JP4770052B2 - 非接触給電装置 - Google Patents

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【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、移動体に接触することなく移動体上の負荷に給電を行う非接触給電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体内の負荷に外部の地上装置から給電を行う給電装置として、ケーブルベア方式やトロリー方式などの接触式給電装置がある。しかし、ケーブルベア方式の給電装置には移動体の移動距離に関する制約があり、トロリー方式の給電装置には防爆や感電の問題がある。また、接触式給電装置全般の問題として、地上装置と移動体との接触部分が摩耗するため発塵が生じるという問題、そのような摩耗が生じるため寿命が短いという問題があった。このため非接触方式の給電装置が要求されている。
【0003】
図43は、このような要求に応えるべく開発された非接触給電装置の構成例を示す回路図である。この非接触給電装置は、移動体600およびこれに配置された各種の装置と、移動体600の移動経路に沿って敷設された給電線を主要な構成要素とする給電線部500と、地上側に固定配置され、給電線に対して高周波電流を流す高周波電源400とにより構成されている。
【0004】
図43に示すように、高周波電源400は、チョッパ410と、インバータ420と、同調フィルタ430とを有している。
【0005】
チョッパ410の電源入力端子PおよびNには、直流電圧Eが与えられる。この電源入力端子PおよびN間には、トランジスタQcとダイオードDcとが直列に介挿されている。また、トランジスタQcのエミッタおよびダイオードDcのカソードの接続点とインバータ420との間にはインダクタンスL1が介挿されている。ここで、トランジスタQcがon状態であるときには、電源入力端子PおよびN間の直流電圧Eにより、電源入力端子P→トランジスタQc→インダクタンスL1→インバータ420および電源入力端子Nという経路を介して電流が流れる。一方、トランジスタQcがon状態からoff状態になると、その時点においてインダクタンスL1に蓄積された電気エネルギーにより、インダクタンスL1→インバータ420→ダイオードDcという経路を介して電流が流れる。インバータ420に供給される平均的な電流の量は、トランジスタQcをon状態とする期間に依存して大きくなる。制御部411は、トランジスタQcをon状態とするパルスを周期的に出力するとともにこのパルスの幅を変調することによりインバータ420に対する出力電流を制御する装置である。
【0006】
インバータ420は、トランジスタQA、QB、QCおよびQDと、ダイオードDA、DB、DCおよびDDとを図示のように接続してなるブリッジ回路である。このような構成において、トランジスタQAおよびQDをon状態とし、トランジスタQBおよびQCをoff状態とする動作と、トランジスタQAおよびQDをoff状態とし、トランジスタQBおよびQCをon状態とする動作とが交互に繰り返される。
【0007】
このスイッチング動作により、トランジスタQAおよびQBの接続点とトランジスタQCおよびQDの接続点との間に介挿された同調フィルタ430に矩形波交流電流が通電される。
【0008】
同調フィルタ430は、矩形波交流電流の基本波成分を共振増幅するフィルタであり、インダクタンスL2とコンデンサC2とにより構成されている。同調フィルタ430の出力電流は、正弦波となり、給電線部500の給電線に流れる。上述したチョッパ410内の制御部411は、この給電線に流れる電流を電流センサCTにより検知し、その電流値が目標値となるようにトランジスタQcをon状態とするパルスの幅の制御を行うものである。
【0009】
既に述べたように、給電線部500は、移動体600の移動経路に沿って敷設された給電線を主要な構成要素とするものである。図44には、この給電線部500の給電線500Lが図示されている。この給電線500Lには、図43における同調フィルタ430を介して正弦波電流が流される。図43におけるインダクタンスL3はこの給電線500Lのインダクタンスである。また、この給電線500Lに接近し、かつ、非接触状態を保ち、図43におけるピックアップ610が位置している。このピックアップ610は、移動体600とともに給電線500Lに沿って移動可能である。
【0010】
図45は、図44に示すピックアップ610のI−I’線断面図である。図45に示すように、ピックアップ610は、給電線500Lによって発生される磁界の磁路をなすヨーク611と、このヨーク611に巻回された2次巻線612とを有している。この2次巻線612と、給電線500Lとが磁気的に結合して、図43におけるトランスT4が構成されている。
【0011】
図43に示すように、移動体600には、このピックアップ610と、昇圧チョッパ620とが設けられている。
【0012】
ピックアップ610において、トランスT4の2次巻線612にはヒューズ613が直列接続されており、2次巻線612およびヒューズ613には、コンデンサC4が並列接続されている。
【0013】
ここで、ピックアップ610の特性について説明する。ピックアップ610における2次巻線612とコンデンサC4は、インバータ420が出力する矩形波の基本波周波数に相当する周波数で並列共振する。この場合、ピックアップ610の等価回路は、図46(a)〜(c)に示すように単純化される。ここで、iは1次巻線(給電線500L)に流れる電流、M4は1次巻線(給電線500L)および2次巻線612間の相互インダクタンス、L4は2次巻線612の漏れインダクタンス、M4+L4は2次巻線612の自己インダクタンス、ωはインバータ420が出力する矩形波の基本波角周波数、Rは移動体600上の給電対象である負荷抵抗である。したがって、ピックアップ610の出力特性は、
出力電圧 Vt=R’×i ……(1)
出力電力 P=Vt×i ……(2)
となる。ただし、R’は、上記の単純化に伴って、負荷抵抗Rと、インダクタンスM4およびL4と、コンデンサとに基づいて作成された合成抵抗である。
【0014】
ここで、給電線の電流iは、高周波電源400によって、基準値に一定制御されているので、図47に示すように、ピックアップ610の出力電圧Vtは出力電力Pに比例して増加する。つまり、ピックアップ610の出力特性は、電流源(一定電流を出力する電源)と等価となる。
しかし、一般的に移動体600上の負荷Rには、その負荷変動によらず、一定電圧を供給する必要があるから、ピックアップ610の出力特性を電圧源の出力特性に変換する必要がある。そこで、図43に示す非接触給電装置では、昇圧チョッパ620を用いて、ピックアップ610の電流源特性を電圧源の特性に変換している。
【0015】
図43に示す昇圧チョッパ620において、全波整流回路621は、ピックアップ610の出力交流電圧を全波整流する。インダクタンスL5、ダイオードD5およびコンデンサC5は、全波整流回路621から得られる全波整流波形からリップルを除去する平滑回路を構成している。この平滑回路におけるコンデンサC5から負荷Rに直流電圧が供給される。全波整流回路621およびインダクタンスL5には、チョッパ制御のためのトランジスタQ5が並列接続されている。電圧制御部622は、トランジスタQ5をon状態にするパルスを周期的に発生するとともに、負荷Rに対する供給電圧が基準値になるように、トランジスタQ5に供給するパルスの幅を制御する。
【0016】
【発明が解決しょうとする課題】
ところで、上述した従来の非接触給電装置には、以下の問題があった。
(1)移動体側の装置の部品点数、サイズ、重量に関する問題
移動体側に設ける回路を極力簡素化し、小型し、軽量化することが求められる。何故ならば、移動体の小型軽量化は、消費エネルギーの低減、移動体に載せて搬送することが可能な搬送物の容積および重量を拡大するのに有効だからである。しかるに上述した従来の非接触給電装置は、図43に示されるように、多くの部品からなる回路を移動体側に実装する必要があり、この要請に十分に応えていなかった。
【0017】
(2)給電効率に関する問題
非接触給電装置は、移動体側の負荷に効率的に電力を供給することが求められる。しかるに上述した従来の非接触給電装置は、移動体側に昇圧チョッパ620を設ける必要があり、この昇圧チョッパにおいて損失が生じていた。通常、この昇圧チョッパ620の効率は90%程度であるから、例えば10kWを給電する場合、昇圧チョッパ620の損失は1000W程度になる。この損失を低減すれば、効率を改善でき、給電電力を拡大できる。また、損失は回路を加熱するため、冷却機構が必要である。したがって、効率を改善することは、冷却機構の小型軽量化に寄与できる。
【0018】
(3)故障に関する問題
昇圧チョッパ620の電圧制御部622は、出力電圧の検出端子からトランジスタQ5の制御端子に至るまで、多数の部品で構成されている。このように部品点数が大きいため、従来の非接触給電装置は故障の確率が高いという問題があった。また、電圧制御部622が故障し、トランジスタQ5が開放状態になると、昇圧チョッパ620の機能が停止する。この場合、昇圧チョッパ610を用いないでピックアップ612をそのまま負荷Rに接続したのと同じことになり、負荷Rに対する出力特性は電流源のものと同じになる。この場合に負荷Rに与えられる出力電圧Vは、負荷の抵抗Rによって決まり、
V=R×i ……(3)
となる。ここで、iは、ピックアップの出力電流で、負荷抵抗の大きさに関わりなく、常に、一定の値になる。したがって、Rが大きいとVも大きくなり、無負荷状態では、移動体側の構成部品が過電圧で破損し、焼損に至る。この過電圧を防止するため、前掲図43の従来の非接触給電装置では、過電圧保護回路として、スイッチSWを整える必要があった。この過電圧保護回路は、過電圧を検出し、スイッチSWをonにすることによって、ピックアップ610の負荷抵抗を0Ωにし、過電圧を防止する。しかし、この過電圧保護回路も多数の部品によって構成されているので、故障確率を0%にすることは不可能である。そこで、過電圧保護回路が故障したときの歯止めとして、前掲図43の非接触給電装置では、ピックアップ610にヒューズ613が設けられている。ここで、ピックアップ610の2次巻線612の出力電圧が過電圧になるのは、2次巻線612とコンデンサC4の共振電流が過電流になるからであり、この過電流によりヒューズ613が溶断すれば、過電圧状態の継続による火災が防止される。しかしながら、故障確率がより低く、保護回路を省略できる回路が理想的である。
【0019】
(4)給電線の電流制御の困難性に関する問題
高周波電源400は、制御対象が共振回路であるため、安定化が難しい。制御の応答を下げることで安定化を図れるが、逆に負荷変動に対する安定性が低下する。このため、給電線の距離や負荷の特性に合わせ、都度、最適化調整が必要である。究極的には、給電線の電流制御をなくしても、非接触給電が可能なシステム構成としたい。
【0020】
(5)インバータのコストに関する問題
市場に出ているインバータの大多数は電圧形の主回路構成であるため、主素子(トランジスタ)も電圧形インバータを製作し易い回路構成でモジュール化されて市販されている。市販されている主素子は、トランジスタに逆並列にダイオードが接続されている。
【0021】
電流形インバータの主素子は、電流の方向を順方向に制限するため、トランジスタに直列にダイオードを接続する必要がある。このダイオードが、電圧形と比較し、余分に必要である。また、配線も多くなり、電流形インバータのコストは割高となる。
コストダウンを図るため、低価格の電圧形インバータを適用でき、かつ、シンプルな回路構成としたい。
【0022】
(6)非接触給電の長距離化に関する問題
距離的に長い移動経路に沿って移動する移動体に非接触給電を行うことが求められる場合がある。しかし、現状の非接触給電システムでは、必要電力を移動体に非接触給電するために、給電線の電流を50A/10kHzとしている。また、給電線のインダクタンスは給電線の長さに比例し、その比例定数は1.5μH/1mである。従って、例えば移動経路が10kmであると、給電線の電圧は47kV(特別高圧)になり、絶縁対策や安全性に問題がでてくる。このため、現状の非接触給電装置において実用的な移動距離は、100m程度に制約されている。
【0023】
(7)同調フィルタの現地調整に関する問題
非接触給電装置では、給電線とこれに接続される同調フィルタからなる同調回路の同調周波数を高周波電源のインバータの出力交流波形の基本波周波数に一致させる必要がある。ここで、給電線は、移動体の移動経路に沿って敷設されるので、その長さは個々の非接触給電装置毎に区々になる。従って、これまで非接触給電装置を設置するときには、給電線の長さに応じて同調フィルタにおけるリアクトルのインダクタンスやコンデンサの容量値を変え、同調フィルタおよび給電線からなる同調回路の同調周波数を所定の基本波周波数に一致させる調整作業が必要であった。また、非接触給電装置の設置後において、移動体の移動経路が延長され、それに伴って給電設備を追加し、給電線を延長する場合がある。そのような場合にも同様な同調フィルタの現地調整作業が必要であった。しかし、給電線の敷設後において、このような調整作業を行うのは甚だ面倒である。さらに詳述すると、この調整作業では、給電線の長さ(インダクタンス)に応じて、同調フィルタのリアクトルのインダクタンスやコンデンサの容量値を調整する。このため、専用の調整機器と専門知識を有する人員を現地へ派遣する必要がある。また、環境(作業スペース、安全性)や時間などの制約により、現地では十分に調整を行うのが困難な場合がある。
【0024】
この発明は、以上列挙した諸問題に鑑みてなされたものであり、これらの問題を解決し、経済的かつ効率的であり、信頼性が高く、安定して移動体上に負荷に給電を行うことができる非接触給電装置を提供することを目的としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この発明は、移動体の移動経路に沿って敷設された給電線と、前記移動体に固定され、前記給電線と磁気的に結合する2次巻線を有するピックアップと、インバータと、リアクトルと、同調フィルタとにより構成され、前記インバータにより発生させられた交流電圧を、前記リアクトルおよび前記同調フィルタを介して前記給電線に供給する交流電源と、前記ピックアップの2次巻線と、給電対象である前記移動体上の負荷と、コンデンサとを直列接続してなる直列共振回路とを具備し、前記リアクトルのインピーダンス値は、前記給電線側の交流換算値である前記負荷の抵抗値の1/2以下であることを特徴とする非接触給電装置を提供するものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
【0028】
A.第1実施形態
図1はこの発明の第1実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。図1において、高周波電源100は地上に設置されており、給電線200は移動体300の移動経路に沿って敷設されている。
【0029】
高周波電源100は、インバータ110と、同調フィルタ120と、これらの両者間に介挿された電流制限用のリアクトルL1を有している。インバータ110は、直流電圧Eを受け取るための電源入力端子PおよびNを有している。これらの電源入力端子PおよびN間には、トランジスタQpおよびQnが直列に介挿されるとともに、これと並列に、コンデンサCpおよびCnが直列に介挿されている。トランジスタQpおよびQnは、各々周期的に発生されるパルスにより交互にon状態とされる。このトランジスタQpおよびQnのon/off制御により、図2(a)に示すように各々180度の導通角でトランジスタQpおよびQn間の端子Uを電源入力端子Pに接続する動作と電源入力端子Nに接続する動作とが繰り返される。また、直流電圧Eは、コンデンサCpおよびCnによって分圧され、端子Cの電圧は図2(b)に示すようにE/2となる。この結果、図2(c)に示すように振幅E/2の矩形波電圧V1が端子UおよびC間に発生する。この矩形波電圧は、電流制限用のリアクトルL1を介して同調フィルタ120へ供給される。
【0030】
給電線部200は、前掲図43の給電線部500と同様、移動体300の移動経路に沿って敷設された給電線を主要な構成要素とするものである。図1におけるインダクタンスL3はこの給電線のインダクタンスである。
【0031】
移動体300にはピックアップ310が設けられている。このピクアップ310は、前掲図45に示されたものと同様な構成を有しており、給電線部200の給電線と磁気的に結合してトランスT4を構成する2次巻線312を有している。そして、2次巻線312にはコンデンサC4が直列接続されている。2次巻線312に発生する交流電圧は、コンデンサC4を介して負荷Rに供給される。
【0032】
次に図3を参照し、本実施形態の動作を説明する。まず、図1に示す回路は、図3(a)に示す第1の等価回路に変換することができる。ここで、M4はトランスT4の1次巻線(給電線)と2次巻線312間の相互インダクタンスであり、L4は2次巻線312の漏れインダクタンス、M4+L4は2次巻線312の自己インダクタンスである。
【0033】
図1に示す非接触給電装置では、トランスT4の2次巻線312(自己インダクタンスM4+L4)とコンデンサC4とからなる直列共振回路が、インバータ110によって出力される矩形波の基本波周波数に同調して共振するように、各インダクタンスおよびコンデンサの値が選択されている。このため、第1の等価回路を図3(b)に示す第2の等価回路に変換することができる。図3(b)においてR’は合成負荷抵抗であり、基本波角周波数をωとすると、次式により与えられる。
R’=ω2M42/R ……(4)
【0034】
第2等価回路におけるインダクタンスL2、L3およびM4と合成負荷抵抗R'の直列回路は、図3(c)に示すように合成インダクタンスL234と合成負荷抵抗R’’とが並列接続された第3の等価回路に変換することができる。この第3の等価回路において、合成インダクタンスL234は、インダクタンスL2、L3およびM4と合成負荷抵抗R’から合成されたインダクタンスである。また、合成負荷抵抗R’’は、次式により与えられる。
R’’=(L2+L3+M4)2R/M42 ……(5)
【0035】
また、本実施形態では、コンデンサC2と合成インダタンスL234とからなる並列共振回路がインバータ110から出力される矩形波の基本波周波数に同調して共振するようにコンデンサC2と各インダクタンスの値が決められている。このため、図3(c)に示す第3の等価回路は図3(d)に示すように極めて簡素な構成の第4の等価回路に変換することができる。
【0036】
この第4の等価回路において、インバータ110の出力電圧V1は、負荷抵抗R’’に発生する電圧V2と、インダクタンスL1に発生する電圧とをベクトル合成したものになる。電圧V1、V2のベクトルを表すと図4に示す通りである。図4に示すように、インバータ110の出力電圧V1のベクトルを直径とする円を描くと、負荷抵抗R’’に発生する電圧V2のベクトルの始点は電圧V1のベクトルの始点に位置し、電圧V2のベクトルの終点は円周上に位置する。また、インダクタンスL1に発生する電圧のベクトルは、電圧V2のベクトルの終点と同じ位置にあり、同ベクトルの終点は電圧V1のベクトルの終点と同じ位置にある。そして、合成負荷R’’が変動すると、負荷抵抗R’’に発生する電圧ベクトルの終点およびインダクタンスL1に発生する電圧ベクトルの始点は図4に示す円周上を移動する。図4には負荷Rが重い場合におけるインダクタンスL1の電圧ベクトルVL1および負荷Rの電圧ベクトルと、負荷Rが軽い場合におけるインダクタンスL1の電圧ベクトルVL1および負荷Rの電圧ベクトルが例示されている。ここで、インダクタンスL1のインピーダンスを合成負荷抵抗R’’に対し充分に小さく設定すれば、合成負荷抵抗R’’に発生する電圧V2はインバータ110の出力V1と概略一致する。そして、前掲式(5)から明らかなように合成負荷抵抗R’’と実際の負荷抵抗Rは比例関係にある。したがって、インバータ110の出力電圧をV1を一定にすれば、負荷抵抗Rの端子電圧も概略一定にすることができる。
【0037】
インダクタンスL1のインピーダンス値と、負荷抵抗R’’の抵抗値と、電圧V1と電圧V2の比V2/V1との関係を下表に示す。
L1のインピーダンス値 負荷抵抗R’’の抵抗値 電圧比V2/V1
Figure 0004770052
【0038】
負荷抵抗R’’の抵抗値は、重負荷時に小さくなり、軽負荷時に大きくなる。
従って、インダクタンスL1のインピーダンス値を負荷抵抗R’’の抵抗値に対して小さくするほど、電圧V2は電圧V1に近づく。
負荷抵抗R’’の抵抗値は、負荷の状態によって変動する。この変動によって発生する電圧V2の変動を10%以下に抑制したい場合、インダクタンスL1のインピーダンス値を負荷抵抗R’’の抵抗値の1/2以下に設定する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、移動体側において、ピックアップトランスの2次巻線312と給電対象である負荷抵抗RとコンデンサC4とを直列接続して、地上側のインバータの基本波周波数に同調して共振する直列共振回路を構成し、かつ、給電線側のインダクタンスL1のインピーダンス値を負荷の1/2以下とすることにより、負荷抵抗Rが変動した場合においても、負荷抵抗Rへの供給電圧を一定にすることができる。
【0040】
なお、一般的に、非接触給電装置は、ピックアップを小型軽量化するため、基本波周波数を高く設計している。しかし、ピックアップが出力する高周波電圧を直接受電できない負荷が移動体に載せられる場合もあり得る。図5はそのような場合に好適な本実施形態の変形例を示すものである。この変形例では、ピックアップ310から出力される交流電圧が整流回路321および平滑コンデンサC5によって直流電圧に変換され、負荷Rに供給される。
【0041】
B.第2実施形態
図6はこの発明の第2実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。上記第1実施形態(図1)の回路構成においては受電電圧Eが変動すると、インバータ110の出力電圧V1が変動する。この影響を受け、負荷Rへの供給電圧が変動する。非接触給電装置の給電対象となる負荷Rには、この電圧変動を抑制することが必要なものもあり得る。本実施形態は、そのような負荷への給電に好適な非接触給電装置を提供するものである。
【0042】
本実施形態に係る非接触給電装置は、図6に示すように、インバータ110の前段にチョッパ130が配置されている。このチョッパ130は、既に図43を参照して説明したものと同様なトランジスタQc、インダクタンスLc、コンデンサCcおよびダイオードDcと制御部131を有している。制御部131は、トランジスタQcをon状態にするパルスを周期的に発生するとともに、インバータ110への出力電圧Eを検出し、これを基準電圧に一致させるようにトランジスタQcをon状態にするパルスの幅を変調して、出力電圧Eを調整している。したがって、受電電圧が変動しても、インバータ110の出力電圧V1を一定に制御することができ、負荷Rへの供給電圧を一定にすることができる。
【0043】
図6に示す非接触給電装置に用いられているチョッパ130は、出力電圧Eを受電電圧より低い値に制御する降圧チョッパである。出力電圧Eを受電電圧より高い値にしたい場合は、このチョッパ130の代わりに、図7に示す昇圧チョッパを採用すればよい。
【0044】
また、商用電源(交流)から受電する場合、図8に示す整流回路の出力端子をインバータ110もしくはチョッパ130の入力端子に接続して対応すればよい。この整流回路を付加した構成によれば、商用電源からの交流電圧が直流電圧に変換され、インバータ110もしくはチョッパ130に供給される。
【0045】
C.第3実施形態
図9はこの発明の第3実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【0046】
本実施形態の技術的意義を理解するためには、図1におけるピックアップ310の特性について理解する必要がある。そこで、以下その詳細について述べる。
【0047】
まず、図1に示す構成において、仮にピックアップトランスの1次巻線(給電線)に流れる電流iが一定になるように制御されるとすると、ピックアップトランスから負荷Rに至るまでの部分の等価回路は、図10(a)に示すものとなる。
【0048】
次にピックアップトランスの1次巻線(給電線)に流れる電流をi、2次巻線の起電力をe、1次巻線と2次巻線間の相互インダクタンスをM4、2次巻線の漏れインダクタンスをL4、インバータ110から得られる交流電圧の基本波角周波数をωとすると、図10(a)に示す等価回路は図10(b)に示すように単純化される。
【0049】
そして、インダクタンスM4およびL4とコンデンサC4からなる直列共振回路がインバータ110から出力される矩形波の基本波角周波数ωに同調して共振するように、各インダクタンスおよびコンデンサの値が決められている場合には、図10(b)に示す等価回路はさらに図10(c)に示すように簡単化される。この最も簡単化された等価回路において、ピックアップの出力電圧Vtは、
Vt=e=M4・di/dt ……(6)
となる。
【0050】
ところが、上記第1実施形態(図1)では、給電線の電流iを制御していないので、負荷の大小によって、電流iが若干変動する。この電流iの変動により、ピックアップ310の出力電圧Vtが若干変動し、負荷Rの端子電圧が若干変動する。この電圧変動は、前掲図3および図4を参照して説明したように、インダクタンスL1のインピーダンスを負荷抵抗R’’に対し充分に小さく設定すれば、ある程度まで抑制可能である。
【0051】
しかし、用途によっては、それ以上に負荷Rの電圧変動を抑制することが必要な場合もある。本実施形態に係る非接触給電装置は、そのような要請に応えるために提供されたものである。図9に示す本実施形態に係る非接触給電装置は、上記第2実施形態に係る非接触給電装置(図6)に対して、ピックアップトランスの1次巻線(給電線)に流れる電流iを検出するセンサCTを追加し、このセンサCTの出力信号がチョッパ130の制御部131に供給されるように構成されている。この非接触給電装置において、チョッパ130の制御部131は、センサCTによって検出される電流値が一定になるように、トランジスタQcをonにするパルスの幅を調整してインバータ110に供給する直流電圧Eを調整し、給電線に流れる電流を一定にする。この結果、ピックアップ310の出力電圧Vtは、図11に示すように負荷Rの大小によらず一定に制御される。
【0052】
また、このように給電線に流れる電流iを一定に制御する以外に、同調フィルタ120のコンデンサC2の端子電圧V2を一定に制御しても、同じ効果が得られる。つまり、図9において、コンデンサC2の端子電圧V2を検出し、制御部131がこれを基準値と比較し、トランジスタQcをon状態にする時間幅を調整して直流電圧E(インバータ110の入力電圧E)を調整する。この直流電圧Eを調整することによって、インバータ110から出力される矩形波電圧V1の振幅が調整され、端子電圧V2が基準値に制御される。この結果、ピックアップ310の出力電圧が、負荷Rの大小によらず一定に制御される。
【0053】
なお、チョッパ130については、図9に示した降圧チョッパの代わりに、図7の昇圧チョッパを採用してもよい。
【0054】
D.第4実施形態
図12はこの発明の第4実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。この非接触給電装置は、図5に示す第1実施形態に係る非接触給電装置において、インバータ110を図12に示すインバータ110Aに置き換えたものである。
【0055】
インバータ110Aは、4個のトランジスタQup、Qun、QvpおよびQvnと各トランジスタのコレクタおよびエミッタ間に介挿された4個のダイオードとにより構成されている。ここで、トランジスタQupおよびQunは電源入力端子PおよびN間に直列に介挿されており、同様にトランジスタQvpおよびQvnも電源入力端子PおよびN間に直列に介挿されている。各トランジスタQup、Qun、QvpおよびQvnは、各々同一周期を有するが波形および位相の異なった周期的なパルスによりon/off切り換えが行われる。そして、トランジスタQupおよびQun間の接続点UとトランジスタQvpおよびQvn間の接続点Vとの間の線間電圧がインバータ110Aの出力電圧V1として同調フィルタ120に供給される。
【0056】
図13は本実施形態の動作を示すタイミングチャートである。図示しない制御部は、一定周期のクロックCK1とこのクロックCK1を任意の時間Tdだけ遅延させたクロックCK2を生成する(図13(a)(b))。また、制御部は、クロックCK1を分周して分周パルスAを生成し、クロックCK2を分周して分周パルスBを生成する。そして、制御部は、図示しないANDゲートにより分周パルスAおよびBの両方のレベルがHレベルのときにHレベルとなるパルスP1を生成し、図示しないNORゲートにより分周パルスAおよびBの両方のレベルがLレベルのときにHレベルとなるパルスP2を生成する(図13(e)(f))。そして、制御部は、パルスP1に対応した波形の電流をトランジスタQupに流し、パルスP1を反転した波形の電流をトランジスタQunに流す。また、制御部は、パルスP2に対応した波形の電流をトランジスタQvpに流し、パルスP2を反転した波形の電流をトランジスタQvnに流す。この結果、U点の電圧波形は図13(g)に示す波形となり、V点の電圧波形は図13(h)に示す波形となり、インバータ110Aの出力電圧V1の波形は図13(i)に示すものとなる。このインバータ110Aでは、制御部により、上記遅延時間Tdが調整され、これによりトランジスタQupおよびQvpのon期間TpとトランジスタQunおよびQvnのon期間Tnの時間比率が調整される。ここで、時間比率Tp/Tnを大きくするとインバータ110Aの出力電圧V1の実効値が大きくなり、逆に、時間比率Tp/Tnを小さくすると出力電圧V1の実効値が小さくなる。したがって、このインバータ110Aによれば、前段にチョッパを設けてインバータ110Aの受電電圧Eを調整しなくても、出力電圧V1の実効値を調整することができる。
【0057】
本実施形態の技術思想を取り入れることにより、上記第2実施形態および上記第3実施形態を改良することが可能である。
【0058】
<本実施形態の技術思想を取り入れた第2実施形態の改良例>
この改良例では、上記第2実施形態(図6)において、チョッパ130およびインバータ110の代わりに、図12に示すインバータ110Aを用いる。この構成において、インバータ110Aの受電電圧Eを検出し、これに応じてインバータ110Aの時間比率Tp/Tnを調整し、インバータ110Aの出力電圧V1を一定に制御する。
【0059】
<本実施形態の技術思想を取り入れた第3実施形態の改良例>
上記第3実施形態(図9)において、チョッパ130およびインバータ110の代わりに図12に示すインバータ110Aを用いる。この構成において、給電線に流れる電流を検出し、基準値と比較し、インバータ110Aの時間比率Tp/Tnを調整し、給電線の電流を一定に制御する。または、同じ構成において、同調フィルタ120の端子電圧V2を検出し、基準値と比較し、インバータの時間比率Tp//Tnを調整し、同調フィルタ120の端子電圧V2を一定に制御する。
【0060】
E.第5実施形態
図14はこの発明の第5実施形態に係る非接触給電装置の構成を示す回路図である。既に図10および図11を参照して説明したように、ピックアップ310は、起電力eの電圧源とみなすことができる。そして、よく知られているように、複数の電圧源を直列接続して1つの電圧源を構成することも可能である。本実施形態は、このような考えに従ってなされたものである。
【0061】
図14に示す本実施形態に係る非接触給電装置は、例えば上記第4実施形態(図12)における1個のピックアップ310の代わりに3個のピックアック310A、310Bおよび310Cが設けられている。これらの各ピックアッップの2次巻線には各々から得られる交流電圧を直流電圧に変換する整流回路321A、321Bおよび321Cが各々接続されている。そして、整流回路321A、321Bおよび321Cは、直列接続されており、この直列接続された整流回路と平滑コンデンサC5により得られる直流電圧が負荷Rに供給される。
【0062】
このように複数のピックアップを直列に接続して多重化することによって、負荷Rに対する出力電圧を拡大し、出力電力を大容量化できる。
また、本実施形態によれば、ピックアップの容量を規格化し、ピックアップの機種を少なくしても、複数のピックアップを組み合わせて直列多重化することによって、多様な出力電圧や出力容量の要求に対応した非接触給電装置を構成することができる。
【0063】
F.第6実施形態
図15はこの発明の第6実施形態に係る非接触給電装置の構成を示す回路図である。既に図10および図11を参照して説明したように、ピックアップ310は、起電力eの電圧源とみなすことができる。しかしながら、銅損(巻線の電気抵抗によって発生する損失)や鉄損(巻線の磁界によって発生する損失)の影響によって、出力電力が増加すると、ピクアップ310の出力電圧が若干低下する傾向にある。つまり、実際のピックアップには、損失に起因する内部インピーダンスがあり、この分の電圧降下によって、出力電圧が垂下する。複数のピックアップの2次巻線を並列に接続した場合に、各2次巻線に内部インピーダンスによる垂下特性があるので、各2次巻線に流れる電流をバランスさせることができる。また、各ピックアップの内部インピーダンスM4,L4,C4を意図的に若干同調点から外せば、各ピックアップの内部インピーダンスが残り、電流バランスがさらに向上する。したがって、ピックアップの出力を並列に接続して使用できる。本実施形態は、このような考えに従ってなされたものである。
【0064】
図15に示す本実施形態に係る非接触給電装置は、例えば上記第4実施形態(図12)において、1個のピックアップ310の代わりに3個のピックアック310A、310Bおよび310Cが設けられている。これらの各ピックアッップの2次巻線には各々から得られる交流電圧を直流電圧に変換する整流回路321A、321Bおよび321Cが各々接続されている。そして、整流回路321A、321Bおよび321Cは、並列接続されており、この並列接続された整流回路と平滑コンデンサC5により得られる直流電圧が負荷Rに供給される。
【0065】
このように複数のピックアップを並列に接続して多重化することによって、負荷Rに対する出力電流を拡大し、出力電力を大容量化できる。
また、ピックアップの容量を規格化し、ピックアップの機種を少なくしても、複数のピックアップを組み合わせて並列多重化することによって、多様な出力電流や出力容量の要求に対応した非接触給電装置を提供することができる。
【0066】
G.第7実施形態
上述した従来技術および既に述べた各実施形態では、単相交流の形態で負荷に対する非接触給電を行った。これに対し、本実施形態では、三相交流の形態で非接触給電を行う。
【0067】
はじめに、三相交流の形態で非接触給電する利点について説明する。
一般的に、非接触給電装置は、ピックアップを小型軽量化するため、基本波周波数を高く設計し、高周波で給電している。このため、ピックアップの出力電圧を全波整流し、直流電圧に変換して負荷に供給していることが多い。
【0068】
ここで、図16に示すように単相交流電圧の全波整流を行って負荷に出力電圧Vdcを給電する場合と、図18に示すように三相交流電圧の全波整流を行って出力電圧Vdcを給電する場合とを比較する。
【0069】
図17および図19において、実線は負荷Rが接続されていない状態において全波整流回路から得られる電圧波形の波高値Vpを表しており、破線はコンデンサC5がない場合の電圧波形(波高値Vp)を表しており、一点鎖線はコンデンサC5がない場合の平均電圧を表している。そして、図17は図16に示すように単相交流電圧の全波整流を行って負荷に出力電圧Vdcを給電する場合の各電圧波形を表しており、図19は図18に示すように三相交流電圧の全波整流を行って出力電圧Vdcを給電する場合の各電圧波形を表している。
【0070】
この場合、出力電圧Vdcは、負荷の大小によって、図20に示すように変化するが、単相交流電圧を全波整流して給電したときに負荷が受ける出力電圧Vdcの最低値は0.64Vpであるのに対し、三相交流電圧を全波整流して給電したときに負荷が受ける出力電圧Vdcの最低値は0.95Vpとなる。しがたって、三相交流の形態で負荷へ給電すると、負荷の大小によって発生する出力電圧の変動を大幅に改善することができる。
【0071】
また、三相化によって、出力電力を大容量化できる。例えば、単相給電と同じピックアップを3個使用して三相給電すれば、出力電力を3倍に拡大することができる。
【0072】
この発明の第7実施形態に係る非接触給電装置は、以上のような考えに基づいて提供されるものである。図21は本実施形態に係る非接触給電装置の一具体例を示す回路図である。図22は本実施形態において用いられる給電線とピックアップを示す斜視図である。図23は図22に示されるピックアップのI−I’線断面図である。
【0073】
本実施形態において、地上側に設置される高周波電源100は、トランジスタQup、Qun、Qvp、Qvn、QwpおよびQwnと、これらの各トランジスタのコレクタおよびエミッタ間に介挿された各ダイオードによって構成された3相インバータ110Mを有している。この3相インバータ110Mにおいて、トランジスタQupおよびQunの共通接続点UはU相電圧の出力端子である。また、トランジスタQvpおよびQvnの共通接続点VはV相電圧の出力端子である。そして、トランジスタQwpおよびQwnの共通接続点WはW相電圧の出力端子である。
【0074】
三相インバータ110Mの出力電圧波形を図24に示す。本インバータは、図示のごとく、相電圧U,V,Wを180度導通の三相矩形波電圧とするように、各トランジスタのon/offをパターン制御し、三相交流電圧(線間電圧UV,VW,WU)を出力する。なお、この3相インバータ110Mは、図12を参照して説明したインバータ110Aを三相交流電圧の発生に適した構成にしただけのものであるので詳細な説明は省略する。
【0075】
また、高周波電源100は、上記第1実施形態における同調フィルタ120を3個含んだ同調フィルタ120Mを有している。3相インバータ110MのU相およびV相との相間電圧UVと、V相およびW相との相間電圧VWと、W相およびU相との相間電圧WUは、各々リアクトルL1を介し、同調フィルタ120Mに含まれる3個の同調フィルタに各々供給される。すなわち、高周波電源100内において、同調フィルタ120Mに含まれる3個の同調フィルタの各入力部はデルタ接続されている。
【0076】
図22に示すように、移動体の移動経路に沿って3系統の給電線200L1、200L2および200L3が敷設されている。そして、同調フィルタ120Mを介することにより、給電線200L1には相間電圧UVに対応した電流が流され、給電線200L2には相間電圧VWに対応した電流が流され、給電線200L3には相間電圧WUに対応した電流が流される。移動体には図22に示す3個のピックアップ310−1、310−2および310−3が取り付けられている。これらのピックアップは、3系統の給電線の各々に接近し、かつ、非接触状態を保ちながら、移動体とともに移動する。
【0077】
図23に示すように、ピックアップ310−1は、給電線200L1によって発生される磁界の磁路をなすヨーク311−1と、このヨーク311−1に巻回された2次巻線312―1とを有している。同様にピックアップ310−2は、給電線200L2によって発生される磁界の磁路をなすヨーク311−2と、このヨーク311−2に巻回された2次巻線312―2とを有し、ピックアップ310−3は、給電線200L3によって発生される磁界の磁路をなすヨーク311−3と、このヨーク311−3に巻回された2次巻線312―3とを有している。
【0078】
図21に示すように、移動体側において3個のピックアップ310−1〜310−3の2次巻線312−1〜312−3はスター接続されており、各々がU相、V相およびW相の相電圧を発生する電圧源をなしている。移動体には、ブリッジ接続されたダイオードDa、Db、Dc、Dd、DeおよびDfと平滑コンデンサC5により構成された3相全波整流回路が設けられている。そして、2次巻線312−1から得られるU相電圧はコンデンサC4を介してダイオードDaおよびDbの共通接続点に供給され、2次巻線312−2から得られるV相電圧は別のコンデンサC4を介してダイオードDcおよびDdの共通接続点に供給され、2次巻線312−3から得られるW相電圧はさらに別のコンデンサC4を介してダイオードDeおよびDfの共通接続点に供給される。この結果、U、VおよびWの3相交流電圧を全波整流した直流電圧が負荷Rに供給される。
【0079】
本実施形態によれば、移動体の負荷に三相交流の形態で給電しているので、負荷の大小によって発生する出力電圧の変動を大幅に改善できる。また、三相化によって、出力電力を大容量化できる。
【0080】
H.第8実施形態
三相の結線方法として、スター結線とデルタ結線がある。移動体の負荷に三相交流の形態で給電する本発明の実施形態は、これらの組合せによって、以下のように4通りの構成に分類することができる。
【0081】
Figure 0004770052
【0082】
上記の表において、各構成における出力電圧比は、同一の同調フィルタ、給電線、ピックアップを使用した場合における地上側のインバータの出力電圧と移動体上の負荷Rに対する出力電圧の比である。上記表に掲げられたもののうち構成aについては、第7実施形態において図21を参照して説明した。構成bの回路構成を図25に、構成cの回路構成を図26に、構成dの回路構成を図27に各々示す。これらの構成a〜dを適宜選択することにより、出力電圧比を所望の値にすることができる。
【0083】
I.第9実施形態
上記第7実施形態および第8実施形態では、3相交流電圧の形態で給電を行う非接触給電装置に本発明を適用した例を挙げた。この発明の第9実施形態では、これらの実施形態において採用された三相結線をV結線に変更する。
【0084】
図28は本実施形態に係る非接触給電装置の構成を示す回路図である。図29は同実施形態における給電線とピックアップの構成を示す斜視図である。
【0085】
上記第7実施形態では、図22に示されるように3系統の給電線を敷設し、各給電線に対し、図21〜図23に示されるように、インバータ110Mから出力されるUV相間電圧、VW相間電圧およびWU相間電圧を各々印加した。また、移動体側では3個のピックアップによりこれらの三相の交流電圧を取得し、全波整流を行った。
【0086】
これに対し、本実施形態では、図29に示されるように、三相のうちWU相間電圧を伝送する給電線が除去されており、移動体にはUV相間電圧およびVW相間電圧を取得するための2個のピックアップ310−1および310−2のみが設けられている。そして、図28から理解されるように、三相インバータ110Mから得られるUV相間電圧およびVW相間電圧に相当する二相の電圧が移動体側のピックアップ310−1および310−2により取得され、その全波整流が行われ、負荷Rに直流電圧が給電される。
【0087】
このように給電線のピックアップをV結線としても、等価的に三相交流での非接触給電が可能である。
【0088】
この場合、一相分の同調フィルタ、給電線、ピックアップを省略できるメリットがある。特に、給電線は、移動体が移動する距離・区間に合わせて敷設するため、用途によっては、長距離化することがある。このため、給電線のスペースが一相分省略できるメリットは大きい。
【0089】
J.第10実施形態
図30はこの発明の第10実施形態に係る非接触給電装置の構成を示す回路図である。図31は同非接触給電装置における給電線とピックアップの構成を示す斜視図である。図32は図31に示されるピックアップのI−I’線断面図である。
【0090】
上記第7実施形態では、図22に示されるように各々往路および復路からなる3系統の給電線を敷設し、各給電線に対し、図21〜図23に示されるように、インバータ110Mから出力されるUV相間電圧、VW相間電圧およびWU相間電圧を各々印加した。
【0091】
これに対し、本実施形態では、図31に示されるように、3系統の給電線200L1、200L2および200L3は各々往路に対応した部分のみが敷設されており、復路に対応した部分は敷設されていない。これらの3系統の給電線200L1、200L2および200L3はピックアップの移動経路上の所定の地点において共通接続されており、この共通接続点が3相の中性点を構成している。各給電線200L1、200L2および200L3から3相交流電圧を取得するピックアップとしては、図32に示されるように一体化されたピックアップ310aが用いられている。
【0092】
また、図30に示すように、3相分の同調フィルタ120Mのコモン(中性点)と給電線のコモン(中性点)とは切り離されている。
【0093】
本実施形態によれば、上記第7実施形態と同様に、3相交流での非接触給電を行うことができる。しかも、本実施形態においては、上記第7実施形態において各相毎に敷設されていた往路および復路からなる給電線を往路のみの給電線に変更することができる。給電線は、移動体が移動する距離・区間に合わせて敷設するため、用途によっては、長距離化することがある。このため、本実施形態において給電線の長さを低減できるメリットは大きい。
【0094】
なお、上記構成は一例であり、下記のごとく、変更しても同様の効果が得られる。
変形例1:ピックアップトランスのコアは、各相ごとに分割してもよい。この場合の断面構造を図33に示す。
変形例2:ピックアップの2次巻線は、デルタ結線としてもよい。
変形例3:同調フィルタのコンデンサC2は、デルタ結線としてもよい。
【0095】
K.第11実施形態
上記第2実施形態では、インバータの前段にチョッパを配置し、直流電圧を一定に制御することによって、受電電圧が変動しても、移動体の負荷電圧を一定にできることを説明した。この技術思想は、三相交流での給電を行う非接触給電装置についても適用可能であり、適用した場合には上記第2実施形態と同じ効果を期待することができる。
【0096】
そこで、この発明の第11実施形態では、図21、図25、図26、図27、図28または図30に示す三相インバータの前段に図6または図7に示すチョッパを配置し、直流電圧Eを一定に制御する。これにより、3相インバータの受電電圧が変動しても、移動体の負荷電圧を一定にすることができる。
【0097】
L.第12実施形態
上記第3実施形態では、インバータの前段にチョッパを配置し、給電線の電流(または、同調フィルタのコンデンサC2の端子電圧V2)を一定に制御することによって、負荷が変動しても、ピックアップの出力電圧を一定にできることを説明した。この技術思想は、三相交流での給電を行う非接触給電装置にも適用可能であり、適用した場合には上記第3実施形態と同じ効果を期待することができる。
【0098】
そこで、この発明の第12実施形態では、図21、図25、図26、図27、図28または図30に示す各非接触給電装置における三相インバータの前段に図6または図7に示すチョッパを配置し、給電線の電流(または、同調フィルタのコンデンサC2の端子電圧V2)を一定に制御する。これにより、負荷が変動しても、ピックアップの出力電圧を一定にすることができる。
【0099】
M.第13実施形態
上記第5実施形態では、ピックアップを直列に接続して多重化することによって、出力電圧を拡大し、出力電力を大容量化できることを説明した。この技術思想は、三相交流での給電を行う非接触給電装置についても適用可能であり、適用した場合には上記第5実施形態と同じ効果を期待することができる。
【0100】
そこで、この発明の第13実施形態では、図21、図25、図26、図27、図28または図30に示す非接触給電装置におけるピックアップを直列に接続して多重化する。これににより、出力電圧を拡大し、出力電力を大容量化することができる。
【0101】
N.第14実施形態
上記第6実施形態では、ピックアップを並列に接続して多重化することによって、出力電流を拡大し、出力電力を大容量化できることを説明した。この技術思想は、三相交流での給電を行う非接触給電装置についても適用可能であり、適用した場合には上記第6実施形態と同じ効果を期待することができる。
【0102】
そこで、この発明の第12実施形態では、図21、図25、図26、図27、図28または図30に示す非接触給電装置におけるピックアップを並列に接続して多重化する。これにより出力電流を拡大し、出力電流を大容量化することができる。
【0103】
O.第15実施形態
この発明の第15実施形態に係る非接触給電装置は、二相交流での給電を行う。
【0104】
はじめに、二相交流での非接触給電を行うメリットについて説明する。
ピックアップの出力を全波整流する場合、出力電圧Vdcは負荷の大小によって変化する。ここで、ピックアップ出力電圧の波高値をVpとすると、単相給電を行った場合には負荷に対する出力電圧の最低値は0.64Vpになるが、二相給電を行った場合にはの負荷に対する出力電圧の最低値は0.90Vpとなる。このように二相交流での給電を行うと、負荷の大小によって発生する出力電圧の変動を大幅に改善することができる。本実施形態は、このような考えに従ってなされたものである。
【0105】
本実施形態に係る非接触給電装置は、図34に示すように、地上側の高周波電源100内に二相インバータ110Wを有している。この二相インバータ110Wの出力電圧波形を図35に示す。この二相インバータ110Wでは、図35に示すように、相電圧U、V、XおよびYとして所望の導通角の二相矩形波電圧が得られるように、各トランジスタQup、Qun、Qvp、Qvn、Qxp、Qxn、QypおよびQynのon/offのパターン制御が行われ、二相交流電圧(線間電圧UV、XY)が出力される。また、本インバータ110Wでは、トランジスタQup、QxpおよびQypのon期間TpとトランジスタQun、Qvn、QxnおよびQynのon期間Tnの時間比率を調整することができる。ここで、時間比率Tp/Tnを大きくすると出力電圧V1(線間電圧UV、XY)の実効値が大きくなり、逆に、時間比率Tp/Tnを小さくすると出力電圧V1(線間電圧UV、XY)の実効値が小さくなる。したがって、受電電圧Eによらず、出力電圧V1(線間電圧UV、XY)の大きさを調整することができる。すなわち、本実施形態によれば、チョッパを使用しなくても、出力電圧V1(線間電圧UV、XY)の大きさを調整することができる。
【0106】
また、図34に示す非接触給電装置において、二相インバータ110Wの受電電圧Eを検出し、インバータ110Wにおいて時間比率Tp/Tnを調整し、出力電圧V1を一定に制御するようにしてもよい。
この場合、受電電圧が変動しても、移動体の負荷電圧を一定にすることができる。
【0107】
また、図34に示す非接触給電装置において、給電線の電流を検出し、基準値と比較し、インバータ110Wにおいて時間比率Tp/Tnを調整し、給電線の電流を一定に制御するようにしてもよい。または、同調フィルタの端子電圧V2を検出し、基準値と比較し、インバータ110Wにおいて時間比率Tp/Tnを調整し、同調フィルタの端子電圧V2を一定に制御するようにしてもよい。
この場合、負荷が変動しても、ピックアップの出力電圧を一定にすることができる。
【0108】
P.第16実施形態
以上、単相給電、二相給電、三相給電の3種類の給電方法を挙げ、各方法に対応した非接触給電装置の実施形態を開示した。しかし、本発明は、これ以上の多相の給電方法により給電を行う非接触給電装置に適用可能であることは言うまでもない。
【0109】
多相交流での非接触給電を行うことのメリットは次の通りである。まず、ピックアップの出力電圧を全波整流する場合、出力電圧Vdcは負荷の大小により変化する。そして、ピックアップの出力電圧の波高値をVpとすると、負荷に対する出力電圧の最低値は、単相給電の場合には0.637Vp、二相給電の場合には0.900Vp、三相給電の場合には0.955Vp、四相給電の場合には0.974Vp、…、N相給電の場合には(2N/π)sin(π/2N)となる。このように相数を増やしていくと、出力電圧Vdcの最低値がVpに近づく。したがって、多相交流による給電を行うと、負荷の大小によって発生する出力電圧の変動を大幅に改善することができる。
【0110】
Q.第17実施形態
図36はこの発明の第17実施形態に係る非接触給電装置の構成を示す回路図である。上述した第7実施形態〜第16実施形態は、2相以上の多相交流による非接触給電装置に関するものであったが、これらの非接触給電装置における移動体側では、ピックアップの2次巻線とコンデンサと負荷とを直列接続して直列共振回路を構成した。
【0111】
これに対し、本実施形態では、図36に示すように、ピックアップの2次巻線312−i(i=1,2,3)とコンデンサC4と負荷Rを並列接続して並列共振回路を構成している。
【0112】
本実施形態によれば、三相交流により非接触給電を行うことにより、出力電力を大容量化することができる利点がある。例えば単相給電に用いたものと同じピックアップを3個使用して非接触給電を行うと、出力電力を3倍に拡大することができる。
【0113】
図37は本実施形態の変形例の構成を示す回路図である。この変形例では、ピックアップ310−i(i=1、2、3)と負荷Rとの間に昇圧チョッパ350が介挿されている。昇圧チョッパ350自体は周知の回路であるのでその説明は省略する。
【0114】
なお、以上の説明では三相交流での非接触給電を行う場合を例に挙げたが、二相または四相以上の多相交流での非接触給電に本実施形態を適用しても同様の効果を期待することができる。
【0115】
R.第18実施形態
既に説明したように、従来技術の下では、給電線の設置後に、その長さに応じて同調フィルタにおけるリアクトルのインダクタンスやコンデンサの容量値を変え、同調フィルタおよび給電線からなる同調回路の同調周波数を所定の基本波周波数に一致させる調整作業が必要であり、これが甚だ面倒なものであった。この発明の第18実施形態に係る非接触給電装置は、かかる問題に鑑みて提供されたものである。
【0116】
本実施形態では、図38に示される給電線200L、ピックアップ310および同調フィルタ120により1つの給電線モジュールが構成される。また、本実施形態では、給電線200Lの長さが規格化されており、例えば給電線200Lの長さが単位長L1である第1モジュール、給電線200Lの長さが単位長L2である第2モジュール、…という具合に様々な単位長の給電線200Lに対応した各種の給電線モジュールが用意される。
【0117】
各モジュールでは、同調フィルタ120および給電線200Lからなる同調回路の同調周波数が高周波電源内のインバータの出力交流波形の基本波周波数に一致するように、同調フィルタ120におけるコイルのインダクタンスやコンデンサの容量値が選定されている。
【0118】
従って、非接触給電装置の施工者は、給電線の長さの異なった各種のモジュールの中から移動体の移動経路長に適したものを選択し、移動経路上に設置すればよい。この場合において、設置後における同調フィルタの調整は不要である。
【0119】
また、本実施形態では、図38に示すように、給電線200Lは、移動体の移動区間の両端に相当する各位置において、ピクアップ310のある側とは反対側に折り返されている。
【0120】
従って、例えば非接触給電装置のメンテナンスなどの場合に、移動体のピックアップ310を給電線200Lに接触させることなく、移動体を移動させ、移動経路から取り外すことができる。
【0121】
リニアガイドによって支持されている移動体は、軌道から取り外せる構造が要求されるが、本実施形態によればこの要求に応えることができる。
【0122】
なお、以上説明した本実施形態は、単相交流での非接触給電を例に挙げて説明したが、2相以上の多相交流による非接触給電に適用した場合においても同様の効果を期待することができる。
【0123】
S.第19実施形態
長距離に及ぶ移動経路に沿って移動する移動体に非接触給電を行うことが求められる場合がある。また、非接触給電装置の設置後に、給電線の延長や追加が必要になる場合もある。この発明の第19実施形態はこれらの要求に応えるものである。
【0124】
本実施形態では、図39や図40に例示するように、複数の給電線モジュールMDLが適当に組み合わされ、非接触給電装置が構成される。さらに詳述すると、図39または図40に例示された非接触給電装置では、最初の給電線モジュールMDL−1の給電線200Lに2番目の給電線モジュールMDL−2の給電線200Lが継ぎ足され、さらにこれに3番目の給電線モジュールMDL−3の給電線200Lが継ぎ足され、という具合に、複数の給電線モジュールMDL−k(k=1〜M)の給電線200Lが順次継ぎ足されて、長距離に及ぶ移動体の移動経路が構成されている。なお、最初から図示のような長距離の移動経路に対応した非接触給電装置を設置する以外に、例えばM−1個の給電線モジュールMDL−k(k=1〜M−1)により構成された非接触給電装置が既に設置されている場合において、M番目の給電線モジュールMDL−Mを継ぎ足すことにより移動体の移動経路の延長を図ってもよい。
【0125】
ここで、各給電線モジュールMDL−kは、既に第18実施形態において説明したように、同調フィルタ120および給電線200Lからなる同調回路の同調周波数が高周波電源内のインバータの出力交流波形の基本波周波数に一致するように、同調フィルタ120におけるリアクトルのインダクタンスやコンデンサの容量値が選定されている。従って、各給電線モジュールの設置後における同調フィルタの現地調整は不要である。
【0126】
また、上記第18実施形態と同様、各給電モジュールの給電線200Lは、各々が受け持っている移動区間の始点および終点に相当する位置において、ピックアップ310のある側とは反対側に折り返されている。
従って、本実施形態によれば、あるモジュールMDL−k内の給電線200Lに沿って移動している移動体は、そのピックアップ310を給電線200Lに接触することなく、そのモジュ−ルMDL−kを去り、隣りのモジュールMDL−k+1の給電線200Lに乗り換えて非接触給電を受けることができる。
【0127】
図41には各給電線モジュールMDL−k(k=1〜M)に交流電圧を供給するインバータ110を含めて、本実施形態に係る非接触給電装置が図示されている。なお、図示を省略した電流制限用のリアクトルは、各同調フィルタ120の入力側に挿入してもよく、インバータ110の出力側に各同調フィルタに共用のものを設けてもよい。
【0128】
図41に示す構成において、インバータ110は、上記第1実施形態において説明したように、電圧源として動作し、各給電線モジュールMDL−k(k=1〜M)の給電線200Lを乗り継いで移動するピックアップの負荷に応じて電力を供給する。
【0129】
さらに詳述すると、例えば給電線モジュールMDL−1の給電線200Lに移動体のピックアップが対向しているとき、前掲図3(d)に例示される負荷R’’のインピーダンスに応じた電流が給電線MDL−1の同調フィルタ120に流れ込む。一方、他の給電線モジュールMDL−2〜MDL−Mの給電線200Lには移動体のピックアップは対向していないので、これらの給電線モジュールの同調フィルタ120に接続された負荷のインピーダンスは無限大である。従って、インバータ110からこれらの給電線モジュールMDL−2〜MDL−Mの同調フィルタ120に流れ込む電流はない。従って、本実施形態によれば、インバータ110の出力容量は、給電線モジュールを移動する移動体の要求電力に合わせて選定すればよく、給電線モジュールの接続数量には影響されない。
【0130】
以上、給電線の単位でモジュール化を行う実施形態を説明したが、階層的なモジュール化を行ってもよい。図42に示す実施形態では複数の給電線モジュールMDLとこれらに並列に給電を行う1個のインバータとにより1個の給電装置モジュールDMDLが構成されている。そして、このような給電装置モジュールDMDLが複数組み合わされて1個の非接触給電装置が構成されている。このようなモジュールの連結により、移動経路についての制限のない長距離化、制限のない設備追加が可能になる。配電線の電圧は各給電装置モジュールのインバータの受電仕様に合わせ、直流電圧でもよく、また、交流電圧(商用電源)でもよい。
【0131】
なお、以上説明した本実施形態は、単相交流での非接触給電を例に挙げて説明したが、2相以上の多相交流による非接触給電に適用した場合においても同様の効果を期待することができる。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る非接触給電装置によれば、負荷変動がある場合でも負荷に給電する電圧を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【図2】 同実施形態におけるインバータの出力波形を示す図である。
【図3】 同実施形態の等価回路を示す回路図である。
【図4】 同実施形態における各部の電圧ベクトルを示す図である。
【図5】 同実施形態の変形例の構成を示す回路図である。
【図6】 この発明の第2実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【図7】 同実施形態におけるチョッパの他の例を示す回路図である。
【図8】 同実施形態において用いられる整流回路を示す回路図である。
【図9】 この発明の第3実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【図10】 同実施形態の等価回路を示す回路図である。
【図11】 同実施形態におけるピックアップの出力特性を示す図である。
【図12】 この発明の第4実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【図13】 同実施形態の動作を示すタイミングチャートである。
【図14】 この発明の第5実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【図15】 この発明の第6実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【図16】 この発明の第7実施形態である非接触給電装置において三相交流での給電を行う意義を説明する図である。
【図17】 この発明の第7実施形態である非接触給電装置において三相交流での給電を行う意義を説明する図である。
【図18】 この発明の第7実施形態である非接触給電装置において三相交流での給電を行う意義を説明する図である。
【図19】 この発明の第7実施形態である非接触給電装置において三相交流での給電を行う意義を説明する図である。
【図20】 この発明の第7実施形態である非接触給電装置において三相交流での給電を行う意義を説明する図である。
【図21】 この発明の第7実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【図22】 同実施形態における給電線とピックアップを示す斜視図である。
【図23】 図22に示されたピックアップのI−I’線断面図である。
【図24】 同実施形態における三相インバータの出力電圧波形を示す図である。
【図25】 三相給電に対応した他の実施形態を示す図である。
【図26】 三相給電に対応した他の実施形態を示す図である。
【図27】 三相給電に対応した他の実施形態を示す図である。
【図28】 この発明の第9実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【図29】 同実施形態における給電線とピックアップを示す斜視図である。
【図30】 この発明の第10実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【図31】 同実施形態における給電線とピックアップを示す斜視図である。
【図32】 図31に示されたピックアップのI−I’線断面図である。
【図33】 同実施形態におけるピックアップの他の構成例を示す断面図である。
【図34】 この発明の第15実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【図35】 同実施形態における二相インバータの出力電圧波形を示す図である。
【図36】 この発明の第17実施形態である非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【図37】 同実施形態の変形例を示す回路図である。
【図38】 この発明の第18実施形態である非接触給電装置を構成するモジュールを示す図である。
【図39】 この発明の第19実施形態である非接触給電装置を示す図である。
【図40】 同実施形態の他の例を示す図である。
【図41】 同実施形態における給電系統をインバータを含めて示した図である。
【図42】 同実施形態の他の例を示す図である。
【図43】 従来の非接触給電装置の構成を示す回路図である。
【図44】 同非接触給電装置における給電線とピックアップを示す斜視図である。
【図45】 図44に示されたピックアップのI−I’線断面図である。
【図46】 同非接触給電装置の等価回路を示す回路図である。
【図47】 同非接触給電装置のピックアップの出力特性を示す図である。
【符号の説明】
100……高周波電源、110……インバータ、120……同調フィルタ、200……給電線部、300……移動体、310……ピックアップ、312……2次巻線、C4……コンデンサ、R……負荷。

Claims (6)

  1. 動体の移動経路に沿って敷設された給電線と、
    前記移動体に固定され、前記給電線と磁気的に結合する2次巻線を有するピックアップと、
    インバータと、リアクトルと同調フィルタにより構成され、前記インバータにより発生させられた交流電圧を前記リアクトルおよび前記同調フィルタを介して前記給電線に供給する交流電源と、
    前記ピックアップの2次巻線と、給電対象である前記移動体上の負荷と、コンデンサとを直列接続してなる直列共振回路と
    を具備し、
    前記リアクトルのインピーダンス値は、前記給電線側の交流換算値である前記負荷の抵抗値の1/2以下であることを特徴とする非接触給電装置。
  2. 記インバータは、周波数が一定であり、かつ、電圧が一定である交流電圧を発生することを特徴とする請求項に記載の非接触給電装置。
  3. 交流電源は、
    記インバータに直流電圧を供給するチョッパと、
    記給電線に流れる電流を検出するセンサと、
    記センサによって検出される電流が一定になるように前記チョッパから前記インバータに供給される電源電圧を制御する制御部と、
    を具備することを特徴とする請求項に記載の非接触給電装置。
  4. 記交流電源は、
    交流電圧を出力するとともにその出力電圧の制御が可能なインバータと、
    前記給電線に流れる電流を検出するセンサと、
    前記センサによって検出される電流が一定になるように前記インバータの出力電圧を制御する制御部と
    を具備することを特徴とする請求項に記載の非接触給電装置。
  5. 数の前記ピックアップを直列接続して構成され、前記負荷への給電を行う回路を前記移動体に設けたことを特徴とする請求項に記載の非接触給電装置。
  6. 数の前記ピックアップを並列接続して構成され、前記負荷への給電を行う回路を前記移動体に設けたことを特徴とする請求項に記載の非接触給電装置。
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