JP4771159B2 - 坑道閉鎖方法及び坑道閉鎖装置 - Google Patents

坑道閉鎖方法及び坑道閉鎖装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えば放射性廃棄物などの廃棄物を埋設処分する廃棄物埋設処分施設の坑道を埋め戻し材を用いて埋め戻し閉鎖する坑道閉鎖方法及びこれに用いる坑道閉鎖装置に関する。
例えば地下300mを超える地下深部に高レベルの放射性廃棄物を埋設処分することが検討されている。この際、放射性廃棄物は、例えばガラスと混ぜて固化され、このガラス固化体を炭素鋼などからなるオーバーパックで密閉して廃棄体を形成した状態で処分される。そして、この廃棄体が、図4及び図5に示すように、地下深部の硬質岩や堆積軟岩の比較的安定した地山G内に、略環状に繋がる主要坑道1と、この主要坑道1と繋がるように形成した処分坑道(坑道)や処分孔(以下、処分坑道2という)からなる廃棄物埋設処分施設Aを構築し、この廃棄物埋設処分施設Aの処分坑道2内に処分される(例えば、特許文献1参照)。また、廃棄体を処分する処分坑道2は、例えば、硬質岩の地山G内に形成される場合、地山Gを掘削した後に厚さ5cm程度の覆工と、厚さ15cm程度のインバートが吹付けコンクリートまたはコンクリートによって形成され、地山面の崩落を防止するようにしている。
また、廃棄体を処分した処分坑道2をそのままにしておくと、処分坑道2の周辺地山Gの緩みの拡大や地下水の卓越した水みちの形成のおそれがあり、処分施設A全体としてのバリア性能を低下させるおそれがあるため、これを防止する目的で地山Gと同等以上の低透水性の材料(埋め戻し材3)で処分坑道2を埋め戻すことが考えられている。そして、この種の埋め戻し材3には、膨潤性や放射性廃棄物の吸着性に優れるベントナイトやベントナイト混合材(ベントナイト系粘土材)が用いられ、地山Gから処分坑道2に浸入した地下水が接触するとともに膨潤して、地山Gを押圧することでさらなる地下水の浸入を防止したり、膨潤に伴い埋め戻し材3の透水係数が低下することで地下水の浸透を防止する。これにより、放射性廃棄物を確実に外部の自然環境から隔離して処分することが可能になる。
一方、吹付けコンクリートで形成される覆工(支保工)やインバートに地下水が接触した場合には、セメントからCa(カルシウム)や高アルカリ成分が地下水に溶出し、処分坑道2の周辺が高アルカリ環境になる可能性がある。このように処分坑道2が高アルカリ環境になった場合には、特にCaイオンによって埋め戻し材3が劣化するおそれが生じる。すなわち、埋め戻し材3のベントナイト系粘土材には、その膨潤性に優れるという点でNa(ナトリウム)を担持したNa型ベントナイトが多用されるが、このNa型ベントナイトは、Caイオンと接触するとNaとCaのイオン交換がなされ、膨潤性に劣るCa型ベントナイトに変質してしまう。そして、このようにベントナイトが変質した場合には、埋め戻し材3の膨潤性が乏しくなり地下水の遮蔽能力ひいては放射性物質の遮蔽能力の低下を招くおそれが生じる。
このため、処分坑道2に廃棄体を搬送定置して、埋め戻し材3による埋め戻しを行なう前段で、支保工を撤去し、コンクリートに起因した埋め戻し材3の劣化を防止することが検討されている。そして、このように支保工を撤去するための装置として、例えば特許文献2に開示されるような、処分坑道2の径方向内側から外側に回転カッタを送り出し、この回転カッタを軸芯回りに回転させながらコンクリート表面に所定の押圧力で当接させて、コンクリートをはつり取るはつり装置を適用することが検討されている。
特開2003−215297号公報 特開2000−38899号公報
しかしながら、上記の専用機械であるはつり機(はつり装置)を用いて支保工の撤去を行う場合には、処分坑道の一部に廃棄体を搬送定置してこの部分の支保工を撤去した後に、専用機械である埋め戻し材投入機(埋め戻し材供給装置)で埋め戻し材を投入(供給)し、締め固め機でこれを締め固める一連の作業を行なうことになり、この一連の作業を繰り返して処分坑道全体を埋め戻す際に、各専用機械をそれぞれの作業毎に入れ替える必要が生じて、作業効率が著しく低下するという問題があった。
本発明は、上記事情を鑑み、坑道のコンクリートの撤去、埋め戻し材の供給及び締め固めを効率よく行なうことが可能な坑道閉鎖方法及びこれに用いる坑道閉鎖装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の坑道閉鎖方法は、
廃棄物を処分した坑道内に埋め戻し材を供給するとともに締め固めて前記坑道を埋め戻す坑道閉鎖方法であって、前記坑道内にプロテクターを該坑道の軸線方向前方に推進可能に配置し、前記坑道の地山面を被覆するコンクリートあるいは該コンクリート及び劣化地山を、前記プロテクターの内側に自走可能に配置したはつり装置で除去するとともに、支圧板で画成した前記坑道内の前記埋め戻し材を供給する空間に、前記プロテクターの内側に自走可能に配置した埋め戻し材供給装置から前記埋め戻し材を供給して、前記埋め戻し材供給装置から前記空間に供給した前記埋め戻し材を前記支圧板で押圧して締め固めるとともに、前記プロテクターを前記支圧板で締め固めた埋め戻し材で反力を確保しながら前記坑道の軸線方向前方に推進させ、露出した地山から前記埋め戻し材供給装置及び前記はつり装置を前記プロテクターにより保護しつつ、前記埋め戻し材供給装置及び前記はつり装置を自走させて前進させることを特徴とする。
また、本発明の坑道閉鎖方法においては、前記埋め戻し材を供給する側の空間に前記埋め戻し材供給装置から埋め戻し材を供給すると同時に、前記はつり装置で前記プロテクターの前記坑道の軸線方向前方に位置する前記コンクリートあるいは該コンクリート及び劣化地山をはつり除去することが望ましい。
本発明の坑道閉鎖装置は、廃棄物を処分した坑道を埋め戻すための坑道閉鎖装置であって、前記坑道内に、該坑道の軸線方向前方に推進可能に配置されるプロテクターと、前記プロテクターの内側に自走可能に配置されて、前記坑道の地山面を被覆するコンクリートあるいは該コンクリート及び劣化地山をはつり除去するはつり装置と、前記プロテクターの内側に自走可能に配置されて、前記坑道内に埋め戻し材を供給する埋め戻し材供給装置と、前記坑道を、前記埋め戻し材を供給する側の空間と前記プロテクターが配置される側の空間とに区画するとともに、前記両空間を連通させる窓部を備えた支圧板と、前記プロテクターと前記支圧板に接続して設けられ、前記空間に供給した埋め戻し材を前記支圧板により押圧して締め固めるとともに、締め固めた埋め戻し材で反力を確保しながら前記プロテクターを前記坑道の軸線方向に相対移動させる推進機構とを備え、前記プロテクターは、前記はつり装置及び前記埋め戻し材供給装置を覆うように形成した被覆部材を備えて構成されていることを特徴とする。
また、本発明の坑道閉鎖装置においては、前記プロテクターが、前記坑道の両側端側にそれぞれ配置されて前記坑道の軸線方向に延設した一対の支柱支持部材と、前記坑道の地山面に沿う逆U字形状に形成され、両端部が前記一対の支柱支持部材にそれぞれ接続された複数の支柱部材と、前記複数の支柱部材に連架して支持された前記被覆部材とから構成されており、前記推進機構が前記一対の支柱支持部材の前記坑道の軸線方向一端側に設けた前記支柱部材に接続されていることが望ましい。
本発明の坑道閉鎖方法及び坑道閉鎖装置によれば、はつり装置によって、例えば吹き付けコンクリートなどのコンクリート製の覆工(支保工)及びインバートをはつり除去して地山面を露出させることができ、また、坑道掘削時(坑道構築時)に緩みを生じた(劣化した)坑道周辺の地山をもはつり除去することができる。そして、このようにはつり除去して露出した地山面から岩片などの落下物が落下した場合においても、はつり装置及び埋め戻し材供給装置が、プロテクターの被覆部材で覆われて、すなわち、露出した地山面と、はつり装置及び埋め戻し材供給装置との間に被覆部材が介装されているため、落下物からはつり装置及び埋め戻し材供給装置を保護することができる。
そして、このような状態で、支圧板の窓部を通じて埋め戻し材を供給する側の空間に埋め戻し材供給装置から埋め戻し材を投入(供給)することができ、投入を完了した後に、推進機構の駆動により支圧板を移動させることによって、投入した埋め戻し材に支圧板で押圧力を付加してこれを締め固めることができる。また、埋め戻し材が所定の状態に締め固められて、この締め固めた埋め戻し材に支圧板が支持された段階で、さらに推進機構を駆動することで、今度は、締め固めた埋め戻し材で反力を確保してプロテクターを坑道の軸線方向前方側に推進(移動)させることができる。このようにして、はつり装置で支保工をはつり除去した地山面を覆うようにプロテクターを移動させた後に、支圧板をプロテクターに近づくように推進機構を駆動することで、締め固めた埋め戻し材と支圧板との間に新たに埋め戻し材を投入する空間を画成することができる。
よって、本発明の坑道閉鎖装置及び坑道閉鎖方法においては、コンクリート製の支保工をはつり除去しつつ埋め戻し材の投入及び締め固めを行なうことができ、上記の操作を繰り返し行なうことで、従来のようにそれぞれの作業を行なう専用機械を作業毎に入れ替えることなく、大幅に作業効率を向上させることが可能になる。そして、このように廃棄物を処分した坑道を閉鎖することで、埋め戻し材がコンクリートに起因して劣化することがなく、また、劣化した地山をも除去しながら閉鎖してゆくことで、長期にわたり安定した状態で廃棄物を処分することが可能になる。
また、本発明の坑道閉鎖装置においては、プロテクターが、一対の支柱支持部材と、一対の支柱支持部材に接続した複数の支柱部材と、複数の支柱部材に支持された被覆部材を備え、推進機構を支柱部材に接続して構成されていることによって、推進機構の駆動により、一対の支柱支持部材を坑道の底面を滑動させて確実にプロテクターを推進させることができる。
以下、図1から図3を参照し、本発明の一実施形態に係る坑道閉鎖装置及び坑道閉鎖方法について説明する。本実施形態は、例えば図4及び図5に示した地下300mを超える地下深部の地山Gに高レベルの放射性廃棄物を埋設処分するための廃棄物埋設処分施設Aの処分坑道(坑道)2を埋め戻し材3で埋め戻す坑道閉鎖方法及びこれに用いる坑道閉鎖装置に関するものである。なお、本実施形態の処分坑道2は、図1及び図2に示すように、例えば花崗岩などの硬質岩の地山G内に形成されており、吹き付けコンクリート(コンクリート)によって形成した厚さ5cm程度の覆工(支保工4)と厚さ15cm程度のインバートが設けられている。
本実施形態の坑道閉鎖装置Bは、図1から図3に示すように、処分坑道2の周方向の地山面(内面)G1に沿うように形成した断面略円弧状の被覆部材10を備えたプロテクター11と、処分坑道2の内空を、埋め戻し材3を供給する側の空間12とプロテクター11が配置される側の空間13に区画するように形成された略平板状の支圧板14と、プロテクター11と支圧板14に接続され、処分坑道2の軸線O1方向に伸縮してプロテクター11と支圧板14を軸線O1方向に相対移動させる推進機構15と、プロテクター11の内側で、且つ被覆部材10の下方に配置された埋め戻し材供給装置16及びはつり装置17とを備えて構成されている。
プロテクター11は、処分坑道2の底面G2(地山面G1)の軸線O1直交方向両側端側にそれぞれ配置されて軸線O1方向に延設した一対の支柱支持部材20と、処分坑道2の地山面G1の側面G3及びアーチ状の上面G4に沿うように逆U字形状に形成した複数の支柱部材21と、処分坑道の上面G4側に沿って設けられた被覆部材10とを備えて構成されている。
複数の支柱部材21は、両端部が一対の支柱支持部材20の上面にそれぞれ接続して一対の支柱支持部材20を繋ぐように設けられており、処分坑道2の軸線O1方向に所定の間隔をあけて並設されている。また、このとき、プロテクター11の前端側(前方側)に配された支柱部材21(21a)は、支柱支持部材20の先端20aより後端20c側に配置され、プロテクター11の後端側(後方側)に配された支柱部材21(21b)は、支柱支持部材20の後端20c付近に配置されている。
被覆部材10は、複数の略矩形板状の鋼板10aで構成されており、各鋼板10aが軸線O1方向にプロテクター11の先端付近から後端付近まで延設され、且つ周方向に並設されて構成されている。また、これら鋼板10aは、複数の支柱部材21の外側を向く面に固着して支持され、前方側の支柱部材21(21a)から後方側の支柱部材21(21b)まで連架して設けられている。そして、この被覆部材10は、例えば地山面G1から岩片が剥落した場合に、この岩片が鋼板10aに当って、プロテクター11の内側、すなわち被覆部材10の下方に配置した埋め戻し材供給装置16及びはつり装置17に落下することを阻止し、これらを保護する。
一方、支圧板14は、図1及び図3に示すように、処分坑道2の内空断面よりも僅かに小さな面積を有するように形成されており、処分坑道2の軸線O1に直交して設けられている。また、この支圧板14は、プロテクター11の後端と対向配置されており、一端がプロテクター11側を向く支圧板14の前面14aに接続し、他端がプロテクター11の後端側の支柱部材21(21b)に接続されて、プロテクター11と支圧板14の間に介装した推進機構15に支持されている。さらに、この支圧板14には、その上方側の中央に矩形状に開口する窓部14bが設けられており、この窓部14bは、支圧板14の背面14cに沿って水平方向に進退可能に設けられた扉部材14dによって開閉される。これにより、窓部14bは、支圧板14で区画する埋め戻し材3を供給する側の空間12とプロテクター11が配置される側の空間13を連通可能とされる。
また、推進機構15は、例えばスライドジャッキであり、その伸縮方向を処分坑道2の軸線O1と平行に配した状態で、プロテクター11の後端側の支柱部材21(21b)(一対の支柱支持部材20の軸線O1方向後端(一端)20c側に設けられた支柱部材21(21b))に接続され、この支柱部材21(21b)に沿って所定の間隔をあけて複数設置されている。そして、複数の推進機構15は、その同期した駆動により軸線O1方向に伸縮し、プロテクター11と支圧板14との処分坑道2の軸線O1方向の間隔を大小変化させ、すなわち、この推進機構15の駆動によって、プロテクター11と支圧板14を、処分坑道2の軸線O1方向に近づけたり、遠ざけたり相対移動させる。
本実施形態の埋め戻し材供給装置16は、図1に示すように、埋め戻し材3を貯留するタンクなどを備え自走可能に構成した車体部16aと、車体部16aの前方側に設けられた多関節アーム16bと、多関節アーム16bの先端に支持され、タンクから圧送した埋め戻し材3を噴出するノズル部16cとを備えて構成されている。そして、この埋め戻し材供給装置16は、プロテクター11の後端側に配置されるとともに、多関節アーム16bを備えた前方側を支圧板14側(処分坑道2の軸線O1方向後方側)に向けて配置されている。また、このとき、埋め戻し材供給装置16は、処分坑道2の底面G2上にその車輪を配置した状態で、プロテクター11の一対の支柱支持部材20の間に設けられている。これにより、埋め戻し材供給装置16は、プロテクター11の被覆部材10の下方に配置される。
一方、はつり装置17は、自走可能に構成した車体部17aと、この車体部17aに支持され、前方に突出するように設けられたビーム部17bとから構成されている。また、ビーム部17bは、後端側が車体部17aの前方側に支持されて車体部17aの前方に延出しており、その先端に回転カッタ17cが具備されている。さらに、ビーム部17bは、車体部17aに支持された後端側を回転中心として、水平方向及び上下方向に回動可能に設けられ、且つ先端に具備された回転カッタ17cを中心軸回りに回転させるとともに、中心軸方向に伸縮自在とされて回転カッタ17cを中心軸方向前方に送り出せるように構成されている。一方、回転カッタ17cは、円錐台状に形成されており、その外面に例えば外側に突出する図示せぬ複数の切刃が設けられている。
そして、上記のように構成したはつり装置17は、プロテクター11の先端側に配置され、且つビーム部17bを備えた前方側を処分坑道2の軸線O1方向前方側に向けて配置されている。また、このとき、はつり装置17は、ビーム部17bの先端側、すなわち回転カッタ17cがプロテクター11の先端から軸線O1方向前方に配されるように設置されている。さらに、このはつり装置は、埋め戻し材供給装置16と同様に、プロテクター11の被覆部材10の下方に配され、且つ処分坑道2の底面G2上にその車輪を配置した状態で一対の支柱支持部材20の間に設けられている。
ついで、上記の構成からなる坑道閉鎖装置Bを用いて処分坑道2を閉鎖する方法について説明し、本実施形態の坑道閉鎖装置B及び坑道閉鎖方法の作用及び効果について説明する。
本実施形態では、推進機構15をプロテクター11と支圧板14の間隔が最小となるように縮めた状態で、処分坑道2内に坑道閉鎖装置Bを設置する。そして、支圧板14の扉部材14dを退避させて窓部14bを開口し、埋め戻し材供給装置16の多関節アーム16bを伸ばして、この窓部14bから支圧板14よりも後方側の空間12内にノズル部16cを挿入し、この空間12内に埋め戻し材3を吹き付けて投入(供給)する。このようにして支圧板14よりも後方側の処分坑道2内に埋め戻し材3を投入した段階で、支圧板14の窓部14bを閉じる。
一方、本実施形態では、このように埋め戻し材供給装置16で埋め戻し材3の投入を行なっている間(同時)に、はつり装置17によって、プロテクター11の先端から軸線O1方向前方に位置するコンクリート(支保工4)をはつり取って除去する。すなわち、ビーム部17bを後端中心に回転させて、回転カッタ14cを支保工4の表面近傍に位置させる。ついで、回転カッタ17cを中心軸回りに回転させながら支保工4の表面に所定の押圧力で当接し、切刃で支保工のはつりを開始する。さらに、ビーム部17bを処分坑道2の内周に沿って回動させてゆき、処分坑道2の全周に亘る支保工4をはつり撤去する。また、このとき、ビーム部17bの先端を伸長して回転カッタ17cを前方に送り出すことで、軸線O1方向の所定区間の支保工4を撤去する。
ここで、埋め戻し材供給装置16及びはつり装置17が、プロテクター11の被覆部材10の下方に配されているため、埋め戻し材3の投入及び支保工4の撤去を行なっている間に地山面G1から岩片が剥落した場合においても、この岩片が被覆部材10に当って各装置16、17に落下することがない。
そして、上記のように埋め戻し材3の投入及び所定区間の支保工4の撤去を終え、はつり取ったコンクリート片を搬送撤去した段階で、推進機構15を伸長するように駆動して、すなわちプロテクター11と支圧板14の間隔を大きくするように駆動する。このとき、支圧板14の背面14c側に投入した埋め戻し材3は、投入時に締め固められていないため、推進機構15を伸長した際には、はじめに、支圧板14が処分坑道2の後方側に移動し、この支圧板14によって埋め戻し材3が押圧される。これにより、投入した埋め戻し材3が徐々に締め固められてゆく。そして、埋め戻し材3の締め固めが進行して支圧板14の移動が停止した段階で埋め戻し材3が所定の締め固め度で締め固められる。この段階で埋め戻し材3により支圧板14が支持され、更なる推進機構15の伸長によって、今度は、締め固めた埋め戻し材3で反力が確保され、プロテクター11の支柱支持部材20が処分坑道2の底面G1上を滑動し始めて、プロテクター11が処分坑道2の軸線O1方向前方に向けて推進する。また、予め支保工4をはつり取った所定区間を被覆部材10で覆うようにプロテクター11を推進させるとともに、埋め戻し材供給装置16及びはつり装置17を自走させて所定位置に移動させる。
ついで、推進機構15を縮めるように駆動して、支圧板14をプロテクター11側に近づけるように移動させる。このとき、締め固められた埋め戻し材3と支圧板14の背面14cとの間に空間12が画成されてゆき、推進機構15を縮めてプロテクター11と支圧板14の間隔を最小にした段階で所定厚(軸線O1方向の厚さ)の空間12が画成される。そして、再度、上記と同様にこの空間12内に埋め戻し材3を投入しつつ、前方側の支保工4を撤去して、新たに投入した埋め戻し材3を締め固めつつプロテクター11を推進させてゆく。このように、繰り返し上記の操作を行なうことで、埋め戻し材3で処分坑道2が閉塞(閉鎖)されてゆく。
したがって、本実施形態の坑道閉鎖装置B及び坑道閉鎖方法によれば、コンクリート製の支保工4をはつり除去しつつ埋め戻し材3の供給及び締め固めを行なうことができ、上記の操作を繰り返し行なってゆくことで、従来のようにそれぞれの作業を行なう専用機械を作業毎に入れ替えることなく、効率的に処分坑道2を閉鎖してゆくことが可能になる。そして、このように廃棄物を処分した処分坑道2を閉鎖することで、埋め戻し材3がコンクリートに起因した劣化を生じることがなく、長期にわたり安定した状態で廃棄物を処分することが可能になる。
また、プロテクター11が、一対の支柱支持部材20と、一対の支柱支持部材20に接続した複数の支柱部材21と、複数の支柱部材21に支持された被覆部材10を備え、推進機構15を支柱部材21に接続して構成されていることによって、推進機構15の駆動により、一対の支柱支持部材20を処分坑道2の底面G2を滑動させて好適にプロテクター11を推進させることができる。
さらに、埋め戻し材3を供給している間に、プロテクター11の前方に位置するコンクリートをはつり除去することができるため、確実に作業効率を向上させることができる。
以上、本発明に係る坑道閉鎖装置B及び坑道閉鎖方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、埋め戻し材供給装置16で埋め戻し材3の投入を行なっている間に、はつり装置17でプロテクター11の前方側の支保工4をはつり除去するものとしたが、埋め戻し材3を投入する前段もしくは埋め戻し材3を投入した後段でプロテクター11の前方側の支保工4をはつり除去するようにしてもよい。
また、本実施形態では、はつり装置17でコンクリート製の支保工4のみをはつり除去するように説明を行なったが、このはつり作業時に、処分坑道2を構築した際に緩んだ周辺地山G(劣化地山)を同時にはつり除去するようにしてもよい。そして、この場合には、劣化地山を無くすことで、確実に長期にわたって安定した状態で廃棄物を埋設処分することが可能になる。
さらに、本実施形態では、放射性廃棄物を処分する廃棄物埋設処分施設Aの処分坑道2を埋め戻すものとしたが、他の廃棄物を処分する坑道の埋め戻しに、本発明に係る坑道閉鎖装置B及びこれを用いた坑道閉鎖方法が適用されてもよいものである。
また、本実施形態では、プロテクター11が、支柱支持部材20と支柱部材21と被覆部材10を備えて構成されているものとしたが、少なくとも埋め戻し材供給装置16とはつり装置17を保護する被覆部材10を備えて構成され、且つ推進機構15が接続されて推進可能とされていればよく、必ずしも被覆部材10を備えるための構成として本実施形態に示した支柱支持部材20や支柱部材21が具備される必要はない。さらに、本実施形態では、被覆部材10が、複数の鋼板10aからなり、円弧状に形成されているものとしたが、被覆部材10は、例えば一つの部材で形成されてもよく、また、露出した地山面G1と埋め戻し材供給装置16及びはつり装置17との間に配置されて、埋め戻し材供給装置16及びはつり装置17を覆って保護することができれば、例えば平板状に形成されていてもよいものであり、特に被覆部材10の形状などの構成は限定を必要とするものではない。
本発明の一実施形態に係る坑道閉鎖装置を示す側面図である。 図1のX−X線矢視図である。 本発明の一実施形態に係る坑道閉鎖装置のプロテクター及び支圧板を示す斜視図である。 廃棄物埋設処分施設を示す斜視図である。 図4の廃棄物埋設処分施設の主要坑道及び処分坑道を示す斜視図である。
符号の説明
1 主要坑道
2 処分坑道(坑道)
3 埋め戻し材
4 支保工(コンクリート)
10 被覆部材
11 プロテクター
12 埋め戻し材を供給する側の空間
13 プロテクターが配置される側の空間
14 支圧板
14b 窓部
15 推進機構
16 埋め戻し材供給装置
17 はつり装置
20 支柱支持部材
21 支柱部材
A 廃棄物埋設処分施設
B 坑道閉鎖装置
G 地山面
G2 底面
O1 処分坑道の軸線

Claims (4)

  1. 廃棄物を処分した坑道内に埋め戻し材を供給するとともに締め固めて前記坑道を埋め戻す坑道閉鎖方法であって、
    前記坑道内にプロテクターを該坑道の軸線方向前方に推進可能に配置し、
    前記坑道の地山面を被覆するコンクリートあるいは該コンクリート及び劣化地山を、前記プロテクターの内側に自走可能に配置したはつり装置で除去するとともに、
    支圧板で画成した前記坑道内の前記埋め戻し材を供給する空間に、前記プロテクターの内側に自走可能に配置した埋め戻し材供給装置から前記埋め戻し材を供給して、
    前記埋め戻し材供給装置から前記空間に供給した前記埋め戻し材を前記支圧板で押圧して締め固めるとともに、前記プロテクターを前記支圧板で締め固めた埋め戻し材で反力を確保しながら前記坑道の軸線方向前方に推進させ、
    露出した地山から前記埋め戻し材供給装置及び前記はつり装置を前記プロテクターにより保護しつつ、前記埋め戻し材供給装置及び前記はつり装置を自走させて前進させることを特徴とする坑道閉鎖方法。
  2. 請求項1記載の坑道閉鎖方法において、
    前記埋め戻し材を供給する側の空間に前記埋め戻し材供給装置から埋め戻し材を供給すると同時に、前記はつり装置で前記プロテクターの前記坑道の軸線方向前方に位置する前記コンクリートあるいは該コンクリート及び劣化地山をはつり除去することを特徴とする坑道閉鎖方法。
  3. 廃棄物を処分した坑道を埋め戻すための坑道閉鎖装置であって、
    前記坑道内に、該坑道の軸線方向前方に推進可能に配置されるプロテクターと、
    前記プロテクターの内側に自走可能に配置されて、前記坑道の地山面を被覆するコンクリートあるいは該コンクリート及び劣化地山をはつり除去するはつり装置と、
    前記プロテクターの内側に自走可能に配置されて、前記坑道内に埋め戻し材を供給する埋め戻し材供給装置と、
    前記坑道を、前記埋め戻し材を供給する側の空間と前記プロテクターが配置される側の空間とに区画するとともに、前記両空間を連通させる窓部を備えた支圧板と、
    前記プロテクターと前記支圧板に接続して設けられ、前記空間に供給した埋め戻し材を前記支圧板により押圧して締め固めるとともに、締め固めた埋め戻し材で反力を確保しながら前記プロテクターを前記坑道の軸線方向に相対移動させる推進機構とを備え、
    前記プロテクターは、前記はつり装置及び前記埋め戻し材供給装置を覆うように形成した被覆部材を備えて構成されていることを特徴とする坑道閉鎖装置。
  4. 請求項3記載の坑道閉鎖装置において、
    前記プロテクターが、前記坑道の両側端側にそれぞれ配置されて前記坑道の軸線方向に延設した一対の支柱支持部材と、前記坑道の地山面に沿う逆U字形状に形成され、両端部が前記一対の支柱支持部材にそれぞれ接続された複数の支柱部材と、前記複数の支柱部材に連架して支持された前記被覆部材とから構成されており、前記推進機構が前記一対の支柱支持部材の前記坑道の軸線方向一端側に設けた前記支柱部材に接続されていることを特徴とする坑道閉鎖装置。

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