JP4770519B2 - 有機発光装置、有機発光装置の製造方法および電子機器 - Google Patents

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本発明は、有機発光装置、有機発光装置の製造方法および電子機器に関するものである。
有機発光材料を使用したエレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示装置(有機発光装置)が備える有機発光素子としての用途が有望視されるなど、多くの開発が行われている(例えば、特許文献1参照)。
一般に、有機EL素子は、陰極と陽極との間に有機発光材料で構成される有機発光層を有する構成であり、陰極と陽極との間に電界を印加すると、有機発光層に陰極側から電子が注入され、陽極側から正孔が注入される。
そして、注入された電子と正孔とが有機発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際の失活エネルギーの少なくとも一部を光エネルギーとして放出することにより、有機発光層が発光する。
このような有機EL素子において、陰極の構成材料としては、通常、陰極から有機発光層への電子(キャリア)の注入効率を向上させることを目的に、リチウムのようなアルカリ金属やカルシウムのようなアルカリ土類金属等の金属材料を主材料として用いることが多い。
ところが、このような金属材料は、極めて反応性が高いため、水分や酸素のような酸素含有物質と接触すると容易に変質・劣化する。そして、この金属材料に変質・劣化が生じると、すなわち陰極に変質・劣化が生じると、陰極から有機発光層への電子の注入が円滑に行われず、有機EL素子の発光効率等の特性が低下するという問題がある。
また、このような問題は、有機発光材料も前記酸素含有物質に対する反応性を有するため、有機発光材料が変質・劣化することによっても同様に生じている。
かかる問題を解決すること、すなわち、有機EL素子の各部の変質・劣化を防止することを目的に、酸素含有物質に対してガスバリア性を有する封止材を用いて有機EL素子を封止して、有機EL素子の外部から内部への酸素含有物質の移動(浸入)を抑制または防止する必要がある。
このような方法として、例えば、特許文献2には、2枚のガラス基板の間に有機EL素子を設けた後、これらのガラス基板の間で露出する有機EL素子の側面を含む各部を、エポキシ樹脂を用いて覆うことにより、有機EL素子を封止する方法が提案されている。
ところが、このような方法に用いられるガラス基板のような封止材は、優れたガスバリア性を発揮するものの、エポキシ樹脂等の光硬化性樹脂は、封止材と比較して酸素含有物質に対するガスバリア性に劣るため、この光硬化性樹脂を介して、酸素含有物質が有機EL素子中に入り込むという問題がある。そのため、上述したような方法では、有機EL素子の特性の低下を防止することができるのに十分な封止効果が得られていないのが実情である。
特開平10−153967号公報 実開昭64−1498号公報
本発明の目的は、発光効率等の特性の低下が好適に抑制または防止された有機発光素子を備える有機発光装置、かかる有機発光装置を製造することができる有機発光装置の製造方法、この有機発光装置を備えた信頼性の高い電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の有機発光装置は、少なくとも一方の面付近が主として無機材料で構成された基板と、
前記一方の面上に形成された発光領域と、
前記発光領域を囲む第1のバンクと、
前記第1のバンクを囲む非発光領域と、
前記非発光領域を囲む第2のバンクと、を有し、
前記発光領域が、前記基板上に形成された第1の電極と、前記第1の電極上に形成された有機発光層と、前記有機発光層上に形成された第2の電極と、前記第2の電極上に形成された、無機材料を含む封止層と、を含み、
前記封止層が前記第1のバンクの上に重なり、前記非発光領域の少なくとも一部に延在して形成されるとともに、当該非発光領域において、前記基板に直接、または主として無機材料で構成された無機物層を介して接合されていることを特徴とする。
これにより、封止層が発光領域の上側を覆うだけでなく、発光領域を取り囲むバンクを覆うことも可能となるため、発光領域の有機発光層の劣化を抑制することができる。
本発明の有機発光装置では、前記第1のバンクが、無機材料を含む第1層と有機材料を含む第2層とを含み、
前記第2のバンクが、無機材料を含む第1層と有機材料を含む第2層とを含み、
前記非発光領域が、無機材料を含む第1層を含み、
前記第1のバンクの第1層と前記第2のバンクの第1層と前記非発光領域の第1層とが同一の層であり、前記封止層が前記非発光領域の第1層に接することが好ましい。
これにより、封止層が発光領域を取り囲む第1のバンクの有機材料を含む部分を覆うことも可能となるため、有機材料を含む第1のバンクを有する有機発光装置における発光領域の有機発光層の劣化を抑制することができる。
本発明の有機発光装置では、前記基板と前記画素電極との間に無機材料を含む絶縁物層が形成され、前記封止層の一部が前記非発光領域の少なくとも一部において前記絶縁物層と接することが好ましい。
これにより、無機材料を含む封止層と無機材料を含む絶縁物層とで発光領域を囲むことができるため、発光領域の有機発光層の劣化をさらに抑制することができる。
本発明の有機発光装置では、前記封止層の少なくとも一部が、前記第2のバンクの上に延在して形成されることが好ましい。
これにより、非発光領域における封止層と基板または無機物層との界面の露出を防止することも可能であるので、界面からの水分の浸入を抑制する効果を高めることができる。
本発明の有機発光装置では、前記封止層は、絶縁材料を主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、封止層は、より優れたガスバリア性を発揮するものとなる。
本発明の有機発光装置では、前記陰極は、前記陽極の前記基板と反対側に設けられており、
前記封止層は、主として前記陰極の構成材料より仕事関数が大きい導電材料で構成され、前記陰極と接触するように設けられ、これにより、前記陰極の導電性を向上させたことが好ましい。
これにより、封止層に、陰極の導電性を向上させる補助電極としての機能を発揮させることができる。
本発明の有機発光装置では、各前記有機発光素子の前記陰極は、一体的に形成されていることが好ましい。
かかる構成の陰極を備える有機発光装置に、本発明を適用することにより、封止層は、陰極の導電性を向上させる補助電極としての機能をより顕著に発揮することとなる。
本発明の有機発光装置では、前記封止層は、その平均厚さが50〜300nmであることが好ましい。
これにより、封止層としての機能すなわちガスバリア層としての機能を確実に発揮させることができる。
本発明の有機発光装置では、前記封止層の前記基板と反対側に設けられ、前記封止層を保護する機能を有する保護層を有することが好ましい。
これにより、封止層を形成した後の工程において、封止層が傷ついてしまうのを確実に防止することができる。これにより、有機発光素子の外部から内部への酸素含有物質の移動(浸入)を防止または抑制する機能を封止層に確実に発揮させることができる。
本発明の有機発光装置では、前記無機物層は、導電材料で構成され、
当該無機物層が前記有機発光装置から露出する外部接続部において端子部を構成するとともに、前記無機物層の少なくとも一部が、前記陰極と前記端子部とを電気的に接続する配線を構成することが好ましい。
本発明の有機発光装置では、各前記有機発光素子に対応して、個別のスイッチング素子を設けるアクティブマトリクス型発光装置であることが好ましい。
かかる構成の有機発光装置に、本発明を適用することにより、有機発光素子の外部から内部への、水分や酸素のような酸素含有物質の移動をより好適に抑制または防止することができる。
本発明の有機発光装置の製造方法は、少なくとも一方の面付近が主として無機材料で構成され、該一方の面側に主として無機材料で構成された無機物層を備える基板を用意する第1の工程と、
前記無機物層の前記基板と反対側に、前記第1の電極を形成した後、前記第1のバンクと前記第2のバンクとを形成することで、前記発光領域と、前記非発光領域とを設ける第2の工程と、
前記発光領域に位置する前記第1の電極上に、前記有機発光層と、前記第2の電極とを形成する第3の工程と、
前記封止層を、前記第2の電極および前記第1のバンクの上に重なり、前記非発光領域の少なくとも一部に延在して形成されるとともに、前記非発光領域において、前記基板に直接、または前記無機物層を介して接合されるように形成する第4の工程とを有することを特徴とする。
これにより、有機発光素子の外部から内部への酸素含有物質の移動が好適に抑制または防止され、発光効率等の特性の低下が好適に抑制または防止された有機発光素子を備える有機発光装置を製造することができる。
本発明の電子機器は、本発明の有機発光装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
以下、本発明の有機発光装置、有機発光装置の製造方法および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態について説明する。
なお、以下では、本発明の発光装置を、アクティブマトリックス型発光装置に適用した場合を一例に説明する。
<アクティブマトリックス型発光装置>
まず、本発明の発光装置を、アクティブマトリクス型発光装置に適用した場合の第1実施形態について説明する。
<<第1実施形態>>
図1〜図4は、本発明の発光装置を適用したアクティブマトリックス型発光装置の第1実施形態を示す図であり、図1は平面図であり、図2〜図4は縦断面図である。なお、図2、図3および図4は、それぞれ、図1中のA−A線断面、B−B線断面およびC−C線断面に対応する断面を示す縦断面図である。また、図5は、アクティブマトリックス型発光装置の第1実施形態における貫通部の他の構成を示す縦断面図である。なお、図2〜図5では、見易くするために、本実施形態で説明する主要な箇所以外は、断面であることを示すハッチングを付けて示すことを省略する。さらに、図1〜図5では、それぞれに示す各部は、その相対的な関係が若干異なっている。また、以下の説明では、図1の紙面手前側を「上」、奥側「下」、図2〜図5 中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1〜図4に示すアクティブマトリックス型発光装置(以下、単に「発光装置」と言う。)10は、TFT回路基板(基板)20と、TFT回路基板20上に設けられた配線層29および層間絶縁層26と、層間絶縁層26上に設けられた複数の有機EL素子(有機発光素子)1と、各有機EL素子1を区画する隔壁部35と、各有機EL素子1の上側に設けられた封止層9と、封止層9の上側に設けられた保護層91とを有している。
TFT回路基板20は、支持基板21と、この支持基板21上に形成された回路部22とを有している。
支持基板21は、発光装置10を構成する各部の支持体となるものである。
また、本実施形態の発光装置10は、支持基板21(後述する陽極3)側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)であるため、支持基板21は、実質的に透明(無色透明、着色透明、半透明)とされる。
このような支持基板21には、透光性を有する各種ガラス材料基板および各種樹脂基板のうち比較的硬度の高いものが好適に用いられる。
具体的には、例えば、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料等を主材料として構成される基板を用いることができる。
支持基板21の平均厚さは、特に限定されないが、1〜30mm程度であるのが好ましく、5〜20mm程度であるのがより好ましい。
回路部22は、支持基板21上に形成された複数の駆動用TFT(スイッチング素子)24と、ゲート絶縁層23と、絶縁層25とを有している。なお、図2および図4中では、説明の都合上、駆動用TFT24を1つだけ記載したが、実際には、図1に示した各有機EL素子1に対応するように、駆動用TFT24は支持基板21上においてマトリクス状に形成されている。
ゲート絶縁層23および絶縁層25は、主として絶縁性を有する無機材料で構成されており、それぞれ、同一の無機材料で構成されていてもよいし、異なる無機材料で構成されていてもよい。
ゲート絶縁層23および絶縁層25の構成材料(絶縁性を有する無機材料)としては、特に限定されないが、例えば、SiO、SiON、SiN、TiN、AlNおよびAlOx(酸化アルミAl)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
駆動用TFT24は、支持基板21上に形成されたソース領域244およびドレイン領域245と、ソース領域244およびドレイン領域245との間に形成されたチャネル領域241と、チャネル領域241上に形成されたゲート絶縁層23と、ゲート絶縁層23上に形成されたゲート電極243とを有している。なお、ソース領域244およびドレイン領域245は、それぞれ、接続部27および接続部28に電気的に接続されている。
配線層29は、絶縁層25上に設けられている。
この配線層29は、複数の配線を含んでおり、層間絶縁層26が開口している電気接続部12において、その一部が後述する陰極8と電気的に接続され、また、図示されないが、他の一部が接続部27に接続され、これにより、ソース領域244と配線層29とが電気的に接続されている。そして、配線層29は、層間絶縁層26が開口している外部接続部14において、駆動用TFT24の作動を制御する集積回路と電気的に接続し得るように、この外部接続部14から露出する端子部291を備え、この端子部291に全ての前記配線が電気的に接続されている。
配線層29は、主として金属材料で構成される。
この金属材料としては、優れた導電性を有するものが好適に用いられ、例えば、アルミニウム、銅、タンタル、モリブデン、チタンおよびタングステン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
層間絶縁層26は、TFT回路基板20と有機EL素子1とを分離する機能を有するものであり、配線層29を覆うように絶縁層25上に設けられている。
層間絶縁層26は、前述したゲート絶縁層23および絶縁層25と同様に、主として絶縁性を有する無機材料で構成されている。
層間絶縁層26の構成材料としては、前述した絶縁性を有する無機材料と同様のものを用いることができる。
なお、本実施形態では、絶縁層25がTFT回路基板(基板)20の上側の面を構成し、この絶縁層25上に形成された配線層29と層間絶縁層26とが、主として無機材料で構成された無機物層を構成する。
このような層間絶縁層26を介在させた状態で、各駆動用TFT24に対応して、それぞれ、有機EL素子1が設けられている。
また、隣接する有機EL素子1(有機発光層5)同士を区画し、かつ、複数の有機EL素子1が設けられた発光領域11を規定する、第1隔壁部(第1層)31および第2隔壁部(第2層)32により構成される隔壁部35が層間絶縁層26上に設けられている。 ここで、第1隔壁部31および第2隔壁部32の構成材料は、耐熱性、撥液性、インク溶剤耐性、下地層との密着性等を考慮して選択され、第1隔壁部31および第2隔壁部32の構成材料としては、それぞれ、無機材料および有機材料が選択される。
具体的には、第1隔壁部31の構成材料としては、例えば、SiO、SiON、SiN、TiN、AlNのような無機材料が挙げられる。
また、第2隔壁部32の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂のような有機材料が挙げられ、中でも、フッ素系樹脂を用いることにより、第2隔壁部32の耐吸湿性の向上を図ることができる。
なお、第1隔壁部31は、有機半導体層7(正孔輸送層4、有機発光層5および電子輸送層6)の構成によっては、その形成を省略することもできる。
このような隔壁部35の高さは、陽極3および有機半導体層7の合計の厚さに応じて適宜設定され、特に限定されないが、30〜500nm程度とするのが好ましい。かかる高さとすることにより、十分に隔壁部(バンク)としての機能が発揮される。
本実施形態では、図1中で示すほぼ太線で囲まれた領域またはその近傍を含む領域、すなわち、複数の有機EL素子1と隔壁部35の一部とを含む領域により発光領域11が構成される。そして、隔壁部35すなわち発光領域11の外周部を囲むように、非発光領域である貫通部13が形成されており、この貫通部13において、層間絶縁層26と封止層9が接合されている。
ここで、隔壁部35は、発光領域11に位置し有機半導体層7同士を区画するとともに発光領域11を囲む(規定する)第1の部分(第1のバンク)351と、発光領域11の外側に位置し貫通部13を囲む第2の部分(第2のバンク)352とに分かれて形成されている。言い換えれば、第1の部分351が発光領域11を囲み、非発光領域が第1の部分351を囲み、第2の部分352が非発光領域を囲む構成になっている。
また、本実施形態では、各有機EL素子1の陽極3は、画素電極(第1の電極)を構成し、各駆動用TFT24のドレイン領域245に接続部27を介して電気的に接続されている。また、正孔輸送層4と、有機発光層5と、電子輸送層6とを備える有機半導体層7は、各有機EL素子1に対して個別に形成されており、陰極8は、共通電極(第2の電極)とされる。
以下、有機EL素子1の構成について説明する。
図2および図4に示すように、有機EL素子1は、陽極3と、陰極8と、陽極3と陰極8との間に設けられた有機半導体層7とを有している。なお、本実施形態では、有機半導体層7は、陽極3側から正孔輸送層4と有機発光層5と電子輸送層6とがこの順で積層された積層体となっている。
陽極3は、有機半導体層7(本実施形態では、正孔輸送層4)に正孔を注入する電極である。
この陽極3の構成材料(陽極材料)としては、発光装置10が陽極3側から光を取り出すボトムエミッション構造であるため透光性を有する導電材料が選択され、特に、仕事関数が大きく、優れた導電性を有するものが好適に用いられる。
このような陽極3の構成材料としては、インジウムティンオキサイド(ITO)、フッ素含有インジウムティンオキサイド(FITO)、アンチモンティンオキサイド(ATO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、アルミニウムジンクオキサイド(AZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、フッ素含有酸化スズ(FTO)、フッ素含有インジウムオキサイド(FIO)、インジウムオキサイド(IO)、等の透明導電性材料が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を用いることができる。
陽極3の平均厚さは、特に限定されないが、10〜500nm程度であるのが好ましく、50〜200nm程度であるのがより好ましい。陽極3の厚さが薄すぎると、陽極3としての機能が充分に発揮されなくなるおそれがあり、一方、陽極3が厚過ぎると、陽極材料の種類等によっては、光の透過率が低下して、ボトムエミッション型の構造を有する有機EL素子1として、実用に適さなくなるおそれがある。
このような陽極3は、その光(可視光領域)の透過率が好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上となっている。これにより、光を効率よく陽極3側から取り出すことができる。
一方、陰極8は、有機半導体層7(本実施形態では、電子輸送層6)に電子を注入する電極である。
この陰極8の構成材料(陽極材料)としては、電子輸送層6への電子の注入効率を向上させることを目的に、優れた導電性を発揮するもののうち、特に、仕事関数が小さいものが好適に用いられる。
このような陰極8の構成材料としては、例えば、Li、Na、K、Rb、CsおよびFrからなるアルカリ金属、および、Be、Mg、Ca、Sr、BaおよびRaからなるアルカリ土類金属等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、陰極8の構成材料として、上述したような金属を含む合金を用いる場合には、Ag、Al、Cu等の安定な金属を含む合金、具体的には、MgAg、AlLi、CuLi等の合金を用いるようにすればよい。かかる合金を陰極8の構成材料として用いることにより、電子の電子輸送層6への注入効率および陰極8の安定性の向上を図ることができる。
このような陰極8は、その仕事関数が好ましくは4.0eV以下、より好ましくは1.8〜3.0eV程度となっている。これにより、陰極8から電子輸送層6への電子の注入効率をより向上させることができる。
陰極8の平均厚さは、特に限定されないが、10〜500nm程度であるのが好ましく、50〜200nm程度であるのがより好ましい。陰極8の厚さが薄すぎると、陰極8の機能が充分に発揮されなくなるおそれがあり、一方、陰極8が厚過ぎると、有機EL素子1の発光効率等の特性が低下するおそれがある。
このような陽極3と陰極8は、反対に形成されていてもよい。つまり、例えば画素電極である第1の電極が陰極であって、例えば共通電極である第2の電極が陽極であってもよい。
陽極3と陰極8との間には、前述したように、正孔輸送層4と有機発光層5と電子輸送層6とを備える有機半導体層7とが設けられている。
正孔輸送層4は、陽極3から注入された正孔を有機発光層5まで輸送する機能を有するものである。
この正孔輸送層4の構成材料(正孔輸送材料)としては、例えば、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記化合物は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
なお、正孔輸送材料としては、上述したような高分子材料や低分子材料のような有機系材料の他、例えば、MoO、V、TiO、Cu(II)O、Cu(I)O、NiO、CoO、ZnOのような金属酸化物を用いることもできる。
このような正孔輸送層4の平均厚さは、特に限定されないが、5〜150nm程度であるのが好ましく、20〜100nm程度であることがより好ましい。
なお、陽極3と正孔輸送層4との間には、例えば、陽極3からの正孔注入効率を向上させる正孔注入層を設けるようにしてもよい。
この正孔注入層の構成材料(正孔注入材料)としては、例えば、銅フタロシアニンや、4,4’,4’’−トリス(N,N−フェニル−3−メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)等が挙げられる。
また、電子輸送層6は、陰極8から注入された電子を有機発光層5まで輸送する機能を有するものである。
電子輸送層6の構成材料(電子輸送材料)としては、例えば、1,3,5−トリス[(3−フェニル−6−トリ−フルオロメチル)キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ1)、1,3,5−トリス[{3−(4−t−ブチルフェニル)−6−トリスフルオロメチル}キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ2)のようなベンゼン系化合物、ナフタレン系化合物、フェナントレン系化合物、クリセン系化合物、ペリレン系化合物、アントラセン系化合物、ピレン系化合物、アクリジン系化合物、スチルベン系化合物、BBOTのようなチオフェン系化合物、ブタジエン系化合物、クマリン系化合物、キノリン系化合物、ビスチリル系化合物、ジスチリルピラジンのようなピラジン系化合物、キノキサリン系化合物、2,5−ジフェニル−パラ−ベンゾキノンのようなベンゾキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)のようなオキサジアゾール系化合物、3,4,5−トリフェニル−1,2,4−トリアゾールのようなトリアゾール系化合物、オキサゾール系化合物、アントロン系化合物、1,3,8−トリニトロ−フルオレノン(TNF)のようなフルオレノン系化合物、MBDQのようなジフェノキノン系化合物、MBSQのようなスチルベンキノン系化合物、アントラキノジメタン系化合物、チオピランジオキシド系化合物、フルオレニリデンメタン系化合物、ジフェニルジシアノエチレン系化合物、フローレン系化合物、8−ヒドロキシキノリン アルミニウム(Alq)、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする錯体のような各種金属錯体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子輸送層6の平均厚さは、特に限定されないが、1〜100nm程度であるのが好ましく、20〜50nm程度であるのがより好ましい。
なお、陰極8と電子輸送層6との間には、例えば、陰極8から電子輸送層6への電子の注入効率を向上させる電子注入層を設けるようにしてもよい。
この電子注入層の構成材料(電子注入材料)としては、例えば、8−ヒドロキシキノリン、オキサジアゾール、または、これらの誘導体(例えば、8−ヒドロキシキノリンを含む金属キレートオキシノイド化合物)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
ここで、陽極3と陰極8との間に通電(電圧を印加)すると、正孔輸送層4中を移動した正孔が有機発光層5に注入され、また、電子輸送層6中を移動した電子が有機発光層5に注入され、この有機発光層5において正孔と電子とが再結合する。そして、有機発光層5ではエキシトン(励起子)が生成し、このエキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出(発光)する。
有機発光層5の構成材料(発光材料)としては、例えば、1,3,5−トリス[(3−フェニル−6−トリ−フルオロメチル)キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ1)、1,3,5−トリス[{3−(4−t−ブチルフェニル)−6−トリスフルオロメチル}キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ2)のようなベンゼン系化合物、フタロシアニン、銅フタロシアニン(CuPc)、鉄フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリノレート)アルミニウム(Alq)、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))のような低分子系のものや、オキサジアゾール系高分子、トリアゾール系高分子、カルバゾール系高分子、フルオレン系高分子のような高分子系のものが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。各種の高分子材料や、各種の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。
有機発光層5の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nm程度であるのが好ましく、50〜100nm程度であるのがより好ましい。
なお、有機半導体層7は、本実施形態のように、正孔輸送層4と有機発光層5と電子輸送層6とにより構成される積層体すなわち有機発光層5を含む複数層の積層体である場合の他、例えば、正孔輸送層4または電子輸送層6のいずれかの形成を省略した有機発光層5を含む複数層の積層体や、正孔輸送層4および電子輸送層6の形成を省略した有機発光層5で構成される単層体であってもよい。
さて、封止層9は、有機EL素子1の外部から内部への水分(水蒸気)や酸素のような酸素含有物質の移動(浸入)を防止または抑制する機能を有するものである。
本発明の有機発光装置では、この封止層9の構成に特徴を有しており、本実施形態では、封止層9は、無機材料で構成され、発光領域11を包含するように設けられるとともに、発光領域11の外周部すなわち貫通部13において層間絶縁層26(無機材料で構成された無機物層)を介してTFT回路基板(基板)20に接合されている。
封止層9をかかる構成とすることにより、無機材料で構成される層(本実施形態では、封止層9および層間絶縁層26)で、各有機EL素子1が取り囲まれることとなる。
すなわち、無機材料で構成される層で囲まれる空間(気密空間)が形成され、この空間内に各有機EL素子1が閉じ込められることとなる。
ここで、無機材料で構成される層は、一般的に、気密性が高く、優れたガスバリア性を発揮することから、各有機EL素子1を無機材料で構成される層で取り囲むことにより、有機EL素子1の外部から内部への酸素含有物質の移動(浸入)を好適に抑制または防止することができる。その結果、有機EL素子の各部、特に、陰極8が前述したようなアルカリ金属やアルカリ土類金属等の仕事関数の小さい材料で構成される場合、この陰極8が経時的に変質・劣化するのを好適に抑制または防止される。これにより、有機EL素子1の発光効率等の特性が低減するのを確実に防止することができる。
また、本発明の有機発光装置は、すなわち、封止層9を上述したような構成で設けることは、本実施形態のように、発光装置10が有機材料で構成される第2隔壁部(バンク)32を有するものに適用するのが好適である。かかる構成の発光装置10に本発明の有機発光装置を適用することにより、有機材料で構成される層(第2隔壁部32)が発光装置10の外側に露出するようになるのを確実に防止することができる。すなわち、有機材料で構成される層(以下、このものを「有機物層」という。)を介在させることなく、無機材料で構成される層により各有機EL素子1を取り囲むことができる。
ここで、前述した従来の問題点で説明したように、発光装置を、エポキシ樹脂のような接着剤(有機材料)で構成される有機物層がその外側に露出するような構成とすると、有機物層のガスバリア性が無機物層と比較して低いために、この有機物層を介して、発光装置が備える有機EL素子の外部から内部に水分(水蒸気)や酸素のような酸素含有物質が移動してしまうことが判っている。それに対して、封止層9を上述したような構成で設けることにより、有機物層を介在させることなく、無機材料で構成される層により各有機EL素子1を取り囲むことができることから、第2隔壁部32(有機物層)を介した発光装置10(有機EL素子1)の外部から内部への酸素含有物質の移動を確実に防止することができる。
また、本実施形態のように、封止層9が第1の部分351の上に重なり、貫通部(非発光領域)13の少なくとも一部に延在して形成される構成とすることにより、封止層9が発光領域11の上側を覆うだけでなく、発光領域11を取り囲む第1の部分351を覆うことも可能となるため、発光領域11の有機半導体層7(特に、有機発光層5)の劣化を抑制することができる。
さらに、封止層9の少なくとも一部が、第2の部分352の上に延在して形成されている。かかる構成とすることにより、貫通部(非発光領域)13における封止層9と層間絶縁層26との界面の露出を防止することも可能であるので、界面からの水分の浸入を抑制する効果を高めることができる。
封止層9の構成材料(無機材料)としては、封止層9が前述したようなガスバリア性を発揮し得るものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、絶縁材料または陰極8の構成材料よりも導電性の高い導電材料が好適に用いられる。
無機材料を、絶縁材料を主材料として構成することにより、封止層9は、より優れたガスバリア性を発揮するものとなる。
このような絶縁材料としては、例えば、SiO、SiON、SiN、TiNおよびAlN等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、SiNを用いるのがより好ましい。SiNを主材料として構成される封止層9は、特に優れたガスバリア性を発揮するものとなる。
なお、本発明の有機発光装置をトップエミッション型の発光装置に適用する場合には、前記絶縁材料としては、透光性に優れたものが好適に選択され、例えば、SiO、SiON等を用いることができる。
また、本実施形態のように、陰極8を、陽極3の上側で、かつ、封止層9と接触するように設けた場合には、封止層9を、主として陰極8の構成材料より仕事関数が大きい導電材料で構成することにより、陰極8の導電性を向上させることができる。すなわち、封止層9に、陰極8の導電性を向上させる補助電極としての機能を発揮させることができる。
そのため、陰極8と封止層(補助電極)9とで一つの陰極(積層構成の陰極)を構成しているとも言える。
陰極8の構成材料の仕事関数と封止層9の導電材料との仕事関数の大きさの関係は、具体的には、仕事関数が4.0eV以下の構成材料を主材料として陰極8を構成した場合、導電材料の仕事関数は、4.0eVを超えるのが好ましく、4.5〜5.5eV程度であるのがより好ましい。かかる関係を満足させることにより、封止層9に、陰極8の導電性を向上させる補助電極としての機能をより顕著に発揮させることができる。
このような導電材料としては、例えば、Au、Al、Ni、W、Pt、Ag、CuおよびMo等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような導電材料で封止層9を構成することにより、封止層9は優れた導電性を有するものとなる。そして、陰極8を前述したような仕事関数の小さい材料で構成することにより、陰極8は高い電子輸送層6への電子注入効率を有するものとなる。そのため、陰極8と封止層9を一つの陰極として見た場合、これら双方の機能を兼ね備えた陰極と言うことができる。さらに、積層構成の陰極として見た場合、封止層9が電極(陰極)を構成し、陰極8が電子注入層を構成しているとも言うことができる。
なお、本実施形態では、各有機EL素子1の陰極8は一体的に形成されている。かかる構成の発光装置10において、封止層9を導電材料で構成することにより、封止層9の補助陰極としての機能をより顕著に発揮させることができる。その結果、陰極8の導電性がより向上することとなる。
封止層9の平均厚さは、特に限定されないが、50〜300nm程度であるのが好ましく、100〜200nm程度であるのがより好ましい。封止層9の厚さが薄すぎると、封止層9としての機能すなわちガスバリア層としての機能が充分に発揮されなくなるおそれがある。一方、封止層9を前記上限を超えて厚くしても、それ以上の効果が期待できない。
なお、本実施形態のように、TFT回路基板(基板)20と陽極(画素電極)3との間に無機材料を含む層間絶縁層(絶縁物層)26が形成され、封止層9の一部が貫通部(非発光領域)13の少なくとも一部において層間絶縁層26と接する構成とすることにより、無機材料を含む封止層9と無機材料を含む層間絶縁層26とで発光領域11を囲むことができるため、発光領域11の有機半導体層7(特に、有機発光層5)の劣化をさらに抑制することができる。
また、本実施形態では、封止層9上に保護層91が形成されている。
この保護層91は、封止層9を保護する機能を有するものである。かかる構成とすることにより、駆動用TFT24の作動を制御する集積回路と配線層29とを外部接続部において接続する工程等において、封止層9が傷ついてしまうのを確実に防止することができる。これにより、有機EL素子1の外部から内部への酸素含有物質の移動(浸入)を防止または抑制する機能を封止層9に確実に発揮させることができる。
保護層91の構成材料としては、絶縁性を有するものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ポリパラキシリレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルフェノールのような有機系の絶縁材料や、SiO、SiON、SiN、TiN、AlNのような無機系の絶縁材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
保護層91の平均厚さは、特に限定されないが、50〜300nm程度であるのが好ましく、100〜200nm程度であるのがより好ましい。
なお、封止層9を覆うように保護カバーを設ける構成としてもよい。
この保護カバーは、封止層9を封止し、酸素含有物質を遮断する機能を有することから、封止層9に接触する酸素含有物質の絶対量を減少させることができる。その結果、封止層9による酸素含有物質の封止効果をより向上させることができる。
保護カバーの構成材料としては、特に限定されないが、例えば、各種樹脂材料、ガラス材料等を挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
保護カバーの厚さ(平均)は、特に限定されないが、0.1〜30mm程度であるのが好ましく、0.1〜10mm程度であるのがより好ましい。
保護カバーの内部空間は、減圧状態とするか、または、窒素、アルゴン等の不活性ガスを充填するようにしてもよく、シリカゲル、モリクロナイトおよびモレキュラーシーブ等の乾燥剤を充填するようにしてもよい。
また、本実施形態では、貫通部13において、封止層9が層間絶縁層26と接合する場合、すなわち、封止層9が無機物層を介して基板に接合される場合について説明したが、このような構成のものに限定されず、例えば、封止層9が絶縁層25またはゲート絶縁層23と接合するもの(封止層9が直接基板に接合されるもの)であってもよいし、さらには、第1隔壁部31と接合するもの(封止層9が無機物層を介して基板に接合されるもの)であってもよい。
例えば、図5において、隔壁部35は、発光領域11を囲む第1の部分351および非発光領域(貫通部13)を囲む第2の部分352において、第1隔壁部(第1層)31と第2隔壁部(第2層)32とが積層して形成され、非発光領域において第1隔壁部31のみ形成されている。ここでは、第1の部分351の第1隔壁部31と、第2の部分352の第1隔壁部31と、非発光領域の第1隔壁部31とが同一層である。
この構成によれば、封止層9と配線層29との間に膜厚の大きい隔壁部31を形成することができるため、封止層9と配線層29との間に寄生容量の発生する可能性を低減することができる。また、封止層9が発光領域11を取り囲む第1の部分351の有機材料を含む部分(第2隔壁部32)を覆うことも可能となるため、有機材料を含む第1の部分351を有する発光装置10における発光領域11の有機半導体層7(特に、有機発光層5)の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施形態で示した発光装置10の他、隔壁部35および/または保護層91の形成を省略した発光装置とすることもできる。
なお、上述したような発光装置10は、単色表示であってもよく、各有機EL素子1に用いる発光材料を選択することにより、カラー表示も可能である。
このような発光装置10は、本発明の有機発光装置の製造方法を用いて、例えば、次のようにして製造することができる。
以下に示す発光装置10の製造方法は、配線層29と層間絶縁層26とを上側の面に備えるTFT回路基板20を用意する基板形成工程[1]と、層間絶縁層26上に隔壁部35を形成する隔壁部形成工程[2]と、層間絶縁層26上に有機EL素子1を形成する有機EL素子形成工程[3]と、有機EL素子1および隔壁部35上に封止層9を形成する封止層形成工程[4]と、封止層9上に保護層91を形成する保護層形成工程[5]とを有する。以下、各工程について順次説明する。
[1]TFT回路基板形成工程(第1の工程)
まず、配線層29と層間絶縁層26とを上側の面に備えるTFT回路基板20を用意する。
[1−A]まず、支持基板21を用意し、この支持基板21上に駆動用TFT24を形成する。
[1−Aa]まず、支持基板21を約350℃に加熱した状態で、支持基板21上に、例えばプラズマCVD法等により、平均厚さが約30〜70nmのアモルファスシリコンを主材料として構成される半導体膜を形成する。
[1−Ab]次いで、半導体膜に対して、レーザアニールまたは固相成長法等により結晶化処理を行い、アモルファスシリコンをポリシリコンに変化させる。
ここで、レーザアニール法では、例えば、エキシマレーザでビームの長寸が400mmのラインビームを用い、その出力強度は、例えば200mJ/cm程度に設定される。また、ラインビームについては、その短寸方向におけるレーザー強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査する。
[1−Ac]次いで、半導体膜をパターニングして島状とし、各島状の半導体膜を覆うように、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料ガスとして、プラズマCVD法等により、平均厚さが約60〜150nmの酸化シリコンまたは窒化シリコン等を主材料として構成されるゲート絶縁層23を形成する。
この半導体膜のパターニングは、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
[1−Ad]次いで、ゲート絶縁層23上に、例えば、スパッタ法等により、アルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属を主材料として構成される導電膜を形成した後、パターニングし、ゲート電極243を形成する。
[1−Ae]次いで、この状態で、各島状の半導体膜に高濃度のリンイオンを打ち込んで、ゲート電極243に対して自己整合的にソース領域244およびドレイン領域245を形成する。なお、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域241となる。
[1−B]次に、ソース領域244およびドレイン領域245に、それぞれ、電気的に接続される接続部27および接続部28を形成するとともに、配線層29を形成する。
[1−Ba]まず、ゲート電極243およびゲート絶縁層23を覆うように、絶縁層25を形成した後、コンタクトホールを形成する。
[1−Bb]次いで、絶縁層25を覆い、かつ、コンタクトホール内でソース領域244およびドレイン領域245とそれぞれ接触するように、前記工程[1−Ad]と同様にして金属膜を形成する。
[1−Bc]次いで、金属膜をパターニングすることにより、コンタクトホール内でソース領域244およびドレイン領域245とそれぞれ接触する接続部27および接続部28を形成するとともに、絶縁膜25上に配線層29を形成する。
この金属膜のパターニングは、前記工程[1−Ac]で説明したのと同様の方法を用いて行うことができる。
[1−C]次に、接続部28と陽極3とを、配線層29と陰極8とを、さらに端子部291(配線層29)と集積回路とを、電気的に接続し得るように、それぞれに対応したコンタクトホールを備える層間絶縁層26を絶縁層25上に形成する。
[1−Ca]まず、絶縁層25上に、層間絶縁層26を形成する。
[1−Cb]次いで、接続部28と陽極3とを、配線層29と陰極8とを、さらに端子部291と集積回路とを、それぞれ、接続する位置に対応するようにコンタクトホールを形成する。
以上のようにして、配線層29と層間絶縁層26とを上側の面に備えるTFT回路基板20が得られる。
[2]隔壁部形成工程
次に、層間絶縁層(無機物層)26上に隔壁部35を形成する。
この隔壁部35を形成する際に、形成する有機EL素子1の形状に対応するように複数の開口部を設けるとともに、この隔壁部35の外周部において、TFT回路基板20の上側の面(本実施形態では層間絶縁層26)が露出するように貫通部13を形成する。
以下、この隔壁部35の形成工程について詳述する。
なお、本実施形態では、隔壁部35を形成するのに先立って、層間絶縁層26上に、画素電極を構成する陽極3を隔壁部35が備える開口部に対応するように陽極3を形成しておく。かかる構成とすることにより、図2に示すように、隔壁部35の下側で陽極3とドレイン領域245とを接続部28を介して接続させることができる。その結果、本実施形態のように発光装置10がボトムエミッション型の発光装置である場合、有機発光層5が、その下側で接続部28と重なるようになるのを確実に防止することができることから、TFT回路基板20側からの光の取り出し効率を向上させることができる。なお、発光装置10をトップエミッション構造とする場合には、隔壁部35を形成した後、陽極3を形成する構成とすることもできる。
[2−A]まず、TFT回路基板20上に設けられた層間絶縁層26上に、コンタクトホールを介して接続部27に接触するように、陽極(画素電極)3を形成する。
この陽極3は、層間絶縁層26上に、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法等を用いた気相プロセスや、スピンコート法(パイロゾル法)、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等を用いた液相プロセス等により、前述した陽極3の構成材料を主材料として構成される導電膜を形成した後、パターニングすることにより形成することができる。
なお、これらの方法は、陽極3の構成材料の熱安定性や、溶媒への溶解性等の物理的特性および/または化学的特性を考慮して選択される。
[2−B]次に、層間絶縁層26上に、各陽極3を区画するように、すなわち、形成する有機EL素子1の形状に対応するように開口部を備える隔壁部35を形成する。この際、層間絶縁層26が露出する貫通部13と、配線層29が露出する電極接続部12と、端子部291(配線層29)が露出する外部接続部14とを形成する。
[2−Ba]まず、陽極3および第2層間絶縁層26を覆うように無機系の絶縁膜を形成した後、この絶縁膜をパターニングすること等により第1隔壁部31を形成する。
この絶縁膜のパターニングは、前記工程[1−Ac]で説明したのと同様の方法を用いて行うことができる。
[2−Bb]次いで、陽極3および第1隔壁部32を覆うように有機系の絶縁膜を形成した後、この絶縁膜をパターニングすること等により第2隔壁部32を形成することができる。
この絶縁膜のパターニングは、前記工程[1−Ac]で説明したのと同様の方法を用いて行うことができる。
また、隔壁部35の開口部の形状は、例えば、円形、楕円形、四角形、六角形等の多角形等、いかなるものであってもよい。
ところで、隔壁部35の開口の形状を多角形とする場合には、角部は丸みを帯びているのが好ましい。これにより、正孔輸送層4、有機発光層5および電子輸送層6を、後述するような液状材料を用いて形成する際に、これらの液状材料を、隔壁部35の内側の空間の隅々にまで確実に供給することができる。
以上のようにして、層間絶縁層26上に隔壁部35が形成される。
[3]有機EL素子形成工程(第2の工程)
次に、隔壁部35が備える開口部に対応するように、層間絶縁層26上に複数の有機EL素子1を形成する。
[3−A]まず、隔壁部35が備える各開口部内で露出する陽極3上に、それぞれ、正孔輸送層4、有機発光層5および電子輸送層6をこの順で積層して有機半導体層7を形成する。
以下、正孔輸送層4、有機発光層5および電子輸送層6の形成方法について説明する。
[3−Aa]まず、各陽極3上に、それぞれ、正孔輸送層4を形成する。
この正孔輸送層4は、前述したような気相プロセスや液相プロセスにより形成することができるが、中でも、インクジェット法(液滴吐出法)を用いた液相プロセスにより形成するのが好ましい。インクジェット法を用いることにより、正孔輸送層4の薄膜化、画素サイズの微小化を図ることができる。また、正孔輸送層形成用の液状材料を、隔壁部35の内側に選択的に供給することができるため、液状材料のムダを省くことができる。
具体的には、正孔輸送層形成用の液状材料を、インクジェットプリント装置のヘッドから吐出し、各陽極3上に供給し、脱溶媒または脱分散媒した後、必要に応じて、150℃程度で短時間の加熱処理を施す。
この脱溶媒または脱分散媒は、減圧雰囲気に放置する方法、熱処理(例えば50〜60℃程度)による方法、窒素ガスのような不活性ガスのフローによる方法等が挙げられる。さらに、追加の熱処理(150℃程度で短時間)で行うことにより、残存溶媒を除去する。
用いる液状材料は、前述したような正孔輸送材料を溶媒または分散媒に溶解または分散することにより調製される。
また、液状材料の調製に用いる溶媒または分散媒としては、特に限定されず、例えば、水、四塩化炭素、エチレンカーボネイト等の各種無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
なお、陽極3上に供給された液状材料は、流動性が高く(粘性が低く)、水平方向(面方向)に広がろうとするが、陽極3が隔壁部35により囲まれているため、所定の領域以外に広がることが阻止され、正孔輸送層4(有機EL素子1)の輪郭形状が正確に規定される。
[3−Ab]次いで、各正孔輸送層4上に、有機発光層5を形成する。
この有機発光層5も、気相プロセスや液相プロセスにより形成することができるが、前述したのと同様の理由から、インクジェット法(液滴吐出法)を用いた液相プロセスにより形成するのが好ましい。
また、インクジェット法を用いることにより、複数色の有機発光層5を設ける場合には、各色毎にパターンの塗り分けを容易に行うことができるという利点もある。
[3−Ac]次いで、各有機発光層5上に、電子輸送層6を形成する。
この電子輸送層6も、気相プロセスや液相プロセスにより形成することができるが、前述したのと同様の理由から、インクジェット法(液滴吐出法)を用いた液相プロセスにより形成するのが好ましい。
[3−B]次に、各電子輸送層6(有機半導体層7)上および隔壁部35上に、各有機EL素子1に共通の陰極8を形成する。
なお、この際、電極接続部12において、配線層29と接触し得るように、図2に示すように、貫通部13の内側に存在する隔壁部35の貫通部13近傍にまで陰極8を一体的に形成する。
この陰極8は、例えば、前述した陰極8の構成材料を用いて、真空蒸着法やスパッタ法のような気相成膜法等により金属膜を形成した後、パターニングすることにより形成することができる。
この金属膜のパターニングは、前記工程[1−Ac]で説明したのと同様の方法を用いて行うことができる。
また、陰極8の形成にスパッタ法等を用いる場合、陰極8の構成材料を有機発光層5の陽極3と反対側に供給する際に、本実施形態では、有機発光層5上に電子輸送層6が設けられていることから、前記構成材料が接触(衝突)することによる有機発光層5の変質・劣化を確実に防止することができる。
以上のような工程を経て、層間絶縁層26上に有機EL素子1を製造することができる。
なお、本実施形態では、各有機EL素子1と隔壁部35の一部とで構成される領域、すなわち、図1で示す貫通部13の内側の太線で囲まれた領域またはその近傍を含む領域が発光領域11を構成する。
[4]封止層形成工程(第3の工程)
次に、陰極8上側で陰極8を覆うように、すなわち、発光領域11を包含するように封止層9を形成する。この際、発光領域11の外周部の貫通部13において、層間絶縁層(無機物層)26と封止層9とが接合するように、すなわち、TFT回路基板20の上側の面と封止層9とが層間絶縁層26を介して接合するように封止層9を形成する。
換言すれば、図2に示すように、貫通部13の外側に存在する隔壁部35の貫通部13近傍からその内側全体を覆うように封止層9を一体的に形成する。
この陰極8は、例えば、前述した封止層9の構成材料(無機材料)を用いて、真空蒸着法やスパッタ法のような気相成膜法等により金属膜を形成した後、パターニングすることにより形成することができる。
この金属膜のパターニングは、前記工程[1−Ac]で説明したのと同様の方法を用いて行うことができる。
なお、金属膜を形成する際に、形成する封止層9の形状に対応した開口部を備えるマスクを、陰極8と無機材料の供給源との間に介在させることにより、前記金属膜のパターニングを省略して封止層9を形成することもできる。
ところで、陰極8を形成する前記工程[3−B]から封止層9を形成する本工程までは、非酸化性雰囲気すなわち実質的に酸素含有物質が存在しない雰囲気中で行われる。これにより、陰極8に含まれる前記金属材料を変質・劣化させることなく、陰極8上に封止層9を形成することができる。
また、非酸化性雰囲気は、窒素、ヘリウムおよびアルゴン等の不活性ガスの雰囲気下であってもよく、減圧雰囲気下であってもよい。
[5]保護層形成工程
次に、封止層9上に保護層91を形成する。
この保護層91は、例えば、前記工程[2−A]で説明したような気相プロセスや液相プロセス等により絶縁膜を形成した後、パターニングすることにより形成することができる。
この絶縁膜のパターニングは、前記工程[1−Ac]で説明したのと同様の方法を用いて行うことができる。
以上のような工程を経て、発光装置10を製造することができる。
以上のように、本発明の有機発光装置の製造方法によれば、比較的容易に、各有機EL素子1が無機材料で構成される層で取り囲まれた構成となっている発光装置10を比較的容易な方法で形成することができる。
<<第2実施形態>>
次に、本発明の発光装置を、アクティブマトリックス型発光装置に適用した場合の第2実施形態について説明する。
図6および図7は、本発明の発光装置を適用したアクティブマトリックス型発光装置の第2実施形態を示す図であり、図6は平面図であり、図7は縦断面図である。なお、図7は、図6中のA−A線断面に対応する断面を示す縦断面図である。また、図7では、見易くするために、本実施形態で説明する主要な箇所以外は、断面であることを示すハッチングを付けて示すことを省略する。さらに、図6および図7では、それぞれに示す各部は、その相対的な関係が若干異なっている。また、以下の説明では、図6の紙面手前側を「上」、奥側「下」、図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図6および図7に示す発光装置10’は、貫通部13の一部が電極接続部12の構成を併せ持つように形成され、貫通部13において封止層9が絶縁層25に接合されている以外は、前記第1実施形態の発光装置10と同様である。
換言すれば、本実施形態では、図6および図7に示すように、表示領域11の外周部を取り囲むように設けられた四角形状の貫通部13のうちの一辺に、電極接続部12が連続的(一体的)に形成されている。また、貫通部13において、封止層25が基板に直接接合されている。
かかる構成の電極接続部12では、前記第1の実施形態と同様に陰極8が配線層29と電気的に接続されている他、図6に示すように、封止層9および配線層29により陰極8を取り囲むように、陰極8の外周部において封止層9と配線層29とが接合している。すなわち、本実施形態では、配線層29が無機物材料で構成された無機物層を構成し、陰極8の外周部において、封止層9と基板とが無機物層を介して接合されている。
発光装置10’をかかる構成とすることにより、発光装置10’を製造する際の製造工程を削減することができるとともに、発光装置10’の小型化を図ることができる。
<電子機器>
このような発光装置(本発明の発光装置)10、10’は、各種の電子機器に組み込むことができる。
図8は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部を備える表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100において、表示ユニット1106が備える表示部が前述の発光装置10、10’で構成されている。
図9は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、表示部を備えている。
携帯電話機1200において、この表示部が前述の発光装置10、10’で構成されている。
図10は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ディジタルスチルカメラ1300において、この表示部が前述の発光装置10、10’で構成されている。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、図8のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図9の携帯電話機、図10のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。また、本発明の電子機器は、表示機能を有しない発光機能のみを有するものであってもよく、例えば、レーザープリンタの光源に用いることができる。
以上、本発明の有機発光装置、有機発光装置の製造方法および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
なお、本発明の有機発光装置は、基板上に陰極、有機半導体層および陽極がこの順で積層された有機EL素子を備え、陽極側から有機半導体層の発光を取り出すトップエミッション構造を有する有機EL装置に適用するようにしてもよい。
さらに、本発明の有機発光装置は、前記実施形態で説明したような、アクティブマトリクス型の発光装置に適用できる他、例えば、基板上にほぼ等間隔となるように設けられた複数の短冊状の陽極と、この陽極とほぼ同様の形状を有する陰極とが、これらの電極同士の間に有機半導体層を介在させた状態でほぼ直交する構成をなすパッシブマトリクス型の発光装置に適用することもできる。
また、本発明の有機発光装置の製造方法は、任意の目的の工程が1または2以上追加されていてもよい。
本発明の発光装置を適用したアクティブマトリックス型発光装置の第1実施形態を示す平面図である。 本発明の発光装置を適用したアクティブマトリックス型発光装置の第1実施形態を示す縦断面図である。 本発明の発光装置を適用したアクティブマトリックス型発光装置の第1実施形態を示す縦断面図である。 本発明の発光装置を適用したアクティブマトリックス型発光装置の第1実施形態を示す縦断面図である。 アクティブマトリックス型発光装置の第1実施形態における貫通部の他の構成を示す縦断面図である。 本発明の発光装置を適用したアクティブマトリックス型発光装置の第2実施形態を示す平面図である。 本発明の発光装置を適用したアクティブマトリックス型発光装置の第2実施形態を示す縦断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
符号の説明
1……有機EL素子 3……陽極 4……正孔輸送層 5……有機発光層 6……電子輸送層 7……有機半導体層 8……陰極 9……封止層 10、10’…… 発光装置 11……発光領域 12……電極接続部 13……貫通部 14……外部接続部 20……TFT回路基板 21……支持基板 22……回路部 23……ゲート絶縁層 24……駆動用TFT 241……チャネル領域 243……ゲート電極 244……ソース領域 245……ドレイン領域 25……絶縁層 26……層間絶縁層 27、28……接続部 29……配線層 291……端子部 31……第1隔壁部 32……第2隔壁部 35……隔壁部 351……第1の部分 352……第2の部分 91……保護層 1100……パーソナルコンピュータ 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット 1200……携帯電話機 1202……操作ボタン 1204……受話口 1206……送話口 1300……ディジタルスチルカメラ 1302……ケース(ボディー) 1304……受光ユニット 1306…………シャッタボタン 1308……回路基板 1312……ビデオ信号出力端子 1314……データ通信用の入出力端子 1430……テレビモニタ 1440……パーソナルコンピュータ

Claims (13)

  1. 少なくとも一方の面付近が主として無機材料で構成された基板と、
    前記一方の面上に形成された発光領域と、
    前記発光領域を囲む第1のバンクと、
    前記第1のバンクを囲む非発光領域と、
    前記非発光領域を囲む第2のバンクと、を有し、
    前記発光領域が、前記基板上に形成された第1の電極と、前記第1の電極上に形成された有機発光層と、前記有機発光層上に形成された第2の電極と、前記第2の電極上に形成された、無機材料を含む封止層と、を含み、
    前記封止層が前記第1のバンクの上に重なり、前記非発光領域の少なくとも一部に延在して形成されるとともに、当該非発光領域において、前記基板に直接、または主として無機材料で構成された無機物層を介して接合されていることを特徴とする有機発光装置。
  2. 前記第1のバンクが、無機材料を含む第1層と有機材料を含む第2層とを含み、
    前記第2のバンクが、無機材料を含む第1層と有機材料を含む第2層とを含み、
    前記非発光領域が、無機材料を含む第1層を含み、
    前記第1のバンクの第1層と前記第2のバンクの第1層と前記非発光領域の第1層とが同一の層であり、前記封止層が前記非発光領域の第1層に接する請求項に記載の有機発光装置。
  3. 前記基板と前記画素電極との間に無機材料を含む絶縁物層が形成され、前記封止層の一部が前記非発光領域の少なくとも一部において前記絶縁物層と接する請求項に記載の有機発光装置。
  4. 前記封止層の少なくとも一部が、前記第2のバンクの上に延在して形成される請求項ないしのいずれかに記載の有機発光装置。
  5. 前記封止層は、絶縁材料を主材料として構成されている請求項1ないしのいずれかに記載の有機発光装置。
  6. 前記陰極は、前記陽極の前記基板と反対側に設けられており、
    前記封止層は、主として前記陰極の構成材料より仕事関数が大きい導電材料で構成され、前記陰極と接触するように設けられ、これにより、前記陰極の導電性を向上させた請求項1ないしのいずれかに記載の有機発光装置。
  7. 各前記有機発光素子の前記陰極は、一体的に形成されている請求項に記載の有機発光装置。
  8. 前記封止層は、その平均厚さが50〜300nmである請求項1ないしのいずれかに記載の有機発光装置。
  9. 前記封止層の前記基板と反対側に設けられ、前記封止層を保護する機能を有する保護層を有する請求項1ないしのいずれかに記載の有機発光装置。
  10. 前記無機物層は、導電材料で構成され、
    当該無機物層が前記有機発光装置から露出する外部接続部において端子部を構成するとともに、前記無機物層の少なくとも一部が、前記陰極と前記端子部とを電気的に接続する配線を構成する請求項1ないしのいずれかに記載の有機発光装置。
  11. 各前記有機発光素子に対応して、個別のスイッチング素子を設けるアクティブマトリクス型発光装置である請求項1ないし10のいずれかに記載の有機発光装置。
  12. 請求項1に記載の有機発光装置の製造方法であって、
    少なくとも一方の面付近が主として無機材料で構成され、該一方の面側に主として無機材料で構成された無機物層を備える基板を用意する第1の工程と、
    前記無機物層の前記基板と反対側に、前記第1の電極を形成した後、前記第1のバンクと前記第2のバンクとを形成することで、前記発光領域と、前記非発光領域とを設ける第2の工程と、
    前記発光領域に位置する前記第1の電極上に、前記有機発光層と、前記第2の電極とを形成する第3の工程と、
    前記封止層を、前記第2の電極および前記第1のバンクの上に重なり、前記非発光領域の少なくとも一部に延在して形成されるとともに、前記非発光領域において、前記基板に直接、または前記無機物層を介して接合されるように形成する第4の工程とを有することを特徴とする有機発光装置の製造方法。
  13. 請求項1ないし11のいずれかに記載の有機発光装置を備えることを特徴とする電子機器。
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