JP4767596B2 - ネガ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
また、カルボキシ基またはカルボン酸エステル基とアルコール性水酸基とを両方有する樹脂成分と、酸発生剤を含むネガ型レジスト組成物であって、樹脂成分中のカルボキシ基またはカルボン酸エステル基とアルコール性水酸基とを酸発生剤から発生する酸の作用によって分子間で反応させることにより、当該樹脂成分をアルカリ可溶性から不溶性に変化させるタイプのものも提案されている(例えば、非特許文献1〜3、特許文献2等)。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、解像性に優れたネガ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、(A)アルカリ可溶性樹脂成分、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分および(C)架橋剤成分を含有するネガ型レジスト組成物であって、前記(A)アルカリ可溶性樹脂成分が、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位(a1)と、α位の炭素原子に結合する水素原子がハロゲン原子、アルキル基またはハロゲン化アルキル基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって水酸基含有脂肪族環式基を含む構成単位(a2)とを含む共重合体(A1)であり、
前記(C)架橋剤成分が下記一般式(C1−1)
で表されるアルキレン尿素系架橋剤(C1)を含有することを特徴とするネガ型レジスト組成物である。
「アクリル酸」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸(CH2=CH−COOH)のほか、α位の炭素原子に結合する水素原子が他の置換基に置換されたα−置換アクリル酸、および下記アクリル酸エステル等のアクリル酸誘導体も含む概念とする。置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、アルキル基、フッ素化アルキル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に結合する水素原子が他の置換基に置換されたα−置換アクリル酸エステルも含む概念とする。置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、アルキル基、フッ素化アルキル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
なお、「アクリル酸」および「アクリル酸エステル」において、「α位(α位の炭素原子)」という場合は、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
「アクリル酸から誘導される構成単位」とは、アクリル酸のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレ性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素数1〜5のアルキル基を意味する。
「露光」とは光の照射のみならず、電子線の照射等の放射線の照射全体を包括する概念とする。
本発明のネガ型レジスト組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂成分(以下、(A)成分と略記する。)、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分(以下、(B)成分と略記する。)および(C)架橋剤成分(以下、(C)成分と略記する。)を含有するものである。
かかるネガ型レジスト組成物は、露光前はアルカリ可溶性であり、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸が作用して(A)成分と(C)成分との間で架橋が起こり、アルカリ不溶性となる。そのため、レジストパターンの形成において、当該ネガ型レジスト組成物を基板上に塗布してなるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部がアルカリ不溶性となる一方、未露光部はアルカリ可溶性のままであり、これをアルカリ現像することによりネガ型のレジストパターンが形成できる。
本発明において、(A)成分は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位(a1)(以下、構成単位(a1)と略記する。)と、水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)(以下、構成単位(a2)と略記する。)とを含む共重合体(A1)(以下、(A1)成分ということがある。)である。
構成単位(a1)は、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を有する。(A1)成分が構成単位(a1)を有することにより、レジストの膨潤が抑制された、解像性に優れたレジストパターンが形成できる。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基は、ヒドロキシ基(水酸基)を有するアルキル基において、当該アルキル基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部がフッ素原子によって置換されている基である。かかる基においては、フッ素化によって、水酸基の水素原子が遊離しやすくなっている。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基において、アルキル基は直鎖または分岐鎖状であることが好ましい。当該アルキル基の炭素数は特に限定するものではないが、1〜20が好ましく、4〜16がより好ましく、4〜12であることが最も好ましい。水酸基の数は特に限定するものではないが、1又は2つであることが好ましく、1つであることがさらに好ましい。
中でも、フッ素化されたヒドロキシアルキル基として、水酸基が結合した炭素原子(ここではヒドロキシアルキル基のα位の炭素原子を指す)に、フッ素化アルキル基及び/またはフッ素原子が結合しているものが好ましい。当該α位に結合するフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子の全部がフッ素で置換されていることが好ましい。
脂肪族環式基は、単環であっても多環であってもよい。「単環の脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基であることを意味し、「多環の脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない多環式基であることを意味する。構成単位(a1)において、脂肪族環式基は多環であることが好ましい。
脂肪族環式基は、炭素及び水素からなる炭化水素基(脂環式基)、および該脂環式基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロ環式基等が含まれる。脂肪族環式基としては、脂環式基が好ましい。
脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、ArFエキシマレーザー等に対する透明性が高く、解像性や焦点深度幅(DOF)等にも優れることから、飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基の炭素数は5〜15であることが好ましい。
すなわち、単環式基としてはシクロアルカンから、フッ素化されたヒドロキシアルキル基で置換されている水素原子を含めて(以下、同様)、2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。さらに具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキサンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。さらに具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
なお、この様な多環式基は、例えばArFエキシマレーザープロセス用のポジ型ホトレジスト組成物用樹脂において、酸解離性溶解抑制基を構成するものとして多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でもシクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個の水素原子を除いた基が工業上入手しやすく、好ましい。
これら例示した単環式基、多環式基の中でも、特にノルボルナンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
Rのアルキル基としては、炭素数5以下の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
Rのフッ素化アルキル基は、好ましくは炭素数5以下の低級アルキル基の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換された基である。アルキル基の具体例は上記の説明と同様である。フッ素原子で置換される水素原子は、アルキル基を構成する水素原子の一部でもよいし、全部でもよい。
Rにおいて、好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、特に水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
rおよびsは、それぞれ独立して1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、1が最も好ましい。
tは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、1が最も好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、20〜80モル%が好ましく、30〜70モル%がより好ましく、40〜65モル%がさらに好ましく、35〜55モル%が最も好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a1)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好である。
構成単位(a2)は、水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。かかる構成単位(a2)を含有する(A1)成分をネガ型レジスト組成物に配合すると、この構成単位(a2)の水酸基(アルコール性水酸基)が、(B)成分から発生する酸の作用によって、(C)成分と反応し、これにより(A1)成分がアルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化する。
脂肪族環式基に結合している水酸基の数は、1〜3個が好ましく、さらに好ましくは1個である。
脂肪族環式基は、単環でも多環でもよいが、多環式基であることが好ましい。また、脂環式炭化水素基が好ましい。また、飽和であることが好ましい。また、脂肪族環式基の炭素数は5〜15であることが好ましい。
脂肪族環式基(水酸基が結合する前の状態)の具体例としては、上記構成単位(a1)において挙げた脂肪族環式基と同様のものが挙げられる。
構成単位(a2)の脂肪族環式基としては、上記の中でも、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上入手しやすく、好ましい。中でも、シクロヘキシル基、アダマンチル基が好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
脂肪族環式基には、水酸基以外に、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が結合していてもよい。
この場合、構成単位(a2)において、アクリル酸エステルのα位(α位の炭素原子)には、水素原子にかわって、他の置換基が結合していてもよい。置換基としては、好ましくはアルキル基、フッ素化アルキル基、またはフッ素原子が挙げられる。これらの説明は、上記構成単位(a1)の一般式(1)中のRの説明と同様であって、α位に結合可能なもののうち、好ましいのは水素原子またはアルキル基であって、特に水素原子またはメチル基が好ましく、最も好ましいのは水素原子である。
qは1〜3の整数であり、1であることが好ましい。
水酸基の結合位置は、特に限定しないが、アダマンチル基の3位の位置に結合していることが好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a2)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、10〜70モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜40モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a2)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好である。
(A1)成分は、構成単位(a1)および構成単位(a2)に加えて、さらに、環式構造を有さず、かつ側鎖にアルコール性水酸基を有するアクリル酸から誘導される構成単位(a3)(以下、構成単位(a3)と略記する。)を有することが好ましい。
構成単位(a3)を有する(A1)成分をネガ型レジスト組成物に配合すると、構成単位(a3)のアルコール性水酸基が、上述の構成単位(a2)の水酸基とともに、(B)成分から発生する酸の作用によって(C)成分と反応する。
そのため、(A1)成分がアルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化しやすくなり、解像性向上の効果が得られる。また、膜減りが抑制できる。また、パターン形成時の架橋反応の制御性が良好となる。さらに、膜密度が向上する傾向がある。これにより、耐熱性が向上する傾向がある。さらにはエッチング耐性も向上する。
側鎖にアルコール性水酸基を有する構成単位としては、例えば、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、上記構成単位(a1)において挙げた「フッ素化されたヒドロキシアルキル基」におけるヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
ヒドロキシアルキル基は、例えば主鎖(アクリル酸のエチレン性2重結合が開裂した部分)のα位の炭素原子に直接結合していてもよいし、アクリル酸のカルボキシ基の水素原子と置換してエステルを構成していてもよい。構成単位(a3)においては、これらのうち少なくとも1方あるいは両方が存在していることが好ましい。
なお、α位にヒドロキシアルキル基が結合していない場合、α位の炭素原子には、水素原子にかわって、アルキル基、フッ素化アルキル基、またはフッ素原子が結合していてもよい。これらについては一般式(1)中のRの説明と同様である。
R1におけるアルキル基は、好ましくは炭素数が10以下のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数2〜8のアルキル基であり、最も好ましくはエチル基、メチル基である。
R1におけるフッ素化アルキル基は、好ましくは炭素数が5以下の低級アルキル基(好ましくはエチル基、メチル基)において、その水素原子の一部または全部がフッ素で置換された基である。
R2におけるアルキル基、ヒドロキシアルキル基としては、R1のアルキル基、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、構成単位(a3)が、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位を含むと、効果向上の点及び膜密度が向上の点から好ましく、中でもα−(ヒドロキシメチル)−アクリル酸エチルエステルまたはα−(ヒドロキシメチル)−アクリル酸メチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
また、構成単位(a3)が、(α−アルキル)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルから誘導される構成単位を含むと、架橋効率の点で好ましい。中でも、α−メチル−アクリル酸ヒドロキシエチルエステルまたはα−メチル−アクリル酸ヒドロキシメチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、10〜70モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、10〜25モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a2)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好である。
(A1)成分は、前記の各構成単位(a1)〜(a3)以外の構成単位として、共重合可能な他の構成単位を有していてもよい。
かかる構成単位としては、従来化学増幅型レジスト組成物用として公知の樹脂成分に用いられている構成単位が使用でき、たとえば、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)が挙げられる。
構成単位(a4)のラクトン含有単環または多環式基は、レジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、現像液との親水性を高めたりするうえで有効なものである。また、膨潤抑制の効果が向上する。
ここでのラクトンとは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環を示し、これをひとつの目の環として数える。したがって、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
なお、該ラクトン含有単環または多環式基の水素原子の1以上が、フッ素化されたヒドロキシアルキル基で置換されているものは構成単位(a4)には含まれないものとする。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
特に、以下のような構造式を有するラクトン含有トリシクロアルカンから水素原子を1つを除いた基が、工業上入手し易いなどの点で有利である。
これらの説明は上記構成単位(a1)の一般式(1)中のRの説明と同様であって、α位に結合可能なもののうち、好ましいのは水素原子またはアルキル基であって、特に水素原子またはメチル基が好ましく、最も好ましいのは水素原子である。
構成単位(a4)としては、一般式(a4−2)〜(a4−3)で表される単位が最も好ましい。
構成単位(a4)は必須成分ではないが、構成単位(a4)を有する場合、(A1)成分中の構成単位(a4)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、10〜70モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、10〜25モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であることにより構成単位(a2)を含有することによる効果が得られ、上限値以下であることにより他の構成単位とのバランスが良好である。
ここで「主成分」とは、構成単位(a1)〜(a3)の合計が50モル%以上であることを意味し、好ましくは、これらの構成単位の合計が70モル%以上、好ましくは80モル%以上である。中でも好ましいのは100モル%であり、(A1)成分は、構成単位(a1)、構成単位(a2)および構成単位(a3)からなる共重合体であることが好ましい。
構成単位(a1)の割合は、20〜80モル%が好ましく、30〜70モル%がより好ましく、40〜65モル%がさらに好ましく、35〜55モル%が最も好ましい。
構成単位(a2)の割合は、10〜70モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜40モル%がさらに好ましい。
構成単位(a3)の割合は、10〜70モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、10〜25モル%がさらに好ましい。
これらの範囲を満足することにより、膨潤抑制の効果が向上し、本発明の効果が向上する。特に、構成単位(a2)と構成単位(a3)とをバランスよく配合することによって、適度なコントラストが得られ、解像性が向上する。また、エッチング耐性が向上する。さらに良好な露光余裕度が得られる。
また、分散度(Mw/数平均分子量(Mn))は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜2.5がより好ましい。
また、(A1)成分以外にも、ネガ型レジスト組成物用として知られている他の高分子化合物、例えばヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂などを(A)成分に含有させることも可能である。
ただし、(A)成分中における(A1)成分の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
前記直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R51としては、直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)などを挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
nは1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
前記直鎖のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R21の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R21としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R22としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R31としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R31におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R32のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R35の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R32のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
pは好ましくは2である。
また、下記化学式で表される化合物が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(A=3の場合)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(A=4の場合)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(A=6の場合)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(A=10の場合)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(B=2の場合)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(B=3の場合)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(B=6の場合)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(B=10の場合)などを挙げることができる。
また、さらに、カチオン部が、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状の低級アルキル基や炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状の低級アルコキシ基などの置換基で置換されていてもよいフェニル基および前記置換基で置換されていてもよいナフチル基から選ばれる基を、少なくとも1つ有するものが好ましく、特に3つ有するものが望ましい。
中でも、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートが好ましい。
本発明のネガ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が十分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
(C)成分は、本発明の効果のためには、下記一般式(C1−1)で表されるアルキレン尿素系架橋剤(C1)(以下、(C1)成分と略記する。)を含有する必要がある。
R1’およびR2’は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。同じであることがより好ましい。
R1’およびR2’は、低級アルコキシ基であることが好ましく、特に、メトキシ基であることが好ましい。
R3’およびR4’は、水素原子であることが本願発明の効果に優れるため特に好ましい。
(C1)成分としては、特に、vが0である化合物(エチレン尿素系架橋剤)および/またはvが1である化合物(プロピレン尿素系架橋剤)が好ましい。
(C)成分中、(C1)成分の割合は、20〜100質量%が好ましく、50〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより、本発明の効果が充分に得られる。
(C2)成分としては、これまでに知られている化学増幅型のネガ型レジスト組成物に用いられているグリコールウリル系架橋剤の中から任意に選択して用いることができる。具体的には、N位がヒドロキシアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシアルキル基の一方又は両方で置換されたグリコールウリル誘導体が挙げられる。かかるグリコールウリル誘導体は、グリコールウリルとホルマリンとを縮合反応させることにより、またこの生成物を低級アルコールと反応させることにより得ることができる。
グリコールウリル系架橋剤の具体例としては、例えばモノ,ジ,トリ及び/又はテトラヒドロキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラエトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラプロポキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルなどが挙げられる。
(C2)成分としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
かかる(C3)成分としては、特に限定されず、これまでに知られている化学増幅型のネガ型レジスト組成物に用いられている架橋剤の中から任意に選択して用いることができる。
具体的には、例えば2,3−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルノルボルナン、2−ヒドロキシ−5,6−ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、シクロヘキサンジメタノール、3,4,8(又は9)−トリヒドロキシトリシクロデカン、2−メチル−2−アダマンタノール、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンなどのヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基あるいはその両方を有する脂肪族環状炭化水素又はその含酸素誘導体が挙げられる。
これらのうち、メラミンを用いたものをメラミン系架橋剤、尿素を用いたものを尿素系架橋剤という。
メラミン系架橋剤としては、メラミンとホルムアルデヒドとを反応させて、アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基で置換した化合物、メラミンとホルムアルデヒドと低級アルコールとを反応させて、アミノ基の水素原子を低級アルコキシメチル基で置換した化合物等が挙げられる。具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシブチルメラミン等が挙げられ、なかでもヘキサメトキシメチルメラミンが好ましい。
尿素系架橋剤としては、尿素とホルムアルデヒドとを反応させて、アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基で置換した化合物、尿素とホルムアルデヒドと低級アルコールとを反応させて、アミノ基の水素原子を低級アルコキシメチル基で置換した化合物等が挙げられる。具体的には、ビスメトキシメチル尿素、ビスエトキシメチル尿素、ビスプロポキシメチル尿素、ビスブトキシメチル尿素等が挙げられ、なかでもビスメトキシメチル尿素が好ましい。
(C3)成分としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のネガ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、(D)含窒素有機化合物(以下、(D)成分という。)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンが最も好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
極性溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、EL等が挙げられ、中でもPGMEが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比が、好ましくは9:1〜1:9、より好ましくは8:2〜2:8であり、最も好ましくは7:3〜4:6である。極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2であると好ましい。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まず基板上に、上記ネガ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベークを40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
基板としては、例えばシリコンウェーハが用いられる。SiONやSiNなどからなる無機基板も用いることができる。基板とレジスト組成物の塗布層との間に、有機系または無機系の反射防止膜を設けてもよい。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、本発明のネガ型レジスト組成物は、ArFエキシマレーザーに対して有効である。
かかる効果が得られる理由としては、(A)成分としてフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位(a1)と、水酸基含有脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)とを含む共重合体(A1)を用いることにより、レジストとして必要なアルカリ溶解性を確保しつつ、パターンの膨潤を抑制でき、また、(C)成分としてアルキレン尿素系架橋剤(C1)を用いることにより、パターンの膨潤を抑制できることに起因するのではないかと推測される。
すなわち、ネガ型レジストは、未露光部においてはアルカリに溶解する必要があるる。そのため、ネガ型レジストは、基本的に、アルカリ現像液に溶けやすいものが用いられており、たとえば(C)成分としては、グリコールウリル系架橋剤(C2)のようにアルカリ現像液に対する溶解性が高いものが用いられている。しかし、これらの成分が、現像の際に現像液と反応してレジストの膨潤を招き、これが解像性、特に近接効果を悪化させていたと考えられる。
これに対し、本発明で用いられる(A1)成分および(C1)成分は、アルカリにより膨潤しにくい。特に、本発明者らの検討によれば、後述する試験例1に示すように、(C1)成分は、その配合量を増やした場合でも、レジスト膜のアルカリ溶解性に与える影響が小さいことがわかっており、このことが、レジストの膨潤を抑制し、解像性の向上に寄与していると推測される。そのため、解像性の良好なレジストパターンを形成できると推測される。
本発明においては、さらに、(A1)成分の構成単位(a1)および(a2)が炭素密度の高い脂肪族環式基を有するため、エッチング耐性も向上する。
下記合成例において、NMRは、日本電子株式会社製のJNM−AL400(製品名、分解能400MHz)を用いて測定した。
また、下記合成例で用いたモノマーを以下に示す。
NBHFAA:下記化学式で表されるモノマー(ノルボルネンヘキサフルオロアルコールアクリレート)
NBHFAA13.58g、HEMA1.76g、及びAdOHA6.0gと、重合開始剤であるアゾビスイソ酢酸ジメチルを0.6gとをTHF(テトラヒドロフラン)200mlに溶解した。窒素バブリングを約10分間行い、70℃のオイルバスを用いて加温しながら4時間攪拌し、その後室温まで冷却した。次に、反応液をエバポレーターで濃縮した後、濃縮液をTHF120mlに溶解し、ヘプタン1000mlに注ぎ込むことで樹脂を析出させ、濾過した。得られた樹脂を乾燥機中40℃、24時間乾燥させて白色固体18.8gを得た。これを樹脂(A)−1とする。
得られた樹脂(A)−1の化学式は下記の通りである。その質量平均分子量(Mw)は5000、分散度(Mw/Mn(Mnは数平均分子量))は1.67であった。
また、カーボンNMRにより確認したところ、各モノマー(NBHFAA/HEMA/AdOHA)から誘導される構成単位の組成比(モル%)は、下記化学式において、p/q/r=50/17/33であった。
合成例1と同様にして樹脂(A)−2を得た。
得られた樹脂(A)−2の化学式は上記樹脂(A)−1と同様である。そのMwは4500、Mw/Mnは1.69であった。
また、カーボンNMRにより確認したところ、各モノマー(NBHFAA/HEMA/AdOHA)から誘導される構成単位の組成比(モル%)は、上記化学式において、p/q/r=50/17/33であった。
下記表1に示した各成分を混合、溶解してネガ型レジスト組成物を製造した。
得られたネガ型レジスト組成物について下記の評価を行った。
まず、有機系反射防止膜組成物「AR−46」(商品名、ローム・アンド・ハース社製)を、スピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で215℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚30nmの有機系反射防止膜を形成した。該反射防止膜上に、ネガ型レジスト組成物をスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、80℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行うことにより、膜厚140nmのレジスト膜を形成した。
ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(ハーフトーン)を介して選択的に照射した。
そして、100℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で60秒間現像し、その後20秒間水洗し、乾燥してレジストパターンを形成した。
このとき、ライン幅120nm、ピッチ240nmのラインアンドスペースパターン(L/Sパターン)が形成される最適露光量(感度;Eop)において、マスクパターンのサイズを変更し、レジストパターンの両端まで解像しているパターンの最小寸法(解像性)を求めた。その結果を表1に示した。
(B)−1:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
(C)−1:下記化学式で表される架橋剤(製品名:N−1951、三和ケミカル社製)
(C)−2:下記化学式で表される架橋剤(製品名:MX−270、三和ケミカル社製)
(C)−3:下記化学式で表される架橋剤(製品名:MX−280、三和ケミカル社製)
(C)−4:下記化学式で表される架橋剤(製品名:E−9002、三和ケミカル社製)
(C)−5:下記化学式で表される架橋剤(製品名:N−8314、三和ケミカル社製)
(D)−1:トリイソプロパノールアミン
(S)−1:プロピレングリコールモノメチルエーテル
また、形成されたレジストパターンの形状を観察したところ、(C)−1の配合量が多いほど、パターンの断面形状が、矩形性の高い良好なものとなっており、たとえば(C)−1の配合量を5.0〜15質量部の範囲で変化させた実施例4〜7のなかでは、(C)−1を10質量部、15質量部配合した実施例6,7の形状がきわめて良好であった。
一方、特定のアルキレン尿素系架橋剤を用いていない比較例1〜16は、端のラインパターンが解像しにくく、解像性が悪かった。
また、形成されたレジストパターンの形状を観察したところ、(C)−2の配合量が多いほど、レジストが膨潤し、ラインパターンが太くなっていた。また、ラインパターンの断面形状が裾引き形状となるフッティング(footing)が生じていた。
また、(C)−3〜(C)−5については、配合量が多くなると、レジストパターンを形成できなかった。
下記の手順により、レジスト膜の溶解速度に対する(C)成分の影響を評価した。
(C)成分として、(C)−1の配合量を、5.0質量部、10質量部、15質量部、20質量部と変化させた以外は実施例1と同様の組成のネガ型レジスト組成物を調製した。
また、(C)成分として、(C)−2の配合量を、5.0質量部、10質量部と変化させた以外は比較例1と同様の組成のネガ型レジスト組成物を調製した。
次に、有機系反射防止膜組成物「AR−46」(商品名、ブリューワサイエンス社製)を、スピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で215℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚30nmの有機系反射防止膜を形成した。該反射防止膜上に、上記で調製したネガ型レジスト組成物をスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、80℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行うことにより、膜厚140nmのレジスト膜を形成した。
該レジスト膜を、2.38質量%TMAH水溶液(約23℃)に浸漬し、その膜厚が0となるのに要する時間を測定することにより溶解速度(nm/sec(秒))を求めた。その結果から、横軸:(C)成分の配合量(質量部)、縦軸:溶解速度(nm/sec)のグラフを作成した。該グラフを図1に示す。
図1に示すように、(C)成分として(C)−2を用いた場合、(C)−2の配合量を5質量部から10質量部へと2倍に増大させた際、溶解速度も15.5nm/secから32.3nm/secとなり、ほぼ倍増した。一方、(C)成分として(C)−1を用いた場合、レジスト膜の溶解速度はほとんど変化しなかった。
Claims (6)
- (A)アルカリ可溶性樹脂成分、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分および(C)架橋剤成分を含有するネガ型レジスト組成物であって、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂成分が、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環式基を含有する構成単位(a1)と、α位の炭素原子に結合する水素原子がハロゲン原子、アルキル基またはハロゲン化アルキル基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって水酸基含有脂肪族環式基を含む構成単位(a2)とを含む共重合体(A1)であり、
前記(C)架橋剤成分が下記一般式(C1−1)
で表されるアルキレン尿素系架橋剤(C1)を含有することを特徴とするネガ型レジスト組成物。 - 前記(C)架橋剤成分がさらにグリコールウリル系架橋剤(C2)を含有する請求項1記載のネガ型レジスト組成物。
- 前記(C)架橋剤成分の配合量が、(A)アルカリ可溶性樹脂成分100質量部に対して3〜20質量部の範囲内である請求項1又は2記載のネガ型レジスト組成物。
- さらに(D)含窒素有機化合物を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のネガ型レジスト組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のネガ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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