JP4771570B2 - 受動トランスポンダにおけるカプセル化されたアンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1つの周波数でRFエネルギーを伝送する無線送信機の支援およびトランスポンダにより別の周波数で再伝送されるRFエネルギーを受け取る無線受信機の支援を得て、一般に人間および物体の位置特定に用いられる受動トランスポンダに関する。
【0002】
【従来の技術】
米国特許4,331,957は、電子雪崩に巻き込まれたスキーヤの救出に用いられる受動トランスポンダについて記述する。本トランスポンダはスキーブーツに接着される。本トランスポンダは、2つの主表面を備えた金属箔および主要表面間に接続されたダイオードの形におけるアンテナを含む。それに接続された指向性アンテナを備えた移動無線送信機は、915MHzのベース周波数で無線周波エネルギーを放射する。無線送信機と組合わせられた移動無線受信機はベース周波数の2倍の1830MHzに同調され、指向性アンテナへ接続される。送信機からの信号は、可聴範囲内の可聴周波数で変調される。伝送された信号がトランスポンダに届くと、ダイオードがベース周波数の倍音を生成する。第1高調波(ベース周波数の2倍)は高いエネルギーを持ち、無線受信機によって検出される。救出隊員はこれを音として聞き、指向性アンテナの支援を得て方位を求めることによって、雪崩による犠牲者の位置を決定することができる。この探索方法の大きい利点は、雪崩の範囲を短時間で調査することである。
【0003】
米国特許4,656,478は、上記トランスポンダに類似のトランスポンダを開示する。このトランスポンダは誘電体支持物と、アンテナと、1つの被覆層とを含む。アンテナはカットアウト部分を有し、その部分の縁は自己誘導ループを形成するように受動構成要素によって閉じられた導電性をもつ線を画定する。
自己誘導ループは、受動構成要のキャパシタンスと共に、トランスポンダがそのエネルギーを受け取る周波数で共振する回路を提供する。トランスポンダによってベース周波数f0 で受信されたエネルギーを、周波数f0 の高調波でトランスポンダによって再伝送するために利用可能なエネルギーへアンテナにより変換すれば、変換が行われる電圧は受動構成要素の自己誘導と内部キャパシタンスの結合によって上昇するので、一層良好な変換率により変換が達成される。この場合の電圧増加は共振回路のQ(クオリティファクタ)に対応する。
【0004】
米国特許4,890,111は、前記後者の米国特許において言及されたトランスポンダと類似のトランスポンダを開示する。このトランスポンダのアンテナ素子は、カットアウト部分を囲む平面ループ内に配列構成された金属リボンによって形成される。この配列構成の結果として、諸元が等しければ、アンテナ素子とトランスポンダを装着した個人の人体とによって形成される漂遊容量が従来の技術によるトランスポンダの場合よりもはるかに小さくなる。この配列構成は前記漂遊コンデンサが共振周波数に及ぼす影響を低下させるはずである。アンテナ素子に設けられたT形スロットは、この種トランスポンダの利得が一定であり、トランスポンダ個体による利得のばらつきが、T形スロット無しアンテナの場合よりもはるかに小さいという生産上の利点を提供する。
【0005】
米国特許5,223,851は、集積回路に接続されたコイルを備えた磁気アンテナを有する小型トランスポンダに関する。集積回路は、アンテナによって受信された信号に応答して、再伝送のためにアンテナに戻される識別信号を生成する。熱収縮性材料によるチューブがトランスポンダを囲み、機械的衝撃からトランスポンダを保護する。この解決方法は、次に示す2つの理由により、上記2つの場合と基本的に異なる。すなわち、この方法が、高調波(2倍)周波数方式とは対照的に、単一周波数方式に基づくこと、および、マイクロ波周波数とは対照的に低い周波を利用することである。
【0006】
人体は、受け取ったRFエネルギーを反射する水面として作用する。トランスポンダによりベース周波数の2倍の周波数で伝送されるRF波と人体によりベース周波数の2倍の周波数で反射されるRF波は、反射された2つのRF波が相互に助長的に増幅するように、相互に実質的に同位相であることが望ましい。この方法では、ベース周波数の2倍の周波数で受け取ったRF波のRFパワーが最大であるはずである。これを達成するためには、トランスポンダが人体から或る所与距離に配置されなければならない。所与のベース周波数を用いる場合には、この距離は長い。トランスポンダと人体の間に空気空間を持つことが実際に不適当である程度に長い。米国特許3,331,957によれば、トランスポンダはプラスチック製スキーブーツの外側に接着される。これは、技術的には、トランスポンダと脚の間にプラスチック製誘電体が配置されることを意味し、それによって、前記所与の距離が実用可能な距離まで短縮されることを意味する。
【0007】
当出願者は、トランスポンダがプラスチック製スキーブーツ内に取付けられた場合に問題が起きることを発見した。ベース周波数の2倍の周波数でトランスポンダから放射されたRFパワーは減少する。当出願者は、ベース周波数の2倍の周波数でトランスポンダから放射されたRFパワーが最大信号強度を用いて検出されることを可能にするためにトランスポンダがスキーブーツの外側に接着された場合に比較して、探索装置が一層低い周波数に同調されなければならないということを発見した。最大信号強度を用いた探知は、トランスポンダがアンテナから大きい距離に所在する場合に重要である。この場合には、受信機における信号強度は小さい。すなわち、トランスポンダの探知が完全に無視される程、信号強度が小さくなることがあってはならない。
【0008】
ブーツに接着されたトランスポンダの探知用にも、ブーツ内に組み込まれたトランスポンダの探知用にも、それぞれ同じ探索装置が使用可能であることが望ましい。実際には、探索装置を同調し直すことは不可能である。
【0009】
既に述べた最初から2つの米国特許のトランスポンダに関する欠点は、これらのトランスポンダがアンテナの環境に敏感なことである。特に、これらのインピーダンスは、それぞれ、アンテナの周囲条件によって影響される。アンテナインピーダンスを変えると、トランスポンダによりベース周波数の第1高調波で再伝送されるRFパワーが降下する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の一目的は、ベース周波数で受け取るRFエネルギーおよびベース周波数の第1高調波で再伝送されるRFエネルギーの最適歩留まりを達成するトランスポンダを提供することにある。
【0011】
したがって、本発明の他の一目的体は、そのインピーダンスが概してアンテナの周囲条件から独立しているトランスポンダを提供することにある。
【0012】
本発明は、既に述べた組み込み式トランスポンダの不便を回避する目的を持つ。これは、請求項1に記載の特徴の支援を得て達成される。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によって達成される利点は、アンテナの近距離場が実質的に全然、または、殆どアンテナの周囲条件によって影響されないことである。以下に、本発明につき、請求項に従って逐一記載することとする。
[請求項1]記載の発明は、受動トランスポンダであって、金属製本体の主表面の一部として形成されたアンテナ要素(1,2)を有するアンテナ、及び、前記トランスポンダが、第1周波数fのRFパワーによってヒットされると、2倍の周波数2fでRFにパワーを再伝送する、アンテナ要素(1,2)間に接続されたダイオード(3)、及び、アンテナを囲む誘電体(10)は、アンテナとダイオード間のエネルギー移送のために、アンテナ要素(1,2)並びにダイオード(3)と統合するか又は接続している伝送線(8)によって、前記伝送線が、ダイオードのインピーダンスをアンテナのインピーダンスに整合させるインピーダンスで設計されるように特徴付けられており、及び、伝送線をトランスポンダの周囲条件から実質的に独立させるために伝送線を囲む誘電体(10)、によって構成されている受動トランスポンダにおいて、
前記誘電体はアンテナの近距離上に及ぼす周囲条件の影響を減少させるような特徴及び諸元を有することを特徴とする受動トランスポンダ、
及び、[請求項2]記載の発明は、厚さ、長さ、幅のような金属製本体のジオメトリの選定、誘電率および誘電体の厚さの選定、または、これらの行為の組合わせによって整合が実施されることによって特徴付けられる請求項1に記載の受動トランスポンダ、
及び、[請求項3]記載の発明は、前記誘電体が統合されていることを特徴とする請求項1に記載の受動トランスポンダ、
及び、[請求項4]記載の発明は、前記トランスポンダの電気特性を最適化するために、前記アンテナのインピーダンスのリアクタンス部分が前記ダイオードのインピーダンスおよび前記整合ユニットのインピーダンスに実質的に整合されていることを特徴とする請求項3に記載の受動トランスポンダ、
及び、[請求項5]記載の発明は、前記整合が、前記アンテナの諸元の選定、誘電体の誘電率および厚さの選定、インピーダンスおよび損失のような前記ダイオードの電気特性の選定、またはこれらの行為の組合わせによって実施されることを特徴とする請求項4に記載の受動トランスポンダ、
及び、[請求項6]記載の発明は、機能に影響を及ぼすインピーダンスを有し、主表面内に配列構成された所定の長さ(5)と幅(6)のスロットによって特徴付けられ、前記金属製本体が一緒に矩形を形成する2つの金属箔製主表面を有する請求項3に記載の受動トランスポンダ、
及び、[請求項7]記載の発明は、整合ユニットを用いたダイオードインピーダンスのアンテナインピーダンスへの整合が、前記スロットの長さおよび幅の選定、前記スロットに対するダイオード(3)配置の選定、誘電体(10)の誘電率および厚さの選定、箔層(4)の厚さの選定、または、前記行為の組合わせによって実施されることを特徴とする請求項6に記載の受動トランスポンダ、
及び、[請求項8]記載の発明は、前記アンテナおよび前記ダイオードが裏当て基材(9)上に配置され、前記アンテナ、ダイオード、及び、裏当て基材が前記統合誘電体(10)であることを特徴とする請求項3に記載の受動トランスポンダ、
及び、[請求項9]記載の発明は、前記統合誘電体(10)が前記金属箔の一面上に配列されたプラスチック製第2層を有することを特徴とする請求項3に記載の受動トランスポンダ、
及び、[請求項10]記載の発明は、前記受動トランスポンダが統合誘電体における空洞内に取付けられることを特徴とする請求項3に記載の受動トランスポンダを提供するものである。
【0014】
本発明によって達成される他の利点は、トランスポンダを囲む誘電体がRFエネルギーを伝送線に集中させ、それによって、トランスポンダの特性に周囲条件が及ぼす影響を低下させることである。
【0015】
この文書において、誘電体という表現は、その誘電率が1より大きい物質を意味する。伝送線ジオメトリおよび伝送線に直接接触する周囲物質の誘電特性を変えることにより、周波数fおよび2fに関する電気パラメータの間の最適関係を求めることができる。この方法により、トランスポンダそれぞれの所与の配置、たとえばスキーブーツ、ジャケット、救命胴着等の中または上に適合するトランスポンダを製造することが可能である。
【0016】
上述米国特許のうちのどの特許も、受動構成要素のインピーダンスをアンテナのインピーダンスに整合させる整合網について開示していない。特に、米国特許のうちのどの特許も、インピーダンス整合伝送線について開示していない。
【0017】
更に、上述米国特許のうちのどの特許も、伝送線によって移送されるエネルギーを伝送線自体に集中させ、それによって、伝送線をトランスポンダの周囲条件から概して独立させるために伝送線を囲む誘電体物質について開示していない。
【0018】
最後に、既に検討した米国特許のうちのどの特許も、アンテナの周囲条件がアンテナの近距離場に及ぼす影響を減少させるためにアンテナを囲む誘電体物質について開示していない。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、アンテナ素子1と2、およびダイオード3を有するトランスポンダを示す。アンテナ素子1と2は、この実施形態の場合には金属箔4製のアンテナを形成する。金属フォイルは、水平区分5と垂直区分6を備えたT形スロットを有する。ダイオードは、スロットの垂直区分6上に位置する。T形スロットは、金属箔を補足表面7によって相互に結合された2つの主要表面に分割する。アンテナ素子1はい一方の主要表面の一部分であり、アンテナ素子2はもう一方の主要表面の一部分である。それぞれの主要部分の別の部分は補足表面と共に、トランスポンダの本実施形態においては短絡状態にある伝送線8を形成する。
【0020】
伝送線は単方向網掛け斜線で示し、アンテナ素子は双方向網掛け斜線で示す。アンテナ素子と伝送線の間の遷移領域は図に示すように明確ではない。ダイオード3はアンテナ素子の間にはんだ付けされる。アンテナ素子は、エッチングされるか、スタンプされるか、または他の適当な方法で金属箔から製造される。金属フォイル4は、基礎9上に置いても差し支えないが、必ずしも置く必要はない。
【0021】
図2は、本発明によるトランスポンダの第2実施形態を示す。本実施形態は、補足表面7が、直流に対しては切断されているが信号に対しては短絡されている伝送線9の一部を形成する2つの補足表面7Aと7Bに分割されていること以外は図1に示す実施形態と同様である。
【0022】
発明によれば、図1と図2におけるそれぞれのトランスポンダは、誘電体10に囲まれている。これを達成するために、それぞれ図3と4に示すように、トランスポンダはそれぞれ第1と第2の方法で取り付けられる図3において、トランスポンダは、誘電体内に鋳込まれた状態で示される。この場合、誘電体は、鎖線11で示されるように、2つの層で構成されても、そうでなくても差し支えない。図4において、トランスポンダは、誘電体10内の空洞の内側に取付けられる。この場合の取付けは、たとえば接着剤、または基礎9上の粘着性層、または他の何等か適当な方法にによって行われる。
【0023】
トランスポンダ全体を誘電体層で囲む理由については、次に詳細に説明される。
【0024】
図5は、本発明によるトランスポンダ1に関する電気等価図を示す。これは、受信アンテナ13と、受信アンテナとダイオード3の間に接続された第1整合網14と、ダイオード3と送信アンテナ16の間に接続された第2整合網15とから成る。受信アンテナは、ベース周波fのRFパワーを受け取り、このパワーは第1整合網14を介してダイオード3に供給される。ダイオードは、受信したRFパワーから多数のベース周波数高調波を生成する非線形エレメントである。これらの高調波の中の、ここで関心のある2倍ベース周波2fの高調波は、第2整合網を介してこの送信アンテナ16へ出力される。受信アンテナ13によりベース周波数で受信される出来る限り多量のRFパワーがダイオード3に供給されなければならず、そのために、受信アンテナ13のインピーダンスとダイオードのインピーダンスを整合させる第1整合網14がある。
【0025】
本発明の技術的背景を説明するために、図5は、トランスポンダ1が2つの個別アンテナ13と16、および2つの個別整合網14と15を有することを示す。実際には、これら2つのアンテナは1つの単一アンテナを形成する。同様に、実際には、2つの整合網は1つの単一整合網である。
【0026】
ダイオードによって2倍ベース周波数2fで生成される出来る限り多量のRFパワーが送信アンテナ16に供給され、かつこれによって送信されなければならず、そのために、送信アンテナのインピーダンスは、第2整合網15の支援を得てダイオードのインピーダンスと整合される。これら2つのRFパワー部分、すなわちfで受信されるRFパワーの部分および2fで送信される部分が、同時に、できる限り大きい場合に、当該トランスポンダが最適化されていると称し、これこそ、本発明が達成しようと意図する事柄である。たとえば、本発明による送信機が10mW/m2 でヒットされた場合には、受信アンテナ13は、このパワーの部分、たとえば0.01mWを吸収する。したがって、この0.01mWが、損失を含む全ての高調波パワーの和を形成する。これらの0.01mWのこの部分が、できる限り大きくしようとする周波数2fの部分である。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、伝送線がインピーダンス整合網として用いられる。伝送線を用いることにより、トランスポンダの設計に幾つかの段階の自由度が獲得され、もしそうでなければトランスポンダの電気特性に否定的な影響を及ぼすはずの周囲状況を建設的に使用できる。全体的に、伝送線の特性は、伝送線の形、長さ、幅、厚さ、周囲の電気的パラメータのような伝送線のジオメトリによって決定される。単純な周囲状況としての電気的パラメータは、伝送線/アンテナの特性には否定的に影響する。
【0028】
本発明によれば、電場線を伝送線に集中する誘電体によって伝送線は囲まれる。ある領域内において界線が相互に一層密接に所在すればするほど、一層多量のRFエネルギーが当該領域内の伝送線によって移送される。全てのRFエネルギーの移送は、本質的に、整合網のこの種の設計における誘電体内で行われる。伝送線が誘電体10によって完全に囲まれている場合には、当該誘電体の外側の周囲状況は、RFエネルギー移送に、ほとんど完全に影響しないか、または、ごくわずかに影響するに過ぎない。
【0029】
当業者は、たとえば伝送線の導体間距離および伝送線を囲む物質の誘電率のような周囲状況以外の要因が伝送線のインピーダンスに影響するものと理解している。同様に、誘電体と伝送線の間の距離は伝送線のインピーダンスに影響する。誘電体10の厚さ、幅、長さ、誘電率を適切に選定し、誘電体10を用いて伝送線を囲むことにより、前記RFパワー部分が最適化され、伝送線のインピーダンスに対する周囲の影響力が低下する。ダイオードを変更する場合には、そのインピーダンスがダイオードのインピーダンスおよびアンテナのインピーダンスに対応するように伝送線の特性を変更しなければならない。
【0030】
図6は、本発明によるトランスポンダの好ましい実施形態に関する等価電気接続図を示す。アンテナ素子1、2を有するダイポールアンテナは、従来の方法では2つの導体で形成されるものとして示される伝送線8によって供給される。ダイオード3はアンテナ素子を相互に接続する。短絡片18は伝送線の導体を相互に接続する。伝送線8の特性インピーダンスはZoであり、ダイオードのインピーダンスはZLである。この接続図は、図1による実施形態に対応する。伝送線はガンマ整合システムと対比できる。2つの導体に沿った短絡片の位置を変えることによって、インピーダンス整合を変更可能である。図6におけるアンテナ素子1、2の双方向網掛け斜線で示される表面は、図1に双方向網掛け斜線で示されるアンテナ素子に対応し、図6における伝送線8は、図1において単方向網掛け斜線で示される箔表面によって対応される。たとえば水平スロット5(図1)の幅と長さを変え、伝送回を誘電体で囲むことによって、伝送線の電気的長さ、ひいてはダイオードアンテナシステムのインピーダンス整合さえも影響される。
【0031】
図1および2において、スロット5はT形であるものとして図示される。T形は製造技術の観点から適切である。さらに、Tは対称的であり、T形アンテナ上のRFエネルギー分布が対称的であることを意味する。スロットの形状は本発明にとって重要でない。トランスポンダの一代替実施形態において、スロットは、C、O、M、V、W、L形、または他の何等かの形である。当出願者は、スロットの長さがスロットの幅よりも伝送線インピーダンスに一層大きく影響することを発見した。図7はM形スロットを備えたトランスポンダを示す。図6について考察することとする。直流に対して遮断するように短絡片18を変更した場合には、アンテナ素子1および2は、直流に対しては遮断されるが信号に対しては短絡される伝送線8によって供給されるはずである。この種の実施形態は、その他の点では図1のトランスポンダと同じに動作する図2によるトランスポンダに対応する。図6におけるアンテナ素子1,2は、図2において双方向綱掛け斜線で表される箔表面によって示される。図2において単方向綱掛け斜線で表されるもう一方の箔表面は遮断された伝送線に対応する。
【0032】
本発明は、整合ユニットとしてのトランスポンダの機能からトランスポンダの機能をアンテナとして分離することを可能にする。アンテナとしてのトランスポンダの機能および整合ユニットとしてのその機能は、周囲状況により、異なる方法において、この仕方で影響される。上述したように、誘電体で囲まれた伝送線のインピーダンス整合機能は周囲条件によって影響されない。ただし、前記米国特許4,331,957においては、アンテナのインピーダンスが周囲条件によって影響される。トランスポンダがプラスチック製スキーブーツに取付けられている場合に発生する問題について前述説明において言及した周波数変化はトランスポンダのインピーダンス特性に及ぼす周囲条件の影響のみに依存することが当出願者によって発見されている。これは、当出願者が最初に仮定した相互に同位相でないベース周波数の2倍高調波の反射および直接RF波に依存しない。当出願者は、無数の実験および異なる理論的モデルの設計の後で、前記上述の周波数シフトの理由を説明する本発明を開発した。
【0033】
図1および2による一実施形態において、アンテナ素子および伝送線は、有利な方法であると同時にアンテナおよび整合機能が分離した状態に保たれるように一緒に結合される。
【0034】
これは、たとえばベース周波数fに対する波長の半分未満の大きさにアンテナを物理的に小さくすることを可能にし、ここにアンテナのインピーダンスの実効部分が減少され、そのリアクタンス成分が増大される。
【0035】
伝送線をインピーダンス整合手段として配列構成することにより、アンテナのインピーダンスはダイオードインピーダンスと整合可能であり、アンテナのリアクタンス成分は除去可能である。
【0036】
本発明の場合には、異なる外部周囲条件および異なる寸法に関して、トランスポンダに対する周囲条件の影響を減少させると同時に、トランスポンダを次元決定することが可能である。整合機能からアンテナ機能の前記分離により、アンテナでなくて伝送線を調節することにより前記RFパワー最適化が達成できる。
【0037】
誘電体が伝送線の周りに配列構成されると同時に、RFパワー整合が影響される。トランスポンダが人体の近くに担持される状況においては、入来RFパワーに対して人体がトランスポンダを演じる。特に、トランスポンダにより2倍高調波2fで生成および伝送されたRFパワーは反射される。反射されたこの2倍高調波のRFパワーは、適当な厚さの誘電体10を選定することにより、トランスポンダから2倍高調波2fで直接放射されたRFパワーと実質的に同位相にされる。これは、トランスポンダの電界強度を増大させ、前記米国特許4,331,957から知られている。この種の電界強度が増加すると、本発明による方法と結合して、(i)伝送線とのパワー整合に影響すること、および(ii)伝送線におけるエネルギー移送に周囲条件が及ぼす影響を軽減することにより、トランスポンダに優れた電気特性を与える。
【0038】
伝送線8は、ダイオードによって整流されたRF電流のためのDC復帰線として、必要ではないが、作用させることができることに言及しておかねばならない。
【0039】
上記の実施形態において、ダイオードのインピーダンスをアンテナのインピーダンスに整合させる整合網はアンテナと物理的に統合された伝送線である。個別の伝送線、すなわちアンテナに統合されてはいないがアンテナへ電気的に接続されていない伝送線を使用することも本発明の範囲内にある。したがって、たとえばアンテナ素子間で伸延する1つの同軸ケーブルを使うことも可能である。同軸ケーブルの一方の端部において、その内部導体はアンテナ素子の1つに接続され、その編組はアンテナ素子のもう一方に接続され、同軸ケーブルの反対端部において、内部導体および編組は適当な方法で成端される。1つの同軸ケーブルの代りに、たとえば離散型部品の組合わせのような整合網として、他の電気的に等価な集中部品を使用することができる。
【0040】
前述の説明において、伝送線の周りの電界について考察した。誘電体が伝送線だけを囲むがアンテナは囲まない場合には、アンテナの近電界とアンテナの周囲との間の結合が起きるはずである。したがって、一般に、アンテナの場合には、アンテナの近電界は波長に関係する。周波数917MHzおよび1834MHzの場合には、近電界の寸法は約6乃至3cmである。前記結合は、アンテナのインピーダンスが変わるように作用する。たとえば、アンテナが電導物体に近接している場合には、電導物体までの距離に依存してインピーダンス変化が起きると言うことができる。ダイオードおよび整合網に対するアンテナの整合を妨げるので、この種のインピーダンス変化は望ましくない。アンテナインピーダンスが変動すると、上述した場合と同様の問題を引き起こすすなわち、トランスポンダによって再伝送された信号を検出することを可能にするためには、探知装置は他の周波数に同調されなければならない。既に指摘されたように、この種の再同調を実施することは、実際には可能ではない。
【0041】
本発明は周囲条件がアンテナの近電界に及ぼす影響が軽減されるように設計された誘電体を用いてアンテナを囲むことにより、この問題を克服する。それによって、アンテナの近電界におけるRFエネルギー損失は低く保持され、アンテナの効率程度は良好である。図8は、アンテナが誘電体で囲まれている場合には、界線が誘電体内に集中することを示し、これは、蓄えられたRFエネルギーの大部分が誘電体内に存在することを意味する。誘電体の外側では、界線は更に離れ、アンテナの近電界内の電導物体の間のエネルギー交換が非常に小さいことを意味する。したがって、周囲条件は、アンテナの近電界に大きい影響は一切及ぼさない。アンテナの遠電界におけるエネルギ移送は誘電体によって影響されない。界線は、図の最上面において描写されていないにも拘わらず、図8における対称軸B−Bのまわりに対称であることが指摘されるべきである。
【0042】
この誘電体が更に、アンテナのインピーダンスのリアクタンス部分、およびダイオードと整合網のインピーダンスのリアクタンス部分が相互に打ち消すように設計される場合には、2倍の送信機周波数2fで放射されるエネルギーが最大であるはずである。従って、トランスポンダは共振するはずである。周囲条件が近距離場に及ぼす影響を減少させることにより、アンテナのインピーダンスは実質的に一定であるはずである。従って、トランスポンダの効率は良好であるはずである。トランスポンダに関する共振周波数はダイオードにちょうど同調されるのでなく、ダイオードおよび誘電体に同調される。アンテナの周りに誘電体が用いられると、トランスポンダの共振周波数は低下する。そうすると、既存の探知装置は新規共振周波数に共振させねばならず、本記述のはじめに述べた理由から、トランスポンダの共振周波数低下は、この場合には望ましくない。従って、共振周波数はダイオードおよび誘電体に同調される。この場合には、トランスポンダにより2倍のベース周波数2fで再伝送されるRFエネルギーが最大であるはずである。
【0043】
ダイオードおよび整合網のインピーダンスのリアクタンス部分のアンテナのリアクタンス部分への整合は、アンテナの諸元を変更するか、または、誘電体の厚さを変更するか、または、これらの作用の組合わせによって発生する。従って、誘電体の厚さが決定している場合には、アンテナを変更しなければならない。逆に、アンテナの次元が決定している場合には、誘電体の厚さを変更しなければならない。誘電体の厚さが或る限度を超過して増大した場合には、厚さを更に増加しても、近距離場をアンテナの物理的周囲条件から一層独立させることを意味しない。このセクションにおける整合に関する記述は、固定した誘電率を持つ誘電体に関しては真である。同様に、他の誘電率をもつ誘電体物質の選択によって、整合を実施することもできる。
【0044】
ダイオードおよび整合網のインピーダンスへのアンテナ共振周波数の整合は、アンテナに関する諸元を変えること、または、整合網のインピーダンスを変えること、または、これらの作用を組み合わせることによって実施される。アンテナ寸法が決定している場合には、整合網のインピーダンスが変更される。整合網が決定している場合には、アンテナの次元が変更される。ダイオードを別の電気特性を持つ新規ダイオードと交換することにより、アンテナのインピーダンスのリアクタンス部分をダイオードおよび整合網のインピーダンスのリアクタンス部分に適応させることも可能である。
【0045】
アンテナを囲む誘電体を有するアンテナを、図1および2に示す方法で整形した誘電体で囲むことも可能である。この種のアンテナは、図4に示す方法によって誘電物質製ケーシング内に取付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態によるトランスポンダの平面図である。
【図2】 本発明の第2実施形態によるトランスポンダの平面図である。
【図3】 図1および2によるトランスポンダ取付け第1方法の側面図である。
【図4】 図1および2によるトランスポンダ取付け第2方法の側面図である。
【図5】 本発明によるトランスポンダの電気等価図である。
【図6】 図1によるトランスポンダに関する簡素化接続図である。
【図7】M形スロットを有するトランスポンダを示す図である。
【図8】 対称線A−AおよびB−Bを有する部分側面図であり、側面図はアンテナの周りのRFエネルギー場の近距離場を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1,2 アンテナ素子
3 ダイオード
4 金属箔
5 水平区分、
6 垂直区分
7 補足表面
8 伝送線
9 基礎
10 誘電体
13 受信アンテナ
14 第1整合網
15 第2整合網
16 送信アンテナ
Claims (10)
- 受動トランスポンダであって、
金属製本体の主表面の一部として形成されたアンテナ要素(1,2)を有するアンテナ、及び
前記トランスポンダが、第1周波数fのRFパワーによってヒットされると、2倍の周波数2fでRFにパワーを再伝送する、アンテナ要素(1,2)間に接続されたダイオード(3)、及び
アンテナを囲む誘電体(10)は、アンテナとダイオード間のエネルギー移送のために、アンテナ要素(1,2)並びにダイオード(3)と統合するか又は接続している伝送線(8)によって、前記伝送線が、ダイオードのインピーダンスをアンテナのインピーダンスに整合させるインピーダンスで設計されるように特徴付けられており、及び
伝送線をトランスポンダの周囲条件から実質的に独立させるために伝送線を囲む誘電体(10)、
によって構成されている受動トランスポンダにおいて、
前記誘電体はアンテナの近距離上に及ぼす周囲条件の影響を減少させるような特徴及び諸元を有することを特徴とする受動トランスポンダ。 - 厚さ、長さ、幅のような金属製本体のジオメトリの選定、誘電率および誘電体の厚さの選定、または、これらの行為の組合わせによって整合が実施されることによって特徴付けられる請求項1に記載の受動トランスポンダ。
- 前記誘電体が統合されていることを特徴とする請求項1に記載の受動トランスポンダ。
- 前記トランスポンダの電気特性を最適化するために、前記アンテナのインピーダンスのリアクタンス部分が前記ダイオードのインピーダンスおよび前記整合ユニットのインピーダンスに実質的に整合されていることを特徴とする請求項3に記載の受動トランスポンダ。
- 前記整合が、前記アンテナの諸元の選定、誘電体の誘電率および厚さの選定、インピーダンスおよび損失のような前記ダイオードの電気特性の選定、またはこれらの行為の組合わせによって実施されることを特徴とする請求項4に記載の受動トランスポンダ。
- 機能に影響を及ぼすインピーダンスを有し、主表面内に配列構成された所定の長さ(5)と幅(6)のスロットによって特徴付けられ、前記金属製本体が一緒に矩形を形成する2つの金属箔製主表面を有する請求項3に記載の受動トランスポンダ。
- 整合ユニットを用いたダイオードインピーダンスのアンテナインピーダンスへの整合が、前記スロットの長さおよび幅の選定、前記スロットに対するダイオード(3)配置の選定、誘電体(10)の誘電率および厚さの選定、箔層(4)の厚さの選定、または、前記行為の組合わせによって実施されることを特徴とする請求項6に記載の受動トランスポンダ。
- 前記アンテナおよび前記ダイオードが裏当て基材(9)上に配置され、前記アンテナ、ダイオード、及び、裏当て基材が前記統合誘電体(10)であることを特徴とする請求項3に記載の受動トランスポンダ。
- 前記統合誘電体(10)が前記金属箔の一面上に配列されたプラスチック製第2層を有することを特徴とする請求項3に記載の受動トランスポンダ。
- 前記受動トランスポンダが統合誘電体動における空洞内に取付けられることを特徴とする請求項3に記載の受動トランスポンダ。
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