JP4770006B2 - 樹脂組成物、積層板及び配線板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物、積層板及び配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の多層配線板は、内層回路を形成した絶縁基板上に、プリプレグと呼ばれるガラス布にエポキシ樹脂を含浸し半硬化状態にした材料を銅箔と重ねて熱プレスにより積層一体化した後、ドリルで層間接続用のスルーホールと呼ばれる穴をあけ、スルーホール内壁と銅箔表面上に無電解めっきを行って、必要ならば更に電解めっきを行って回路導体として必要な厚さとした後、不要な銅を除去して多
層配線板を製造する。
【0003】
ところで、近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化が一段と進み、これに伴い、LSIやチップ部品等の高集積化が進み、その形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。この為、多層配線板は、電子部品の実装密度を向上するために、微細配線化の開発が進められている。しかしながら、配線幅の縮小には技術的に限界があり、現在量産可能な配線幅は75〜100μmである。この為、単に配線幅を縮小するだけでは大幅な配線密度の向上が達成しにくい。
【0004】
また、配線密度向上の隘路となっているのが、直径300μm前後の面積をしめるスルーホールである。このスルーホールは、一般的にメカニカルドリルで形成されるために比較的に寸法が大きく、この為配線設計の自由度が乏しくなる。
【0005】
これらの問題を解決するものとして、感光性を付与した樹脂を回路形成した絶縁基板上に形成し、フォトプロセスにより樹脂に微少なバイアホールを形成して層間接続する方法が、特公平4−55555号公報や特開昭63−126296
号公報に開示されている。
【0006】
また、難燃性樹脂組成物として、ハロゲン化物を含む樹脂組成物や水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの酸化されて水分を生じる無機化合物を含む樹脂組成物などが知られている。また、環境問題を解決すべく、ハロゲン化物を用いない難燃性樹脂組成物の研究が多くなされており、多くの難燃化剤とその製造方法が開示されている。例えば、特公昭40−28594号公報に記載されている、オルトリン酸メラミンを180〜250℃において焼成する焼成リン酸メラミンの製造法や、米国特許第3,920,796号明細書に記載の、オルトリン酸メラミンを170〜325℃で焼成することによるピロリン酸メラミンの製造法や、特開昭61−126091号公報に記載されている、縮合リン酸とメラミンを水性媒体の実質的不存在下に自然発生熱温度〜170℃の温度条件で固相反応せしめることを特徴とする縮合リン酸メラミンの製造法がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
配線板は、高密度化の進行により従来にも増して高い信頼性が要求されるようになっている。具体的には、電子部品実装時に支障が生じないような回路導体との強固な接着強度や高はんだ耐熱性である。
【0008】
一般的に、樹脂を難燃化するには、ハロゲン化物や無機充填剤を用いる。しかし、ハロゲン化物は、燃焼時にハロゲンが流出するという課題があり、無機充填剤は、内層回路板への流動性を悪化させるという課題がある。
【0009】
また、近年では、ハロゲン化物を用いずに難燃化を達成する必要が生じている。この様な場合、無機充填剤を多く含む手法をとらざるをえず、現像液への溶解性が悪くなり解像性を犠牲にするという課題が生じる。さらに、公知のリン系や窒素系の難燃剤は、回路導体との接着強度が低下するという課題も生じる。これは、分子構造中にエステル結合を有するため、配線板製造時に使用されるアルカリ性液や加熱工程の繰り返しにより難燃剤が分解しやすくなるためと推測される。
【0010】
本発明は、ハロゲン化物を用いずに難燃性を確保し、さらに、高温・高湿雰囲気下に放置したときの回路導体との接着強度と絶縁性に優れ、フォトリソグラフ法における解像度の良好な樹脂組成物とそれを用いた積層板ならびに配線板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決する手段】
本発明は次のものに関する。
(1) 光又は熱で硬化する樹脂にポリリン酸メラムを含有させた樹脂組成物。
(2) ポリリン酸メラムを組成物全体に対して4〜50重量%含有させた、(1)に記載の樹脂組成物。
(3) 光又は熱で硬化する樹脂が、光により活性化する光開始剤を含むことを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物を用いてなることを特徴とする樹脂フィルム。
(5) (1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物と基材からなる積層板。
(6) 内層回路を形成した内層回路板と、(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物を用いてなる樹脂層と、その樹脂層を貫通する穴と、穴の内壁に形成された金属めっきと、樹脂層表面に形成され、少なくとも1カ所では前記穴に形成された金属めっきが内層回路板と接続している回路導体とからなる配線板。
(7) 樹脂層を貫通する穴をフォトリソグラフ法で形成したことを特徴とする(6)に記載の配線板。
(8) 樹脂層に化学的粗化と無電解めっき又は無電解めっきと電解めっきを施すことにより、金属めっき層が形成された(6)または(7)のいずれかに記載の配線板。
(9) 回路を形成した基板の回路面に、(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物の層を備えることを特徴とする配線板。
【0012】
【発明の実施の形態】
メラムとは、(N−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミンであり、メラミン2分子からアンモニア1分子が脱離して縮合した1,3,5−トリアジン誘導体である。本発明に用いるポリリン酸メラムは、限定されるものではないが、例えば、メラムとリン酸を加熱縮合して得られるポリリン酸アミドの焼成生成物や、リン酸とメラミンの縮合生成物を高温で焼成した生成物などを用いることができる。リン酸源としてはオルトリン酸アンモニウム、オルトリン酸、縮合リン酸、無水リン酸、リン酸尿素、リン酸一水素アンモニウムなどが挙げられる。
【0013】
本発明で用いるポリリン酸メラム粒子の配合割合は、好ましくは組成物重量の4〜50重量%、特に好ましくは、10〜45重量%である。該配合割合が4重量%未満では十分な難燃性を効果的に向上させることが難しくなり、また50重量%を越えて配合すると現像液への溶解性が低下する傾向がある。
【0014】
本発明に用いるポリリン酸メラムの製造法の一例を以下に示す。
(a)メラミンと、リン酸とを、リン酸(オルリン酸換算分として)1モルに対してメラミンは1.0〜4.0モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより得られる反応生成物を得る。
(b)得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する。
ここで、(a)工程で使用されるメラミン及びリン酸は市販されているものを使用することができる。リン酸としてはオルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などを使用することができ、オルトリン酸が好ましい。オルトリン酸としてオルトリン酸水溶液を使用することができ、オルトリン酸濃度50重量%以上のものを使用すること好ましい。オルトリン酸濃度はできるだけ高いものが好ましく、オルトリン酸濃度75〜89重量%の乾式オルトリン酸水溶液が特に好ましい。オルトリン酸濃度50重量%未満のオルトリン酸水溶液は水が多くなりすぎ混合反応後、乾燥に時間がかかる点で効率が悪くなりやすい。
【0015】
メラミンとリン酸との混合においては、リン酸1モル(オルトリン酸換算分として)に対してメラミンの比率が1.0〜4.0モルであることが好ましく、メラミンの縮合反応によるメラムの生成を促進するために、メラミンの比率が2.0〜4.0モルであることが特に好ましい。リン酸1モルに対してメラミンが1.0モル未満の比率になると焼成生成物の酸が過剰になり酸性が強くなりすぎる傾向がある。また、リン酸1モルに対してメラミンが4.0モルの比率を超えると、最終焼成生成物中にメラミン残存量が多くなりすぎる傾向や、焼成時にメラミンの揮発量が多くなりすぎる傾向があらわれる。メラミンとリン酸の混合及び撹拌時の温度は80〜150℃が好ましい。80℃以上で攪拌することにより、水分除去を効率的に行うことができる。また、150℃以下では、メラミンの揮発が抑制されるため、好ましい。混合及び撹拌の総合計時間は混合の強さにもよるが、通常10分〜2時間でよい。メラミンとリン酸との混合により、メラミンとリン酸は反応してリン酸メラミン含水塩となる。ポリリン酸メラムの耐湿水性を、より向上させることを目的としてポリリン酸の重合度を上げるため、縮合剤として尿素をリン酸メラミン含水塩に添加することができる。
【0016】
メラミンとリン酸との混合反応生成物を340〜400℃で、0.1〜30時間焼成することにより、目的とする焼成生成物を得ることができる。この工程において反応生成物は脱水により無水化されるとともに、リン酸が縮合し、リン酸塩のメラミン部分では一部のメラミン部分からアンモニア分子が脱離してポリリン酸メラムが生成する。焼成温度が340℃未満ではポリリン酸メラムを得ることが難しく、400℃を越えるとさらに縮合反応が進みポリリン酸のメレムが主生成物となる傾向がある。また、380℃未満ではポリリン酸メラミンからポリリン酸メラムへの縮合反応が進行しにくいため、380〜400℃で焼成することが特に好ましい。焼成温度は0.1時間未満では目的とする焼成生成物の生成が不十分となる傾向があり、30時間を超えると経済的に不利になりやすい。また、焼成時のメラミンの縮合により生成するアンモニアを選択的に除去することが、メラミンのメラム化が効率的に進むため好ましい。焼成は、通常、熱風乾燥機、ロータリーキルン、ダブルシャフト方式連続焼成炉、流動焼成炉などを単独又は組み合わせて用いることができ、撹拌できるタイプの焼成炉が好ましく、特に、雰囲気の制御が可能なロータリーキルンや流動焼成炉では、メラミンの昇華物を系内に戻すと共に、発生するアンモニアを系外に排出しながら焼成することができて、特に好ましい。また、圧力制御が可能なオートクレープでも焼成することができる。
【0017】
焼成物は必要に応じてミキサー、ピンディスクミル、ボールミル、ジェットオーマイザーなどの乾式粉砕分級機やカウンタージェットミル、イノマイザーなどの乾式粉砕分級機で粉砕分級することにより、微粉末とすることが好ましい。平均粒子径(メジアン径)は1〜20μmであることが好ましく、10μm以下が特に好ましい。1μm未満の場合は、これを含んでなる樹脂組成物の発泡性が低下する傾向がみられ、十分な難燃効果を発揮できないおそれがある。また、20μm以上の場合、これを含んでなる樹脂組成物を塗布した際に、塗膜の表面の凹凸が大きくなり、絶縁性が低下するおそれがある。
【0018】
本発明の樹脂組成物におけるポリリン酸メラムとしては、前記のポリリン酸メラムの微粉末に換えて、ポリリン酸メラム焼成生成物100重量部に対して、水に不溶又は溶解度の低い無機物質25重量部以下を添加し、調整した粉砕物を使用してもよい。このような無機物質としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、タルク、炭酸カルシウム、シリカパウダー、酸化亜鉛、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム亜鉛、モリブデン酸アンモニウム、錫酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、アルミン酸カルシウムなどがあげられる。
【0019】
無機物質の添加は、焼成終了前に行ってもよいし、焼成終了後冷却したものに行ってもよい。この添加はせん断力を有する混合装置、例えば、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、ホモミキサー等を用いるのが好ましいが、V型ミキサーや万能ミキサーで混合後、ピンディスクミル、ジェットオーマイザー、ボールミル、カウンタージェットミル、イノマイザーなどの粉砕装置にかける方法でもよい。この場合も、粉砕することにより、平均粒子径20μm以下、好ましくは10μm以下の微粉末とすることができる。また、室温混合後、340〜400℃で再焼成してもよい。
【0020】
本発明の樹脂組成物における、光又は熱で硬化する樹脂成分としては、光と光開始剤によって架橋可能な官能基を有した共重合体あるいは単量体を含んだ樹脂成分又は熱と熱重合開始剤で架橋可能な官能基を有した共重合体あるいは単量体を含んだ樹脂成分であればいずれも使用可能である。
【0021】
光とラジカル性光開始剤によって架橋可能な官能基を有した共重合体あるいは単量体としては、分子内に重合可能な不飽和結合を有する化合物が挙げられる。分子内に重合する不飽和結合を含む化合物であれば用いることができ、特に制限はなく、アクリロイル基やメタクリロイル基をもつ化合物が好ましく用いられる。例えば、アクリロイル基を持つ化合物としては、アクリル酸をはじめ、ヒドロキシルエチルアクリレート、ヒドロキシルプロピルアクリレート等の水酸基を持つアクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等の脂肪族アルコールとアクリル酸からなるアクリル酸エステル、グリシジルアクリレート等のエポキシ基を持つアクリル酸エステル、エチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート等の多価アルコールのアクリル酸エステル、テトラヒドロフルフリールアクリレート等の環状エーテルを含む構造のアクリル酸エステル、ビスフェノール類のジグリシジルエーテル化物にアクリル酸が付加したエポキシアクリレート、ノボラック型エポキシ樹脂にアクリル酸が付加したアクリル変性ノボラック型エポキシ樹脂等を、メタクリロイル基を持つ化合物としては、メタクリル酸をはじめ、ヒドロキシルエチルメタクリレート、ヒドロキシルプロピルメタクリレート等の水酸基を持つメタクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等の脂肪族アルコールとメタクリル酸からなるメタクリル酸エステル、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を持つメタクリル酸エステル、エチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート等の多価アルコールのメタクリル酸エステル、テトラヒドロフルフリールメタクリレート等の環状エーテルを含む構造のメタクリル酸エステル、ビスフェノール類のジグリシジルエーテル化物にメタクリル酸が付加したエポキシメタクリレート、ノボラック型エポキシ樹脂にメタクリル酸が付加したメタクリル変性ノボラック型エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0022】
本発明の樹脂組成物には、現像する際の未硬化樹脂の現像液への溶解性を向上させるために、酸無水物を加えることも可能である。酸無水物の使用量は耐熱性などの樹脂の特性が損なわれない程度の量で用いることが好ましく、一般には現像方法に合わせて配合量が決められている。酸無水物としては例えば、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、イタコン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、コハク酸無水物、ナフタル酸無水物、シトラコン酸無水物、メチルフタル酸無水物、ジクロロフタル酸無水物、クロレンド酸無水物、ブテニルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、アルケニル酸無水物、トリカルバリル酸無水物等で変性した化合物などが挙げられる。これらは複数を混合して用いてもよい。
【0023】
ラジカル性光開始剤は、使用する露光機の光波長にあわせたものであればよく、公知のものを利用することができる。例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−ジメトキシ−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン、アゾビスイソブチルニトリル、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジメチルチオキサンソン、メチルベンゾイルフォーメート、3,3,4,4−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1,2−ジ−9−アクリジニルエタン、1,3−ジ−9−アクリジニルプロパン、1,4−ジ−9−アクリジニルブタン、1,7−ジ−9−アクリジニルヘプタン、1,8−ジ−9−アクリジニルオクタン等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は樹脂組成物中の樹脂、添加剤などの全固形分に対して0.1〜10重量%とすることが好ましく、0.5〜5.0重量%とすることが特に好ましい。
【0024】
また、光照射でルイス酸を発生する光開始剤と発生したルイス酸で硬化可能な樹脂の組合せを使用することもできる。光照射で発生したルイス酸で硬化可能な樹脂としては例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては分子内に二つ以上のエポキシ基を有するものであればどのようなものでも良く、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンジオキシド等の脂環式エポキシ化合物からなるエポキシ樹脂、ナフタレンジオール等各種ジオールのジグリシジルエーテル化物からなるエポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物などを利用することができる。これらは併用しても良い。
【0025】
光照射でルイス酸が発生する光開始剤としては、通常、カチオン型光反応開始剤として用いられている化合物ならばどのようなものでも使用でき、このような化合物の例としては、トリフェニルスルフォンヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルフォンヘキサフルオロフォスフェート、p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェート、p−クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、4,4−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、(1−6−n−クメン)(n−ジクロペンタジニエル)鉄6フッ化リン酸等が挙げられる。光照射でルイス酸が発生する光開始剤の配合量は樹脂組成物中の樹脂、添加剤などの全固形分に対して0.1〜10重量%とすることが好ましく、0.5〜5.0重量%とすることが特に好ましい。
【0026】
本発明で用いられる熱で硬化する樹脂としては、特に制限は無く、公知の熱硬化性樹脂を利用することができる。例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂等があり、それらの硬化剤又は硬化促進剤が適宜配合される。例えばエポキシ樹脂を用いた場合、前記の酸無水物、公知のアミン化合物を用いることができる。また、不飽和ポリエステル樹脂や前記のラジカル性光開始剤によって架橋可能な官能基を有した共重合体あるいは単量体と同等の化合物などに例示される、熱と熱重合開始剤で重合する樹脂を用いることもできる。熱重合開始剤としては公知のものを利用することができ、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、ターシャリーブチルパーオキサイド等のアルキルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類などを用いることができる。熱重合開始剤の配合量は樹脂組成物中の樹脂、添加剤などの全固形分に対して0.1〜10重量%とすることが好ましく、0.5〜5.0重量%とすることが特に好ましい。
【0027】
また、フィラーを配合してもよく、コストを低減することができる点で好ましい。フィラーとしてはシリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水和アルミナ、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、エーロジル、炭酸カルシウム等の無機微粒子、粉末状エポキシ樹脂、粉末状ポリイミド粒子等の有機微粒子、粉末状テフロン粒子等が挙げられる。これらのフィラーには予めカップリング処理を施してあってもよい。これらの分散はニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等既知の混練方法によって達成される。
【0028】
この他、可撓性を向上させるために、ゴムなどの可撓性に優れる樹脂を、樹脂組成物の他の特性を損なわない程度の量で添加することもできる。可撓性に優れる樹脂としては例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、SBR、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボン酸変性アクリルゴム、架橋NBR粒子、カルボン酸変性架橋NBR粒子等を用いることができる。配合量は樹脂組成物中の樹脂、添加剤などの全固形分に対して2〜20重量%とすることが好ましく、5〜15重量%とすることが特に好ましい。
【0029】
本発明の配線板用樹脂組成物は、光又は熱で硬化する樹脂とポリリン酸メラムからなるものであるが、これらは溶剤に希釈して用いることができる。この溶剤には、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物などを使用できる。これらの溶剤は、単独あるいは混合系でも良い。樹脂を効率よく溶解させるためには、樹脂の溶解性にあわせてエチレングリコールモノエチルエーテル、エチルエトキシプロピオネート等を溶剤に用いてもよく、他の溶剤に加えてもよい。樹脂組成物中の溶剤以外の成分に対する溶剤の割合は、好ましくは溶剤以外の成分100重量部に対して10〜200重量部とされ、30〜100重量部の範囲が特に好ましい。10重量部未満の場合は粘度が高くなる傾向があり、均一に混合することが難しくなり、また、樹脂層を形成する際の取り扱い性で不利になりやすい。溶剤が100重量部を越える場合は粘度の低下により、樹脂層を形成した際の層の厚さを制御することが難しくなる傾向があり、また、溶剤の使用量が多いことから、コスト高になりやすい。
【0030】
本発明の樹脂組成物は、ディップコート法、ロールコート法、フローコート法、スクリーン印刷法、スプレー法、静電スプレー法等の常法により、基板又はプリント配線板上に直接塗工し、基板又は配線板上に本発明による樹脂組成物の樹脂層を容易に形成することができる。また、樹脂層の厚さについては特に制限はなく、通常10〜150μmの範囲で適宜選択される。
【0031】
また、本発明の樹脂組成物は、プラスチックフィルムのキャリアフィルムに、コンマコータ、ブレードコータ、リップコータ、ロッドコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、トランスファロールコータ等によって均一な厚さに塗布し、加熱・乾燥して溶剤を揮発させ、樹脂組成物と、残存溶剤と、キャリアフィルムからなる配線板用接着剤とすることができる。この時に、接着剤表面を保護するために保護のためのフィルムを重ねて巻き取ることもできる。この配線板用接着剤を基板またはプリント配線板と重ね、ホットロールラミネーターなどを用いて張り合わせることで、基板又は配線板上に本発明による樹脂組成物の樹脂層を容易に形成することができる。樹脂層の厚さについては特に制限はなく、通常10〜150μmの範囲で適宜選択される。
【0032】
形成された樹脂層の露光及び現像は常法により行うことができる。例えば、光源として超高圧水銀灯や高圧水銀灯等を用い、樹脂組成物の層上に直接、又はポリエチレンテレフタレートフィルム等の透明フィルムを介し、ネガマスクを通して像的に露光することができる。露光後透明フィルムが残っている場合には、これを剥離した後現像するとよい。
【0033】
現像処理に用いられる現像液は、露光部にダメージを与えず、未露光部を選択的に溶出するものであれば、その種類については特に制限はなく、樹脂組成物の現像タイプによって決定され、アルカリ現像液、準水系現像液、溶剤現像液など一般的なものを用いることができる。例えば、特開平7−234524号公報に記載されるような水と有機溶剤とを含むエマルジョン現像液を使用することができる。特に有用なエマルジョン現像液としては、例えば、有機溶剤成分としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、2,2−ブトキシエトキシエタノール、乳酸ブチル、乳酸シクロヘキシル、安息香酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の有機溶剤を10〜40重量%含有するエマルジョン現像液を挙げることができる。また、アルカリ現像液を用いる場合には、水酸化ナトリウム水溶液や4ホウ酸ナトリウムなどのアルカリ水溶液と前記有機溶剤とのエマルジョン現像液を用いることもできる。
【0034】
上記の方法で得られた像的な樹脂膜は、通常のエッチング、めっき等のための耐食膜としての特性を持っているが、現像後に活性光の露光又は80〜200℃での加熱処理を行うことによって密着性、耐熱性、耐溶剤等の特性を向上することができる。これらの活性光の露光及び加熱処理を行う場合の順序はどちらが先でもよい。
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物は、印刷法、炭酸ガスレーザ、YΑGレーザ、エキシマレーザ等を用いたレーザ穴明け法等で像的樹脂膜を形成することも可能である。
【0036】
本発明の樹脂組成物を用いて樹脂層を形成し、積層板や配線板を作製することができる。加工方法の例として、図1を参照して、多層配線板を製造する工程の一例を説明する。
先ず、第1の回路層(1a)を絶縁基板2上に形成した回路板3を用意する[図1−(a)参照]。絶縁基板2は、通常の配線板において用いられている公知の積層板、例えば、ガラス布−エポキシ樹脂、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス紙−エポキシ樹脂等が使用でき、特に制限はない。また、回路層1aを形成するための方法についても特に制限はなく、銅箔と前記絶縁基板を張り合わせた銅張り積層板を用い、銅箔の不要な部分をエッチング除去するサブトラクティブ法や、前記絶縁基板の必要な個所に無電解めっきによって回路を形成するアディティブ法等、公知の配線板の製造法を用いることができる。また、図1−(a)には絶縁基板2の片面に回路層1aを形成した例を示すが、両面銅張積層板を用いて回路層1aを絶縁基板2の両面に形成することもできる。
【0037】
次に、回路層1aの表面を接着性に適した状態に表面処理する。この手法も、特に制限はなく、例えば、次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ水溶液により回路層1aの表面に酸化銅の針状結晶を形成し、形成した酸化銅の針状結晶をジメチルアミンボラン水溶液に浸漬して還元するなど公知の製造方法を用いることができ
る。
【0038】
次に、回路層1aの表面に、絶縁材料組成物層4bを形成する[図1−(b)参照]。絶縁材料4bの形成方法は、液状の樹脂をロールコート、カーテンコート、ディップコート等の方法で塗布する方式や、前記樹脂をフィルム化してラミネートで張り合わせる方式などを用いることができる。また、絶縁材料組成物層4bの厚さについては特に制限はなく、通常10〜150μmの範囲で適宜選択される。
【0039】
次に、回路層1aと接続するバイアホール7dを形成すべき箇所をマスクするように形成されたフォトマスク5cを通して絶縁材料組成物層4bに光線6cを照射する露光(光源としては通常紫外線が用いられ、通常の配線板のレジスト形成方法と同じ手法が用いられる)を行う[図1−(c)参照]。
【0040】
次に、絶縁材料組成物層4bの未露光部分を現像液により食刻する方法によって現像してバイアホール7dを形成する[図1−(d)参照]。現像液により食刻する方法は、公知の方法によることができ特に制限はない。例えば、現像液をスプレーする方法や現像液に浸漬する方法などが挙げられる。用いる現像液は樹脂組成物の現像タイプによって決定され、アルカリ現像液、準水系現像液、溶剤現像液など一般的なものを用いることができる。
【0041】
現像後、必要に応じて後露光を行う。そして後加熱を行う。この後加熱の条件は、基板が熱劣化により後工程に支障がきたさない程度で絶縁材料組成物層4bが最も効率よく硬化する範囲が良い。温度は80℃〜200℃の範囲で30分〜120分の時間が好ましい。特に好ましい後加熱の条件は130〜180℃の温度で45分〜90分間である。この後加熱により、後硬化を行った絶縁層を絶縁層8dとする。
【0042】
次に、絶縁層8dの化学的粗化を行う。化学的粗化としては例えば、酸化性粗化液で表面及びバイアホール内を処理する。酸化性粗化液としては、クロム/硫酸粗化液、アルカリ過マンガン酸粗化液、フッ化ナトリウム/クロム/硫酸粗化液、ホウフッ酸粗化液などを用いることができる。
【0043】
次に、塩化第1錫の塩酸水溶液に浸漬して、中和処理を行い、さらに、パラジウムを付着させるめっき触媒付与処理を行う。めっき触媒処理は、塩化パラジウム系のめっき触媒液に浸漬することにより行われる。
【0044】
次に、無電解めっき液に浸漬することにより、この上に厚さが0.3〜1.5μmの無電解めっき層を析出させる。必要により、更に電気めっきを行う。無電解めっきに使用する無電解めっき液は、公知の無電解めっき液を使用することができ、特に制限はない。また、電気めっきについても公知の方法によることができ特に制限はない。
【0045】
次に、かくして形成されためっき層に回路加工を施すことにより回路層1e及び回路層1aと回路層1eとの層間接続を形成する[図1−(e)参照]。なお、回路層1eを形成するための手法としては、粗化した絶縁層表面に無電解めっき用の触媒を付与して全面に無電解めっき銅を析出させ、必要な場合には電気めっきによって回路導体を必要な厚さにして、不要な箇所をエッチング除去して形成する方法や、めっき触媒を含有した絶縁層を用いて、めっきレジストを形成して必要な箇所のみ無電解めっきにより回路形成する方法、及びめっき触媒を含有しない絶縁層を粗化し、めっき触媒を付与した後めっきレジストを形成して必要な箇所のみ無電解めっきにより回路形成する方法等を用いることができる。
【0046】
以下、回路層1aの表面処理と同様にして回路層1eの表面処理を行い、以下層1eの形成と同様にして絶縁材料組成物層4fを形成し[図1−(f)参照]、フォトマスク5gを通して絶縁材料4fに光線6gを照射する露光を行い[図1−(g)参照]、絶縁材料4fの未露光部分を現像液に食刻する方法によって現像してバイアホール7hを形成し、絶縁材料4fを硬化させて絶縁層8hとし[図1−(h)参照]、回路層1iを形成[図1−(i)参照]する。
更に同様の工程を繰り返して層数の多い多層配線板を製造できる。
【0047】
本発明の樹脂組成物のを用いた樹脂硬化物は耐溶剤性に優れ、酸性水溶液やアルカリ性水溶液などにも耐える。さらに耐熱性、機械的特性にも優れているため、永久的な保護膜としても好適である。例えば、プリント配線板やパッケージ基板等に用いられるソルダーレジストとして特に有用であり、前記の樹脂層形成方法と同様な種々の方法によって容易にソルダマスクとしての特性を満足する永久的な保護膜及びこの保護膜が形成された基板、あるいはプリント配線板が得られる。ほかにも塗料、ガラス、セラミック、プラスチック、紙等のコーティング剤としても使用することができる。
【0048】
【実施例】
参考例1
以下、評価基板の作成方法を記載する。(1)ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、両面粗化箔を両面に有する日立化成工業株式会社製MCL−E−67(商品名)]にエッチングを施して片面に回路層(以下、第1回路層とする)を有する回路板を作製した。(2)下記組成の樹脂組成物をPETフィルム上に塗工し、80℃で20分間乾燥して樹脂付フィルムを作製した。この樹脂付フィルムを、前記回路板の片面に樹脂が回路層と接する面側にしてラミネーターを用いて形成し、膜厚50μmの絶縁層を形成した。
・テトラヒドロキシ無水フタル酸変性エポキシ樹脂:PCR−1050
(固形分60重量%のシクロヘキサノン溶液)
(日本化薬株式会社製商品名) 50重量部(固形分)
・アクリレート変性エポキシ樹脂:YDV−1011
(固形分60重量%のシクロヘキサノン溶液)
(東都化成株式会社製商品名) 20重量部(固形分)
・カルボン酸変成ブタジエン:ハイカーCTBN1300×13
(宇部興産株式会社製商品名) 10重量部
・カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム:XER−31SK−25
(固形分25重量%のメチルエチルケトン溶液)
(JSR株式会社製商品名) 8重量部(固形分)
・光開始剤:イルガキュア651
(チバガイギー株式会社製商品名) 5重量部
・メチルエチルケトン 20重量部
(3)バイアホールとなる部分に遮蔽部を形成したフォトマスクを介して、露光量300mJ/cm2の紫外線を照射して、さらに未露光部分を、2,2−ブトキシエトキシエタノールを10vol%、4ホウ酸ナトリウム8g/lを含んだ現像液で30℃で1分間スプレー処理をしてバイアホールを形成した。(4)メタルハライドランプ型コンベア式露光機(ランプ出力:80W/cm2、ランプ高さ:80cm、コールドミラーなし、コンベア速度:1.5m/min)を用いて、紫外線1000mJ/cm2を絶縁層に照射して後露光を行った。(5)150℃で1時間の後加熱を行うことにより、バイアホールを有した絶縁層を形成した。(6)絶縁層を化学粗化するために、粗化液として、KMnO4:60g/l、NaOH:40g/lの水溶液を作製し、70℃に加温して5分間浸漬処理し、引き続き、中和液(SnCl2:30g/l、HCl:300ml/l)の水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和した。(7)第1の絶縁層表面に第2の回路を形成するために、まず、PdCl2を含む無電解めっき用触媒であるHS−202B(日立化成工業株式会社製商品名)に、室温で10分間浸漬処理し、水洗し、無電解銅めっきであるL−59めっき液(日立化成工業株式会社製商品名)に70℃で30分間浸漬し、さらに硫酸銅電解めっきを行って、絶縁層表面上に厚さ20μmの導体層を形成した。次に、めっき導体の不要な箇所をエッチング除去するためにエッチングレジストを形成し、エッチングし、その後エッチングレジストを除去して、第1の回路と接続したバイアホールを含む第2の回路形成を行った。(8)さらに、多層化するために、第2の回路導体表面を、亜塩素酸ナトリウム:50g/l,NaOH:20g/l、リン酸三ナトリウム:10g/lの水溶液に85℃で20分間浸漬し、水洗して、80℃で20分間乾燥して第2の回路導体表面上に酸化銅の凹凸を形成した。(9)(2)〜(7)の工程を繰り返して3層の多層配線板を作製した。
【0049】
実施例2
参考例1において、樹脂組成物の組成を、熱硬化型材料のエポキシ樹脂を含む以下の組成にした。その他は、参考例1と同様に行った。
・テトラヒドロキシ無水フタル酸変性エポキシ樹脂:PCR−1050
(固形分60重量%のシクロヘキサノン溶液)
(日本化薬株式会社製商品名) 40重量部(固形分)
・アクリレート変性エポキシ樹脂:YDV−1011
(固形分60重量%のシクロヘキサノン溶液)
(東都化成株式会社製商品名) 10重量部(固形分)
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂:YDCN−701
(固形分60重量%のメチルエチルケトン溶液)
(東都化成株式会社製商品名) 20重量部(固形分)
・カルボン酸変成ブタジエン:ハイカーCTBN1300×13
(宇部興産株式会社製商品名) 10重量部
・カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム:XER−31SK−25
(固形分25重量%のメチルエチルケトン溶液)
(JSR株式会社製商品名) 8重量部(固形分)
・光開始剤:イルガキュア651
(チバガイギー株式会社社製商品名) 5重量部
・メチルエチルケトン 20重量部
・ポリリン酸メラム:PMP−200
(日産化学株式会社製商品名、平均粒径2.5μm) 15重量部
【0050】
比較例1
参考例1において、ポリリン酸メラム:PMP−200をリン酸エステル:CR−741(大八化学株式会社製商品名)15重量部に置き換えた。その他は、参考例1と同様な方法で行った。
【0051】
比較例2
参考例1において、ポリリン酸メラム:PMP−200を用いずに、水酸化アルミニウム:H−42M(昭和電工株式会社製商品名)70重量部を加えた。その他は、参考例1と同様な方法で行った。
【0052】
比較例3
参考例1において、ポリリン酸メラム:PMP−200を用いずに、リン酸エステル:CR−741(大八化学株式会社製商品名)を15重量部と、水酸化アルミニウム:H−42M(昭和電工株式会社製商品名)を50重量部追加した。その他は、参考例1と同様な方法で行った。
【0053】
以上の様にして作製した多層配線板について、解像性、ピール強度(絶縁層とめっき銅との接着強度)、難燃性を以下に示した方法で調べた。その結果を表1に示す。
【0054】
[解像性]
参考例1の(3)に相当する工程において、フォトマスクに、直径50〜150μmで10μm間隔の円形黒丸の遮蔽部を設け、バイアホールを形成した。なお、バイアホールを形成できた最小の直径の評価は、参考例(6)に相当する工程を実施した後、金属顕微鏡により評価した。
【0055】
[ピール強度]
L1回路層(第3回路層)の一部に幅10mm、長さ100mmの部分を形成し、この一端を剥がしてつかみ具でつかみ、垂直方向に約50mm引き剥がした時の荷重を測定した。表1には、常態及び121℃、100%RHのプレッシャークッカーテスター中にて48時間保持後(表1中においてPCT−48と表記)について測定した結果を示す。
【0056】
[難燃性]
参考例1の工程において、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、両面粗化箔を両面に有する日立化成工業株式会社製MCL−E−67(商品名)]にエッチングを施して回路層(以下、第1回路層とする)がない基板を作製し、実施例2、参考例1、3及び比較例1〜3の樹脂をPETフィルム上に塗工し、80℃で20分間乾燥して樹脂付フィルムを作製した。さらに、樹脂を硬化するために参考例1と同様な光照射工程及び熱処理工程を行った。すなわち、樹脂の全面に、露光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、さらにメタルハライドランプ型コンベア式露光機(ランプ出力:80W/cm2、ランプ高さ:80cm、コールドミラーなし、コンベア速度:1.5m/min)を用いて、紫外線1000mJ/cm2を絶縁層に照射して後露光を行った。そして、160℃で1時間の後加熱を行うことにより、難燃性の試験片を作製した。試験法は、UL−94法に従い試験した。
【0057】
[絶縁抵抗]
ライン幅/スペース幅(40μm/40μm)寸法の櫛形形状の回路を形成した前記方法による評価基板を作製した。この評価基板について、常態のサンプル及び130℃,85%RH,6V,200時間の処理を施したサンプルを用いてそれぞれ絶縁抵抗値を測定した。
【0058】
【表1】
【0059】
参考例3
以下、評価基板の作成方法を記載する。(1)ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、両面粗化箔を両面に有する日立化成工業株式会社製MCL−E−67(商品名)]にエッチングを施して片面に回路層(以下、第1回路層とする)を有する回路板を作製した。
(2)参考例1と同様の組成の樹脂をPETフィルム上に塗工し、80℃で20分間乾燥して樹脂付フィルムを作製した。この樹脂付フィルムを、前記回路板の片面に樹脂が回路層と接する面側にしてラミネーターを用いて形成し、膜厚30μmの絶縁層を形成した。
(3)フォトマスクを介して、露光量300mJ/cm2の紫外線を照射して、さらに未露光部分を、2,2−ブトキシエトキシエタノールを10重量%、4ホウ酸ナトリウム8g/lを含んだ現像液で30℃で1分間スプレー処理をした。
(4)メタルハライドランプ型コンベア式露光機(ランプ出力:80W/cm2、ランプ高さ:80cm、コールドミラーなし、コンベア速度:1.5m/min)を用いて、紫外線1000mJ/cm2を絶縁層に照射して後露光を行った。
(5)170℃で2時間の後加熱を行うことにより、ネガマスクに相応するソルダマスク、及び該ソルダマスクの形成されたプリント配線板を得た。
比較例4
比較例1と同様な組成の樹脂を用いて、参考例3と同様の工程によって評価基板を作製した。
【0060】
[解像性]
参考例3の(3)に相当する工程において、フォトマスクに、直径50〜150μmで10μm間隔の円形黒丸の遮蔽部を設け、レジストパターンを形成した。なお、パターンを形成できた最小の直径の評価は、参考例3の(5)に相当する工程を実施した後、金属顕微鏡により評価した。
【0061】
[難燃性]
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、両面粗化箔を両面に有する日立化成工業株式会社製MCL−E−67(商品名)]にエッチングを施して回路層(以下、第1回路層とする)がない基板を作製し、前記方法で難燃性の試験片を作製した。試験法は、UL−94法に従い試験した。
【0062】
[絶縁抵抗]
ライン幅/スペース幅(40μm/40μm)寸法の櫛形形状の回路を形成した前記方法による評価基板を作製した。この評価基板について、常態のサンプル及び130℃,85%RH,6V,200時間の処理を施したサンプルを用いてそれぞれ絶縁抵抗値を測定した。
【0063】
【表2】
【0064】
表1および表2から、本発明のポリリン酸メラムを用いることで、実施例2、参考例1、3に示したように、難燃性がUL−94V−0を確保しながら、解像性、121℃−100%RHの高温・高湿下でのピール強度、常態及び130℃,85%RH,6V,200時間処理後の絶縁抵抗ともに良好なことが示された。一方、比較例1、比較例2及び比較例4においては、難燃性が確保できずに高温・高湿下でのピール強度と解像性が両立できない。また、比較例3は、難燃性がUL−94V−0を確保できたが高温・高湿下でのピール強度と解像性が低下した。さらに、比較例1、3、4では、130℃,85%RH,6V,200時間処理後の絶縁抵抗が低下した。
【0065】
【発明の効果】
本発明になる樹脂組成物を用いることにより、ハロゲン化物を用いない系においても十分な難燃性を確保することができる。また、高い解像性を維持することができるため、本発明の樹脂組成物を絶縁層として用いることでフォトリソグラフ法による高密度配線又は微細配線が可能となる。これによって、近年の配線板に対する高密度化要求に応えることができる。また、本発明による樹脂組成物を用いた配線板は高温・高湿度下の過酷な条件においても、十分に高いピール強度と絶縁性を有する。このため、高密度配線、微細配線などの特性に対する要求の厳しい用途の配線板として用いた場合でも高い信頼性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多層配線板を製造する工程の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1a、1e、1i 回路層
2 絶縁基板
3 回路板
4b、4f 絶縁材料組成物
5c、5g フォトマスク
6c、6g 光線
7d、7h バイアホール
8d、8h 絶縁層
Claims (9)
- 光又は熱で硬化する樹脂にポリリン酸メラムを含有させた樹脂組成物であって、
光又は熱で硬化する樹脂が、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物と、光により活性化する光開始剤とを含み、
光により活性化する光開始剤の配合量が、樹脂組成物中の全固形分に対して0.1〜10重量%であり、ポリリン酸メラムの配合量が、樹脂組成物全体に対して4〜50重量%である、樹脂組成物。 - アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物がアクリレート変性エポキシ樹脂である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 光又は熱で硬化する樹脂が、さらにエポキシ樹脂を含む、請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を用いてなることを特徴とする樹脂フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物と基材からなる積層板。
- 内層回路を形成した内層回路板と、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を用いてなる樹脂層と、その樹脂層を貫通する穴と、穴の内壁に形成された金属めっきと、樹脂層表面に形成され、少なくとも1カ所では前記穴に形成された金属めっきが内層回路板と接続している回路導体とからなる配線板。
- 樹脂層を貫通する穴をフォトリソグラフ法で形成したことを特徴とする請求項6に記載の配線板。
- 樹脂層に化学的粗化と無電解めっき又は無電解めっきと電解めっきを施すことにより、金属めっき層が形成された請求項6または請求項7のいずれかに記載の配線板。
- 回路を形成した基板の回路面に、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物の層を備えることを特徴とする配線板。
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