JP4771322B2 - 摩擦材の摩擦面の加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、主に摩擦係合装置などに用いられる摩擦板に固着される摩擦材及び動力伝達材、繊維製品、及び摩擦材表面の加工方法に関する。より詳細には、繊維の少なくとも一部が、長手方向の少なくとも一部に、露出したほぼ平坦な平坦面を、または表面の少なくとも一部に微小凹凸面を有する繊維製品、摩擦材、動力伝達材、及び前記摩擦材表面の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の自動変速機などに用いられるロックアップクラッチには、動力の断続をするため、通例、複数の摩擦板からなる摩擦係合装置が用いられている。
【0003】
現在、エネルギー問題及び環境問題の見地から、摩擦係合装置には小型軽量であること、トルク容量の高いこと、これと同時に乗り心地の面から作動ショックが小さいこと及びジャダー等の自励振動がないことが要求されている。
また自動車エンジンの高回転、高出力化に伴う高エネルギー化に対しても同時に対応しなければならず、その要求は極めて高くなってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の摩擦係合装置にあっては、燃費低減、作動ショックの低減のため、走行中におけるクラッチの連続滑り状態を拡大し、クラッチ効率を変化させたり、クラッチ係合時にエンジンを制御し、入力トルク/クラッチ容量の比を下げるなど、高度な制御が数多く採用されつつある。摩擦材は、天然パルプ繊維、有機合成繊維等の繊維基材と、けいそう土、カシュー樹脂等の充填剤や摩擦調整剤及び熱硬化性樹脂等のバインダーを含んでおり、バインダーの一例である熱硬化性樹脂は、フエノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等が該当する。
【0005】
従来技術の一例の湿式摩擦係合装置のクラッチ材には、抄造タイプの湿式摩擦材が知られており、その摩擦材は、天然パルプ繊維、有機合成繊維等を繊維基材とし、これに充填剤と摩擦調整剤を配合し抄造し生ペーパを造り、その生ペーパに希釈した熱硬化性樹脂溶液を含浸し、乾燥工程において希釈溶剤を揮発させた後、その熱硬化性樹脂を加熱硬化させることにより、摩擦材を製造している。
【0006】
次に、バインダーの含浸から乾燥工程を更に説明する。まず、バインダーは生ペーパに含浸する際、有機溶剤により目的とする所定濃度に希釈し使用する。生ペーパ内部に希釈したバインダーを十分含浸させた後、乾燥工程において有機溶剤を揮発させる。しかしながら、バインダーは化学的に安定した繊維に被覆しにくい問題や、表面張力により摩擦材表層に余剰バインダー被膜及びバインダー濃度の高い層が形成され、摩擦材の厚さ方向のバインダー分布において、表面(表層)・裏面(裏層)に濃度の高いバインダー層が形成されることが避けられなかった。その後、硬化工程にてバインダーを熱硬化させることにより、摩擦材表面のバインダー被膜、バインダーの濃度が高い層が固定する。
【0007】
ここで、「裏面」及び「裏層」と呼んでいるのは、摩擦面ではなく鋼板に接着する側として定義している。また、「表面」及び「表層」とは、摩擦材の摩擦面からほぼ中央までと定義される。これを模式的に示したのが、摩擦材の断面を示す図13である。コアプレート60に固着された、摩擦材は、その上部が表層61で下部が裏層62となっている。表層61と裏層62はほぼ同じ厚さである。
【0008】
図9(a)は、表面部分の横成を概念的に示した従来の摩擦材の断面図、図9(b)は、その表面状態を拡大して模式的に示した形状線Rの図である。図9(a)において、Aはバインダー(樹脂)部分、Bは繊維部分、Cは充填剤を夫々示し、図9(b)から明らかなように、表面形状線Rは平滑部分がない。
【0009】
このようにバインダーの物性(表面張力)により表層に形成される余剰バインダー被膜及びバインダー濃度の高い層の影響は、下記に示す要因となっていることが判明している。
【0010】
初期状態において表層の繊維基材にコーティングされた濃度の高いバインダー被膜には、硬く、柔軟性に欠け且つ平滑性に欠ける微小突起が数多く形成するため、ミクロ的に見た場合、受動板(相手摺動面)との接触はバインダーの突起部分のみによって摺動面を形成する。このため接触部分(面積)が小さく、またバインダーと受動板の摩擦係数が低いことから初期の摩擦係数が低くなる。その後、摺動を重ねていくことにより、バインダーは磨耗し、柔軟且つ摩擦係数の高い繊維基材が摺動面に現れ出る。そして、接触面積が大きく且つ数多く変化することから摩擦係数が上昇し、初期設定容量との差が生じる。
【0011】
上述したような現象を有する従来の摩擦材を製品とした場合の問題は、
(1)新品時の低い摩擦係数でクラッチの容量設計をした場合、摩擦係数の時系列的な変化によってなじみが生じた後、クラッチが高トルク容量化され、作動ショックの原因となってしまう。車両では、クラッチの係合制御に学習機能を追加する場合も多い。逆になじみ後の摩擦係数でクラッチの容量設計をしてしまうと、新品時の低摩擦係数が過酷な走行環境下において滑り時間を延長させ、設定時間以上の摩擦熱による温度上昇が、表層における高濃度バインダーのプラスチック化(摩擦材表面の熱硬化性樹脂が摩擦熱によって再硬化もしくは炭素化し摩擦面が鏡面化する現象)を促進し、フェード現象の発生がクラッチ容量の極端な低下に結びつき、係合特性や耐熱耐久性の悪化となる恐れがある。
(2)受動板(相手摺動面)との接触はバインダーの突起部分のみによって摺動面を形成するため、局部的な発熱が潤滑油の極圧添加剤を分解析出し、摩擦材表面及び相手摺動面に付着することにより、摩擦材表面の凹凸部を目詰まりさせ、本来の性能が発揮されず、同様な摩擦係数の低下を引き起こす場合もある。
【0012】
これらクラッチ板の容量低下に対して、作動押圧力を高くする対策として、高容量化もしくは高排出油圧ポンプの採用も考えられるが、高油圧化の弊害は、シール部の作動油漏れや装置に関する耐久性に関する問題、さらには、摩擦材に高面圧がかかることによる材料の繰り返し圧縮疲労による耐久寿命の低下が発生する。この問題に対応するため、摩擦材のバインダー含浸量(濃度)を増加させ摩擦材強度を高めることにより、耐久寿命は満足するものの、逆に柔軟性が不足することによって摩擦特性(作動ショック・ジャダー性能)の悪化、初期なじみの悪化、そのほか表面の繊維間の構成がバインダーによって強固となることによる相手摺動面への攻撃性といつた新たな問題が発生する。
【0013】
これら多くの問題点は、全て新品時における前述した摩擦材の表層に形成されたバインダー被膜及びバインダーの多い(濃度が高い)層が、起因するものであり。これらの問題を解決するため、従来の技術では
▲1▼一定時間摺動させて摩擦材表層の余剰バインダー被膜を減少させたり、新品の摩擦材表面を切削加工(特開平5−99297号公報)し、余剰バインダー被膜を強制的に除去する手法が開発されているが、前者では一台一台ある設定条件で摩擦係合装置を作動せねばならなく、大掛かりな装置や加工時間が必要になる。
【0014】
また後者では、引張強度の高い有機合成繊維が摩擦材内部に一様に分布しているため、切削加工では有機合成繊維を無理やり引きちぎることになり、摩擦材表面が荒れたり、内部の繊維が抜けることによる強度低下の恐れがある。
▲2▼熱板による平滑加工(特開平6−173983号公報、特開平7−224175号公報及び特開平9−158966号公報)を行って、強制的に平滑化させる方法や摩擦材表面を炭化させる工法も採用されているが、相手板との接触点が平滑になり、初期の接触面積は大きくなるものの、余剰バインダー被膜の硬い層は接触面に厚く形成されており、接触点の柔軟性はなく、初期なじみの抜本的な対策とはならないものがある。また、弾性もあり耐熱性の高い合成繊維は、天然パルプ繊維やバインダーと比較すると、強制的な炭化後にも摩擦材表面に毛羽立ち繊維として残り、摩擦特性の悪化となる。そして、毛羽立ちを嫌うためにさらなる高温長時間処理を行うと摩擦材表面の合成繊維は炭化するものの。摩擦材内部まで熱が浸透し、摩擦材内部のバインダー及び天然パルプ繊維を炭化させ、強度を低下させることとなってしまう。このように耐久性、信頼性、製品性能の向上を目指す工法も、必ずしも良い点ばかりではない。
【0015】
また、上記摩擦材構成材料の内、合成繊維は強度、ヤング率等が大きく伸度、クリープが小さく、かつ耐疲労性に優れている等の物理的特性を有しており、産業資材用途に汎用されている。これらの繊維はマトリックスの補強繊維に使用されることが多いが、元来表面が不活性なため、化学的にも比較的安定であり、繊維同士や他材料との親和性が不十分であるため、各材料を被覆することによってバインダーの効果を発揮させる熟硬化性樹脂の密着性に難点があり、その優れた特性が充分に発揮されないことがある。
【0016】
そのため、種々の薬品を用いた化学処理法、例えばエポキシ化合物、イソシアネート化合物等の反応性の強い化学薬品で処理する方法も実用化されている。しかし、環境に影響を及ぽす可能性がある物質を排除する企業努力の点から考えると、化学薬品の使用は極力避けたい。一方、スパッタリング、低温プラズマ、電子線、紫外線などの物理処理法は一長一短があり、照射雰囲気を真空状態にする必要があるため装置自体が大掛かりになるなど実用化の面で解決すべき問題点が多く、照射の面積が極めて小さいため、その効率を上げるためにハード面で特別の工夫を要する等、いずれも工業的にはコストの面で厳しい点を持ち、それ単独では実用化手段にはなりえない。
【0017】
従って、表面特性を改良するためにはこれまでの種々の薬品を用いた化学的な改質法、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などの反応性の強い物質で処理する方法とスパッタ、プラズマ、電子線などの物理的手段を併用する方法が実用化されている。しかしながら、それでも十分な性能を発揮するには至っておらず、強度を高めるためには摩擦材のバインダー含浸量(濃度)を増加させる必要があった。
【0018】
そこで、本発明の目的は、バインダーの含浸量(濃度)を増加させずに繊維同士の接着強度を増加させると共に、摩擦材の剥離寿命の向上や切削加工時の繊維の抜けを防止でき、強度低下及び摩擦特性の悪化のない摩擦材用の繊維、摩擦材及び動力伝達部材を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明の繊維製品は、
織布または不織布用の繊維からなる繊維製品であって、前記繊維の少なくとも一部は、長手方向の少なくとも一部に、露出したほぼ平坦な平坦面を、または表面の少なくとも一部に微小凹凸面を有することを特徴としている。
【0020】
また、本発明の摩擦材は、天然パルプ繊維、無機及び有機合成繊維等の繊維からなる繊維基材と、けいそう土、カシュー樹脂等の充填剤や摩擦調整剤及び熱硬化性樹脂等のバインダーを含む摩擦材であって、前記繊維の少なくとも一部が、長手方向の少なくとも一部に、露出したほぼ平坦な平坦面を、または表面の少なくとも一部に微小凹凸面を有することを特徴としている。
【0021】
更に、本発明の動力伝達部材は、繊維によって補強されたゴムまたは樹脂からなる動力伝達材であって、前記繊維の少なくとも一部が、長手方向の少なくとも一部に、露出したほぼ平坦な平坦面を、または表面の少なくとも一部に微小凹凸面を有することを特徴としている。
【0022】
更に、本発明の加工方法は、天然パルプ繊維、無機及び有機合成繊維等の繊維からなる繊維基材と、けいそう土、カシュー樹脂等の充填剤や摩擦調整剤及び熱硬化性樹脂等のバインダーを含む摩擦材の摩擦面を加工する方法であって、前記摩擦面の前記繊維基材に紫外光レーザーを照射し、長手方向の少なくとも一部に露出したほぼ平坦な平坦面を、または表面の少なくとも一部に微小凹凸面を形成することを特徴としている。
【0023】
【発明の実施態様】
摩擦材の剥離寿命向上のためにバインダーの含浸量(濃度)を増加させ摩擦材の強度を向上させる手法では、前述したような問題が発生してしまうため、本発明では、
▲1▼バインダーの含浸量(濃度)を増加させずに繊維に平坦面もしくは繊維表面に微小凹凸面を形成させ、繊維同士の点接触結合から線対面接触の結合状態とし、摩擦材の引張り及びせん断強度を向上させることにより、新品の摩擦材表面を切削加工し、余剰バインダー被膜を強制的に除去する際の有機合成繊維が内部より抜けることによる強度低下を防止する。また紫外光レーザーを繊維に照射する工法では、繊維表面の改質にとどまることなく、繊維表面に微小凹凸面もしくは、平面状に加工(アブレーション)することにより、繊維基材同士やバインダーとの親和性を向上させ結合状態をより強固にすることで、摩擦材の引張り及びせん断強度をさらに向上させるものである。
【0024】
▲2▼繊維基材の平坦な部分を摩擦面に多く形成させることにより、相手板との接触点が平滑になり、初期の接触面積は大きくなる。この状態では余剰バインダー被膜の硬い層が接触面に厚く形成されていることは変わらないが、従来のように繊維やバインダーに強制的な炭化加工などの後加工を実施することにより、合成繊維の平滑な接触点を形成する高温長時間処理を不要とし、毛羽立ち繊維による摩擦特性の悪化や摩擦材内部まで熱が浸透することによる摩擦材の強度低下、機械的な平面加工における繊維の引抜による強度低下はない。また、繊維表面に微小凹凸面を形成させることは、摩擦面における柔軟な繊維の接触率を更に向上するものである。
【0025】
▲3▼従来、熱板や切削加工のように強度低下が免れない平面加工に対し、紫外光レーザーを摩擦面表面に照射することは、熱や機械的な影響を与えない平面加工もしくは繊維表面に微小凹凸面の加工を可能とする。
【0026】
▲4▼紫外光レーザーの各物質固有のアブレーション効率を利用して、異なる波長の紫外光レーザーを摩擦面表面に照射することにより、摩擦材構成材料を選択的にアブレーション加工することが可能であり、初期なじみの一つの解決法として、表層の摩擦係数の低い材料の割合を少なくさせることが可能である。
【0027】
ここで、本明細書中で使用する紫外光レーザーの照射について考察する。照射の特徴は、繊維全体もしくは、結合平坦部に紫外光レーザーを照射するか、平坦部をレーザーにより作り出すことであり、照射を受けた繊維基材は条件にもよるが微細な凹凸形状を有する表面に変化し、表面が改質される。
【0028】
従ってこの様な繊維基材の表面形状変化(表面積の増加)、活性化等特性変化の効果などによりバインダー及び他材質に対する親和性が向上し、強度が向上する。
【0029】
本発明でいう紫外線レーザー光とは、150〜380nmの波長を有するものであり、XeF、XeCl、KrF、ArFなどのエキシマレーザーの他、紫外から真空紫外域の光子エネルギーを持つ、高調波発振されるレーザー、YAGレーザー、色素レーザー、Krイオンレーザー、Arイオンレーザー、鋼蒸気レーザー等の基本発振波長光を非線形光学素子などにより紫外光領域のレーザーに変換したものを用いることもできるが、特に望ましいのは193nmの波長を有するArFレーザー、248nmの波長を有するKrFレーザー、308nmの波長を有するXeClレーザーである。レーザー光の照射方法には特に限定はない。照射は空気中、不活性ガス中、加圧下、または真空中の何れで実施しても良い。照射にさいしての温度は常温から100℃の範囲が望ましく、直接照射する方法、レーザーを透過させるガラスを介して照射する方法、レンズにより光を集光させてあるいは拡大して照射する方法、マスク(遮光板の一部をくりぬいたもの)を介して照射する方法など任意の方法によって行うことができる。
【0030】
照射条件として重要なのは、照射フルエンスである。照射フルエンスは対象材料によっても異なるが、一般には10〜2000mJ/cm2で用いられる。また、くり返し回数は、0.5〜100回/秒が一般的である。低フルエンスで照射することにより、繊維表面への微細凹凸構造の形成をせず、繊維表面を極めてスムーズにする従来例(特開平7−82658号公報)もあるが、本実施例は、積極的に表面をアブレーション加工することを目的としているため、中〜高フルエンスで1ケ所当りの照射回数を1〜400回と少なくする。繊維径約5μmのアライド繊維の場合、100mJ/cm2〜600mJ/cm2にて、照射回数1〜200回の範囲が望ましい。しかしながら、繊維が叩解され途中細くなっている場合や、アブレーション効率の高い材料では、照射回数や加工時間等の生産性を考慮した選定が必要であり、特に限定されるものではない。
【0031】
このように、レーザーの照射で摩擦構成材料に形成される微細構造は、フルエンス単位時間当りの照射回数に依存するが、その構造は微小凹凸形態から平面形態等、様々な構造形態をとることが可能である。しかも、このようにして改質された部分は、材料固有の物理特性を維持しており、レーザー照射によるダメージを受けていない。この性能は他のレーザー加工、例えばC02ガスレーザーにおいては得られない。このレーザーは熱エネルギーによる加工となるため、摩擦材表面に照射した場合、急激な温度上昇によって表面から内部まで炭化してしまい。表層のみの改質ではなく、摩擦材内部までクラックが入ってしまう。そのため、摩擦材としての機能を維持できない。ただし、溝加工といった、深層部まで形状を必要とする加工には適しており、用途に応じた使い分けが必要である。
【0032】
また、本明細書において、用語「繊維」とは、図1に示すように、1本の繊維を意味し、「繊維基材」とは、例えば、天然パルプ繊維、無機及び有機合成繊維等の繊維からなる複数種の繊維の材料としての総称を意味し、「繊維製品」とは、複数の繊維によって形成された繊維の集合体または組成体を意味し、織布または不織布などとして用いられるものである。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。尚、図面において同一部分は同一符号にて示してある。
【0034】
好ましい配合例
以下、本発明の摩擦材を製造するのに好ましい配合例及び製法の一例を説明する。
天然パルプ・有機合成繊維は:20〜60重量%
フエノール樹騰(全体) :10〜60重量%
摩擦調整剤・充填剤 :5〜50重量%
特に、摩擦材の構成を、天然パルプ・有機合成繊維40重量%、フエノール樹脂25%、摩擦調整剤・充填剤35重量%の合計100重量%として製造した実施例の摩擦材Llで表わし、従来の方法で製造したものをL2で表わす。Llは、紫外光レーザーを摩擦面に照射することにより、摩擦面側の表層部分に形成するバインダーの濃度を、表層部分を除く部分より低くしたものであり、樹脂高密度層が除去されている。
【0035】
製造方法は上記配合原料を不図示の混合機で均一に混合した後、抄造装置(不図示)により抄造し、乾燥させ、厚さ0.5mmの複合繊維紙を得た。次いでこの紙に、フエノール樹脂を含浸させた後、フエノール樹脂を硬化させて摩擦材を製造した。上記摩擦材を環状に打ち抜き、鋼板に接着しテストピースを作製した。
【0036】
以上のように作成した本実施例の摩擦材Llと従来の摩擦材L2を、それぞれ図3及び図4に示すように駆動板(摩擦板)2の両面に接合し、慣性吸収試験機に設けて間欠的に摩擦係合させた上で性能比較試験を行った。この試験に於いて、摩擦係合する時間および休止時間等のモード値は実車に搭載して行う実車テストとほぼ同様の条件を採用した。
【0037】
ここで、本発明の実施例にかかる例えば合成繊維などの繊維の結合状態について説明する。図1は、本発明の実施例における繊維の加工状態と結合状態を説明する図である。図1(a)は、中空の繊維11の長手方向の表面に平坦面10を設けたものである。平坦面10は、長手方向に長軸を有するほぼ楕円形の環状面となっている。中央には孔10aが開いている。
【0038】
繊維の形状
図1(b)では、断面がほぼ円形で中実な繊維13の長手方向の表面にほぼ平らな平坦面12を設けたものである。この場合、平坦面12は繊維13の全長にわたって設けられている。図1(c)では、中実な繊維15の長手方向の表面に平坦面14を設けたものである。平坦面14は繊維15の全長にわたって設けられている。しかしながら、図1(c)では、平坦面14は繊維15の周面にわたってほぼ等分に3箇所設けられている。従って、半径方向の断面でみると、繊維15は三角形の形状をなしている。繊維としては断面が楕円形のものでも良いことは言うまでもない。
【0039】
図1(d)は、2本の繊維13の係合(接触)状態を示している。それぞれの平坦面12で互いに接触している。従って、かなり大きな接触面積を確保できる。また、繊維同士が直接結合する上に、樹脂のコーティング強度も加わり高強度や、疲労に対し有利となる。
【0040】
これに対して、図27は、従来の合成繊維の結合状態を説明する図である。図27(a)に示すように、断面が円形の繊維101が、交差している。この状態を矢印方向から見たのが図27(b)である。図27(b)から明らかなように、従来の繊維は表面が不活性であるため、繊維間にスキマがあり、繊維間及び繊維自身を樹脂がコーティングしている。しかしながら、樹脂は基本的に繊維より硬く脆いため、荷重が加わった場合、繊維間の樹脂自身に微小クラックやへたりが生じやすい。すなわち、繊維同士が単に点接触または線接触しているだけであり、直接結合していないためである。
【0041】
図2は、図1のように作った繊維を用いた摩擦材をコアプレートに固着した摩擦板が適用できる湿式摩擦多板係合装置(前進・後進切替機構)の軸方向断面図である。湿式摩擦係合装置50は、インプットシャフト6に嵌装されたハブ5のスプライン部51に嵌合する駆動板(摩擦板)2と、リテーナ4のスプライン部41に嵌合する受動板(セパレータプレート)1との接触によりトルクが伝達される。それぞれ複数の駆動板2と摩擦板1の軸方向の端部には、プレッシャープレート3が設けられ、他端には押圧ピストン7が設けられている。押圧ピストン7は、油圧またはスプリングにより軸方向で移動自在であり、プレッシャープレート3との間で駆動板2と受動板1と摩擦係合させる。
【0042】
図3は、受動板1と駆動板2との組み合わせを示す斜視図である。図3において、受動板1はほぼ円形の鋼板部11、半径方向外方へ突出したスプライン突起18からなり、駆動板2はほぼ円形の鋼板部(コアプレート)21、半径方向内方に突出する複数のスプライン突起20及び鋼板部21の軸方向両側に接着した湿式摩擦材23とからなっている。図3から明らかなように、駆動板2と受動板1とは軸方向で交互に配置され重ねあわされる。
【0043】
図4は駆動板30の正面図である。図3に示した駆動板2はスプライン突起23の数が異なる。あって、鋼板22の上に接着した摩擦材25に油溜を兼ねた溝24が内径側から外径側へと貫通するように複数設けられている。図5は、図4の駆動板30と共に用いられる受動板31の正面図である。受動板32は、ほぼ環状の鋼板26からなり、半径方向外方へ突出する複数のスプライン突起32を一体的に有する。
【0044】
熱板による平滑化
図12は、Ll及びL2に350〜550℃の平滑熱板を押しつけた状態の表面部分の構成を概略図的に示した説明図である。第12(a)は、その表面形状を拡大して示した断面であり、図12(b)は、形状線Rを示した図である。表面形状線Rは表面に平滑部分Fが現れており、平滑部は樹脂高密度層が除去されている。
【0045】
表層の樹脂含有率
図10は、従来例の摩擦材L2の表層の樹脂含浸率を示し、極表層をSで表わし、縦方向の下に向けて層の深さを示し、横方向において右方向に向けて樹脂含浸率が高くなることを示している。この例では、樹脂の高密度層は100μmであり、表層に近づくほど樹脂の含浸率が高いことを示している。
【0046】
図11は、図10と同じ摩擦材の樹脂含浸率をグラフで示したもので、縦軸は樹脂含浸率を%で表わし(上方に向けて高くなる)、横軸に摩擦材の厚さ方向の分布を示す(左側が表層、右側が鋼板に接着される裏層の側をそれぞれ示している)。表層で樹脂含有率が高くなっていることが分かる。
【0047】
これに対して、本発明の実施例では鋼板のコアプレートに接着される層に比べて表層のほうが樹脂(バインダー)含有率が低くなるように設定してある。図13は、本実施例の摩擦材の層構造を示す断面図である。コアプレート60に固着された摩擦材は、その上部が表層61で下部が裏層62となっている。表層61と裏層62はほぼ同じ厚さである。表層61の樹脂含有率は、裏層62の樹脂含有率より低くなっている。尚、図において表層61と裏層62との間に境界線があるが、実際の摩擦材ではこのような明確な境界線によって表と裏層とが分けられていることはない。単に説明の便宜上図示したものである。
【0048】
繊維(基材)の加工方法
次に、図14乃至図18を参照して、繊維の加工方法について説明する。図14は従来の繊維構造及び加工後の形態を示す概略図である。図14(a)に示すように、断面がほぼ円形の繊維70は、樹脂で被覆されている。この状態の繊維70に対して図12で説明した、熱板による押圧により繊維70に平坦部71(図14(b)参照)を形成している。
【0049】
一方、図15から図18は、本発明の実施例による紫外光レーザー加工による平坦化及び微細化を示している。尚、紫外光レーザーの照射条件などは前述の通りである。図15(a)及び15(b)は、本実施例にかかる摩擦材L3の摩擦面側の表層部分に形成する繊維の平均径(繊維径分布の中央値)が、表層部分を除く部分より小さくなるように形成した概略図であり、繊維径が小さいため繊維単位面積あたりの表面積が従来例より大きく、同一樹脂量であっても繊維1本あたりの樹脂コーティング量が従来例より少なくて済む。このため、図20(b)に示すように、摩擦面の表面形状線Rを小さくすることができる。即ち、後述の図21(b)に示すように、少ない加工時間で、従来例以上の平坦面を出すことができ、真実接触面積を従来例より大きくすることができるため、摩擦係数が高く、なじみの変化が小さい。
【0050】
これに対して、図12で示した従来の摩擦材の場合は、図20(a)に示すように摩擦面の表面形状線Rが本発明の実施例より大きい。また、図21(a)のように、真実接触面積が本発明の実施例より小さい。従って、摩擦係数が低く、なじみの変化が大きくなってしまう。
【0051】
図16は、摩擦面側に合成樹脂等の加工が難しい繊維74の平坦面75を多くした概略図である。繊維を平坦化するための高温長時間処理が低温短時間で可能となり、耐久性向上が実現できる。
【0052】
図17は、紫外光レーザーの選択的な加工方法を示す一例であり、天然パルプ繊維より摩擦係数の低い材料(この事例では、合成繊維とバインダー)の割合を表層において少なくする。すなわち、繊維76に対しては、紫外光レーザーにより摩擦面側に微小凹凸形状を形成させ、繊維77には、紫外光レーザーにより摩擦面側にほぼ平坦な平坦面78を形成させる。
【0053】
図18は、摩擦面側の表層部分に形成するバインダーの濃度を、表層部分を除く部分より抵くする実施例を示す概略図である。摩擦表面80には、繊維が露出しており、バインダーである樹脂は極表層において存在しない。すなわち、表層においてはバインダーの濃度が、表層部分を除く部分より低くなる。また、この繊維に紫外光レーザーによる微小凹凸形状を形成させることにより、潤滑油中で用いられる湿式摩擦材においては、油膜の形成が促進され摩擦特性の向上が得られる。
尚、本実施例において、紫外光レーザーは照射フルエンスを、適宜制御し、所望の平坦面や微小凹凸面を形成できる。
【0054】
図23は、摩擦係合時(100サイクル)のショックの指標となる回転数変化に伴う摩擦係数の変化を示すグラフである。本実施例の摩擦材Llのみ正勾配(グラフ中のA)を示し作動ショックに対しより有利であることを示している。従来例のL1は、回転数が極小さいときには摩擦係数が実施例の場合より大きいが、約600r.p.m.以上の回転数になると負の勾配を持つようになる。すなわち実用域では現実的でないことが分かる。
【0055】
図24は、繰り返し圧縮疲労寿命による剥離寿命を示している。本発明の実施例の摩擦材Llは、表層の樹脂含浸量が少ないにもかかわらず、材料間の結合力が向上したため、従来例(B)と同等の剥離寿命(A)を示している。
図21は、後加工前のL2と後加工後L3の真実接触面積を示す図であり、尚、図21において黒い部分が真実接触面を表している。本発明の実施例の摩擦材は面圧1MPaの同一条件において、真実接触面積が格段に高くなっていることが判る(図21(b))。接触面積の向上は、繊維接触比率を高めながら、特に抵面圧時の柔軟性を良好(縦弾性係数を大きくする)にさせることであり、表面形状の平滑化に留まることなく、特性の安定化に結びつく。
【0056】
図19は、真実接触面積の測定原理を示す模式図であり、千葉工業大学の大谷教授が用いている、プリズムを介して真実接触面積を測定する接触面顕微鏡を用いて測定している。原理を簡単に説明すると、光源40から放射された光は、コリメータレンズ41を介して偏光板42を通過し、更に1/4波長板43にて各偏光に変えられた上で、測定物体45(この場合は繊維基体)の接触面に入射する。反射光は、対物レンズ46、偏光レンズ47、撮影レンズ48を通過し、CCDカメラ10に達する。尚、角度αは視認角度を示しており、必要に応じて所定の角度に調節する。
【0057】
このとき、非接触部の全反射光と接触部の部分反射光の位相のとびが異なる。いずれかの反射光を直線偏光になるよう調整しておけば、偏光板42によって、いずれかの反射光を遮断することができるため、非接触部と接触部の明るさの違いが明確になり、真実接触面積を輝度良く測定することが可能となる。
【0058】
図25は、紫外光レーザーにより繊維基体に微小凹凸形状を形成させたことを示す電子顕微鏡写真像(SEM)であり、丸く囲んだ部分の摩擦面に微小凹凸形状からなる微小凹凸面が形成されている。図26は、中空の繊維基体に平坦面を加工した事例であり、他繊維と平坦面(平坦部)が結合している電子顕微鏡写真像(SEM)である。丸く囲んだ部分が平坦面が形成されている部分である。
【0059】
尚、本実施例のように、紫外光レーザーを用いると、熱によるダメージを受けることなく摩擦材の形状加工ができる。更に、物質に特有な光を吸収する波長領域を利用することにより、レーザー波長を変えることにより選択的に摩擦材表面の物質を加工(熱硬化性樹脂、繊維基材を選択的に除去する)することができる。
【0060】
本発明の応用例
次に、本発明の摩擦材の応用例をいくつか説明する。本発明では、主としてクラッチ及びブレーキに使用することを前提として説明したが、当然、潤滑油の添加剤に関する問題を除いては、乾式摩擦材にも本発明は利用できるものである。また、摩擦力を伝達する意味からすれば、本発明の摩擦材をゴム、樹脂などのマトリックスの補強繊維に使用されるVベルト、タイミングベルト等の動力伝達製品にも使用できることは言うまでもない。
【0061】
図6は、本発明が応用可能なベルト型CVT60の軸方向断面図である。不図示のエンジンからの入力はトルクコンバータ66からプライマリープーリー61に伝達される。65はオイルポンプ、64は前進・後進切替機構である。プライマリープーリー61とセカンダリープーリー62との間にはVベルト63が掛け渡してあり、プライマリープーリー61からの動力はVベルト63にセカンダリープーリー62に伝えられ、その後ディファレンシャル機構67を介して、不図示の車輪に接続された出力軸68に伝達される。クラッチ96、Vベルト63は、本発明の摩擦材繊維によって補強されている。
【0062】
図7は、本発明が応用可能なハイブリットシステムの概略図である。エンジン95またはモータ97を動力源とするハイブリットシステム90は、モータ97で車両を走行させる時は、バッテリー91からの電力をインバータ92を介してモータ97に供給し、モータ97からの動力はCVT98を介して車輪111に動力を伝達される。このとき、クラッチ96は締結していない。
【0063】
エンジン95で車両を走行する時は、クラッチ96を締結し、CVT98を介して車輪111に動力を伝達する。尚、エンジン95のみで走行中は、ベルト94を介して発電機を回し、バッテリー91に充電できるようになっている。CVT98に用いられるVベルト99は、図6で説明したようにCVT98を介して車輪に動力を伝達する。図6の場合と同様に、クラッチ96とVベルト99は、本発明の摩擦材繊維によって補強されている。
【0064】
図8は、本発明が応用可能なブレーキバンドの斜視図である。ほぼ環状のブレーキバンド80には、動力伝達面10上に冷却を兼ねた溝24と穴30が形成されている。動力伝達面10には、本発明の摩擦材が使用できる。
【0065】
本明細書中において「平坦形状」または、「平坦面」と記載しているが、これは必ずしも厳密な平坦であるということではなく、繊維の一部分を紫外光レーザー等により形状加工した結果であり、加工端面には少なからず凹凸は存在する。従って、形状を表現する言葉で用いているだけであり、平坦に限定されてしまうものではない。また、繊維に平坦面ができるのであれば、紫外光レーザー照射以外の加工方法も可能であることは言うまでもない。
また、紫外光レーザー等により平坦面を加工するに当たって、繊維個々にレーザーを照射するだけでなく、繊維製品そのものに照射することもできる。
【0066】
【発明の効果】
(1)繊維同士の接着強度が向上するため、摩擦材の剥離離寿命の向上や切削加工時の繊維の抜けを防止できる。
(2)表層の繊維もしくは、全体の繊維が平坦面をもつため摩擦材強度が高く、なじみ性を向上させる工法を採用しても、強度低下、摩擦特性の悪化を防止できる。
(3)表層の繊維が細く、樹脂の付着が少ないため.摩擦材の表面が柔軟であり、加工性が良い。
(4)紫外光レーザーを用いることにより、熱によるダメージを受けることなく摩擦材の形状加工ができる。
(5)また、物質に特有な光を吸収する波長領域を利用することにより、レーザー波長を変えることにより選択的に摩擦材表面の物質を加工(熱硬化性樹脂、繊維基材を選択的に除去する)することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における繊維の加工状態と結合状態を説明する図である。
【図2】摩擦係合装置の軸方向断面図である。
【図3】受動板と駆動板との組み合わせを示す斜視図である。
【図4】駆動板の正面図である。
【図5】図4の駆動板と共に用いられる受動板の正面図である。
【図6】本発明が応用可能なベルト型CVTの軸方向断面図である。
【図7】本発明が応用可能なハイブリットシステムの概略図である。
【図8】本発明が応用可能なブレーキバンドの斜視図である。
【図9】 (a)は、表面部分の横成を概念的に示した従来の摩擦材の断面図、(b)は、その表面状態を拡大して模式的に示した形状線Rの図である。
【図10】従来例の摩擦材の表層の樹脂含浸率を示すグラフである。
【図11】図10と同じ摩擦材の樹脂含浸率を示すグラフである。
【図12】平滑熱板を押しつけた状態の表面部分の構成を概略図的に示した説明図である。
【図13】本実施例の摩擦材の層構造を示す断面図である。
【図14】従来の繊維構造及び加工後の形態を示す概略図である。
【図15】本実施例にかかる摩擦材の繊維の平均径(繊維径分布の中央値)が、表層部分を除く部分より薄くなるように形成した概略図である。
【図16】摩擦面側に合成樹脂等の加工が難しい繊維の平坦面を多くした概略図である。
【図17】紫外光レーザーを選択的に照射する加工例を示す概略図である。
【図18】紫外光レーザーを照射して微小凹凸面を形成する加工例を示す概略図である。
【図19】真実接触面積の測定原理を示す模式図である、
【図20】摩擦材の表面形状線を示すグラフであり、(a)は従来例、(b)は実施例の場合を示す。
【図21】後加工前(a)と後加工後(b)の真実接触面積を示す接触面顕微鏡の原理図である。
【図22】高エネルギー評価による各摩擦材の耐久寿命を示すグラフである。
【図23】摩擦係合時(100サイクル)のショックの指標となる回転数変化に伴う摩擦係数の変化を示すグラフである。
【図24】繰り返し圧縮疲労寿命による剥離寿命を示すグラフである。
【図25】紫外光レーザーにより繊維に微小凹凸面を形成させたことを示す電子顕微鏡写真像である。
【図26】紫外光レーザーにより繊維に平坦面を形成させたことを示す電子顕微鏡写真像である。
【図27】従来の繊維の結合状態を説明する図である。
【符号の説明】
1 受動板
2 駆動板
3 プレッシャープレート
4 リテーナ
7 押圧ピストン
10、12、14 平坦面
11、13、15 繊維
17 コアプレート
18、20 スプライン突起
19,25 摩擦材
80 微小凹凸面

Claims (3)

  1. 天然パルプ繊維、無機及び有機合成繊維の繊維からなる繊維基材と、けいそう土、カシュー樹脂の充填剤や摩擦調整剤及び熱硬化性樹脂のバインダーを含む摩擦材の摩擦面を加工する方法であって、
    前記摩擦面の前記繊維基材に紫外光レーザーを照射し、長手方向の少なくとも一部に露出した平坦面を、または表面の少なくとも一部に微小凹凸面を形成することを特徴とする摩擦材の摩擦面の加工方法。
  2. 前記紫外光レーザーの照射により、前記繊維の表層の組成割合を変化させることを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
  3. 前記摩擦面に対して、波長の異なる紫外光レーザーを照射することで、選択的に前記平坦面または前記微小凹凸面を形成し、前記繊維基材の表層の組成割合を変化させることを特徴とする請求項2に記載の加工方法。
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