JP4769645B2 - オイルシール - Google Patents

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本発明は、静止体とその静止体に回転自在に取付けられた回転体との間に設けられるオイルシールに関する。
オイル等の流体の漏洩を防止するオイルシールとして、回転体と静止体との間に設けられた所定の隙間に移動可能な浮動リングを設けるとともに、回転体の回転停止時に静止体と接触して所定の隙間を塞ぐリップシールを備えたものがある(特許文献1)。その他、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献2〜5が存在する。
特開2004−132524号公報 実開平6−14630号公報 特開2005−147356号公報 特開平8−105550号公報 実開平2−93570号公報
特許文献1のオイルシールでは、回転体の回転速度の上昇に伴いリップシールが遠心力によって静止体から離れる方向に変位して、静止体とリップシールとが接触状態から非接触状態に変化する。これにより、静止体とリップシールとの間の摩擦抵抗が減少する。しかしながら、静止体の内部の温度が高くなって内圧が上昇する場合には、回転速度の上昇によって摩擦抵抗が減少する代りにオイル漏れを誘発する可能性が高くなる。
そこで、本発明は、回転体の回転速度に拘わらず静止体の内圧の上昇に伴うオイル漏れを防止できるオイルシールを提供することを目的とする。
本発明の第1のオイルシールは、回転体と、前記回転体が回転自在に取付けられ、内部の温度上昇に伴って大気圧よりも高い内圧を有するように構成された静止体との間に設けられるオイルシールであって、前記静止体に装着されるアウター部材と、前記回転体に一体回転可能に装着されるとともに、前記アウター部材との間に所定の隙間が形成されるようにして前記アウター部材と組み合わされるインナー部材と、前記所定の隙間に配置され、前記アウター部材及び前記インナー部材のそれぞれと非接触の状態で移動可能な浮動リングと、を備え、前記浮動リングは、前記静止体の内部の温度上昇に応じて性状を変化させて前記所定の隙間を狭めることが可能な感温シール手段を備え、前記感温シール手段として、前記浮動リングの前記アウター部材と対向する側及び前記インナー部材と対向する側の少なくとも一方の側に取り付けられ、前記静止体の内部の温度上昇に応じて前記所定の隙間を狭める方向に変形するバイメタル部材が設けられていることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
このオイルシールによれば、アウター部材とインナー部材との間に形成される所定の隙間に浮動リングが介在することにより、アウター部材及びインナー部材のそれぞれと非接触の状態で静止体内部からの流体の漏洩を防止することができる。この浮動リングは感温シール手段を備えているので、静止体の内部の温度が高くなって内圧が上昇する場合には感温シール手段の性状が静止体の内部の温度上昇に応じて変化し、その変化によってインナー部材とアウター部材との間に形成される隙間が狭められる。具体的には温度上昇に応じてバイメタル部材が変形することにより、所定の隙間を狭めることができる。感温シール手段の性状変化は温度依存性を有し回転体の回転速度とは直接関係しない。そのため、回転体の回転速度に拘わらず静止体の内圧の上昇に伴うオイル漏れを確実に防止できるようになる
本発明の第1のオイルシールの一態様においては、前記所定の隙間に配置され、かつ前記回転体の回転停止時に前記アウター部材と接触して前記所定の隙間が所定の密着力にて塞がれた状態で前記インナー部材に設けられるとともに、前記回転体の回転速度の上昇に伴って前記アウター部材から離れる方向に変位可能な可動部材を更に備えてもよい(請求項2)。この場合、回転体が回転するとインナー部材及び可動部材は回転体とともにそれぞれ回転するので、可動部材には径方向外側向きの遠心力が作用する。回転体の回転速度が上昇すると可動部材に作用する遠心力が大きくなるので、可動部材がアウター部材から離れる方向に変位して可動部材をアウター部材に押し付ける密着力が低下する。その密着力の低下は感温シール手段により補うことができる。そのため、回転速度の上昇に伴う密着力の低下を抑えるために回転体の回転停止時における密着力を必要以上に高めておかなくてもよい。従って、可動部材がアウター部材に接触している回転域において摩擦抵抗を低減することができる。
本発明の第1のオイルシールの一態様においては、前記感温シール手段は、前記温度上昇に伴う変形量が大気圧の作用する側に比べて内圧の作用する側の方が大きくなるように構成されていてもよい(請求項3)。この場合、内圧の作用する側の隙間が大気圧の作用する側よりも狭くなる。つまり、内圧を受け得る受圧面が大きくなるので、内圧の上昇をシール性の向上に利用することができる。また、大気圧の作用する側を必要以上に狭めることがないので、全体が均等に変形する形態に比べて摩擦抵抗を低減できる利点がある。
本発明の第2のオイルシールは、回転体と、前記回転体が回転自在に取付けられ、内部の温度上昇に伴って大気圧よりも高い内圧を有するように構成された静止体との間に設けられるオイルシールであって、前記静止体に装着されるアウター部材と、前記回転体に一体回転可能に装着されるとともに、前記アウター部材との間に所定の隙間が形成されるようにして前記アウター部材と組み合わされるインナー部材と、前記所定の隙間に配置され、前記アウター部材及び前記インナー部材のそれぞれと非接触の状態で移動可能な浮動リングと、を備え、前記浮動リングは、前記静止体の内部の温度上昇に応じて性状を変化させて前記所定の隙間を狭めることが可能な感温シール手段を備え、前記浮動リングの少なくとも一部が前記アウター部材及び前記インナー部材の少なくとも一方の構成材料よりも高い熱膨張率を有した高熱膨張材で構成されることにより、前記感温シール手段が構成され、前記感温シール手段は、前記温度上昇に伴う変形量が大気圧の作用する側に比べて内圧の作用する側の方が大きくなるように構成されているものである(請求項4)。このオイルシールによれば、内圧の作用する側の隙間が大気圧の作用する側よりも狭くなる。つまり、内圧を受け得る受圧面が大きくなるので、内圧の上昇をシール性の向上に利用することができる。また、大気圧の作用する側を必要以上に狭めることがないので、全体が均等に変形する形態に比べて摩擦抵抗を低減できる利点がある。
本発明の第3のオイルシールは、回転体と、前記回転体が回転自在に取付けられ、内部の温度上昇に伴って大気圧よりも高い内圧を有するように構成された静止体との間に設けられるオイルシールであって、前記静止体に装着されるアウター部材と、前記回転体に一体回転可能に装着されるとともに、前記アウター部材との間に所定の隙間が形成されるようにして前記アウター部材と組み合わされるインナー部材と、前記所定の隙間に配置され、前記アウター部材及び前記インナー部材のそれぞれと非接触の状態で移動可能な浮動リングと、を備え、前記浮動リングは、前記静止体の内部の温度上昇に応じて性状を変化させて前記所定の隙間を狭めることが可能な感温シール手段を備え、前記浮動リングを弾性材料で構成するとともに、前記浮動リングの内部に形状記憶合金で構成され、かつ前記温度上昇に伴って前記所定の隙間が狭まるように前記浮動リングを変形させるスプリングを周方向に沿って設けることにより、前記感温シール手段が構成されているものである(請求項)。このオイルシールは、形状記憶合金で構成されたスプリングが温度上昇によって変態し、そのスプリングが浮動リングを変形させることにより所定の隙間が狭められる。これにより、第1のオイルシールと同様の効果を発揮できる。なお、上記の各オイルシールにおいて所定の隙間を狭めるとは、感温シール手段の性状変化の前後で所定の隙間の大きさが狭くなることを意味し、所定の隙間を完全に塞ぐことも含まれる。
以上説明したように、本発明は、アウター部材及びインナー部材のそれぞれと非接触の状態で静止体内部からの流体の漏洩を防止し得る浮動リングを有し、その浮動リングが感温シール手段を備えているので、感温シール手段の性状が静止体の内部の温度上昇に応じて変化し、その変化によってインナー部材とアウター部材との間に形成される隙間が狭められる。感温シール手段の性状変化は温度依存性を有し回転体の回転速度とは直接関係しないため、回転体の回転速度に拘わらず静止体の内圧の上昇に伴うオイル漏れを確実に防止できるようになる。
(第1の形態)
図1は本発明の第1の形態に係るオイルシールが組み付けられた内燃機関の要部を示した斜視図であり、図2はその要部の断面模式図である。なお、図2において、本発明に係るオイルシールは軸線CLに関して軸対称であるので片側の断面のみ図示することとする。また、特に断らない限り他の図についても片側の断面のみ図示する。図1及び図2に示すように、クランク軸101は軸線CL回りに回転自在な状態でクランクケース100に取付けられている。オイルシール1Aは、静止体としてのクランクケース100と回転体としてのクランク軸101との間に設けられる。即ちオイルシール1Aはクランクケース100とクランク軸101との間に形成される環状の隙間に装着される。オイルシール1Aはクランクケース100の外側である大気側ASとクランクケース100の内側である密封側OSとを区画することにより、密封側OSから大気側ASへのオイルやブローバイガス等の流体の漏洩を防止するとともに、大気側ASから密封側OSへの埃等の異物の侵入を防止する。
図2に示すように、オイルシール1Aはクランク軸101と同軸的に設けられた環状のアウター部材2及び環状のインナー部材3をそれぞれ有している。アウター部材2はオイルシールリテーナ103を介在させてクランクケース100に装着され、インナー部材3はクランク軸101に一体回転可能に装着されている。アウター部材2とインナー部材3とは、両者の間に隙間Gが形成されるように互いに離されて組み合わされている。アウター部材2は、オイルシールリテーナ103に固定され、かつ軸線CL方向に延びる外側円筒部21と、外側円筒部21の大気側ASの端部から径方向内側に延びる内向きフランジ部22とを有している。内向きフランジ部22は、外側円筒部21に対して略直角に径方向内側に向かって立ち上がる直立壁部22aと、軸線CL方向に延びて外側円筒部21と略平行な側壁部22bと、密封側OSに向かって傾いて直立壁部22aと側壁部22bとを接続する傾斜壁部22cとを有している。一方、インナー部材3は、クランク軸101に固定されかつ軸線CL方向に延びる内側円筒部31と、内側円筒部31の密封側OSの端部から径方向外側に延びる外向きフランジ部32とを有している。外向きフランジ部32はアウター部材2の内向きフランジ部22と対向するように配置される。即ち、外向きフランジ部32は、内側円筒部31に対して略直角に径方向外側に向かって立ち上がる直立壁部32aと、直立壁部32aに続いて軸線CL方向に延びて内向きフランジ部22の側壁部22bと略平行な側壁部32bと、側壁部32bに続いて大気側ASに向かって傾くように延びて内向きフランジ部22の傾斜壁部22cと略平行な傾斜壁部32cとを備えている。
アウター部材2とインナー部材3とで形成される隙間Gのうち、内向きフランジ部22の側壁部22bと外向きフランジ部32の側壁部32bとの間に形成される隙間G1には、可動部材としての環状の可動リップ4が配置されている。可動リップ4はインナー部材3と一体回転できるように直立壁部32aに密封側OSの一端が接合されている。可動リップ4は直立壁部32aに取付けられた取付け部4aと、取付け部4aから大気側ASに向かって延びる中間部4bと、中間部4bに続く先端部4cとを有している。取付け部4aはバネ材等の高靱性の金属材料にて弾性変形可能に構成されている。中間部4b及び先端部4cはゴム等の弾性体で構成されていて、取付け部4aに一体的に接合されている。先端部4cには、可動リップ4を径方向内側へ付勢する環状のガータースプリング6が取付けられている。クランク軸101の回転停止時において、可動リップ4はガータースプリング6の弾性力によってアウター部材2と接触状態に保持されている。
図2に示すように、アウター部材2とインナー部材3とで形成される隙間Gのうち、内向きフランジ部22の傾斜壁22cと外向きフランジ部32の傾斜壁32cとの間で形成される隙間G2には、浮動リング8Aが配置されている。図3は、図2の一部を拡大した拡大断面図であり、浮動リング8Aの詳細を示している。これらの図に示すように、浮動リング8Aはクランク軸101の回転中にアウター部材2及びインナー部材3のそれぞれと非接触の状態で隙間G2内を移動できる。つまり浮動リング8Aは、隙間G2内に存在するオイルを浮動リング8Aとアウター部材2との間及び浮動リング8Aとインナー部材3との間にそれぞれ介在させた状態で、インナー部材3の周速度よりも遅い速度でインナー部材3と同心的に回転するようになっている。浮動リング8Aの厚さ寸法は、浮動リング8A、アウター部材2及びインナー部材3の三者の間でラビリンスシールが形成されるように隙間G2の大きさを考慮して設定される。浮動リング8は、高熱膨張材にて構成されている。高熱膨張材としては、マンガン等の金属材料や樹脂材料等のアウター部材2及びインナー部材3の少なくとも一方よりも高い熱膨張率を有した材料を使用できる。クランクケース100内の温度が上昇すると、図3の破線に示すように浮動リング8Aの体積が増加し、それによって隙間G2が狭められる。より正確に言えば、隙間G2から浮動リング8Aの厚さ寸法を除いた残りの隙間が狭められる。浮動リング8Aの厚さ寸法及び選定材料等の諸条件を適宜設定することにより、浮動リング8Aの温度変化に対する特性を自在に設定できる。例えば、所定の設定温度以上で隙間G2を完全に塞ぐようにすることもできる。
以上のオイルシール1Aによれば、浮動リング8Aが高熱膨張材で構成されることにより本発明に係る感温シール手段が構成される。これにより、クランクケース100の内部の温度が高くなって内圧が上昇する場合には浮動リング8Aの体積が増加して隙間G2が狭められる。浮動リング8Aの体積の変化は温度依存性を有しクランク軸101の回転速度とは直接関係しないので、クランク軸101の回転速度に拘わらずクランクケース100の内圧の上昇に伴うオイル漏れを確実に防止できるようになる。また、クランク軸101の回転速度が上昇すると可動リップ4に作用する遠心力が大きくなるので、可動リップ4がアウター部材2から離れる方向に変位してアウター部材2に対する密着力が低下するが、その密着力の低下は浮動リング8Aにより補うことができる。そのため、クランク軸101の回転速度の上昇に伴う密着力の低下を抑えるために回転停止時における可動リップ4の密着力を必要以上に高めておかなくてもよい。従って、可動リップ4がアウター部材2に接触している回転域における摩擦抵抗を低減することができる。また、浮動リング8Aによって、アウター部材2とインナー部材3とを周方向の全周に関してシールすることができるので、オイル等の漏れに対する信頼性が向上する。
(第2の形態)
次に、本発明の第2の形態を図4を参照して説明する。この形態は浮動リングの構成を除き、第1の形態と同一の構成を有している。以下、第1の形態と共通する構成の説明は省略し、図1及び図2が適宜に参照される。図4に示すように、この形態のオイルシール1Bは、表面側の一部が高熱膨張材で構成された浮動リング8Bを備えている。この高熱膨張材からなる熱膨張層8Baはメッキ、凝着、焼付き、電着等の密着手段にて鉄製の基体8Bbに密着されている。浮動リング8Bの一部が高熱膨張材で構成されることにより本発明に係る感温シール手段が構成され、浮動リング8Bは、第1の形態の浮動リング8Aと同様の効果を発揮する。即ち、クランクケース100内の温度が上昇すると、図4の破線に示すように熱膨張層8Baの体積が増加することにより浮動リング8B全体の体積が増加し、それによって隙間G2が狭められる。熱膨張層8Baの厚さ寸法及び選定材料等の諸条件を適宜設定することにより、浮動リング8Bの温度変化に対する特性を自由に設定できる。例えば、第1の形態と同様に所定の設定温度以上で隙間G2を完全に塞ぐようにすることもできる。なお、浮動リング8Bの片面のみに熱膨張層8Baを設けてもよい。
(第3の形態)
次に、本発明の第3の形態を図5を参照して説明する。この形態は浮動リングの構成を除き、第1の形態と同一の構成を有している。以下、第1の形態と共通する構成の説明は省略し、図1及び図2が適宜に参照される。図5に示すように、この形態のオイルシール1Cは、アウター部材2と対向する側及びインナー部材3と対向する側の浮動リング8Cのそれぞれの表面に板状のバイメタル部材81が接合されている。バイメタル部材81は異種の材料が組合わされた周知のものである。バイメタル部材81は内圧が作用する側が自由端となりかつ大気圧が作用する側が拘束されるように浮動リング8Cに接合されている。これにより、バイメタル部材81は本発明に係る感温シール手段として機能する。オイルシール1Cは、クランクケース100内の温度が上昇すると、図5の破線に示すようにバイメタル部材81が隙間G2を狭める方向に湾曲状に変形して隙間G2が狭められる。バイメタル部材81の諸条件を適宜設定することにより、上述した各形態と同様に所定の設定温度以上で隙間G2を完全に塞ぐようにすることもできる。第3の形態では、図5に示すようにバイメタル部材81は内圧が作用する側の方が大気圧が作用する側に比べて変形量が大きいので、内圧を受け得る受圧面が大きくなるので、内圧の上昇をシール性の向上に利用することができる。しかも、大気圧の作用する側を必要以上に狭めることがないので、全体が均等に変形する形態に比べて摩擦抵抗を低減できる利点がある。
(第4の形態)
次に、本発明の第4の形態を図6を参照して説明する。この形態は浮動リングの構成を除き第1の形態と同一の構成を有している。以下、第1の形態と共通する構成の説明は省略し、図1及び図2が適宜に参照される。この形態のオイルシール1Dは浮動リング8Dを備えている。この浮動リング8Dは、図4の形態と類似しており、高熱膨張材からなる熱膨張層8Daがメッキ、凝着、焼付き、電着等の密着手段にて鉄製の基体8Dbに密着されて構成されている。これにより、浮動リング8Dの一部が高熱膨張材で構成されることにより本発明に係る感温シール手段が構成される。オイルシール1Dでは、熱膨張層8Daが内圧が作用する側の一部にのみ設けられ、大気圧が作用する側には設けられていない。これにより、第3の形態と同様の効果を発揮できる。即ち、図6の破線に示すように、浮動リング8Dは内圧が作用する側の方が大気圧が作用する側に比べて温度上昇に伴う変形量が大きいので、内圧を受け得る受圧面が大きくなる。そのため内圧の上昇をシール性の向上に利用することができる。しかも、大気圧の作用する側を必要以上に狭めることがないので、全体が均等に変形する形態に比べて摩擦抵抗を低減できる。
(第5の形態)
次に、本発明の第5の形態を図7を参照して説明する。この形態は浮動リングの構成を除き第1の形態と同一の構成を有している。以下、第1の形態と共通する構成の説明は省略し、図1及び図2が適宜に参照される。この形態のオイルシール1Eは、浮動リング8Eを備えている。浮動リング8Eは、形状記憶合金製のコイルスプリング82が周方向に沿いかつその両端が互いに突き当たるようにして埋め込まれている。浮動リング8Eはコイルスプリング82の弾性力によって変形できるように、ゴム系、ナイロン系などの弾性材料で構成されている。コイルスプリング82が所定温度に達すると、バネ定数が上昇するように変態する。コイルスプリング82の両端は突当てられているので、その変態によって浮動リング8Eを径方向外側(図7の右側)に変形させる弾性力が増加する。これにより、図7の破線で示すように浮動リング8Eが変形して隙間G2が塞がれる。浮動リング8Eの特性は、コイルスプリング82が変態する設定温度を適宜に定めることにより調整できる。また、この形態では、浮動リング8Eの横断面の縦横比が1に近い略正方形状に構成されている。このため、縦横比が大きい長方形状の横断面を有する形態と比較してコイルスプリング82の変化をバランスよく浮動リング8Eの変形に反映させることができる。この形態においては、浮動リング8Eを弾性材料で構成するとともに、浮動リング8Eの内部に形状記憶合金で構成されたコイルスプリング82を周方向に沿って設けることにより、本発明の感温シール手段が構成される。
本発明は、上記各形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態にて実施することができる。例えば、本発明のオイルシールの適用対象は、内燃機関の他、内部の温度上昇に伴って大気圧よりも高い内圧を有するように構成された静止体を有するもの、例えば各種ポンプに適用することもできる。本発明のオイルシールをポンプに適用する場合には、本発明のオイルシールを静止体としてのポンプハウジングと、ポンプハウジングに回転自在に取付けられるポンプ軸との間に設けてもよい。
また、上記の各形態では、浮動リングと可動部材としての可動リップとの両者を備えたオイルシールを例示したが、可動リップを省略して浮動リングのみを備えた形態で本発明を実施しても所定の効果を奏することができる。また、図5に示した形態では、バイメタル部材81をアウター部材2に対向する側及びインナー部材3に対向する側のそれぞれに設けたが、いずれか一方の側にバイメタル部材81を設けても隙間G2を狭める又は塞ぐことができる。
本発明の第1の形態に係るオイルシールを内燃機関に適用した要部を示す斜視図。 図1のオイルシールの要部を示した断面模式図。 図2の一部を拡大した拡大断面模式図。 第2の形態に係るオイルシールの一部を拡大した拡大断面模式図。 第3の形態に係るオイルシールの一部を拡大した拡大断面模式図。 第4の形態に係るオイルシールの一部を拡大した拡大断面模式図。 第5の形態に係るオイルシールの一部を拡大した拡大断面模式図。
符号の説明
1A〜1E オイルシール
2 アウター部材
3 インナー部材
4 可動リップ(可動部材)
8A〜8E 浮動リング
81 バイメタル部材(感温シール手段)
82 コイルスプリング
100 クランクケース(静止体)
101 クランク軸(回転体)

Claims (5)

  1. 回転体と、前記回転体が回転自在に取付けられ、内部の温度上昇に伴って大気圧よりも高い内圧を有するように構成された静止体との間に設けられるオイルシールであって、
    前記静止体に装着されるアウター部材と、前記回転体に一体回転可能に装着されるとともに、前記アウター部材との間に所定の隙間が形成されるようにして前記アウター部材と組み合わされるインナー部材と、前記所定の隙間に配置され、前記アウター部材及び前記インナー部材のそれぞれと非接触の状態で移動可能な浮動リングと、を備え、
    前記浮動リングは、前記静止体の内部の温度上昇に応じて性状を変化させて前記所定の隙間を狭めることが可能な感温シール手段を備え
    前記感温シール手段として、前記浮動リングの前記アウター部材と対向する側及び前記インナー部材と対向する側の少なくとも一方の側に取り付けられ、前記静止体の内部の温度上昇に応じて前記所定の隙間を狭める方向に変形するバイメタル部材が設けられていることを特徴とするオイルシール。
  2. 前記所定の隙間に配置され、かつ前記回転体の回転停止時に前記アウター部材と接触して前記所定の隙間が所定の密着力にて塞がれた状態で前記インナー部材に設けられるとともに、前記回転体の回転速度の上昇に伴って前記アウター部材から離れる方向に変位可能な可動部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のオイルシール。
  3. 前記感温シール手段は、前記温度上昇に伴う変形量が大気圧の作用する側に比べて内圧の作用する側の方が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のオイルシール。
  4. 回転体と、前記回転体が回転自在に取付けられ、内部の温度上昇に伴って大気圧よりも高い内圧を有するように構成された静止体との間に設けられるオイルシールであって、
    前記静止体に装着されるアウター部材と、前記回転体に一体回転可能に装着されるとともに、前記アウター部材との間に所定の隙間が形成されるようにして前記アウター部材と組み合わされるインナー部材と、前記所定の隙間に配置され、前記アウター部材及び前記インナー部材のそれぞれと非接触の状態で移動可能な浮動リングと、を備え、
    前記浮動リングは、前記静止体の内部の温度上昇に応じて性状を変化させて前記所定の隙間を狭めることが可能な感温シール手段を備え、
    前記浮動リングの少なくとも一部が前記アウター部材及び前記インナー部材の少なくとも一方の構成材料よりも高い熱膨張率を有した高熱膨張材で構成されることにより、前記感温シール手段が構成され、
    前記感温シール手段は、前記温度上昇に伴う変形量が大気圧の作用する側に比べて内圧の作用する側の方が大きくなるように構成されていることを特徴とするオイルシール。
  5. 回転体と、前記回転体が回転自在に取付けられ、内部の温度上昇に伴って大気圧よりも高い内圧を有するように構成された静止体との間に設けられるオイルシールであって、
    前記静止体に装着されるアウター部材と、前記回転体に一体回転可能に装着されるとともに、前記アウター部材との間に所定の隙間が形成されるようにして前記アウター部材と組み合わされるインナー部材と、前記所定の隙間に配置され、前記アウター部材及び前記インナー部材のそれぞれと非接触の状態で移動可能な浮動リングと、を備え、
    前記浮動リングは、前記静止体の内部の温度上昇に応じて性状を変化させて前記所定の隙間を狭めることが可能な感温シール手段を備え、
    前記浮動リングを弾性材料で構成するとともに、前記浮動リングの内部に形状記憶合金で構成され、かつ前記温度上昇に伴って前記所定の隙間が狭まるように前記浮動リングを変形させるスプリングを周方向に沿って設けることにより、前記感温シール手段が構成されていることを特徴とするオイルシール。
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