続いて、本発明の一実施形態にかかる液体加熱装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、1は本実施形態の液体加熱装置である。図1および図2に示すように、液体加熱装置1は、金属製の筐体Wの内部に本体部2と燃焼部3および消音器4に加えて、後述する上水系統X、暖房系統Yおよび風呂系統Zの構成部材を内蔵し、これらによって加熱系Hを形成した構成とされている。
本体部2は、大きく燃焼空間部5と貯留部6(貯留手段)とに分かれている。燃焼部3および燃焼空間部5は、貯留部6内に貯留される熱媒体を加熱する加熱手段7として機能する。本体部2は、全体形状が円筒形であり、2重構造となっている。本体部2の内部には、貯留部6が形成されている。より具体的には、本体部2は外筒8と内筒9とを有し、その内部に熱媒体を貯留できる構造とされている。また、特に本体部2の上半分には、上鏡板10と下鏡板11とによって囲まれた熱媒体室12が形成されている。
熱媒体室12には、複数の燃焼ガス通路13が形成されている。燃焼ガス通路13は、貯留部6の熱媒体室12を軸方向に貫通する貫通孔である。また、燃焼部3は、灯油等の液体燃料の燃焼を行うバーナを備えており、燃料噴射ノズル15が内蔵されている。また、燃焼部3は、送風機16を具備しており、本体部2の下方に位置する燃焼空間部5に接続されている。燃焼空間部5は、燃焼部3の燃焼室として機能する。
一方、本体部2の上方には、消音器4が設けられている。消音器4は、外観が円筒状または直方体状をしており、内部がラビリンス構造となっており、燃焼音を低減させるものである。なお、図1および図2において、消音器4のラビリンス構造は図示せず省略している。
燃焼部3の燃料噴射ノズル15から噴射された燃料は、燃焼空間部5内において燃焼し、高温の燃焼ガスと火炎とを発生する。燃焼ガスは、熱媒体室12内の燃焼ガス通路13を流れ、消音器4を通過した後、外部に排出される。熱媒体室12内の熱媒体は、燃焼ガス通路13を流れる高温の燃焼ガスにより加熱され、昇温する。
貯留部6には、熱媒体として不凍液を貯留することができる。貯留部6には、内部に貯留されている熱媒体の温度を測定するための温度センサ24(温度検知手段)が設けられている。温度センサ24はサーミスタにより構成されている。本実施形態において、温度センサ24は貯留部6内のいかなる場所に設けられてもよいが、安定した検知精度を得るため貯留部6の上方側に取り付けられることが望ましい。温度センサ24の検知温度に基づいて燃焼部3が駆動し、貯留部6内の熱媒体は沸騰しない程度の温度に維持される。さらに具体的には、常時は、貯留部6内の熱媒体が80℃以上に維持され、より好ましくは85℃以上の高温に維持される。
貯留部6には、上水系統Xを構成する上水一次側往き流路20(一次流路)および上水一次側戻り流路21(一次流路)と、暖房系統Yを構成する暖房往き流路22と、暖房戻り流路23とが接続されている。また、貯留部6の内部には、コイル状の熱交換器17(液−液熱交換手段)が内蔵されており、これに風呂系統Zを構成する風呂往き流路25および風呂戻り流路26が接続されている。
上水系統Xは、図1に示すように上水用熱交換器30(熱交換手段)を中心として構成されるものであり、これに上水一次側往き流路20や上水一次戻り側流路21をはじめとする流路を接続して構成されるものである。上水用熱交換器30は、いわゆるプレート型の熱交換器によって構成されており、一次側接続口30a,30bおよび二次側接続口30c,30dを有する。上水用熱交換器30は、一次側接続口30a,30b間、および、二次側接続口30c,30d間で連通しており、一次側接続口30a,30b間を流れる液体と、二次側接続口30c,30d間を流れる液体とを熱交換させることができる構成となっている。上水用熱交換器30は、内部に多数のフィンが設けられており、このフィンの数を調整することにより、熱交換効率を適宜調整することができる。
上水用熱交換器30は、図1では図示の都合で貯留部6に隣接する位置に記しているが、実際は図2に示すように筐体Wの内部であって、貯留部6から離間した位置に設けられている。さらに具体的には、上水用熱交換器30は、貯留部6を含む本体部2の下方に配置されている。そのため、液体加熱装置1は、貯留部6の上端側から上水一次側往き流路20や上水一次側戻り流路21、上水用熱交換器30等への伝熱が起こりにくい構成となっている。
貯留部6に接続されている上水一次側往き流路20および上水一次側戻り流路21は、それぞれ上水用熱交換器30の一次側接続口30a,30bに接続されている。また、上水一次側戻り流路21の中途には、上水加熱用ポンプ32(圧送手段)が設けられている。そのため、上水加熱用ポンプ32を作動させることにより、貯留部6内に貯留されている熱媒体を、貯留部6の上端側に接続された上水一次側往き流路20を介して上水用熱交換器30に供給し、貯留部6側に戻すことができる。すなわち、上水加熱用ポンプ32を作動させることにより、貯留部6と上水用熱交換器30との間で熱媒体の循環流を発生させ、熱媒体の持つ熱エネルギーを上水用熱交換器30に供給することができる。
上水用熱交換器30の二次側接続口30cには給水流路33(二次流路)が接続されており、二次側接続口30dには上水二次側往き流路34(二次流路)が接続されている。給水流路33は、外部の給水源から液体加熱装置1に湯水(上水)を供給するための流路であり、中途に水量センサ36、水温センサ37および給水用膨張タンク38が設けられている。また、水量センサ36よりも上流側には、逆止弁29が設けられている。そのため、万一、上水用熱交換器30の内部破壊によりその一次側(熱媒体側)と二次側(湯水側)とが連通しても、図示しない上水の上流側に熱媒体が逆流することがない。給水流路33は、中途で分岐流路40に分岐されている。分岐流路40は、後述する水量サーボ41(混合手段)に接続されている。
上水二次側往き流路34は、上水用熱交換器30において熱交換加熱された湯水が流れる流路であり、水量サーボ41に接続されている。上水二次側往き流路34の中途には、缶体サーミスタ39が設けられており、これにより上水用熱交換器30において加熱され、上水二次側往き流路34に存在する湯水の温度を検知することができる。
水量サーボ41は、3つの接続部41a,41b,41cを有し、接続部41a,41bから流入した湯水(液体)を混合して接続部41cから排出可能な構成とされている。水量サーボ41は、接続部41a,41bの開度、すなわち接続部41a,41bから流入可能な湯水の量を調整可能な構成とされており、これにより接続部41a,41bから流入する湯水の混合比を調整可能な構成とされている。水量サーボ41の接続部41a,41bの開度は、供給すべき湯水の設定温度や、前記した分岐流路40を介して外部の給水源から供給される湯水の温度(入水温度)、供給すべき湯水の量に応じて調整される。
水量サーボ41の接続部41bには、給水流路33から分岐された分岐流路40が接続されている。そのため、液体加熱装置1では、分岐流路40を介して供給される低温の湯水と、上水二次側往き流路34を介して供給される高温の湯水とを水量サーボ41で混合して接続部41cから排出可能な構成とされている。
水量サーボ41は、後述する給湯運転や落とし込み運転の待機中に、上水二次側往き流路34が接続された接続部41aが多少開いた状態とされている。すなわち、給湯運転の待機中、水量サーボ41は上水二次側往き流路34に対して開状態で維持されている。
水量サーボ41には、上水流路35が接続されている。上水流路35は、給湯用や浴槽60への落とし込み用に使用される上水を供給するための流路である。上水流路35は、水量サーボ41の接続部41cに接続されており、中途に水量調整弁43(流量調整手段)と出湯温度センサ45とを有する。上水流路35の末端には、給湯栓47に繋がる配管48を接続するための給湯接続口46が設けられている。
上水流路35は、出湯温度センサ45の取り付け位置よりも湯水の流れ方向下流側の位置で注湯バイパス流路50に分岐されている。注湯バイパス流路50は、後述する風呂戻り流路26に接続されている。注湯バイパス流路50は、浴槽60への落とし込み用の湯水を供給するための流路であり、中途に注湯電磁弁51と、注湯水量センサ52と、逆止弁53,54が設けられている。注湯水量センサ52は、注湯バイパス流路50を流れる水量を検知するものである。注湯電磁弁51は、後述する制御手段90に入力される浴槽60への落とし込み運転(湯張り運転、足し湯運転、足し水運転)のための制御信号に基づいて開閉される。また、逆止弁53,54は、浴槽60側から湯水が逆流するのを防止するために設けられている。
図1に示すように、暖房系統Yは、貯留部6に接続された暖房往き流路22と、暖房戻り流路23とを備えている。暖房往き流路22は貯留部6の頂部側に接続されており、暖房戻り流路23は貯留部6の底部側の位置に接続されている。暖房戻り流路23の中途には、暖房タンク65と循環ポンプ66とが設けられている。暖房往き流路22および暖房戻り流路23の末端には、暖房接続口67,68が設けられており、これらに液体加熱装置1の外部に設けられた負荷端末75に繋がる配管69,70を接続することにより、負荷端末75と液体加熱装置1との間で貯留部6内に貯留されている熱媒体が往き来可能な状態とすることができる。
暖房タンク65には、暖房系統Y内に存在する空気を外部に排出するためのエア抜き弁71が取り付けられている。また、暖房タンク65には、バイパス流路72が接続されている。バイパス流路72は、循環ポンプ66の保護を主目的として設けられた流路であり、暖房タンク65と貯留部6の上端側の部位とをバイパスするように取り付けられている。バイパス流路72は、暖房戻り流路23よりも流路断面積が小さく、流路抵抗が大きい。そのため、負荷端末75に液体を供給可能な状態で循環ポンプ66を作動させると、貯留部6から暖房往き流路22を介して吸い出された熱媒体が、配管69,70および負荷端末75を流れ、暖房戻り流路23を介して貯留部6に戻る。一方、負荷端末75に液体を供給不可能な状態で循環ポンプ66が作動すると、熱媒体が貯留部6からバイパス流路72を介して吸い出され、暖房戻り流路23を経て貯留部6に戻る。
風呂系統Zは、浴槽60内の湯水を加熱(追い焚き)したり、浴槽60内に湯水を落とし込むために使用されるものである。風呂系統Zは、図1に示すように、貯留部6内に配置された熱交換器17に風呂往き流路25および風呂戻り流路26を接続した構成とされている。
熱交換器17は、貯留部6内に配されており、貯留部6の底部側および頂部側に接続口17a,17bを有する。貯留部6の底部側に設けられた接続口17aには、風呂往き流路25が接続されており、頂部側に設けられた接続口17bには、風呂戻り流路26が接続されている。風呂往き流路25および風呂戻り流路26の端部には、それぞれ浴槽60に繋がる配管77,78を接続するための風呂接続口61,62が設けられている。また、風呂往き流路25および風呂戻り流路26は、バイパス流路63によってバイパスされている。
風呂戻り流路26の中途には、熱交換器17側から湯水の流れ方向上流側に向けて三方弁80、湯温センサ81、水流スイッチ82、循環ポンプ83および水位センサ84の順で設けられている。また、風呂戻り流路26の中途であって、循環ポンプ83よりも上流側の位置には、上記した注湯バイパス流路50が接続されている。三方弁80は、上記したバイパス流路63と風呂戻り流路26との接続部分に設けられており、必要に応じて開閉できる構成とされている。さらに具体的には、予め浴槽60内に張られている湯水を加熱(追い焚き)する場合は、三方弁80の熱交換器17側のポートと循環ポンプ83側のポートとが連通した状態とされる。これにより、熱交換器17と浴槽60との間で湯水の往き来が可能な状態になる。一方、浴槽60内に湯水を供給(落とし込み)する場合は、三方弁80の熱交換器17側のポートが閉止した状態とされる。これにより、上水用熱交換器30において加熱された湯水を、注湯バイパス流路50側から風呂往き流路25や風呂戻り流路26に流し、配管77,78を介して浴槽60に供給可能な状態になる。
液体加熱装置1は、制御手段90とリモートコントローラ91(以下、単にリモコン91と称す)とを備えている。制御手段90は、例えばCPUを中心として構成され、RAM、ROM、I/Oポート、および、アナログのセンサ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路、あるいは、生成されたデジタル制御信号をアナログ制御信号に変換するD/A変換回路などを備えた構成とすることができる。
制御手段90は、温度センサ24や水量センサ36、缶体サーミスタ39等の検知手段の検知信号や、リモコン91等を介して入力される入力信号を参照し、燃焼部3や上水加熱用ポンプ32、循環ポンプ66,83等のポンプ類、水量サーボ41、水量調整弁43、注湯電磁弁51、三方弁80等の弁類をはじめとする各構成部材を動作させるものである。すなわち、制御手段90は、液体加熱装置1の動作全般を司るものである。制御手段90は、制御に用いる各種の判別基準値や制御プログラム等を予めROMに格納しており、CPUで上記した各検知手段の検知信号を随時参照し、制御プログラムに従って処理を行う。
続いて、本実施形態の液体加熱装置1の動作について説明する。液体加熱装置1は、給湯栓47に加熱された湯水を供給する給湯運転に加えて、外部から供給された湯水を熱交換加熱せずにそのまま給湯栓47に供給する給水運転、負荷端末75に貯留部6内に貯留されている熱媒体を介して熱エネルギーを供給する負荷運転、浴槽60に湯水を落とし込む落とし込み運転、浴槽60内の湯水を加熱する追い焚き運転から一又は複数の運転方法を選択して実施することができる。以下、液体加熱装置1の動作を各運転方法毎に説明する。
(給湯運転)
液体加熱装置1が給湯運転を実施する場合は、上水用熱交換器30において、外部の給水源から供給された湯水が貯留部6内に貯留されている高温の熱媒体との熱交換により加熱され、給湯栓47に向けて供給される。さらに具体的には、液体加熱装置1は、図示しない運転スイッチがオン状態とされ、給湯栓47が開栓されると、外部の給水源から給水流路33を介して低温の湯水が供給される。給水流路33の中途に設けられた水量センサ36が所定量以上の水流を検知すると、上水加熱用ポンプ32が作動を開始する。
上水加熱用ポンプ32が作動すると、貯留部6の頂部側に設けられた一次側接続口30aから吸い出された高温の熱媒体が上水一次側往き流路20を介して上水用熱交換器30に供給される。貯留部6から吸い出された高温の熱媒体は、上水用熱交換器30において熱エネルギーを放出した後、上水一次側戻り流路21を介して貯留部6に戻る。すなわち、上水加熱用ポンプ32が作動すると、貯留部6と上水用熱交換器30との間で貯留部6内に貯留されている熱媒体が循環する。
給水流路33を介して外部から供給された低温の湯水の一部は、上水用熱交換器30に供給され、残部は、分岐流路40を介して水量サーボ41に供給される。ここで、上水用熱交換器30に供給される湯水と、分岐流路40側に流れる湯水の流量比は、給湯栓47において必要とされる湯水の設定温度等に基づいて水量サーボ41により調整される。
給水流路33を介して上水用熱交換器30に供給された湯水は、上水一次側往き流路20を介して上水用熱交換器30に供給されている高温の熱媒体との熱交換により加熱される。上水用熱交換器30において加熱された高温の湯水は、上水二次側往き流路34を介して水量サーボ41に供給される。
水量サーボ41に供給された高温の湯水は、分岐流路40を介して供給された低温の湯水と混合されて所定温度に調整された後、上水流路35に流れ込む。上水流路35に流れ込んだ湯水は、給湯接続口46に接続された配管48を介して給湯栓47に供給され、給湯に使用される。
(給水運転)
給水運転は、液体加熱装置1の外部にある給水源から供給された湯水を上水用熱交換器30で熱交換加熱することなく、そのまま給湯栓47に供給する運転形態である。給水運転を実施する場合は、さらに具体的には、液体加熱装置1は、図示しない運転スイッチがオフ状態の場合は、給湯運転を行わない。すなわち、運転スイッチがオフ状態である場合は、上水加熱用ポンプ32が作動せず、貯留部6から上水用熱交換器30に熱媒体(熱エネルギー)が供給されない。そのため、この状態において給湯栓47が開栓されると、外部の給水源から給水流路33を介して供給された低温の湯水が上水用熱交換器30を素通りして給湯栓47に供給される。
本実施形態の液体加熱装置1は、上記した運転スイッチがオン状態であるか否かにかかわらず、負荷運転や追い焚き運転のように外部の給水源から供給された湯水(上水)の加熱を伴わない運転を実施できる構成とされている。そのため、液体加熱装置1は、仮に循環ポンプ32がオフ状態で故障し、貯留部6から上水用熱交換器30に熱媒体(熱エネルギー)を供給不可能な状態になったとしても、湯水を加熱して供給する給湯動作を実施することは不可能であるが、給水動作は実施することができる。
(負荷運転)
液体加熱装置1が負荷運転で運転する場合、図示しない負荷運転用の運転スイッチがオン状態とされると、燃焼部3が燃焼運転を開始し、貯留部6内に貯留されている熱媒体が加熱される。また、暖房戻り流路23に設けられた循環ポンプ66が作動し、貯留部6内の熱媒体が暖房往き流路22、暖房戻り流路23および配管69,70で構成される循環流路内を循環する。これにより、熱媒体を介して熱エネルギーが負荷端末75に供給される。
(落とし込み運転)
液体加熱装置1は、浴槽60に湯水を落とし込む落とし込み運転を湯張りモード、足し湯モード、足し水モードからなる3つの動作モードで実施することができる。足し水モードは、外部から供給された湯水を加熱することなく浴槽60に供給するモードである。液体加熱装置1が足し水モードで落とし込み運転を実施する場合は、湯水を加熱する必要がないため、上水加熱用ポンプ32を作動しない。すなわち、足し水モードで動作する場合は、外部から供給された低温の湯水の一部が上水用熱交換器30を素通りして水量サーボ41に供給されると共に、外部から供給された低温の湯水の残部が分岐流路40を介して水量サーボ41に流入して合流し、上水流路35および注湯バイパス流路50を介して浴槽60に落とし込まれる。
湯張りモードは、外部から供給された湯水を上水用熱交換器30において加熱して浴槽60に落とし込み、浴槽60に湯水を張るモードである。また、足し湯モードは、予めある程度の湯水が浴槽60に溜められている状況下で、浴槽60内に上水用熱交換器30において加熱された湯水を追加するモードである。
液体加熱装置1が湯張りモードあるいは足し湯モードで落とし込み運転で運転する場合は、給水源から供給された低温の湯水が上水用熱交換器30において加熱され、これが浴槽60に落とし込まれる。すなわち、湯張りモードあるいは足し湯モードで落とし込み運転が実施される場合は、外部の給水源から湯水が供給される。給水流路33の中途に設けられた水量センサ36が所定量以上の水量を検知すると、上水加熱用ポンプ32が作動し始める。
一方、液体加熱装置1が湯張りモードあるいは足し湯モードで落とし込み運転を実施する場合は、風呂戻り流路26の中途に設けられた三方弁80が熱交換器17側に閉止された状態とされると共に、上水流路35の分岐流路である注湯バイパス流路50に設けられた注湯電磁弁51が開かれる。これにより、上水用熱交換器30において加熱された湯水は、分岐流路40を介して供給された低温の湯水と水量サーボ41において混合された後、上水流路35および注湯バイパス流路50を経て、風呂戻り流路26に流入する。風呂戻り流路26に流入した湯水の一部は、そのまま配管78に流入し、浴槽60に落とし込まれる。また、風呂戻り流路26に流入した湯水の残部は、バイパス流路63を経て風呂往き流路25に流入し、配管77を介して浴槽60に落とし込まれる。
(追い焚き運転)
追い焚き運転は、貯留部6内に設けられたコイル式の熱交換器17と浴槽60との間で湯水の循環流を発生させ、貯留部6内に貯留されている高温の熱媒体との熱交換により、熱交換器17内を流れる湯水を加熱するモードである。さらに具体的には、液体加熱装置1が追い焚き運転で作動する場合は、上記した各運転で動作する場合と同様に燃焼部3が燃焼運転を実施し、貯留部6内の熱媒体が加熱される。また、追い焚き運転で運転を実施する場合は、風呂戻り流路26の中途に設けられた三方弁80の熱交換器17側のポートと循環ポンプ83側のポートとが連通した状態とされる。この状態で循環ポンプ83を作動させると、浴槽60内の湯水が配管78を介して吸い出されて風呂戻り流路26に流れ込み、熱交換器17に流入する。熱交換器17に流入した湯水は、貯留部6内の熱媒体との熱交換により加熱され、風呂往き流路25および配管77を介して浴槽60に戻される。これにより、浴槽60内の湯水が次第に加熱される。
本実施形態の液体加熱装置1は、上記した給湯運転や落とし込み運転のように、加熱系Hの外部から供給された湯水(上水)を上水用熱交換器30で加熱して供給すべき状態になると、図3に示すフローチャートに従って動作を行う。
図3に示すフローチャートによる制御では、液体加熱装置1に対して上水を加熱供給する旨の指令(以下、上水加熱要求と称す)があった際に、貯留部6に取り付けられた温度センサ24の検知温度Th、すなわち貯留部6内の液体の温度が所定温度Bよりも低温であることを条件として燃焼部3を燃焼作動させると共に上水加熱用ポンプ32を停止状態としておき、貯留部6内の熱媒体の昇温が促進される。
また、図3に示す制御方法では、上水加熱要求があってから、湯水を設定温度Stに調整して供給可能な状態になるまでの時間(以下、必要に応じて立ち上がり時間と称す)を最小限に抑制するための制御も実施される。すなわち、図3に示す制御方法では、貯留部6内の熱媒体の温度が通常流量の湯水(上水)を加熱するには低温であっても、所定温度C以上の温度に到達した時点で上水用熱交換器30に流入する湯水の流量を絞った状態で上水加熱用ポンプ32を起動し、立ち上がり時間を短縮させる。一方、貯留部6内の熱媒体の温度が所定温度E(E>C)に達すると、通常流量の湯水(上水)が上水用熱交換器30に供給されてもこれを設定温度Stあるいはこれに近い温度に加熱することができるものと想定されるため、前記した湯水の流量制限を解除する。以下、上水加熱要求に対して実施される液体加熱装置1の動作について、図3に示すフローチャートに則って順を追って詳細に説明する。
図3に示すように、制御手段90は、ステップ1において上水加熱要求の有無を確認する。本実施形態の液体加熱装置1では、給湯運転や落とし込み運転のように給水流路33を介して導入された湯水を加熱して使用する場合に、給湯栓47や注湯電磁弁51が開栓され、給水流路33に水流が発生するため、制御手段90は、水量センサ36によって検知される水量が所定の最低作動流量α以上になることを条件として上水加熱要求があったものと判断する。
ステップ1において上水加熱要求がない場合は、上水加熱用ポンプ32を停止状態として(ステップ10)、上水加熱要求が出されるのを待つ。一方、ステップ1において上水加熱要求が出されたことが確認されると、制御フローがステップ2に進められる。ステップ2では、貯留部6に取り付けられた温度センサ24により、貯留部6内に貯留されている湯水の温度が所定温度Bよりも高温であるか否かが確認される。ここで、所定温度Bは、貯留部6に貯留されている熱媒体を上水用熱交換器30に供給することにより、加熱系Hの外部から上水用熱交換器30に供給された湯水を十分加熱可能な温度に設定されている。本実施形態において、所定温度Bは80℃に設定されている。
ステップ2において温度センサ24の検知温度Thが所定温度B以上である場合は、貯留部6内の熱媒体が十分高温である。そのため、燃焼部3を改めて燃焼作動させなくても上水加熱用ポンプ32を作動させて熱媒体を貯留部6と上水用熱交換器30との間で循環させるだけで、給水流路33を介して導入された湯水を加熱することができる。そこで、ステップ2において検知温度Thが所定温度B以上であることを条件として制御フローがステップ11に進められ、上水加熱用ポンプ32がオン状態とされる。その後、制御フローは、ステップ1に戻される。
一方、上水用熱交換器30において湯水を設定温度Stに安定的に加熱するためには、温度センサ24の検知温度Thが所定温度B以上であることが望ましい。そこで、ステップ2において温度センサ24の検知温度Thが所定温度B未満である場合、制御手段90は、制御フローをステップ3に進め、燃焼部3を燃焼作動させて熱媒体を加熱する。この時、上水加熱用ポンプ32は停止状態に維持されており、上水用熱交換器30への熱媒体(熱エネルギー)の供給が停止している。
ステップ3において燃焼動作が開始すると、制御フローがステップ4に進められ、温度センサ24の検知温度Thが所定温度Eよりも低温であるか否かが確認される。ここで、所定温度Eは、上記した所定温度Bよりも低温に設定されている。所定温度Eは、湯水の供給設定温度Stよりも温度βだけ高い温度に設定されている。本実施形態において、所定温度Eは、供給設定温度Stより10℃高い温度(=St+10[℃])に設定されている。なお、所定温度Eは、一定の温度に設定されてもよく、例えば75℃に固定することも可能である。
ステップ4において、検知温度Thが所定温度Eよりも低いことが確認された場合は、貯留部6内に貯留されている熱媒体の温度が低い。ここで、上記したように、本実施形態の液体加熱装置1では、上水加熱要求が出された時点で貯留部6内の熱媒体が低温である場合における立ち上がり時間を最小限に短縮すべく、検知温度Thが所定温度C以上であるが所定温度E未満である場合に、検知温度Thが所定温度E以上になるまで上水用熱交換器30に対する湯水の流入量を制限することとしている。
そこで、図3に示す制御フローでは、ステップ4において検知温度Thを確認する。ステップ4において検知温度Th、すなわち貯留部6内の熱媒体の温度が所定温度E以上(E>C)である場合は、上記したように上水用熱交換器30に対して流入する湯水の流量制限を行わなくても、上水用熱交換器30に供給される湯水を設定温度Stあるいはこれに近い温度まで加熱することができるものと想定される。そのため、ステップ4において検知温度Thが所定温度E以上である場合は、制御フローがステップ12に進められて上水加熱用ポンプ32がオン状態とされ、湯水の加熱供給が開始される。その後、制御フローは、後述するステップ13に移行する。
一方、ステップ4において検知温度Thが所定温度Eよりも低い場合は、貯留部6内の湯水を安定的に熱交換加熱するために熱媒体の温度をさらに昇温させる必要がある。しかし、検知温度Thが所定温度Eよりも低温であっても前記した所定温度C以上の温度に到達していれば、貯留部6内の熱媒体の温度が通常流量の湯水(上水)を加熱するには低温であるが、上水用熱交換器30に供給される湯水が通常の流量よりもある程度少量であればこれを設定温度Stあるいはこれに近い温度まで加熱することができるものと想定される。そこで、ステップ4において検知温度Thが所定温度Eよりも低い場合は、制御フローがステップ5およびステップ6に進められ、水量調整弁43が閉動作を行う。これにより、上水流路35側に流出可能な湯水の量(以下、必要に応じて給湯流量と称す)が所定量F以下に規制される。
上記したようにして給湯流量が所定量F以下に規制されると、制御フローがステップ7に進み、検知温度Thが所定温度C以上に到達するのを待つ。ステップ7において検知温度Thが所定温度C以上になると、制御フローがステップ8に進み、上水加熱用ポンプ32がオン状態とされる。これにより、貯留部6内において加熱され、所定温度C以上になった熱媒体が上水用熱交換器30に供給される。一方、上記したように、外部から上水用熱交換器30に供給されている湯水の供給量は、通常時に比べて絞られ、所定量Fに調整されている。そのため、ステップ8において上水加熱用ポンプ32が作動し始めると、湯水を設定温度Stあるいはこれに近い温度に加熱された状態で加熱系Hの外部に供給可能な状態になる。
ステップ8において上水加熱用ポンプ32が作動し始めると、制御フローがステップ9に移行し、検知温度Thが所定温度E(E>C)になるまで給湯流量が所定量Fに調整されたまま、貯留部6内の熱媒体の加熱が継続される。ステップ9において検知温度Thが所定温度E以上になったことが確認されると、制御フローがステップ13に移行する。
ここで、貯留部6内の熱媒体の温度(検知温度Th)は、ステップ13に移行した時点で所定温度E以上に達しており、上水用熱交換器30に供給される湯水の量を通常の流量に戻してもこれを設定温度St程度まで加熱できるものと想定できる。そのため、制御フローがステップ13に移行すると、水量調整弁43が開動作を行う。これにより、上水流路35側(水量調整弁43の下流側)に流出可能な湯水の量(以下、必要に応じて給湯流量と称す)が、通常の流量に戻される。
ステップ13で水量調整弁43が開動作を開始すると、制御フローがステップ14に移行し、貯留部6内の熱媒体の温度(検知温度Th)が所定温度Aに達しているか否かが確認される。ここで、所定温度Aは、熱媒体の温度が十分高く、燃焼部3の燃焼作動を停止しても上水用熱交換器30において外部から供給された湯水を加熱供給できる温度に設定されている。本実施形態では、所定温度Aは、85℃に設定されている。
ステップ14において検知温度Thが所定温度A未満である場合は、燃焼部3が引き続き燃焼作動を実施し、熱媒体の加熱が継続される。一方、検知温度Thが所定温度A以上に達している場合、熱媒体の温度が湯水を設定温度Stまで十分加熱可能な温度に達しており、これ以上燃焼部3を燃焼作動させて熱媒体を加熱する必要がない。そのため、ステップ14において検知温度Thが所定温度A以上になっている場合は、制御フローがステップ15に進められ、燃焼部3が燃焼作動を停止し、一連の制御フローが完了する。
上記したように、本実施形態の液体加熱装置1では、上水加熱要求が出された状態になった時点における貯留部6内の熱媒体の温度(検知温度Th)が所定温度Cよりも低い場合に上水加熱用ポンプ32の起動が遅延された状態で燃焼部3が燃焼作動し、熱媒体が加熱される構成とされている。そのため、液体加熱装置1は、貯留部6内の熱媒体が所定温度C未満である場合に、上水用熱交換器30への熱媒体の供給が遮断され、熱媒体が上水用熱交換器30で放熱することによるエネルギーロスの発生を抑制すると共に、貯留部6内の熱媒体の昇温を促進させることができる。従って、液体加熱装置1は、上水供給動作の開始後、湯水を所定の設定温度Stで供給できるようになるまでのタイムラグやエネルギーロスを最小限に抑制することができる。
上記した液体加熱装置1は、貯留部6内における熱媒体の温度に応じて上水加熱用ポンプ32をオン状態あるいはオフ状態とするものであるため、例えば交流電源から電力供給を受けて作動する、いわゆるACポンプを採用することができる。
本実施形態の液体加熱装置1は、熱媒体の温度に基づいて上水加熱用ポンプ32をオン状態あるいはオフ状態とするものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば上水加熱用ポンプ32として直流電源から電力を受けて作動する、いわゆるDCポンプのように液体の圧送能力を調整可能なものを採用し、熱媒体の温度(検知温度Th)に応じて上水加熱用ポンプ32の圧送能力を調整する構成としてもよい。さらに具体的には、液体加熱装置1は、所定温度Cよりも低温である場合に、定常状態(本実施形態では、検知温度Thが所定温度E以上である状態)における圧送能力よりも低くなるように調整する構成としてもよい。かかる構成とした場合についても、上記実施形態の場合と同様に、上水供給動作の開始後、湯水を所定の設定温度Stで供給できるようになるまでのタイムラグやエネルギーロスを最小限に抑制することができる。
上記したように、液体加熱装置1は、給湯運転や落とし込み運転に使用される湯水(上水)を加熱するための上水用熱交換器30が貯留部6から離間した位置に配置されている。そのため、液体加熱装置1は、従来技術の液体加熱装置に比べて貯留部6の容量が小さく高さが低い。従って、液体加熱装置1は、装置構成がコンパクトである。
液体加熱装置1は、貯留部6と上水用熱交換器30との間で、貯留部6に貯留されている熱媒体を循環させ、この熱媒体との熱交換により湯水を加熱する構成とされている。そのため、液体加熱装置1は、湯水の加熱効率が高い。
また、液体加熱装置1は、湯水の加熱のために上水用熱交換器30に供給される熱媒体は、貯留部6に貯留されている熱媒体の一部である。そのため、液体加熱装置1は、貯留部6に貯留されている熱媒体が加熱の中途段階であり、対流等の影響で貯留部6内に存在する熱媒体に温度ムラ等があっても、これに殆ど左右されることなく湯水の供給温度を安定化することができる。従って、本実施形態の液体加熱装置1では、給湯運転時に給湯栓47を介して供給(排出)される湯水の温度や、落とし込み運転時に浴槽60に落とし込まれる湯水の温度が、各運転が開始してから設定温度Stで安定するまでに要する期間が短い。
液体加熱装置1は、上水用熱交換器30に供給される熱媒体が所定温度に到達していれば上水を所望の温度に加熱することができる。ここで、本実施形態の液体加熱装置1では、燃焼部3が貯留部6の下方から貯留部6内の熱媒体を加熱可能なものであるため、燃焼部3を燃焼作動させて貯留部6内の熱媒体を加熱すると熱媒体が対流を起こし、貯留部6の上方側の熱媒体が下方側の熱媒体に比べて高温になる傾向にある。また、本実施形態の液体加熱装置1では、貯留部6の上方側から熱媒体を取り出して上水用熱交換器30に供給し、貯留部6の下方側に戻す構成とされている。そのため、液体加熱装置1には、貯留部6内に存在する熱媒体のうち高温のものが優先的に上水用熱交換器30に供給される。従って、液体加熱装置1は、上水加熱要求があってから湯水を設定温度Stに加熱して供給できるまでに要する時間(立ち上がり時間)が短い。
また、本実施形態の液体加熱装置1では、上記したように対流等の影響で貯留部6の上部側に存在する熱媒体が下部側に存在するものよりも高温になり、給湯運転や落とし込み運転の停止時に上水用熱交換器30やこの近傍に滞留している湯水や熱媒体が過度に高温になるのを防止すべく、上水用熱交換器30が、貯留部6に対して下方に配置されている。そのため、液体加熱装置1は、給湯運転や落とし込み運転の開始直後に予期せぬ高温の湯水が供給される、いわゆる高温出湯が起こりにくい。
本実施形態の液体加熱装置1では、検知温度Thが所定温度C以上であり、所定温度E未満であることを条件として、水量調整弁43が閉動作を実施し、給水流路33(二次流路)を介して上水用熱交換器30に供給可能な湯水の流量が、検知温度Thが所定温度E以上である場合に上水用熱交換器30に供給される湯水の流量よりも少量(所定量F)となるように調整される。そのため、液体加熱装置1では、熱媒体の温度が所定温度E以上になるまで待たなくても、湯水を設定温度Stあるいはこの程度の温度に加熱して供給することができる。
上記実施形態では、検知温度Thが所定温度C以上であり、所定温度E未満であることを条件として、水量調整弁43の開度を絞ることにより上水用熱交換器30に供給される湯水の流量よりも少量(所定量F)になるように調整する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上水二次側往き流路34が接続される水量サーボ41の接続部41aの開度を絞る構成としてもよい。
上記実施形態では、検知温度Thが所定温度Eに到達していなくても所定温度C以上であることを条件として給水流路33を介して上水用熱交換器30に供給可能な湯水の流量を絞ると共に、上水加熱用ポンプ32を作動させて熱媒体を上水用熱交換器30に供給して熱交換加熱する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、液体加熱装置1は、例えば前記したような湯水の流量制限をせず、検知温度Thが所定温度Eに到達するまで上水加熱用ポンプ32を停止させておき、所定温度E以上になった時に上水加熱用ポンプ32を起動して熱媒体を上水用熱交換器30に供給すると共に、通常流量の湯水を上水用熱交換器30に供給して熱交換加熱する構成としてもよい。
本実施形態の液体加熱装置1では、貯留部6や加熱手段7、上水用熱交換器30等に加えて上水系統X、暖房系統Yおよび風呂系統Zの構成部材や配管を収容した構成とされている。そのため、液体加熱装置1は、貯留部6と上水用熱交換器30との間における熱媒体の往来等に伴う放熱や、上水用熱交換器30における放熱に伴う熱エネルギーロスが少ない。
液体加熱装置1は、上水用熱交換器30としてプレート型の熱交換器を採用しているため、上水用熱交換器30をさほど大きくしなくても所望の熱交換効率を得ることができる。よって、液体加熱装置1は、筐体W内において上水用熱交換器30の設置に要するスペースが小さく、全体の装置構成がコンパクトである。
上記実施形態では、上水用熱交換器30として、いわゆるプレート型の熱交換器を採用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の種類の熱交換器を採用してもよい。
上記したように液体加熱装置1は、上水一次側戻り流路21の中途に上水加熱用ポンプ32を設け、これを作動させることにより上水用熱交換器30と貯留部6との間で熱媒体を循環させることができる構成となっている。そのため、液体加熱装置1は、上水加熱用ポンプ32の動作を制御することにより、給湯用や落とし込み用に使用される上水の加熱状態を制御することができる。
液体加熱装置1は、水量サーボ41を有し、これに上水用熱交換器30において加熱された湯水と、外部から供給された低温の湯水とを供給して混合した後、上水流路35を介して給湯栓47に湯水を供給可能な構成とされている。また、液体加熱装置1は、上水流路35の中途に水量調整弁43が設けられている。そのため、本実施形態の液体加熱装置1は、上水一次側往き流路20や上水一次側戻り流路21、上水二次側往き流路34等の中途で放熱等が起こるなどしても、給湯用あるいは落とし込み用として供給される上水の温度を精度良く調整することができる。
また、液体加熱装置1は、水量サーボ41や水量調整弁43を設けた構成であるため、給湯運転中にリモコン91の操作により給湯の設定温度Stが急激に変更されたり、給湯栓47の操作により給湯流量が急激に変更されるなどして、湯水(上水)の供給条件が急激に変更された場合であっても安定的な出湯温度で給湯運転を実施することができる。
上記実施形態では、水量サーボ41や水量調整弁43を設けることにより、上水の供給温度を安定化させる構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、水量サーボ41や水量調整弁43のいずれか一方あるいは双方をもたない構成であってもよい。
上記したように、液体加熱装置1は、上水用熱交換器30を貯留部6の外部に配すると共に、貯留部6内の熱媒体を負荷端末75に供給したり、貯留部6内に配された熱交換器17において熱交換加熱することにより浴槽60内の湯水を追い焚き可能な構成とされている。そのため、液体加熱装置1では、貯留部6内に熱媒体を介して貯留されている熱エネルギーを負荷端末75の使用や浴槽60内の湯水の追い焚きに有効利用することができる。
また、本実施形態の液体加熱装置1は、循環ポンプ32を作動させて貯留部6内の熱媒体を上水用熱交換器30に供給することにより、給湯や落とし込みに使用される湯水(上水)を熱交換加熱できる。また逆に、循環ポンプ32を停止状態として上水用熱交換器30への貯留部6内の熱媒体の供給を停止することにより、外部から供給された湯水を上水用熱交換器30に素通りさせ、非加熱状態で供給することができる。そのため、液体加熱装置1は、循環ポンプ32を停止状態にすれば、負荷運転や追い焚き運転と、加熱系Hの外部から供給された湯水を非加熱状態で供給する給水運転や足し水モードでの落とし込み運転とを並行して実施することができる。また、液体加熱装置1は、故障等の理由で循環ポンプ32が作動できない状態においても、負荷運転や追い焚き運転と、給水運転や足し水モードでの落とし込み運転とを並行して実施することができる。
上記したように、液体加熱装置1は、循環ポンプ32を停止状態とすることにより、外部から供給された上水を非加熱状態で供給する(給水運転、足し水モードでの落とし込み運転)ことができる。そのため、液体加熱装置1は、例えば、いわゆる太陽熱温水器のような加熱装置によって加熱系Hの外部で予熱(加熱)された湯水を上水用熱交換器30に供給可能な構成とすれば、循環ポンプ32を作動させない状態であったり、循環ポンプ32が故障等で作動できない状態であっても加熱状態の湯水を給湯栓47や浴槽60に供給することができる。
上記した液体加熱装置1は、浴槽60内の湯水を追い焚きするために使用する熱交換器17を貯留部6の内部に配した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、熱交換器17を持たない構成であってもよい。かかる構成によれば、貯留部6をさらに小容量化したり、貯留部6の高さを低くすることができ、液体加熱装置1の小型化に資することができる。
また、液体加熱装置1は、追焚き用の熱交換器17としてコイル式の熱交換器を採用し、これを貯留部6内に配置した構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば上水用熱交換器30と同様に貯留部6の外部に別途熱交換器を配し、これに貯留部6内の熱媒体を供給することによって浴槽60内の湯水を追い焚き可能な構成としてもよい。
なお、貯留部6の外部に追い焚き用の熱交換器を配置する構成とした場合についても、負荷端末75に熱エネルギーを供給するために必要な量の熱媒体を貯留部6に貯留して加熱可能な構成とする必要がある。そのため、貯留部6の容量が負荷端末75に供給する熱媒体の加熱に対して必要最小限の大きさである場合は、追い焚き用の熱交換器を貯留部6の外部に設けることによる、液体加熱装置1の装置構成のコンパクト化に対する寄与が小さいものと想定される。従って、液体加熱装置1は、上記したように貯留部6の容量を負荷端末75に供給する熱媒体の加熱に対して必要最小限の大きさとしつつ、追い焚き用の熱交換器17を貯留部6の内部に収容した構成とすることにより装置構成をコンパクト化することができる。
上記実施形態では、貯留部6の下方に加熱手段7を配し、貯留部6内に貯留されている熱媒体を貯留部6の下方側から加熱可能な構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば加熱手段7としていわゆる逆燃焼方式の燃焼形態をとるものを採用し、これを貯留部6の上方側に加熱手段7を配した構成としたり、加熱手段7を貯留部6の側方から貯留部6内の熱媒体を加熱可能な構成とすることも可能である。かかる構成とした場合についても、熱媒体が貯留部6内において対流を起こし、貯留部6の上方側に存在する熱媒体が下方側よりも高温になる可能性が高い。すなわち、加熱手段7を貯留部6の下方や上方、側方に配置することにより貯留部6が局所的に高温になると対流が起こり、熱媒体の温度分布が発生する可能性が高い。そのため、かかる構成の場合に、上記した液体加熱装置1と同様の構成を採用すれば、いわゆる出湯特性の改善や省エネルギーに資することができる。
上記実施形態では、貯留部6の下方に加熱手段7を配し、貯留部6内に貯留されている熱媒体を貯留部6の下方側から加熱可能な構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば加熱手段7としていわゆる逆燃焼方式の燃焼形態をとるものを採用し、これを貯留部6の上方側に加熱手段7を配した構成としたり、加熱手段7を貯留部6の側方から貯留部6内の熱媒体を加熱可能な構成とすることも可能である。かかる構成とした場合についても、熱媒体が貯留部6内において対流を起こし、貯留部6の上方側に存在する熱媒体が下方側よりも高温になる可能性が高い。すなわち、加熱手段7を貯留部6の下方や上方、側方に配置することにより貯留部6が局所的に高温になると対流が起こり、熱媒体の温度分布が発生する可能性が高い。そのため、かかる構成の場合に、上記した液体加熱装置1と同様の構成を採用すれば、いわゆる出湯特性の改善や省エネルギーに資することができる。