JP4769377B2 - 複合化木材用樹脂組成物及び複合化木材の製造方法 - Google Patents

複合化木材用樹脂組成物及び複合化木材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合化木材に用いられる複合化木材用樹脂組成物及び複合化木材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅やオフィス等の建築物の分野においては、住む人の自然回帰の嗜好が強くなりつつあることから、木材のもつ自然な風合いが好まれるようになり、建材の分野においても木材系の材料への要求が高まっている。
【0003】
しかしながら、このような木材系建材において木材をそのまま用いると、木材は熱、水、機械的衝撃に対する抵抗性が弱いため、経時によって熱劣化、変質、腐敗、表面亀裂、破損等が起こって建材としての品質を保つことができない。そこで、木材の有する自然な美観や使用感を保ちつつ、かつ熱、水、機械的衝撃に対する抵抗性を高めた複合化木材が検討されている。
【0004】
複合化木材のうちWPC(Wood−Plastic−Combination、Wood−Polymer−Composite等の略称)は、木材に液状の硬化性樹脂や重合性モノマーを含浸させたのち硬化させることにより得られるものであり、木材のもつ特徴を生かして基本性能を高めることができることから、内装用建築材等に広く用いられている。このような複合化木材に用いられる木材に含浸させる樹脂組成物としては、例えば、機械的強度や耐久性等の基本性能に優れることから、不飽和ポリエステル樹脂等を含む樹脂組成物が従来から使用されている。
【0005】
ところで、最近、塗料、接着剤等に含まれるトルエン、キシレン、スチレンモノマー等のVOC(揮発性有機物質含有量)を規制しようとする動きがみられる。これにより、生産工程において揮発性有機物質が揮散することが抑制されるため、臭気によって塗工作業等の作業環境が害されることが抑制されて効率的に作業を行うことができ、また、作業者の健康に対する影響も抑制することができることになる。更に、有機物質排出量が抑制されることから、自然環境に対する影響を抑制することもできることになる。
【0006】
このような要望に応えるため、不飽和ポリエステル樹脂等を含む樹脂組成物においてもスチレンモノマー等のVOCを削減すると、臭気によって作業環境が害されることを抑制したり、有機物質排出量を抑制したりすることができる複合化木材用樹脂組成物を提供することができるが、表面硬度や耐熱性、耐水性、耐久性等の基本性能を向上させることにより、これらの基本性能と、生産工程における作業環境等の改善効果とが両立された複合化木材用樹脂組成物を研究する余地があった。また、このような複合化木材用樹脂組成物が熱硬化や電子線硬化等の硬化条件のいずれにも適応して充分な基本性能を発揮するものであれば、様々な生産工程に対応して効率的に複合化木材を生産することができることになる。従って、生産工程における作業環境等を改善して効率的な複合化木材の生産を行うことができ、また、様々な生産工程に対応して優れた基本性能を発揮することができる複合化木材用樹脂組成物が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、生産工程における作業環境等を改善して効率的な複合化木材の生産を行うことができ、しかも、各種の硬化条件に適応して表面硬度や耐熱性、耐水性、耐久性等の優れた基本性能を発揮することができる複合化木材用樹脂組成物及び複合化木材の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ラジカル重合性高分子化合物と重合性不飽和単量体とを含有する複合化木材用樹脂組成物であって、上記ラジカル重合性高分子化合物は、1分子当たり平均してラジカル重合性二重結合を2つ以上有する高分子化合物であり、上記重合性不飽和単量体は、下記一般式(I);
【0009】
【化3】
Figure 0004769377
【0010】
(式中、R1は、炭素数1〜18の炭化水素基を表す。R2は、炭素数1〜9のアルキレン鎖又は炭素数1〜6のアルキレン鎖が酸素原子を介して結合しているオキサアルキレン鎖を表す。R3は、水素原子又はメチル基を表す。)で表される化合物を必須成分として含有する複合化木材用樹脂組成物である。
【0011】
本発明はまた、ラジカル重合性高分子化合物と重合性不飽和単量体とを含有する複合化木材用樹脂組成物であって、上記ラジカル重合性高分子化合物は、1分子当たり平均してラジカル重合性二重結合を2つ以上有し、かつ、多官能エポキシ化合物と、不飽和一塩基酸と、分子内に平均してカルボキシル基を2つ以上有するとともに炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖を有する多塩基酸とを必須成分として反応させてなるビニルエステルであり、上記ビニルエステルは、上記多塩基酸から由来する炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖の炭素量の割合が、上記ビニルエステルの全炭素量の22〜34%の範囲内であり、上記重合性不飽和単量体は、下記一般式(II);
【0012】
【化4】
Figure 0004769377
【0013】
(式中、Rは、炭素数1〜9のアルキレン鎖又は炭素数1〜6のアルキレン鎖が酸素原子を介して結合しているオキサアルキレン鎖を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)で表される化合物を必須成分として含有する複合化木材用樹脂組成物でもある。
本発明は更に、上記複合化木材用樹脂組成物に電子線を照射して硬化させる複合化木材の製造方法でもある。
【0014】
本発明者らは、複合化木材に用いられる複合化木材用樹脂組成物について、生産工程において扱いやすく、かつ様々な生産工程に適応して優れた基本性能を発揮することができるものとなるように鋭意研究を行った結果、複合化木材用樹脂組成物を上述したものとすることにより、一般式(I)で表される化合物がスチレンモノマー等に比べて揮発性が低いことに起因して生産工程において作業環境を改善したり、有機物質排出量を抑制したりすることができ、しかも、熱硬化や電子線硬化等の各種の硬化条件のいずれにも適応することや、一般式(I)で表される化合物がスチレンモノマー等に比べて木材との親和性に優れることに起因して木材の内部にまで充分に含浸させることができることにより、表面硬度や耐熱性、耐水性等の優れた基本性能を発揮することができるという劇的な効果が生じる事実に遭遇し、本発明に到達したものである。また、複合化木材用樹脂組成物がビニルエステルと一般式(II)で表される化合物とを必須成分として含有し、該ビニルエステルにおける炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖の炭素量の割合を特定の範囲内とすると、木材への含浸性が更に向上するとともに耐クラック性が確実に向上することになることを見いだし、更に、これらの複合化木材用樹脂組成物を用いて複合化木材を製造する際に、硬化方法として電子線を照射して硬化させる方法を適用することにより、これらの複合化木材用樹脂組成物の作用効果が充分に発揮されるとともに、複合化木材の生産性を向上することができることも見いだし、本発明に到達したものである。
以下に本発明を詳述する。
【0015】
本発明の複合化木材用樹脂組成物は、ラジカル重合性高分子化合物と重合性不飽和単量体とを含有する。
上記ラジカル重合性高分子化合物は、1分子当たり平均してラジカル重合性二重結合を2つ以上有する高分子化合物である。このような高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このような高分子化合物の中でも、一般式(I)で表される化合物を必須成分として含有する重合性不飽和単量体との共重合性に優れることから、1分子当たり平均して(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する高分子化合物が好ましい。なお、本明細書中、「高分子化合物」との用語は、重合体や分子量分布を有する化合物を総称した用語として用い、特定の分子量以上であることを意味するものではない。
【0016】
上記1分子当たり平均して(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビニルエステル、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、複合化木材としたときに木材との親和性が優れることから、ビニルエステルが好ましい。
【0017】
上記ビニルエステルの数平均分子量(Mn)としては特に限定されないが、600〜10000であることが好ましい。600未満であると、硬化した樹脂組成物の柔軟性や可撓性に劣ることから、複合化木材のクラックの発生を充分に抑制することができなくなり、また、樹脂組成物におけるエステル結合の密度が高くなり過ぎることから、耐熱性、耐水性等が低下するおそれがあり、10000を超えると、樹脂組成物の粘度が高くなり、樹脂組成物の木材への浸透性が低下して表面硬度性が劣るおそれがある。
【0018】
上記ビニルエステルにおける(メタ)アクリロイル基の化学当量、すなわち(メタ)アクリロイル基1つ当たりの平均分子量としては特に限定されないが、300〜2000であることが好ましい。300未満であると、ビニルエステルと重合性不飽和単量体との架橋密度が高くなることから、複合化木材用樹脂組成物を含浸してなる複合化木材の可撓性が劣り、樹脂組成物が柔軟性に劣ることから、硬化した樹脂組成物が木材の収縮や膨潤に充分に追従できず、クラックの発生を充分に抑制できないおそれがあり、2000を超えると、樹脂組成物の粘度が高くなり、木材への含浸性が悪くなるおそれがある。
【0019】
上記ビニルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、多官能エポキシ化合物と、不飽和一塩基酸及び/又は多塩基酸を反応させてなるものが挙げられる。この中でも、不飽和一塩基酸及び多塩基酸を必須成分として反応させ、多塩基酸として分子内に平均してカルボキシル基を2つ以上有するとともに炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖を有する多塩基酸を用いることが好ましい。すなわち、多官能エポキシ化合物と、不飽和一塩基酸と、分子内に平均してカルボキシル基を2つ以上有するとともに炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖を有する多塩基酸とを必須成分として反応させてなるものが好ましい。
【0020】
上記多官能エポキシ化合物は、分子内に二つ以上のエポキシ基又はグリシジル基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、これらの水素化ビスフェノール型エポキシ化合物、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、これらの水素化ノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、入手が容易であることから、二官能のビスフェノール系エポキシ化合物が好ましい。
【0021】
上記多官能エポキシ化合物の平均エポキシ当量としては特に限定されないが、150〜700であることが好ましい。150未満であると、樹脂組成物が耐水性、機械的強度等の物性に劣るおそれがあり、700を超えると、樹脂組成物の粘度が高くなり、樹脂組成物の木材への浸透性が低下して表面硬度性が劣るおそれがある。より好ましくは、150〜500である。
【0022】
上記不飽和一塩基酸としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
上記分子内に平均してカルボキシル基を2つ以上有するとともに炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖を有する多塩基酸における炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素鎖及び脂環式炭化水素鎖のうち少なくとも1種の原子団からなる炭素数12以上のもの等が挙げられる。なお、上記非芳香族炭化水素鎖を構成する炭素原子としては、多塩基酸の主鎖を構成する炭素原子と側鎖を構成する炭素原子を合わせた1団の原子団を構成するものを示す。上記炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖は、ビニルエステルに柔軟性と可撓性、機械的強度、耐熱性、耐水性等の基本性能とを付与する。上記非芳香族炭化水素鎖の炭素数が11以下であると、非芳香族炭化水素鎖を構成する炭素鎖が短くなりすぎ、硬化した樹脂組成物の柔軟性や可撓性が劣ることから、複合化木材のクラックの発生を充分に抑制することができなくなり、また、樹脂組成物におけるエステル結合の密度が高くなり過ぎることから、耐熱性、耐水性等が低下する。上記炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖の炭素数は、55以下であることが好ましい。炭素数が55を超えると、樹脂組成物の粘度が高くなり、木材への含浸性が低下するおそれがある。
【0024】
上記分子内に平均してカルボキシル基を2つ以上有するとともに炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖を有する多塩基酸としては、特に限定されないが、例えば、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、エイコサン二酸、1,16−(6−エチルヘキサデカン)ジカルボン酸、1,18−(7,12−オクタデカジエン)ジカルボン酸、1,12−(6−エチルドデカン)ジカルボン酸、1,12−(6−エチニルドデカン)ジカルボン酸、1,18−(7−エチニルオクタデカン)ジカルボン酸、1,14−(7,8−ジフェニルテトラデカン)ジカルボン酸、5−(7−カルボキシヘプチル)−2−ヘキシル−3−シクロヘキセンカルボン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸から得られるダイマー酸やトリマー酸、水素化ダイマー酸(水添ダイマー酸);SLB−12、ULB−20、SL−20、SB−20(いずれも商品名、岡村製油社製);エンポール1022、エンポール1024、エンポール1061(いずれも商品名、コグニス社製);バーサダイム216、バーサダイム228(いずれも商品名、コグニス社製のダイマー酸);ハリダイマー#200(商品名、播磨化学工業社製のダイマー酸)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ビニルエステルが柔軟な構造となり、複合化木材のクラックの発生を充分に抑制することが更に向上し、表面硬度性にも優れることから、1,16−(6−エチルヘキサデカン)ジカルボン酸、1,12−(6−エチルドデカン)ジカルボン酸、ダイマー酸、及び、水素化ダイマー酸が好ましい。
【0025】
上記多官能エポキシ化合物と、不飽和一塩基酸と、分子内に平均してカルボキシル基を2つ以上有するとともに炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖を有する多塩基酸とを必須成分として反応させてなるビニルエステルにおいて、炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖は、ビニルエステルの分子鎖の途中、分子鎖末端のいずれに組み込まれていてもかまわないが、ビニルエステルが充分な柔軟性を有するために、分子鎖の途中に組み込まれることが好ましい。このようなビニルエステルにおいては、炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖として、上述した多塩基酸からカルボキシル基を除いた炭素数12以上の原子団が組み込まれ、この原子団は1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、平均炭素数18以上の非芳香族炭化水素鎖を有するものが好ましく、平均炭素数30以上の非芳香族炭化水素鎖を有するものが更に好ましい。
【0026】
上記多官能エポキシ化合物と、不飽和一塩基酸と、分子内に平均してカルボキシル基を2つ以上有するとともに炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖を有する多塩基酸との反応において、これらの反応原料の割合としては特に限定されないが、不飽和一塩基酸及び多塩基酸が有するカルボキシル基の1当量に対して、多官能エポキシ化合物が有するエポキシ基及び/又はグリシジル基の合計が0.9〜1.1当量となるように、反応原料の割合を設定することが好ましい。また、多塩基酸が有するカルボキシル基と、不飽和一塩基酸が有するカルボキシル基との割合は、当量比で5:1〜1:5となるように、反応原料の割合を設定することが好ましい。多塩基酸が有するカルボキシル基が1:5の割合より少ないと、樹脂組成物が柔軟性と可撓性とを有さないおそれがあり、多塩基酸が有するカルボキシル基が5:1の割合を超えると、ビニルエステルの分子量が大きくなり樹脂組成物の粘度が高くなるため、木材への含浸性が悪くなる可能性がある。
【0027】
上記反応においては、ゲル化を起こすことなく反応を促進させることができることから、反応触媒を用いることが好ましい。
上記反応触媒としては、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ラウリル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛等の有機酸亜鉛類;トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムブロマイド等の第四級アンモニウム塩;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
上記反応触媒の使用量としては、特に限定されないが、有機酸亜鉛類を使用する場合は、有機酸亜鉛の使用量を、反応原料の合計重量に対して、亜鉛原子が0.005〜3.0重量%の範囲内となるように設定することが好ましく、有機酸亜鉛類以外のその他のアミン類等を使用する場合には、反応原料の合計重量に対して、0.005〜3.0重量%の範囲内となるように設定することが好ましい。
【0029】
上記反応においては、必要に応じて、反応に対して、不活性な重合性不飽和単量体や溶媒を用いてもよい。反応の反応温度、反応時間は、特に限定されず、適宜設定すればよい。
上記反応においては、重合によるゲル化を防止するために、重合禁止剤や分子状酸素を反応系に添加することが好ましい。
【0030】
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルハイドロキノン、トルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、メトキシハイドロキノン、フェノチアジン、メチルベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルベンゾキノン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
上記分子状酸素としては、例えば、空気や空気と窒素等の不活性ガスの混合ガス等が挙げられる。この場合、反応系に吹き込む(いわゆる、バブリング)ようにして用いればよい。なお、上記重合によるゲル化を充分に防止するために、重合禁止剤と分子状酸素とを併用することが好ましい。
【0032】
本発明における一般式(I)で表わされる化合物において、炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜9のアルキレン鎖及び炭素数1〜6のアルキレン鎖が酸素原子を介して結合しているオキサアルキレン鎖としては特に限定されず、直鎖のものであっても分枝したものであってもよい。
上記炭素数1〜18の炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基等が挙げられる。これらの基は、置換基を有するものであっても有しないものであってもよい。
【0033】
上記一般式(I)で表わされる化合物としては、特に限定されないが、例えば、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
本発明の複合化木材用樹脂組成物は一般式(I)で表わされる化合物が必須成分であるが、本発明の効果が妨げられない範囲内で、重合性不飽和単量体として該一般式(I)で表わされる化合物以外のものも使用できる。一般式(I)で表わされる化合物以外の重合性不飽和単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ジアリルフタレート等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
本発明の複合化木材用樹脂組成物としては、木材への含浸性が更に向上することから、上記重合性不飽和単量体として、上記一般式(I)の式中、Rが、水素原子を表すものを使用することもできる。このような重合性不飽和単量体は、上記一般式(II)で表される。
【0036】
上記一般式(II)で表される重合性不飽和単量体としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(α−ヒドロキシメチル)アクリレート、エチル(α−ヒドロキシメチル)アクリレート、ブチル(α−ヒドロキシメチル)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
本発明における重合性不飽和単量体として、一般式(II)で表されるものを使用する場合には、併用するビニルエステルが、その原料として使用する分子内に平均してカルボキシル基を2つ以上有するとともに炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖を有する多塩基酸から由来する炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖の炭素量の割合が、該ビニルエステルの全炭素量の22〜34%の範囲内であることが好ましい。上記多塩基酸から由来する炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖の炭素量の割合が、該ビニルエステルの全炭素量の22%未満では、該樹脂組成物を用いてなる複合化木材の耐クラック性が低下するおそれがある。また、該炭素量の割合が34%を超える樹脂組成物の粘度が高くなり、木材への含浸性が低下するおそれがある。
【0038】
上記ビニルエステルにおける炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖の炭素量のビニルエステルの全炭素数における割合は、例えば、ビニルエステルを合成する際に用いられる原料の使用量から算出するか、又は、ビニルエステルの13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を測定することにより求めることができる。
【0039】
上記のように、重合性不飽和単量体として、一般式(II)で表されるものを使用し、ビニルエステルとして、多塩基酸から由来する炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖の炭素量の割合が特定の範囲内であるものを使用する場合には、本発明の複合化木材用樹脂組成物は、ラジカル重合性高分子化合物と重合性不飽和単量体とを含有する複合化木材用樹脂組成物であって、上記ラジカル重合性高分子化合物は、1分子当たり平均してラジカル重合性二重結合を2つ以上有し、かつ、多官能エポキシ化合物と、不飽和一塩基酸と、分子内に平均してカルボキシル基を2つ以上有するとともに炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖を有する多塩基酸とを必須成分として反応させてなるビニルエステルであり、上記ビニルエステルは、上記多塩基酸から由来する炭素数12以上の非芳香族炭化水素鎖の炭素量の割合が、上記ビニルエステルの全炭素量の22〜34%の範囲内であり、上記重合性不飽和単量体は、上記一般式(II)で表される化合物を必須成分として含有する複合化木材用樹脂組成物となり、このような複合化木材用樹脂組成物は、生産工程における作業環境等を改善して効率的な複合化木材の生産を行うことができ、しかも、各種の硬化条件に適応して表面硬度や耐熱性、耐水性、耐久性等の優れた基本性能を発揮することができるうえに、木材への含浸性が更に向上するとともに耐クラック性が確実に向上することになるという作用効果を発揮することになる。このような複合化木材用樹脂組成物もまた、本発明の1つである。
【0040】
本発明の複合化木材用樹脂組成物における、ラジカル重合性高分子化合物と一般式(I)で表わされる化合物又は一般式(II)で表わされる化合物とを必須成分とする重合性不飽和単量体との割合としては、特に限定されないが、両者の合計を100重量部として、ラジカル重合性高分子化合物が20〜80重量部の範囲内であることが好ましく、重合性不飽和単量体が80〜20重量部の範囲内であることが好ましい。ラジカル重合性高分子化合物が20重量部未満であり、重合性不飽和単量体が80重量部を超えると、該樹脂組成物を用いて得られた複合化木材が熱や水等の影響によるクラックの発生を充分抑制することができないおそれがあり、ラジカル重合性高分子化合物が80重量部を超え、重合性不飽和単量体が20重量部未満であると、該樹脂組成物の粘度が高くなり、木材への含浸性が低下するおそれがある。また、重合性不飽和単量体中の一般式(I)で表される化合物又は一般式(II)で表わされる化合物の割合としては、特に限定されないが、40〜100重量%の範囲内が好ましい。
上記割合が40重量%未満では、樹脂組成物を用いて得られた複合化木材の耐クラック性等の耐久性が低下するおそれがある。より好ましくは、60〜100重量%の範囲内である。
なお、本発明の複合化木材用樹脂組成物中のラジカル重合性高分子化合物及び重合性不飽和単量体の合計重量の割合としては、特に限定されないが、40〜100重量%の範囲内が好ましい。より好ましくは、60〜100重量%の範囲内である。
【0041】
本発明の複合化木材用樹脂組成物には、各種用途の複合化木材が要求される基本性能や木材への浸透性等を向上させるために、その他の樹脂成分、可塑剤等の添加剤、溶剤等を配合することができる。
本発明の複合化木材用樹脂組成物には、ラジカル重合性高分子化合物及び重合性不飽和単量体を重合させて樹脂組成物を硬化させるために、重合開始剤を添加してもよいし、活性エネルギー線を照射して重合させる場合は光増感剤を添加してもよい。また、重合速度を高め、製造効率を改善するために、重合促進剤を添加してもよい。上記重合開始剤、上記光増感剤及び上記重合促進剤は、あらかじめ複合化木材用樹脂組成物に添加しておいてもよいし、樹脂組成物を木材に含浸させる際に添加してもよいが、樹脂組成物の貯蔵安定性を考慮して添加する時期を設定する。
【0042】
上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン等のパーオキシケタール類;t−ブチルパーオキシベンゾエートやt−ブチルパーオキシオクトエート等のパーオキシエステル類;ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;ジミリスチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類等の過酸化物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記光増感剤としては特に限定されず、例えば、樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して重合させる場合に用いられる通常のものを用いることができる。
上記重合促進剤としては特に限定されず、例えば、コバルト塩、三級アミン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記重合開始剤、上記光増感剤及び上記重合促進剤の添加量としては特に限定されず、例えば、樹脂組成物の組成等に応じて適宜設定すればよい。
【0044】
本発明の複合化木材用樹脂組成物を用いることにより、通常の方法により、例えば、全乾状態にした木材に樹脂組成物を含浸させた後に硬化させて複合化木材を得ることができる。
木材への含浸方法としては特に限定されず、例えば、浸漬法、減圧注入法、加圧注入法、減圧・加圧注入法、塗布含浸法(静置、加圧)等より木材の形状や用途に応じて適宜選択することができる。また、本発明の複合化木材用樹脂組成物の木材への含浸量としては特に限定されないが、複合化木材に充分な表面硬度性を付与するために、木材の導管の内部にまで充分に含浸される量とすることが好ましい。
本発明の複合化木材用樹脂組成物を含浸させた木材の硬化方法としては特に限定されず、例えば、プレス温度が105〜145℃程度のホットプレス等で加圧・加熱してもよいし、紫外線、電子線、放射線等の活性エネルギー線を照射してもよい。これらの硬化方法の中でも、硬化時間が短く、複合化木材の生産性が向上することから電子線を照射して硬化させる方法が好ましく、このような、上記複合化木材用樹脂組成物に電子線を照射して硬化させる複合化木材の製造方法もまた、本発明の1つである。
【0045】
上記電子線の照射に用いられる電子線照射装置としては、例えば、走査エレクトロカーテン型、カーテン型、ラミラー型、エリアビーム型、ブロードビーム型、パルスビーム型等が挙げられる。
上記電子線の照射条件としては、特に限定されないが、例えば、電流1〜100mA、加速電圧50〜1000kV、照射線量30〜400kGyの範囲を挙げることができる。
【0046】
本発明の複合化木材用樹脂組成物は、種々の複合化木材に適用することができるが、特に、木材の風合いを重視する和風住宅用建材、なかでも風雨に晒される機会が多い縁側、テラスや、日常的に衝撃を受けやすいフローリング等の内装建築材に良好に適用することができる。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」は、「重量部」を示す。
【0048】
調製例1
温度計、空気吹込管、還流冷却器及び攪拌機を備えた四つ口フラスコを反応器とし、多官能エポキシ化合物として、ビスフェノールA型エポキシ化合物(商品名「アラルダイドAER250」、旭化成エポキシ社製、平均エポキシ当量185)2531部、多塩基酸として、ダイマー酸(商品名「バーサダイム228」、コグニス社製、酸価194mgKOH/g、数平均分子量619)1976部、不飽和一塩基酸として、メタクリル酸589部、エステル化触媒としてトリエチルアミン15部、及び、重合禁止剤として、ハイドロキノン0.75部を仕込んだ。続いて、上記混合物を空気気流中で攪拌して、115℃で6時間反応させた。これにより酸価が4.8mgKOH/g、数平均分子量が1560のビニルエステルを反応生成物として得た。該ビニルエステルの全炭素数にしめる、非芳香族炭化水素鎖を構成する炭素数の割合(以下、非芳香族炭化水素鎖を構成する炭素数の割合と略す)は約40%であった。
このビニルエステルに一般式(I)で表わされる重合性不飽和単量体として、メトキシジエチレングリコールメタクリレート5096部を混合することにより、本発明にかかる複合化木材用樹脂組成物(1)を得た。
【0049】
調製例2
調製例1と同様にしてビニルエステルを反応生成物として得た。
このビニルエステルに一般式(I)で表わされる重合性不飽和単量体として、フェノキシエチルメタクリレート5096部を混合することにより、本発明にかかる複合化木材用樹脂組成物(2)を得た。
【0050】
調製例3
調製例1と同様の反応器に多官能エポキシ化合物として、ビスフェノールA型エポキシ化合物(商品名「アラルダイドAER6021、旭化成エポキシ社製、平均エポキシ当量470)940部、メタクリル酸172部、トリエチルアミン5部、及び、ハイドロキノン0.2部を仕込んだ。続いて、上記混合物を空気気流中で攪拌して、115°Cで6時間反応させた。これにより酸価が4.0mgKOH/g、数平均分子量が1210のビニルエステルを反応生成物として得た。このビニルエステルに一般式(I)で表わされる重合性不飽和単量体として、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート741部を混合することにより、本発明にかかる複合化木材用樹脂組成物(3)を得た。
【0051】
調整例4
調製例1と同様の反応器にビスフェノールA型エポキシ化合物1800部、ダイマー酸774部、アクリル酸540部、トリエチルアミン5部、ハイドロキノン0.3部を仕込んだ。続いて、上記の混合物を空気気流中で攪拌して、115℃で6時間反応させた。これにより酸価が4.8mgKOH/g、数平均分子量が1140のビニルエステルを反応生成物として得た。該ビニルエステルの非芳香族炭化水素鎖を構成する炭素数の割合は約26%であった。
このビニルエステルに一般式(II)で表される重合性不飽和単量体として、ヒドロキシプロピルアクリレート1677部を混合することにより、本発明にかかる複合化木材用樹脂組成物(4)を得た。
【0052】
調製例5
調製例1と同様の反応器にビスフェノールA型エポキシ化合物1800部、ダイマー酸1114部、アクリル酸461部、トリエチルアミン5部、ハイドロキノン0.3部を仕込んだ。続いて、上記の混合物を空気気流中で攪拌して、115℃で6時間反応させた。これにより酸価が4.9mgKOH/g、数平均分子量が1320のビニルエステルを反応生成物として得た。該ビニルエステルの非芳香族炭化水素鎖を構成する炭素数の割合は約34%であった。
このビニルエステルに一般式(II)で表される重合性不飽和単量体として、ヒドロキシプロピルアクリレート2250部を混合することにより、本発明にかかる複合化木材用樹脂組成物(5)を得た。
【0053】
調製例6
調製例1と同様の反応器にビスフェノールA型エポキシ化合物1800部、ダイマー酸681部、アクリル酸562部、トリエチルアミン5部、ハイドロキノン0.3部を仕込んだ。続いて、上記の混合物を空気気流中で攪拌して、115℃で6時間反応させた。これにより酸価が4.6mgKOH/g、数平均分子量が910のビニルエステルを反応生成物として得た。該ビニルエステルの非労香族炭化水素鎖を構成する炭素数の割合は約23%であった。
このビニルエステルに一般式(II)で表される重合性不飽和単量体として、ヒドロキシエチルアクリレート1304部を混合することにより、本発明にかかる複合化木材用樹脂組成物(6)を得た。
【0054】
比較調製例1
調製例1と同様にしてビニルエステルを反応生成物として得た。
このビニルエステルにスチレンモノマー5096部を混合することにより、比較の複合化木材用樹脂組成物(1)を得た。
【0055】
比較調製例2
調製例3と同様にしてビニルエステルを反応生成物として得た。
このビニルエステルにスチレンモノマー741を混合することにより、比較の複合化木材用樹脂組成物(2)を得た。
【0056】
実施例1〜3及び比較例1〜2
試験片の作成1
上記本発明にかかる複合化木材用樹脂組成物(1)〜(3)並びに比較の複合化木材用樹脂組成物(1)及び(2)それぞれ100部に、硬化剤パーキュアO(商品名、日本油脂社製)1部を添加することにより、硬化剤添加樹脂組成物を得た。
次に、厚さ0.2mmのナラ材単板を80℃で3時間乾燥させた後、減圧容器に入れ、15トールの減圧下で30分間脱気させた。更に、このナラ材単板に上記硬化剤添加樹脂組成物を吸入させ、常圧に戻して6時間静置した。その後、樹脂含浸後の単板を液きりを行ってから、あらかじめウレタン系接着剤を塗布した15mm厚の合板に載置し、更にその上にPETフイルムを載せて、ホットプレスで125℃、9.8×105N/m2で5分間硬化させることによりホットプレス硬化WPCを得た。得られたWPCより15cm×15cmの試験片をカットして、以下の物性試験を行った。その結果を表1に記載した。
【0057】
実施例4〜7及び比較例3〜4
試験片の作成2
上記本発明にかかる複合化木材用樹脂組成物(1)及び(2)〜(4)並びに比較の複合化木材用樹脂組成物(1)及び(2)を厚さ0.2mmのナラ材単板を15mm厚の合板に接着させた複合合板上に8g/尺2となるように塗布し、1時間静置した。その後、エリアビーム型電子線照射装置を用いて、加速電圧350kV、照射線量200kGy、コンベヤースピード5m/min、窒素雰囲気下で1パス電子線を照射することにより樹脂組成物を硬化させ、電子線硬化WPCを得た。得られたWPCより15cm×15cmの試験片をカットして、以下の物性試験を行った。その結果を表2に記載した。
【0058】
物性評価方法・評価基準
耐熱試験
試験片を80℃±3℃の恒温器中に放置し、24時間毎に取り出して、試験片表面のクラックの発生状態を目視で確認した。
◎:クラックの発生なし
○:目視では確認しにくい微少なクラックが発生
△;小さなクラックが発生
×:大きなクラックが発生
【0059】
耐水試験
試験片を水温25℃±3℃の中に24時間浸積した後、60℃±3℃の恒温器中で20時間乾燥し、これを1サイクルとする。1サイクル毎に試験片表面のクラックの発生状態を目視で確認した。
基準は耐熱試験と同様とした。
【0060】
表面硬度試験
JIS K5400(1995)の8.4.1に規定されている鉛筆ひっかき試験に準して、1kgの荷重をかけた鉛筆の芯でWPC表面をひっかき、表面のキズが認められる回数が5回の試験で2回未満となる鉛筆のうち、最も硬い鉛筆の濃度番号を表面硬度とした。
【0061】
【表1】
Figure 0004769377
【0062】
【表2】
Figure 0004769377
【0063】
表1から明らかなように、実施例1〜3において、複合化木材用樹脂組成物(1)〜(3)をそれぞれナラ材単板に減圧注入法により含浸させ、加圧・加熱して硬化させた複合化木材においては、比較の複合化木材用樹脂組成物(1)及び(2)を用いた複合化木材よりも耐熱性及び耐水性が優れていた。更にそのうえに、傷つきにくく表面硬度性が優れていた。
また、複合化木材用樹脂組成物(1)〜(3)は、スチレンモノマーの含有量が削減されている(複合化木材用樹脂組成物(1)〜(3)ではスチレンモノマーの含有量が0重量%となっている)ため、充分な基本性能を発揮することができるとともに、スチレンモノマーによる臭気を抑制して複合化木材の生産工程における作業環境等を改善することができるものであることがわかった。
【0064】
表2から明らかなように、実施例4〜7において、複合化木材用樹脂組成物(1)及び(4)〜(6)をそれぞれナラ材単板に塗布含浸により含浸させ、電子線硬化させた複合化木材は、比較の複合化木材用樹脂組成物(1)及び(2)を用いた複合化木材よりも耐熱性及び耐水性が優れ、クラックの発生を抑制して、耐久性が優れていた。更にそのうえに、傷つきにくく表面硬度性が優れていた。
また、複合化木材用樹脂組成物(1)及び(4)〜(6)は、スチレンモノマーの含有量が削減されている(複合化木材用樹脂組成物(1)及び(4)〜(6)ではスチレンモノマーの含有量が0重量%となっている)ため、充分な基本性能を発揮することができるとともに、スチレンモノマーによる臭気を抑制して複合化木材の生産工程における作業環境等を改善することができるものであることがわかった。
【0065】
【発明の効果】
本発明の複合化木材用樹脂組成物は、上述の構成よりなるので、生産工程における作業環境等を改善して効率的な複合化木材の生産を行うことができ、しかも、各種の硬化条件に適応して表面硬度や耐熱性、耐水性等の優れた基本性能を発揮し、熱や水等の影響によるクラックの発生を充分に抑制して耐久性が優れ、フローリング、縁側、テラス等の木材の風合いを重視する和風住宅用建材等に良好に適用することができるものである。

Claims (6)

  1. ラジカル重合性高分子化合物と重合性不飽和単量体とを含有する複合化木材用樹脂組成物であって、
    該ラジカル重合性高分子化合物は、多官能エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸と、分子内に平均してカルボキシル基を2つ以上有するとともに炭素数12〜55の非芳香族炭化水素鎖を有する多塩基酸とを必須成分として反応させてなるビニルエステルであり、
    該重合性不飽和単量体は、下記一般式(I);
    Figure 0004769377
    (式中、Rは、炭素数1〜18の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1〜9のアルキレン鎖又は炭素数1〜6のアルキレン鎖が酸素原子を介して結合しているオキサアルキレン鎖を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)で表される化合物を必須成分として含有する
    ことを特徴とする複合化木材用樹脂組成物。
  2. ラジカル重合性高分子化合物と重合性不飽和単量体とを含有する複合化木材用樹脂組成物であって、
    該ラジカル重合性高分子化合物は、1分子当たり平均してラジカル重合性二重結合を2つ以上有し、かつ、多官能エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸と、分子内に平均してカルボキシル基を2つ以上有するとともに炭素数12〜55の非芳香族炭化水素鎖を有する多塩基酸とを必須成分として反応させてなるビニルエステルであり、
    該ビニルエステルは、該多塩基酸から由来する炭素数12〜55の非芳香族炭化水素鎖の炭素量の割合が、該ビニルエステルの全炭素量の22〜34%の範囲内であり、
    該重合性不飽和単量体は、下記一般式(II);
    Figure 0004769377
    (式中、Rは、炭素数1〜9のアルキレン鎖又は炭素数1〜6のアルキレン鎖が酸素原子を介して結合しているオキサアルキレン鎖を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)で表される化合物を必須成分として含有する
    ことを特徴とする複合化木材用樹脂組成物。
  3. 前記一般式(I)で表される化合物は、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする請求項1に記載の複合化木材用樹脂組成物。
  4. 前記一般式(II)で表される化合物は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(α−ヒドロキシメチル)アクリレート、エチル(α−ヒドロキシメチル)アクリレート及びブチル(α−ヒドロキシメチル)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする請求項2に記載の複合化木材用樹脂組成物。
  5. 前記多官能エポキシ化合物は、二官能のビスフェノール系エポキシ化合物である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合化木材用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合化木材用樹脂組成物を木材に含浸させた後、電子線を照射して硬化させる
    ことを特徴とする複合化木材の製造方法。
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