトルクが変化して、回転軸1、2が相対的に回転するとき、傾斜面16aと傾斜面16cとの対向面積が変化するとともに、それらの間の空隙長さも変化する。同時に、傾斜面16bと傾斜面16dとの対向面積が変化するとともに、それらの間の空隙長さも変化する。このため、内周磁極11a、11b、11c、11dと外周磁極14a、14cとの間の磁気抵抗の変化、および内周磁極11a、11b、11c、11dと外周磁極14b、14dとの間の磁気抵抗の変化が、実施の形態1に比べて大きくなるので、磁気センサ15のバイポーラタイプの出力信号を、より大きくすることができる。
実施の形態11.
図35は、この発明によるトルクセンサの実施の形態11を示す。図35は、この実施の形態11の上面図であり、トルクセンサが原点位置にある状態を示すが、図1、図4と同様に図面を見やすくするために一部に部品を省略している。
この実施の形態11は、実施の形態1において、内周磁極11a、11b、11c、11dおよび外周磁極14a、14cと外周磁極14b、14dの径方向の長さをともに長くし、内周磁極11a、11b、11c、11dと外周磁極14a、14b、14c、14dとが、周方向に空隙を介して対向するようにしたものである。その他は実施の形態1と同じであり、ステージB、Cには、リング状の永久磁石62、63により構成される囲み磁石構造6B、6Cが磁場発生手段6として使用される。なお、図35では、内周磁極11a、11b、11c、11d、および外周磁極14a、14b、14c、14dのそれぞれの突出磁極の数が5個となっているが、これは図面を見やすくするためであり、実施の形態1と同様に、それぞれの突出磁極の数は9個とされる。なお、これらの突出磁極の数は、5個、9個以外の磁極数、例えば6個、7個、8個、10個、11個などにすることもできる。
実施の形態11では、互いに同相である外周磁極14a、14cを、各内周磁極11a、11b、11c、11dの時計方向側部に配置し、また互いに同相である外周磁極14b、14dを、各内周磁極11a、11b、11c、11dの反時計方向側部に配置している。トルクセンサに働くトルクが変化して、回転軸1、2が相対的に回転するとき、内周磁極11a、11b、11c、11dと外周磁極14a、14cとの間の周方向の空隙と、内周磁極11a、11b、11c、11dと外周磁極14b、14dとの間の周方向の空隙とが、互いに逆方向に変化し、それぞれの空隙における磁気抵抗も互いに逆方向に変化するので、この実施の形態11でも、磁気センサ15からバイポーラタイプの出力信号を得ることができる。
実施の形態12.
図36、図37は、この発明によるトルクセンサの実施の形態12を示す。図36は、この実施の形態12の正面図であり、図37はその側面図である。
この実施の形態12は、実施の形態1において、外周筒12a、12bの突出部12c、12dを削除し、外周筒12a、12bを連結する連結体13を連結体13aに変更し、この連結体13aの外周に一対の磁気集約部材17A、17Bを配置し、これらの磁気集約部材17A、17Bの間に磁気センサ15を配置したものである。その他は、実施の形態1と同じに構成され、ステージB、Cには、リング状の永久磁石62、63により構成される囲み磁石構造6B、6Cが磁場発生手段6として使用される。
連結体13aは、アルミニウムなどの非磁性材を用いて筒状に構成され、外周筒12aと外周筒12bとに跨るように、それらの内周面に接合される。この連結体13aの外周には、外周筒12a、12bの各端面の間に環状溝13bが形成され、この環状溝13bに、磁気集約部材17A、17Bが配置される。図36、図37に示すように、磁気集約部材17A,17Bは、それぞれ台形状に作られ、それぞれ互いに平行に相対向する長辺17aと短辺17bを有する。各磁気集約部材17A、17Bの長辺17aは、それぞれ外周筒12a、12bと、微小な空隙を介して対向している。各磁気集約部材17A、17Bの短辺17bは、互いに対向し、それらの間に磁気センサ15が配置される。磁気集約部材17A、17Bは、外周筒12a、12bの間に検出磁路20を構成し、検出磁束DF1、DF2を、短辺17bに集約し、集約された検出磁束DF1、DF2を効果的に磁気センサ15に与える。
外周筒12a、12bおよび連結体13aは、共通軸線L−Lの周りを回転するが、磁気集約部材17A、17Bおよび磁気センサ15は、絶対空間に対して固定される。この構成によれば、磁気センサ15に対するリード線の、もつれを解消し、外周筒12a、12bおよび連結体13aの回転に伴なう、その断線を回避できる。
実施の形態12において、磁気集約部材17A、17Bは、台形状に限らず、他の形状にすることもできる。また、磁気集約部材17A、17Bと、磁気センサ15とをモールド樹脂などにより、互いに一体化することもできる。なお、各磁気集約部材17A、17Bの短辺17bと、磁気センサ15との間の空隙は小さいほど、集約した検出磁束DFを効果的に磁気センサ15に与えることができ、また各磁気集約部材17A、17Bの長辺17aと、外周筒12a、12bとの空隙も小さい方がよい。
実施の形態13.
図38は、この発明によるトルクセンサの実施の形態13を示す。図38は、この実施の形態13の正面図である。
この実施の形態13は、実施の形態1において、外周筒12a、12bの突出部12c、12dを削除し、外周筒12a、12bを連結する連結体13の外周に一対の磁気集約部材17C、17Dを配置し、これらの磁気集約部材17C、17Dの間に磁気センサ15を配置したものである。その他は、実施の形態1と同じに構成され、ステージB、Cには、リング状の永久磁石62、63により構成される囲み磁石構造6B、6Cが磁場発生手段6として使用される。
磁気集約部材17C,17Dは、それぞれ外周筒12a、12bの外周面に微小な空隙を介して対向しており、それらの磁気集約部材17C、17D間に磁気センサ15が配置される。磁気集約部材17C、17Dは、外周筒12a、12bの間に検出磁路20を構成し、検出磁束DF1、DF2を効果的に磁気センサ15に与える。
この実施の形態13でも、外周筒12a、12bおよび連結体13は、共通軸線L−Lの周りを回転するが、磁気集約部材17C、17Dおよび磁気センサ15は、絶対空間に対して固定される。この構成により、実施の形態12と同様に、磁気センサ15に対するリード線の、もつれを解消し、外周筒12a、12bおよび連結体13aの回転に伴なう、リード線の断線を回避できる。
実施の形態14.
図39は、この発明によるトルクセンサの実施の形態14を、その原点位置で示す上面図である。図40、図41、図42は、同じくこの実施の形態14によるトルクセンサを、その正のトルク範囲で示す図である。図39は、実施の形態14のトルクセンサを軸線方向に見た上面図であるが、その一部の部品は図面を見やすくするために省略されている。図40は、実施の形態14のトルクセンサを、共通軸線L−Lを含む平面で切断した縦断面図である。図41は図40のB−B線断面図、図42は図40のC−C線断面図である。図40のB−B線、C−C線は、いずれも共通軸線L−Lに直交する平面に含まれる。
この実施の形態14は、実施の形態1において、ステージA、Dを削除し、またステージBに配置される囲み磁石構造6Bとして、複数の永久磁石片82Aから構成された磁石リング配置82を用い、またステージCに配置される囲み磁石構造6Cとして、複数の永久磁石片83Aから構成された磁石リング配置83を用いる。磁石リング配置82は、ステージBにおいて内周筒3の外周に固定されたリング状鉄心7の外周に配置され、また磁石リング配置83は、ステージCにおいて内周筒3の外周に固定されたリング状鉄心8の外周に配置され、実施の形態1の内周磁極11b、11cが削除される。磁場変化手段32、33は、それぞれ磁石リング配置82、83と外周磁極14b、14cにより構成される。磁石リング配置82、83はそれぞれ例えば4個の永久磁石82A、83Aと、4個の磁極82B、83Bによって構成され、これに対応して、外周磁極14b、14cもそれぞれ4極の突出磁極を持つように変更される。その他は、実施の形態1と同じに構成される。
磁石リング配置82は、図41に示すように、複数個の、例えば4個の永久磁石片82Aと、4個の磁極82Bとによって構成され、この4個の永久磁石片82Aは、隣接する各永久磁石片82Aのちょうど中間に、磁極82Bのそれぞれが位置するようにして、共通軸線L−Lを中心とするリング状鉄心7の外周面上に、所定の角度間隔で並べて配置される。磁極82Bは、鉄などの磁性体で構成される。この磁石リング配置82は、共通軸線L−Lを中心としてその周りに内周磁極面82aと外周磁極面82bを有する。内周磁極面82aは、複数の永久磁石片82Aと複数の磁極82Bの各内周側端面を含む磁極面であり、外周磁極面82bはそれらの各外周側端面を含む磁極面である。複数の各永久磁石片82Aは、それぞれの内周側端面がすべてS極となり、またそれぞれの外周側端面がすべてN極となるように、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に着磁される。したがって、磁石リング配置82の内周磁極面82aには、共通軸線L−Lの周りに沿ってS極ばかりが間欠的に形成され、またその外周磁極面82bには、共通軸線L−Lの周りに沿ってN極ばかりが間欠的に形成される。なお、隣接する永久磁石片82Aと磁極82Bの相互間には、磁性体であるリング状鉄心7の外周の磁性体面7aが露出する。
磁石リング配置83も、磁石リング配置82と同様に構成される。この磁石リング配置83も、図42に示すように、複数個の例えば4個の永久磁石片83Aと4個の磁極83Bによって構成され、この4個の永久磁石片83Aは、隣接する永久磁石片83Aのちょうど中間に、磁極83Bのそれぞれが位置するようにして、共通軸線L−Lを中心とするリング状鉄心8の外周面上に、所定の角度間隔で並べて配置される。磁極83Bは鉄などの磁性体で構成される。この磁石リング配置83は、共通軸線L−Lを中心としてその周りに内周磁極面83aと外周磁極面83bを有する。内周磁極面83aは、複数の永久磁石片83Aと複数の磁極83Bの各内周側端面を含む磁極面であり、外周磁極面83bはそれらの各外周側端面を含む磁極面である。複数の各永久磁石片83Aは、それぞれの内周側端面がすべてS極となり、またそれぞれの外周側端面がすべてN極となるように、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に着磁される。したがって、磁石リング配置83の内周磁極面83aには、共通軸線L−Lの周りに沿ってS極ばかりが間欠的に形成され、またその外周磁極面83bには、共通軸線L−Lの周りに沿ってN極ばかりが間欠的に形成される。なお、隣接する永久磁石片83Aと磁極83Bの相互間には、磁性体であるリング状鉄心8の外周の磁性体面8aが露出する。
磁石リング配置82、83は、共通軸線L−Lの方向に、各永久磁石片82A、83Aが同相の関係で、互いに重なるように配置される。各磁極82B、83Bも、共通軸線L−Lの方向に、互いに重なるように配置される。具体的には、磁石リング配置82では、図41に示すように、互いに90度の角度間隔で、4個の永久磁石片82Aが配置され、隣接する各永久磁石片82Aのちょうど中間に、それぞれ磁極82Bが配置される。磁石リング配置83も同様であり、図42に示すように、互いに90度の角度間隔で、4個の永久磁石片83Aが配置され、隣接する永久磁石片83Aのちょうど中間に、それぞれ磁極83Bが配置される。磁石リング配置82の4個の永久磁石片82Aと、磁石リング配置83の4個の永久磁石片83Aとは、互いに同相であり、共通軸線L−Lの周りの内周磁極基準位置から、例えば0度、90度、180度、270度の角度位置に配置され、磁石リング配置82、83には、前記内周磁極基準位置から例えば45度、135度、225度、315度の角度位置に、それぞれ磁極82B、83Bが配置される。これらの角度間隔は90度であるが、各永久磁石片82A、83Aの数を変え、角度間隔を90度以外、例えば45度、60度などにすることも可能である。
外周磁極14b、14cは、実施の形態1と同様に、互いに逆相の関係で配置されるが、それぞれが4極の突出磁極を持つように変更される結果、具体的には、外周磁極14bは、共通軸線L−Lの周りの外周磁極基準位置から、0度、90度、180度、270度の角度位置に突出磁極が形成され、また外周磁極14cは、共通軸線L−Lの周りの外周磁極基準位置から、45度、135度、225度、315度の角度位置に突出磁極が形成される。
この実施の形態14において、磁石リング配置82の各永久磁石片82Aからの磁束は、検出磁束DF1として、外周磁極14b、外周筒12a、検出磁路20、磁気センサ15、外周筒12b、外周磁極14c、磁極83B、リング状鉄心8、内周筒3、リング状鉄心7を経て磁石リング配置82に帰る磁路を流れる。同様に、磁石リング配置83の各永久磁石片83Aからの磁束は、検出磁束DF2として、外周磁極14c、外周筒12b、検出磁路20、磁気センサ15、外周筒12a、外周磁極14b、磁極82B、リング状鉄心7、内周筒3、リング状鉄心8を経て磁石リング配置83に帰る磁路を流れる。
トルクセンサが図39に示す原点位置にある状態では、図39に示すように、磁石リング配置82、83の各永久磁石片82A、83Aは外周磁極14bと14cとのちょうど中間に位置し、また磁石リング配置82、83の各磁極82B、83Bも、外周磁極14bと14cのちょうど中間に位置する。このため、磁石リング配置82、83の各永久磁石片82A、83Aによる検出磁束DF1、DF2は、互いに大きさがほぼ等しくなり、互いに方向が逆であるので、検出磁路20において、互いに打ち消し合う結果、磁気センサ15に与えられる磁束はゼロとなる。
トルクセンサが正のトルク範囲になれば、ステージBでは、磁石リング配置82の各永久磁石片82Aが、図41に示すように、角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づく結果、磁石リング配置82の各永久磁石片82Aが、各外周磁極14bに近づき、各磁極82Bが外周磁極14bから遠ざかる。一方、ステージCでは、磁石リング配置83の各永久磁石片83Aが、図42に示すように、角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づく結果、磁石リング配置83の各永久磁石83Aが、各外周磁極14cから遠ざかり、各磁極83Bが外周磁極14cに近づく。この結果、磁石リング配置82の各永久磁石片82Aから磁気センサ15を検出磁束DF1が増加し、磁石リング配置83の各永久磁石片83Aから磁気センサ15に流れる検出磁束DF2が減少し、磁気センサ15には、正極性の出力信号が得られ、この正極性の出力信号の大きさは、原点位置からの回転量に応じて増大する。
実施の形態14のトルクセンサが負のトルク範囲になれば、ステージBでは、磁石リング配置82の各永久磁石片82Aが角度位置θ2に近づき、外周磁極14bから遠ざかり、磁極82Bが外周磁極14bに近づく。またステージCでは、磁石リング配置83の各永久磁石片83Aが角度位置θ2に近づいて、外周磁極14cに近づき、磁極83Bが外周磁極14cから遠ざかる。この結果、磁石リング配置82の各永久磁石片82Aから磁気センサ15に流れる検出磁束DF1が減少し、磁石リング配置83の各永久磁石片83Aから磁気センサ15に流れる検出磁束DF2が増加し、磁気センサ15には、負極性の出力信号が得られ、この負極性の出力信号の大きさは、原点位置からの回転量に応じて増大する。
このように、実施の形態14によれば、2つのステージB、Cを使用し、実施の形態1と同様なバイポーラタイプの出力信号を磁気センサ15から得ることができる。
実施の形態15.
図43〜図53は、この発明によるトルクセンサの実施の形態15を示す。図43、図44、図45、図46、図47は、この実施の形態15によるトルクセンサを、その原点位置で示す図である。図48、図49、図50は、この実施の形態1によるトルクセンサを、その正のトルク範囲で示す図である。図51、図52、図53は、実施の形態15を、その負のトルク範囲で示す。図43は、実施の形態15のトルクセンサを軸線方向に見た上面図であるが、その一部の部品は図面を見やすくするために省略されている。図44、図48、図51は、実施の形態15のトルクセンサを、共通軸線L−Lを含む平面で切断した縦断面図である。図45は図44のB−B線断面図、図46は図44のC−C線断面図、図47は図44のE−E線断面図である。図49は図48のB−B線断面図、図50は図48のC−C線断面図である。図52は図51のB−B線断面図、図53は図51のC−C線断面図である。B−B線、C−C線、E−E線は、いずれも共通軸線L−Lに直交する平面に含まれる。
この実施の形態15は、実施の形態1において、外周回転体12を1つの外周筒cにより構成し、ステージA、Dを削除し、新たにステージEを設け、このステージEに検出磁路20と磁気センサ15を設けたものであり、その他は実施の形態1と同じに構成される。
この実施の形態15では、外周回転体12が1つの外周筒12cにより構成される。この外周筒12cは、共通軸線L−Lの周りに配置された円筒であり、その中心軸が共通軸線L−Lと一致するように配置される。この外周筒12cは、鉄材などの磁性材料で作られ、内周筒3の外周に配置される。
実施の形態15では、実施の形態1のステージA、Dが削除され、実施の形態1と同じステージB、Cと、これに加えて新しいステージEが設けられる。ステージBには、実施の形態1と同じに、磁場発生手段6を構成する囲み磁石構造6B、および内周磁極11bと外周磁極14bを含む磁場変化手段32が配置される。ステージCには、実施の形態1と同じに、磁場発生手段6を構成する囲み磁石構造6C、および内周磁極11cと外周磁極14cを含む磁場変化手段33が配置される。囲み磁石構造6B、6Cは、それぞれ図45、図46に示すように、実施の形態1と同じに、共通軸線L−Lを中心とする半径方向に着磁されたリング状の永久磁石62、63によりそれぞれ構成されるが、これらのリング状の永久磁石62、63の着磁方向は、互いに逆とされる。なお、外周磁極14b、14cは、外周筒12cの内周面に配置される。
ステージEは、外周筒12cの上端部に対応して形成される。このステージEには、図47に示す外周のリング状ヨーク18aと内周のリング状ヨーク18bとが配置され、これらのリング状ヨーク18a、18bの間に検出磁路20と磁気センサ15が配置される。外周のリング状ヨーク18aは、図44に示すように、外周筒12cの上端面に微小な空隙を介して対向している。内周のリング状ヨーク18bは、内周筒3の外周面に微小な空隙を介して対向している。なお、内周筒3、外周筒12cは回転可能に構成されるが、リング状ヨーク18a、18b、および磁気センサ15は、絶対空間に固定される。
囲み磁石構造6Bを構成するリング状の永久磁石62は、実施の形態1と同じに、その内周磁極面62aにS極ばかりが、またその外周磁極面62bにN極ばかりが並ぶように着磁される。しかし、囲み磁石構造6Cを構成するリング状の永久磁石63は、リング状の永久磁石62と逆方向に着磁され、その内周磁極面63aにはN極ばかりが、またその外周磁極面63bにはS極ばかりが、それぞれ連続して形成される。
この実施の形態15のトルクセンサでは、ステージB、Cの間で、図44に示すように、リング状の永久磁石62の外周磁極面62bから、内周磁極11b、外周磁極14b、外周筒12c、外周磁極14c、内周磁極11c、リング状の永久磁石63、内周筒3を通り、リング状の永久磁石62に帰る磁束Φが流れる。また、磁気センサ15を含む検出磁路20には、リング状の永久磁石62による検出磁束DF1と、リング状の永久磁石63による検出磁束DF2が流れる。
検出磁束DF1は、リング状の永久磁石62の外周磁極面62bから、内周磁極11b、外周磁極14b、外周筒12c、リング状ヨーク18a、検出磁路20、磁気センサ15、リング状ヨーク18b、内周筒3を通り、内周磁極面62aに帰る磁路に流れる。また、検出磁束DF2は、リング状の永久磁石63の内周磁極面63aから、内周筒3、リング状ヨーク18b、検出磁路20、磁気センサ15、リング状ヨーク18a、外周筒12c、外周磁極14c、内周磁極11cを通り、リング状の永久磁石63の外周磁極面63bに帰る磁路に流れる。この検出磁束DF1、DF2は、検出磁路20において、互いに逆方向に流れる。
トルクセンサが原点位置にある状態では、図43に示すように、各内周磁極11b、11cが、外周磁極14bが位置する角度位置θ1と、外周磁極14cが位置する角度位置θ2とのちょうど中間に位置する。この原点位置では、ステージBにおける内周磁極11bと外周磁極14bとの間の磁気抵抗と、ステージCにおける内周磁極11cと、外周磁極14cとの間の磁気抵抗が等しいので、検出磁束DF1、DF2の大きさが互いにほぼ等しくなり、これらの検出磁束DF1、DF2の和である検出磁束DFはゼロとなる。この原点位置では、結果として、磁気センサ15に流れる検出磁束DFはゼロとなり、図44に示すように、ステージB、C間に磁束Φだけが流れる。
トルクセンサが正のトルク範囲にある状態では、ステージBでは、図49に示すように、内周磁極11bが角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づき、内周磁極11bが外周磁極14bに近づいて、それらの間の磁気抵抗が減少し、一方、ステージCでは、図50に示すように、内周磁極11cが角度位置θ2から遠ざかり、角度位置θ1に近づき、内周磁極11cが外周磁極14cから遠ざかり、それらの間の磁気抵抗が増加する。この結果、図48に示す検出磁路20を通る検出磁束DF1が増加し、磁気センサ15から正極性の出力信号が得られる。
トルクセンサが負のトルク範囲にある状態では、ステージCでは、図52に示すように、内周磁極11bが角度位置θ1から遠ざかり、角度位置θ2に近づき、内周磁極11bが外周磁極14bから遠ざかり、それらの間の磁気抵抗が増大し、一方、ステージCでは、図53に示すように、内周磁極11cが角度位置θ1から遠ざかり、角度位置θ2に近づき、内周磁極11cが外周磁極14cに近づいて、それらの間の磁気抵抗が減少する。この結果、図51に示すように、検出磁路20を通る検出磁束DF2が増加し、磁気センサ15から負極性の出力信号が得られる。
このように、実施の形態15によれば、磁場変化手段32、33を配置した2つのステージB、Cを使用し、実施の形態1と同様なバイポーラタイプの出力信号を磁気センサ15から得ることができる。
実施の形態15においても、リング状ヨーク18a、18bと、磁気センサ15とをモールド樹脂などにより、互いに一体化することもできる。ステージEにおいて、内周筒3にリング状鉄心を設け、このリング状鉄心の外周面に、リング状ヨーク18bを微小な空隙を介して対向させることもできる。また、実施の形態15において、囲み磁石構造6B、6Cは、実施の形態3〜8の構造に変更することもできる。いずれの場合にも、囲み磁石構造6B、6Cでは、着磁方向が逆とされる。